特開2016-222171(P2016-222171A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-222171退避走行制御装置、退避走行制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222171(P2016-222171A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】退避走行制御装置、退避走行制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/52 20060101AFI20161205BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20161205BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20161205BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20161205BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B60Q1/52
   B60Q1/04 E
   B60Q1/26
   B60R21/00 621S
   B60R21/00 628E
   G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-112210(P2015-112210)
(22)【出願日】2015年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大岡 政雄
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339AA16
3K339AA24
3K339AA25
3K339AA26
3K339AA32
3K339AA34
3K339BA02
3K339BA22
3K339CA01
3K339CA02
3K339CA22
3K339CA24
3K339CA25
3K339EA07
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB13
3K339GB21
3K339HA08
3K339JA21
3K339JA22
3K339KA11
3K339KA18
3K339KA27
3K339KA37
3K339MA01
3K339MA04
3K339MA05
3K339MA06
3K339MA07
3K339MA10
3K339MB05
3K339MC01
3K339MC03
3K339MC17
3K339MC21
3K339MC25
3K339MC27
3K339MC31
3K339MC34
3K339MC35
3K339MC41
3K339MC46
3K339MC61
3K339MC70
3K339MC74
3K339MC76
3K339MC77
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】既存の構成を利用して、自車両の退避走行モード時における退避方向を、視覚的にわかりやすく周囲に知らせることが可能な技術を提供する。
【解決手段】退避走行制御装置は、退避方向検出手段と、点消灯パターン生成手段と、を備える。退避方向検出手段は、自車両の退避走行モード時における退避方向を検出する。点消灯パターン生成手段は、退避方向検出手段により検出した退避走行モード時における退避方向を、自車両の周囲に報知する場合に、自車両における方向指示器を含む既存の複数種類の灯火について点消灯させる組合せに関する点消灯パターンを生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の退避走行モード時における退避方向を検出する退避方向検出手段と、
前記退避方向検出手段により検出した前記退避走行モード時における退避方向を、前記自車両の周囲に報知する場合に、前記自車両における方向指示器を含む既存の複数種類の灯火について点消灯させる組合せに関する点消灯パターンを生成する点消灯パターン生成手段と、
を備えることを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記自車両における尾灯及び後部方向指示器のうち、一方の灯火について左右両方のランプを点灯させ、他方の灯火について前記退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを前記点消灯パターンとして生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記後部方向指示器について左右両方のランプを点灯させ、前記尾灯について前記退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを前記点消灯パターンとして生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記自車両における前照灯及び前部方向指示器のうち、一方の灯火について左右両方のランプを点灯させ、他方の灯