【解決手段】摩擦ブレーキ10の制御装置12は、制動指令に対応する運動体14に対する摩擦材16A,16Bの押圧力を摩擦材16A,16Bの温度に基づいて補正し、補正された押圧力に基づいて摩擦材16A,16Bを運動体14に押圧させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フェード現象による制動力の低下に対応するため、金属やセラミックスなど、耐熱性の高い材料を摩擦材に含有させることも考えられる。しかしながら、そうなると摩擦材が押し付けられるディスクロータ等の運動体がこれら含有物により削られる(ロータ攻撃性が高くなる)という別の課題が生じる。そこで、本発明は、摩擦材の温度上昇を抑えて摩擦係数の低下を抑制することの可能な、摩擦ブレーキの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、摩擦材を運動体に押圧させることで前記運動体を制動する摩擦ブレーキの制御装置に関する。当該制御装置は、制動指令に対応する前記運動体に対する前記摩擦材の押圧力を前記摩擦材の温度に基づいて補正し、前記補正された押圧力に基づいて前記摩擦材を前記運動体に押圧させる。
【0007】
また、上記発明において、前記摩擦材の温度は、前記運動体の温度に基づいて算出されることが好適である。
【0008】
また、上記発明において、前記摩擦材の温度が閾値温度を超過したときに、前記制動指令に対応する押圧力を増加させた第1補正押圧力と、前記制動指令に対応する押圧力を低減させた第2補正押圧力とが交互に前記摩擦材に加えられることが好適である。
【0009】
また、上記発明において、前記第2補正押圧力は0であることが好適である。
【0010】
また、上記発明において、前記第2補正押圧力に基づいて前記摩擦材の押圧力を制御する期間に、前記摩擦材を前記運動体から離間させることが好適である。
【0011】
また、上記発明において、前記摩擦材は、それぞれ独立に押圧力を変更可能な複数のピストンにより前記運動体に押圧され、前記複数のピストンに対して、前記第1補正押圧力に基づいて前記摩擦材の押圧力を制御する期間と前記第2補正押圧力に基づいて前記摩擦材の押圧力を制御する期間の周期及び位相の少なくとも一方が異なるように前記摩擦材に押圧力を加えさせることが好適である。
【0012】
また、上記発明において、前記運動体はディスクロータであり、前記摩擦材はブレーキパッドであって、前記ディスクロータを挟んで対向配置され、前記複数のピストンは、前記ディスクロータ及びブレーキパッドを挟んで対向する組が複数設けられるように配置され、前記対向するピストンの組ごとに、前記第1及び第2補正押圧力に基づいて前記ブレーキパッドの押圧力を制御する期間の周期及び位相の少なくとも一方を異ならせることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、摩擦材の温度上昇を抑えて摩擦係数の低下を抑制することの可能な、摩擦ブレーキの制御装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<全体構成>
図1に、摩擦ブレーキ10と、本実施形態に係る摩擦ブレーキの制御装置12を例示する。
図1では、摩擦ブレーキ10の例として、ディスクブレーキが挙げられている。この例において摩擦ブレーキ10は、ディスクロータ14、ブレーキパッド16A,16B、ピストン18、及びキャリパー20を備える。
【0016】
ディスクロータ14は図示しない車軸に結合されて車輪とともに回転する運動体である。ブレーキパッド16A,16Bは運動体であるディスクロータ14に押圧されることでディスクロータ14(及び車輪)を制動させる摩擦材である。ピストン18はブレーキパッド16A,16Bに押圧力を与えるものであり、例えば油圧ピストンから構成される。ピストン18のディスクロータ側端面にブレーキパッド16Aが固定される。
【0017】
キャリパー20はピストン18を支持するとともに、ピストン18に押圧力を与える圧力流体室22が形成されている。
