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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222160(P2016-222160A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】キャスター切替え運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   B62B3/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-111815(P2015-111815)
(22)【出願日】2015年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】長坂 隆寛
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE09
3D050EE15
3D050EE18
3D050FF03
(57)【要約】
【課題】運搬台車において、積載物を載せ替えることなく防塵エリア内外を直接的に運搬することが難しかった。
【解決手段】荷台11の下部に設けられた所定数の車輪を有する第1のキャスター装置12と、前記荷台の下部に上下動可能に配設されたキャスターボード31aの下部に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪よりも下方まで降下可能にした所定数の車輪を有する第2のキャスター装置30と、前記第2のキャスター装置を前記荷台に対して昇降させる昇降装置20とを備え、前記昇降装置は、前記荷台に回動可能に設けられた駆動部材21と、前記荷台と前記第2のキャスター装置との間に設けられた前記駆動部材の回動方向によって第2のキャスター装置を上昇または下降させるリンク機構40と、によって構成したものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の下部に設けられた所定数の車輪を有する第1のキャスター装置と、前記荷台の下部に上下動可能に配設されたキャスターボードの下部に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪よりも下方まで降下可能にした所定数の車輪を有する第2のキャスター装置と、前記第2のキャスター装置を前記荷台に対して昇降させる昇降装置とを備え、前記昇降装置は、前記荷台に回動可能に設けられた駆動部材と、前記荷台と前記第2のキャスター装置との間に設けられた前記駆動部材の回動方向によって第2のキャスター装置を上昇または下降させるリンク機構と、によって構成したことを特徴とするキャスター切替え運搬台車。
【請求項2】
前記リンク機構は、側面視X字状にクロスされて、そのクロス部で互いに回動可能に軸結合された一組の棒状の連結部材を前記荷台の一側部と他側部に対称的に1対備えたパンタグラフ式の伸縮装置を用いてなることを特徴とする請求項1記載のキャスター切替え運搬台車。
【請求項3】
前記キャスターボードの下部に移動可能に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪に付着した異物の床面への落下を阻止する塵受け部材と、この塵受け部材を、前記第1のキャスター装置の車輪が床面に接地しているときには退避させ、前記第2のキャスター装置の車輪が接地されて、前記第1のキャスター装置の車輪が床面から浮いた状態のときに、前記第1のキャスター装置の車輪の下部に進出させるように移動させる塵受け部材移動装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のキャスター切替え運搬台車。
【請求項4】
前記塵受け部材移動装置は、前記塵受け部材を移動させるための駆動源として、前記駆動部材を用いるようにしたことを特徴とする請求項3記載のキャスター切替え運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台の下に2組のキャスター装置を備え、走行路に応じて用いるキャスター装置を切替えるようにしたキャスター切替え運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
清浄度の異なるエリア間を運搬台車にて行き来する際、防塵エリア内で運搬台車のキャスターに付着した塵埃が飛散することを防止するため、防塵エリアを走行できる専用の運搬台車に積み替えるなどの方策があるが、積み替えの手間を要していた。
その積み替えの手間を無くした従来技術として、運搬物を積載する荷台の下面に2段階のキャスターを備え、キャスターを上下に切替える機構に、密閉貯蔵された高圧ガスによってガスシリンダのピストンを突出状態と退出状態を保持するガス駆動機構を採用した運搬台車がある(例えば特許文献1参照)。
一方、キャスターに付着した塵を捕捉するために、キャスター側面に取り付けた先端が鋭角なヘラ状の治具で掻き出した塵を側面に取り付けた塵受け機構で捕捉するようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−26026号公報
