特開2016-222147(P2016-222147A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222147(P2016-222147A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20161205BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B60R11/02 B
   B62D49/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-111463(P2015-111463)
(22)【出願日】2015年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 大介
(72)【発明者】
【氏名】中山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲森 拓也
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BB06
3D020BC05
3D020BC11
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】外部機器を充電しながら外部入力端子に接続して使用することができる作業車が要望されている。
【解決手段】車両に搭載された音響機器に外部機器37の音声信号を入力する外部入力端子36と、外部機器37を収容可能な収容部34と、外部機器37に供給する電力を取出し可能な電力取出し部35と、を備え、外部入力端子36、収容部34及び電力取出し部35は、運転座席に対して一方側に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された音響機器に外部機器の音声信号を入力する外部入力端子と、
前記外部機器を収容可能な収容部と、
前記外部機器に供給する電力を取出し可能な電力取出し部と、を備え、
前記外部入力端子、前記収容部及び前記電力取出し部は、運転座席に対して一方側に配置されている作業車。
【請求項2】
前記外部入力端子、前記収容部及び前記電力取出し部は、前記運転座席に対して左右一方側に配置され、
前記運転座席の前記左右一方側に、操作レバーを案内するレバーガイドが備えられ、
前記レバーガイドに、前記収容部及び前記電力取出し部が設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記運転座席を覆うキャビンを備え、
前記レバーガイドは、前記キャビンのルーフ部を支持する支柱と隣接する状態で設けられ、
前記外部入力端子は、前記支柱に設けられている請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記収容部と前記電力取出し部は、隣接する状態で設けられている請求項1から3の何れか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された音響機器に外部機器の音声信号を入力する外部入力端子を備えた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業車として、例えば、特許文献1に記載の作業車が既に知られている。特許文献1に記載の作業車では、音響機器や、キャビンのルーフ部を支持する支柱に、外部入力端子が設けられている。そして、外部機器を外部入力端子に接続することにより、外部機器で再生された音楽等を、音響機器で再生して聴くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−247045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業車では、外部入力端子の近くに、外部機器に供給する電力を取出し可能な電力取出し部が設けられておらず、外部機器を充電しながら外部入力端子に接続して使用することができない。
【0005】
上記状況に鑑み、外部機器を充電しながら外部入力端子に接続して使用することができる作業車が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
車両に搭載された音響機器に外部機器の音声信号を入力する外部入力端子と、
前記外部機器を収容可能な収容部と、
前記外部機器に供給する電力を取出し可能な電力取出し部と、を備え、
前記外部入力端子、前記収容部及び前記電力取出し部は、運転座席に対して一方側に配置されていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、外部入力端子、収容部及び電力取出し部が、運転座席に対して一方側に集約されて、互いに近くに位置することになる。これにより、外部機器を収容部に収容した状態で、電力取出し部からの電力によって充電しながら、外部入力端子に接続して使用することができる。しかも、外部機器と外部入力端子とを接続する接続コードや、外部機器と電力取出し部とを接続する接続コードが短くて済む。
