特開2016-222059(P2016-222059A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222059(P2016-222059A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】車両用衝突検知装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20161205BHJP
   B60R 21/0136 20060101ALI20161205BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20161205BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20161205BHJP
   G01B 21/32 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B60R21/00 610Z
   B60R21/0136
   B60R19/48 G
   G01B21/00 C
   G01B21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-108733(P2015-108733)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】若林 亜星
(72)【発明者】
【氏名】田辺 貴敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和久
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA02
2F069BB21
2F069DD26
2F069GG06
2F069GG56
2F069GG65
(57)【要約】
【課題】車両への衝突が発生したことを精度よく検出することができる製造の容易な車両用衝突検知装置の提供。
【解決手段】バンパーアブソーバー23の上端面23bには、車幅方向に延びた圧力チャンバ31が配置されている。圧力チャンバ31の圧力検出空間31a内には圧力センサ33が接続されている。圧力チャンバ31の前方外周面31bには、複数の前方導体板34が貼付されている。また、圧力チャンバ31の後方外周面31cには、後方導体板35が貼付されている。互いに対向した前方導体板34および後方導体板35により、複数のコンデンサC1、C2、C3、C4が形成されている。歩行者保護ECU6は、圧力検出値Pdetから算出された有効質量Mが有効質量閾値Mth以上であって、かつ、コンデンサC1、C2、C3、C4の容量の増大により、電流検出値Idetが電流閾値Ith以上である時に、車両VEへの衝突を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(VE)の前方部(21)に車幅方向に延びるように配置され、前記車両の衝突により変形する柔軟性を有し、内部に圧力検出空間(31a)を有する中空部材(31)と、
該中空部材の前方外周面(31b)に取り付けられた第1電極(34、38)および後方外周面(31c)に取り付けられた第2電極(35、39)と、
前記圧力検出空間内の圧力(Pdet)を検出することにより、前記中空部材の変形を決定する第1変形検出部(33、62)と、
前記第1電極と前記第2電極との間の距離に応じて電気信号(Idet)を形成し、形成された前記電気信号に基づいて、前記中空部材の変形を決定する第2変形検出部(63、64、71)と、
前記第1変形検出部によって決定された前記中空部材の変形と前記第2変形検出部によって決定された前記中空部材の変形とに基づいて、衝突物(OB、BH)を保護する保護装置(5)の作動を必要とする衝突の発生を検出する衝突判定部(67)と、
を備えた車両用衝突検知装置(1)。
【請求項2】
前記第1変形検出部は、
前記圧力検出空間内の圧力に基づいて検出される所定の物理量(M)が、所定の衝突閾値(Mth)以上である場合に、前記中空部材の変形を決定するものであって、
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方(34、38)は、前記中空部材の前方外周面または前記後方外周面において、車幅方向に並ぶように複数個設けられ、
各位置に設けられた前記第1電極と前記第2電極との間の距離に応じて形成された前記電気信号に基づいて、衝突が発生した車幅方向の位置(Y)を検出する衝突位置検出部(65)と、
前記衝突位置検出部によって検出された衝突が発生した前記車幅方向の位置に基づいて、前記衝突閾値を設定する閾値設定部(66)と、
を備えた請求項1記載の車両用衝突検知装置。
【請求項3】
前記衝突判定部は、
前記物理量が前記衝突閾値以上であり、かつ、前記第2変形検出部により形成された前記電気信号が所定の電気的閾値(Ith)以上である場合に、衝突の発生を検出する請求項2記載の車両用衝突検知装置。
【請求項4】
前記第1電極および前記第2電極は、それぞれ導体板(34、35)により形成されることによって、互いに対向した前記第1電極と前記第2電極とによりコンデンサ(C1、C2、C3、C4)が形成され、
前記第2変形検出部は、
前記コンデンサの容量(CC)に応じて形成された前記電気信号に基づいて、前記中空部材の変形を決定する請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項5】
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方には、絶縁部材(36f、36r)を介して、導電部材(37f、37r)が取り付けられた請求項4記載の車両用衝突検知装置。
