【課題】本発明は、絵柄印刷層の絵柄と透明熱可塑性樹脂層の凹凸模様との同調性を良好にすることができるとともに、絵柄印刷層の絵柄と艶調整層の艶状態による模様との同調性を良好にすることができる化粧シートの製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 化粧シート7の製造装置は、第1積層体18の伸びを検出する第1伸び検出部16と、第1伸び検出部16で検出した第1積層体18の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第1積層体18の張力を制御する第1張力制御部17とを備える。また、第3積層体の伸びを検出する第2伸び検出部と、第2伸び検出部で検出した第3積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第3積層体の張力を制御する張力制御部とを備える。
基材シートの一方の面側に印刷により絵柄が形成された絵柄印刷層が積層された第1積層体と、溶融した樹脂を押し出して成形したフィルム状の樹脂とを一対の第1ローラで挟み込んで貼り合わせる押出ラミネート加工を行い、前記第1積層体に前記絵柄と同調した凹凸模様を有する透明熱可塑性樹脂層を積層させて第2積層体を形成する第1の装置と、前記第1の装置で形成した前記第2積層体の前記透明熱可塑性樹脂層上に前記透明熱可塑性樹脂層の表面を保護する表面保護層が積層された第3積層体に、前記絵柄と同調した艶状態による模様を有する艶調整層を一対の第2ローラにより積層させる第2の装置と、を備えた化粧シートの製造装置であって、
前記第1積層体の伸びを検出する第1伸び検出部と、前記第1伸び検出部で検出した前記第1積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように前記第1積層体の張力を制御する第1張力制御部と、前記第3積層体の伸びを検出する第2伸び検出部と、前記第2伸び検出部で検出した前記第3積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように前記第3積層体の張力を制御する第2張力制御部とを備えたことを特徴とする化粧シートの製造装置。
前記第1張力制御部は、前記一対の第1ローラ間のプレス力を制御することで、前記第1積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように前記第1積層体の張力を制御することを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの製造装置。
前記第2張力制御部は、前記一対の第2ローラの回転速度を制御することで、前記第3積層体の張力を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シートの製造装置。
基材シートの一方の面側に印刷により絵柄が形成された絵柄印刷層が積層された第1積層体と、溶融した樹脂を押し出して成形したフィルム状の樹脂とを一対の第1ローラで挟み込んで貼り合わせる押出ラミネート加工を行い、前記第1積層体に前記絵柄と同調した凹凸模様を有する透明熱可塑性樹脂層を積層させて第2積層体を形成し、形成した前記第2積層体の前記透明熱可塑性樹脂層上に前記透明熱可塑性樹脂層の表面を保護する表面保護層を積層させて第3積層体を形成し、形成した第3積層体に、前記絵柄と同調した艶状態による模様を有する艶調整層を一対の第2ローラにより積層させる化粧シートの製造方法であって、
前記第1積層体の伸びを検出し、検出した前記第1積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように前記第1積層体の張力を制御し、前記第3積層体の伸びを検出し、検出した前記第3積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように前記第3積層体の張力を制御することを特徴とする化粧シートの製造方法。
前記一対の第1ローラ間のプレス力を制御することで、前記第1積層体の伸びが予め定めた範囲内に収まるように前記第1積層体の張力を制御することを特徴とする請求項4に記載の化粧シートの製造方法。
前記基材シート及び前記絵柄印刷層の積層体に前記透明熱可塑性樹脂層が押出ラミネート加工により積層されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の化粧シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(同調エンボス化粧材1)
本実施形態の同調エンボス化粧材1は、
