【解決手段】内部に流入した被処理水W1を濾過して濾過処理水W2として外部へ流出させる筒状のフィルタ52と、フィルタ52の内部に向けて被処理水W1が流通する被処理水導入ラインL1と、フィルタ52の外周面に逆洗水W2を噴射する逆洗水噴射ノズル6と、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面に向かって開口する吸引ノズル4であって、逆洗水噴射ノズル6から噴射され且つフィルタ52を外周面から内周面に向けて通過した逆洗水である逆洗汚水W11を吸引する複数の吸引ノズル4と、複数の吸引ノズル4により吸引された逆洗汚水W11が集合して、下方に向けて流通する逆洗汚水集合管28と、を備え、逆洗汚水集合管28の内部空間281は、下方に向けて拡大している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
本発明のバラスト水処理装置の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のバラスト水処理装置の第1実施形態を示すフロー図である。
図2は、第1実施形態における逆洗汚水集合管28を模式的に示す縦断面図である。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態のバラスト水処理装置1は、バラスト水濾過装置2と、紫外線リアクタ61と、第1逆洗水供給手段7と、第2逆洗水供給手段41と、制御部9と、を備える。制御部9は、制御対象の各機器を制御可能に、各機器に信号線(不図示)により接続されている。バラスト水処理装置1には、その外部構成として、バラストタンク62と、清浄水タンク65とが接続されている。
【0015】
第1実施形態のバラスト水処理装置1は、ラインとして、被処理水導入ラインL1と、被処理水排出ラインL2と、処理水ラインL11と、貯留処理水排出ラインL12と、第1逆洗水流通ラインL21と、第2逆洗水流通ラインL22と、エア抜きラインL31と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0016】
バラスト水濾過装置2は、ケーシング51と、フィルタ52と、フィルタ回転手段3と、吸引ノズル4と、逆洗水噴射ノズルとしての第1逆洗水噴射ノズル6と、第2逆洗水噴射ノズル40と、逆洗汚水排出手段5と、差圧検出手段8と、を備える。
【0017】
ケーシング51は、円筒状であり、その内部にフィルタ52を収納する。フィルタ52は、全体視で円筒状であり、内部に流入した被処理水(バラスト水)W1(主に海水)を濾過してバラスト水(濾過処理水)W2として外部へ流出させる。フィルタ回転手段3は、フィルタ52を、その軸心を中心に回転させる。吸引ノズル4は、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面に向かって開口する。吸引ノズル4は、第1逆洗水噴射ノズル6から噴射され且つフィルタ52を外周面から内周面に向けて通過した逆洗水である逆洗汚水W11を、吸引する。
【0018】
第1逆洗水噴射ノズル6は、第2逆洗水噴射ノズル40とは別にフィルタ52の二次側に設けられ、フィルタ52の外周面に向かって、バラスト水処理運転中に第1逆洗水を噴射する。第1逆洗水噴射ノズル6からの第1逆洗水の噴射は、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在する(満たされる)状態で行われる。
【0019】
第2逆洗水噴射ノズル40は、第1逆洗水噴射ノズル6とは別にフィルタ52の二次側に設けられ、フィルタ52の外周面に向かって第2逆洗水を噴射する。第2逆洗水噴射ノズル40からの第2逆洗水の噴射は、ケーシング51及びフィルタ52の内部に実質的にバラスト水(W2,W1)が存在しない状態(第2逆洗水噴射ノズル40からの第2逆洗水が(水中ではなく)フィルタ52に直接当たる状態)で行われる(空間洗浄)。
【0020】
逆洗汚水排出手段5は、吸引ノズル4で吸引された逆洗汚水W11をケーシング51の内部から外部へ排出する。差圧検出手段8は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する。制御部9は、差圧検出手段8により検出された差圧などに基づいて、逆洗水の噴射の有無、第1逆洗水噴射ノズル6と第2逆洗水噴射ノズル40との切り換え、逆洗水の噴射時の噴射圧力などを制御する。
バラスト水濾過装置2の詳細については後述する。
【0021】
紫外線リアクタ61は、バラスト水濾過装置2のフィルタ52により濾過されたバラスト水(濾過処理水)W2に対して紫外線の照射を行う。
バラストタンク62は、紫外線リアクタ61により紫外線の照射が行われたバラスト水(濾過処理水)W2を、貯留処理水W3として貯留する。