【請求項6】
隣り合った前記第1電極同士の間の容量または隣り合った前記第2電極同士の間の容量を検出し、検出された当該容量に基づいて、前記中空部材における水分の有無を検出する水分検出部(70)を備えた請求項4または5に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項7】
前記第1電極および前記第2電極のうちの一側はコイル(38、38A、38B)により形成されるとともに、他側は導電板(39)により形成され、
前記第2変形検出部(71)は、
前記コイルに所定の周波数を有した電流を流した場合の、前記コイルのインピーダンスに応じて形成された前記電気信号に基づいて、前記中空部材の変形を決定する請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への歩行者等の衝突を検出する車両用衝突検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バンパーカバーの後方に緩衝体を設け、緩衝体とクロスメンバーとの間に検出用チューブを配置し、車両前端部への歩行者の衝突を検知する車両用衝突検知装置に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。当該従来技術による衝突検知装置は、バンパーカバーにおける広範囲の部位に対する衝突の検知を可能にすることを意図したものであり、検出用チューブ内に閾値以上の圧力が発生した場合に、バンパーカバーへの歩行者の衝突が発生したことを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−505629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術による車両用衝突検知装置においては、衝突判定の冗長性を満たすために、検出用チューブの両端に一対の圧力センサを設け、当該圧力センサによる検出値に基づいて、車両への衝突を検知している。したがって、車両において、2個の圧力センサを取り付ける必要があり、車両用衝突検知装置の製造工程を複雑化し、その製造コストの増大を招いている。これに対し、単純に、検出用チューブに接続する圧力センサを1個のみにすれば、衝突判定の冗長性を充足することができず、衝突が発生したことを精度よく検出することができないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両への衝突が発生したことを精度よく検出することができる製造の容易な車両用衝突検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る車両用衝突検知装置の発明は、車両(VE)の前方部(21)に車幅方向に延びるように配置され、車両の衝突により変形する柔軟性を有し、内部に圧力検出空間(31a)を有する中空部材(31)と、中空部材の前方外周面(31b)に取り付けられた第1電極(34、38)および後方外周面(31c)に取り付けられた第2電極(35、39)と、圧力検出空間内の圧力(Pdet)を検出することにより、中空部材の変形を決定する第1変形検出部(33、62)と、第1電極と第2電極との間の距離に応じて電気信号(Idet)を形成し、形成された電気信号に基づいて、中空部材の変形を決定する第2変形検出部(63、64、71)と、第1変形検出部によって決定された中空部材の変形と第2変形検出部によって決定された中空部材の変形とに基づいて、衝突物(OB、BH)を保護する保護装置(5)の作動を必要とする衝突の発生を検出する衝突判定部(67)と、を備えている。
【0006】
この構成によれば、圧力検出空間内の圧力を検出することにより、中空部材の変形を決定する第1変形検出部と、第1電極と第2電極との間の距離に応じて形成された電気信号に基づいて、中空部材の変形を決定する第2変形検出部とを備えている。そして、第1変形検出部によって決定された中空部材の変形と第2変形検出部によって決定された中空部材の変形とに基づいて、衝突物を保護する保護装置の作動を必要とする衝突の発生を検出する衝突判定部を備えている。これによって、衝突判定の冗長性を満足し、車両への衝突が発生したことを精度よく検出することができる。
また、第1電極および第2電極を、中空部材の外周面に貼付等するのみで、第2変形検出部によって、中空部材の変形を決定することができる。したがって、製造が容易で、低コストの車両用衝突検知装置にすることができる。
尚、本発明による車両用衝突検知装置は、歩行者衝突のみではなく、車両に対するすべての衝突検知を対象としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1による歩行者保護システムが取り付けられた車両の平面図
図2図1のII−II断面図
図3】圧力チャンバを水平にカットした場合の模式的な断面図
図4】歩行者保護システムの構成を示したブロック図
図5図4に示したインピーダンス検出回路を、前方導体板および後方導体板に接続した状態を示した回路図
図6図3に示した圧力チャンバに対して衝突による衝撃が加わった状態を表した断面図
図7A】フロントバンパーの左右中央部に歩行者が衝突した場合を示した模式的な車両平面図
図7B】フロントバンパーの左端部に歩行者が衝突した場合を示した模式的な車両平面図
図8】歩行者保護システムの制御フローチャートを示した図
図9】実施形態1の第1変形例による圧力チャンバを水平にカットした場合の模式的な断面図
図10】実施形態1の第2変形例による圧力チャンバを水平にカットした場合の模式的な断面図