図1に示すように、基材シート2の一方の面側に、絵柄印刷層3、透明熱可塑性樹脂層4、表面保護層5、及び艶調整層6がこの順に積層されて化粧シート7が形成され、基材シート2の他方の面側に、プライマー層8を介して基材9が貼り合わされて構成される。
【0011】
(基材シート2)
基材シート2は、樹脂フィルムからなるシート状の層である。樹脂フィルムとしては、特に限定されず、既知の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル(代表的には1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。特に、溶融押し出し装置での生産性、環境適合性、機械強度、耐久性、価格等を考慮すれば、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。また、樹脂フィルムは、顔料を混合して着色されており、化粧シート7の意匠に合わせた基材色が設定されている。
【0012】
(絵柄印刷層3)
絵柄印刷層3は、意匠性を付与するための絵柄が印刷により形成された印刷された層である。絵柄としては、例えば、木目、コルク、石目、抽象柄等、化粧シート7を用いる箇所に適した絵柄を選ぶことができる。また、印刷インキについても、印刷適性や耐候性等を考慮すれば、特に限定されず、既知の印刷インキを用いることができる。例えば、イソインドリノン、ジスアゾ、ポリアゾ、ジケトピロロピロール、キイナクリドン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラックを顔料とする印刷インキを使用することができる。また、顔料を組み合わせて配合することで、絵柄の表現を豊かにすることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤等を添加することで、耐候性を良好にすることもできる。
また、絵柄の印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等、既知の印刷方法を用いることができ、全面に同一色を着色する場合には、印刷方法のほかコーティングの手法や装置を用いてもよい。
【0013】
(透明熱可塑性樹脂層4)
透明熱可塑性樹脂層4は、絵柄印刷層3の絵柄が透けて見える、透明な樹脂からなるシート状の層である。透明な樹脂としては、特に限定されず、既知の透明な樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル(代表的には1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。特に、溶融押し出し装置での生産性、環境適合性、機械強度、耐久性及び価格等を考慮すれば、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。透明熱可塑性樹脂層4の厚みは、透明熱可塑性樹脂層4の強度と透明度とをともに良好なものにする点から、20μm以上150μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0014】
また、透明熱可塑性樹脂層4の表面保護層5側の面には、絵柄印刷層3の絵柄と同調した凹凸模様4a(エンボス)が形成されている。これにより、絵柄印刷層3の絵柄と透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4a(エンボス)とを同調させて、触感及び立体感を向上でき、絵柄(木目、コルク、石目、タイル、焼き物、抽象柄等)のリアルさを向上することができる。また、凹凸模様4a(エンボス)により、耐傷性を向上することができる。
さらに、透明熱可塑性樹脂層4の積層方法としては、例えば、基材シート2及び絵柄印刷層3の積層体(後述する第1積層体18)にラミネート加工により透明熱可塑性樹脂層4を積層する方法を用いることができる。
【0015】
(表面保護層5)
表面保護層5は、絵柄印刷層3の絵柄が透けて見え、透明熱可塑性樹脂層4の表面を保護する、透明な樹脂からなるシート状の層である。透明な樹脂としては、特に限定されず、既知の透明な樹脂を用いることができる。例えば、(メタ)アクリレート系硬化樹脂を使用することができる。これにより、硬質で且つ強靭なものとすることができる。特に、曲げ加工適性の向上を考慮すれば、ウレタン透明熱可塑性樹脂層がより好ましい。
表面保護層5には、必要に応じて艶調整剤を適宜添加することができる。