火について前記退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを前記点消灯パターンとして生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記前部方向指示器について左右両方のランプを点灯させ、前記前照灯について前記退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを前記点消灯パターンとして生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記自車両における前照灯及び前部方向指示器のうち、前記一方の灯火と共に霧灯について左右両方のランプを点灯させる、ことを示すパターン、又は、前記他方の灯火と共に霧灯について前記退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを前記点消灯パターンとして生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記自車両における前部方向指示器、後部方向指示器及び側面方向指示器について、前記点消灯パターンを生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、前記自車両における前部方向指示器、後部方向指示器及び側面方向指示器のうち、いずれか1つの方向指示器について前記退避方向に対応する片側のランプを消灯させる、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の退避走行制御装置であって、
前記点消灯パターン生成手段は、点灯させる複数種類の灯火のうち、一部の灯火を他の灯火と異なるタイミングで点滅させる、ことを示すパターンを前記点消灯パターンとして生成する、
ことを特徴とする退避走行制御装置。
【請求項10】
自車両の退避走行モード時における退避方向を検出する退避方向検出工程と、
前記退避方向検出工程により検出した前記退避走行モード時における退避方向を、前記自車両の周囲に報知する場合に、前記自車両における方向指示器を含む既存の複数種類の灯火について点消灯させる組合せに関する点消灯パターンを生成する点消灯パターン生成工程と、
を備えることを特徴とする退避走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の退避走行モード時において周囲へ報知する制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両走行中に何らかの緊急事態が発生したときに、例えば運転者のスイッチ操作等をトリガとして、車両走行モードを退避走行モードに切り替えることにより、速やかに車両を減速しながら退避走行して安全な場所で停車させる退避走行制御技術が知られている。
【0003】
例えば、退避走行制御技術では、退避走行モード時に自車両における方向指示器について全てのランプを同時に点滅させることにより、自車両の緊急事態を周囲に報知することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第594182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の退避走行制御技術では、退避走行モード時に方向指示器を単にハザードランプとして使用することにより、周囲の他の運転者等に、自車両の緊急事態を知らせることができるが、自車両の退避方向を知らせることが困難であるという問題があった。
【0006】
なお、これに対し、退避走行モード時に方向指示器を通常のターンランプとして使用することにより、周囲の他の運転者等に、自車両の右左折や進路変更を知らせることができるが、この場合、逆に、自車両の緊急事態を知らせることが困難になるという問題があった。
【0007】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、既存の構成を利用して、自車両の退避走行モード時における退避方向を、視覚的にわかりやすく周囲に知らせることが可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面である退避走行制御装置は、退避方向検出手段と、点消灯パターン生成手段と、を備える。退避方向検出手段は、自車両の退避走行モード時における退避方向を検出する。
【0009】
点消灯パターン生成手段は、退避方向検出手段により検出した退避走行モード時における退避方向を、自車両の周囲に報知する場合に、自車両における方向指示器を含む既存の複数種類の灯火について点消灯させる組合せに関する点消灯パターンを生成する。
【0010】
このような構成によれば、方向指示器を含む既存の複数種類の灯火を使用して、これらの点消灯を組み合わせることにより、視覚的な表現に関するバリエーションが増すため、自車両の緊急事態と右左折や進路変更の方向とを共に、短時間且つ明確な態様で周囲に報知することが可能となる。従って、本発明によれば、既存の構成を利用して、自車両の退避走行モード時における退避方向を、視覚的にわかりやすく周囲に知らせることができる。
【0011】
