【解決手段】自動車用導風部品10において、誘電体18を挟んで非対称な部位に配設された二つの電極26、28を有し、それら二つの電極26、28のうちの表面プラズマによって誘起気流が発生せしめられる側の電極28が、合成樹脂材料に導電性物質が配合されてなる導電性樹脂材料によって構成されているプラズマアクチュエータ30を備えて、構成した。
誘電体を挟んで非対称な部位に配設された二つの電極を有し、それら二つの電極のうちの表面プラズマによって誘起気流が発生せしめられる側のものが、合成樹脂材料に導電性物質が配合されてなる導電性樹脂材料によって構成されているプラズマアクチュエータを備えることを特徴とする自動車用導風部品。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車においては、走行中に車体の周囲に生じる気流(走行風)によって引き起こされる様々な問題、例えば、車体に沿って流れる走行風が車体から離れることによって、気流の渦が発生し、それにより形成される負圧領域が抵抗となって、燃費が低下したり、自動車の走行安定性が損なわれる等の問題が知られており、そのような走行風に対する、自動車の空力特性の改善が強く望まれている。このような要望に対し、車体の形状自体や、自動車の外表面において露出される構成部品の形状を、可能な限り適切に設計することが試みられている。
【0003】
ところで、近年、可動部の無いシンプルな構造で、比較的強い気流を積極的に発生させることができる装置として、プラズマアクチュエータが注目を集めている。そのようなプラズマアクチュエータにおいては、絶縁体(誘電体)を挟んで非対称な部位に配設された2つの電極間に、高圧(数kV程度)且つ高周波(数kHz程度)の交流電圧又はパルス電圧を印加することで、絶縁体表面に放電を起こし、そこで作り出されたプラズマによって、一方の電極側において、絶縁体表面に沿う噴流状の気流が誘起されることとなる。
【0004】
そして、そのようなプラズマアクチュエータを用いた、積極的(アクティブ)な流体制御手法の一例として、特開2012−38587号公報(特許文献1)においては、プラズマアクチュエータを自動車のボディの表層部に設置した例が示されている。そこでは、プラズマアクチュエータにおいて生じた誘導気流によって、ボディの表層部からの気流(走行風)の剥離が抑制され、ボディが受ける空気抵抗が軽減すると共に、自動車の走行中の風切り音も低減することが、明らかにされている(同文献の明細書段落[0019]〜[0020]、及び
図5等参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものを含めて、従来のプラズマアクチュエータにおいては、その電極は金属材料にて構成されており、そのようなプラズマアクチュエータを、自動車の外表面において走行風を導くための導風部品(自動車用導風部品)において用いると、例えば、飛び石や雨水、及び高温高湿雰囲気に晒される等の過酷な使用環境によって、金属材料からなる電極が破損したり腐食したりする恐れがある。即ち、従来のプラズマアクチュエータを備える自動車用導風部品にあっては、耐久性の点において未だ解決すべき問題を内在しているのである。
【0007】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、走行風を積極的に導いて、自動車の空力特性を改善すると共に、耐久性に優れた、自動車用導風部品及びアンダーカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、誘電体を挟んで非対称な部位に配設された二つの電極を有し、それら二つの電極のうちの表面プラズマによって誘起気流が発生せしめられる側のものが、合成樹脂材料に導電性物質が配合されてなる導電性樹脂材料によって構成されているプラズマアクチュエータを備えることを特徴とする自動車用導風部品を、その基本的構成とするものである。
【0009】
また、本発明にあっては、上述の如き自動車用導風部品からなる、車両後部の下面側に配設されるアンダーカバーであって、合成樹脂材料製の板状部材からなる基板部の一部が前記誘電体を構成し、該基板部における前記プラズマアクチュエータが構成されていない部位において車体に取り付けられることを特徴とするアンダーカバーをも、その要旨とするものである。
【0010】
