特開2016-221837(P2016-221837A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221837(P2016-221837A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 3/20 20060101AFI20161205BHJP
   B41F 17/14 20060101ALI20161205BHJP
   B41F 17/22 20060101ALI20161205BHJP
   B41F 17/30 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B41F3/20 D
   B41F17/14 E
   B41F17/22
   B41F3/20 C
   B41F17/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-110449(P2015-110449)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 隆憲
(57)【要約】
【課題】曲面形状を持つ立体物に印刷できるグラビアオフセット印刷装置を提供する。
【解決手段】グラビアオフセット印刷装置は、所定のパターンが刻まれた版を乗せる版台と、版にインキを充填するドクターと、版からインキを転写するシリコーンゴムからなるブランケットと、被印刷物を保持する可撓性を有するステージとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のパターンが刻まれた版を乗せる版台と、
前記版にインキを充填するドクターと、
前記版からインキを転写するシリコーンゴムからなるブランケットと、
被印刷物を保持し可撓性を有するステージとを備える、グラビアオフセット印刷装置。
【請求項2】
前記ステージが、単一のシリコーンゴムである、請求項1に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項3】
前記ステージに使用されるシリコーンゴムの硬度がJIS K 6253に示される測定法で5°以上70°以下である、請求項2に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項4】
前記ステージは、表面がシリコーンゴムであり、内部が空洞であるドーム状の形状をしている、請求項1に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項5】
前記ステージ内部の空洞に圧縮空気を導入する機構をさらに備える、請求項4に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項6】
前記ステージ内部の空洞に液体を導入する機構をさらに備える、請求項4に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項7】
前記ステージ内部の空洞に導入される圧縮空気を加熱・冷却する温調機構をさらに備える、請求項5に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項8】
前記ステージ内部の空洞に導入される液体を加熱・冷却する温調機構をさらに備える、請求項6に記載のグラビアオフセット印刷装置。
【請求項9】
印刷時の前記ブランケットの動きに合わせて、ステージが並進、回転、上昇、下降を行なう機構を備えた、請求項1から請求項8のいずれかに記載のグラビアオフセット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビアオフセット方式で立体物への印刷を行なう印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラビアオフセット印刷は、版に刻まれたパターンをスクリーン印刷やインクジェットなどの印刷方式よりも忠実に再現できること、フォトリソグラフィー法と比べて必要な工程が少なくて済むこと、などからプリンテッドエレクトロニクスにおいて、プラズマディスプレイパネルの配線やタッチパネルの信号配線の印刷用としてこれまで検討されてきた。
【0003】
特に、グラビアオフセット印刷は、フォトリソグラフィー法に匹敵する細かい印刷が出来ること、フォトリソグラフィー法に比べ基材選択の自由度が高いことに着目し、プリンテッドエレクトロニクス以外への適用の期待が高まっている。
【0004】
近年、ウェアラブルといった分野などで、曲がった基材など曲面を持つ基材へ配線を配置する動きがある。
【0005】
このような曲面への配線を、印刷を用いて行なうことを考えた場合、曲面形状等に加工された基材に印刷する、印刷後に基材を加工し曲面に沿わせる、のいずれかの方法が必要となる。
【0006】
しかしながら金属配線とちがい、プリンテッドエレクトロニクスで使用される導電性インキは、硬化させると曲げに弱くなってしまい、印刷・硬化後に基材を加工すると断線してしまう。よって印刷したものを立体に加工することは難しく、立体物への直接印刷が求められている。
【0007】
このようなことを可能にするために、曲面など立体的な加工がされた基材への印刷の実現が求められている。
【0008】
従来のグラビアオフセット印刷は、平らなステージ、もしくは圧胴上に基材を保持し、版からインキを転写したブランケットを回転させながら接触させることによって印刷を行なう。
【0009】
現在曲面などへの印刷方式として、インクジェット方式がよく取り上げられている。しかしながら、インクジェット方式に使用されるインキは粘度が低く、印刷された液滴にダレが生じてしまう。特殊な基材を用いない限り、グラビアオフセット方式よりも細い線を印刷するのは難しい。
【0010】