また、表面保護層5を構成する樹脂は透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aの凹凸に入り込んでいる。これにより、表面保護層5を透明熱可塑性樹脂層4に強固に固定できる。
【0016】
(艶調整層6)
艶調整層6は、絵柄印刷層3の絵柄と透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aとが透けて見え、絵柄印刷層3の絵柄と凹凸模様4aとに同調した艶状態による模様を有する、透明な樹脂からなるシート状の層である。透明な樹脂としては、特に限定されず、既知の透明な樹脂を用いることができる。例えば、2液硬化型ウレタン樹脂に艶調整剤を添加した組成物を使用することができる。艶調整剤としては、例えば、シリカ、アルミナ(α−アルミナ等)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリナイト、アルミノシリケート等の無機物、或いはポリカーボネート、ナイロン、ウレタン樹脂等の有機物(樹脂)の微粒子を使用することができる。艶調整剤の平均粒径は、1μm以上10μm以下の範囲内にあることが好ましい。艶調整剤の添加量は、所望の艶状態による模様に応じて適宜選択するが、通常は最大で30質量%とすることが好ましい。2液硬化型ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオールを主成分、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂を使用することができる。また、透明熱可塑性樹脂層4上に、表面保護層5及び艶調整層6を形成することにより、触感、反射による立体感、及び耐久性を向上することができる。
【0017】
(プライマー層8)
プライマー層8は、樹脂からなるシート状の層である。樹脂としては、特に限定されず、既知の樹脂を用いることができる。例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂及びポリエステル系樹脂を使用することができる。
(基材9)
基材9は、金属、木材等からなる板状の部材である。金属、木材等としては、特に限定されず、既知の金属、木材等を用いることができる。例えば、アルミ、鋼、ステンレス、MDF(medium density fiberboard)、パーティクルボードを使用することができる。
(化粧シート7の製造装置)
次に、透明熱可塑性樹脂層4を形成するための第1の装置10、及び艶調整層6を形成するための第2の装置11について説明する。
【0018】
(第1の装置10)
図2に示すように、第1の装置10は、繰出部12、押出部13、貼合部14、及び巻取部15を備える。本実施形態では、絵柄印刷層3の形成と、透明熱可塑性樹脂層4の形成とをそれぞれ別の装置で行う。それゆえ、本実施形態の第1の装置10は、絵柄印刷層3の絵柄と、透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aとを同調させるために、第1伸び検出部16、及び第1張力制御部17を更に備える。
繰出部12は、基材シート2の一方の面側に絵柄印刷層3が積層された積層体(以下、「第1積層体18」とも呼ぶ)を巻回した第1繰り出しロール19を軸回りに回転可能に保持する。そして、繰出部12は、保持した第1繰り出しロール19から予め定められた設定速度αで第1積層体18(基材シート2)を繰り出して貼合部14に移送する。
【0019】
押出部13は、透明熱可塑性樹脂層4の形成用の透明な樹脂を溶融する。そして、押出部13は、溶融した樹脂を押し出してフィルム状に成形して貼合部14に供給する。
貼合部14は、繰出部12から移送された第1積層体18(基材シート2)と、押出部13から供給されたフィルム状の樹脂とを一対のローラ14a、14bで挟み込んで貼り合わせる(押出ラミネート加工)。これにより、第1積層体18の絵柄印刷層3上に透明熱可塑性樹脂層4が押出ラミネート加工により積層され、基材シート2の一方の面側に、絵柄印刷層3及び透明熱可塑性樹脂層4が積層された積層体が形成される。ここで、ローラ14aは、第1積層体18(基材シート2)との間の摩擦力により、第1積層体18(基材シート2)を引っ張るように回転駆動される。また、ローラ14bは、ローラ14a側に付勢され、ローラ14aと第1積層体18(基材シート2)との間の摩擦力を増大するとともに、第1積層体18(基材シート2)に引っ張られて連れ回される。
【0020】
