【実施例】
【0021】
実施例に係るコンソールボックス10は、合成樹脂からなる成形品であって、
図1および
図2に示すように、収納部12aが内側に画成されたボックス本体(本体)12と、このボックス本体12の後縁部(一縁)に設けられたヒンジ16を介して後縁部(一縁)が回動可能に支持された蓋体14とを備えている。蓋体14は、ボックス本体12の上端に伏せて収納部12aの開口を塞ぐ閉じ姿勢と、蓋体14における自由端となる前端部を持ち上げることでボックス本体12の後縁部に起立させた開き姿勢との間で姿勢変位し得るよう構成されている。そして、コンソールボックス10は、蓋体14を閉じ姿勢と開き姿勢との間で姿勢変位することで、収納部12aにおいて上方に開放する開口を開閉できるようになっている。なお、コンソールボックス10は、蓋体14を閉じ姿勢から約90°の開放角度で開くことができ、開き姿勢の蓋体14がボックス本体12の後縁部にほぼ垂直に立ち上がる。
【0022】
前記ヒンジ16は、ボックス本体12の後縁部に立ち上がるように形成された本体連結部18に設けられて、左右方向に延びるヒンジ軸20(
図3)と、蓋体14の後縁部に設けられて、ヒンジ軸20に回転可能に支持されるヒンジ軸受22(
図1)とから構成される。
図3に示すように、本体連結部18には、2本のヒンジ軸20,20が左右方向に離間して同軸的に設けられ、本体連結部18から左右方向へ突出する2本のヒンジ軸20,20の先端(開放端)が同じ方向(実施例では右向き)を向いている。なお、実施例では、一方(左側)のヒンジ軸20が他方(右側)のヒンジ軸20よりも直径が大きく形成され、一方のヒンジ軸20側に後述する制動機構30が配設される。蓋体14には、2本のヒンジ軸20,20に対応して2つのヒンジ軸受22,22が左右方向に離間して設けられ、2つのヒンジ軸受22,22の下部のそれぞれに、左右方向へ貫通する軸孔(図示せず)が同一直線上に形成されている。そして、ヒンジ16は、2本のヒンジ軸20,20をヒンジ軸受22,22の軸孔にそれぞれ嵌め合わせて、ヒンジ軸受22,22がヒンジ軸20,20に支持されて左右方向に延在する回転軸線周りに回転し得るよう接続される。
【0023】
前記コンソールボックス10には、ボックス本体12と蓋体14との間に、蓋体14の姿勢変位に対して抵抗を与える制動機構30(
図3〜
図17)が設けられている。実施例では、閉じ姿勢から開いた蓋体14を、制動機構30により任意の開放位置で停止できるように設定されている。実施例の制動機構30は、ヒンジ16と独立した別体のユニットとして構成されている。制動機構30について、第1実施例に関して説明するときは符号の数字に加えて「A」を付け、第2実施例に関して説明するときは符号の数字に加えて「B」を付け、第3実施例に関して説明するときは符号の数字に加えて「C」を付け、第4実施例に関して説明するときは符号の数字に加えて「D」を付ける。なお、第1〜第4実施例に共通する説明では、符号の「A」〜「D」のアルファベットを省略する。
【0024】
図4,7,8,12および15に示すように、制動機構30は、ボックス本体12に設けられた軸部材(軸部)32と、ボックス本体12にヒンジ16で回転可能に支持された蓋体14に設けられると共に軸部材32と回転可能に接続され、蓋体14の開閉に伴って軸部材に対して相対的に回転する接続部材(接続部)34とを備えている。また、制動機構30は、接続部材34に設けられた受け部(第3実施例では受け部材)36と、軸部材32に設けられ、蓋体14の開閉に伴って受け部36と相対的に回転すると共に該受け部36との当接により該軸部材32の軸方向へ弾性変形するばね部材(ばね部)38とを備えている。そして、制動機構30は、受け部36とばね部材38との弾力的な当接により軸部材32に対する接続部材34の相対的な回転に抵抗を与えることで、接続部材34と固定された蓋体14の姿勢変位を制動するよう構成されている。ここで、制動機構30は、軸部材32に対して接続部材34が一方へ所定範囲で相対的に回転するのに伴ってばね部材38の軸方向の弾性変形量が小さくなるように、受け部36とばね部材38とが当接する構成としてある。また、受け部36とばね部材38とは、軸部材32に対して接続部材34が他方へ所定範囲で相対的に回転するのに伴ってばね部材38の軸方向の弾性変形量が大きくなるように当接する構成としてある。実施例のコンソールボックス10は、閉じ姿勢と開き姿勢との間で開閉する蓋体14に応じた所定範囲において、蓋体14を閉じ姿勢から開き姿勢へ向けて姿勢変位するにつれてばね部材38の軸方向の弾性変形量が小さくなるように、受け部36とばね部材38とが当接するよう設定される。また、コンソールボックス10は、前記所定範囲において、蓋体14を開き姿勢から閉じ姿勢へ向けて姿勢変位するにつれてばね部材38の軸方向の弾性変形量が大きくなるように、受け部36とばね部材38とが当接するよう設定される。
【0025】
図7,8,12および15に示すように、前記軸部材32は、ボックス本体12の本体連結部18に取り付く取付軸40と、この取付軸40と反対側へ突出するように設けられ、接続部材34を回転可能に支持する支持軸42とを備えている。取付軸40は、軸中心を通る軸線を挟んで対称に延在する2箇所の円弧状周面と、軸中心を通る軸線を挟んで延在する2箇所の平面とを有し、円柱の一部を、軸線を挟んで対称な関係で軸方向に削り取ったような形状で形成されている。取付軸40は、軸方向と直交する面がほぼ小判形状になっており、本体連結部18に開設された取付孔(図示せず)に嵌め合わせることで、軸部材32がボックス本体12に対して取り付けられる。取付孔は、本体連結部18における左側のヒンジ軸20の根元部分に該ヒンジ軸20と反対向きである左側へ向けて取付軸40の外形と同一形状で開口しており、取付孔に取付軸40を嵌め合わせた軸部材32が、ボックス本体12に対して回転不能に固定される。また、軸部材32は、取付軸40と支持軸42との間に、該軸部材32の軸方向(ヒンジ16の回転軸線が延びる方向)と直交する方向(以下、単に半径方向という)に延出するように形成されたフランジ部44を有している。