【特許文献2】実開平5−44744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなガス駆動機構を採用した2段階のキャスター切替え機構では、切替え時の昇降速度を調整することが難しく、精密部品など振動を嫌う部品を積載した際に、荷崩れを起こし積載物を破損させるリスクを排除できないという問題があった。
一方、特許文献2のようなキャスターの付着物を捕捉する技術においては、塵の捕捉範囲が局所的で、ヘラで削り落とすことができなかった塵の落下、あるいはキャスターの接地面以外に付着した塵の落下を捕捉することは困難であった。
特許文献1の構成に特許文献2の構成を組合わせたとしても、ヘラで削り落とすことができなった塵の落下、あるいは車輪の接地面以外に付着した塵の落下を補足することはできないという問題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、キャスター切替え時の衝撃が抑制され、精密部品などの積載物を安全に搬送できるキャスター切替え運搬台車を得ることを目的としている。
さらに、車輪近辺に付着した塵の落下を確実に防止することができるキャスター切替え運搬台車を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るキャスター切替え運搬台車は、荷台の下部に設けられた所定数の車輪を有する第1のキャスター装置と、前記荷台の下部に上下動可能に配設されたキャスターボードの下部に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪よりも下方まで降下可能にした所定数の車輪を有する第2のキャスター装置と、前記第2のキャスター装置を前記荷台に対して昇降させる昇降装置とを備え、前記昇降装置は、前記荷台に回動可能に設けられた駆動部材と、前記荷台と前記第2のキャスター装置との間に設けられた前記駆動部材の回動方向によって第2のキャスター装置を上昇または下降させるリンク機構と、によって構成したものである。
また、前述のキャスター切替え運搬台車において、前記キャスターボードの下部に移動可能に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪に付着した異物の床面への落下を阻止する塵受け部材と、この塵受け部材を、前記第1のキャスター装置の車輪が床面に接地しているときには退避させ、前記第2のキャスター装置の車輪が接地されて、前記第1のキャスター装置の車輪が床面から浮いた状態のときに、前記第1のキャスター装置の車輪の下部に進出させるように移動させる塵受け部材移動装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るキャスター切替え運搬台車においては、荷台の下部に設けられた所定数の車輪を有する第1のキャスター装置と、前記荷台の下部に上下動可能に配設されたキャスターボードの下部に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪よりも下方まで降下可能にした所定数の車輪を有する第2のキャスター装置と、前記第2のキャスター装置を前記荷台に対して昇降させる昇降装置とを備え、前記昇降装置は、前記荷台に回動可能に設けられた駆動部材と、前記荷台と前記第2のキャスター装置との間に設けられた前記駆動部材の回動方向によって第2のキャスター装置を上昇または下降させるリンク機構と、によって構成したことにより、キャスター切替え時の衝撃が抑制され、精密部品などの積載物を安全に搬送することができる。
また、前述のキャスター切替え運搬台車において、前記キャスターボードの下部に移動可能に設けられ前記第1のキャスター装置の車輪に付着した異物の床面への落下を阻止する塵受け部材と、この塵受け部材を、前記第1のキャスター装置の車輪が床面に接地しているときには退避させ、前記第2のキャスター装置の車輪が接地されて、前記第1のキャスター装置の車輪が床面から浮いた状態のときに、前記第1のキャスター装置の車輪の下部に進出させるように移動させる塵受け部材移動装置を備えたことにより、車輪近辺に付着した塵の落下を確実に防止することができる。そのため、付着した塵が、例えばクリーンルームなどの床面に落下することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1及び2に係るキャスター切替え運搬台車の要部を概念的に示す側面図であり、防塵エリア内走行時の状態を示している。
図2】本発明の実施の形態1及び2に係るキャスター切替え運搬台車の要部を概念的に示す側面図であり、防塵エリア外走行時の状態を示している。
図3図1に示された昇降機構の動作を概念的に説明する図である。