透明熱可塑性樹脂層4と接触するローラ14aの外周面には、透明熱可塑性樹脂層4に絵柄印刷層3の絵柄に同調した凹凸模様4a(以下、「目的とする凹凸模様」とも呼ぶ)を形成するための印刷版(エンボス版)が設けられている。印刷版は、目的とする凹凸模様4aよりも、第1積層体18が通紙される方向(以下、「通紙方向」とも呼ぶ)と平行な方向を0.02%以上3.0%以下の範囲内で伸長した周長β、通紙方向と直交する方向(以下、「幅方向」とも呼ぶ)を0.02%以上0.9%以下の範囲内で縮小した凹凸形状を有する。ここで、本実施形態では、透明熱可塑性樹脂層4の形成時に、第1積層体18の通紙方向の伸びが予め定めた範囲内である0.02%以上3.0%以下の範囲内に収まるように第1積層体18の張力を制御する。この意味するところは第1積層体18が張力に対して弾性挙動を示すため伸び率の制御が利き、絵柄の極端な伸張により意匠感を損なわない張力範囲を使用することにある。よってこの範囲は使用する材料に応じて適宜変更される。これにより、第1積層体18が通紙方向に伸長しても、絵柄印刷層3の絵柄と凹凸模様4aとの同調性を良好にすることができる。
【0021】
また、貼合部14は、第1張力制御部17からの指令に従って、ローラ14bのローラ14a側への付勢力を制御し、一対のローラ14a、14b間のプレス力を制御する。これにより、ローラ14aと第1積層体18との間の摩擦力を制御し、第1積層体18(基材シート2)を設定速度αよりも速い速度で一対のローラ14a、14b間に引き込み、第1積層体18(基材シート2)に通紙方向の張力を発生させる。引き込み速度は、設定速度αの100.02%以上103.00%以下の範囲とする。ローラ14bの付勢力を増加または減少させる方法としては、例えば、鉄板等のスイングアーム14cの一端にローラ14bの回転軸を連結し、スイングアーム14cの他端に固定軸14dを連結し、スイングアーム14cの側部を油圧ユニット等の加圧部14eで押圧する押圧力を制御し、固定軸14dを中心にスイングアーム14cを円弧運動させることで、ローラ14bの付勢力を増減させる方法を使用できる。なお、ローラ14bの付勢力を増減させる方法の一例を示したが、この方法に限定されるものではなく、他の構成を採用することもできる。
巻取部15は、押出ラミネート加工で形成した積層体(以下、「第2積層体20」とも呼ぶ)を巻回して第2繰り出しロール21を形成する。
【0022】
第1伸び検出部16は、第1繰り出しロール19から繰り出された第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びを検出する。具体的には、第1伸び検出部16は、第1トンボ検出部16a、第2トンボ検出部16b、及び伸び量演算部16cを備える。第1トンボ検出部16aは、貼合部14よりも通紙方向の上流側に配置され基材シート2のトンボを検出する。トンボは、基材シート2の幅方向端部、つまり絵柄印刷層3や透明熱可塑性樹脂層4が積層されない箇所に通紙方向に所定間隔を隔てて設けられている。また、第2トンボ検出部16bは、貼合部14よりも下流側に配置され基材シート2のトンボを検出する。伸び量演算部16cは、第1トンボ検出部16a及び第2トンボ検出部16bの検出結果に基づき、第1積層体18の通紙方向の伸びを推定する。例えば、第1トンボ検出部16aで検出されたトンボが第2トンボ検出部16bで検出されるまでの時間(以下、「移送時間」とも呼ぶ)を測定し、測定した移送時間と、第1トンボ検出部16aと第2トンボ検出部16bとの間の距離、及び第1積層体18(基材シート2)の搬送速度から推定される移送時間との関係から、第1積層体18の通紙方向の伸びを推定する。
【0023】
第1張力制御部17は、第1伸び検出部16で検出した第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びが予め定めた設定範囲内に収まるように第1積層体18の通紙方向の張力を制御する。具体的には、張力が作用していない場合よりも、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びが上記設定範囲内(0.02%以上3.0%以下の範囲)においてローラ14aの周長βより小さい場合には、一対のローラ14a、14b間のプレス力を増大させる指令を貼合部14に出力する。これにより、ローラ14aと第1積層体18との間の摩擦力を増大し、第1積層体18の通紙方向の伸びを増加させる。一方、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びが設定範囲内(0.02%以上3.0%以下の範囲)においてローラ14aの周長βより大きい場合には、一対のローラ14a、14b間のプレス力を低減させる指令を貼合部14に出力する。これにより、ローラ14aと第1積層体18との間の摩擦力を低減し、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の張力を低減し、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びを低下させる。