また、紫外線リアクタ61は、バラストタンク62に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3を船外へ排出する際に、貯留処理水W3に対して紫外線の照射を行う。
清浄水タンク65は、バラスト水とは別に用意された清浄水W5を貯留する。
【0022】
次に、各ラインについて詳述する。被処理水導入ラインL1は、一端部から被処理水W1(主に海水)が導入され、他端部において被処理水導入口20に接続しており、被処理水W1がバラスト水濾過装置2の被処理水導入口20に向けて流通するラインである。被処理水導入ラインL1には、汲み上げポンプP1、バルブV1、接続部J1、被処理水導入口20がこの順で接続されている。
被処理水排出ラインL2は、一端部において被処理水導入ラインL1の接続部J1に接続しており、他端部からフィルタ52内の水(バラスト水W1)が排出されるラインである。
【0023】
処理水ラインL11は、一端部においてバラスト水濾過装置2の処理水流出口26に接続しており、他端部においてバラストタンク62に接続しており、バラスト水濾過装置2で濾過処理されたバラスト水(濾過処理水)W2がバラストタンク62に向けて流通するラインである。処理水ラインL11には、処理水流出口26、接続部J21、バルブV11、接続部J11、紫外線リアクタ61、バルブV12、バラストタンク62がこの順で設けられている。
【0024】
貯留処理水排出ラインL12は、一端部において処理水ラインL11の接続部J11に接続しており、他端部からバラスト水(貯留処理水)W3を排出するラインである。貯留処理水排出ラインL12には、接続部J11、バルブV13、被処理水排出ポンプP11がこの順で設けられている。
【0025】
第1逆洗水流通ラインL21は、一端部において処理水ラインL11の接続部J21に接続しており、他端部において第1逆洗水噴射ノズル6に接続しているラインである。第1逆洗水流通ラインL21には、バラスト水(濾過処理水)W2が第1逆洗水噴射ノズル6に向けて流通する。第1逆洗水流通ラインL21には、接続部J21、バルブV21、第1逆洗水加圧ポンプP21がこの順で設けられている。
【0026】
第2逆洗水流通ラインL22は、一端部において清浄水タンク65に接続しており、他端部において第2逆洗水噴射ノズル40に接続しているラインである。第2逆洗水流通ラインL22には、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5が、第2逆洗水として、第2逆洗水噴射ノズル40に向けて流通する。第2逆洗水流通ラインL22には、バルブV22及び第2逆洗水加圧ポンプP22がこの順で設けられている。
【0027】
ラインの各所には、各種のバルブ及びポンプが設けられている。具体的には、被処理水導入ラインL1における接続部J1よりも上流側には、汲み上げポンプP1が設けられている。汲み上げポンプP1は、被処理水導入ラインL1の一端部から被処理水W1(主に海水)を汲み上げる。被処理水導入ラインL1における汲み上げポンプP1と接続部J1との間には、バルブV1が設けられている。被処理水排出ラインL2には、バルブV2が設けられている。
【0028】
処理水ラインL11における処理水流出口26と紫外線リアクタ61との間(詳細には、接続部J21と接続部J11との間)には、バルブV11が設けられている。処理水ラインL11における紫外線リアクタ61とバラストタンク62との間には、バルブV12が設けられている。貯留処理水排出ラインL12には、バルブV13及び被処理水排出ポンプP11が設けられている。被処理水排出ポンプP11は、貯留処理水排出ラインL12を流通する水を吸引し、加圧する(吐出する)。
【0029】
第1逆洗水流通ラインL21における接続部J21と第1逆洗水加圧ポンプP21との間には、バルブV21が設けられている。第1逆洗水流通ラインL21におけるバルブV21と第1逆洗水噴射ノズル6との間には、第1逆洗水加圧ポンプP21が設けられている。第1逆洗水加圧ポンプP21は、第1逆洗水流通ラインL21を流通する水を吸引し、加圧する(吐出する)。
第2逆洗水加圧ポンプP22は、第2逆洗水流通ラインL22を流通する水を吸引し、加圧する(吐出する)。
【0030】
次に、バラスト水濾過装置2の詳細について説明する。ケーシング51は、上部開口部及び下部開口部を有する円筒状に形成されており、上部開口部が蓋部10で密閉され、下部開口部が底部11で密閉されている。蓋部10には、エア抜きラインL31が接続されている。エア抜きラインL31には、ケーシング51の内部のエアを抜くためのエア抜きバルブV31が設けられている。
【0031】
