特開2016-222002(P2016-222002A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222002(P2016-222002A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/02 20060101AFI20161205BHJP
   B60C 9/04 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B60C9/02 C
   B60C9/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-107550(P2015-107550)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】竹中 雄一
(57)【要約】
【課題】軽量化しつつ、タイヤサイド部の耐外傷性を確保した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤは、左右一対のビード部間に装架されるカーカス層を有する。カーカス層は補強コードとして複数本の配列された有機繊維コードを備える。複数本の有機繊維コードは緯糸で2〜3本単位に引き揃えられた有機繊維コードと、単独の有機繊維コードとがある。引き揃えられた有機繊維コードは不連続に配置され、タイヤサイドの最大幅位置で、100mm当りの有機繊維コードの総本数に対し、引き揃えられた有機繊維コードの割合が10〜50%である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のビード部間に装架されるカーカス層を有する空気入りタイヤであって、
前記カーカス層は、補強コードとして複数本の配列された有機繊維コードを備え、前記複数本の有機繊維コードは、緯糸で2〜3本単位に引き揃えられた前記有機繊維コードと、単独の前記有機繊維コードとがあり、
前記引き揃えられた前記有機繊維コードは不連続に配置され、
タイヤサイドの最大幅位置で、100mm当りの有機繊維コードの総本数に対し、前記引き揃えられた前記有機繊維コードの割合が10〜50%であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記複数本の有機繊維コードのうち、前記引き揃えられた前記有機繊維コードの撚り係数をKとし、前記単独の有機繊維コードの撚り係数をKとするとき、撚り係数比K/Kは1.1〜1.4である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記カーカス層は、継部を有し、前記継部に前記単独の有機繊維コードが配置されている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記カーカス層は、前記有機繊維コードの配列方向と直交する方向における前記緯糸の間隔が、広い部分と狭い部分とがあり、前記狭い部分が点在している請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2〜3本単位で引き揃えられた有機繊維コードをカーカス層の補強コードに用いた空気入りタイヤに関し、特に、カーカス層の数を減らして軽量化しつつ、タイヤサイド部の耐外傷性を確保した空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車用の空気入りタイヤにおいて、低ころがり抵抗を実現するために、タイヤの軽量化が課題となっている。従来よりも太い繊度の有機繊維コードを用い、カーカス層の数を減らすカーカスレスプライ化することで、タイヤとして軽量化を行う試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−164706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のカーカスレスプライ化した場合、タイヤサイド部にて耐外傷性の悪化を招くという問題がある。例えば、特許文献1の空気入りラジアルタイヤでは、タイヤサイド部の剛性を上げるために引き揃えた2本又は3本でカーカスプライコードを等間隔に連続して配置して、カーカスプライ平面内曲げ剛性を上げることもなされている。しかしながら、特許文献1では、軽量化と、タイヤサイド部の耐外傷性を十分に確保することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、軽量化しつつ、タイヤサイド部の耐外傷性を確保した空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、左右一対のビード部間に装架されるカーカス層を有する空気入りタイヤであって、カーカス層は、補強コードとして複数本の配列された有機繊維コードを備え、複数本の有機繊維コードは、緯糸で2〜3本単位に引き揃えられた有機繊維コードと、単独の有機繊維コードとがあり、引き揃えられた有機繊維コードは不連続に配置され、タイヤサイドの最大幅位置で、100mm当りの有機繊維コードの総本数に対し、引き揃えられた有機繊維コードの割合が10〜50%であることを特徴とする空気入りタイヤを提供するものである。