【0026】
前記支持軸42は、軸中心を通る軸線を挟んで対称に延在する2箇所の円弧状周面と、軸中心を通る軸線を挟んで延在する2箇所の平面とを有し、円柱の一部を、軸線を挟んで対称な関係で軸方向に削り取ったような形状を基本形状としている(
図7,8,12および15参照)。すなわち、支持軸42の基本形状は、取付軸40とほぼ相似形状とされ、実施例では支持軸42の基本形状が取付軸40よりも小さくしてある。ここで、支持軸42は、2つの円弧状周面が、軸線を中心とした円の一部を構成するように形成されている。軸部材32は、取付軸40を本体連結部18の取付孔に嵌め合わせた際に、支持軸42がヒンジ軸20と反対側である左側へ延出すると共に、左右方向に延びる支持軸42の軸線がヒンジ軸20の軸線と一致するようになっている。
【0027】
図7,8,12および15に示すように、前記接続部材34は、板状の部材であり、軸部材32の支持軸42に嵌め合わせる軸受孔46が開設された本体部分と、この本体部分から半径方向へ延びる接続片48とを備えている。受け部36は、接続部材34の本体部分に設けられ、接続部材34と共に軸部材32に対して相対的に回転するようになっている。軸受孔46は、支持軸42の円弧状周面が一部を構成する円と同じ径に設定されており、支持軸42を軸受孔46に嵌め合わせることで、接続部材34が軸部材32の円弧状周面に案内されて該軸部材32に対してヒンジ16と同一軸線周りに回転可能に支持される。そして、接続部材34は、接続片48に開設された通孔48aに挿通したねじなどの固定具を蓋体14に締結して、蓋体14に対して固定される。
【0028】
図7,8,12および15に示すように、前記ばね部材38は、軸部材32と別体に構成された板状部材であり、支持軸42の基本形状と合わせてほぼ小判形状に開設された係合孔50を中央部に備えている。ばね部材38は、係合孔50に支持軸42を嵌め合わせて、軸部材32に対して回転不能に固定され、蓋体14の開閉に際して接続部材34に設けられた受け部36に対して相対的に回転するようになっている。ばね部材38は、ばね鋼などの弾性に富んだ素材で形成されて、軸部材32の軸方向である左右方向へ弾性変形可能に構成されている。また、ばね部材38は、軸部材32の軸線から半径方向外側へ延在するように形成され、受け部36との当接により、軸部材32の支持軸42に支持された半径方向内側を支点として半径方向外側が弾力的に変位する。
【0029】
前記制動機構30は、受け部36とばね部材38とが当たる当接面60,68の一方を傾斜面として、軸部材32および接続部材34の相対的な回転に伴って、ばね部材38の軸方向への弾性変形量(撓み量)を変化させる構成(第1実施例および第2実施例)とすることで、軸部材32および接続部材34の相対的な回転につれて、ばね部材38の弾性力による摺動抵抗を変化させることができる。また、制動機構30は、軸部材32および接続部材34の相対的な回転に伴って受け部36とばね部材38との当接位置がばね部材38の半径方向へ移り変わり、軸部材32および接続部材34の相対的な回転に伴って、ばね部材38の軸方向への弾性変形量(撓み量)を変化させる構成(第3実施例および第4実施例)とすることで、軸部材32および接続部材34の相対的な回転につれて、ばね部材38の弾性力による摺動抵抗を変化させることができる。
【0030】
前記制動機構30には、軸部材32に対して相対的に回転する接続部材34を規制位置で回転規制するストッパ手段が設けられている。コンソールボックス10では、蓋体14の閉じ姿勢または/および開き姿勢に対応してストッパ手段の規制位置が設定される。
図7,8,12および15に示すように、ストッパ手段は、受け部36(接続部材34)を挟んでばね部材38と反対側に位置して軸部材32に設けられて、軸部材32の軸方向へ弾性変形可能な規制部材52を備え、規制部材52と接続部材34とが対向して配置されている。規制部材52は、軸部材32と別体に構成された板状部材であり、支持軸42の基本形状と合わせてほぼ小判形状に開設された連結孔54を中央部に備えている。規制部材52は、連結孔54に支持軸42を嵌め合わせて、軸部材32に対して回転不能に固定され、蓋体14の開閉に際して接続部材34に対して相対的に回転するようになっている。規制部材52は、ばね鋼などの弾性に富んだ素材で形成されて、軸部材32の軸方向である左右方向へ弾性変形可能に構成されている。規制部材52には、接続部材34へ向けて突出する係止凸部56が設けられると共に、接続部材34には、係止凸部56と係脱可能な係止凹部58,59が規制部材52から凹むように設けられる。ストッパ手段は、所定の規制位置において係止凸部56が係止凹部58,59に嵌まって、軸部材32および接続部材34の相対的な回転を規制すると共に、規制部材52の弾性変形により係止凹部58,59から係止凸部56の抜け出しを許容するよう構成される。
【0031】
前記制動機構30では、軸部材32および接続部材34を、ステンレスなどの金属や合成樹脂などの剛性が高い素材で形成している。また、受け部36は、ばね部材38との当接により変形しない剛性を有するように、該受け部36自体や受け部36が一体的に設けられる接続部材34の板厚などが設定される。
【0032】
次に、制動機構30のより具体的な構成を第1〜第4の実施例を挙げて、更に説明する。なお、第1〜第4実施例で説明しない構成については、前述した事項を適用可能である。
【0033】
(制動機構の第1実施例)
第1実施例の制動機構30Aについて、
図3〜
図7を参照して説明する。
図7に示すように、第1実施例の制動機構30Aは、ボックス本体12に固定された軸部材32のフランジ部44と、蓋体14の姿勢変位につれて軸部材32に対して回転する接続部材34Aに一体的に設けられた受け部36Aとの間に、板状のばね部材38Aが配置される。接続部材34Aは、ほぼ長方形の板状部材であり、この接続部材34Aの長手方向一端に偏倚して開設された軸受孔46の周囲が受け部36Aとして機能するようになっている。そして、受け部36Aは、蓋体14の姿勢変位に伴う接続部材34Aの回転につれて平坦な板面がばね部材38Aの当接面60に重なる。ばね部材38Aは、ほぼ小判形状に形成され、該ばね部材38Aの両短手辺に沿って受け部36Aと当接する当接面60が2箇所に設けられている。ばね部材38Aは、係合孔50を支持軸42に嵌め合わせて軸部材32に取り付けた際に、支持軸42の根元に形成されたスペーサ部42aに軸受孔46の周囲が当接し、半径方向外側に位置する当接面60,60とフランジ部44との間に、ばね部材38Aの軸方向の変形を許容する隙間が設けられる。