図4図1に示された回転軸の支持機構と横行板ロック機構の要部を概念的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はプレートの形状を示す図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るキャスター切替え運搬台車における図1に示されたキャスター塵受け機構を概念的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1及び図2は本発明の実施の形態1及び2に係るキャスター切替え運搬台車の要部を概念的に示す側面図であり、図1は防塵エリア内走行時の状態を示し、図2は防塵エリア外走行時の状態を示している。図3図1に示された昇降機構の動作を概念的に説明する図である。図4図1に示された回転軸の支持機構と横行板ロック機構の要部を概念的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)はプレートの形状を示す図である。なお、同一部材・部分には同一符号を付している。
図において、キャスター切替え運搬台車は、運搬物を上面に載せる荷台11と、荷台11の下部の四隅にそれぞれキャスター軸12aを介して設けられた合計4つの車輪12bを有する第1のキャスター装置12と、荷台11の下部に昇降装置20を介して上下動可能に設けられたキャスターボード31aに対して、車輪の接地位置が第1のキャスター装置12の車輪12bよりも下方まで降下される4つの車輪31bを有する第2のキャスター装置30と、を備えている。荷台11の上面後方部(図1における右側部)にはパイプ材で形成された手押し部材13が立設されている。
【0010】
なお、運搬物を載せる荷台11、第1のキャスター装置12、及び荷台11の上面後方に設置された手押し部材13を含む部分の基本的な機能は一般的な運搬台車と同様の構成である。また、防塵エリア外で使用するときは第1のキャスター装置12を使用し、防塵エリア内では第2のキャスター装置30を使用するものとする。
昇降装置20は、荷台11の下面部における左右方向(図1の紙面に対する前後方向)中央部に、前後方向に延在されて回転可能に軸支され、後方部にスクリュー溝21a(図3に図示)が設けられ、後端が荷台の外側に出るように設けられている駆動部材としての回転軸21と、荷台11の外側から回転軸21の後端部に着脱可能に接続して回転軸21を回動させるハンドル22と、そのハンドル22の回転方向によって第2のキャスター装置30を上昇または下降させるように荷台11と第2のキャスター装置30との間に設けられたリンク機構40によって構成されている。
【0011】
なお、回転軸21は詳細を後述するように、昇降装置20の使用時を含む通常時は軸方向の移動が規制され、実施の形態2で説明する第2のキャスター装置30による走行時にキャスター塵受け機構50を作動させる際には軸方向に移動できるように構成されている。
リンク機構40は、側面視X字状にクロスされて、そのクロス部に設けられた軸42によって互いに回動可能に軸結合された棒状の一組の連結部材41A、41Bを、荷台11の左側部と右側部に対称的に1対備えたパンタグラフ式の伸縮装置を用いている。左右1対の連結部材41は、その前方側(図における左端部側)においては、下部に位置する連結部材41Aの一端部がキャスターボード前方部に設けられた軸43aによって左右の何れの側も回動自在に軸支され、上部に位置する連結部材41Bの一端部が荷台下部のフレーム前方部に設けられた軸43bによって左右の何れの側も回動自在に軸支されている。
【0012】
そして、左右1対の連結部材41の後方側(図における右端部側)においては、上部に位置する連結部材41Aの他端部が共通の横行板44(図3に図示)に設けられた図示省略している軸受に対してそれぞれ回動可能に軸支されており、その横行板44は荷台下部のフレームに設けられた図示省略しているガイドレールに沿って前後方向にのみスライド移動可能に係合されている。そして、下部に位置する連結部材41Bの他端部はキャスターボード31aのフレーム後方部に設けられた図示省略しているガイドレールに沿ってローラ45を介して前後方向にのみ移動自在に係合されている。
【0013】
荷台11に対してスライド移動可能に係合された横行板44は、図3に示すように、その中心部に回転軸21に設けられたスクリュー溝21aに係合し得る噛合せ部44aが設けられ、荷台11の下部に設置された回転軸21のスクリュー溝21aに回転可動領域Aで噛み合わされており、回転軸21に接続されたハンドル22を回転させることで荷台11の下面部で前後方向にスライドし、リンク機構40を上下方向に伸縮させることができる。回転軸21の後端部における外周面には軸方向の移動を規制するために用いるリング状の係止部材21cが固着されている。そして、荷台11の後端部における回転軸21の挿通部分には、その係止部材21cの図における右方向の側面を支承してスラスト方向の荷重を受ける回転軸移動規制部70が設けられている。
【0014】
回転軸移動規制部70は、荷台11の後端部における回転軸21の挿通部分の右側に設けられた、係止部材21cの右方向を支え、スラスト方向の荷重を受ける同形2枚のプレート71と、荷台11の後端部のフレームに設けられ、その2枚のプレート71を抜き差し可能に保持するプレート固定ガイド72を備えている。プレート71は図4(b)に示すように回転軸21の外径より大きく、係止部材21cの外径より小さい円弧を有するU字状の切欠き71aが設けられている。2枚のプレート71をプレート固定ガイド72に上方から差し込むことで係止部材21cを支え、抜き取れば回転軸21の係止部材21cの部分を軸方向後方に引き出すことができるように構成されている。ちなみに、回転軸左方向のスラスト荷重は、荷台11の前方に設けた前方回転軸移動規制板73の挿通部分で、その右側に固着された係止部材21dを支えることで保持される構造となる。
