【解決手段】走行装置3により走行し、荷物が積載される車体2に制御盤10が立設される。制御盤10は、内部に各種機器が配置される筐体11を備え、筐体11の1面が開口した開口部17が扉20により開閉される。扉20の内側には折り畳み式の作業台30が取り付けられ、支持具40により作業台30が展開状態で支持されるので、作業台30にPC8や工具を置いて制御盤10内の各種機器のメンテナンスができる。これにより、制御盤10内の各種機器のメンテナンス性を向上できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、制御盤内に配置された各種機器にパーソナルコンピュータ(PC)を接続してメンテナンスする場合、制御盤の扉を開けて、膝の上や車体にPCを置いて作業したり、一方の手でPCを持って他方の手でPCを操作したりするので、作業が煩雑になるという問題点がある。また、工具を用いて制御盤内の各種機器をメンテナンスする場合も同様に、車体に工具を置いたり、車体に置いた工具を再び持ったりして作業をするので、作業が煩雑になるという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、制御盤内の各種機器のメンテナンス性を向上できる産業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の産業車両は、荷物が積載される車体と、その車体の下面に配置されて前記車体を走行させる走行装置と、前記車体に立設される制御盤とを備え、その制御盤は、1面が開口した開口部を有し、内部に各種機器が配置される筐体と、前記開口部を開閉する扉と、その扉の内側に取り付けられる折り畳み式の作業台と、その作業台を展開状態で支持する支持具とを備えている。
【0007】
請求項2記載の産業車両は、請求項1記載のものにおいて、前記作業台は、第1辺側が前記扉に固定される作業台基部と、その作業台基部の第1辺と対向する第2辺に第1辺が揺動可能に取り付けられる揺動部とを備え、前記支持具は、前記揺動部に一端が取り付けられると共に前記扉に他端が取り付けられて伸長することで、前記作業台を展開状態で支持する。
【0008】
請求項3記載の産業車両は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記制御盤は、前記開口部に対して前記扉を所定の角度に開いた状態で固定する扉固定具を備えている。
【0009】
請求項4記載の産業車両は、請求項3記載のものにおいて、前記車体に対して前記車体の側縁に沿って相対移動して前記車体の上面側を覆うカバーを備え、前記筐体は、直方体状であり、前記車体に対する前記カバーの相対移動方向に前記開口部を向けつつ、前記開口部および前記車体の上面に対して垂直な面である一対の側面の少なくとも一方が前記車体の側縁に近接して配置され、前記扉は、前記車体の側縁に近接して配置される前記筐体の側面に支持され、前記カバーは、前記車体の上面側を覆った状態で、前記扉が支持される前記筐体の側面と対向すると共に前記筐体の側面に近接し、前記扉固定具は、前記開口部に対して前記扉を80°〜90°に開いた状態で固定する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の産業車両によれば、荷物が積載される車体の下面に走行装置が配置され、走行装置により走行する車体に制御盤が立設される。制御盤は、内部に各種機器が配置される筐体を備え、筐体の1面が開口した開口部が扉により開閉される。扉の内側には折り畳み式の作業台が取り付けられ、支持具により作業台が展開状態で支持されるので、作業台にPCや工具を置いて制御盤内の各種機器のメンテナンスができる。さらに、作業台は折り畳み式なので、作業台を用いずに扉を開いて各種機器のメンテナンスをする場合に、作業台が邪魔になることを抑制できる。これらにより、制御盤内の各種機器のメンテナンス性を向上できる効果がある。
【0011】
請求項2記載の産業車両によれば、作業台基部の第1辺側が扉に固定され、作業台基部の第1辺と対向する第2辺に揺動部の第1辺が揺動可能に取り付けられて作業台が形成される。作業台基部は揺動しないので、作業台基部の下には支持具を配設するための空間を確保できる。これにより、支持具のサイズ及び種類の自由度を向上できる。
【0012】