【0034】
図7に示すように、ばね部材38Aの各当接面60は、ばね部材38Aの縁部分をプレス加工などで折り曲げて、係合孔50が設けられる中央部よりも受け部36A側へ突出するように形成されている。ばね部材38Aでは、軸部材32の軸方向へ臨む当接面60と中央部との段差が、接続部材34Aの縁に引っ掛かる掛止部62となっている。ばね部材38Aは、接続部材34Aの回転中心を挟んでばね部材38Aの半径方向に対向する2箇所の掛止部62,62の離間間隔が接続部材34Aの短手方向の幅に合わせて設定される。ばね部材38Aは、受け部36Aとの当接面60が軸部材32および受け部36A(接続部材34A)の相対的な回転方向へ向かうにつれて軸方向へ傾斜するように形成されている。2箇所の当接面60,60は、何れも回転方向の一方に向かうにつれて受け部36A側へ変位するように傾斜しており、接続部材34Aの回転中心を挟んで回転方向へ延在する2箇所の当接面60,60は、傾斜向きが反対になっている。そして、受け部36Aとばね部材38Aとは、回転方向へ等間隔となる2箇所で互いに当接するようになっている。
【0035】
前記制動機構30Aは、閉じ姿勢と開き姿勢との間で蓋体14が姿勢変位する際に接続部材34Aが軸部材32に対して所定範囲で相対的に回転するのに伴って、ばね部材38Aの当接面60に対して受け部36Aが当たる位置が回転方向に移り変わる(
図5および
図6参照)。ばね部材38Aは、当接面60において干渉量が大きい位置に受け部36Aが当接しているときに半径方向内側を支点とした弾性変形量が大きくなり、当接面60において干渉量が小さい位置に受け部36Aが当接しているときに半径方向内側を支点とした弾性変形量が小さくなるよう変化する。制動機構30Aは、蓋体14を閉じ姿勢から開放する際に、当接面60において傾斜により高い側から受け部36Aが当接し、開き姿勢へ向かうにつれて、当接面60において傾斜により低い側に当たる位置が移り変わるように設定される。制動機構30Aは、蓋体14を開き姿勢から閉じる際に、当接面60において傾斜により低い側から受け部36Aが当接し、閉じ姿勢へ向かうにつれて、当接面60において傾斜により高い側に当たる位置が移り変わるように設定される。
【0036】
図7に示すように、第1実施例のストッパ手段では、接続部材34Aの軸受孔46から突出する軸部材32の支持軸42の先端に連結孔54を嵌め合わせて、規制部材52Aが受け部36A(接続部材34Aの本体部分)を挟んでばね部材38Aと反対側に配置される。第1実施例の制動機構30Aは、軸部材32の支持軸42の先端に固定される規制部材52Aと、軸部材32のフランジ部44との間に、ばね部材38Aおよび接続部材34Aの本体部分を挟んで軸方向の変位を規制している。規制部材52Aには、接続部材34Aに向いた板面に、半径方向外側に偏倚して接続部材34A側へ突出する係止凸部56が1箇所設けられている。係止凸部56は、円形で突出端に向かうにつれて小径になる先細り形状になっている。接続部材34Aには、軸受孔46よりも接続片48側に位置して、係止凸部56を受け入れ可能な大きさで左右に貫通する係止凹部58が設けられている。ストッパ手段は、蓋体14が閉じ姿勢にある接続部材34Aと軸部材32との位置関係に対応して、係止凸部56が係止凹部58に嵌まって、軸部材32および接続部材34Aの相対的な回転を規制するよう構成される。また、ストッパ手段は、閉じ姿勢から蓋体14を開放する際の接続部材34Aの回転に伴って、規制部材52Aの弾性変形により係止凹部58から係止凸部56の抜け出しを許容している。更に、第1実施例の制動機構30Aは、蓋体14が開き姿勢にある接続部材34Aと軸部材32との位置関係に対応して、ばね部材38Aにおいて半径方向に離間する2箇所の掛止部62,62の間に受け部36A(接続部材34Aの本体部分)が嵌まり、開き姿勢を越えた蓋体14の姿勢変位を規制するよう構成される(
図6参照)。なお、蓋体14を開き姿勢から閉じる際には、接続部材34Aに押されたばね部材38Aの弾性変形により、掛止部62,62間からの接続部材34Aの抜け出しを許容している。
【0037】
(制動機構の第2実施例)
第2実施例の制動機構30Bについて、
図8〜
図11を参照して説明する。
図8に示すように、第2実施例の制動機構30Bは、蓋体14の姿勢変位につれて軸部材32に対して回転する接続部材34Bに一体的に設けられた受け部36Bと、ボックス本体12に固定された軸部材32において接続部材34Bの軸受孔46から突出する支持軸42に固定された板状のばね部材38Bとを備えている。接続部材34Bは、板状の部材であり、軸受孔46および受け部36Bが設けられる本体部分が、軸受孔46を中心とする円盤形状に形成され、この本体部分からほぼ長方形状の接続片48が半径方向に延びている。
【0038】
図8に示すように、ばね部材38Bは、係合孔50が設けられた本体部分がほぼ円形に形成されると共に、この本体部分から半径方向外側へ延びる延出片64が、係合孔50を挟んで対称な関係で2箇所に形成されている。ばね部材38Bは、接続部材34Bを挟んで軸部材32のフランジ部44と反対側で支持軸42に固定され、接続部材34Bにおけるフランジ部44と反対側の面に設けられた受け部36Bと対向するように配置される。また、ばね部材38Bには、両延出片64の外縁部に受け部36B側へ向けて突出する当接突起66が形成され、両当接突起66,66のそれぞれが受け部36Bの対応する当接面68に当接する。ここで、ばね部材38Bは、支持軸42においてばね部材38Bが嵌まる部分よりも径を小さく形成した先端の固定軸43に嵌め合わせた固定部材70と、受け部36B(接続部材34Bの本体部分)との間に挟まれて、軸方向の変位が規制される。固定部材70は、中央部に固定軸43に合わせて略小判形状に開口する固定孔70aが設けられた円盤形の板状部材であり、ばね部材38Bの円形本体部分とほぼ同じ外形に形成されている。すなわち、ばね部材38Bは、該ばね部材38Bを抜け止めする固定部材70より両延出片64,64が半径方向外側へ延出し、当接突起66と受け部36Bの当接面68との当接によって延出片64が軸方向へ弾性変形する際に、固定部材70が邪魔にならない。
