特開2016-222003(P2016-222003A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-222003ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222003(P2016-222003A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/26 20071001AFI20161205BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20161205BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20161205BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20161205BHJP
   H02K 9/28 20060101ALI20161205BHJP
   H02K 13/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B60K6/26
   B60K6/48ZHV
   B60K6/20 380
   H02K9/28 Z
   H02K13/00 K
   H02K13/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-107576(P2015-107576)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘文
【テーマコード(参考)】
3D202
5H609
5H613
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB43
3D202BB58
3D202DD22
3D202DD29
3D202EE00
3D202EE02
3D202FF13
5H609BB03
5H609BB12
5H609PP14
5H609QQ04
5H609QQ13
5H609RR37
5H609SS17
5H609SS19
5H609SS21
5H609SS23
5H613AA05
5H613BB05
5H613BB15
5H613GA12
5H613PP08
5H613SS13
5H613SS14
(57)【要約】
【課題】ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却性能を向上させること。
【解決手段】ハイブリッド車両はエンジン冷却水回路29及び冷却流体回路33を備えている。エンジン冷却水回路29には第1冷却配管37が連通されており、第1冷却配管37にはエンジン冷却水が流通可能である。冷却流体回路33には第2冷却配管39が連通されており、第2冷却配管39にはATFが流通可能である。第1冷却配管37及び第2冷却配管39は、スリップリング装置20と連通されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
回転電機と、を有し、
前記回転電機は、該回転電機の回転軸に取り付けられ、前記回転電機に対して電力供給するスリップリング装置を有し、
前記スリップリング装置が、前記回転軸の外周に取り付けられた導電性のスリップリングと、
前記スリップリングに対して摺接する導電性のブラシと、
前記ブラシを保持したブラシホルダと、を有するハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置であって、
前記エンジンを冷却するエンジン冷却水が流通するエンジン冷却水回路と、
前記回転電機を冷却する冷却流体が流通する冷却流体回路と、
前記ブラシホルダと熱交換するように前記ブラシホルダに設けられ、かつ前記エンジン冷却水回路に連通して前記エンジン冷却水が流通する第1冷却配管と、
前記ブラシホルダと熱交換するように前記ブラシホルダに設けられ、かつ前記冷却流体回路に連通して前記冷却流体が流通する第2冷却配管と、を有することを特徴とするハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置。
【請求項2】
前記ブラシホルダは、環状プレート形状を有するとともに、
前記ブラシを載置した第1面と、
前記第1面の軸方向反対側の第2面と、を有し、