さらに、揺動部に支持具の一端が取り付けられると共に扉に支持具の他端が取り付けられ、支持具を伸長させることで作業台が展開状態で支持される。伸長した支持具がつっかえ棒のように揺動部を支持するので、作業台の耐荷重を確保できる効果がある。
【0013】
また、作業台基部が扉に固定されているので、作業台基部にPCや工具の少なくとも一部が置かれる場合に、作業台基部と揺動部とに荷重を分散できる。その結果、請求項1の効果に加え、作業台の耐荷重を向上できる効果がある。
【0014】
請求項3記載の産業車両によれば、制御盤は、扉固定具により開口部に対して扉を所定の角度に開いた状態で固定するので、メンテナンス作業中に開いた扉が意図せずに閉じることを防止できる効果がある。
【0015】
また、メンテナンス作業中に、扉に取り付けられる作業台が扉の開閉に伴って移動してしまうことを防止できるので、請求項1又は2の効果に加え、制御盤内の各種機器のメンテナンス性を確保できる効果がある。
【0016】
請求項4記載の産業車両によれば、車体に対して車体の側縁に沿って相対移動するカバーにより車体の上面側を覆うので、雨や雪などにより荷物が濡れることを防止できる効果がある。
【0017】
また、筐体は、直方体状であり、車体に対するカバーの相対移動方向に開口部を向けつつ、開口部および車体の上面に対して垂直な面である一対の側面の少なくとも一方が車体の側縁に近接して配置される。車体の側縁に近接して配置される筐体の側面に扉が支持され、車体の上面側を覆った状態のカバーが、扉が支持される筐体の側面と対向すると共に筐体の側面に近接する。扉固定具により開口部に対して扉を80°〜90°に開いた状態で固定するので、扉を十分に開きつつ、扉を閉め忘れた状態で、車体の上面を覆ったり、車体の上面の覆いを解除したりするためにカバーを車体の側縁に沿って相対移動させてしまっても、扉がカバーに接触することを防止できる。これにより、請求項3の効果に加え、制御盤内の各種機器のメンテナンス性をより向上できると共に、扉とカバーとの接触により扉またはカバーが破損することを防止できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1(a)、
図1(b)、
図2(a)及び
図2(b)を参照して、産業車両1について説明する。
図1(a)は本発明の一実施の形態におけるカバー5が収縮した産業車両1の側面図であり、
図1(b)は
図1(a)の矢印Ib方向視におけるカバー5が収縮した産業車両1の背面図であり、
図2(a)はカバー5が伸長した産業車両1の側面図であり、
図2(b)は
図2(a)の矢印IIb方向視におけるカバー5が伸長した産業車両1の背面図である。なお、本実施の形態では、
図1(a)左側を車両の正面側とし、
図1(a)右側を車両の背面側とし、
図1(b)左側および右側をそれぞれ車両の左側および右側とする。
【0020】
産業車両1は、工場等の構内において鋼板コイルなどの円筒状の荷物を無人で運ぶ車両である。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、産業車両1は、荷物が積載される車体2と、車体2の下面の略四隅に配置されて車体2を走行させる走行装置3と、車体2の上面2aの左右方向中央に設けられて荷物を載置する載置台4と、車体2の上面2aの正面側に設けられる伸縮式のカバー5と、車体2の上面2aの正面側に立設される制御盤10とを備えている。
【0021】
車体2は、平面視して略矩形状に形成され、左右の側縁2bに沿って側方に段差部6が車体2の上面2aに対して下側に凹んで設けられる。走行装置3は、車輪と走行モータ(図示せず)と操舵モータ(図示せず)とを備え、制御盤10からの制御信号に基づいて走行モータ及び操舵モータを駆動制御して車輪の回転速度や車輪が向く方向を制御することで、車体2を前後左右に移動可能とする。載置台4は、車体2の前後方向に伸び、車体2の左右方向で互いに向かい合って傾斜する一対の部材であり、車体2の前後方向に軸方向を向けた円筒状の荷物が左右に転がらないように規制している。
【0022】
カバー5は、伸長することで車体2の上面2a側を覆い、カバー5と車体2の上面2aとで形成される収容空間Sに荷物を収容するためのものである。カバー5は、車体2の正面側に固定される固定部5aと、固定部5aに対して車両後方に位置する門型形状の門型部5bと、固定部5a及び門型部5bを接続する門型形状で伸縮可能な蛇腹式の伸縮部5cとを備えている。
【0023】
