特開2016-221918(P2016-221918A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-221918(P2016-221918A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】多層押出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/16 20060101AFI20161205BHJP
   B29C 47/06 20060101ALI20161205BHJP
   B29C 47/92 20060101ALI20161205BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20161205BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   B29C47/16
   B29C47/06
   B29C47/92
   B29L7:00
   B29L9:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-112928(P2015-112928)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 史志
(72)【発明者】
【氏名】池田 剣志郎
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AG03
4F207AJ01
4F207AR12
4F207AR14
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB26
4F207KL76
4F207KL84
4F207KL92
4F207KM15
(57)【要約】
【課題】フィードブロック方式で溶融樹脂を共押出しによって多層フィルムを製造する際に、簡便な方法で各層の厚みを迅速に制御し、各層の幅方向の膜厚を均一にし、メンテナンスも容易な装置を提供する。
【解決手段】複数の溶融樹脂をフィードブロックで合流させて単層ダイから押出して多層フィルムを生成する多層押出成形装置であって、ビーク部は複数の溶融樹脂の流路である内層流路と、外層流路と、合流路とを有するもので、前記内層流路と前記外層流路間には、移動可能な複数の圧電材料よりなる隔壁が幅方向に備えられており、該複数の圧電材料よりなる隔壁が個別に内層流路の厚み方向に変形し、内層流路の断面の大きさと断面形状が調整され、ダイ接続部は、前記合流路と単層ダイに繋がる流路を有するものであることを特徴とする多層押出成形装置を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の溶融樹脂をフィードブロックで合流させて単層ダイから押出して多層フィルムを生成する多層押出成形装置であって、
前記フィードブロックは、フロープレート部と、ビーク部と、ダイ接続部から構成され、
前記フロープレート部は、複数の溶融樹脂を投入する複数開口部を有するもので、
前記ビーク部は、前記複数開口部に投入された複数の溶融樹脂の流路である内層流路と、外層流路と、合流路とを有するもので、
前記内層流路は矩形状断面の流路であり、
前記外層流路は前記内層流路に対して側面から合流する矩形状断面の流路であり、
前記合流路は前記内層流路と外層流路とが合流した矩形状断面の流路であり、
前記内層流路と前記外層流路間には、移動可能な複数の圧電材料よりなる隔壁が幅方向(幅方向とは成形されるフィルムの幅方向を指す。以下同じ)に備えられており、該複数の圧電材料よりなる隔壁が個別に内層流路の厚み方向に変形し、内層流路の断面の大きさと断面形状が調整され、
前記ダイ接続部は、前記合流路と単層ダイに繋がる流路を有するものである、
ことを特徴とする多層押出成形装置。
【請求項2】
前記ビーク部を複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の多層押出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押出成形に関する技術に関わり、特に複数の溶融樹脂をフィードブロックで合流させて単層ダイから押出し、多層フィルムを生成する多層押出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融樹脂を共押出しによって多層フィルムを製造する押出成形装置としてフィードブロック方式がある。フィードブロック方式とは、複数の溶融樹脂をフィードブロックで合流させて単層ダイから押出して多層フィルムを生成するものである。
【0003】