なお、このような本発明に従うアンダーカバーの望ましい態様の一つによれば、前記導電性物質が銅粉である。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に従う自動車用導風部品にあっては、誘電体を挟んで非対称な部位に配設された二つの電極を有するプラズマアクチュエータを備えているところから、かかるプラズマアクチュエータにおいて発生せしめられる誘起気流によって、走行風を積極的に導いて、自動車の空力特性を効果的に改善することができる。
【0012】
しかも、本発明に従う自動車用導風部品にあっては、プラズマアクチュエータを構成する二つの電極のうちの、表面プラズマによって誘起気流が発生せしめられる側のものが、合成樹脂材料に導電性物質が配合されてなる導電性樹脂材料によって構成されているところから、飛び石や雨水等に晒される過酷な使用環境下における、電極の破損や腐食が有利に抑制乃至は阻止されることとなり、以て、プラズマアクチュエータを備える自動車用導風部品の耐久性が、有利に向上せしめられることとなるのである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0015】
先ず、
図1には、本発明に従う構造を有する自動車用導風部品からなるアンダーカバーの一例としてのリアアンダーカバー10を備える自動車12が、側面視部分断面形態において、示されている。そこでは、リアアンダーカバー10は、車両(自動車12)後部の下面側において、車体の一部を構成するフロアアンダーカバー14とリアバンパ16との間で、車両前後方向及び車幅方向のそれぞれに拡がるような形態で、且つ後方に向かって上向きに傾斜(上傾)せしめられた状態で、配設されている。なお、以下においては、
図1の左右方向に対応する方向を車両前後方向と言い、
図1の上下方向に対応する方向を車両上下方向と言い、更に、
図1の紙面に垂直な方向に対応する方向を車幅方向と言うこととする。
【0016】
具体的には、
図2に示されるように、リアアンダーカバー10は、車両前後方向及び車幅方向にそれぞれ拡がる、合成樹脂材料製の板状部材からなる基板部18を有しており、かかる基板部18の前端部位及び後端部位において、取付フランジ部20及び22が一体的に形成されている。そのようなリアアンダーカバー10は、各取付フランジ部20及び22に設けられた複数の挿通孔にそれぞれ挿通されたスクリュグロメット24により、リアアンダーカバー10の前方に配置されたフロアアンダーカバー14及びリアアンダーカバー10の後方に配置されたリアバンパ16に対して、基板部18が水平面に対して所定の角度:θをもって後方に向かって上傾するような形態で、取り付けられている。
【0017】
なお、そのような取付フランジ部20、22を含む、リアアンダーカバー10の基板部18を構成する合成樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂材料、ポリアミド樹脂材料(ナイロン)、及びABS樹脂材料(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等を挙げることが出来る。本実施形態においては、基板部18が、剛性や耐熱性を向上させるためにガラス繊維が配合されてなるポリプロピレン樹脂材料(ガラス繊維強化ポリプロピレン)を用いて、射出成形にて一体成形された合成樹脂成形品により、構成されている。
【0018】
また、基板部18の後側部分の上部及び下部には、車幅方向に延びる長手矩形板形状を呈する二つの電極26及び28(内側電極26及び外側電極28)が、それぞれ、互いに直接接触しない状態で、配設されている。なお、それら内側電極26及び外側電極28は、それぞれ、自動車12に搭載された電源ユニット(図示せず)に接続されている。
【0019】
より詳細には、
図3に示されるように、基板部18の後側部分の上部において、導電性を有する金属材料からなる内側電極26が、その上面のみが基板部18の上面側に露出せしめられた状態で、基板部18に対して一体的に埋設されている。
【0020】
一方、外側電極28は、導電性を有しており、基板部18の後側部分の下部であって、内側電極26よりも車両前方側に対応する位置において、その下面及び車両後方側の端面が基板部18の下面側(自動車12の外側)に露出せしめられた状態で、基板部18に対して一体的に配設されている。ここで、外側電極28の車両前方側の端部部位においては、外側電極28の下面と、基板部18の外側電極28よりも車両前方側の部位における下面とが、面一となるように、換言すれば、外側電極28の車両前方側の端部部位において、外側電極28の下面と基板部18の下面との間に凹凸が生じないようにされている。
【0021】