【0039】
図8(a)に示すように、前記受け部36Bは、ばね部材38Bの当接突起66との当接面68が、軸部材32および受け部36B(接続部材34B)の相対的な回転方向へ向かうにつれて軸方向へ傾斜するように形成されている。各当接面68は、接続部材34Bの軸受孔46を中心とする円上に延在するように受け部36Bの外縁に設けられ、第2実施例では、約90°の角度に亘る2箇所の当接面68,68が、軸受孔46を挟んで対称な位置関係で受け部36Bに設けられている。2箇所の当接面68,68は、何れも回転方向の一方に向かうにつれてばね部材38B側へ変位するように傾斜しており、接続部材34Bの回転中心を挟んで回転方向へ延在する2箇所の当接面68,68は、傾斜向きが反対になっている。第2実施例の受け部36Bは、当接面68の低い部分が接続部材34Bを板厚方向に切り欠いて形成され、当接面68の高い部分が接続部材34Bの板厚と同じになっている。そして、受け部36Bとばね部材38Bとは、回転方向へ等間隔となる2箇所で互いに当接するようになっている。
【0040】
前記制動機構30Bは、閉じ姿勢と開き姿勢との間で蓋体14が姿勢変位する際に接続部材34Bが軸部材32に対して所定範囲で相対的に回転するのに伴って、受け部36Bの当接面68に対してばね部材38Bの当接突起66が当たる位置が軸方向に移り変わる(
図9参照)。ばね部材38Bは、当接面68との干渉量が大きい位置に当接突起66が当接しているときに半径方向内側を支点とした延出片64の弾性変形量が大きくなる(
図9(b))。ばね部材38Bは、当接面68との干渉量が小さい位置に当接突起66が当接しているときに半径方向内側を支点とした延出片64の弾性変形量が小さくなるよう変化する(
図9(c))。制動機構30Bは、蓋体14を閉じ姿勢から開放する際に、当接面68において傾斜により高い側から当接突起66が当接し、開き姿勢へ向かうにつれて、当接面68において傾斜により低い側に当たる位置が移り変わるように設定される。また、制動機構30Bは、蓋体14を開き姿勢から閉じる際に、当接面68において傾斜により低い側から当接突起66が当接し、閉じ姿勢へ向かうにつれて、当接面68において傾斜により高い側に当たる位置が移り変わるように設定される。
【0041】
図8に示すように、第2実施例のストッパ手段では、軸部材32のフランジ部44と接続部材34Bの本体部分との間で連結孔54を嵌め合わせて、規制部材52Bが受け部36B(接続部材34Bの本体部分)を挟んでばね部材38Bと反対側に配置されている。第2実施例の制動機構30Bは、軸部材32の先端の固定軸43に固定される固定部材70と、軸部材32のフランジ部44との間に、規制部材52B、接続部材34Bおよびばね部材38Bを挟んで軸方向の変位を規制している。規制部材52Bは、円盤状の部材であり、連結孔54の短手辺に沿う円弧状開口縁の囲うように延在する2箇所の貫通溝72が、連結孔54を長手方向に挟んで対称に設けられている。また、規制部材52Bには、接続部材34B側へ突出する円形の係止凸部56が連結孔54を長手方向に挟んで2箇所に設けられ、各係止凸部56が貫通溝72より外側で貫通溝72の回転方向中央に配置されている。すなわち、係止凸部56は、貫通溝72によって弾性変形し易くされた規制部材52Bの外縁に設けられ、接続部材34Bに設けられた係止凹部58から係止凸部56を抜き出すときの抵抗を小さくしている。規制部材52Bには、連結孔54を短手方向に挟んで半径方向外側へ延出する係止突片74が2箇所に設けられている。
【0042】
図8に示すように、接続部材34Bの本体部分には、規制部材52Bに臨む面に、規制部材52B側から凹む2箇所の係止凹部58,58が、軸受孔46を挟んで対称な位置関係で設けられている。2箇所の係止凹部58,58は、係止凸部56を受け入れ可能な大きさで形成され、接続部材34Bにおいて接続片48が延びる方向に離間して配置されている。また、接続部材34Bの本体部分には、規制部材52Bに臨む面に、規制部材52B側へ突出する2箇所の規制突起76,76が設けられている。2箇所の規制突起76,76は、接続部材34Bとの相対的な回転に際する規制部材52Bの係止突片74の回転軌跡上に配置され、回転方向へほぼ90°の角度で離間している。ストッパ手段は、蓋体14が開き姿勢にある接続部材34Bと軸部材32との位置関係に対応して、係止凸部56が係止凹部58に嵌まって、軸部材32および接続部材34Bの相対的な回転を規制するよう構成される(
図11参照)。この際に、規制部材52Bにおける係止突片74の一方と規制突起76の一方とが引っ掛かり、開き姿勢を越えた蓋体14の姿勢変位を規制するよう構成される。そして、ストッパ手段は、開き姿勢から蓋体14を閉じる際の接続部材34Bの回転に伴って、規制部材52Bの弾性変形により係止凹部58から係止凸部56の抜け出しを許容するようになっている。
【0043】
図8(a)に示すように、前記受け部36B(接続部材34Bの本体部分におけるばね部材38Bに臨む面)には、ばね部材38B側から凹む2箇所の規制凹部78,78が、軸受孔46を挟んで対称な位置関係で設けられている。2箇所の規制凹部78,78は、接続部材34Bとの相対的な回転に際するばね部材38Bの当接突起66の回転軌跡上に配置され、回転方向へ180°の角度で離間している。また、2箇所の規制凹部78,78は、反対側へ向けて開口する2箇所の係止凹部58,58と同様に、軸受孔46を挟んで接続片48が延びる方向に離間して配置されている。第2実施例の制動機構30Bは、蓋体14が閉じ姿勢にある接続部材34Bと軸部材32との位置関係に対応して、当接突起66が規制凹部78に嵌まって、軸部材32および接続部材34Bの相対的な回転を規制するよう構成される(