なお、荷台11とキャスターの車輪12bを結合させる四隅のキャスター軸12aにはストッパー14が設けられ、キャスターボード31aの最大下降域が制限されている。
なお、図1、2、4に図示されているその他の部材及び部分については実施の形態2にて説明する。
【0015】
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。まず、防塵エリア外で走行する場合には、図2に示す状態で第1のキャスター装置12を使用する。図2の状態では、リンク機構40の横行板44は移動方向の後端部にあって、連結部材41を上下方向に縮小させた状態となっており、第2のキャスター装置30は荷台11の下部に吊り上げられて車輪31bが床面Fから浮上されている。そして、第1のキャスター装置12の車輪12bによって防塵エリア外で走行した後、防塵エリア内に入る場合には、防塵エリアの内外を区分する境界部分に設けられた適宜の領域で運搬台車を停車させ、ハンドル22を右方向に回転させて回転軸21を時計方向に回転させる。回転軸21のスクリュー溝21aには横行板44の噛合せ部44aが係合されており、図3において回転軸21が時計方向に回転されると横行板44を図の左方向に移動させる駆動力が働く。
【0016】
回転軸21は荷台11の後端部に設けられた回転軸移動規制部70によって軸方向の図の右側方向への移動が規制されているので、横行板44は荷台11に対して前方(図3の左方)にスライド移動することで、連結部材41(41A、41B)が上下方向に伸長し、キャスターボード31aが押し下げられる。キャスターボード31aの下面が、ストッパー14に接触するまで押し下げられると、第2のキャスター装置30の車輪31bは第1のキャスター装置12の車輪12bの接地面より下方向に押し下げられ、その結果、図1に示すように、荷台11を持ち上げ、第1のキャスター装置12を床面Fから浮かせることで、第2のキャスター装置30の車輪31bによる走行ができる状態となる。なお、ハンドル22は回転軸21に対して着脱式としており、走行時など邪魔になるときは回転軸21から外して荷台11の下部などに設けた収容部(図示省略)に保持すれば良い。なお、そのハンドル22は折り畳み方式にしても良い。
【0017】
なお、第2のキャスター装置30の車輪31bが接地するまでは、キャスターボード31aなどを含む第2のキャスター装置30に働く重力により、ハンドル22の負荷は小さいが、第2のキャスター装置30の車輪が床面Fに接地した後は、荷台11や第1のキャスター装置12の荷重に加えて積載物をも上昇させる必要があるので、回転軸21に対して軸方向に働くスラスト荷重を支持するために、回転軸21に働く軸方向の移動を規制している係止部材21cや回転軸移動規制部70などは相応の荷重に耐える構造とすることが必要である。
【0018】
一方、防塵エリア内から再び防塵エリア外に運搬台車を走行させるために、第2のキャスター装置30から第1のキャスター装置12に切り替えるためには、ハンドル22を左方向に回転させ、リンク機構40を反対に縮小させることで、キャスターボード31aが上昇され、キャスターボード31aに取り付けられた車輪31bが、第1のキャスター装置12の車輪12bの位置よりも上方に浮き上がり、図2に示す状態で第1のキャスター装置12の車輪12bによる走行が可能となる。
【0019】
本発明の実施の形態1によるキャスター切替え運搬台車は、上記のように荷台11の下部四隅に設けられた4つの車輪12bを有する第1のキャスター装置12と、荷台11に対して昇降装置20を介して設けられ、車輪の接地位置が第1のキャスター装置よりも下方まで降下可能な4つの車輪31bを有する第2のキャスター装置30とを備え、昇降装置20は、荷台11に回動可能に設けられた駆動部材としてのスクリュー溝21aを有する回転軸21と、この回転軸を回動させる着脱式のハンドル22と、そのハンドルの回転方向によって第2のキャスター装置30を上昇または下降させるように荷台11と第2のキャスター装置30との間に設けられたリンク機構40とによって構成したものである。
【0020】
上記のように構成された実施の形態1によれば、第2のキャスター装置30をパンタグラフ式の伸縮装置を利用したリンク機構40からなる昇降装置20を介して第1のキャスター装置12を備えた荷台11と接続し、第1のキャスター装置12と第2のキャスター装置30との切換えを、スクリュー溝21aが設けられた回転軸21を着脱式のハンドル22で手動で回転させることによって行うようにしたので、キャスター切替え時の衝撃が抑制され、例えば精密部品などの積載物を安全に搬送することができるという効果が得られる。また、構成を簡素にできるので安価に製造できるという効果も得られる。
【0021】
実施の形態2.