図11図10に示した隣り合った前方導体板同士の間にインピーダンス検出回路を接続した状態を示した回路図
図12】実施形態2による圧力チャンバを水平にカットした場合の断面図
図13A図12に示した圧力チャンバの上面図
図13B図13AのXIIIB−XIIIB断面図
図13C図12に示した圧力チャンバの下面図
図14A図13Bに示した圧力チャンバに対して衝突による衝撃が加わった状態を表した断面図
図14B図13Cに示した圧力チャンバに対して衝突による衝撃が加わった状態を表した下面図
図15A図13Aに示したインダクターの変形例である平面コイルの平面図
図15B図15Aに示した平面コイルの側方視を表した図
図16A】他の平面コイルの平面図
図16B図16Aに示した平面コイルの側方視を表した図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1の構成>
図1乃至図8に基づき、本発明の実施形態1による歩行者保護システム1(車両用衝突検知装置に該当する)について説明する。尚、各々の図において方向を示す表示は、車両VEに対する向きを表しており、例えば、「前」という表示は、矢印の方向が車両VEの前方に該当していることを示している。また、図3および図6において、後述する圧力導入チューブ32および圧力センサ33は省略されている。以下、車両VEに対する歩行者の衝突を中心に説明しているが、本発明による車両用衝突検知装置は、歩行者衝突のみではなく、車両VEに対するすべての衝突検知を対象としている。
【0009】
(歩行者保護システム1の全体構成)
図1に示したように、車両VEの前端部には、フロントバンパー21(車両の前方部に該当する)が取り付けられている。フロントバンパー21は左右方向(車幅方向)に延びており、バンパーカバー22とバンパーアブソーバー23とを含んでいる。バンパーカバー22は、合成樹脂材料にて形成されており、車両VEの前方部における意匠面を成している。バンパーアブソーバー23は、車両VEの前方部において衝突が発生した場合の衝撃吸収材として、バンパーカバー22の後方に設けられている。バンパーアブソーバー23は、例えば、発泡ポリプロピレンのような発泡樹脂によって形成されている。
【0010】
バンパーアブソーバー23は、その後端面23aにおいてバンパーリインフォースメント24の前面24aに取り付けられている。バンパーリインフォースメント24は、アルミニウム合金のような金属材料によって、内部が中空に形成された強度部材であって車幅方向に延びている。バンパーリインフォースメント24は、前後方向に延びた左右一対のサイドメンバ25R、25Lの前端部に固定されている。上述したフロントバンパー21、バンパーリインフォースメント24およびサイドメンバ25R、25Lによって、ボデーユニット2が形成されている。
【0011】
図2に示したように、前述したバンパーアブソーバー23の上端面23bには、車幅方向に延びた圧力チャンバ31(中空部材に該当する)が配置されている。圧力チャンバ31は、絶縁体である低密度ポリエチレンにより形成され、車両VEの衝突により変形する柔軟性を有している。圧力チャンバ31は、内部に圧力検出空間31aを有しており、圧力検出空間31a内には、空気が密封されている。
圧力チャンバ31には、圧力検出空間31aに連通する一対の圧力導入チューブ32が取り付けられている。圧力導入チューブ32は、圧力チャンバ31の長手方向の両端部に接続されている。それぞれの圧力導入チューブ32における圧力チャンバ31に接続されていない側の端部には、圧力センサ33(第1変形検出部に該当する)が接続されている。圧力センサ33には、半導体歪ゲージ式圧力センサまたは静電容量式圧力センサあるいはその他の圧力センサが使用される。圧力センサ33は、圧力検出空間31a内の空気の圧力Pdet(圧力検出空間内の圧力に該当し、以下、圧力検出値Pdetと言う)を検知している。尚、圧力チャンバ31の片側の端部のみに、圧力センサ33を設けてもよい。
【0012】
図2に示すように、圧力チャンバ31の断面は略矩形状に形成されており、その前方外周面31bには、前方導体板34(第1電極に該当する)が接着剤により貼付されている。また、圧力チャンバ31の後方外周面31cには、後方導体板35(第2電極に該当する)が接着剤により貼付されている。前方導体板34および後方導体板35は、それぞれ銅または鉄といった導電性の良好な板材により形成されている。前方導体板34および後方導体板35は、熱溶着またはインサート成形等によって、圧力チャンバ31に取り付けられていてもよい。
【0013】
前方導体板34は、圧力チャンバ31の前方外周面31bにおいて、車幅方向に並ぶように複数個設けられている(図3示)。また、後方導体板35は、圧力チャンバ31の後方外周面31c上において、一続きに形成されている。これに対して、前方導体板34を、圧力チャンバ31の前方外周面31b上において一続きに形成し、後方導体板35を、後方外周面31において、車幅方向に並ぶように複数個設けてもよい。また、前方導体板34および後方導体板35の双方を、それぞれ前方外周面31bまたは後方外周面31上において、車幅方向に並ぶように複数個設けてもよい。この場合、前方導体板34および後方導体板35が、一つずつ互いに対向するように配置される。以下、前方導体板34および後方導体板35を包括して、導体板34、35と言う。尚、上述した圧力チャンバ31、圧力導入チューブ32、圧力センサ33、導体板34、35により、チャンバ構造体3が形成されている。
図3に示したように、互いに対向した前方導体板34および後方導体板35により、複数のコンデンサC1、C2、C3、C4が形成されている。以下、コンデンサC1、C2、C3、C4を包括して、コンデンサC1〜C4と言う。