【0008】
さらに、本発明において、
前記外部入力端子、前記収容部及び前記電力取出し部は、前記運転座席に対して左右一方側に配置され、
前記運転座席の前記左右一方側に、操作レバーを案内するレバーガイドが備えられ、
前記レバーガイドに、前記収容部及び前記電力取出し部が設けられていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、収容部及び電力取出し部が運転座席の近くに位置することになり、運転者が収容部及び電力取出し部に手が届き易い。
【0010】
さらに、本発明において、
前記運転座席を覆うキャビンを備え、
前記レバーガイドは、前記キャビンのルーフ部を支持する支柱と隣接する状態で設けられ、
前記外部入力端子は、前記支柱に設けられていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、外部入力端子が収容部及び電力取出し部の近くに位置することになり、外部機器と外部入力端子とを接続するコードがより短くて済む。
【0012】
さらに、本発明において、
前記収容部と前記電力取出し部は、隣接する状態で設けられていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、収容部及び電力取出し部が互いに近くに位置することになり、外部機器と電力取出し部とを接続するコードがより短くて済む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】トラクタを示す左側面図である。
図2】運転キャビンの内部を示す平面図である。
図3】外部入力端子、収容部及び電力取出し部を示す斜視図である。
図4】ボンネットの支持構造を示す背面図である。
図5】メインECUの取付け構造を示す背面断面図である。
図6】無線LANユニットの取付け構造を示す分解斜視図である。
図7】別実施形態に係るステアリングホイールの支持構造を示す左側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0016】
〔トラクタの全体構成〕
図1には、トラクタ(本発明に係る「作業車」に相当)を示している。トラクタには、四輪駆動方式の走行機体1が備えられている。走行機体1には、駆動可能かつ操舵可能な左右一対の前輪2と、駆動可能かつ制動可能な左右一対の後輪3と、が備えられている。後輪3は、フェンダーFによって覆われている。
【0017】
走行機体1の前半部には、原動部4が備えられている。原動部4には、エンジンEやラジエータ5、冷却ファン6、燃料タンク7等が備えられており、これらがボンネット8内に収容されている。ボンネット8内には、冷却風が冷却ファン6の作用によりボンネット8の前面等から取り入れられる。エンジンEの後部には、エンジンEの動力を変速する走行用の変速装置(図示省略)を収容するミッションケース9が連設されている。
【0018】
走行機体1の後半部には、運転座席11を有する運転部12と、運転座席11を覆うキャビン13と、が備えられている。走行機体1の後端部には、ロータリ耕耘装置等の作業装置(図示省略)が、リンク機構14を介して昇降可能かつローリング可能に装着されている。
【0019】
〔キャビン〕
キャビン13のルーフ部15は、左右一対のフロントピラー16、左右一対のサイドピラー17(本発明に係る「支柱」に相当)及び左右一対のリヤピラー18によって支持されている。キャビン13の前側部と後側部には、それぞれフロントガラス19とリヤガラス20が設けられている。キャビン13の横側部には、ドア21やサイドガラス22が設けられている。ドア21は、その後端部が上下向きの軸心周りで揺動可能にサイドピラー17に支持されて、開閉可能に構成されている。
【0020】
〔運転部〕
図2に示すように、運転座席11の前方には、フロントパネル23が設けられている。フロントパネル23には、ステアリングホイール24やメータパネル25が備えられている。
【0021】
運転座席11の左側において、左側のフェンダーFの上面には、左レバーガイド26が左側のサイドピラー17と隣接する状態で設けられている。左レバーガイド26には、前記変速装置を変速操作する主変速レバー27や副変速レバー28が備えられている。左レバーガイド26の後端部には、飲み物等の容器を収容するカップホルダ29が形成されている。
【0022】
左レバーガイド26には、主変速レバー27を案内するレバー溝26aと、副変速レバー28を案内するレバー溝26bと、が形成されている。主変速レバー27と副変速レバー28は、それぞれレバー溝26aとレバー溝26bに沿って、前後方向に移動可能に構成されている。
【0023】
運転座席11の右側において、右側のフェンダーFの上面には、右レバーガイド30(本発明に係る「レバーガイド」に相当)が右側のサイドピラー17と隣接する状態で設けられている。右レバーガイド30には、前記作業装置を昇降操作する昇降レバー31や前記作業装置の耕耘深さを調節する耕深調節レバー32、操作パネル33が備えられている。昇降レバー31及び耕深調節レバー32は、本発明に係る「操作レバー」に相当するものである。右レバーガイド30の後端部において、操作パネル33の後側には、収容部34と電力取出し部35が左右方向に隣接する状態で設けられている。