図10参照)。また、制動機構30Bは、閉じ姿勢から蓋体14を開放する際の接続部材34Bの回転に伴って、ばね部材38Bの延出片64の弾性変形により規制凹部78から当接突起66の抜け出しが許容される。
【0044】
(制動機構の第3実施例)
第3実施例の制動機構30Cについて、
図12〜
図14を参照して説明する。
図12に示すように、第3実施例の制動機構30Cは、ボックス本体12に固定された軸部材32のフランジ部44と、蓋体14の姿勢変位につれて軸部材32に対して回転する接続部材34Cと別体に設けられた受け部材(受け部)36Cとの間に、板状のばね部材38Cが配置されている。接続部材34Cは、板状の部材であり、軸受孔46が設けられる本体部分が、軸受孔46を中心とする円盤形状に形成され、この本体部分からほぼ長方形状の接続片48が半径方向に延びている。受け部材36Cは、接続部材34Cの本体部分と同じ外径で形成された円形の板状部材であり、軸受孔46に合わせた支持孔80が中央部に開設されている。受け部材36Cには、板厚方向に貫通する2箇所の設置孔82,82が、支持孔80を挟んで対称な位置関係で形成されている。受け部材36Cは、接続部材34Cの本体部分に軸受孔46を挟んで対称な位置関係で突出して形成された2箇所の設置突起84,84を、2箇所の設置孔82,82にそれぞれ嵌め合わせて、接続部材34Cの本体部分において軸部材32のフランジ部44側の面に回転不能に取り付けられる。受け部材36Cおよび接続部材34Cは、軸部材32の支持軸42に支持孔80および軸受孔46を嵌め合わせて回転可能に支持され、蓋体14の開閉に伴って軸部材32に対して一体的に回転するようになっている。
【0045】
図12に示すように、ばね部材38Cは、受け部材36Cと同じ外径に設定された円盤形の板状部材であり、中央部に開設された係合孔50を軸部材32の支持軸42に嵌め合わせて、受け部材36Cに相対するように軸部材32に取り付けられる。ばね部材38Cは、軸部材32のフランジ部44より外径が大きく設定され、ばね部材38Cの軸方向の弾性変形に際してフランジ部44が邪魔にならない。ばね部材38Cには、受け部材36C側へ突出するばね当接面(当接面)86が、軸部材32および接続部材34Cの相対的な回転方向と交差して延びるように形成されている。より具体的には、ばね当接面86は、前記回転方向および半径方向と交差して弧状に湾曲するよう延在し、換言すると、回転方向の一方へ向かうにつれて半径方向内側から外側へ変位するように延在している。また、ばね当接面86は、半径方向外側へ凸となる弧状に延びている。ばね部材38Cには、係合孔50を挟んで2箇所のばね当接面86,86が設けられ、2箇所のばね当接面86,86が係合孔50を回転中心として180°回転させた間隔および姿勢で配置される。ばね部材38Cは、軸部材32と受け部材36Cとの間で、軸方向に弾性力が発生するように挟まれている。
【0046】
図12(b)に示すように、前記受け部材36Cには、ばね部材38Cの2箇所のばね当接面86,86に対応して、2箇所の支持当接面(当接面)88,88がばね部材38C側へ突出するように設けられている。各支持当接面88は、軸部材32および接続部材34Cの相対的な回転方向と交差して延びるように形成されている。より具体的には、支持当接面88は、前記回転方向および半径方向と交差して弧状に湾曲するよう延在し、換言すると、回転方向の他方へ向かうにつれて半径方向内側から外側へ変位するように延在している。支持当接面88は、回転方向に向けた半径方向の変位向きがばね当接面86と反対になっている。支持当接面88は、半径方向外側へ凸となる弧状に延びている。また、支持当接面88は、ばね当接面86と回転方向の長さおよび半径方向の変位幅が同じに設定され、蓋体14の姿勢変位範囲に応じた所定範囲に亘ってばね当接面86に当接する。受け部材36Cには、支持孔80を挟んで2箇所の支持当接面88,88が設けられ、2箇所の支持当接面88,88が支持軸受孔80を回転中心として180°回転させた間隔および姿勢で配置される。そして、受け部材36Cとばね部材38Cとは、回転方向へ等間隔となる2箇所で互いに当接するようになっている。
【0047】
前記制動機構30Cは、閉じ姿勢と開き姿勢との間で蓋体14が姿勢変位する際に接続部材34Cが軸部材32に対して所定範囲で相対的に回転するのに伴って、ばね部材38Cのばね当接面86に対して受け部材36Cの支持当接面88が当たる位置が半径方向に移り変わる(
図13および
図14)。ばね部材38Cは、ばね当接面86と支持当接面88が半径方向内側位置で当接して支点となる係合孔50側の近くで受け部材36Cと互いに干渉すると、半径方向内側を支点とした弾性変形量が大きくなるように取り付けられる。ばね部材38Cは、ばね当接面86と支持当接面88が半径方向外側位置で当接して支点となる係合孔50より遠くで受け部材36Cと互いに干渉すると、半径方向内側を支点とした弾性変形量が小さくなるように取り付けられる。受け部材36Cとばね部材38Cとは、蓋体14の閉じ姿勢に対応した軸部材32と接続部材34Cとの位置関係において、ばね当接面86と支持当接面88が半径方向内側位置で当接するように設定され(
図13)、蓋体14を閉じ姿勢から開放するにつれて、互いに当接する位置が半径方向内側から外側に移り変わる。また、受け部材36Cとばね部材38Cとは、蓋体14の開き姿勢に対応した軸部材32と接続部材34Cとの位置関係において、ばね当接面86と支持当接面88が半径方向外側位置で当接するように設定され(
図14)、蓋体14を開き姿勢から閉じるにつれて、互いに当接する位置が半径方向外側から内側に移り変わる。
【0048】