フィルタ52は、上部開口部及び下部開口部を有し、全体視で円筒状に形成されている。フィルタ52の詳細については後述する。ケーシング51とフィルタ52との間には、処理水流出空間27が形成される。上部開口部は、上閉止部13で密閉されている。下部開口部は、下閉止部14及び後述する下部回転軸部材16とで密閉されている。
【0032】
フィルタ回転手段3は、上部回転軸部材15と、下部回転軸部材16と、上部回転軸部材15を回転させるモータ17とで構成されている。上部回転軸部材15は、フィルタ52の上閉止部13に、フィルタ52の軸心位置に軸心方向上向きに突設して設けられている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の下閉止部14に、フィルタ52の軸心位置に軸心方向下向きに突設して設けられている。
【0033】
上部回転軸部材15は、ケーシング51の蓋部10を貫通し且つシーリングされた軸受部材18を介して、蓋部10に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、ケーシング51の底部11を貫通し且つシーリングされた軸受部材19を介して、底部11に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の内部と連通する管状体となっており、ケーシング51の底部11からケーシング51の外部に突出する。下部回転軸部材16には、ケーシング51への被処理水導入口20が接続されている。
【0034】
被処理水導入口20には、被処理水導入ラインL1が接続されている。ケーシング51の側部には、処理水流出口26が設けられている。処理水流出口26には、処理水ラインL11が接続されている。
被処理水導入ラインL1を流通し且つ被処理水導入口20から導入された被処理水W1は、下部回転軸部材16を通ってフィルタ52の内部に入る。その被処理水W1は、フィルタ52を通過して濾過されて、ケーシング51とフィルタ52との間に形成される処理水流出空間27に入り、処理水流出口26から流出する。
【0035】
逆洗汚水排出手段5は、逆洗汚水集合管28と、逆洗汚水排出管29と、バルブV32とを備える。逆洗汚水集合管28は、複数の吸引ノズル4に接続する。逆洗汚水集合管28には、複数の吸引ノズル4で吸引された逆洗汚水W11が集合して、下方に向けて流通する。逆洗汚水排出管29は、逆洗汚水集合管28の下端部に接続し、逆洗汚水W11を外部へ排出する。バルブV32は、逆洗汚水排出管29に設けられている。
【0036】
逆洗汚水集合管28においては、上端部が閉鎖し、下端部が開口している。逆洗汚水集合管28は、フィルタ52の軸心に配置されている。逆洗汚水集合管28の上端部は、フィルタ52の上閉止部13の中央に設けられた孔に、嵌合して支持されている。逆洗汚水集合管28の下端部は、フィルタ52の下閉止部14の下部回転軸部材16の内部を、フィルタ52の回転を妨げないように通り、ケーシング51の被処理水導入口20に固定されて支持されている。
【0037】
図1及び
図2に示すように、逆洗汚水集合管28の内部空間281は、下方に向けて滑らかに拡大している。換言すると、逆洗汚水集合管28の内部空間281の横断面は、下方に向けて徐々に大きくなる。逆洗汚水集合管28の内部空間281は、略円錐台形状となっている。
【0038】
吸引ノズル4は、逆洗汚水集合管28に接続し、フィルタ52の内周面に向かって開口する。吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向全域から吸引可能であることが好ましい。なお、吸引ノズル4の構成は特に限定されるものではない。例えば、吸引ノズル4を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される吸引ノズル4は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
【0039】
本実施形態においては、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向(上下方向)に直線状に配置されて、逆洗汚水集合管28と接続している。また、フィルタ52の内周面に対向した位置でフィルタ52に向かって開口している吸引ノズル4の開口部は、フィルタ52の内周面に摺動可能に密着している。
【0040】