固定部5aは、収容空間Sの正面側を塞ぐ壁であり、背面視して略矩形状に形成される。固定部5aは、背面視して制御盤10の右側に形成された出入口に車両扉7が設けられている。作業者が車両扉7を開けて出入口を通って収容空間Sの内外を固定部5a側から行き来できるので、カバー5により覆われた状態でも制御盤10に作業者がアクセスして、後述する制御盤10内の各種機器のメンテナンスができる。
【0024】
伸縮部5cが伸長することで、門型部5b及び伸縮部5cは、下方に設けられるローラ(図示せず)を介して段差部6上を移動する。これにより、
図2(a)に示すように、車体2の前後方向に亘ってカバー5が位置する。さらに、
図2(b)に示すように、門型部5bの上部からシャッター5dが下りて収容空間Sの背面側を塞ぐので、収容空間Sの全方向がカバー5により覆われて、収容空間S内の荷物が雨や雪などにより濡れることを防止できる。
【0025】
制御盤10は、車両の走行状態や車両に付与される機能を制御するための各種機器を納めたものである。
図1(b)に示すように、制御盤10は、扉20(開口部17)を伸縮部5cの伸縮方向に向け、制御盤10の側面13が車体2の側縁2b及び伸縮部5cに近接して配置されると共に、制御盤10の側面14が車両扉7に近接して配置される。
図2(a)に示すように、制御盤10は、背面16が固定部5aに近接して配置されるので、固定部5aに接続された伸縮部5cの伸縮状態に係わらず伸縮部5cと側面13とが対向する。
【0026】
次に
図3、
図4(a)及び
図4(b)を参照して、制御盤10について説明する。
図3は制御盤10の正面図であり、
図4(a)は扉20を閉じた制御盤10の平面図であり、
図4(b)は扉20を開いた制御盤10の平面図である。
図3は制御盤10の内部に設けられる扉固定具23,24及び作業台30が破線で図示されている。
図4(a)及び
図4(b)は扉固定具23,24が見えるように制御盤10の頂面15の一部が透過して図示されている。
【0027】
図3及び
図4(a)に示すように、制御盤10は、後述する対向機器18を含む各種機器が内部に配置される筐体11と、筐体11の開口部17を開閉する扉20とを備え、筐体11と扉20との間は、雨や雪などで筐体11の内部が濡れないようにシールされている。筐体11内部の各種機器の防水性や耐水性の考慮を不要にできるので、各種機器の種類や材質などの自由度を向上できる。
【0028】
筐体11は、1面が開口した開口部17を有する直方体状の箱であり、板状の底面12、一対の側面13,14、頂面15及び背面16とが互いに接続して形成される。底面12が車体2の上面2aに接して固定され、背面16の各辺が底面12、側面13,14及び頂面15の一端辺とそれぞれ接続し、底面12、側面13,14及び頂面15の一端辺と対向する他端辺により開口部17が形成される。
【0029】
扉20は、観音開き式であり、開けるときのスペースを小さくできる。扉20は、側面13,14に蝶番(図示せず)を介してそれぞれ支持される左扉21及び右扉22を備えている。左扉21は、内側(扉20を閉じた場合の背面16側)の中央よりわずかに底面12側に作業台30が配設される。これにより、作業台30が制御盤10の外部に突出して邪魔になることを防止できる。さらに、制御盤10内に作業台30が位置するので、作業台30の耐水性の考慮を不要にでき、作業台30の材質などの自由度を向上できる。
【0030】
左扉21及び右扉22は、それぞれ側面13,14と頂面15側で扉固定具23,24により接続される。
図4(b)に示すように、扉固定具23,24は、開口部17に対して左扉21及び右扉22を所定の角度に開いた状態で固定するための折り畳み式のステーであり、開口部17に対して左扉21及び右扉22を開いた状態で固定する角度を取り付け位置により調整できる。本実施の形態では、左扉21及び右扉22を開いた状態で固定する角度を80°〜90°に設定している。好ましくは左扉21及び右扉22を開いた状態で固定する角度が85°〜90°であり、さらに好ましくは左扉21及び右扉22を開いた状態で固定する角度が90°である。
【0031】
制御盤10は、扉固定具23,24により開口部17に対して扉20(左扉21及び右扉22)を所定の角度に開いた状態で固定するので、メンテナンス作業中に開いた扉20が意図せずに閉じることを防止できる。メンテナンス作業中に、左扉21に取り付けられる作業台30が左扉21の開閉に伴って移動してしまうことを防止できるので、制御盤10内の各種機器のメンテナンス性を確保できる。