図12に示すように、第3実施例のストッパ手段では、接続部材34Cの軸受孔46から突出する軸部材32の支持軸42に連結孔54を嵌め合わせて、規制部材52Cが受け部材36C(接続部材34Cの本体部分)を挟んでばね部材38Cと反対側に配置される。第3実施例の制動機構30Cは、軸部材32の先端の固定軸43に固定される固定部材70と、軸部材32のフランジ部44との間に、規制部材52C、接続部材34C、受け部材36Cおよびばね部材38Cを挟んで軸方向の変位を規制している。規制部材52Cは、中央部に形成された連結孔54の短手方向に長手が延在するほぼ小判形の板状部材である。また、規制部材52Cは、連結孔54を長手方向に挟んで接続部材34C側へ突出する円形の係止凸部56が2箇所設けられ、各係止凸部56が規制部材52Cの長手に離間する縁部に配置されている。接続部材34Cの本体部分には、規制部材52Cに臨む面に、規制部材52C側から凹む2箇所の第1係止凹部(係止凹部)58,58が、軸受孔46を挟んで対称な位置関係で設けられている。2箇所の第1係止凹部58,58は、係止凸部56を受け入れ可能な大きさで形成され、接続部材34Cにおいて接続片48が延びる方向と直交する方向に離間して配置されている。また、接続部材34Cの本体部分には、規制部材52Cに臨む面に、規制部材52C側から凹む2箇所の第2係止凹部(係止凹部)59,59が、軸受孔46を挟んで対称な位置関係で、第1係止凹部58と回転方向へずらして設けられている。2箇所の第2係止凹部59,59は、係止凸部56を受け入れ可能な大きさで形成され、接続部材34Cにおいて接続片48が延びる方向に離間して、2箇所の第1係止凹部58,58に対して90°回転した位置関係で配置されている。第1係止凹部58は、係止凸部56と同じ円形状で形成されているのに対して、第2係止凹部59は、回転方向と交差する方向に長手が延在する長孔形状に形成されている。また、第1係止凹部58は、係止凸部56の全体を受け入れ可能な大きさで設定されているのに対して(
図13(c))、第2係止凹部59は、回転方向に沿う短手幅が係止凸部56の先細り形状の先端だけを受け入れ可能な大きさに設定されている(
図14(c))。すなわち、係止凸部56と第1係止凹部58との嵌合による接続部材34Cと軸部材32との相対的な回転規制が、係止凸部56と第2係止凹部59との嵌合よりも強くなっており、係止凸部56と第2係止凹部59との嵌合を、係止凸部56と第1係止凹部58との嵌合よりも解除し易く構成してある。
【0049】
第3実施例のストッパ手段は、蓋体14が閉じ姿勢にある接続部材34Cと軸部材32との位置関係に対応して、係止凸部56が第1係止凹部58に嵌まって、軸部材32および接続部材34Cの相対的な回転を規制するよう構成される(
図13(c))。ストッパ手段は、閉じ姿勢から蓋体14を開放する際の接続部材34Cの回転に伴って、規制部材52Cの弾性変形により第1係止凹部58から係止凸部56の抜け出しを許容している。ストッパ手段は、蓋体14が開き姿勢にある接続部材34Cと軸部材32との位置関係に対応して、係止凸部56が第2係止凹部59に嵌まって、軸部材32および接続部材34Cの相対的な回転を規制するよう構成される。そして、ストッパ手段は、開き姿勢から蓋体14を閉じる際の接続部材34Cの回転に伴って、規制部材52Cの弾性変形により第2係止凹部59から係止凸部56の抜け出しを許容している。
【0050】
(制動機構の第4実施例)
第4実施例の制動機構30Dについて、
図15〜
図17を参照して説明する。
図15に示すように、第4実施例の制動機構30Dは、ボックス本体12に固定された軸部材32のフランジ部44と、蓋体14の姿勢変位につれて軸部材32に対して回転する接続部材34Dと一体に設けられた受け部36Dとの間に、板状のばね部材38Dが配置される。接続部材34Dは、板状の部材であり、軸受孔46および受け部36Dが設けられる本体部分が、軸受孔46を中心とした円盤形状に形成され、この本体部分からほぼ長方形状の接続片48が半径方向に延びている。なお、第4実施例のばね部材38Dは、第3実施例と同様な構成なので説明を省略する。
【0051】
図15(b)に示すように、前記受け部36Dには、ばね部材38Dの2箇所のばね当接面86に対応して、2箇所の支持当接面(当接面)90,90がばね部材38D側へ突出するように設けられている。各支持当接面90は、軸部材32および接続部材34Dの相対的な回転方向と交差して半径方向へ延びるように形成されている。すなわち、半径方向に直線的に延在する支持当接面90は、ばね当接面86の半径方向の変位幅以上に亘って半径方向に延びるように形成され、蓋体14の姿勢変位範囲に応じた所定範囲に亘ってばね当接面86に当接する。受け部36Dには、軸受孔46を挟んで2箇所の支持当接面90,90が設けられ、2箇所の支持当接面90,90が軸受孔46を回転中心として180°回転させた間隔で接続片48の延在方向に離間して配置されている。そして、受け部36Dとばね部材38Dとは、回転方向へ等間隔となる2箇所で互いに当接するようになっている。
【0052】
前記制動機構30Dは、閉じ姿勢と開き姿勢との間で蓋体14が姿勢変位する際に接続部材34Dが軸部材32に対して所定範囲で相対的に回転するのに伴って、ばね部材38Dのばね当接面86に対して受け部36Dの支持当接面90が当たる位置が半径方向に移り変わる(
図16および
図17)。ばね部材38Dは、ばね当接面86と支持当接面90が半径方向内側位置で当接して支点となる係合孔50側の近くで受け部36Dと互いに干渉すると、半径方向内側を支点とした弾性変形量が大きくなるように取り付けられる。ばね部材38Dは、ばね当接面86と支持当接面90が半径方向外側位置で当接して支点となる係合孔50より遠くで受け部36Dと互いに干渉すると、半径方向内側を支点とした弾性変形量が小さくなるように取り付けられる。受け部36Dとばね部材38Dとは、蓋体14の閉じ姿勢に対応した軸部材32と接続部材34Dとの位置関係において、ばね当接面86と支持当接面90が半径方向内側位置で当接するように設定され(
図16(a)および(b))、蓋体14を閉じ姿勢から開放するにつれて、互いに当接する位置が半径方向内側から外側に移り変わる。また、受け部36Dとばね部材38Dとは、蓋体14の開き姿勢に対応した軸部材32と接続部材34Dとの位置関係において、ばね当接面86と支持当接面90が半径方向外側位置で当接するように設定され(