また、本発明の一局面である退避走行制御方法によれば、上記同様の理由により、本発明の一局面である退避走行制御装置において既に述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0012】
なお、この欄及び特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】退避走行制御装置1の構成を示すブロック図である。
図2】ECU10の機能的構成を示すブロック図である。
図3】自車両における既存の複数種類の灯火を説明するための車両上面図である。
図4】点消灯パターン処理のフローチャートである。
図5図5(A)及び図5(B)は、尾灯31及び後部方向指示器33に関し、それぞれ異なる点消灯パターンを説明するための車両後面図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、前照灯35、前部方向指示器37及び霧灯39に関し、それぞれ異なる点消灯パターンを説明するための車両前面図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41に関し、それぞれ異なる点消灯パターンを説明するための車両側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す退避走行制御装置1は、車内ローカルエリアネットワーク(以下「車内LAN」という)20に接続されており、運転者状態検出センサ2と、車両状態検出センサ3と、方向指示スイッチ4と、周辺環境情報取得センサ6と、ADASロケータ8と、電子制御ユニット(以下「ECU」という)10と、を備える。また、車内LAN20には、走行支援ECU22と、ライトECU24と、が接続されている。以下、これらの構成要素が搭載ないしは設置された車両を自車両という。
【0015】
ECU10は、CPU11、ROMやRAM等のメモリ12、I/O等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されており、メモリ12に記憶されているプログラムに基づいてCPU11が実行する処理によって実現される複数の機能的構成要素を備える。この機能的構成要素として、ECU10は、図2に示すように、退避走行判定部15と、走行経路算出部16と、退避方向検出部17と、点消灯パターン生成部18と、を備える。
【0016】
図1に戻り、運転者状態検出センサ2は、自車両の運転者の状態を公知の方法によって検知する種々のセンサからなる。また、運転者状態検出センサ2にはスイッチ類も含まれる。運転者の意識レベルが低下したことを検出するための方法は、例えば画像認識カメラにより運転者に動きがないことを検出する方法や、運転者の身体状態を検出する方法、緊急時用の押下スイッチや音声認識装置のマイク等から運転者自身あるいは同乗者によって直接入力されることで検出する方法、あるいはこれらの組合せによる方法等である。つまり、意識レベルの低下とは、運転者が強い眠気を感じたり気分が悪くなったり意識を失ったりする等、運転者の顕在意識のレベルが予め定められたしきい値レベルよりも低下することをいう。こうして運転者状態検出センサ2により検出された情報は、所定サイクル毎に退避走行判定部15へ出力される。
【0017】
車両状態検出センサ3は、自車両の状態を公知の方法によって検知する種々のセンサからなる。また、運転者状態検出センサ2にはスイッチ類も含まれる。車両異常を検出するための方法は、例えばタイヤの空気圧やエンジンの水温や排ガス、空燃費等に関する各種センサを用いて検出する方法や、走行支援ECU22等の各ECUにプログラミングされている周知の自己診断機能を利用して検出する方法、緊急時用の押下スイッチや音声認識装置のマイク等から運転者自身あるいは同乗者によって直接入力されることで検出する方法、あるいはこれらの組合せによる方法等である。こうして車両状態検出センサ3により検出された情報は、所定サイクル毎に退避走行判定部15へ出力される。
【0018】
周辺環境情報取得センサ6は、自車両の周辺に存在する対象に関する情報である周辺環境情報を取得可能に構成されている。より具体的な例を挙げれば、周辺環境情報取得センサ6は、例えば、画像センサ、レーダセンサなどを有し、車両の周囲を撮像して各種対象物を検出したり、車両の周囲に存在する対象物との距離や相対速度をミリ波や音波を用いて検出したり、車両の現在位置を検出したりする。また、例えば、画像センサによる撮像結果から、検出した対象物を抽出する画像処理を実施し、車線の数や自車両が走行中の車線を特定する処理等も実行する。
【0019】
ADASロケータ8は、アドバンスド・ドライバ・アシスタンス・システムに使用される位置情報取得ユニットであり、主にGPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波の到達時間を利用して自車両の位置情報を取得する。また、緯度や経度等の位置情報に対応づけて道路地図情報を含む地図データベース(DB)を有する。道路地図情報は、道路を構成するリンクのリンク情報と、リンクとリンクを接続するノードのノード情報とを対応づけたテーブル状のDBである。リンク情報にはリンク長、幅員、接続ノード、カーブ情報等が含まれるため、道路地図情報を用いて道路形状を検出することができる。また、地図DBには、自動車専用道路や高速道路や一般道等の道路種別、走行レーンの数、車両を緊急停止可能な退避場所等の付加的な情報、等が記憶されている。ADASロケータ8は、これらの道路情報から自車両の現在位置に基づき車両前方の道路形状や退避場所等の情報を読み出す。こうして読み出された情報は、走行経路算出部16へ出力される。