フィードブロックは、フロープレート部とビーク部とダイ接続部から構成される。フロープレート部は、複数の溶融樹脂を投入する複数開口部を有する。
ビーク部は、前記複数開口部に投入された複数の溶融樹脂の流路である内層流路と外層流路と合流路を有するものである。
内層流路と外層流路の断面形状や断面積を調節することで、各層の幅方向の厚みが不均一となる成形不良を低減させる方法が提案されている。
【0004】
特許文献1では、内層流路と外層流路の断面形状を矩形状断面とするため、内層流路と外層流路間に設けた複数の隔壁を機械的に移動させる押出成形装置が示されている。
【0005】
また、特許文献2では、流路の断面形状を制御する代わりに、流路近傍の温度を制御する方法が示されている。
【0006】
特許文献1では、断面形状を連続的に制御するために細かい部材(隔壁)を多く配置する必要がある。しかし、これは有限であるため、形状の不連続部ができる。この不連続部にはこげ等のゴミが溜まり易く、メンテナンス性が悪い。
また、ロングラン生産時には微調節が必要なことがしばしばあるが、これも容易ではない。
また、材料や層構成(層比やそれぞれの層の膜厚)が異なるごとに、各層の厚みを制御するための成形条件を設定する必要がある。特許文献2では、各流路の樹脂の温度を個別に制御する方法が示されているが、場合によっては適切な条件がないことがある。さらに、特許文献1と同様にロングラン生産時には微調整が難しい。
【0007】
このため、簡便な方法で各層の厚みを迅速に制御し、各層の幅方向の膜厚を均一にし、メンテナンスも容易な装置が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−30938号公報
【特許文献2】特開2014−188991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の要望を満たすべく成されたものであって、フィードブロック方式で溶融樹脂を共押出しによって多層フィルムを製造する際に、簡便な方法で各層の厚みを迅速に制御し、各層の幅方向の膜厚を均一にし、メンテナンスも容易な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、複数の溶融樹脂をフィードブロックで合流させて単層ダイから押出して多層フィルムを生成する多層押出成形装置であって、
前記フィードブロックは、フロープレート部と、ビーク部と、ダイ接続部から構成され、
前記フロープレート部は、複数の溶融樹脂を投入する複数開口部を有するもので、
前記ビーク部は、前記複数開口部に投入された複数の溶融樹脂の流路である内層流路と、外層流路と、合流路とを有するもので、
前記内層流路は矩形状断面の流路であり、
前記外層流路は前記内層流路に対して側面から合流する矩形状断面の流路であり、
前記合流路は前記内層流路と外層流路とが合流した矩形状断面の流路であり、
前記内層流路と前記外層流路間には、移動可能な複数の圧電材料よりなる隔壁が幅方向(幅方向とは成形されるフィルムの幅方向を指す。以下同じ)に備えられており、該複数の圧電材料よりなる隔壁が個別に内層流路の厚み方向に変形し、内層流路の断面の大きさと断面形状が調整され、
前記ダイ接続部は、前記合流路と単層ダイに繋がる流路を有するものである、
ことを特徴とする多層押出成形装置である。
【0011】
また、請求項2に係る発明は前記ビーク部を複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の多層押出成形装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によりフィードブロック方式で溶融樹脂を共押出しによって多層フィルムを製造する際に、簡便な方法で各層の厚みを迅速に制御し、各層の幅方向の膜厚を均一にし、メンテナンスも容易な装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明で用いるフィードブロック・ダイの概略図。
図2】実施例に記載のビーク形状調整前における幅方向の膜厚分布データ。
図3図1における61の断面図。 (a)ビーク形状変更前 (b)実施例のビーク形状変更(調整)後
図4】ビーク形状パラメータL、Hの説明図。
図5】実施例に記載の検討したビーク形状3種に対するEVOH膜厚分布。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0015】