図17(a)および(b))、蓋体14を開き姿勢から閉じるにつれて、互いに当接する位置が半径方向外側から内側に移り変わる。なお、第4実施例のストッパ手段は、第3実施例と同様であるので説明を省略する。
【0053】
〔実施例の作用〕
次に、実施例の作用について説明する。前述したように、受け部36とばね部材38とは、軸部材32に対して接続部材34が一方へ所定範囲で相対的に回転するのに伴って該ばね部材38の軸方向の弾性変形量が小さくなるように当接する構成であるので、この一方へ回転させる蓋体14の姿勢変位につれて、制動機構30から蓋体14にかかる抵抗を小さくすることができる。また、受け部36とばね部材38とは、軸部材32に対して接続部材34が他方へ所定範囲で相対的に回転するのに伴って該ばね部材38の軸方向の弾性変形量が大きくなるように当接する構成であるので、この他方へ回転させる蓋体14の姿勢変位につれて、制動機構30から蓋体14にかかる抵抗を大きくすることができる。そして、制動機構30は、ボックス本体12に設けた軸部材32と、軸部材32に回転可能に支持され、蓋体14に設けた接続部材34と、ばね部材38と、ばね部材38と当接する受け部36とで基本的に構成することができ、部品点数が少なく簡易な構造である。特に第1,第2および第4実施例のように、受け部36A,36B,36Dを接続部材34A,34B,34Dと一体的に設けることで、更に部品点数を減らすことができる。なお、第3実施例のように、受け部材(受け部)36Cと接続部材34Cを別体とすることで、受け部材36Cおよび接続部材34Cの構成の自由度を増すことができるメリットがある。また、制動機構30は、軸方向に重なる受け部36とばね部材38との2つの板状部材により、軸部材32と接続部材34との間で抵抗をかける構成であるので、抵抗を付与する構造についても簡単でコンパクトである。そして、制動機構30は、軸部材32に対して接続部材34が相対的に回転するのに伴って受け部36とばね部材38との当接状態を変化させるだけの簡単でコンパクトな構成で、制動機構30から蓋体14に付与する抵抗を変化させることができる。
【0054】
前記制動機構30は、受け部36とばね部材38とが、軸部材32および接続部材34の相対的な回転方向へ等間隔となる2箇所で互いに当接するよう構成してあるので、受け部36とばね部材38との当接による負荷を軸部材32と接続部材34との間でバランスよくかけることができる。すなわち、受け部36やばね部材38が傾いて当接して他の部材と干渉するなど、ばね部材38の弾性変形よる抵抗以外の意図しない力がかかることを防止でき、制動機構30から蓋体14に対して適切な抵抗を与えることができる。
【0055】
第1および第2実施例の制動機構30A,30Bによれば、軸部材32および接続部材34の相対的な回転につれて、受け部36A,36Bまたはばね部材38A,38Bの一方の傾斜する当接面60,68と、受け部36A,36Bまたはばね部材38A,38Bの他方との当たる位置が移り変わる簡単な構成で、ばね部材38A,38Bの弾性変形量を軸部材32と接続部材34A,34Bとの相対的な回転に伴って変化させることができる。第1および第2実施例の当接面60,68は、回転方向に沿って延在して軸方向へ勾配がある傾斜面であるから、軸部材32と接続部材34A,34Bとの相対的な回転に伴って相手方を当接面60,68の傾斜に沿ってスムーズに変位させることができる。すなわち、使用者が蓋体14を開閉操作しているときは、受け部36A,36Bとばね部材38A,38Bとの当接による回転方向の摺接負荷を軽減してスムーズな蓋体14の開閉を許容できる。そして、使用者が適宜の開放位置で蓋体14を停止したときは、弾性変形したばね部材38A,38Bによって軸方向にかかる押圧力で、接続部材34A,34Bの軸部材32に対する回転に抵抗を与えて、蓋体14を適切に制動することができる。
【0056】
第1実施例の制動機構30Aは、ばね部材38Aにおける受け部36Aとの当接面60を軸方向へ傾斜するように形成することで、軸部材32および接続部材34Aの相対的な回転につれて、受け部36Aに当接する当接面60の傾斜に応じてばね部材38A自体の弾性変形量を変化させることができる。すなわち、当接面60がばね部材38Aに設けられているので、受け部36Aにおける前記当接面60との当接部分を平坦にするなど、構成を簡単にすることができ、受け部36Aの構成をより簡略化することができる。
【0057】
第2実施例の制動機構30Bは、受け部36Bにおけるばね部材38Bとの当接面68を軸方向へ傾斜するように形成することで、軸部材32および接続部材34Bの相対的な回転につれて、ばね部材38Bに当接する当接面68の傾斜に応じてばね部材38Bの弾性変形量を変化させることができる。すなわち、当接面68が受け部36Bに設けられているので、ばね部材38Bにおいて受け部36Bに当接する部分を単なる突起形状の当接突起66とするなど、構成を簡単にすることができ、ばね部材38Bの構成をより簡略化することができる。しかも、第2実施例では、受け部36Bの当接面68が接続部材34Bの板厚を用いて傾斜を付けてあるので、受け部36Bの軸方向の幅をよりコンパクトにすることができ、制動機構30B全体として省スペース化を図り得る。
【0058】