【0020】
方向指示スイッチ4は、運転者のレバー操作によって自車両の右左折や進路変更を知らせるための周知のスイッチである。このスイッチがオンされると、左右いずれかを示すスイッチオン情報が、退避方向検出部17へ出力される。
【0021】
走行支援ECU22は、自車両の走行支援制御を行う1ないし複数のECUであり、スロットルアクチュエータ(ACT)、ブレーキACT、ステアリングACT等に制御指令を送信する。走行支援ECU22は、例えば走行経路算出部16から後述する退避目標情報を受け取ると、受け取った情報に含まれる目標走行経路を自車両が走行するように、所定タイミングでステアリングACTを含むACTに制御指令を送信することにより、例えば自車両を路肩側の隣接車線に車線変更したり、自車線から路肩エリアに移動させたりする等のために、自車両の進路を変更する。こうして進路変更のタイミングが設定されると、左右いずれかを示す進路変更タイミング情報が、車内LAN20を介して退避方向検出部17へ送信される。
【0022】
また、走行支援ECU22は、退避目標情報を受け取ると、目標走行経路に沿った目標停止位置に自車両が停止するように、スロットルACT及びブレーキACTを含むACTに制御指令を送信することで、路肩エリアを含む退避場所に自車両を緊急退避させる。なお、走行支援ECU22において、自車両の進路変更や停止制御を行う際には、例えば障害物を周辺環境情報取得センサ6等により検知し、検知した障害物等と衝突ないしは接触しないよう走行支援制御が行われる。
【0023】
ライトECU24は、自車両の周縁部にその目的毎に応じて予め配備された複数種類の灯火を制御するECUである。こうした自車両における既存の灯火としては、例えば図3に示すように、尾灯31、後部方向指示器33、前照灯35、前部方向指示器37、霧灯39、側面方向指示器41等が含まれる。これらの灯火はいずれも、左右一対として車両における両側部にそれぞれ配置されている。
【0024】
左右一対の尾灯31はそれぞれ、テールランプ、ブレーキランプ及びバックランプとして使用される1ないし複数ユニットのランプを有する周知のものである。また、左右一対の後部方向指示器33、前部方向指示器37及び側面方向指示器41はそれぞれ、ターンランプ及びハザードランプとして使用される1ユニットのランプを有する周知のものである。なお、側面方向指示器41は、左右のドアミラーにそれぞれ内蔵されている。
【0025】
左右一対の前照灯35はそれぞれ、ヘッドランプ及びポジショニングランプとして使用される1ないし複数ユニットのランプを有する周知のものである。なお、左右一対の前照灯35はそれぞれ、ヘッドランプとして、走行用前照灯(いわゆるハイビームランプ)及びすれ違い前照灯(いわゆるロービームランプ)として使用される1ないし複数ユニットのランプを有する。また、左右一対の霧灯39はそれぞれ、フォグランプとして使用される1ユニットのランプを有する周知のものである。
【0026】
また、ライトECU24は、例えば点消灯パターン生成部18から後述する点消灯パターンを受け取ると、受け取った点消灯パターンに従って、これらの灯火の各々のランプについて、点灯または消灯する制御を行う。なお、点灯制御には、ランプをオンし続ける継続的な点灯と、ランプのオンオフを繰り返す断続的な点灯(いわゆる点滅)と、が含まれる。
【0027】
図2に戻り、退避走行判定部15は、例えば、運転者状態検出センサ2による検出情報に基づき運転者の意識レベルが所定以下であると判定した場合に、自車両の走行モードを通常走行モードから退避走行モードに切り替える。退避走行判定部15では、例えば運転者を撮影した複数の画像データから運転者の動きが検出されない場合には意識レベルが所定以下であると判定される。また例えば、開眼計測時間、体温、血圧値、心拍数あるいは呼吸数等をそれぞれ重み付けして演算し意識レベルを算出し、算出結果のしきい値判定を行うことで意識レベルが判定される。
【0028】
また、退避走行判定部15は、車両状態検出センサ3による検出情報に基づき車両異常レベルが予め定められたしきい値レベル以下であると判定した場合に、自車両の走行モードを通常走行モードから退避走行モードに切り替える。また例えば、退避走行判定部15は、緊急時用の押下スイッチ等の入力があった場合に、自車両の走行モードを通常走行モードから退避走行モードに切り替える。こうして退避走行判定部15により自車両の退避走行が必要であると判定されると、自車両の走行モードが通常走行モードから退避走行モードに切り替えられ、走行経路算出部16、退避方向検出部17及び点消灯パターン生成部18が起動される。
【0029】