なお、本実施形態と異なり、第1伸び検出部16と第1張力制御部17とを備えず、第1積層体18の通紙方向の張力を制御しない方法では、第1積層体18の通紙方向の伸びが増大し、絵柄印刷層3の絵柄と透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aとの同調性が低下する。
【0024】
(第2の装置11)
図3に示すように、第2の装置11は、繰出部22、塗工部23、及び巻取部24を備える。本実施形態では、絵柄印刷層3の形成と、艶調整層6の形成とをそれぞれ別の装置で行う。それゆえ、本実施形態の第2の装置11は、絵柄印刷層3の絵柄と、透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aとに加え、艶調整層6の艶状態による模様を同調させるために、第2伸び検出部25、及び第2張力制御部26を更に備える。
繰出部22は、基材シート2の一方の面側に絵柄印刷層3、透明熱可塑性樹脂層4、及び表面保護層5がこの順に積層された積層体(以下、「第3積層体27」とも呼ぶ)を巻回した第3繰り出しロール28を軸回りに回転可能に保持する。そして、繰出部22は、保持した第3繰り出しロール28から第3積層体27(基材シート2)を繰り出して塗工部23に移送する。第3積層体27の移送速度は、予め定められた設定速度γとする。
塗工部23は、繰出部22から移送された第3積層体27を一対のローラ23a、23bで挟み込んで、艶調整層6の形成用の樹脂を塗工して、絵柄印刷層3の絵柄に同調した艶状態による模様を有する艶調整層6を形成する。これにより、第3積層体27の表面保護層5上に艶調整層6が積層され、基材シート2の一方の面側に、絵柄印刷層3、透明熱可塑性樹脂層4、表面保護層5及び艶調整層6が積層された積層体が形成される。
【0025】
樹脂を塗工するローラ23aの外周面には、表面保護層5に絵柄印刷層3の絵柄に同調した艶状態による模様(以下、「目的の艶状態による模様」とも呼ぶ)を形成するための印刷版が設けられている。印刷版は、目的の艶状態による模様よりも第3積層体27が通紙される方向(以下、「通紙方向」とも呼ぶ)と平行な方向を0.02%以上3.0%以下の範囲内で伸長した周長δ、通紙方向と直交する方向(以下、「幅方向」とも呼ぶ)を0.02%以上0.9%以下の範囲内で縮小した凹凸形状を有する。ここで、本実施形態では、艶調整層6(艶状態による模様)の形成時に、第3積層体27の通紙方向の伸びが予め定めた範囲内である0.02%以上3.0%以下の範囲内に収まるように第3積層体27の張力を制御する。この意味するところは第3積層体27が張力に対して弾性挙動を示すため伸び率の制御が利き、絵柄の極端な伸張により意匠感を損なわない張力範囲を使用することにある。よってこの範囲は使用する材料に応じて適宜変更される。これにより、第3積層体27が通紙方向に伸長しても、絵柄印刷層3の絵柄と艶調整層6の艶状態による模様との同調性を良好にすることができる。また、塗工部23は、第2張力制御部26からの指令に従って、一対のローラ23a、23bの回転速度を制御する。これにより、第3積層体27(基材シート2)を設定速度γよりも速い速度で一対のローラ23a、23b間に引き込み、第3積層体27(基材シート2)に通紙方向の張力を発生させる。引き込み速度は、γの100.02%〜103.00%の範囲とする。
巻取部24は、塗工部23で形成した積層体(以下、「第4積層体29」とも呼ぶ)を巻回して第4繰り出しロール30を形成する。
【0026】
第2伸び検出部25は、第3繰り出しロール28から繰り出された第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びを検出する。具体的には、第2伸び検出部25は、第1トンボ検出部25a、第2トンボ検出部25b、及び伸び量演算部25cを備える。第1トンボ検出部25aは、塗工部23よりも通紙方向の上流側に配置され基材シート2のトンボを検出する。また、第2トンボ検出部25bは、第1トンボ検出部25aよりも通紙方向の下流側で且つ塗工部23よりも通紙方向の上流側に配置され、基材シート2のトンボを検出する。伸び量演算部25cは、第1トンボ検出部25a及び第2トンボ検出部25bの検出結果に基づき、第3積層体27の通紙方向の伸びを検出する。例えば、第1トンボ検出部25aで検出されたトンボが第2トンボ検出部25bで検出されるまでの時間(以下、「移送時間」とも呼ぶ)を測定し、測定した移送時間と、第1トンボ検出部25aと第2トンボ検出部25bとの間の距離、及び第3積層体27(基材シート2)の搬送速度から推定される移送時間との関係から、第1積層体18の通紙方向の伸びを検出する。