前記第1冷却配管及び前記第2冷却配管は前記第2面に配置されている請求項1に記載のハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置。
【請求項3】
前記第1冷却配管と前記第2冷却配管とは互いに熱交換可能な当接部を有し、
前記当接部における前記エンジン冷却水の流通方向と前記冷却流体の流通方向とが相反している請求項1又は2に記載のハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置。
【請求項4】
前記エンジン冷却水の温度を検出する第1検出部と、
前記冷却流体の温度を検出する第2検出部と、
前記ブラシの温度を検出するブラシ温度検出部と、
前記ブラシ温度検出部の検出温度と、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出温度と、を比較して、前記エンジン冷却水及び前記冷却流体の両流体のうち、前記ブラシ温度検出部の検出温度よりも低温の流体を流通させ、前記ブラシ温度検出部の検出温度よりも高温の流体の流通を停止する切替部と、有する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハイブリッド車両は、機械的動力を発生させるエンジンと、ハイブリッド車両の駆動を補助する回転電機とを備えている。
回転電機は、ブラシ付き回転電機と、ブラシを使用しないブラシレス回転電機と、がある。
【0003】
ブラシ付き回転電機は、スリップリング装置を備え、このスリップリング装置は、回転軸に取り付けられ巻線ロータのコイルと電気的に接続されたスリップリングと、スリップリングに押し付けられてスリップリングに機械的に接触するブラシとを備えている。
【0004】
スリップリングやブラシは、スリップリング及びブラシを介してコイルに電流が流れることで発熱する。また、回転軸の回転時にスリップリングがブラシに対して摺接することで生じる摩擦熱によってもスリップリングやブラシは発熱する。ブラシの温度が高くなると摩耗量が増加するため、ブラシの耐久性向上のためにはブラシ及びスリップリングの冷却を行うことが望ましい。
【0005】
例えば特許文献1では、スリップリングとロータ巻線との電気的接続を行うためのブスバーに送風用羽根を設け、回転軸の回転時に送風用羽根の回転で発生した冷却風によりスリップリング及びブラシを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−205815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載されたブラシ及びスリップリングの冷却方法を採用したとしても、ハイブリッド車両において回転電機が高負荷の状態で使用される場合等にはブラシ及びスリップリングの温度が上昇してしまう虞があり、ブラシ及びスリップリングのさらなる冷却性能の向上が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却性能を向上させることができるスリップリング装置の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置は、エンジンと、回転電機と、を有し、前記回転電機は、該回転電機の回転軸に取り付けられ、前記回転電機に対して電力供給するスリップリング装置を有し、前記スリップリング装置が、前記回転軸の外周に取り付けられた導電性のスリップリングと、前記スリップリングに対して摺接する導電性のブラシと、前記ブラシを保持したブラシホルダと、を有するハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置であって、前記エンジンを冷却するエンジン冷却水が流通するエンジン冷却水回路と、前記回転電機を冷却する冷却流体が流通する冷却流体回路と、前記ブラシホルダと熱交換するように前記ブラシホルダに設けられ、かつ前記エンジン冷却水回路に連通して前記エンジン冷却水が流通する第1冷却配管と、前記ブラシホルダと熱交換するように前記ブラシホルダに設けられ、かつ前記冷却流体回路に連通して前記冷却流体が流通する第2冷却配管と、を有することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、ブラシホルダとの熱交換にはエンジン冷却水と冷却流体という2種類の冷媒を使用可能である。2種類の冷媒のうち少なくともエンジン冷却水は液体であり、空気より密度が大きい。このため、冷媒として空気を用いる場合と比べてスリップリング装置の冷却性能が向上する。