走行経路算出部16は、例えば、ADASロケータ8から受け取った前方道路形状を、周辺環境情報取得センサ6から受け取った車線情報に基づいて補正し、補正した自車線や自車位置、退避場所の位置および退避場所との距離を基に、自車両から退避場所までの目標走行経路を算出する。退避場所の形状は、路肩に最も近い車線境界線の形状に基づいて特定される。この形状が特定された退避場所のうち、自車両から最も離れた位置を最長退避位置として検出し、検出された最長退避位置までの目標走行経路に沿った距離を最長退避距離として算出する。こうして走行経路算出部16により算出された退避場所との距離や、退避場所の形状、目標走行経路、最長退避距離等を示す退避目標情報は、車内LAN20を介して走行支援ECU22へ送信される。
【0030】
退避方向検出部17は、自車両の退避走行モード時における退避方向を検出する。具体的には、退避方向検出部17は、例えば、走行支援ECU22から進路変更タイミング情報を受け取ると、受け取った進路変更タイミング情報に基づいて、左右いずれかにおける自車両の進路変更方向を退避方向として検出する。また例えば、退避方向検出部17は、起動後に、方向指示スイッチ4からスイッチオン情報を入力すると、入力したスイッチオン情報に基づいて、左右いずれかにおける自車両の右左折方向や進路変更方向を退避方向として検出する。こうして検出された退避方向を示す情報は、点消灯パターン生成部18へ出力される。
【0031】
点消灯パターン生成部18は、自車両における既存の複数種類の灯火について点消灯させる組合せを示す点消灯パターンを生成する。この点消灯パターンの詳細については後述する。
【0032】
[1−2.処理]
次に、点消灯パターン生成部18が実行する処理(以下「点消灯パターン生成処理」という)について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
本処理が起動すると、点消灯パターン生成部18は、まず、ステップ(以下単に「S」と記す)110において、退避方向検出部17から自車両の退避走行モード時における退避方向を示す情報が入力されたか否かを判断する。退避方向を示す情報が入力されていないと判断した場合は、S120に移行し、退避方向を示す情報が入力されたと判断した場合は、S130に移行する。
【0034】
S120では、自車両が右左折や進路変更を行うシーンではないため、自車両の緊急事態を自車両の周囲に報知するためのハザードランプON指令を、車内LAN20を介してライトECU24に送信し、S110に戻る。このハザードランプON指令を受け取ったライトECU24は、左右一対の後部方向指示器33、前部方向指示器37及び側面方向指示器41について、全てのランプを同時に点滅させることにより、ハザードランプとして機能させるライト制御を行うようになっている。
【0035】
S130では、自車両が右左折や進路変更を行うシーンであるため、自車両の緊急事態と共に右左折方向や進路変更方向(つまり、退避方向)を自車両の周囲に報知するための点消灯パターンを生成し、生成した点消灯パターンを、車内LAN20を介してライトECU24に送信し、S110に戻る。この点消灯パターンを受け取ったライトECU24は、点消灯パターンに規定される点消灯の組合せに従って、自車両における全ての灯火について各々のランプを点灯または消灯する制御を行う。
【0036】
[1−3.点消灯パターン]
次に、S130において生成される点消灯パターンについて、車両後部、車両前部及び車両側面のそれぞれ毎に説明する。
【0037】
[1−3−1.車両後部の点消灯パターン]
まず、車両後部の点消灯パターンについて説明する。
点消灯パターン生成部18は、車両後部において、自車両における尾灯31及び後部方向指示器33のうち、一方の灯火について左右両方のランプを点灯させ、他方の灯火について退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを点消灯パターンとして生成する。
【0038】
例えば、点消灯パターン生成部18は、図5Aに示すように、後部方向指示器33について左右両方のランプを点灯させ、尾灯31について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させる、ことを示す第1パターンを点消灯パターンとして生成する。
【0039】
なお、尾灯31のランプは、テールランプ、ブレーキランプ及びバックランプのうち、いずれのランプとして機能させることも可能であるが、ブレーキランプ又はバックランプとして機能させると、テールランプよりも高い光量を有するため、周囲の運転者等の視認性を高めることができる。特に、バックランプとして機能させると、テールランプ及びブレーキランプの赤系色よりも目立つ白系色を有するため、周囲の運転者等の注意をより惹くことができる。
【0040】
また、尾灯31及び後部方向指示器33の点灯は、継続的な点灯又は点滅のうちいずれの態様でも可能であるが、点滅にすると、周囲の運転者等の注意をより惹くことができる。特に、尾灯31と後部方向指示器33との点滅タイミングを異ならせることにより、周囲の運転者等の注意をさらに惹くことができる。
【0041】
また例えば、点消灯パターン生成部18は、図5Bに示すように、尾灯31について左右両方のランプを点灯させ、後部方向指示器33について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させる、ことを示す第2パターンを点消灯パターンとして生成してもよい。さらには、第1パターンと第2パターンとを所定周期で交互に入れ替えるように点消灯パターンを生成してもよい。