なお、本実施形態では、第2トンボ検出部25bを、第1トンボ検出部25aと塗工部23との間に配置する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、第2トンボ検出部25bを、塗工部23よりも通紙方向の下流側に配置する構成としてもよい。
【0027】
第2張力制御部26は、第2伸び検出部25で検出した第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びが予め定めた設定範囲内に収まるように第3積層体27の通紙方向の張力を制御する。具体的には、第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びが上記設定範囲内(0.02%以上3.0%以下の範囲)においてローラ23aの周長δより小さい場合には、一対のローラ23a、23bの回転速度を増大させる指令を塗工部23に出力する。これにより、塗工部23が第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の張力を増大し、第3積層体27の通紙方向の伸びを増加させる。一方、第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びが設定範囲内(0.02%以上3.0%以下の範囲)においてローラ23aの周長δより大きい場合には、一対のローラ23a、23bの回転速度を低減させる指令を塗工部23に出力する。これにより、第3積層体27(基材シート2)の張力を低減し、第3積層体27(基材シート2)の伸びを低下させる。
なお、本実施形態と異なり、第2伸び検出部25と第2張力制御部26とを備えず、第3積層体27の通紙方向の張力を制御しない方法では、第3積層体27の通紙方向の伸びが増大し、絵柄印刷層3の絵柄と艶調整層6の艶状態による模様との同調性が低下する。
【0028】
(化粧シート7の製造方法)
次に、上記構成を有する化粧シート7の製造方法について説明する。
化粧シート7の製造では、第1工程〜第5工程をこの順に実行する。
(第1工程:絵柄印刷層形成工程)
基材シート2が巻回された繰り出しロールを用意する。続いて、用意した繰り出しロールから基材シート2を繰り出し、繰り出した基材シート2を版胴と圧胴との間を通して基材シート2の一方の面側に、絵柄を順次印刷して絵柄印刷層3を形成する。これにより、基材シート2の一方の面側に絵柄印刷層3が積層された第1積層体18を形成する。続いて、形成した第1積層体18を巻回して第1繰り出しロール19を形成する。
【0029】
(第2工程:透明熱可塑性樹脂層形成工程)
図2に示すように、第1の装置10の繰出部12が、第1繰り出しロール19から設定速度αで第1積層体18(基材シート2)を繰り出し、繰り出した第1積層体18を貼合部14に移送する。また、押出部13が、透明熱可塑性樹脂層4の形成用の透明な樹脂を溶融し、溶融した樹脂を押し出してフィルム状に成形して貼合部14に供給する。そして、貼合部14が、繰出部12から移送された第1積層体18(基材シート2)と押出部13から供給されたフィルム状の樹脂とを一対のローラ14a、14bで挟み込んで貼り合わせる。これにより、第1積層体18の絵柄印刷層3上に透明熱可塑性樹脂層4が押出ラミネート加工により積層され、基材シート2の一方の面側に絵柄印刷層3及び透明熱可塑性樹脂層4が積層された積層体が形成される。同時に、ローラ14aが、透明熱可塑性樹脂層4に絵柄印刷層3の模様と同調した凹凸模様4aを形成する。
【0030】
その際、第1伸び検出部16が検出した、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びがローラ14aの周長βより小さい場合、第1張力制御部17が、一対のローラ14a、14b間のプレス力を増大させる指令を貼合部14に出力する。これにより、貼合部14が、ローラ14bのローラ14a側への付勢力を増大し、ローラ14aと第1積層体18との間の摩擦力を増大して、第1積層体18の通紙方向の張力を増加し、第1積層体18の通紙方向の伸びを増加させる。