また、近年基材の薄型化が進んでいる。ナノシートと呼ばれる厚みが1〜数百ナノメートルのシートが開発されており、化粧品や医療などの分野への採用が期待されている。
【0011】
これらの基材は非常に薄いため、印刷が困難である。従来のグラビアオフセット印刷においても、ブランケットが回転しながら基材に接触した時に発生するせん断力によって破断してしまう。
【0012】
曲面に印刷する従来技術として、版のインキを曲面パッドに転写し、これを被写体上に印刷する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
しかしながら、この印刷法は、転写に用いるパッドが曲面形状をしているためそもそも版から転写されたパターンが平面になっておらず精度が悪いこと、細い線が印刷できないなどの問題がある。
【0014】
細い線の印刷と曲面形状への印刷とを両立させる印刷装置はこれまでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開昭60−157864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明はこれを鑑みてなされたものである。すなわち、曲面形状を持つ立体物への印刷ができる、グラビアオフセット印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、所定のパターンが刻まれた版と、版にインキを充填するドクターと、版からインキを転写するシリコーンゴムからなるブランケットと、被印刷物を保持する可撓性を有するステージとを備える、グラビアオフセット印刷装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲面形状を持つ立体物への印刷ができる、グラビアオフセット印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の概要を示す断面図
図2】本発明の一実施形態に係るインキ充填(ドクタリング)工程の概要を示す断面図
図3】本発明の一実施形態に係るブランケットへのインキの転写工程の概要を示す断面図
図4】本発明の一実施形態に係るブランケットから曲面状基材へのインキの再転写工程の概要を示す断面図
図5】本発明の一実施形態に係るブランケットから曲面状基材へのインキの再転写工程の概要を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る印刷装置1の概要を示す断面図である。
印刷装置1は、版にインキを充填するドクター2、ブランケット胴3、所定のパターンが刻まれた版を乗せる版台5及び被印刷物を保持し可撓性を有するステージ7で構成されている。
ブランケット胴3は、円筒形状を有して、外周にはブランケット4が巻きつけられている。また、版台5およびステージ7には、それぞれ版6及び被印刷物である基材8が載せられている。
【0022】
図示しないが、ドクター2、ブランケット胴3には、それぞれ上昇・下降及び横方向へ平行移動する機構が備わっている。これら機構は単独で動かすことも出来るし、連動して動かすことも出来る。この機構によって、後述のドクタリングや転写の工程を行う。
【0023】
版6は使用者が印刷したい所定のパターンがくぼみによって表現されている。くぼみの作製方法や版の材質、形状は特に限定されるものではなく、ウェットエッチングで作製してもよいし、イオンビームなどのドライエッチングでも良い。また版6の形状は平状である必要は無く、シリンダー状でも構わないし材質もガラス、金属、樹脂等が使用できる。
【0024】
また図示しないが、印刷装置1は版6表面にインキを供給するインキ供給機構を別途備えていてもよい。インキ供給機構は特に限定されるものではなく、ディスペンサ、インクジェット等を用いてもよいし、手動で供給しても構わない
【0025】
次に印刷装置1を用いた印刷の手順について説明する。
【0026】
図2はドクタリングと呼ばれる印刷工程の概要を示す断面図である。
本工程では、はじめに版6の上にインキ9を供給する。インキ9の供給位置は特に限定されるものではないが、ドクター2付近にまとめて供給するのが好ましい。
【0027】
次に、ドクター2を版6上で、版6の表面に沿って直線状に動かすことによって版表面に載せられたインキ9を掻き、版6のパターンにインキ9を充填する操作を行なう。これがドクタリングと呼ばれる工程である。
ドクター2は先端が直線形状をしており、横幅は版6の幅より少し短くしておくとよい。ドクター2は、版6のパターン部にインキ9を供給すると共に版6のパターン外(非画線部と呼ぶ)のインキ9を掻き取る役割を持っている。
【0028】
また、図示しないが、ドクタリング後に版6後方に残ったインキ9を版表面に塗り拡げるコートドクターをさらに備えていてもよい。特に乾燥しやすいインキを使用する場合、ドクタリングによってパターン内部に充填されたインキ9の乾燥を防ぐため、必要なとき以外はインキ9で版表面を覆っておくことが望ましい。もちろん、ディスペンサやインクジェット等、印刷動作後に直ちに版全体をインキで覆うことができる機構を備えているならば、コートドクターはなくても良い。
【0029】
図3は版6に充填されたインキ9をブランケット4に転写する工程の概要を示す断面図である。
版6の上をブランケット4が転がることによってインキ9がブランケット4に転写される。
ブランケット4はシリコーンゴムで出来ている。シリコーンゴムは表面エネルギーが低いため、版6から転写したインキ9を基材へ再転写するときにインキ離れがよい。
【0030】
ブランケット4に版6からインキ9を転写した後、ブランケット4上で適度にインキ溶剤成分を吸収させ凝集力を高めた後に基材8へと転写することが好ましい。
【0031】
ブランケット4のシリコーンゴムは架橋などの比率を変えたり、またシリコーンオイルやシリコーンゲルなどを適宜混合させたりすることにより硬度調整されていてもよい。