【0011】
さらにハイブリッド車両で既に使用されているエンジン冷却水や冷却流体を用いてブラシホルダ、ひいてはスリップリング装置の冷却性能を向上させている。よってハイブリッド車両に適した冷却装置の提供が可能となる。
【0012】
ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置について、前記ブラシホルダは、環状プレート形状を有するとともに、前記ブラシを配置した第1面と、前記第1面の軸方向反対側の第2面と、を有し、前記第1冷却配管及び前記第2冷却配管は前記第2面に配置されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、第1冷却配管と第2冷却配管とを第2面に配置することにより、ブラシが配置されているために冷却配管の配置空間に余裕の無い第1面と比較して第1冷却配管及び第2冷却配管の配置が容易となる。
【0014】
ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置について、前記第1冷却配管と前記第2冷却配管とは互いに熱交換可能な当接部を有し、前記当接部における前記エンジン冷却水の流通方向と前記冷却流体の流通方向とが相反していてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、当接部において、流通方向が相反するエンジン冷却水と冷却流体とが熱交換することにより、エンジン冷却水と冷却流体との温度差を小さくすることができ、スリップリング装置全体を均等に冷却することができる。
【0016】
ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置について、前記エンジン冷却水の温度を検出する第1検出部と、前記冷却流体の温度を検出する第2検出部と、前記ブラシの温度を検出するブラシ温度検出部と、前記ブラシ温度検出部の検出温度と、前記第1検出部及び前記第2検出部の検出温度と、を比較して、前記エンジン冷却水及び前記冷却流体の両流体のうち、前記ブラシ温度検出部の検出温度よりも低温の流体を流通させ、前記ブラシ温度検出部の検出温度よりも高温の流体の流通を停止する切替部と、を有していてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、ブラシ温度より温度の高い流体を冷却配管に流通させないため、ブラシホルダが加温されることを抑制できる。よって、ブラシ温度より温度の低い流体を選択して流通させることができ、ブラシの冷却性能が向上する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態における回転電機を備えるハイブリッド車両を示す概念図。
図2】スリップリング装置の冷却装置を示す概念図。
図3】スリップリング装置の断面図。
図4】スリップリング装置を示す図3の4−4線断面図。
図5】ブラシホルダの斜視図。
図6】第1冷却配管及び第2冷却配管の断面図。
図7】エンジン冷却水及び冷却流体の流通処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、ハイブリッド車両におけるスリップリング装置の冷却装置を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ハイブリッド車両10は、燃料を内部で燃焼させて機械的動力を発生させるエンジン11と、三相交流電流によって動作する回転電機12とを動力源として備えている。
【0021】
また、ハイブリッド車両10は、バッテリ13と、電力変換ユニット14と、を備えている。
バッテリ13は、直流電流を放充電可能であり、電力変換ユニット14を介して回転電機12との間で電力の授受を行う。
【0022】
電力変換ユニット14はバッテリ13から出力される直流電力を三相交流電力に変換して回転電機12に出力し、さらに、回転電機12から三相交流電力が回生される場合は、それを直流電力に変換してバッテリ13に出力する。
【0023】
回転電機12は、回転軸19に連結された図示しない巻線ロータを有し、巻線ロータは回転電機12のハウジング内に収容されている。回転電機12は、アーム16及びディファレンシャル17を介して車軸18と機械的に連結されている。回転電機12の回転軸19には、回転電機12に対して電力供給するスリップリング装置20が取り付けられている。詳細には、スリップリング装置20は、回転電機12の巻線ロータのコイルに対して電力供給する。