図1に例示するキャリパー20はいわゆるフローティング型キャリパーであって、ピストン18の押圧の反力により、ピストン18に対向するブレーキパッド16Bがディスクロータ14側に付勢され、これによりディスクロータ14はブレーキパッド16A,16Bに挟圧される。
【0018】
制御装置12はピストン18への押圧力(油圧)を制御することでブレーキパッド16A,16Bのディスクロータ14への押圧力を制御する。
【0019】
制御装置12は、コンピュータから構成されてよく、例えば、演算回路であるCPU、メモリ等の記憶部、及び機器・センサインターフェースが内部バスを介して互いに接続されている。記憶部には、後述する押圧力補正プログラムや間欠制動プログラムが記憶されており、CPUが当該プログラムを実行することで、摩擦材であるブレーキパッド16A,16Bの温度上昇が抑制される。
【0020】
制御装置12は、機器・センサインターフェースを介して、周辺機器との信号授受を行う。具体的には、ブレーキストロークセンサ24からブレーキペダルの踏み込み量を取得し、また、温度センサ26からディスクロータ14の温度を取得する。なお、
図1に示す例では、温度センサ26として非接触型のものを例示しているが、この形態に限らず、接触型(据付型)の温度センサであってもよい。
【0021】
制御装置12は、ブレーキストロークセンサ24から取得したブレーキペダルの踏み込み量(制動指令)に基づいて、ディスクロータ14(運動体)へのブレーキパッド16A,16B(摩擦材)の押圧力を求める。例えば制御装置12の図示しない記憶部に記憶されたブレーキペダル踏み込み量と、ブレーキパッド16A,16Bの押圧力との関係が記憶されたマップ(テーブル)を参照して、踏み込まれたブレーキペダルの量に対応する押圧力を取得する。また、踏み込み量と押圧力との関係が記憶されたマップに代えて、踏み込み量と制動力との関係が記憶されたマップを用いてもよいし、踏み込み量とピストン18への油圧との関係が記憶されたマップを用いてもよい。いずれの場合であっても、押圧力と制動力と油圧とは互いに比例関係にあるから、いずれか1つが求められれば他の2つの値を得ることができる。
【0022】
<押圧力補正>
本実施形態に係る制御装置12は、ブレーキペダルの踏み込み量(制動指令)に基づいて求められたブレーキパッド16A,16B(摩擦材)の押圧力を、ブレーキパッド16A,16Bの温度に基づいて補正し、その補正後の押圧力に基づいてブレーキパッド16A,16Bをディスクロータ14に押圧させる。押圧力を補正することで、ブレーキパッド16A,16Bの温度上昇が抑制される。
【0023】
摩擦材であるブレーキパッド16A,16Bのディスクロータ14との当接面は粗面であり、凹凸のある表面形状となっている。ブレーキパッド16A,16Bをディスクロータ14に押圧することで、ブレーキパッド16A,16Bが弾性変形を起こして当接面の凸山部分が潰れ、ディスクロータ14との接触面積が増える。
【0024】
逆に押圧力を緩めると、潰れていた凸山部分が元に戻り、隣り合う凸山部分間は空気の通り道となる。空気の通り道を多く形成することでブレーキパッド16A,16Bの特に当接面(摩擦面)が冷却(空冷)され、温度上昇が抑制される。
【0025】
制御装置12は、ブレーキパッド16A,16Bが高温であるときに、ブレーキペダルの踏み込み量(制動指令)に基づいて求められたブレーキパッド16A,16B(摩擦材)の押圧力を低減させるような補正を行う。ブレーキパッド16A,16Bの温度は温度センサ26により直接測定してもよいし、ディスクロータ14の温度に基づいてブレーキパッド16A,16Bの温度を推定または算出してもよい。
【0026】
<間欠制動>
制動指令に基づく押圧力を減らすのみでは制動距離が長くなることから、押圧力の減少分を補うような制御を行ってもよい。具体的には、
図2に例示するように、制動指令に基づく押圧力を増加させた第1補正押圧力と、制動指令に基づく押圧力を低減させた第2補正押圧力とを交互にブレーキパッド16A,16Bに加えるようにしてもよい。以下、第1補正押圧力と第2補正押圧力とを交互に切り替える制御を「間欠制動」と呼ぶ。