一方、第1伸び検出部16が検出した、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びがローラ14aの周長βより大きい場合、第1張力制御部17が、一対のローラ14a、14b間のプレス力を低減させる指令を貼合部14に出力する。これにより、貼合部14が、ローラ14bのローラ14a側への付勢力を低減し、ローラ14aと第1積層体18との間の摩擦力を低減して、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の張力を低減し、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びを低下させる。それゆえ、第1積層体18の通紙方向の伸びを設定範囲内に収めることができ、ローラ14aの印刷版(エンボス版)により、凹凸模様4aを適切に形成することができる。
【0031】
また、巻取部15が、押出ラミネート加工で形成した積層体(第2積層体20)を巻回して第2繰り出しロール21を形成する。
なお、本実施形態では、第1張力制御部17が、一対のローラ14a、14b間のプレス力を制御することで、第1積層体18の通紙方向の張力を制御する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、ローラ14aの回転数を制御することで、第1積層体18の通紙方向の張力を制御する構成としてもよい。具体的には、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びがローラ14aの周長βより小さい場合には、第1張力制御部17が、ローラ14aの回転数を増大させて、第1積層体18の通紙方向の伸びを増加させる。また、第1伸び検出部16が検出した、第1積層体18(基材シート2)の通紙方向の伸びがローラ14aの周長βより大きい場合には、第1張力制御部17が、ローラ14aの回転数を低減させて、第1積層体18の通紙方向の伸びを低減させる。
【0032】
(第3工程:表面保護層形成工程)
第2繰り出しロール21から第2積層体20(基材シート2)を繰り出し、繰り出した第2積層体20(基材シート2)の透明熱可塑性樹脂層4上に、表面保護層5の形成用の樹脂を塗工する。これにより、第2積層体20に表面保護層5が積層された第3積層体27を形成する。その際、表面保護層5を構成する樹脂は透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aの凹凸に入り込む。これにより、表面保護層5が透明熱可塑性樹脂層4に強固に固定される。続いて、形成した第3積層体27を巻回し第3繰り出しロール28を形成する。
【0033】
(第4工程:艶調整層形成工程)
図3に示すように、第2の装置11の繰出部22が、第3繰り出しロール28から設定速度γで第3積層体27(基材シート2)を繰り出し、繰り出した第3積層体27を塗工部23に移送する。そして、塗工部23が、繰出部22から移送された第3積層体27(基材シート2)に、艶調整層6の形成用の樹脂を塗工して絵柄印刷層3の絵柄に同調した艶状態による模様を有する艶調整層6を形成する。これにより、第3積層体27の表面保護層5上に艶調整層6が積層され、基材シート2の一方の面側に、絵柄印刷層3、透明熱可塑性樹脂層4、表面保護層5及び艶調整層6が積層された積層体が形成される。
その際、第2伸び検出部25が検出した、第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びが設定範囲内(0.02%以上3.0%以下の範囲)においてローラ23aの周長δより小さい場合、第1張力制御部17が、一対のローラ23a、23bの回転速度を増大させる指令を塗工部23に出力する。これにより、塗工部23が、第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の張力を増大し、第3積層体27の通紙方向の伸びを増加させる。
【0034】
一方、第2伸び検出部25が検出した、第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びが設定範囲内(0.02%以上3.0%以下の範囲)においてローラ23aの周長δより大きい場合、第1張力制御部17が、一対のローラ23a、23bの回転速度を低減させる指令を塗工部23に出力する。これにより、塗工部23が、第3積層体27(基材シート2)の張力を低減し、第3積層体27(基材シート2)の伸びを低下させる。それゆえ、第3積層体27(基材シート2)の通紙方向の伸びを設定範囲(0.02%以上3.0%以下の範囲)内に収めることができ、艶調整層6を適切に形成することができる。
また、巻取部24が、一対のローラ23a、23bで形成した積層体(第4積層体29)を巻回して第4繰り出しロール30を形成する。