このようにして、二つの電極26及び28が、合成樹脂材料(ガラス繊維強化ポリプロピレン)製の基板部18を挟んで非対称な部位に配設されていることにより、リアアンダーカバー10の後側部分において、プラズマアクチュエータ30が構成されているのである。即ち、リアアンダーカバー10においては、基板部18における二つの電極26、28間に挟まれた部位が、プラズマアクチュエータ30における誘電体としての機能を発揮することとなり、以て、かかるリアアンダーカバー10が、誘電体(基板部18)を挟んで非対称な部位に配設された二つの電極26、28を有するプラズマアクチュエータ30を備えることとなるのである。
【0022】
そして、本実施形態に係るリアアンダーカバー10にあっては、プラズマアクチュエータ30を構成する二つの電極26、28のうちの外側電極28が、合成樹脂材料に導電性物質が配合されてなる導電性樹脂材料によって構成されているところに、大きな特徴を有しているのである。
【0023】
すなわち、そのような導電性樹脂材料にて外側電極28を構成することにより、飛び石や雨水等に晒される過酷な使用環境下においても、外側電極28の破損や腐食が有利に抑制乃至は阻止されることとなるのである。また、導電性樹脂材料は加工性や軽量性等に優れていることから、外側電極28の形状の設計自由度を大きく確保することが可能である。
【0024】
ここで、外側電極28を構成する合成樹脂材料としては、各種の公知の合成樹脂材料の中から、強度や靭性、耐熱性、耐候性、及びコスト等の種々の性能を考慮して、適宜選択された材料が用いられることとなるのであるが、好ましくは、基板部18を構成する合成樹脂材料と同一又は同質の合成樹脂材料が用いられる。本実施形態では、外側電極28を構成する合成樹脂材料として、ポリプロピレン樹脂材料が用いられている。
【0025】
さらに、上記した合成樹脂材料と共に、外側電極28を構成する導電性物質としては、例えば、カーボンブラックやグラファイトの粉末又は繊維、並びに、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス、及びニッケル等の各種金属材料の粉末又は繊維、等を挙げることができ、それらのうちの一種が選択されて又は二種以上が組み合わされて、適宜用いられ得ることとなる。本実施形態では、導電性やコストの点から、外側電極28を構成する導電性物質として、銅粉(銅の粉末)が用いられている。
【0026】
このようなプラズマアクチュエータ30においては、
図3に示されるように、誘電体(絶縁体)としての基板部18を挟んで、非対称な部位に配設された2つの電極26、28間に、プラズマアクチュエータ30を駆動せしめるための電源ユニット(図示せず)により、高圧(数kV程度。好ましくは2kV〜10kV程度。)且つ高周波(数kHz程度。好ましくは3kHz〜10kHz程度。)の交流電圧又はパルス電圧が印加されることによって、外側電極28の後方部位に放電が生起せしめられ、そこで作り出された表面プラズマ:P(
図3中のクロスハッチ部分)によって、基板部18の下面に沿って後方へ向かう噴流状の気流(
図3において白抜き矢印にて示す)が、誘起されることとなる。
【0027】
なお、各電極26、28の厚さ(板厚)は、自動車12のデザインや構成部品のレイアウト、及び所望の誘起気流(後に詳述する)の態様等に応じて、適宜に決定されることとなるが、好ましくは、0.1mm〜2.0mm程度の範囲とされ、本実施形態では、それぞれ、1mm程度の厚さとされている。
【0028】
従って、このような構造を有するリアアンダーカバー10が配設された、自動車12の後部における走行風の流れについて、
図4を参照して、説明するならば、以下の如くなるのである。
【0029】
先ず、自動車12の車体下において、フロアアンダーカバー14の下面に沿って車両後方に向かって水平に流れてきた走行風:Fは、リアアンダーカバー10の前側部分において、コアンダ効果と呼ばれる、流体が近くの壁に引き寄せられる効果(性質)により、リアアンダーカバー10(基板部18)の下面(外表面)に沿って上傾するように案内される。なお、本来、かかるコアンダ効果は噴流で発生するものであるが、ここでは、噴流でない流れが壁に引き寄せられる性質をも含めてコアンダ効果と呼ぶこととする。このような、コアンダ効果による走行風:Fの案内効果を有利に得るためには、基板部18の上傾角度:θ(
図2参照)が、30°以下とされていることが好ましい。
【0030】