【0032】
扉20を開いた状態で固定する角度が80°より小さい場合、扉20を十分に開くことができないので作業空間が狭くなり、制御盤10内の各種機器のメンテナンスがし難くなる。扉20を開いた状態で固定する角度が大きい程、扉20を十分に開くことができ、各種機器のメンテナンス性を向上できる。
【0033】
扉20を開いた状態で固定する角度が90°より大きい場合、左扉21が側面13よりもカバー5側へ突出する。制御盤10は、閉じた状態の扉20をカバー5の伸縮方向に向けつつ、伸縮部5cの伸縮状態に係わらず伸縮部5cと側面13とが対向すると共に、側面13が伸縮部5cに近接する。これらにより、左扉21を閉め忘れた状態で伸縮部5cを伸縮させると、左扉21がカバー5に接触して、左扉21又はカバー5が破損するおそれがある。本実施の形態では、左扉21を開いた状態で固定する角度を90°以下に設定しているので、左扉21を閉め忘れた状態で伸縮部5cを伸縮させてしまっても、左扉21がカバー5に接触することを防止できる。これにより、左扉21とカバー5との接触により左扉21又はカバー5が破損すること防止できる。
【0034】
さらに、扉20を開いた状態で固定する角度が90°より大きい場合、右扉22が側面14よりも車両扉7側へ突出する。制御盤10は、側面14が車両扉7に近接して配置されるので、作業者が車両扉7を開けて出入口を通って収容空間Sの内外を行き来するときに、作業者が右扉22に接触するおそれがある。本実施の形態では、右扉22を開いた状態で固定する角度を90°以下に設定しているので、右扉22を閉め忘れた状態で車両扉7を開けて出入口を通っても、作業者が右扉22に接触することを防止できる。
【0035】
次に
図5(a)、
図5(b)、
図6(a)及び
図6(b)を参照して、作業台30について説明する。
図5(a)は左扉21の内側の下方斜視図であり、
図5(b)は左扉21の内側の上方斜視図であり、
図6(a)は
図3のVIa−VIa線における作業台30を折り畳んだ制御盤10の断面図であり、
図6(b)は
図3のVIa−VIa線における作業台30を展開した制御盤10の断面図である。
【0036】
作業台30は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、展開状態でパーソナルコンピュータ(PC)8や工具などを置くための折り畳み式の台である。作業台30に置いたPC8は、制御盤10内の各種機器に接続してメンテナンス等を行うためのものであり、左扉21の下側に設けられるコンセント25により電源を確保できる。
【0037】
作業台30は、第1辺31aが左扉21に接して第1辺31a側が左扉21に固定される上面が矩形板状の作業台基部31と、作業台基部31の第1辺31aと対向する第2辺31bに第1辺32aが蝶番33を介して揺動可能に取り付けられる矩形板状の揺動部32とを備えている。作業台30は、1本の支持具40により揺動部32が支持されて、作業台基部31の上面に対して揺動部32の上面が平行になる展開状態で支持される。左扉21の内側を正面に見た場合、左右方向の中央に支持具40が位置し、作業台基部31及び揺動部32に対して支持具40の長手方向が垂直である。
【0038】
作業台30は、展開状態において、第1辺31aに平行な方向の寸法、及び、第1辺31aに垂直な面内方向の寸法がそれぞれ300mm以上400mm以下に形成される。A4サイズ(210mm×297mm)のPC8であれば、作業台30の上面から突出することなくPC8を作業台30に置くことができる。また、作業台30は、第1辺31aに垂直な面内方向の寸法のうち、揺動部32の寸法が150mm以上200mm以下であることが好ましい。
【0039】
第1辺31aに垂直な作業台30の面内方向において、揺動部32の寸法が150mm以上なので、折り畳んだ作業台30の寸法(作業台基部31の寸法)を小さくでき、作業台30をコンパクトに折り畳むことができる。揺動部32の寸法が200mm以下なので、A4サイズ以上のサイズのPC8を作業台30から突出しないように置いたとき、PC8の少なくとも一部が作業台基部31に置かれるので、後述するように作業台基部31と揺動部32とに荷重を分散できる。なお、作業台30(固定部31及び揺動部32)の寸法は制御盤10内の空きスペースや、作業台に置く予定のPC8や工具のサイズに合わせて適宜変更可能である。