【0007】
この場合、複数本の有機繊維コードのうち、引き揃えられた有機繊維コードの撚り係数をKとし、単独の有機繊維コードの撚り係数をKとするとき、撚り係数比K/Kは1.1〜1.4であることが好ましい。
また、カーカス層は、継部を有し、継部に単独の有機繊維コードが配置されていることが好ましい。
カーカス層は、有機繊維コードの配列方向と直交する方向における緯糸の間隔が、広い部分と狭い部分とがあり、狭い部分が点在していることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気入りタイヤによれば、上記構成により、軽量化しつつ、タイヤサイド部の耐外傷性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の空気入りタイヤの断面形状を示す断面図である。
図2】(a)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第1の例を示す模式的断面図である。
図3】(a)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第2の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第2の例を示す模式的断面図である。
図4】(a)は比較例1のカーカス層の有機繊維コードの配置を示す模式図であり、(b)は比較例1のカーカス層の有機繊維コードの配置を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の空気入りタイヤの断面形状を示す断面図である。
【0011】
図1に示す空気入りタイヤ(以下、単にタイヤという)10は、トレッド部12と、ショルダー部14と、サイドウォール部16と、ビード部18とを主な構成部分として有する。
なお、以下の説明において、図1中に矢印で示すように、タイヤ幅方向とは、タイヤの回転軸(図示せず)と平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、回転軸と直交する方向をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。
更に、タイヤ内側とは、タイヤ径方向において図1中タイヤの下側、すなわちタイヤに所定の内圧を与える空洞領域Rに面するタイヤ内面側をいい、タイヤ外側とは、図1中タイヤの上側、すなわち、タイヤ内周面と反対側の、ユーザが視認できるタイヤ外面側をいう。
【0012】
タイヤ10は、カーカス層20と、ベルト層22と、ベルト補助補強層24と、サイド補強層26と、ビードコア28と、ビードフィラー30と、トレッドゴム層32と、サイドウォールゴム層34と、リムクッションゴム層36と、インナーライナゴム38層とを主に有する。
【0013】
トレッド部12には、タイヤ外側のトレッド面12aを構成する陸部12bと、トレッド面12aに形成されるトレッド溝12cとが設けられ、陸部12bは、トレッド溝12cによって区画される。トレッド溝12cは、タイヤ周方向に連続して形成される主溝とタイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝(図示せず)を有する。トレッド面12aには、トレッド溝12cと陸部12bとによりトレッドパターンが形成される。
【0014】
カーカス層20は、タイヤ幅方向に、トレッド部12に対応する部分から、ショルダー部14及びサイドウォール部16に対応する部分を経てビード部18まで延在してタイヤの骨格をなすものである。