上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、フィルタ52の軸方向に2列に配置され、一方の列の吸引ノズル4の間に他方の列の吸引ノズル4が位置している。具体的には、複数の吸引ノズル4は、逆洗汚水集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。なお、吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に配置する他の例として、複数の吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に、吸引ノズル4の間に未吸引部が存在しない間隔で螺旋状に配置してもよい。
【0041】
吸引ノズル4の開口部がフィルタ52の内周面に摺動可能に密着した状態で、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向に直線状に配置されて逆洗汚水集合管28に接続している。上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4は、各吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、逆洗汚水集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。そのため、フィルタ52の1回の回転でフィルタ52の内周面全域からの吸引を行うことができる。
【0042】
第1逆洗水噴射ノズル6は、ケーシング51の側部に設けられており、ケーシング51の内部に開口している。第1逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の軸方向全域に第1逆洗水を噴射できることが好ましい。第1逆洗水噴射ノズル6の構成は特に限定されるものではない。例えば、第1逆洗水噴射ノズル6を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される第1逆洗水噴射ノズル6は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。本実施形態においては、第1逆洗水噴射ノズル6は、複数配置された各吸引ノズル4と同周上に位置し、且つ、フィルタ52の回転方向に対向する方向に向かって、吸引ノズル4の前に位置するように設けられている。なお、第1逆洗水噴射ノズル6は、各吸引ノズル4と対向するそれぞれの位置に設けられていてもよく、或いは、フィルタ52の回転方向に対向する方向に向かって、吸引ノズル4の後に位置するように設けられていてもよい。
【0043】
第1逆洗水供給手段7は、フィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2を加圧して、第1逆洗水W2として第1逆洗水噴射ノズル6に供給する。第1逆洗水供給手段7は、第1逆洗水加圧ポンプP21、バルブV21などから構成される。
【0044】
第1逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の外周面(二次側)に第1逆洗水W2を噴射して、フィルタ52の一次側に堆積した異物を剥離する。剥離した直後に吸引ノズル4による吸引が行われる。第1逆洗水噴射ノズル6から噴射された第1逆洗水W2によりフィルタ52から剥離した異物は、逆洗汚水排出管29に設けられたバルブV32を開くことにより、吸引ノズル4により効果的に吸引される。バルブV32の二次側の圧力は大気圧に開放されているため、逆洗汚水集合管28の内部の圧力がフィルタ52の二次側の圧力よりも低くなり、フィルタ52の二次側にある濾過処理水W2の一部及び第1逆洗水噴射ノズル6から噴射した第1逆洗水W2は、逆洗汚水W11となって逆洗汚水集合管28の内部を流通し、逆洗汚水排出管29から外部へ排出される。
【0045】
差圧検出手段8は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する。差圧検出手段8は、フィルタ52の内部に配置される一次側圧力センサ37と、処理水流出空間27に配置される二次側圧力センサ38と、を備える。差圧検出手段8は、一次側圧力センサ37によりフィルタ52の一次側の圧力を検知し、二次側圧力センサ38によりフィルタ52の二次側の圧力を検知して、フィルタ52の一次側と二次側との差圧を検出する。フィルタ52の一次側と二次側との差圧に基づいて、フィルタ52の汚れ具合を判断できる。差圧が大きい場合は、フィルタ52への異物の堆積量が多くなっていることを示し、差圧が小さい場合は、フィルタ52が初期状態に近い状態(異物の堆積量が少ない状態)であることを示している。
【0046】
第2逆洗水噴射ノズル40は、ケーシング51の側部に設けられており、ケーシング51の内部に開口している。第2逆洗水噴射ノズル40は、フィルタ52の軸方向全域に第2逆洗水を噴射できることが好ましい。第2逆洗水噴射ノズル40の構成は特に限定されるものではない。例えば、第2逆洗水噴射ノズル40を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される第2逆洗水噴射ノズル40は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