そして、そのように基板部18の下面に沿って上傾するように案内された走行風:Fは、リアアンダーカバー10の後側部分において、プラズマアクチュエータ30によって発生せしめられた誘起気流により、基板部18の下面に沿うように、積極的に導かれることとなる。即ち、走行風:Fが、プラズマアクチュエータ30における外側電極28の後方に所定の流速をもって噴き出される誘起気流と合流せしめられることにより、かかる誘起気流に引っ張られるようにして、基板部18の下面に沿って上傾するように導かれる流れ:F’を形成することとなるのである。このようにして、リアアンダーカバー10においては、プラズマアクチュエータ30で発生する誘起気流によって、走行風:Fを、プラズマアクチュエータ30が何等設けられていない場合の従来の流れ(F’’;
図4中、二点鎖線矢印にて示す)に対して、車両後方に向かって上方に傾斜する方向に、積極的に導くようになっているのである。
【0031】
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、自動車用導風部品としてのリアアンダーカバー10が、誘電体としての基板部18を挟んで非対称な部位に配設された二つの電極26、28を有するプラズマアクチュエータ30を備えているところから、かかるプラズマアクチュエータ30において発生せしめられる誘起気流によって、走行風:Fを積極的に所望の方向に導いて、自動車12の空力特性を効果的に改善することが可能となるのである。
【0032】
特に、自動車12においては、その後方で、車体の上下面及び両側面を流れる走行風(F)が剥離して、大きな負圧領域が形成されることとなり、自動車12の空力特性が悪化する大きな原因となっている。ここで、本実施形態のリアアンダーカバー10にあっては、
図4に示されるように、車両の後部における車体下の走行風:Fを、積極的に上方へ導く(流れ:F’を形成する)ことにより、従来の走行風の流れ(F’’)により形成される負圧領域(N’;
図4中、二点鎖線にて示す)に比べて、自動車12の後方に形成される負圧領域:N(
図4中のクロスハッチ部)を有利に縮小することができるのであり、以て、自動車12の空力特性を効果的に改善せしめることができるのである。
【0033】
そして、リアアンダーカバー10にあっては、プラズマアクチュエータ30を構成する二つの電極26、28のうちの、表面プラズマ(P)によって誘起気流が発生せしめられる側、即ち、自動車12の外表面に露出される側の電極(外側電極)28が、合成樹脂材料に導電性物質が配合されてなる導電性樹脂材料によって構成されているところから、飛び石や雨水等に晒される過酷な使用環境下における、外側電極28の破損や腐食が有利に抑制乃至は阻止されることとなり、以て、プラズマアクチュエータ30を備える自動車用導風部品であるリアアンダーカバー10の耐久性が、有利に向上せしめられることとなるのである。
【0034】
特に、リアアンダーカバー10は、車両(自動車12)の下部部位に配設されると共に、リアタイヤ(32)の近傍に位置せしめられる(
図1参照)自動車用導風部品であるため、路面からの飛び石や水跳ね等に晒され易く、外側電極28の耐久性の問題が顕著に現れることとなる。従って、かかる外側電極28が導電性樹脂材料によって構成されていることによって、プラズマアクチュエータ30を備える自動車用導風部品であるリアアンダーカバー10の耐久性の向上効果が、有利に享受され得るのである。
【0035】
すなわち、このようなリアアンダーカバー10においては、自動車用導風部品の中でも、特に高い空力特性改善性能及び耐久性が要求されるものであるところから、上述せるように、プラズマアクチュエータ30を構成する二つの電極26、28のうちの、表面プラズマ(P)によって誘起気流が発生せしめられる側、即ち、自動車12の外表面に露出される側のものである外側電極28が、靭性や耐候性(耐腐食性)等に優れる導電性樹脂材料により構成されていることによる利益が、より有利に享受され得ることとなるのである。
【0036】
また、そのような導電性樹脂材料は加工性に優れ、多様な形状を呈する成形体を作成可能であるところから、かかる外側電極28の形状、ひいては、そのような外側電極28が取り付けられることとなる自動車用導風部品(リアアンダーカバー10)自体の形状を、より自由に設計することが可能となる利点がある。
【0037】
さらに、外側電極28が導電性樹脂材料によって構成されているところから、合成樹脂材料からなる基板部18との二色成形が可能となり、以て、リアアンダーカバー10の製造コストを有利に低減せしめることも可能である。また、本実施形態では、外側電極28を構成する合成樹脂材料と基板部18を構成する合成樹脂材料とが、同一の合成樹脂材料とされているところから、それら外側電極28と基板部18とが熱融着せしめられることによって、強固な一体物を構成している。
【0038】