カーカス層20は、後に詳細に説明するが補強コードが配列され、コードコーティングゴムで被覆された構成である。カーカス層20は、後述する左右一対のビードコア28にタイヤ内側からタイヤ外側に折り返され、サイドウォール部16の領域で端部Aを成しており、ビードコア28を境とする本体部20aと折り返し部20bとから構成されている。すなわち、本実施形態においては、カーカス層20が1層、左右一対のビード部18間に装架されている。カーカス層20の数は1層に限定されるものではなく、構造及び用途に応じて複数層あってもよい。本実施形態のタイヤ10においては、カーカス層20は、2層以上では軽量化の効果が少ないため、軽量化の観点から、1層構造(1プライ)であることが好ましい。
【0015】
カーカス層20のコードコーティングゴムとしては、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)から選ばれた1種類又は複数種類のゴムが好ましく用いられる。また、これらのゴムを窒素、酸素、フッ素、塩素、ケイ素、リン、又は硫黄等の元素を含む官能基、例えば、アミン、アミド、ヒドロキシル、エステル、ケトン、シロキシ、若しくはアルキルシリル等により末端変性したもの、又はエポキシにより末端変性したものを用いることができる。
これらゴムに配合するカーボンブラックとしては、例えば、ヨウ素吸着量が20〜100(g/kg)、好ましくは20〜50(g/kg)であり、DBP吸収量が50〜135(cm/100g)、好ましくは50〜100(cm/100g)であり、かつCTAB吸着比表面積が30〜90(m/g)、好ましくは30〜45(m/g)であるものが用いられる。
また、使用する硫黄の量は、例えば、ゴム100質量部に対して1.5〜4.0質量部であり、好ましくは2.0〜3.0質量部である。
なお、カーカス層20については、後に更に詳細に説明する。
【0016】
ベルト層22は、タイヤ周方向に貼り付けられ、カーカス層20を補強するための補強層である。このベルト層22は、トレッド部12に対応する部分に設けられ、内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bを有する。
本実施形態においては、内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、その補強コードが層間で互いに交差するように配置されている。内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、補強コードが、例えば、スチールコードであり、コードコーティングゴムで被覆して構成されている。
内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、補強コードのタイヤ周方向に対するコード角度が、例えば、24〜35°であり、好ましくは27〜33°である。これにより、高速耐久性を向上させることができる。
【0017】
ベルト層22の内側ベルト層22a及び外側ベルト層22bは、いずれも補強コードがスチールコードであることに限定されるものではなく、いずれか一方のみにスチールベルトを適用しても良いし、少なくとも一方を、ポリエステル、ナイロン、芳香族ポリアミド等からなる有機繊維コード等からなる従来公知の補強コードとしても良い。
【0018】
タイヤ10には、ベルト層22の最上層である外側ベルト層22b上に、ベルト層22の補強を行うベルト補助補強層24がタイヤ周方向に配置されている。
このベルト補助補強層24は、補強コードとして、例えば、有機繊維コードが、タイヤ周方向に螺旋状に配置されており、これらの有機繊維コードがコードコーティングゴムで被覆して構成されている。
【0019】
ベルト補助補強層24は、図1に示すように、例えば、ベルト層22の端部βだけを覆うように設けられている。図示例のベルト補助補強層24は、いわゆるエッジカバーと呼ばれるものである。
【0020】
なお、ベルト補助補強層24は、図1に示すものに限定されるものではない。例えば、ベルト層22をタイヤ幅方向に端から端まで覆う構成、いわゆるフルカバーと呼ばれるものでもよい。更には、ベルト補助補強層24は、フルカバーを複数積層した構成でもよく、エッジショルダーと、フルカバーとを組み合わせた構成でもよい。
【0021】
ベルト補助補強層24において、有機繊維コードとして、例えば、ナイロン66(ポリヘキサメチレンアジパミド)繊維、アラミド繊維、アラミド繊維とナイロン66繊維とからなる複合繊維(アラミド/ナイロン66ハイブリッドコード)、PEN繊維、POK(脂肪族ポリケトン)繊維、耐熱PET繊維、及びレーヨン繊維等が用いられる。
【0022】
ビード部18には、カーカス層20を折り返し、タイヤ10をホイールに固定するために機能するビードコア28と、ビードコア28に接するようにビードフィラー30が設けられている。そのため、ビードコア28及びにビードフィラー30は、カーカス層20の本体部20aと折り返し部20bとで挟み込まれている。