【0047】
第2逆洗水供給手段41は、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5を加圧して、第2逆洗水W5として第2逆洗水噴射ノズル40に供給する。第2逆洗水供給手段41は、バルブV22、第2逆洗水加圧ポンプP22などから構成される。
【0048】
第1逆洗水噴射ノズル6に供給される第1逆洗水としては、本実施形態においては、フィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2が用いられる。第2逆洗水噴射ノズル40に供給される第2逆洗水としては、本実施形態においては、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5が用いられる。なお、フィルタ52への第1逆洗水として、清浄水タンク65に貯留されている清浄水W5などを使用することもできる。
【0049】
第2逆洗水噴射ノズル40は、バラスト水処理運転の終了後、ケーシング51の内部の水が排出された状態(フィルタ52の内部に実質的にバラスト水W1が存在しない状態)で、フィルタ52の外周面(二次側)に第2逆洗水W5を噴射して、フィルタ52の内周面(一次側)に堆積した異物を強力に剥離する。
【0050】
第2逆洗水噴射ノズル40からは、フィルタ52の内部に実質的にバラスト水W1が存在しない状態で、第2逆洗水W5が、回転しているフィルタ52の外周面に噴射される。
【0051】
次に、本実施形態のバラスト水処理装置1の主な動作について簡単に説明する。
(1)バラスト水濾過装置2による被処理水W1の濾過処理
バルブV1、バルブV11及びバルブV12を開き、バルブV2、バルブV13、バルブV21、バルブV31及びバルブV32を閉じる。この状態で、汲み上げポンプP1を駆動させる。これにより、被処理水導入ラインL1の一端部から流入した被処理水W1は、被処理水導入ラインL1を流通する。被処理水導入口20から導入された被処理水W1は、フィルタ52で濾過処理され、濾過処理水W2として処理水流出口26から排出される。濾過処理水W2は、処理水ラインL11を流通し、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、バラストタンク62に貯留処理水W3として貯留される。
【0052】
(2)第1逆洗水噴射ノズル6によるフィルタ52の逆洗処理(バラスト水処理運転中の逆洗)
バルブV1、バルブV11、バルブV12、バルブV21及びバルブV32を開き、他のバルブを閉じて、濾過処理水W2が第1逆洗水噴射ノズル6に向けて流通する状態とする。そして、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在する状態で、第1逆洗水加圧ポンプP21及び吸引ノズル4の吸引を稼働させる。これにより、第1逆洗水噴射ノズル6からの第1逆洗水W2は、フィルタ52に向けて噴射され、吸引ノズル4により吸引されて、逆洗が行われる。
【0053】
(3)第2逆洗水噴射ノズル40によるフィルタ52の逆洗処理(空間洗浄)
被処理水W1の濾過処理終了後、被処理水排出ラインL2のバルブV2及びエア抜きラインL31のバルブV31を開き、他のバルブを閉じて、フィルタ52内の水を排出する。そして、ケーシング51及びフィルタ52の内部に実質的にバラスト水(W2,W1)が存在しない状態で、逆洗汚水排出管29に設けられたバルブV32及び第2逆洗水流通ラインL22に設けられたバルブV22を開き、第2逆洗水加圧ポンプP22を稼働させる。これにより、清浄水タンク65に貯留される清浄水W5は、第2逆洗水流通ラインL22を流通し、第2逆洗水加圧ポンプP22により加圧され、第2逆洗水W5として、第2逆洗水噴射ノズル40からフィルタ52に向けて噴射され、逆洗が行われる。
【0054】
(4)バラストタンク62から外部への貯留処理水W3の排水処理
バルブV12及びバルブV13を開き、他のバルブを閉じる。この状態で貯留処理水排出ラインL12に設けられた被処理水排出ポンプP11を稼働させる。これにより、バラストタンク62に貯留される貯留処理水W3は、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、処理水ラインL11の一部及び貯留処理水排出ラインL12を介して外部に排出される。
【0055】
第1実施形態のバラスト水処理装置1によれば、例えば、次のような効果を奏する。