【0014】
図1に戻って、速度センサ4は、車両VEの図示しない車輪またはトランスミッション等に取り付けられ、車両VEの走行速度Vdet(以下、車速検出値Vdetと言う)を検出している。
歩行者保護装置5(保護装置に該当する)に含まれるカウルエアバッグ装置51は、フロントバンパー21に歩行者が衝突した際に、図1に示したエンジンフードHE上からフロントウィンドウWF下部にかけてバッグを展開させ、衝突した歩行者を保護する。
また、ポップアップフード52も、歩行者保護装置5に含まれている。ポップアップフード52は、フロントバンパー21に歩行者が衝突した際に、エンジンフードHEの後端を上昇させる。これによって、ポップアップフード52は緩衝部材となって、歩行者がエンジンなどの剛性を有した部材に衝突することを防ぎ、衝突した歩行者を保護する。
【0015】
(歩行者保護ECU6の構成)
車両VEにおいて、図示しない運転席前側のフロアトンネル上には、歩行者保護ECU6が取り付けられている。歩行者保護ECU6は、図示しない入出力装置、CPU、RAM等により形成された制御装置である。図4に示したように、歩行者保護ECU6には、上述した圧力センサ33、コンデンサC1〜C4、速度センサ4、カウルエアバッグ装置51およびポップアップフード52が、通信線によって接続されている。
歩行者保護ECU6は、車速判定部61、メイン判定部62、インピーダンス検出回路63、セーフィング判定部64、衝突位置検出部65、閾値設定部66、第1AND回路67、第2AND回路68および保護装置ドライバー69を含んでいる。
【0016】
車速判定部61は速度センサ4に接続され、速度センサ4による車速検出値Vdetが、所定の第1車速閾値Vth1以上であり、かつ、所定の第2車速閾値Vth2以下であるか否かを判定する。車速判定部61は、車速検出値Vdetが、第1車速閾値Vth1以上であり、かつ、第2車速閾値Vth2以下である場合に、ハイ(H)信号を出力する。
【0017】
メイン判定部62(第1変形検出部)は、圧力センサ33および速度センサ4に接続されている。メイン判定部62は、圧力センサ33による圧力検出値Pdetから有効質量M(所定の物理量に該当する)を算出し、有効質量Mが、所定の有効質量閾値Mth以上(所定の衝突閾値以上に該当する)であるか否かを判定する。メイン判定部62は、有効質量Mが有効質量閾値Mth以上である場合に、圧力チャンバ31の変形を決定し、H信号を出力する。
有効質量Mとは、衝突時における圧力検出値Pdetを用い、運動量と力積の関係を利用して算出する質量をいう。車両VEと物体OB(図6示)との衝突が発生した場合、歩行者とは質量の異なる衝突物では、圧力センサ33による圧力検出値Pdetが、歩行者の場合とは異なる。このため、人体の有効質量Mと、想定される他の衝突物の有効質量Mとの間に閾値を設定することにより、衝突物の種類を切り分けることが可能となる。この有効質量Mは、次式に示すように、圧力センサ33による圧力検出値Pdetの所定時間における区間積分値を、車速検出値Vdetで除することにより算出される。
M={∫Pdet(t)dt}/Vdet
尚、有効質量Mを算出する他の方法として、衝突した物体の運動エネルギーEを表す式E={M(Vdet)2}/2を用いて算出することが可能である。この場合、有効質量Mは、M=2×E/(Vdet)2により算出される。
【0018】
図5に示したように、インピーダンス検出回路63(第2変形検出部に該当する)は、発振回路と電流検出回路とを併せた構成によって形成されており、前述したコンデンサC1〜C4(導体板34、35)が接続されている。図5に示したインピーダンス検出回路63は、接続されるコンデンサC1〜C4ごとに(合計4個)形成され、それぞれのインピーダンス検出回路63が、各前方導体板34にそれぞれ接続されている。インピーダンス検出回路63は、高周波電圧源63a、高周波電圧源63aに接続されたアンプ63b、アンプ63bとコンデンサC1〜C4との間に接続された検出用抵抗63cおよび検出用抵抗63cに並列に接続されたボルトメーター63dにより形成されている。
各々のコンデンサC1〜C4は、前方導体板34と後方導体板35との間の距離に応じた容量CCを有している。容量CCは、下式によって算出される。
CC=ε×ε×(S/d)
但し、Sは前方導体板34の面積、dは前方導体板34と後方導体板35との間の距離、εは真空の誘電率、εは圧力検出空間31a内の空気の比誘電率とする。
【0019】
インピーダンス検出回路63において、検出用抵抗63cには、各コンデンサC1〜C4の容量CCに応じた検出電流Idet(電気信号に該当し、以下、電流検出値Idetと言う)が流れる。ボルトメーター63dによって検出された検出用抵抗63cの両端の電圧から、電流検出値Idetが求められる。
図6に示したように、車両VEのフロントバンパー21に物体OB(衝突物に該当する)が衝突すると、圧力チャンバ31の圧力検出空間31aは圧縮されて変形し、圧力検出空間31a内の圧力検出値Pdetが上昇する。またそれとともに、衝突部位に位置したコンデンサC2の前方導体板34と後方導体板35との間の距離dが減少し、コンデンサC2の容量CCが増大する。したがって、コンデンサC2に接続されたインピーダンス検出回路63において、電流検出値Idetも増大する。すなわち、インピーダンス検出回路63は、前方導体板34と後方導体板35との間の距離dに応じて変化する容量CCに応じて、電流検出値Idetを形成している。
【0020】