【0042】
[1−3−2.車両前部の点消灯パターン]
次に、車両前部の点消灯パターンについて説明する。
点消灯パターン生成部18は、車両前部において、自車両における前照灯35及び前部方向指示器37のうち、一方の灯火について左右両方のランプを点灯させ、他方の灯火について退避方向に対応する片側のランプを点灯させる、ことを示すパターンを点消灯パターンとして生成する。
【0043】
例えば、点消灯パターン生成部18は、図6Aに示すように、前部方向指示器37について左右両方のランプを点灯させ、前照灯35について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させる、ことを示す第3パターンを点消灯パターンとして生成する。この第3パターンでは、例えば、前照灯35と共に霧灯39について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させてもよい。
【0044】
なお、前照灯35のランプは、ハイビームランプ及びロービームランプのうち、いずれのランプとして機能させることも可能であるが、ハイビームランプとして機能させると、ロービームランプよりも高い光量を有するため、周囲の運転者等の注意をより惹くことができる。また、この場合、ロービームランプは、夜間において自車両の運転者の視界を確保するために使用することができる。
【0045】
また、前照灯35、前部方向指示器37及び霧灯39の点灯は、継続的な点灯又は点滅のうちいずれの態様でも可能であるが、点滅にすると、周囲の運転者等の注意をより惹くことができる。特に、前照灯35、前部方向指示器37及び霧灯39のうち、一部の灯火と他の灯火との点滅タイミングを異ならせることにより、周囲の運転者等の注意をさらに惹くことができる。
【0046】
さらに、自車両の走行環境の変化に応じて、第3パターンを変化させてもよい。例えば、照度センサ等により夜間を検出した場合に、片側のハイビームランプを点滅させると共に、左右両方のロービームランプを継続的に点灯させることにより、運転者の視界を好適に確保することができる。
【0047】
また例えば、点消灯パターン生成部18は、図6Bに示すように、前照灯35について左右両方のランプを点灯させ、前部方向指示器37について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させる、ことを示す第4パターンを点消灯パターンとして生成してもよい。この第4パターンでは、例えば、前照灯35と共に霧灯39について退左右両方のランプを点灯させてもよい。さらには、第3パターンと第4パターンとを所定周期で交互に入れ替えるように点消灯パターンを生成してもよい。
【0048】
[1−3−3.車両側面の点消灯パターン]
最後に、車両側面の点消灯パターンについて説明する。
点消灯パターン生成部18は、車両側面において、自車両における前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41のうち、いずれか1つの方向指示器について退避方向に対応する片側のランプを消灯させる、ことを示すパターンを点消灯パターンとして生成する。
【0049】
例えば、点消灯パターン生成部18は、図7Aに示すように、前部方向指示器37及び後部方向指示器33について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させ、側面方向指示器41について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を消灯させる、ことを示す第5パターンを点消灯パターンとして生成する。
【0050】
また、図7Bに示すように、前照灯35、前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41の全ての方向指示器について退避方向に対応する片側のランプ(図では左ランプ)を点灯させることも可能である。この場合の点灯は、例えば、前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41のうち、一部の方向指示器を点滅にし、他の方向指示器を継続的に点灯させる等、態様を変えることが好ましい。また例えば、前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41のうち、全ての方向指示器を点滅にすることも可能であるが、この場合、一部の方向指示器と他の方向指示器との点滅タイミングを異ならせることが好ましい。
【0051】
[1−4.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)方向指示器を含む既存の複数種類の灯火を使用して、これらの点消灯を組み合わせることにより、視覚的な表現に関するバリエーションが増すため、自車両の緊急事態と右左折や進路変更の方向とを共に、短時間且つ明確な態様で周囲に報知することが可能となる。従って、既存の構成を利用して、自車両の退避走行モード時における退避方向を、視覚的にわかりやすく周囲に知らせることができる。