【0032】
また、図示しないが印刷装置1はブランケット4表面を加熱、冷却する機構をさらに備えてもよい。印刷を続けていくと、ブランケット4がインキ9の溶剤成分で膨潤して、印刷線が太くなったり、溶剤成分を吸収できなくなり版6からインキ9が取れなくなったりすることがあるが、加熱によりブランケット4内部の溶剤を蒸発させたり、インキ9の温度を上げてインキ9内部の溶剤の放散を促進させたりすることによって、これを防ぐことが出来る。冷却機構は、加熱機構により加熱されたブランケット4を冷却し、ブランケット4表面を適正な温度に調整する。加熱及び冷却機構はブランケット4表面を乾燥した状態に保てるのであれば特に制限されるものではない。例えば電熱線による加熱でもよいし、表面から熱風を当ててもよい。冷却も同様、とくに制限されない。
【0033】
次にブランケット4に転写されたインキ9を曲面状の基材8に再転写する工程を図4及び図5を用いて説明する。図4、5は、ブランケット4から曲面状基材へのインキの再転写工程の概要を示す断面図である。
【0034】
図4は、曲面形状を持つ基材8がステージ7の上に置かれている状態を示している。
ステージ7はブランケット4と同じ材質のシリコーンゴムで構成されている。つまり、可撓性を持つステージ7が、単一のシリコーンゴムである。
【0035】
ステージ7は全てシリコーンゴムで構成されたもの、もしくは、表面のみシリコーンゴムがあり内部は空洞であるドーム状のものを用いることができる(図示は省略)。内部が空洞のシリコーンゴムの場合、その形状を保つため、内部に流体を導入し一定の圧力を与え続ける。作動流体は圧縮空気、または液体の両方を用いることが出来る。液体の場合、特に水を使うことが望ましい。水は他の液体と比べて温度変化が緩やかなため、ブランケット4表面の温度を一定に保つことが出来るのがその理由である。
【0036】
また、印刷装置1は、ステージ7の内部に導入する流体を加熱や冷却できる温調機構を備えてもよい。これにより、ブランケット4を加熱したり冷却したりすることができるため、基材8へのインキ転移性を良化させることが出来る。
【0037】
また、ステージ7に用いるシリコーンゴムの硬度はJIS K 6253に示される測定法で5°以上70°以下、好ましくは5°以上30°以下である。この範囲であれば印刷時に、ブランケット胴の圧力により適度にステージ7が沈み込むことで曲面への印刷が可能となる。
【0038】
図4はブランケット4に転写されたインキ9(図示しない)を、曲面形状をもつ基材8に対し転写を開始した時の図である。ブランケット4がステージ7に接触しステージ7が少したわむことでブランケット4が沈み込んでいる。従来の平状でかつたわみのないステージの場合、基材8のような曲面構造に対し特にステージ界面付近の部分にブランケットが到達出来ないため、インキ9を転写するのは困難である。それに対し、印刷装置1は基材8を保持するステージ7がシリコーンゴムで出来ているため、印刷時、基材8に到達する前からブランケット4をステージ7に接触させ沈み込ませることで、ブランケット4のインキ面がステージ7界面付近にも届くようになり、印刷が可能となる。
【0039】
ブランケット4は、ステージ7に沈み込んだまま基材8に到達しステージ7界面付近からインキ転写を開始する。その後、ブランケット胴3の軸をすこし上昇させると共に基材8へ向かって動かすことで、図4の右に示すように、基材8及びステージ7はブランケット4とは逆に沈み込む。これによりブランケット4は基材8の表面を駆け上がるようにインキ転写が進行する。
【0040】
図5はブランケット4からのインキ転写工程の後半を示したものである。前半と同様にステージ7の沈み込みにより基材8に沿うようにインキ9を転写していくことが出来る。
【0041】
この印刷工程はステージ7内部が空洞である場合にも有効である。ステージ7内部が空洞である場合、内部に導入する流体の圧力を場所により調整する機構を備えておけば、ステージ7の沈み込みを、シリコーンゴム単体の場合と同様にすることができるため、同じように曲面形状を有する基材への印刷が可能である。
【0042】
さらに、ステージ7を並進、回転、上昇、下降することが出来る機構を設けておき、ブランケット4の動きに合わせて適宜これらの動作を行ってもよい。これにより、例えばステージ7の変形だけでは対応できないほど曲率の大きな基材などにも、印刷を行なうことが可能となる。
【0043】
また、印刷装置1はステージ7が柔軟に変形可能なため、基材8が変形・破断しやすいようなものであっても、破断を起こさずに印刷可能である。
【0044】
印刷装置1は、版6からブランケット4にインキ9を転写するまでは、従来のグラビアオフセット印刷と同じ工程を踏む。従来のグラビアオフセット印刷はパッド印刷では苦手としている細かい線の印刷はすでに出来ており、平状以外の基材にどのようにそれを転写するかが課題であった。印刷装置1ではこれまでに述べたとおり、ステージ7を、沈み込みが可能なシリコーンゴムで構成することで、この課題を解決した。
【0045】
以上で説明したように、基材8を設置するステージ7が可撓性を有するため、ブランケット4側の押し圧に追従して変形することが出来る。従って、本発明によれば、曲面形状を持つ立体物に対しても印刷を行なうことが出来、かつ、破断しやすい基材でも破断無く印刷することが出来る印刷装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、グラビアオフセット方式の印刷装置、立体物への印刷装置等に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 印刷装置
2 ドクター
3 ブランケット胴
4 ブランケット
5 版台
6 版
7 ステージ
8 基材
9 インキ
図1
図2
図3
図4
図5