【0024】
図3に示すように、スリップリング装置20は、金属又は樹脂で成形された筒状のケース21に収容されている。スリップリング装置20は、巻線ロータと一体的に回転する導電性のスリップリング22を各相に1つずつ有し、これらスリップリング22は回転軸19の外周に取り付けられている。3つのスリップリング22は、回転軸19の軸方向に沿って等間隔おきに配置されている。また、スリップリング装置20は、略円環状の金属からなるブラシホルダ23を各相に1つずつ有し、これら3つのブラシホルダ23は回転軸19の軸方向に沿って互いに間隔をおいてケース21内に収容されている。各ブラシホルダ23には、ブラシホルダ23と同じ金属からなる四角筒状のブラシケース24が3つ設けられ、それら3つのブラシケース24は、ブラシホルダ23の周方向に等間隔おきに設けられている。各ブラシケース24には導電性のブラシ25が1つずつ収納されている。そして、各相のブラシ25は、同じ相に対応するスリップリング22に対して摺接する。
【0025】
回転電機12の近傍には図示しない電動ファンが配置されており、電動ファンによりスリップリング装置20及び回転電機12へ送風される。
図1に示すように、電力変換ユニット14は、巻線ロータに電気的に接続されている。
【0026】
ハイブリッド車両10にはクラッチ27が備えられており、クラッチ27はエンジン11と回転電機12とを断接可能とする。
さらに、ハイブリッド車両10は、制御ECU28を備えている。制御ECU28はハイブリッド車両10の駆動を制御する。また制御ECU28は、スリップリング装置20に三相交流電流が流れることによる発熱、及び回転軸19の回転時におけるスリップリング22とブラシ25との摩擦熱に対するスリップリング装置20の冷却も制御する。
【0027】
図2に示すように、ハイブリッド車両10は、エンジン冷却水回路29を備える。エンジン冷却水回路29は、ポンプ30を備える。ポンプ30によりエンジン冷却水回路29内のLLC等のエンジン冷却水は第1の循環方向X1に循環する。
【0028】
このエンジン冷却水回路29では、エンジン冷却水がエンジン11を冷却し、ポンプ30によりエンジン冷却水を循環させている。エンジン冷却水回路29は、第1の循環方向X1に循環するエンジン冷却水のうち、エンジン11を通過した後のエンジン冷却水の温度を検出する第1検出部31を備えている。第1検出部31は、例えば温度センサによって構成され、制御ECU28と信号接続されている。また、エンジン冷却水回路29は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ32を第1の循環方向X1に関してエンジン11の上流に備える。
【0029】
さらに、ハイブリッド車両10は、冷却流体回路33を備える。冷却流体回路33は、ポンプ34を備える。ポンプ34により冷却流体回路33内の冷却流体としてのATFは第2の循環方向X2に循環する。冷却流体回路33では、第2の循環方向X2に循環するATFが回転電機12を冷却し、回転電機12を冷却した後のATFをオイルクーラ35により冷却している。冷却流体回路33は、オイルクーラ35で冷却された後のATFの温度を検出する第2検出部36を備えている。第2検出部36は、例えば温度センサによって構成され、制御ECU28と信号接続されている。
【0030】
次に、スリップリング装置20の冷却装置について詳細に説明する。
エンジン冷却水回路29には、金属製の第1冷却配管37が連通されている。第1冷却配管37の一端は、エンジン冷却水回路29での第1の循環方向X1に関して第1検出部31の下流側で、かつラジエータ32の上流側に接続されている。第1冷却配管37の他端は、エンジン冷却水回路29での第1の循環方向X1に関して、第1冷却配管37の一端が接続された位置より下流側で、かつラジエータ32の上流側に接続されている。エンジン冷却水の第1冷却配管37への流通は、切替部としての第1切替弁38により行われる。第1切替弁38は、第1冷却配管37の一端が接続された位置に配置されている。
【0031】
冷却流体回路33には、金属製の第2冷却配管39が連通されている。第2冷却配管39の一端は、冷却流体回路33での第2の循環方向X2に関して第2検出部36の下流側で、かつポンプ34より上流側に接続されている。第2冷却配管39の他端は、冷却流体回路33での第2の循環方向X2に関して、第2冷却配管39の一端が接続された位置より下流側で、かつポンプ34の上流側に接続されている。ATFの第2冷却配管39への流通は、切替部としての第2切替弁40により行われる。第2切替弁40は、第2冷却配管39の一端が接続された位置に配置されている。