【0027】
間欠制動によるブレーキパッド16A,16Bの温度上昇の抑制効果について、
図3〜
図5を用いて説明する。
図3〜
図5のいずれも、上段に制動のパターンが例示されている。横軸は時間を表し、縦軸は制動力(∝押圧力)を表している。また下段には、当該制動パターン実行時のブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数の変化を表すグラフが示されている。下段のグラフは、横軸にディスクロータ14の温度が示され、縦軸にブレーキパッドの摩擦係数が示されている。
【0028】
図3は比較例として、間欠制動を行わずに一定の制動力にて継続的に制動を行った場合の、ブレーキパッドの摩擦係数の変化が示されている。下段のグラフ中、白抜き四角プロット(□)及び白抜き丸プロット(○)はいずれもブレーキパッド16A,16Bのサンプルを表している。
【0029】
白抜き丸プロットのサンプルにおいては、ディスクロータ14の温度が325℃以上の領域でブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数の急激な落ち込みが見られ、0.1近傍まで摩擦係数が低下している。
【0030】
白抜き四角プロットのサンプルにおいては、ディスクロータ14の温度が400℃以上の領域でブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数の急激な落ち込みが見られ、0.2近傍まで摩擦係数が低下している。
【0031】
これらの摩擦係数の低下は、高温状態のディスクロータ14からブレーキパッド16A,16Bに熱が伝達され、特に摩擦面において摩擦材中の有機材料がガス化や軟化を起こした結果生じたものと考えられる。
【0032】
図4の例は、ブレーキパッド16A,16Bの押圧力として、第1補正押圧力と第2補正押圧力を交互に切り替えた場合の例が示されている。第2補正押圧力は0とし、また第2補正押圧力による押圧期間t_off1は所定の基本時間の8%とした。また、第1補正押圧力は、
図3で示した制動力(破線で示す)よりも制動力が嵩増しされるような値に設定した。具体的には、
図3で示す制動力による制動の仕事量と、第1補正押圧力と第2補正押圧力とを交互に切り替えた場合の制動の仕事量とが等しくなるように、第1補正押圧力の値と押圧期間とを設定した。
【0033】
また、下段のグラフ中、白抜き四角プロット(□)及び白抜き丸プロット(○)はいずれも
図3のものと同様のブレーキパッド16A,16Bのサンプルを表している。
【0034】
白抜き丸プロットのサンプルにおいては、ディスクロータ14の温度が325℃以上の領域でブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数の落ち込みが見られるが、その落ち込みは0.2近傍に抑えられている。
【0035】
白抜き四角プロットのサンプルにおいては、ディスクロータ14の温度が400℃以上の領域でブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数の落ち込みが見られるが、その落ち込みは0.3近傍に抑えられている。
【0036】
図5の例は、ブレーキパッド16A,16Bの押圧力として、第1補正押圧力と第2補正押圧力を交互に切り替えた場合の別例が示されている。第2補正押圧力は0とし、また第2補正押圧力による押圧期間t_off2は上述の基本時間の16%とした。また、
図3で示す制動力による制動の仕事量と、第1補正押圧力と第2補正押圧力とを交互に切り替えた場合の制動の仕事量とが等しくなるように、第1補正押圧力の値と押圧期間とを設定した。
【0037】
また、下段のグラフ中、白抜き四角プロット(□)及び白抜き丸プロット(○)はいずれも