なお、リアアンダーカバー10は、基板部18におけるプラズマアクチュエータ30が構成されていない部位(取付フランジ部20及び22)において、車体を構成するフロアアンダーカバー14及びリアバンパ16に取り付けられているところから、プラズマアクチュエータ30による走行風(F)の導風機能が阻害されないようになっている。
【0039】
また、リアアンダーカバー10においては、外側電極28の車両前方側の端部部位において、外側電極28の下面と、基板部18の外側電極28よりも車両前方側の部位における下面とが、面一となるように、換言すれば、外側電極28の下面と基板部18の車両前方側下面との間に凹凸が生じないように構成されていることにより、かかる外側電極28の配設による走行風(F)の乱れが、有利に抑制されることとなる。
【0040】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0041】
例えば、
図5に示されるように、リアアンダーカバー10の前側部分においても、基板部18を挟んで内側電極26及び外側電極28を配設して、プラズマアクチュエータ30を構成するようにしてもよい。これにより、リアアンダーカバー10の前側部分において、上述せる如きコアンダ効果による走行風:Fの案内効果に加えて、プラズマアクチュエータ30において生ずる誘起気流による走行風:Fの導風効果を得ることができ、以て、走行風:Fを、より有利に、リアアンダーカバー10(基板部18)の下面に沿って、積極的に導くことができるようになる。
【0042】
また、各電極26、28の配設形態は、例示のものに何等限られるものではなく、例えば、
図6に示されるように、上側電極26を完全に基板部18に埋設するようにしてもよい。これにより、上側電極26を、リアアンダーカバー10の上面に不可避的に侵入してくる水等から有利に保護することができる。
【0043】
さらに、自動車用導風部品として、
図7に示されるように、上記実施形態におけるフロアアンダーカバー(14)に対応するものと、リアアンダーカバー(10)に対応するものとを一体化したアンダーカバー34を構成するようにしてもよい。
【0044】
なお、本発明に従う自動車用導風部品としては、上記実施形態において例示した、車両後部の下部部位に配設されるアンダーカバー(リアアンダーカバー10やアンダーカバー34)に何等限られるものではなく、例えば、車両前部の下部部位に配設されるエンジンアンダーカバーや、車体を構成するボンネット、フェンダー、ルーフパネル、ドア、及びリアスポイラ等として、本発明に従う自動車用導風部品を適用することができる。これにより、自動車の所望の部位において、プラズマアクチュエータによって発生せしめられる誘起気流により走行風を積極的に導いて、自動車の空力特性を改善せしめ、燃費の向上効果や操縦安定性(走行安定性)の向上効果を発揮させ得ると共に、そのようなプラズマアクチュエータを備える自動車用導風部品の耐久性を有利に向上させることができる。
【0045】
また、そのような自動車用導風部品において、プラズマアクチュエータを構成する二つの電極の両方を、導電性樹脂材料によって構成してもよい。これにより、二つの電極の両方において耐久性の向上効果を得ることが可能となり、かかるプラズマアクチュエータを備える自動車用導風部品の耐久性を更に有利に向上させることができる。
【0046】
また、導電性樹脂材料によって構成される電極を自動車用導風部品に配設する手法としては、例示の二色成形手法に何等限られるものではなく、他の公知の手法、例えば、一の装置(射出成形機)で成形した自動車用導風部品の一部に対し、他の装置(射出成形機)を用いて電極を成形する手法(ダイレクト成形法)や、溶着及び貼付等の手法が適宜に採用され得る。
【0047】
さらに、導電性樹脂材料からなる電極を構成する合成樹脂材料の一部として、本来の高分子の構造に由来する導電性を保有する本質的な導電性プラスチック、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、及びポリアニリン等からなる樹脂材料を用いることもできる。このような本質的な導電性プラスチック樹脂材料を適宜に配合することで、電極の導電性を高めたり、比較的比重の大きい導電性物質の使用量を低減して、電極の軽量化を図ることも可能となる。
【0048】
なお、本発明に従うアンダーカバーにおいては、基板部を構成する合成樹脂材料と、導電性樹脂材料からなる電極を構成する合成樹脂材料とが、異なるものとされていても、何等差支えない。
【0049】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。