【0032】
図3に示すように、第1冷却配管37において、第1切替弁38より下流側は各相のブラシホルダ23に向けて分岐している。また、第1冷却配管37において、各相のブラシホルダ23より下流側では分岐していた第1冷却配管37が合流している。
【0033】
同じく第2冷却配管39において、第2切替弁40より下流側は各相のブラシホルダ23に向けて分岐している。また、第2冷却配管39において、各相のブラシホルダ23よりの下流側では分岐していた第2冷却配管39が合流している。
【0034】
上記構成の第1冷却配管37及び第2冷却配管39は、スリップリング装置20における各ブラシホルダ23に連結されている。
次に、第1冷却配管37及び第2冷却配管39が連結されたブラシホルダ23について詳細に説明する。
【0035】
図5に示すように、ブラシホルダ23は略円環状プレート形状である。ブラシホルダ23の周縁の一部には、ブラシホルダ23と同一の金属からなるバスバー42の一端が接続され、このバスバー42の他端は電力変換ユニット14に接続されている。したがって、バスバー42はブラシホルダ23から電力変換ユニット14までの導線としての機能を持つ。
【0036】
各ブラシホルダ23は3つのブラシケース24及び3つのブラシ25が載置される第1面43と、回転軸19の軸方向に沿った第1面43の反対側に第2面44を有している。そして、各ブラシホルダ23の第2面44には、上述の第1冷却配管37及び第2冷却配管39が溶接により環状に配置されている。
【0037】
図6に示すように、第1冷却配管37は、その短手方向に沿い、かつエンジン冷却水の流通方向に直交する方向への断面形状がコ型状である。第1冷却配管37は、短手方向の両端側に位置し、かつ、ブラシホルダ23の第2面44に対峙した部位に接触部37aを備える。さらに、第1冷却配管37は、接触部37aよりも流路側に凹む収容凹部37bを備えるとともに、収容凹部37bを区画した壁部に第1伝熱部37cを備える。
【0038】
第1冷却配管37の収容凹部37bとブラシホルダ23の第2面44とで囲まれた空間には、第2冷却配管39が配置されている。第2冷却配管39は、その短手方向に沿い、かつATFの流通方向に直交する方向への断面形状が四角形状である。第2冷却配管39は、第2冷却配管39の流路を囲む四つの壁部のうち、ブラシホルダ23の第2面44に対峙した部位に接触部39aを備える。また、第2冷却配管39は、第2冷却配管39の流路を囲む四つの壁部のうち、第1冷却配管37の収容凹部37bに対峙した三つの壁部に第2伝熱部39bを備える。第1冷却配管37の第1伝熱部37cと第2冷却配管39の第2伝熱部39bとは熱的に接合され、互いに熱交換可能である。したがって、本実施形態では、第1伝熱部37c及び第2伝熱部39bが当接部を構成している。
【0039】
図4に示すように、第1冷却配管37及び第2冷却配管39の一部はブラシホルダ23の第2面44に環状に配置されている。第1冷却配管37の環状部分の一部には第1流入部37dが連通し、第1流入部37dは、第1冷却配管37の一端側としてエンジン冷却水回路29に接続されている。第1冷却配管37の環状部分の径方向において第1流入部37dと対向した一部には第1流出部37fが連通している。この第1流出部37fは、第1冷却配管37の他端側としてエンジン冷却水回路29に接続されている。そして、エンジン冷却水回路29から分岐して第1流入部37dに流入したエンジン冷却水は、第1流入部37dから2方向に分流して第1冷却配管37の環状部分を流れた後、合流して第1流出部37fに流れ込み、他の相の第1流出部37fから流出するエンジン冷却水と合流して、エンジン冷却水回路29に戻る。
【0040】
同様に、第2冷却配管39の環状部分の一部には第2流入部39dが連通し、第2流入部39dは、第2冷却配管39の一端側として冷却流体回路33に接続されている。第2冷却配管39の環状部分の径方向において第2流入部39dと対向した一部には第2流出部39fが連通している。この第2流出部39fは、第2冷却配管39の他端側として冷却流体回路33に接続されている。そして、冷却流体回路33から分岐して第2流入部39dに流入したATFは、第2流入部39dから2方向に分流して第2冷却配管39の環状部分を流れた後、合流して第2流出部39fに流れ込み、他の相の第2流出部39fから流出するATFと合流して、冷却流体回路33に戻る。