混練(可塑)機から押し出された溶融樹脂がフィードブロック2を通り、ダイヘッド3のスリット状出口からフィルム化される。材料は中心層cのエチレンビニルアルコール(EVOH)、その外層b、dの接着樹脂(Tie)、最外層a、eの低密度ポリエチレン(LDPE(LC600A)の3種5層である。この3種5層をPET等の基材上に押し出してもよい。押出幅(53方向)は1200mm、ライン速度は120m/minであり、330℃で押し出す。図1の61部でEVOH(c)とTie(b、d)が合流し、さらに60部でこれらとLDPE(a、e)が合流し、3種5層膜が形成される。押出後の目標膜厚は、総厚で100μm±10%である。
【0016】
ここで、主に材料の粘度比が原因となり、各層を幅方向に均一にするのは困難である。上記材料を用いた3種5層膜の場合、他の樹脂に対し、最外層のLDPEの膜厚が端部で厚くなる“包み込み”現象が起こる。
【0017】
例えば、図2に膜厚分布の例を示す。
横方向が幅(53)方向、縦方向には3種5層の全体の膜厚を100としたときの各層の相対膜厚を示す。横方向は、右がギヤ(機械)(G)側、左がマン(M)側である。このように、EVOH(5c)やTic層(5b、5d)と比較して、両端のLDPE(5a、5e)の膜厚が大きく、“包み込み”が起こっているのがわかる。
【0018】
この包み込みを解消に、各層を幅方向に均一にするため、図3、4のビークの断面形状を調整する。
【0019】
表1に検討した3種のパラメータ(L、H)値、図4にL、Hを説明するための図を示す。
図2に示した膜厚分布データは、表1のビーク1の形状時のものである。このビーク1の形状を基本とし、H、Lの寸法を変えた2種類のビーク、ビーク2およびビーク3を検討した。図4中の曲率半径Aは100、曲率半径Bは75である(ビーク1、2、3共通)。
【0020】
【表1】
【0021】
さらに、これらの3つのビーク断面形状に対する、EVOH層の膜厚分布を図5に示す。上記3種の材料構成の場合、包み込みを解消するには、中心層のEVOH層の端部膜厚を相対的に上げ下げして、最適にすると良いことが分かっている。このため、ビーク1、2、3のうち、包み込みを解消し幅方向に均一な膜を形成するのに適したものはビーク2である。
【0022】
ビーク断面形状の調整法について、説明する。
図3のように、一つのビークの各開口の幅方向に対して垂直方向(52)に対称に圧電材料を配置する(例えば、図3(a)9Aと11A)。そして、幅方向に圧電材料を複数配置する。図3は、9A−Gの7つ配置した例である。図4のビーク形状を再現するには、図3(b)のように幅方向と垂直方向に圧電材料の厚みを変える。
幅方向53の分割数は、図3では7つであるが、7つに限らず複数であれば良い。合流部壁面を滑らかにするために、分割数は多いことが望ましい。
ほとんどの場合、このビーク形状の調整で均一条件がでるが、均一条件が出にくい場合には、さらにリップ幅分布の調整を実施してもよい。
【0023】
ビークに付着した樹脂残留物等のゴミを除去する方法について、図3(b)を用いて説明する。
均一製膜のためビークの断面形状を矩形にする場合が多い。このとき、図3(b)のように各素子(A’、B’、C’・・・)間に段差が生じゴミが付着・残留し易い。多くの場合、この付着・残留ゴミを除去するため、押出終了時にパージ用の流動し易い樹脂を流す。ただし、特にパージ用樹脂より融点が高い樹脂の場合等、このパージ用樹脂を流すことだけでは、完全に残留ゴミを除去することは困難である。
本提案では、パージ時に素子を互い違いに動かし残留ゴミを除去することが可能である。圧電材料を用いているため、例えば1素子ごとに互い違いの動きを周期的に行うことが可能である。例えば、9A’、9C’、9E’、9G’は流路が狭くなる方向(52の右)に動作させ、一方9B’、9D’、9F’は逆の流路が広くなる方向(52の左)に動作させる。
さらに、上記の動作を複数回、樹脂や温度に合わせて効果的に行うことも容易である。
このように、樹脂や温度に対し一度条件を求めてしまえば、作業者によらず容易に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1・・・導入路
1a、1e・・・LDPE
1b、1d・・・Tie
1c・・・EVOH
2・・・フィードブロック
3・・・ダイヘッド
4・・・吐出樹脂
5・・・膜厚(全体を100とした相対値。52−53断面)
5a、5e・・・LDPE
5b、5d・・・Tie
5c・・・EVOH
6・・・内層流路
7・・・外層流路
8・・・外層流路
9・・・ビーク断面形状変更用圧電材料
A〜G・・・調整前
A’〜G’・・・調整後
10・・・フロープレート部
11・・・ビーク断面形状変更用圧電材料
20・・・ビーク部
28・・・合流部
29・・・ビーク筺体
30・・・ダイ接続部
44・・・支持体
51・・・流れ方向
52・・・厚み方向
53・・・幅方向
60・・・ビーク断面(5層)
61・・・ビーク断面(3層)
図1
図2
図3
図4
図5