セーフィング判定部64(第2変形検出部)は、インピーダンス検出回路63と接続されており、インピーダンス検出回路63により形成された電流検出値Idetに基づいて、圧力チャンバ31の変形を検出している。セーフィング判定部64は、電流検出値Idetが、所定の電流閾値Ith以上(所定の電気的閾値以上に該当する)であるか否かを判定している。セーフィング判定部64は、いずれかのコンデンサC1〜C4の容量CCが増大し、インピーダンス検出回路63を流れる電流検出値Idetが電流閾値Ith以上となった場合に、圧力チャンバ31の変形を決定し、H信号を出力する。
【0021】
衝突位置検出部65は、インピーダンス検出回路63に接続されており、各位置に設けられた前方導体板34と後方導体板35との間の距離dに応じて形成された電流検出値Idetに基づいて、衝突が発生した車幅方向の位置Y(図6示)を検出している。すなわち、衝突位置検出部65は、電流検出値Idetが増大したインピーダンス検出回路63に接続されたコンデンサC1〜C4が設けられた車幅方向位置Yに、衝突があったことを検出する。衝突位置検出部65は、例えば、電流検出値Idetが最も増大したインピーダンス検出回路63に接続されたコンデンサC1〜C4(図6においてはC2)が設けられた車幅方向位置Yに、衝突があったことを検出する。
【0022】
閾値設定部66は、衝突位置検出部65およびメイン判定部62に接続されている。閾値設定部66は、衝突位置検出部65によって検出された歩行者衝突が発生した車両VEの車幅方向の位置Yに基づいて、前述した有効質量閾値Mthを変更(設定)し、メイン判定部62へと送信する。
一般的に、歩行者BH(衝突物に該当する)が、フロントバンパー21の左右方向中央部付近に衝突した時(図7A示)に比べて、フロントバンパー21の左右方向端部付近に衝突した場合(図7B示)は、車両VEに加わる衝撃が同じであっても、圧力検出空間31a内の圧力検出値Pdetが低めになる。したがって、閾値設定部66は、歩行者BHがフロントバンパー21の左右方向端部付近に衝突した時は、フロントバンパー21の左右方向中央部付近に衝突した場合に比べて、有効質量閾値Mthを低く設定している。
【0023】
第1AND回路67(衝突判定部)の一対の入力端は、メイン判定部62およびセーフィング判定部64に接続されている。第1AND回路67は、メイン判定部62において、有効質量Mが有効質量閾値Mth以上であると判定され、かつ、セーフィング判定部64において、電流検出値Idetが電流閾値Ith以上であると判定された場合に、H信号を出力する。この場合、歩行者BHを保護する歩行者保護装置5の作動を必要とする衝突の発生が検出されている。
【0024】
第2AND回路68の一対の入力端は、車速判定部61および第1AND回路67の出力端に接続されている。第2AND回路68は、車速判定部61において、車速検出値Vdetが第1車速閾値Vth1以上であり、かつ、第2車速閾値Vth2以下であると判定され、さらに、第1AND回路67からH信号が出力されている場合に、H信号を出力する。
保護装置ドライバー69は、第2AND回路68の出力端と歩行者保護装置5に接続されており、第2AND回路68からH信号が出力されている場合に、カウルエアバッグ装置51またはポップアップフード52を作動させる。
【0025】
(歩行者保護システム1の制御方法)
以下、図8に基づいて、歩行者保護ECU6による、歩行者保護システム1の制御方法について説明する。最初に、速度センサ4から車速判定部61に対し、車両VEの車速検出値Vdetが入力される(ステップS101)。次に、車速判定部61によって、車速検出値Vdetが、第1車速閾値Vth1以上であり、かつ、第2車速閾値Vth2以下であるか否かが判定される(ステップS102)。車速検出値Vdetが、第1車速閾値Vth1未満、または、第2車速閾値Vth2を越えていると判定された場合、本制御フローを終了する。車速検出値Vdetが、第1車速閾値Vth1以上であり、かつ、第2車速閾値Vth2以下であると判定された場合、圧力センサ33からメイン判定部62に対し、圧力検出値Pdetが入力される(ステップS103)。その後、メイン判定部62において、圧力検出値Pdetと車速検出値Vdetとから有効質量Mが算出される(ステップS104)。
【0026】
また、ステップS102において、車速検出値Vdetが、第1車速閾値Vth1以上であり、かつ、第2車速閾値Vth2以下であると判定された場合、各々のインピーダンス検出回路63から衝突位置検出部65に対し、電流検出値Idetが入力される(ステップS105)。衝突位置検出部65は、それぞれのインピーダンス検出回路63により検出された電流検出値Idetに基づいて衝突位置Yを算出し、閾値設定部66へ送信する(ステップS106)。閾値設定部66は、衝突位置Yに基づいて有効質量閾値Mthを設定し、メイン判定部62へと送信する(ステップS107)。メイン判定部62においては、算出した有効質量Mが有効質量閾値Mth以上であるか否かを判定する(ステップS108)。メイン判定部62は、有効質量Mが有効質量閾値Mth以上である場合には、圧力検出空間31aが変形したことを決定し、H信号を第1AND回路67へと送信する。有効質量Mが有効質量閾値Mth未満である場合には、メイン判定部62はロー(L)信号を第1AND回路67へと送信し、本制御フローを終了する。
【0027】