一般的に逆洗汚水集合管28の内部空間281の上部では、逆洗汚水W11は下方に向けて流れにくい。逆洗汚水W11が下方に向けて流れにくいと、逆洗汚水集合管28からの逆洗汚水W11の円滑な排出が阻害され、延いては、吸引ノズル4による逆洗汚水W11の吸引速度が低下するため、逆洗性能が低下する。逆洗汚水W11が下方に向けて流れにくい主な要因は次の通りである。
【0056】
・逆洗汚水集合管28の内部空間281の上部においては、気泡は上方に向けて比較的高速で上昇するため、相対的に、下方に向けて流れようとする逆洗汚水W11の流速は、気泡の上昇速度よりも遅いことも多い。上昇する気泡によって、下方に向けて流れようとする逆洗汚水W11の流れは阻害される。
・逆洗汚水集合管28の内部空間281の上部に気泡溜まりが形成されると、気泡溜まりは、下方に向けて流れようとする逆洗汚水W11の流れを阻害する。
・吸引ノズル4からの合流圧損や水頭圧の関係で、逆洗汚水集合管28の内部空間281の上部における逆洗汚水W11は、逆洗汚水集合管28の内部空間281の下部における逆洗汚水W11よりも、相対的に下方に向けて流れにくい。
・濾過処理ごとに空間洗浄を実施するため、逆洗汚水集合管28の内部空間281に逆洗汚水W11が滞留した状態となる。
【0057】
これに対して、第1実施形態のバラスト水処理装置1は、フィルタ52の外周面に向かって第1逆洗水W2を噴射する第1逆洗水噴射ノズル6と、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面に向かって開口する吸引ノズル4であって、第1逆洗水噴射ノズル6から噴射され且つフィルタ52を外周面から内周面に向けて通過した逆洗水である逆洗汚水W11を吸引する複数の吸引ノズル4と、複数の吸引ノズル4により吸引された逆洗汚水W11が集合して、下方に向けて流通する逆洗汚水集合管28と、を備える。逆洗汚水集合管28の内部空間281は、下方に向けて拡大している。
【0058】
そのため、第1実施形態によれば、逆洗汚水集合管28の内部空間281の上部において、気泡の上昇速度が相対的に遅くなり、下方に向けて流れようとする逆洗汚水W11の流速は、気泡の上昇速度よりも速くなりやすい。その結果、逆洗汚水集合管28の内部空間281における逆洗汚水W11の流速を、上下方向の全ての領域において、気泡の上昇速度よりも増加させることが容易である。また、気泡が逆洗汚水W11と共に逆洗汚水集合管28から排出されやすくなるため、気泡溜まりが形成されにくくなる。更に、逆洗汚水集合管28の内部空間281の上部において、吸引ノズル4から逆洗汚水集合管28へ向かう吸引力が発生しやすい。このように、逆洗汚水集合管28の内部空間281から気泡を排除し、気泡溜まりが形成されにくくして、逆洗性能を安定化させることができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、第2実施形態における逆洗汚水集合管28Aを模式的に示す縦断面図である。
第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
【0060】
第1実施形態においては、逆洗汚水集合管28の内部空間281は、下方に向けて滑らかに拡大している。これに対して、第2実施形態においては、
図3に示すように、逆洗汚水集合管28Aの内部空間281Aは、下方に向けて段階的に拡大している。逆洗汚水集合管28Aの内部空間281Aの横断面は、上下方向に1段下がるに連れて、1段大きくなる。逆洗汚水集合管28Aの1段毎に、1つの吸引ノズル4が連結されている。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態においては、逆洗汚水集合管28,28Aは鉛直下向きに向けて延びている。しかし、逆洗汚水集合管は斜め下向きに延びていてもよい。
【0062】
前記実施形態においては、フィルタ52への第1逆洗水W2としてフィルタ52で濾過処理され且つバラストタンク62を経ていない濾過処理水W2が使用されているが、これに制限されない。被処理水W1や、バラストタンク62に貯留されている貯留処理水W3や、清浄水タンク65や他のタンクに貯留されている清浄水(生活用水や飲料水など)などを、第1逆洗水W2として使用してもよい。
【0063】
前記実施形態においては、フィルタ52への第2逆洗水W5として清浄水タンク65に貯留される清浄水W5が使用されているが、これに制限されない。被処理水W1や、バラストタンク62に貯留されている貯留処理水W3や、他の用途で使用する目的で貯留されている清浄水タンクや他のタンクに貯留されている清浄水(生活用水や飲料水など)や、フィルタ52で濾過処理され且つバラストタンク62を経ていない濾過処理水W2などを、第2逆洗水W5として使用してもよい。