図3のものと同様のブレーキパッド16A,16Bのサンプルを表している。この例では、白抜き丸プロット及び白抜き四角プロットのいずれにおいても、摩擦係数の落ち込みは殆ど見られない。このように、間欠制動を実行することで、制動距離の長距離化を抑制しつつ、ブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数の落ち込みを抑制することが可能となる。
【0038】
<間欠制動フロー>
図6に、制御装置12の制御ブロック図を例示する。ブレーキ温度取得部30は、温度センサ26からブレーキ温度を取得する。ブレーキ温度とは、例えばディスクロータ14の温度を指す。車輪速取得部32は、図示しない車輪速センサから制動対象の運動体であるディスクロータ14の回転速度を取得する。また、押圧力設定部34は、ブレーキストロークセンサ24からブレーキペダルの踏み込み量を取得するとともに、これに応じたブレーキパッド16A,16Bへの押圧力を設定する。設定された押圧力を、圧力流体室22の油圧値に変換してもよい。
【0039】
発熱量推定部36は、車輪速取得部32及び押圧力設定部34からそれぞれディスクロータ14の速度とブレーキパッド16A,16Bへの押圧力を取得するとともに、これらに基づいて制動に伴うディスクロータ14の発熱量[J]を推定する。なお、発熱量の推定に当たり、ブレーキパッド16A,16Bの摩擦係数は低温時のものを用いてもよい。また、発熱量推定に用いられる制動時間[秒]は、所定の設定値(例えば30秒)を用いてよい。
【0040】
ロータ温度推定部38では、発熱量推定部36から取得した発熱量、ディスクロータ14の比熱及び質量から、発熱によるディスクロータ14の温度増分を算出する。さらにこれにブレーキ温度取得部30から取得したブレーキ温度を加えて、制動後のディスクロータ14の温度を推定する。間欠制動判定部40では、推定されたディスクロータ14の温度に基づいて、間欠制動の実行可否を判定する。例えば間欠制動判定部40は、
図3〜
図5に示したように、推定されたディスクロータ14の温度が325℃以上である場合に、間欠制動の実行判定を行い、325℃未満である場合には間欠制動を行わずに押圧力設定部34にて設定された押圧力にて継続的にブレーキパッド16A,16Bをディスクロータ14に押圧させる。
【0041】
補正押圧力設定部42では、間欠制動の実行指令を受けて、第1及び第2押圧補正値を設定する。第1及び第2補正押圧力の設定は、例えば以下のように行ってもよい。まず、第2補正押圧力として所定の値が設定される。例えば、押圧力設定部34により設定された押圧力(制動指令に基づく押圧力)の20%以下となるように第2補正押圧力が設定される。
【0042】
次に、第2補正押圧力にてブレーキパッド16A,16Bがディスクロータ14を押圧する期間が定められる。第2補正押圧力の実行期間が長くなるほど、車両の運転者にはブレーキの抜け感が顕著に感じられるようになるため、第2補正押圧力の実行期間は運転者に検知されない程度の短期間であることが好適である。例えば、0秒を超過し10秒以内の範囲で第2補正押圧力の実行期間が定められる。
【0043】
次に補正押圧力設定部42は、当該実行期間における第2補正押圧力による制動仕事量と、押圧力設定部34により設定された押圧力(制動指令に基づく押圧力)による同期間の制動仕事量との差を求め、この差を補償するように第1補正押圧力の押圧力補正値及びその実行期間を定める。制動のパターン、つまり第1及び第2補正押圧力の値及び実行期間が定められると、このパターンに基づいてピストン18への油圧が制御される。
【0044】
なお、第2補正押圧力の設定に当たり、第2補正押圧力を0とする(制動指令に基づく押圧力の0%とする)場合には、制御装置12はブレーキパッド16A,16Bをディスクロータ14から離間させるようにピストン18の動作を制御するようにしてもよい。このようにすることで、ディスクロータ14からブレーキパッド16A,16Bへの熱伝達が抑制される。
【0045】