第3および第4実施例の制動機構30C,30Dによれば、受け部36C,36Dまたはばね部材38C,38Dの一方に回転方向と交差するように延在する当接面86,88,90と、受け部36C,36Dまたはばね部材38C,38Dの他方に設けられた当接面86,88,89との当たる位置が、回転につれて半径方向に移り変わる簡単な構成で、ばね部材38C,38Dの弾性変形量を軸部材32と接続部材34C,34Dとの相対的な回転に伴って変化させることができる。第3実施例によれば、受け部36Cおよびばね部材38Cの両当接面86,88を、回転方向および半径方向と交差して弧状に湾曲する延在形状としてあるので、軸部材32と接続部材34Cとの相対的な回転に際して、両当接面86,88が当たる位置の回転中心からの距離により、回転時の抵抗を変化させることができる。すなわち、使用者が蓋体14の開閉操作において、受け部36Cとばね部材38Cとが半径方向内側で当接するときにばね部材38Cの変形が大きくなって抵抗が増し、受け部36Cとばね部材38Cとが半径方向外側で当接するときにばね部材38Cの変形が小さくなって抵抗が減る。そして、使用者が適宜の開放位置で蓋体14を停止したときは、弾性変形したばね部材38Cによって軸方向にかかる押圧力で、接続部材34Cの軸部材32に対する回転に抵抗を与えて、蓋体14を適切に制動することができる。また、第4実施例によれば、受け部36Dおよびばね部材38Dの他方の当接面90を半径方向に延在する直線的な構成とすることで、他方の当接面90の構成を簡単にすることができる。
【0059】
(コンソールボックス)
前述した制動機構30が設けられたコンソールボックス10は、制動機構30の受け部36とばね部材38とが、蓋体14を閉じ姿勢から開き姿勢へ向けて姿勢変位するにつれて、該ばね部材38の軸方向の弾性変形量が小さくなるように当接する構成であるので、蓋体14を閉じ姿勢から開放するにつれて制動機構30からかかる抵抗を小さくすることができる。すなわち、蓋体14が立ち上がるにつれて開放に要する力が小さくなるのに応じて、制動機構30の抵抗が小さくなるので、蓋体14をスムーズに開放することができる。そして、蓋体14が立ち上がるにつれて使用者が蓋体14を持ち上げ難くなったとしても、制動機構30の抵抗が開放に応じて小さくなるので、蓋体14の開放操作を楽に行うことができる。また、制動機構30の受け部36とばね部材38とは、蓋体14を開き姿勢から閉じ姿勢へ向けて姿勢変位するにつれて、該ばね部材38の軸方向の弾性変形量が大きくなるように当接する構成であるので、蓋体14を開き姿勢から閉じるにつれて制動機構30からかかる抵抗を大きくすることができる。すなわち、開き姿勢にある蓋体14が強く押されたとしても、閉じ姿勢に向かうに伴って制動機構30の抵抗が大きくなるから、閉じ姿勢に向かう蓋体の姿勢変位を適切に制動することができ、蓋体14がボックス本体12に強くぶつかったりするなどを防止することができる。また、蓋体14が閉じ姿勢に近い半閉じ状態で蓋体14の自重による影響があっても、蓋体14を半閉じ状態で維持できる。
【0060】
前記制動機構30は、ヒンジ16と別体のユニットとして構成され、ヒンジ16による蓋体14のボックス本体12への取り付けや取り外しなどと独立して、制動機構30を取り付けまたは取り外しすることができ、自由度が高い。また、制動機構30は、軸部材32の取付軸40をボックス本体12の取付孔に嵌め合わせると共に、接続部材34を蓋体14にねじ止めするだけで、コンソールボックス10に取り付けることができる。同様に、制動機構30は、接続部材34を蓋体14から取り外すと共に、ボックス本体12から軸部材32を引き抜くだけで、簡単に取り外すことができる。すなわち、前述した制動機構30は、交換や付与する抵抗の調節などのメンテナンスを行い易い。
【0061】
(ストッパ手段)
前記制動機構30は、ばね部材38および受け部36とは別に規制部材52を設けて、この規制部材52および接続部材34間で係止凸部56と係止凹部58,59との凹凸により、軸部材32と接続部材34との相対的な回転を規制する構成である。これにより、軸部材32と接続部材34とを所定位置で回転規制するためにばね部材38や受け部36の構成が複雑になったり、ばね部材38の弾性変形が妨げられたり、ばね部材38と受け部38とが引っ掛かるなどを防止でき、蓋体14のスムーズな姿勢変位と、係止凸部56および係止凹部58,59の係合による適切な回転規制とを両立させることができる。制動機構30は、蓋体14の閉じ姿勢に対応してストッパ手段で回転規制するよう構成してあるので、車両走行時の振動などで蓋体14が開かないように閉じ姿勢で保持することができる。これにより、コンソールボックス10に設けて蓋体14を閉じ姿勢で保持するロック装置を省略したり、ロック装置を簡略化することが可能となる。制動機構30は、蓋体14の開き姿勢に対応してストッパ手段で回転規制するよう構成してあるので、開き姿勢を越えて蓋体14が開かないように開き姿勢で保持することができる。これにより、コンソールボックス10に設けて蓋体14を開き姿勢で回転規制する別の部材を省略したり、当該部材を簡略化することが可能となる。
【0062】
(変更例)
前述した実施例に限らず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)実施例では軸部材(軸部)をボックス本体(本体)に設け、接続部材(接続部)を蓋体に設けたが、軸部材(軸部)を蓋体に設け、接続部材(接続部)をボックス本体(本体)に設ける構成であってもよい。
(2)実施例では、制動機構をボックス本体および蓋体と別体のユニットとして構成したが、軸部材(軸部)をボックス本体(本体)または蓋体と一体的に形成したり、接続部材(接続部)をボックス本体(本体)または蓋体と一体的に形成してもよい。また、制動機構をヒンジに組み込んでもよい。
(3)ばね部材(ばね部)は、接続部材(接続部)に対して軸部材(軸部)のボックス本体(本体)への設置側に配置しても、接続部材(接続部)を挟んで軸部材(軸部)のボックス本体(本体)への設置側と反対側に配置してもよい。また、ばね部材(ばね部)は、軸部材(軸部)と一体的な構成としてもよい。
(4)受け部とばね部材(ばね部)とが当たる位置は、回転方向に等間隔な2箇所に限らず、1箇所または3箇所以上であってもよい。
(5)ストッパ手段は、制動機構から省略してもよい。また、接続部材(接続部)側に係止凸部を設け、規制部材側に係止凹部を設ける構成であってもよい。そして、ストッパ手段で回転規制する位置は、蓋体の閉じ姿勢または開き姿勢の一方であったり、蓋体のその他の任意の開放位置に設定することが可能である。
(6)コンソールボックスに限定されず、車両において物品の収納に用いられる各種収納装置に適用可能である。