各々のインピーダンス検出回路63からは、セーフィング判定部64に対しても電流検出値Idetが入力される(ステップS109)。セーフィング判定部64は、入力されたそれぞれの電流検出値Idetが電流閾値Ith以上であるか否かを判定する(ステップS110)。セーフィング判定部64は、いずれかの電流検出値Idetが電流閾値Ith以上である場合には、圧力検出空間31aが変形していずれかのコンデンサC1〜C4の容量が増大したことを検出し、H信号を第1AND回路67へと送信する。すべてのインピーダンス検出回路63の電流検出値Idetが、電流閾値Ith未満である場合には、セーフィング判定部64はL信号を第1AND回路67へと送信し、本制御フローを終了する。有効質量Mが有効質量閾値Mth以上であって、かつ、いずれかのインピーダンス検出回路63の電流検出値Idetが、電流閾値Ith以上である場合には、フロントバンパー21への歩行者の衝突が発生したと判定される(ステップS111)。これにより、歩行者保護装置5が作動される(ステップS112)。
【0028】
<実施形態1の作用効果>
本実施形態によれば、圧力検出空間31a内の圧力を検出することにより、圧力チャンバ31の変形を決定するメイン判定部62を備えている。また、前方導体板34と後方導体板35との間の距離dに応じて形成された電流検出値Idetに基づいて、圧力チャンバ31の変形を決定するセーフィング判定部64を備えている。さらに、歩行者保護ECU6は、メイン判定部62によって検出された圧力チャンバ31の変形と、セーフィング判定部64によって検出された圧力チャンバ31の変形とに基づいて、衝突の発生を検出している。これによって、衝突判定の冗長性を満足し、車両VEへの衝突が発生したことを精度よく検出することができる。
また、前方導体板34および後方導体板35を、圧力チャンバ31の前方外周面31bまたは後方外周面31cに貼付等するのみで、セーフィング判定部64によって、圧力チャンバ31の変形を決定することができる。したがって、その製造工程を複雑化する必要がなく、製造が容易で、低コストの歩行者保護システム1にすることができる。
【0029】
また、メイン判定部62は、圧力検出空間31a内の圧力に基づいて検出される有効質量Mが有効質量閾値Mth以上である場合に、圧力チャンバ31が変形したことを決定する。また、各位置に設けられた前方導体板34と後方導体板35との間の距離に応じて形成された電流検出値Idetに基づいて、衝突が発生した車幅方向の位置Yを検出する衝突位置検出部65を備えている。さらに、衝突位置検出部65によって検出された衝突が発生した車幅方向の位置Yに基づいて、有効質量閾値Mthを設定する閾値設定部66を備えている。これにより、歩行者衝突が発生した車両VEの車幅方向の位置Yに応じて、歩行者衝突の検出感度を変更することができる。したがって、歩行者衝突が発生した車両VEの車幅方向の位置Yに拘わらず、歩行者衝突の発生を精度よく判定することができる。
【0030】
また、歩行者保護ECU6は、有効質量Mが有効質量閾値Mth以上であり、かつ、インピーダンス検出回路63により形成された電流検出値Idetが電流閾値Ith以上である場合に、圧力検出空間31aが変形し、車両VEに衝突が発生したことを検出する。これにより、圧力チャンバ31の圧力検出空間31aの変形を確実に決定することができ、衝突判定の冗長性を満足して、その検出精度を向上させることができる。
また、互いに対向した導体板34、35によりコンデンサC1〜C4が形成され、セーフィング判定部64は、コンデンサC1〜C4の容量CCに応じて形成された電流検出値Idetに基づいて、圧力チャンバ31の変形を決定している。これにより、前方導体板34と後方導体板35との間の距離の減少に起因したコンデンサC1〜C4の容量CCの低下を利用して、圧力チャンバ31の変形を容易に決定することができる。また、圧力チャンバ31の変形を決定するために、コンデンサC1〜C4の容量CCに応じて変化する電流検出値Idetを検出するのみでよいため、インピーダンス検出回路63を簡単な回路構成にすることができる。
【0031】
<実施形態1の第1変形例の構成>
図9に基づき実施形態1の第1変形例によるチャンバ構造体3Aについて説明する。尚、図9において、圧力導入チューブ32および圧力センサ33は省略されている。本変形例によるチャンバ構造体3Aは、実施形態1によるチャンバ構造体3に対し、前方導体板34に、絶縁シート36f(絶縁部材に該当する)を介して前方ガード電極37f(導電部材に該当する)が取り付けられている点が異なっている。さらに、後方導体板35に、絶縁シート36r(絶縁部材に該当する)を介して後方ガード電極37r(導電部材に該当する)が取り付けられている点も異なっている。その他の構成は、実施形態1によるチャンバ構造体3と同様である。尚、導体板34、35のうち、前方導体板34のみに、絶縁シート36fを介して前方ガード電極37fが取り付けられていてもよいし、後方導体板35のみに、絶縁シート36rを介して後方ガード電極37rが取り付けられていてもよい。以下、絶縁シート36fおよび絶縁シート36rを包括して、絶縁シート36f、36rと言い、前方ガード電極37fおよび後方ガード電極37rを包括して、ガード電極37f、37rと言う。
【0032】
絶縁シート36f、36rは、PET(Polyethylene terephthalate)フィルムまたはPEN(Polyethylene naphthalate)フィルムにより平板状に形成されている。また、ガード電極37f、37rは、銅または鉄といった導電性の良好な金属材によって板状に形成されている。絶縁シート36f、36rおよびガード電極37f、37rは、接着剤等により、導体板34、35に対し固定されている。
上述したように、導体板34、35に対し、それぞれ絶縁した状態でガード電極37f、37rを取り付けている。これにより、車両VE上における、チャンバ構造体3A以外の他部材FRとガード電極37f、37rとの間に容量(図9においてCnsにて示す)が発生することはあっても、他部材FRと導体板34、35との間の容量結合を防止することができる。
【0033】