図5は本発明の実施の形態2に係るキャスター切替え運搬台車における図1に示されたキャスター塵受け機構を概念的に説明する図であり、(a)は斜視図、(b)はピニオンとしての歯車の係合関係を説明する図、(c)は歯車軸に設けられた係合スリットを前方側から見た斜視図である。以下、図1図5を参照して説明する。図において、キャスター塵受け機構50は、キャスターボード31aの下部に設けられ、矢印B1方向と矢印B2方向で示す荷台の左右方向にそれぞれ水平に移動可能で、かつ、第1のキャスター装置12の車輪12bに付着した塵埃等異物の床面Fへの落下を阻止するように2分割して形成された板状の塵受け部材51(51A、51B)と、この塵受け部材51を、第1のキャスター装置の車輪12bが床面Fに接地しているときには矢印B1、B2とは反対方向に退避させ、第2のキャスター装置30の車輪31bが接地されて、第1のキャスター装置12の車輪12bを床面Fから所定距離浮かせた状態のときに、該第1のキャスター装置12の車輪12bの下部に進出させるように矢印B1、B2方向に移動させる塵受け部材移動装置60を備えている。
【0022】
塵受け部材51は、この実施の形態2では図5に示すように、長方形の板材の一側部の中央部を長方形状に切欠いた中央切除部51cを有し、他側部における所定の角部を長方形状に切除した角部切除部51dを有する形状の第1部材51Aと、この第1部材に対して前記他側部側に配設され、同様の中央切除部51cと、おおよそ同様の角部切除部51dを有する第2部材51Bとからなっている。第1部材51Aと第2部材51Bとは、一方の角部切除部51dに、他方の角部切除部の残部である角部非切除部51eが入り込むように組み合わされ、組み合わせたときの四隅に塵受け部52が設けられている。塵受け部52はキャスターの車輪12bの転動の方向によらず塵などの異物の落下を十分受けられる面積に形成されている。そして、塵受け部材51は矢印B1、B2方向に円滑に移動できるように塵受け支持部材53によってキャスターボード31aの下部に固定されている。
【0023】
第1部材51Aと第2部材51Bがキャスター切替え運搬台車の前後方向に対向している部分の縁部双方にはラック61(61A、61B)がそれぞれ固定されている。そして、ラック61(61A、61B)の上部には、ラック61Aに噛合するピニオンである歯車62Aと、ラック61Bに噛合するピニオンである歯車62Bが回転軸を互いにずらして設けられ、歯車62Bは歯車62Aに同軸に固定された子歯車621Aと、歯車62Bに同軸に固定された子歯車621Bとが噛合されていることで互いに反対方向に回動するように構成されている。なお、子歯車621Aと子歯車621Bは、歯車62Aと歯車62Bの間に設けられている。
【0024】
そして、歯車62Aの回転軸には図示されていないスプロケットが歯車62Aの左側に隣接するように設けられており、後述する塵受け機構接離部66によって所定時に回転軸21に係合されて、その回転軸21によって駆動されるように該回転軸21の外周面に回転自在に設けられた円筒形状の歯車軸63に固定されたスプロケット64に対してチェーン65を介して接続されている。なお、歯車62A、62Bの回転軸はキャスターボード31aに対して回動自在に軸支されており、キャスターボード31aの上下方向の移動に応じて塵受け部材51及びラック61と共に上下動するのに対して、スプロケット64を固定している歯車軸63は荷台11に支持されているので、チェーン65は第2のキャスター装置30を上昇させているときには弛み、加工させたときに緊張するようになる。
【0025】
ここで、荷台11の下部における横行板44のスライド移動部には、図1に示す第2のキャスター装置30の使用時に、横行板44の前後方向(図における左右方向)の移動を規制するための横行板ロック装置80が設けられている。図4に示すように、横行板ロック装置80は、図4では図示されていない荷台11の上面所定部から横行板44の上面を貫通した左右各1か所、合計2箇所のロック挿入口44bに、図4(b)に示すプレート71Aを差し込むことで横行板44の図の左右方向の移動を規制する。
【0026】