【0052】
(2a)自車両における尾灯31及び後部方向指示器33のうち、一方の灯火について左右両方のランプを点灯させ、他方の灯火について退避方向に対応する片側のランプを点灯させることにより、自車両の退避走行モード時における緊急事態と右左折や進路変更の方向とを、自車両後方の他の運転者等に好適に報知することができる。
【0053】
(3a)後部方向指示器33について左右両方のランプを点灯させ、尾灯31について退避方向に対応する片側のランプを点灯させることにより、ハザードランプが機能するため、自車両の退避走行モード時における緊急事態を、視覚的によりわかりやすく自車両後方の他の運転者等に知らせることができる。
【0054】
(4a)自車両における前照灯35及び前部方向指示器37のうち、一方の灯火について左右両方のランプを点灯させ、他方の灯火について退避方向に対応する片側のランプを点灯させることにより、自車両の退避走行モード時における緊急事態と右左折や進路変更の方向とを、自車両前方の他の運転者等に好適に報知することができる。
【0055】
(5a)前部方向指示器37について左右両方のランプを点灯させ、前照灯35について退避方向に対応する片側のランプを点灯させることにより、ハザードランプが機能するため、自車両の退避走行モード時における緊急事態を、視覚的によりわかりやすく自車両前方の他の運転者等に知らせることができる。
【0056】
(6a)自車両における前照灯35及び前部方向指示器37のうち、一方の灯火と共に霧灯39について左右両方のランプを点灯させることにより、自車両の退避走行モード時における緊急事態を、より明確に表現することができる。
【0057】
(7a)自車両における前照灯35及び前部方向指示器37のうち、他方の灯火と共に霧灯39について退避方向に対応する片側のランプを点灯させることにより、自車両の退避走行モード時における右左折や進路変更の方向を、より明確に表現することができる。
【0058】
(8a)自車両における前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41について点消灯パターンを生成するため、自車両の前方及び後方に加えて側方の他の運転者等に対しても、自車両の退避走行モード時における退避方向を、視覚的にわかりやすく知らせることができる。
【0059】
(9a)自車両における前部方向指示器37、後部方向指示器33及び側面方向指示器41のうち、いずれか1つの方向指示器について退避方向に対応する片側のランプを消灯させることにより、ハザードランプ及びターンランプとしての機能との差異を設けることが可能となり、自車両の退避走行モード時における退避方向を好適に表現することができる。
【0060】
(10a)点灯させる複数種類の灯火のうち、一部の灯火を他の灯火と異なるタイミングで点滅させることにより、自車両周囲の運転者等の注意をより強く惹くことができる。
[2.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0061】
(2A)上記実施形態では、退避方向検出部17が、走行支援ECU22からの進路変更タイミング情報、又は、方向指示スイッチ4からのスイッチオン情報に基づいて、退避方向を検出しているが、これに限定されるものではない。例えば、退避方向を検出する際に、進路変更タイミング情報及びスイッチオン情報のうち予め定められた一方の情報を使用するようにしてもよいし、ヨーレートセンサの検出情報を使用するようにしてもよい。
【0062】
(2B)上記実施形態では、退避走行判定部15が、運転者状態検出センサ2又は車両状態検出センサ3の検出結果に基づいて、退避走行が必要か否かを判定しているが、これに限定されるものではない。例えば、退避方向の要否を判定する際に、運転者状態検出センサ2及び車両状態検出センサ3のうち予め定められた一方のセンサの検出情報を使用するようにしてもよいし、緊急時用の押下スイッチだけを備えるようにしてもよい。
【0063】
(2C)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0064】
(2D)上述した退避走行制御装置1の他、当該退避走行制御装置1を構成要素とするシステム、当該退避走行制御装置1としてコンピュータを機能させるための1ないし複数のプログラム、このプログラムの少なくとも一部を記録した1ないし複数の媒体、退避走行制御方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1…退避走行制御装置、2…運転者状態検出センサ、3…車両状態検出センサ、4…方向指示スイッチ、6…周辺環境情報取得センサ、8…ロケータ、10…ECU、11…CPU、12…メモリ、15…退避走行判定部、16…走行経路算出部、17…退避方向検出部、18…点消灯パターン生成部、20…車内LAN、22…走行支援ECU、24…ライトECU、31…尾灯、33…後部方向指示器、35…前照灯、37…前部方向指示器、39…霧灯、41…側面方向指示器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7