また、ビード部18には、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含むサイド補強層26が埋設されている。
【0023】
本実施形態においては、サイド補強層26は、ビード部18では、カーカス層20の本体部20aとビードフィラー30との間に、サイドウォール部16では、カーカス層20の本体部20aと折り返し部20bとの間に配置され、ビードコア28から折り返し部20bの端部Aよりもタイヤ径方向に沿って,ショルダー部14側の端部Bまで延在している。
なお、サイド補強層26の他端部Cは、カーカス層20の本体部20aとビードフィラー6との間の、ビードコア28近傍に存在する。なお、サイド補強層26は、ビード部18では、カーカス層20の折り返し部20bとビードコア28及び/又はビードフィラー30との間に、サイドウォール部16では、本体部20aと折り返し部20bとの間に配置されていても良いし、ビード部18では、折り返し部20bのタイヤ幅方向外側に、サイドウォール部16では、本体部20aの外側に配置されていても良い。更に、これらを組み合わせて配置しても良い。
【0024】
サイド補強層26は、スチールコードからなる補強コードを一定間隔でタイヤ周方向に対して傾斜した方向に向かって配列し、コードコーティングゴムで被覆して構成されている。このサイド補強層26の補強コードは、スチールコード以外にも、例えば、ポリエステル、ナイロンもしくは芳香族ポリアミド等からなる有機繊維コード等が用いられる。
【0025】
サイド補強層26は、タイヤ10のサイド(側面)、すなわち、ビード部18及び/又はサイドウォール部16の補強を行うことができれば、ビード部18及び/又はサイドウォール部16の全部又は一部のみに設けられるものであってもよく、端部の位置も、限定されるものではない。例えば、サイド補強層26の端部をショルダー部14のベルト層22と接する領域まで延在させて、ビード部18及びサイドウォール部16の全部に対して設けられても良いし、ビード部18のみ、又はサイドウォール部16のみに対して設けられても良いし、例えば、ビード部18とサイドウォール部16とに分割する等、複数に分割して設けられていても良い。
更に、サイド補強層26を設ける領域を補強コードの種類に応じて変えても良い。例えば、サイド補強層26の補強コードとして、従来公知のスチールコードを用いる場合には、ビードフィラー30とカーカス層20の折り返し部20bとの間にサイド補強層26を配置するのが好ましく、有機繊維コードを用いる場合には、ビードコア28及びビードフィラー30を包み込むようにサイド補強層26を配置するのが好ましい。
【0026】
タイヤ10は、この他にゴム材として、トレッド部12を構成するトレッドゴム層32と、サイドウォール部16を構成するサイドウォールゴム層34、リムクッションゴム層36、及びタイヤ内周面に設けられるインナーライナゴム層38を有する。
【0027】
次に、カーカス層20について詳細に説明する。図2(a)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第1の例を示す模式的断面図である。
カーカス層20では、図2(a)、(b)に示すように、補強コードとして、複数本の有機繊維コード40が配列方向xに配列されており、緯糸42で有機繊維コード40が一部引き揃えられている。緯糸42は、有機繊維コード40の配列方向xと直交する方向yに等間隔に配置されている。このように有機繊維コード40が緯糸42で編まれて補強コード織物21が構成される。カーカス層20では、補強コード織物21が上述のようにコードコーティングゴムで被覆される。補強コード織物21はすだれ状のものである。
複数本の有機繊維コード40は、緯糸42で2〜3本単位に引き揃えられた有機繊維コード40aと、単独の有機繊維コード40bとに分けられる。例えば、図2(b)では有機繊維コード40aは2本単位で引き揃えられている。引き揃えられた有機繊維コード40aは配列方向xにおいて不連続に配置されており、すなわち、点在しており、配列方向xで連続して配置されていない。
【0028】
有機繊維コード40は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、レーヨン、ナイロン又はポリエステル等で形成されるものである。
有機繊維コード40は総繊度が、例えば、4000〜7000dtexである。
緯糸42の材質は、特に限定されるものではないが、綿とポリエステル未延伸糸等からなる混紡糸等が用いられる。また、緯糸42は、例えば、20番手のものが用いられる。