図7には、制御装置12による制動制御のフローチャートが例示されている。ブレーキストロークセンサ24がブレーキペダルの踏み込みを検知すると、制御装置12の押圧力設定部34はその踏み込み量に応じたブレーキパッド16A,16Bのディスクロータ14への押圧力を求める(S10)。押圧力は制動力やピストン18への油圧に置き換えられてもよい。
【0046】
次に制御装置12の発熱量推定部36は、車輪速取得部32から取得したディスクロータ14(運動体)の速度と押圧力設定部34から取得した押圧力(または制動力やピストンへの油圧)とに基づいて、ディスクロータ14の発熱量を推定する(S12)。
【0047】
次に、制御装置12のロータ温度推定部38は、ブレーキ温度取得部30から得られたブレーキ温度(ディスクロータ14の温度)と発熱量推定部36により推定されたディスクロータ14の発熱量を加えて、ディスクロータ14の温度推定値を算出する(S14)。
【0048】
さらに間欠制動判定部40は、算出されたディスクロータ14の温度推定値が閾値温度(例えば325℃)を超過しているか否かを判定する(S16)。超過していない場合、制御装置12は、押圧力設定部34にて設定された押圧力にてブレーキパッド16A,16Bをディスクロータ14に継続的に押圧させる(S18)。例えば設定された押圧力に対応する油圧をピストン18に加える。
【0049】
ディスクロータ14の温度推定値が閾値温度(例えば325℃)を超過する場合、補正押圧力設定部42は、第1及び第2補正押圧力の実行期間と押圧力とを設定する(S20)。さらに制御装置12は、第1及び第2補正押圧力に応じて間欠制動を実行する(S22)。
【0050】
<第2実施形態>
図8に、第2実施形態に係る摩擦ブレーキ10及びその制御装置12を例示する。この実施形態に係る摩擦ブレーキ10は、1ピストン1パッド方式の対向型(オポーズド型)のディスクブレーキから構成される。すなわち、ディスクロータ14を挟んで複数のピストン18A〜18Dが対向するように設けられ、さらに各ピストン18A〜18Dに独立にブレーキパッド16A〜16Dが取り付けられている。キャリパー20には複数の圧力流体室22A〜22Dが設けられ、ピストン18A〜18Dはそれぞれ独立に押圧力(油圧)が変更可能となっている。このような構成を備えることで、ブレーキパッド16A〜16D(摩擦材)をディスクロータ14(運動体)に押し当てる押圧力がそれぞれ独立に制御可能となる。
【0051】
制御装置12は、間欠制動の実行に当たり、第1及び第2補正押圧力の各実行タイミングをブレーキパッド16A〜16Dごとに異ならせる。具体的には、制御装置12は、ピストン18A〜18Dに対して、第1補正押圧力に基づいてブレーキパッド16A〜16Dの押圧力を制御する期間と第2補正押圧力に基づいてブレーキパッド16A〜16Dの押圧力を制御する期間の周期及び位相の少なくとも一方が異なるように、ブレーキパッド16A〜16Dに押圧力を加えさせる。
【0052】
より好適には、対向するピストンの組(例えば18A,18Bの組と18C,18Dの組)ごとに、第1及び第2補正押圧力に基づいて押圧力を制御する期間の周期及び位相の少なくとも一方を異ならせることが好適である。例えば
図9に示すように、一方の組が第1補正押圧力に基づいて押圧制御されているときに他方の組では第2補正押圧力に基づいて押圧制御されるといった、補完的な制御が実行される。このようにすることで、全制動期間を通じて制動力が0になることが避けられ、いわゆるブレーキの抜け感が生じることを抑制可能となる。
【0053】
なお、上述の説明では、摩擦ブレーキ10としてディスクブレーキを挙げたが、ドラムブレーキを用いても上述したような間欠制動が可能である。具体的には、ブレーキドラムが運動体に相当し、ブレーキライニングが摩擦材に相当する。制御装置12によってブレーキドラムへのブレーキライニングの押圧力を第1補正押圧力と第2補正押圧力とで交互に切り替えることで間欠制動が可能となる。また、1つのブレーキドラムに2つのブレーキシューが設けられたいわゆるツーリーディングタイプのドラムブレーキであれば、
図9のような補完的な間欠制動も可能となる。