【0040】
作業台基部31は、矩形状の上面において第1辺31aと第2辺31bとを結ぶ第3辺31c及び第4辺31dから、下方に突出して設けられて左扉21に接する補強板部34と、第1辺31a及び補強板部34に各辺が接続されて左扉21に面接触する矩形板状の固定面36とを備えている。固定面36が左扉21にボルト(図示せず)で固定され、作業台基部31が左扉21に対して垂直に突出して設けられる。左扉21の内側を正面に見た場合、作業台基部31は補強板部34によりコの字型に形成されるので、作業台基部31が平板である場合と比べて作業台基部31の剛性を向上できる。さらに、補強板部34により作業台基部31が第1辺31aを支点に下方に回転することを防止できるので、作業台基部31の耐荷重を確保できる。
【0041】
作業台基部31は左扉21に固定されて揺動しないので、作業台基部31の下には支持具40を配設するための空間を確保できる。支持具40のサイズ及び種類の自由度を向上できるので、折り畳み式のステーと比べて配設スペースを要する伸縮式のステーを支持具40に用いることができる。
【0042】
図6(a)に示すように、支持具40は、左扉21に一端が取り付けられると共に揺動部32に他端が取り付けられ、短縮して作業台30をL字状に折り畳んだ状態にし、
図6(b)に示すように、伸長して作業台30を展開状態で維持する。支持具40は、基端41aが左扉21に取り付けられるシリンダ41と、先端42aが揺動部32の下面に取り付けられるロッド42とを備え、シリンダ41の先端41bからロッド42が引出可能にロッド42の基端側がシリンダ41に挿通される。
【0043】
支持具40は、シリンダ41の側方に設けられるロック部43により、シリンダ41からロッド42が突出した伸長状態でロックされる。ロック部43は、ロッド42の長手方向に対して垂直方向にロッド42へ向かってバネにより付勢されるピンを、シリンダ41の外周面と内周面とを貫通する孔に通して、ロッド42に設けられた凹部や孔に挿入させることで、支持具40を伸長状態でロックする。ピンに連結する略円柱状の摘み部をロッド42の長手方向に対して垂直方向に引くことで、ピンがロッド42から外れてロック部43によるロックが解除され、支持具40が、シリンダ41にロッド42を納めた短縮状態となる。作業者の片手が塞がっている場合や軍手などをしている場合などでも、支持具40を伸長させるとバネにより自動的に支持具40が伸長状態でロックでき、1つの支持具40のロックを単純な操作で解除できるので、作業台30の展開および折り畳みを容易にできる。
【0044】
制御盤10は、扉20を閉じた状態で作業台30と対向する対向機器18が背面16に設けられる。作業台30が展開状態でも作業台30と対向機器18とが接触しないように設定されているので、作業台30を折り畳み忘れた状態で扉21を閉めても、作業台30と対向機器18とが接触することを防止できる。
【0045】
以上のような産業車両1によれば、制御盤10の扉20を開けて、制御盤10内の各種機器にPC8を接続してメンテナンスをする場合や、工具を用いて制御盤10内の各種機器のメンテナンスをする場合に、展開状態の作業台30にPC8や工具などを置いて各種機器のメンテナンスができる。さらに、作業台30は折り畳み式なので、作業台30を用いずに扉20を開いて各種機器のメンテナンスをする場合に、作業台30が邪魔になることを抑制できる。これらにより、制御盤10内の各種機器のメンテナンス性を向上できる。
【0046】
作業台30が展開状態でも作業台30と対向機器18とが接触しないように設定されているので、作業台30にPC8を置いて、PC8と制御盤10内の各種機器とを接続したまま扉20を閉めることができる。これにより、産業車両1の走行中の制御盤10内の各種機器のデータを取得することができる。
【0047】
伸縮式のストップステーである支持具40が伸長し、つっかえ棒のように揺動部32を支持して作業台30を支持するので、作業台30の耐荷重を確保できる。さらに、作業台基部31が左扉21に固定されているので、作業台基部31にPC8や工具などの少なくとも一部が置かれる場合に、作業台基部31と揺動部32とに荷重を分散できる。その結果、作業台30の耐荷重を向上できる。このようにして作業台30の耐荷重を確保・向上できるので、作業台基部31と揺動部32とを繋ぐ蝶番33を小さくできると共に、支持具40の本数を少なくできる。