【0029】
引き揃えられた有機繊維コード40aは、タイヤサイド39(図1参照)の最大幅位置39a(図1参照)で、100mm当りの有機繊維コード40の総本数に対し、引き揃えられた有機繊維コード40aの割合が10〜50%である。すなわち、100mm当り100本の有機繊維コード40があれば、そのうち、10〜50本の有機繊維コード40が引き揃えに利用される。
なお、上述のタイヤサイド39の最大幅位置39a(図1参照)とは、タイヤ幅方向における最大長さを示す位置のことである。図1では、タイヤ幅方向における最大幅は符号Wmで示される。タイヤサイド39の最大幅位置39a以外では、カーカス層20の有機繊維コード40の配置は、上述の構成に限定されるものではなく、有機繊維コード40が等間隔に配置されていてもよい。
【0030】
100mm当りの有機繊維コード40の総本数に対し、引き揃えられた有機繊維コード40aの割合を10〜50%とすることで、耐外傷性を改善し、かつコード間隙増加に伴うタイヤサイド凹凸悪化を抑制することができる。
一方、上述の引き揃えられた有機繊維コード40aの割合が10%未満では耐外傷性効果が低減してしまう。上述の引き揃えられた有機繊維コード40aの割合が50%を超えると有機繊維コード40の間隙が増加し、タイヤサイド凹凸悪化を招く。
【0031】
複数本の有機繊維コード40はいずれも撚られている。有機繊維コード40のうち、引き揃えられた有機繊維コード40aの撚り係数をKとし、単独の有機繊維コード40bの撚り係数をKとするとき、撚り係数比K/Kは1.1〜1.4であることが好ましい。
有機繊維コード40を引き揃えた場合、隣接する有機繊維コード40同士の接着性が確保し難いため、引き揃えた有機繊維コード40aの撚り係数を、引き揃えられていない有機繊維コード40bよりも大きくすることで、有機繊維コード40aの表面積を増大させ、投錨効果によって、コードコーティングゴムによる有機繊維コード40a同士の接着性が増す。この場合、撚り係数比K/Kは1.1〜1.4であると、投錨効果により有機繊維コード40a同士の接着性がより一層向上する。
なお、撚り係数を増大させ過ぎると引き揃え有機繊維コード40aの径が太くなり、有機繊維コード40a間隙が狭くなるため、耐セパレーション性の効果が薄れてしまう。
【0032】
有機繊維コード40aの撚り係数Kは、1800〜3100であることが好ましい。
単独の有機繊維コード40bの撚り係数Kは、1700〜2200であることが好ましい。
【0033】
カーカス層20は、1つのシート材で構成されても、複数のシート材で構成されてもよい。複数のシート材で構成する場合、カーカス層20は継部(スプライス部)を有することになる。この場合、継部に引き揃え有機繊維コード40aが配置されると、カーカス層20において継部の剛性が他の部分に比して高くなりすぎてしまい、タイヤサイド凹凸悪化を招く。このため、継部には引き揃え有機繊維コード40aを配置しないこと、すなわち、単独の有機繊維コード40bを配置することが好ましい。
【0034】
本実施形態においては、本実施形態の引き揃え有機繊維コード40aを設けたカーカス層20を用いることにより、タイヤサイド部の耐外傷性を確保することができる。また、上述の構成のカーカス層20を用いることにより、カーカス層20の数を従来よりも減らして、3層を2層又は1層にしても、2層を1層にしても、タイヤサイド部の耐外傷性を十分に確保できる。これにより、タイヤを軽量化することができる。このように、本実施形態の引き揃え有機繊維コード40aを設けたカーカス層20を用いることにより、タイヤを軽量化しつつ、タイヤサイド部の耐外傷性を確保することができる。
なお、有機繊維コード40は、1本(単糸)でも、複数本を撚ったものでもよい。
【0035】
カーカス層20としては、図2(a)、(b)に示すものに限定されるものではない。
図3(a)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第2の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の空気入りタイヤのカーカス層の有機繊維コードの配置の第2の例を示す模式的断面図である。図3(a)、(b)に示すカーカス層50において、図2(a)、(b)に示すカーカス層20と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0036】