<第1変形例の作用効果>
本変形例によれば、導体板34、35に対し、それぞれ絶縁シート36f、36rを介して、ガード電極37f、37rを取り付け、他部材FRと導体板34、35との間の容量結合を防止している。これにより、コンデンサC1〜C4において、精度よく前方導体板34と後方導体板35との間の距離に応じた容量CCを発生させることができる。したがって、電流検出値Idetに基づいて、圧力チャンバ31の変形を精度よく決定することができる。
【0034】
<実施形態1の第2変形例の構成>
図10および図11に基づき実施形態1の第2変形例による歩行者保護システム1について説明する。尚、図10において、圧力導入チューブ32および圧力センサ33は省略されている。本変形例による歩行者保護ECU6は、実施形態1によるインピーダンス検出回路63と同様のインピーダンス検出回路70(水分検出部に該当する)を含んでいる。図11に示したように、インピーダンス検出回路70は、発振回路と電流検出回路とを併せた構成によって形成されている。インピーダンス検出回路70は、チャンバ構造体3の隣り合った前方導体板34同士に接続されている。図11に示したインピーダンス検出回路70は、隣接した前方導体板34ごとに(合計3個)形成され、各々のインピーダンス検出回路70は、隣り合った双方の前方導体板34にそれぞれ接続されている。インピーダンス検出回路70は、インピーダンス検出回路63と同様に、高周波電圧源70a、アンプ70b、検出用抵抗70cおよびボルトメーター70dにより形成されている。
図10に示したように、隣り合った前方導体板34同士の間には、容量Cwおよび直流抵抗分rwが存在している。したがって、インピーダンス検出回路70において、検出用抵抗70cには、隣接した前方導体板34同士(第1電極同士に該当する)の間の容量Cwおよび直流抵抗分rwに応じた判定電流Idwが流れる。そして、ボルトメーター70dによって検出された検出用抵抗70cの両端の電圧から、判定電流Idwが求められる。
【0035】
通常、圧力チャンバ31には、圧力チャンバ31内の気圧を大気と同じに保つために、空気穴(図示せず)が設けられている。この空気穴により、圧力チャンバ31内に水分が浸入して、圧力チャンバ31内に結露が発生することがある。図10に示したように、圧力チャンバ31内が被水したり、圧力チャンバ31内において結露DWが発生したりすると、隣り合った前方導体板34同士の間の容量Cwが増加したり、直流抵抗分rwが減少したりする。したがって、隣接した前方導体板34同士の間に接続されたインピーダンス検出回路70において、判定電流Idwも変化する。インピーダンス検出回路70は、判定電流Idwを媒介して、隣り合った前方導体板34の間の容量Cwおよび直流抵抗分rwを検出し、それらに基づいて、圧力チャンバ31内における水分の有無を検出する。圧力チャンバ31内における水分の存在が検出された場合、車両VEにおいてウォーニングが発せられ、歩行者保護システム1の作動が停止される。
尚、後方導体板35を複数個設け、隣り合った後方導体板35同士(第2電極同士に該当する)の間の容量Cwおよび直流抵抗分rwを検出し、それらに基づいて、圧力チャンバ31内における水分の有無を検出してもよい。
【0036】
<第2変形例の作用効果>
本変形例によれば、インピーダンス検出回路70は、判定電流Idwを媒介して、隣り合った前方導体板34の間の容量Cwおよび直流抵抗分rwを検出している。そして、検出した容量Cwおよび直流抵抗分rwに基づいて、圧力チャンバ31内における水分の有無を検出している。これにより、圧力チャンバ31内の水分が、圧力チャンバ31内に形成された空気穴を塞ぐことを防止することができる。したがって、常に、圧力検出空間31a内の圧力を、正確に検出することができ、歩行者保護システム1を正常に作動させることができる。
【0037】
<実施形態2の構成>
図12乃至図16Bに基づき、実施形態2による歩行者保護システム1について説明する。尚、図12において、圧力導入チューブ32および圧力センサ33は省略されている。本実施形態によるチャンバ構造体3Bにおいては、圧力チャンバ31の前方外周面31bに、前方導体板34に代えて複数のインダクター38(第1電極および第2電極のうちの一側、コイルに該当する)が、車幅方向に並ぶように取り付けられている。各々のインダクター38は、導線がコイル状に巻回されて形成されており、軸方向(図13Bにおける上下方向)に所定の長さを有している。また、圧力チャンバ31の後方外周面31cには、車幅方向に延びた一続きの導電板39(第1電極および第2電極のうちの他側に該当する)が取り付けられている。導電板39は、銅または鉄といった導電性の良好な板材により形成されている。上述した場合と異なり、圧力チャンバ31の後方外周面31cに、複数のインダクター38を設け、前方外周面31bに、導電板39を取り付けてもよい。また、導電板39は、それぞれインダクター38と対向した複数の導電板によって形成されていてもよい。
【0038】
本実施形態による歩行者保護ECU6は、実施形態1によるインピーダンス検出回路63と同様のインピーダンス検出回路71(第2変形検出部に該当する)を含んでいる。インピーダンス検出回路71は、発振回路と電流検出回路とを併せた構成によって形成されており、各々のインダクター38が接続されている(図13A示)。インピーダンス検出回路71は、インダクター38ごとに(合計4個)形成され、それぞれのインダクター38に接続されている。各々のインピーダンス検出回路71は、接続された各々のインダクター38のインピーダンスに応じて形成された電気信号を検出している。
【0039】