【0041】
ブラシホルダ23の第2面44上において、第1冷却配管37でのエンジン冷却水の流入側となる第1流入部37d側には、第2冷却配管39でのATFの流出側となる第2流出部39f側が配置されている。また、ブラシホルダ23の第2面44上において、第1冷却配管37でのエンジン冷却水の流出側となる第1流出部37f側には、第2冷却配管39でのATFの流入側となる第2流入部39d側が配置されている。ブラシホルダ23と当接している第1冷却配管37でのエンジン冷却水の流通方向と、ブラシホルダ23と当接している第2冷却配管39でのATFの流通方向とは相反している。
【0042】
第1冷却配管37内のエンジン冷却水は、第1冷却配管37の第1伝熱部37c及び接触部37aと接触して流通する。同じく第2冷却配管39内のATFは、第2伝熱部39b及び接触部39aと接触して流通する。よって、エンジン冷却水とATFとは、第1伝熱部37cと第2伝熱部39bとを介して熱交換可能であり、第1冷却配管37の第1伝熱部37cにおけるエンジン冷却水の流通方向と、第2冷却配管39の第2伝熱部39bにおけるATFの流通方向とは相反している。
【0043】
図3に示すように、第1冷却配管37のうち、第1流入部37d及び第1流出部37fは、ケース21に設けられた挿通孔を通じてケース21外に引き出され、エンジン冷却水回路29と接続されている。同様に、第2冷却配管39のうち、第2流入部39d及び第2流出部39fは、ケース21に設けられた挿通孔を通じてケース21外に引き出され、冷却流体回路33と接続されている。
【0044】
図2に示すように、スリップリング装置20にはブラシ温度を検出するブラシ温度検出部41が設けられている。ブラシ温度の検出方法は、例えばブラシ内に温度センサを埋め込むことによる検出や、ブラシホルダ23に温度センサを配置して温度の勾配によりブラシ温度を推定する方法がある。ブラシ温度検出部41は制御ECU28と信号接続されている。
【0045】
制御ECU28は、第1切替弁38及び第2切替弁40を制御して、ブラシホルダ23の第1冷却配管37及び第2冷却配管39へのエンジン冷却水及びATFの流通を制御する。制御ECU28は、ブラシ温度検出部41によって検出されたブラシ温度と、第1検出部31によって検出されたエンジン冷却水の温度、及び第2検出部36で検出されたATFの温度とを比較する。そして、制御ECU28によって第1切替弁38及び第2切替弁40を制御することにより、ブラシ温度よりも低温の流体をブラシホルダ23に流通させるとともに、ブラシ温度より高温の流体のブラシホルダ23への流通を停止させる。
【0046】
次に、本実施形態の作用を図7に示す流体の流通処理と共に説明する。
まず、エンジン冷却水回路29に備えられた第1検出部31により、エンジン11冷却後のエンジン冷却水の温度が検出される。また、冷却流体回路33に備えられた第2検出部36により、オイルクーラ35通過後のATFの温度が検出される。さらに、スリップリング装置20に設けられるブラシ温度検出部41によりブラシ温度が検出される。
【0047】
制御ECU28は、エンジン冷却水及びATFの温度とブラシ温度との比較を行い、比較結果に基づいて第1冷却配管37へのエンジン冷却水の流通及び第2冷却配管への冷却流体の流通を行うか否かの判定を行う。ステップS1では、制御ECU28は、エンジン冷却水の温度及びATFの温度がブラシ温度より低いか否かを判定する。なお、図7では、エンジン冷却水をLLCとして表記している。
【0048】
ステップS1でYESの場合、すなわち、エンジン冷却水の温度及びATFの温度が共にブラシ温度より低い場合、ステップS2に移行する。ステップS2では、制御ECU28は、第1切替弁38及び第2切替弁40を開弁させる。その結果、エンジン冷却水及びATFが第1冷却配管37及び第2冷却配管39へ流通する。
【0049】
ステップS1でNOの場合、ステップS3に移行する。ステップS3では、制御ECU28は、エンジン冷却水の温度及びATFの温度が共にブラシ温度より高いか否かを判定する。
【0050】
そして、ステップS3でYESの場合、すなわち、エンジン冷却水の温度及びATFの温度が共にブラシ温度より高い場合、ステップS4に移行する。ステップS4では、制御ECU28は、第1切替弁38及び第2切替弁40を共に閉弁させる。その結果、エンジン冷却水及びATFの第1冷却配管37及び第2冷却配管39への流通が停止される。