図3(a)、(b)に示すカーカス層50は、図2(a)、(b)に示すカーカス層20に比して、2つの緯糸44、緯糸46を用いる点、有機繊維コード40の配列方向xと直交する方向yにおける緯糸44,46の間隔が、広い部分と狭い部分とがあり、狭い部分が点在している点が異なり、それ以外の構成は図2(a)、(b)に示すカーカス層20と同じ構成であるため、その詳細な説明は省略する。このように有機繊維コード40が2つの緯糸44、緯糸46で編まれて補強コード織物51が構成される。補強コード織物51はすだれ状のものである。
2つの緯糸44、緯糸46は、緯糸42と同じ構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0037】
例えば、20番手の緯糸44、46を、方向yで100mm当り9〜10本打ち込む。
方向yにおける打ち込みの間隔を変えて、図3(a)に示すように、緯糸44、46の広い部分48と狭い部分49とに分ける。狭い部分49は、y方向に連続して設けられることはなく、点在している。また、狭い部分49は100mm当り原則2か所である。
引き揃えられた有機繊維コード40aと、単独の有機繊維コード40bとを2つの緯糸44、46で挟み込むことで、拘束力を高めることができ、動き易い引き揃え有機繊維コード40aを拘束し、補強コード織物51全体として形状安定性を確保することができる。
なお、広い部分48と狭い部分49とは、広い部分48の方向yにおける緯糸の間隔をdとし、狭い部分49の方向yにおける緯糸の間隔をdとするとき、d:d=1:0.1である。
【0038】
本実施形態においては、本実施形態の引き揃え有機繊維コード40aを設け、更に緯糸44、46を用いて広い部分48と狭い部分49を構成した補強コード織物51をカーカス層50に用いることにより、タイヤサイド部の耐外傷性をより十分に確保することができる。また、上述の構成のカーカス層50を用いることにより、カーカス層50の数を従来よりも減らして、3層を2層又は1層にしても、2層を1層にしても、タイヤサイド部の耐外傷性をより十分に確保できる。これにより、タイヤを軽量化することができる。このように、本実施形態の引き揃え有機繊維コード40aを設けたカーカス層50に用いることにより、タイヤを軽量化しつつ、タイヤサイド部の耐外傷性をより十分に確保することができる。
【0039】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の空気入りタイヤの実施例について、具体的に説明する。
本実施例においては、下記表1、2に示す構成のカーカス層を有する実施例1〜実施例6並びに比較例1〜比較例4及び基準例の空気入りタイヤ(以下、単にタイヤという)を作製し、各タイヤについて、タイヤ質量を測定し、タイヤの耐外傷性(タイヤサイド部の耐外傷性)、サイド凸凹及びタイヤの耐久性能を評価した。タイヤ質量、タイヤの耐外傷性、サイド凸凹及びタイヤの耐久性能の結果を下記表1、2に示す。なお、各タイヤのタイヤサイズは205/65R15である。
実施例1〜実施例5のカーカス層は、引き揃え単位の数が異なるものもあるが図2(a)、(b)に示す構成である。実施例6のカーカス層は、図3(a)、(b)に示す構成である。比較例1のカーカス層は、図4(a)、(b)に示すように1つの有機繊維コード100の間を縫うように緯糸102が配置されたものである。
【0041】
下記表1、2の「コード材質」の欄には、カーカス層の有機繊維コードの素材を示す。
下記表1、2の「コード構造」の欄において、「1100dtex/2」は、繊度が1100dtexのPET糸を2本撚ったものであることを示す。「2200dtex/2」は、繊度が2200dtexのPET糸を2本撚ったものであることを示す。
下記表1、2の「緯糸の打込み法」の欄において「通常」とは、図2(a)、図4(a)に示す緯糸の配置方法であり、「変更」とは、図3(a)に示す緯糸の配置方法である。下記表1、2において「−」はないことを示す。緯糸には20番手の綿糸を用いた。
【0042】
タイヤの質量は、実施例1〜実施例6並びに比較例1〜比較例4及び基準例のタイヤをはかりで測定した。タイヤの質量は基準例のタイヤの質量を100として指数表示した。
なお、下記表1、2に示す「タイヤ質量指数」の欄の数値は、数値が小さい方が軽いことを示す。
【0043】
タイヤの耐外傷性は、以下のようにして測定して、評価した。
実施例1〜実施例6並びに比較例1〜比較例4及び基準例の各タイヤを標準リムに組み付けて車両に装着し、空気圧200kPaとして、速度10km/hにて高さ15cmの縁石に30°の角度で乗り上げ、これを5回繰り返した。そして、実施例1〜実施例6並びに比較例1〜比較例4及び基準例の各タイヤについて、サイドウォール部で損傷を受けたカーカス層の有機繊維コードの本数を数えた。損傷を受けたカーカス層の有機繊維コードの本数を、基準例を100とする指数にて示した。