【0048】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態では産業車両1は工場等の構内において鋼板コイルなどの円筒状の荷物を無人で運ぶ車両である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、荷物は製品、部品、仕掛品、原材料等のいずれでも良く、形状も問わない。荷物の種類や形状に伴って載置台4の形状は適宜変更される。また、無人の車両に限らず有人の車両とすることは当然可能である。
【0049】
上記実施の形態では、カバー5は伸長することで車体2の上面2a側を覆うものである場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車体2に対してカバーが車体の側縁2bに沿って相対移動して車体2の上面2a側をカバーが覆う車両であれば良い。例えば、伸縮しない門型形状に形成された自立可能なカバー内に車体2を進入させた後、車体2に設けられる昇降装置によりカバーを持ち上げて車体2の上面2a側を覆う車両が挙げられる。
【0050】
上記実施の形態では、固定部5aに車両扉7が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、固定部5aに車両扉7を設けないことは当然可能である。こうした場合、車両2の側縁2bの一方から他方までを最大限利用したサイズの制御盤10を用いることができる。制御盤10は、側面13だけでなく側面14が伸縮部5cと対向すると共に、伸縮部5cに近接するが、開口部17に対して右扉22を開いた状態で固定する角度を80°〜90°に設定しているので、右扉22を閉め忘れた状態で伸縮部5cを伸縮させてしまっても、右扉22がカバー5に接触することを防止できる。
【0051】
上記実施の形態では、扉20が観音開き式である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、片開き式の扉を用いることは当然可能である。扉が支持される側の側面13,14が伸縮部5cと対向すると共に、伸縮部5cに近接する場合、開口部17に対して扉を開いた状態で固定する角度を80°〜90°に設定することで、扉を閉め忘れた状態で伸縮部5cを伸縮させてしまっても、扉がカバー5に接触することを防止できる。
【0052】
上記実施の形態では、左扉21に固定される作業台基部31に揺動部32が揺動可能に取り付けられて形成される作業台30について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1枚板である作業台を左扉21に蝶番を介して取り付けることは当然可能である。また、作業台基部31が左扉21に対して垂直に突出する場合について説明したが、左扉21に対して垂直の状態よりも上方に作業台基部31を傾けることが可能である。こうした場合、傾きにより作業台に置いたPC8や工具が作業台から手前に落下することを抑制できる。
【0053】
上記実施の形態では、支持具40がロック部43を有する伸縮式のステーである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、折り畳み式のステーや蝶番を支持具に用いることは当然可能である。ロッド42の凹部や孔にピンを挿入するロック部43により支持具40を伸長状態でロックして作業台30を展開状態で維持する場合を説明したが、例えば、ロッド42にゴムなどの弾性部材を押し当てる機構や、シリンダ41とロッド42との間にテーパ形状の部材を挟み込む機構などをロック部とすることも可能である。折り畳み式のステーや蝶番を支持具40に用いる場合には、ステーや蝶番が所定角度以上開くことを防止するストッパや、所定の力以下ではステーや蝶番の角度が変化しないように2部材の凹凸を噛み合わせる機構などをロック部とすることが可能である。
【0054】
上記実施の形態では、制御盤10の背面16が固定部5aに近接して配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、背面16を固定部5aの一部とすることは当然可能である。これにより、固定部5aと背面16とが重なる部分をなくして材料を削減できると共に、固定部5aと背面16との間に熱がこもることを防止できる。