回転軸21の前方部には図4図5に示すように回転軸21を直径方向に貫通してその外周面から径方向両側に突出されたピン状の係合部材21eを備え、この係合部材21eが、歯車軸63の左端部に図5(c)に示すように設けられた切込み形状の係合スリット631に係合することで、回転軸21と歯車軸63が接続される。なお、接続の際には、回転軸21を右方向(台車後方)に移動させつつ回転させる中で、係合部材21eと係合スリット631の係合ガイド631aが接触し、嵌め込みの位置合わせをサポートする。
また、係合の解除に際しては、回転軸21を左回転にて係合スリット631の壁面631cに係合部材21eを接触させた状態で、回転軸21を台車前方に押込んだあと、右回転させると壁面631bに係合部材21eが接触し、再び回転軸21を台車前方に押込むことで回転軸21と歯車軸63が切り離されるように構成されている。前記ピン状の係合部材21eと係合スリット631によって塵受け機構接離部66が構成されている。なお、歯車軸63は回転軸21が軸方向に移動してもその回転軸21と共に移動しないように、回転軸21とは独立して軸方向の移動を規制するようにしても良い。
その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0027】
次に、上記のように構成された実施の形態2の動作を説明する。第2のキャスター装置30の車輪31bが床面Fに接地し、第1のキャスター装置12の車輪12bが床面Fより浮き上がった状態では、図3に示す横行板44の噛合せ部44aは回転軸21の回転可動領域Aの左端部に達し、チェーン65は図5に示すように緊張状態となって、歯車軸63を回転させればスプロケット64に噛み合わされたチェーン65と歯車62、及びラック61を介して塵受け部材51を円滑に移動できる状態となる。この状態で塵受け機構接離部66を接続させる際には、先ず横行板ロック挿入口44bにプレート71Aを荷台11の上面から挿入してロックさせ、横行板44の前後方向の移動を規制する。その後、荷台後端部に設けられた回転軸21の軸方向後方側への移動を規制しているプレート71をプレート固定ガイド72から引き抜いて回転軸21の軸方向後方側への規制を解除させる。その状態でハンドル22によって回転軸21を右回転させると、ハンドル22及び回転軸21が荷台11の後方に引き出されてくると共に、回転軸21のスクリュー溝21aは横行板44の噛合せ部44aから外れて空転部21bに移動する。
【0028】
これにより、回転軸21は、後方向に移動自在となるので、さらに後方に引き出して、回転軸21の先端部側に設けられた塵受け機構接離部66を構成する係合部材21eを円筒状の歯車軸63の先端部(図5の左端部)に設けられた係合スリット631に係合させて、回転軸21と歯車軸63とを機械的に連結して、スプロケット64をハンドル22によって回転させられるようにする。なお、そのとき、回転軸21の係止部材21dよりも先端部側は、前方回転軸移動規制板73の挿通穴(図示省略)を貫通しており、前方回転軸移動規制板73に軸支された状態が保持される。
その状態で、ハンドル22を右方向に回転させると、スプロケット64の回転動力をチェーン65を介して歯車62Aに伝えると共に歯車62Bにも伝達し、歯車62A、歯車62Bの回転動力を塵受け部材51(51A、51B)のラック61(61A、61B)にそれぞれ伝えることで、一対の塵受け部材51(51A、51B)がそれぞれ水平方向の外側に矢印B1、B2のように移動し、第1のキャスター装置12の車輪12bの下面にキャスター塵受け部52が到達し、第1のキャスター装置12の車輪12bから落下する塵などの異物を捕捉可能となる。
【0029】
一方、防塵エリア内から防塵エリア外を走行する際に、塵受け部材51を収納するためには、先ず、ハンドル22を左方向に回転させ、塵受け部材51を図5に示す矢印とは反対方向に移動させ退避させる。
次に、ハンドル22によって回転軸21を左回転させて係合スリット631の壁面631cに係合部材21eを接触させた状態で、回転軸21を台車前方に押込んだ後、右回転させて壁面631bに係合部材21eを接触させ、再び回転軸21を台車前方に押込むことで塵受け機構接離部66による回転軸21と歯車軸63が切り離される。その後、ハンドル22を荷台11の前方方向にさらに押し込みつつハンドル22を左回転させることで回転軸21の回転可動領域を横行板44の噛合せ部44aに螺合させる。次に、回転軸21の軸方向の移動を規制するためにプレート71をプレート固定ガイド72に装着した後、横行板44をロックしているプレート71Aをロック挿入口44bから取り外して横行板44のロックを解除する。