【0051】
一方、ステップS3でNOの場合、すなわち、エンジン冷却水の温度及びATFの温度が共にブラシ温度より高くない場合、ステップS5に移行する。ステップS5では、エンジン冷却水の温度がブラシ温度より低いか否かが判定される。
【0052】
そして、ステップS5でYESの場合、すなわち、エンジン冷却水の温度がブラシ温度より低い場合、ステップS6に移行する。ステップS6では、制御ECU28は、第1切替弁38を開弁させる。ここで、エンジン冷却水の温度がブラシ温度より低いということは、ステップS3での判定から、ATFの温度がブラシ温度より高いことになるため、ステップS6では、第2切替弁40を閉弁させる。その結果、第1冷却配管37にエンジン冷却水が流通し、かつ第2冷却配管39へのATFの流通が停止される。
【0053】
一方、ステップS5でNOの場合、すなわち、エンジン冷却水の温度がブラシ温度より高い場合、ステップS7に移行する。ステップS7では、制御ECU28は、第1切替弁38を閉弁させる。ここで、エンジン冷却水の温度がブラシ温度より高いということは、ステップS3での判定から、ATFの温度がブラシ温度より低いことになるため、ステップS7では、第2切替弁40を開弁させる。その結果、第1冷却配管37へのエンジン冷却水の流通が停止され、かつ第2冷却配管39にATFが流通する。
【0054】
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ハイブリッド車両10におけるスリップリング装置20の冷却装置において、ブラシホルダ23には、エンジン冷却水が流通する第1冷却配管37が熱交換可能に設けられている。さらに、ブラシホルダ23には、ATFが流通する第2冷却配管39が熱交換可能に設けられている。
【0055】
これにより、ブラシホルダ23はエンジン冷却水とATFという2種類の液体を使用した冷却が可能である。エンジン冷却水及びATFは、共に空気より密度が大きいため、空冷よりもスリップリング装置20の冷却性能が向上される。
【0056】
(2)第1冷却配管37内を流通し、ブラシホルダ23を冷却する流体にエンジン冷却水を使用している。さらに、第2冷却配管39内を流通し、ブラシホルダ23を冷却する流体にATFを使用している。
【0057】
このため、ハイブリッド車両10が有している、エンジン冷却水及びATFを用いてスリップリング装置20の冷却性能を向上させていることから、スリップリング装置20の冷却のために別途冷却流体を用いる必要がなく、ハイブリッド車両10に好適な冷却装置が提供される。
【0058】
(3)ブラシホルダ23は、ブラシ25を載置した第1面43と、第1面43の軸方向反対側の第2面44を有し、第2面44に、第1冷却配管37及び第2冷却配管39が配置されている。
【0059】
このため、ブラシ25が載置されて冷却配管の配置空間に余裕の無い第1面43と比較して、ブラシホルダ23への第1冷却配管37及び第2冷却配管39の配置が容易となる。
【0060】
(4)第1冷却配管37と第2冷却配管39とは互いに熱交換可能な当接部としての第1伝熱部37c及び第2伝熱部39bを有している。さらに、第1伝熱部37c及び第2伝熱部39bにおけるエンジン冷却水の流通方向とATFの流通方向とは相反している。
【0061】
このため、熱交換可能な第1伝熱部37c及び第2伝熱部39bにより第1冷却配管37内のエンジン冷却水と第2冷却配管39内のATFとが熱交換するため、エンジン冷却水とATFとの温度差が緩和される(小さくなる)。その結果として、ブラシホルダ23の周方向にエンジン冷却水及びATFが流れることにより、ブラシホルダ23の周方向に配置された複数のブラシ25の冷却が均等に行われ、スリップリング装置20全体を均等に冷却することができる。
【0062】
さらに、第1冷却配管37の第1流入部37d側には第2冷却配管39の第2流出部39f側が配置されているため、第2冷却配管39を流通して温度上昇したATFと、温度上昇する前のエンジン冷却水との温度差を利用することによりブラシホルダ23の均熱化が可能となる。
【0063】
(5)エンジン冷却水回路29には、エンジン冷却水の温度を検出する第1検出部31が設けられている。また、冷却流体回路33には、ATFの温度を検出する第2検出部36が設けられている。また、スリップリング装置20には、ブラシ25の温度を検出するブラシ温度検出部41が設けられている。