なお、下記表1、2に示す「耐外傷性」の欄の数値は、数値が大きい程、タイヤの耐外傷性が優れていることを意味する。
【0044】
サイド凸凹は、以下のようにして測定して、評価した。
サイド凸凹については、実施例1〜実施例6並びに比較例1〜比較例4及び基準例の各タイヤを標準リムに組み付け、温度25℃の室内で内圧2.0kg/cmに調整し、24時間放置した後、表面粗さ計を用いてサイドウォール部の径方向最大幅位置でタイヤ周方向全周にわたり表面の凹凸を測定した。凹凸のない基準例を100とする指数値で評価した。なお、サイドウォール部の径方向最大幅位置での表面に膨らみがあり、平坦部に対し、差異が生じた場合は、その膨らみの高さを測定した。
なお、下記表1、2に示す「サイド凸凹」の欄の数値は、数値が小さい程、サイドウォール部の径方向最大幅位置での表面に凹凸がないことを意味する。
【0045】
タイヤの耐久性能は、以下のようにして測定して、評価した。
タイヤの耐久性能には、JIS D4230耐久性能試験に準拠し、ドラム表面が平滑な鋼製でかつ直径1707mmのドラム試験機を用いた。
実施例1〜実施例6並びに比較例1〜比較例4及び基準例の各タイヤを、リムサイズが18×9JJのリムに組み込み、試験内圧230kPaでインフレートさせた。その後、各タイヤについて、周辺温度を38±3℃に制御し、走行速度を81km/h、負荷荷重をJATMA規定の最大荷重85%から4時間毎に15%ずつ荷重を増加させながらタイヤが破壊する迄走行した(最終荷重は280%として故障まで走行)。走行後のタイヤサイド部のカーカスセパレーション長さを、基準例を100とする指数値で評価した。
なお、下記表1、2に示す「耐久性能」の欄の数値は、数値が大きい程、耐カーカスセパレーション性が優れ、タイヤの耐久性能が優れていることを示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
上記表1に示すように、実施例1、2は、引き揃えた2本の有機繊維コードが、タイヤ最大幅位置で、コード総本数の10%〜50%の範囲となるようにしている。これにより、コード間隙が開き過ぎず、サイド凸凹を悪化させることなく、タイヤの耐外傷性を改善することができた。
実施例3では、3本引き揃えた有機繊維コードが、タイヤ最大幅位置でコード総本数の10%〜50%の範囲となるようにしている。これにより、コード間隙が開き過ぎず、サイド凸凹を悪化させることなく、タイヤの耐外傷性を改善することができた。
【0049】
実施例4では、撚り係数比を実施例1よりも高くしたことで、投錨効果により引き揃えた有機繊維コード間の接着性を上げ、耐セパレーションレーション性、すなわち、タイヤの耐久性が改善した。
実施例5では、撚り係数比が好ましい範囲を超えており、コード径が太くなってコード間隙が狭くなった。実施例5は耐セパレーション性が実施例1よりは高いが実施例4よりは低く、耐セパレーション性の改善効果が低減した。
実施例6では、緯糸打ち込み方法を変更し、引き揃えコードの拘束力を高めた。これにより、補強コード織物全体としての形態安定性を改善でき、サイド凸凹悪化を抑制することができた。
【0050】
一方、比較例1は、基準例に対してカーカスプライ数を2から1にしており、タイヤ質量は低減したものの、タイヤの耐外傷性が悪化した。
比較例2は、引き揃えた3本の有機繊維コードを等間隔に連続して配置しており、引き揃え部の耐外傷性はやや改善されるものの、有機繊維コードの間隙が大きくなるため、その箇所での耐外傷性は悪化し、全体として大幅な改善とは言い難い。また、サイド凸凹悪化も招いた。
比較例3では、2本引き揃えた有機繊維コードを50%を超えて配置しているため、コード間隔が広くなりサイド凸凹が悪化した。比較例4では、3本引き揃えた有機繊維コードを50%を超えて配置しているため、コード間隔が広くなりサイド凸凹が悪化した。
【符号の説明】
【0051】
10 空気入りタイヤ(タイヤ)
12 トレッド部
14 ショルダー部
16 サイドウォール部
18 ビード部
20、50 カーカス層
22 ベルト層
22a 内側ベルト層
22b 外側ベルト層
24 ベルト補助補強層
26 サイド補強層
28 ビードコア
30 ビードフィラー
32 トレッドゴム層
34 サイドウォールゴム層
36 リムクッションゴム層
38 インナーライナゴム層
40、40a、40b 有機繊維コード
42、44、46 緯糸
48 広い部分
49 狭い部分
図1
図2
図3
図4