【0024】
右レバーガイド30には、昇降レバー31を案内するレバー溝30aと、耕深調節レバー32を案内するレバー溝30bと、が形成されている。昇降レバー31と耕深調節レバー32は、それぞれレバー溝30aとレバー溝30bに沿って前後方向に移動可能に構成されている。
【0025】
操作パネル33には、各種のスイッチ(図示省略)が配設されている。例えば、これらのスイッチとして、旋回時に後輪3に対して前輪2を増速するか又は旋回時に後輪3に対して前輪2を増速し且つ旋回内側の後輪3を制動するかを切り替えるスイッチ、後進時に前記作業装置を所定の高さまで自動で上昇させるか又は旋回時に前記作業装置を所定の高さまで自動で上昇させるかを切り替えるスイッチ、前記作業装置を水平姿勢に保持するか又は前記作業装置を傾斜地の傾斜角度に沿う傾斜姿勢に保持するかを切り替えるスイッチが挙げられる。
【0026】
図2及び図3に示すように、運転座席11に対して右方側に、外部入力端子36、収容部34及び電力取出し部35が配置されている。
【0027】
〔外部入力端子〕
外部入力端子36は、例えば、AUX端子と称されるものであり、ポータブル式の音楽再生装置等の外部機器37(例えば、スマートフォン)を接続可能に構成されている。外部入力端子36は、その後方側から接続コード38を差込み可能な姿勢で、右側のサイドピラー17の車内側の面の下端部に設けられている。外部入力端子36は、車両に搭載された音響機器(図示省略)と接続されており、外部機器37の音声信号を、接続コード38を介して前記音響機器に入力することができる。外部入力端子36は、レバー溝30a、30bよりも後側に位置しているので、接続コード38が外部入力端子36に差し込まれた状態で、昇降レバー31や耕深調節レバー32と干渉することがない。
【0028】
〔収容部〕
収容部34は、外部機器37を収納可能に構成され、右レバーガイド30の後端部に一体に形成されている。収容部34は、電力取出し部35の左隣り(運転座席11側)において、リヤピラー18の前後範囲と重複する位置に配置されている。収容部34は、右レバーガイド30の横内端30cよりも横内側(運転座席11側)に出っ張り、かつ、右レバーガイド30の後端30dよりも後方側に出っ張っている。収容部34の底部のうち、後側部分が浅底部34a、前側部分が浅底部34aよりも深い深底部34bとなっている。収容部34の下部には、右側のフェンダーFの後端部との干渉を避けるように、切欠部34cが形成されている。
【0029】
〔電力取出し部〕
電力取出し部35は、例えば、シガーソケットやアクセサリーソケットと称されるものであり、接続コード39を電力取出し部35に差し込むことにより、外部機器37に供給する電力を電力取出し部35から取り出すことができる。電力取出し部35には、揺動式の蓋35aが備えられており、電力取出し部35を使用する時には、蓋35aをあけておけばよいし、電力取出し部35を使用しない時には、蓋35aを閉じておけばよい。
【0030】
このような構成によれば、外部入力端子36、収容部34及び電力取出し部35が、運転座席11に対して右方側に集約されて、互いに近くに位置することになる。これにより、外部機器37を収容部34に収容した状態で、電力取出し部35からの電力によって充電しながら、外部入力端子36に接続して使用することができる。しかも、外部機器37と外部入力端子36とを接続する接続コード38や、外部機器37と電力取出し部35とを接続する接続コード39が短くて済む。
【0031】
ここで、外部機器37が収容部34に収容された状態で、外部機器37の下部が深底部34bに入り込んで、外部機器37が後倒れの姿勢となる。したがって、例えば、外部機器37の前面に、操作部や表示部が備えられている場合、操作部や表示部が運転座席11の運転者側を向くことになるので、運転者が外部機器37を使用し易い。
【0032】
〔ボンネットの支持構造〕
図4に示すように、ボンネット8は、その後端部が左右向きの軸心周りで揺動可能にリヤピラー40に支持されて、開閉可能に構成されている。リヤピラー40は、ミッションケース9の両横側部から上方に延びて、燃料タンク7の上方を通るように、前後方向視において略門型形状に形成されている。リヤピラー40の左下部と右下部に亘って、連結ロッド41が設けられている。連結ロッド41は、連結プレート42を介してミッションケース9に連結されている。連結プレート42のうちミッションケース9側の端部は、ミッションケース9の上部にボルト43によって固定されている。
【0033】
〔メインECUの取付け構造〕
図4及び図5に示すように、トラクタに搭載されたメイン電子制御ユニット(以下「メインECU」という。)44は、エンジンE用のエンジン電子制御ユニット(図示省略)等と、CAN通信等の車内通信によって相互通信可能に接続されている。メインECU44は、燃料タンク7の左側部に取り付けられている。