【0064】
さらに、第1冷却配管37とエンジン冷却水回路29との連通部、すなわち第1冷却配管37の一端がエンジン冷却水回路29に接続された位置には第1切替弁38が設けられ、第2冷却配管39と冷却流体回路33との連通部、すなわち第2冷却配管39の一端が冷却流体回路33に接続された位置にも第2切替弁40が設けられている。
【0065】
そして、制御ECU28は、ブラシ温度検出部41の検出温度と、第1検出部31及び第2検出部36の検出温度とを比較して、エンジン冷却水及びATFのうち、ブラシ温度検出部41の検出温度よりも低温の流体をブラシホルダ23に流通させ、高温の流体の流通を停止するように第1切替弁38及び第2切替弁40を制御する。
【0066】
このため、ブラシ温度より温度の高い流体をブラシホルダ23で流通させないため、ブラシホルダ23が加温されることを抑制できる。さらに、ブラシ温度より温度の低い流体を選択して流通させることができるのでブラシ25の冷却性能が向上する。
【0067】
(6)回転電機12の近傍には電動ファンが配置されており、電動ファンによりスリップリング装置20及び回転電機12へ送風される。
これにより、ブラシホルダ23でのエンジン冷却水及びATFの流通が停止されていても、電動ファンによる送風によって、ブラシホルダ23の冷却が維持できる。
【0068】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○第1冷却配管37及び第2冷却配管39は一部金属で構成されていなくてもよい。この場合、第1冷却配管37及び第2冷却配管39は、ブラシホルダ23に溶接されている箇所のみ金属で構成され、それ以外は樹脂からなる構成としてもよい。
【0069】
○第1冷却配管37及び第2冷却配管39は第1面43に配置されていてもよく、この場合、第1冷却配管37及び第2冷却配管39は、ブラシケース24に接するように配置されていてもよい。
【0070】
○第1冷却配管37の断面形状は実施形態のコ型状でなく、適宜変更してもよい。この場合、例えば、第1冷却配管37の断面形状は長方形状、正方形状、円形状等でもよく、第1冷却配管37の流路内に第2冷却配管39が配置されていてもよい。
【0071】
○第2冷却配管39は第1冷却配管37の内側に配置されていなくてもよい。この場合、第2冷却配管39は第1冷却配管37の外側で、かつ内周側又は外周側に配置されていてもよい。
【0072】
○第2冷却配管39の流路内に第1冷却配管37が配置されていてもよい。
○第1冷却配管37と第2冷却配管39とは互いに当接しておらず、互いに離れた状態で配置されていてもよい。
【0073】
○第1冷却配管37の第1流入部37dと第1流出部37fがブラシホルダ23の周方向に隣り合って配置されており、エンジン冷却水は分流せずに流通してもよい。同様に、第2冷却配管39の第2流入部39dと第2流出部39fがブラシホルダ23の周方向に隣り合って配置されており、ATFは分流せずに流通してもよい。
【0074】
○第1冷却配管37及び第2冷却配管39はブラシホルダ23の外周端に沿って円環状に配置されていてもよい。
○第1冷却配管37でのエンジン冷却水の流通方向と第2冷却配管39でのATFの流通方向、すなわち、第1伝熱部37c及び第2伝熱部39bでのエンジン冷却水の流通方向とATFの流通方向とが相反していなくてもよい。この場合、エンジン冷却水とATFとの流通方向が同一であってもよい。
【0075】
○第1伝熱部37c及び第2伝熱部39b以外では、エンジン冷却水の流通方向とATFの流通方向とが同一であってもよい。
○実施形態では、冷却流体として液体のATFに具体化したが、冷却流体は空気や冷媒ガスのような気体であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…ハイブリッド車両、11…エンジン、12…回転電機、19…回転軸、20…スリップリング装置、22…スリップリング、23…ブラシホルダ、25…ブラシ、29…エンジン冷却水回路、31…第1検出部、33…冷却流体回路、36…第2検出部、37…第1冷却配管、37c…当接部を構成する第1伝熱部、38…切替部としての第1切替弁、39…第2冷却配管、39b…当接部を構成する第2伝熱部、40…切替部としての第2切替弁、41…ブラシ温度検出部、43…第1面、44…第2面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7