【0035】
(第5工程:プライマー層形成工程)
第4繰り出しロール30から第4積層体29(基材シート2)を繰り出し、繰り出した第4積層体29(基材シート2)の他方の面側に、プライマー層8の形成用の樹脂を塗工する。これにより、第4積層体29にプライマー層8を積層し、化粧シート7を得た。
本実施形態では、一対のローラ14a、14bが一対の第1ローラを構成する。また、一対のローラ23a、23bが一対の第2ローラを構成する。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る化粧シート7の製造装置は、第1積層体18の伸びを検出する第1伸び検出部16と、第1伸び検出部16で検出した第1積層体18の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第1積層体18の張力を制御する第1張力制御部17とを備える。また、第3積層体27の伸びを検出する第2伸び検出部25と、第2伸び検出部25で検出した第3積層体27の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第3積層体27の張力を制御する第2張力制御部26とを備える。
このような構成によれば、絵柄印刷層3の絵柄と透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aとの同調性を良好にすることができるとともに、絵柄印刷層3の絵柄と艶調整層6の艶状態による模様との同調性を良好にすることができる。
【0037】
(2)本実施形態に係る化粧シート7の製造装置では、第1張力制御部17は、一対のローラ14a、14b間のプレス力を制御することで、第1積層体18の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第1積層体18の張力を制御する。
このような構成によれば、第1積層体18の張力をより適切に制御できる。
(3)本実施形態に係る化粧シート7の製造装置では、第2張力制御部26は、一対のローラ23a、23bの回転速度を制御することで、第3積層体27の張力を制御する。
このような構成によれば、第3積層体27の張力をより適切に制御できる。
【0038】
(4)本実施形態に係る化粧シート7の製造方法では、第1積層体18の伸びを検出し、検出した第1積層体18の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第1積層体18の張力を制御する。また、第3積層体27の伸びを検出し、検出した第3積層体27の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第3積層体27の張力を制御する。
このような構成によれば、絵柄印刷層3の絵柄と透明熱可塑性樹脂層4の凹凸模様4aとの同調性を良好にすることができるとともに、絵柄印刷層3の絵柄と艶調整層6の艶状態による模様との同調性を良好にすることができる。
【0039】
(5)本実施形態に係る化粧シート7の製造方法では、一対のローラ14a、14b間のプレス力を制御することで、第1積層体18の伸びが予め定めた範囲内に収まるように第1積層体18の張力を制御する。
このような構成によれば、第1積層体18の張力を比較的容易に制御できる。
(6)本実施形態に係る化粧シート7の製造方法では、一対のローラ23a、23bの回転速度を制御することで、第3積層体27の張力を制御する。
このような構成によれば、第3積層体27の張力をより適切に制御できる。
【0040】
(7)本実施形態に係る化粧シート7の製造方法では、基材シート2及び絵柄印刷層3の積層体(第1積層体18)に透明熱可塑性樹脂層4が押出ラミネート加工により積層されている。
このような構成によれば、透明熱可塑性樹脂層4と絵柄印刷層3との間の接着剤を抑制でき、透明熱可塑性樹脂層4越しに絵柄印刷層3の絵柄をより鮮明に見ることができる。
(8)本実施形態に係る化粧シート7の製造方法では、基材シート2の他方の面側に、プライマー層8を塗工する。
このような構成によれば、基材9への接着性を良好なものとすることができる。
【0041】
(変形例)
なお、本実施形態では、第1工程〜第5工程の各工程間で繰り出しロール(第1繰り出しロール19、第3繰り出しロール28、第2繰り出しロール21、第4繰り出しロール30)を形成するオフライン形式の装置とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、繰り出しロールを形成しないインライン形式の装置としてもよい。