図13Bに示したように、インピーダンス検出回路71によって所定の周波数の電流が印加されることにより、インダクター38は所定の磁束φを発生させる。インダクター38によって形成された磁束φにより、導電板39には渦電流ECが発生する(図13C示)。
車両VEのフロントバンパー21に衝突が発生すると、圧力チャンバ31の圧力検出空間31aは圧縮されて変形し、衝突部位に位置したインダクター38と導電板39との間の距離が減少し、磁束φが増大する(図14A示)。インダクター38による磁束φの増大にともなって、導電板39における渦電流ECも増大する(図14B示)。これにより、渦電流ECとインダクター38との相互誘導によって、インダクター38のインピーダンスが変化する。インピーダンス検出回路71は、それぞれのインダクター38のインピーダンスに応じて形成された電気信号に基づいて、圧力チャンバ31の変形量を検出している。インダクター38のインピーダンスに基づいて、インダクター38と導電板39との間の距離を検出する方法は公知であって、例えば、特許公開公報である特開2002−90105号または特開2011−119114号に開示されている。
【0040】
歩行者保護ECU6の衝突位置検出部65は、実施形態1と同様に、インピーダンス検出回路71に接続されている。衝突位置検出部65は、それぞれのインダクター38のインピーダンスに応じて形成された電気信号に基づいて、歩行者のフロントバンパー21への衝突位置Yを検出している。
また、閾値設定部66は、検出された歩行者衝突が発生した車両VEの車幅方向の位置Yに基づいて、有効質量閾値Mthを設定している。
また、実施形態1と同様に、歩行者保護ECU6は、車両VEが所定の車速条件を満たしている時に、有効質量Mが有効質量閾値Mth以上であって、かつ、それぞれのインダクター38のインピーダンスに応じて形成された電気信号が所定の閾値以上(または以下)である場合には、車両VEに衝突が発生したと判定する。車両VEに衝突が発生したと判定された場合、歩行者保護装置5が作動される。
【0041】
圧力チャンバ31の前方外周面31bには、インダクター38に代えて、図15Aおよび図15Bに示した平面コイル38A(第1電極、コイルに該当する)を取り付けてもよい。平面コイル38Aは、導線が、平面上において、真円状に巻回されて形成されている。
また、圧力チャンバ31の前方外周面31bには、図16Aおよび図16Bに示した平面コイル38B(第1電極、コイルに該当する)を取り付けてもよい。平面コイル38Bは、導線が、平面上において、矩形状に巻回されて形成されている。
圧力チャンバ31の前方外周面31bに、平面コイル38Aまたは平面コイル38Bを取り付けることにより、チャンバ構造体3Bの前後方向長さを低減することができる。
【0042】
<実施形態2の作用効果>
本実施形態によれば、圧力チャンバ31の前方外周面31bに、インダクター38が取り付けられ、後方外周面31cには、導電板39が取り付けられている。そして、インピーダンス検出回路71は、インダクター38に所定の周波数を有する電流を流した場合の、インダクター38のインピーダンスに応じて形成された電気信号に基づいて、圧力チャンバ31の変形を決定している。これにより、インダクター38と導電板39との間の距離の減少に起因したインダクター38のインピーダンスの変化を利用して、圧力チャンバ31の変形を容易に決定することができる。また、圧力チャンバ31の変形を決定するために、インダクター38のインピーダンスに応じて形成された電気信号を検出するのみでよいため、インピーダンス検出回路71を簡単な構成にすることができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
フロントバンパー21における歩行者衝突の発生を検出するために、有効質量Mを使用する代わりに、圧力検出空間31a内の圧力を所定の圧力閾値と比較してもよいし、圧力検出空間31a内の圧力に基づいて算出された荷重を、所定の荷重閾値と比較してもよい。あるいは、圧力検出空間31a内の圧力または圧力検出空間31a内の圧力に基づいて算出された荷重を、有効質量Mと併用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は歩行者保護システム(車両用衝突検知装置)、5は歩行者保護装置(保護装置)、21はフロントバンパー(車両の前方部)、31は圧力チャンバ(中空部材)、31aは圧力検出空間、31bは前方外周面、31cは後方外周面、33は圧力センサ(第1変形検出部)、34は前方導体板(第1電極、導体板)、35は後方導体板(第2電極、導体板)、36f,36rは絶縁シート(絶縁部材)、37fは前方ガード電極(導電部材)、37rは後方ガード電極(導電部材)、38はインダクター(第1電極および第2電極のうちの一側、コイル)、38A,38Bは平面コイル(第1電極および第2電極のうちの一側、コイル)、39は導電板(第1電極および第2電極のうちの他側)、62はメイン判定部(第1変形検出部)、63,71はインピーダンス検出回路(第2変形検出部)、64はセーフィング判定部(第2変形検出部)、65は衝突位置検出部、66は閾値設定部、67は第1AND回路(衝突判定部)、70はインピーダンス検出回路(水分検出部)、BHは歩行者(衝突物)、C1,C2,C3,C4はコンデンサ、CCはコンデンサの容量、Idetは電流検出値(電気信号)、Ithは電流閾値(電気的閾値)、Mは有効質量(所定の物理量)、Mthは有効質量閾値(衝突閾値)、OBは物体(衝突物)、Pdetは圧力検出値(圧力検出空間内の圧力)、VEは車両、Yは衝突が発生した車幅方向の位置を示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B