その後、ハンドル22を左回転させることでキャスターボード31aが上昇され、キャスターボード31aを所定位置まで上昇させることで、第1のキャスター装置12の車輪12bが床面Fに接地されて図2の状態となり防塵エリア外の走行が可能な状態となる。
【0030】
上記のように、実施の形態2によれば、第1のキャスター装置12の車輪12bに付着した塵埃等の異物の床面Fへの落下を阻止する塵受け部材51と、この塵受け部材を、第1のキャスター装置の車輪12bが床面Fに接地しているときには退避させ、第2のキャスター装置30の車輪31bが接地されて、第1のキャスター装置の車輪12bが床面Fから浮いた状態のときに、第1のキャスター装置の車輪の下部に進出させるように移動させる塵受け部材移動装置60を備えたことにより、車輪近辺に付着した塵の落下を確実に防止することができる。そのため、付着した塵が、例えばクリーンルームなどの床面Fに落下することを防ぐことができる。また、清浄度が異なる防塵エリア内外を行き来する際に、運搬台車を載せ替えることなく、防塵エリア外を走行した運搬台車を直接的に持ち込むことができる。加えて、載せ替え時に懸念される運搬物を落下させてしまうリスクが無くなることから、作業の効率と安全の両面で効果を得ることができる。
【0031】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態の一部または全部を自由に組合せたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
例えば、昇降装置20の駆動部材としてスクリュー溝21aを設けた回転軸21を用いる代わりに、棒状のレバーを回動させてリンク機構に動力を伝え、あるいはパンタグラフ式の伸縮装置を用いる代わりに例えば、「ジップチェーン」と呼ばれる、チェーン歯車の回転とジッパーローラの案内で可撓性を有する2本のチェーンを噛合させて一本の硬い棒状チェーンとする噛合分離可能なチェーンなどを用いて、回転運動を直線運動に変換するアクチュエータにより昇降させるようにしても良い。また、転動方向が自由に変わるキャスターは前輪のみとしても良い。また、昇降装置20の駆動源と、塵受け部材移動装置60の駆動源を分けても良い。さらに、塵受け部材移動装置60をラック61とピニオンである歯車62や、スプロケット64とチェーン65などを用いて構成したがこれに限定されるものではなく、例えば、レバー状のリンク機構などによって構成しても良い。また、駆動源を充電池による電動方式としても良い。また、横行板ロック装置として、荷台11の上面所定部から横行板44の上面を貫通したロック挿入口44bに、プレート71Aを挿通させるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えばフレームの側方からピンなどのロック部材を挿通させて横行板44の移動経路に干渉させるようにしても良い。その他、この発明の範囲内で種々の変形や変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
11 荷台、12 第1のキャスター装置、12a キャスター軸、12b 車輪、
13 手押し部材、14 ストッパー、20 昇降装置、21 回転軸(駆動部材)、
21a スクリュー溝、21b 空転部、21c 係止部材、21d 係止部材、
21e 係合部材、22 ハンドル、30 第2のキャスター装置、
31a キャスターボード、31b 車輪、40 リンク機構、
41(41A、41B) 連結部材、42 軸、43a、43b 軸、44 横行板、
44a 噛合せ部、44b ロック挿入口、45 ローラ、
50 キャスター塵受け機構、51 塵受け部材、51A 第1部材、51B 第2部材、
51c 中央切除部、51d 角部切除部、51e 角部非切除部、52 塵受け部、
53 塵受け支持部材、60 塵受け部材移動装置、61(61A、61B) ラック、
62(62A、62B) 歯車、621A 子歯車、621B 子歯車、63 歯車軸、
631 係合スリット、631a 係合ガイド、631b、631c 壁面、
64 スプロケット、65 チェーン、66 塵受け機構接離部、
70 回転軸移動規制部、71、71A プレート、72 プレート固定ガイド、
73 前方回転軸移動規制板、80 横行板ロック装置、A 回転可動領域、F 床面。
図1
図2
図3
図4
図5