【0034】
詳述すると、燃料タンク7の左側部には、インサートナット45が埋め込まれている。インサートナット45には、メインECU44を支持する支持ステー46が、ボルト47によって固定されている。支持ステー46には、メインECU44がボルト48によって固定されている。
【0035】
〔無線LANユニットの取付け構造〕
図4及び図6に示すように、トラクタには、無線LANユニット49(Wi−Fiユニット)が備えられている。スマートフォンやタブレット端末等の通信機器(図示省略)を、無線LANユニット49を介して無線LANに接続することができる。無線LANユニット49は、フロントパネル23内に収容されている。
【0036】
詳述すると、フロントパネル23内において、燃料タンク7後端部の下側には、取付けプレート50が設けられている。取付けプレート50は、燃料タンク7の形状に沿うように、略L字形状に形成されている。取付けプレート50のうち水平部分の右端部には、無線LANユニット49を支持する支持ステー51が、ボルト52によって固定されている。支持ステー51の右側面には、無線LANユニット49がボルト63によって固定されている。フロントパネル23の下半部は、着脱可能に構成されており、フロントパネル23の下半部を取り外すことにより、無線LANユニット49を着脱することができる。
【0037】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、ステアリングホイール24の支持構造として、次のような構造を採用してもよい。
【0038】
詳述すると、図7に示すように、ステアリングホイール24は、ステアリングシャフト53の上端部に連結されている。ステアリングシャフト53の下端部は、自在継手54を介して連結シャフト55の上端部に連結されている。連結シャフト55は、パワーステアリング装置(図示省略)に連動連結されている。
【0039】
ステアリングシャフト53は、防振材56を介してステアリングポスト64に防振支持されている。振幅の増加が軽減されるように、ステアリングホイール24に近い部分に防振材56が設けられている。
【0040】
ステアリングポスト64は、取付部57を介してステアリングピラー58に取り付けられている。ステアリングピラー58の上端部は、リヤピラー40側の固定部59に、ボルト60によって固定されている。ステアリングピラー58の下端部は、連結プレート42側の固定部61に、ボルト62によって固定されている。これにより、ステアリングホイール24がステアリングピラー58等を介してミッションケース9やリヤピラー40にしっかりと支持されることになる。
【0041】
(2)上記実施形態では、外部入力端子36、収容部34及び電力取出し部35が、運転座席11に対して右方側に配置されているが、運転座席11に対して左方側、前方側、後方側に配置されていてもよい。例えば、外部入力端子36、収容部34及び電力取出し部35を、運転座席11に対して左方側に配置する場合、外部入力端子36を左側のサイドピラー17に設けると共に、収容部34及び電力取出し部35を左レバーガイド26に設けることができる。
【0042】
(3)上記実施形態では、外部入力端子36がAUX端子であるが、USB端子であってもよい。
【0043】
(4)上記実施形態では、収容部34が右レバーガイド30に一体に形成されているが、右レバーガイド30と別体に設けられていてもよい。また、上述のように、収容部34を左レバーガイド26に設ける場合、収容部34を左レバーガイド26に一体に形成してもよいし、左レバーガイド26と別体に設けてもよい。
【0044】
(5)上記実施形態では、収容部34と電力取出し部35が左右方向に隣接する状態で設けられているが、前後方向に隣接する状態で設けられていてもよいし、あるいは、隣接しない状態で設けられていてもよい。
【0045】
(6)上記実施形態では、トラクタがキャビン13を備える仕様であるが、キャビン13を備えない仕様(ロプス仕様)であってもよい。この場合、外部入力端子36が、例えば、右レバーガイド30に備えられていてもよい。
【0046】
(7)上記実施形態では、無線LANユニット49が備えられているが、無線LANユニット49を備えることは必須ではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、トラクタの他、コンバインや田植機等の農業作業車、建設作業車にも利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
11 運転座席
13 キャビン
15 ルーフ部
17 サイドピラー(支柱)
30 右レバーガイド(レバーガイド)
31 昇降レバー(操作レバー)
32 耕深調節レバー(操作レバー)
34 収容部
35 電力取出し部
36 外部入力端子
37 外部機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7