特開2016-222205(P2016-222205A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2016222205-空気入りタイヤ 図000004
  • 特開2016222205-空気入りタイヤ 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222205(P2016-222205A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20161205BHJP
   B60C 11/12 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B60C11/03 300E
   B60C11/03 200A
   B60C11/03 300C
   B60C11/12 B
   B60C11/12 C
   B60C11/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-113384(P2015-113384)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 俊吾
(57)【要約】
【課題】本発明は、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面に、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向主溝により挟まれた1以上の陸部を有し、少なくとも一つの前記陸部は、タイヤ幅方向に対して傾斜して延在する傾斜溝を少なくとも含む副溝によって区画されて複数のブロックが形成されており、トレッド踏面の展開視において、前記複数のブロックは、タイヤ幅方向に対して傾斜するように凹部が形成された第1のブロックと、前記第1のブロックの凹部に向かって延びる端部を有する第2のブロックと、を含み、前記第1のブロックの凹部に向かって延びる前記第2のブロックの端部は、前記第1のブロックの凹部と対向する側壁のトレッド踏面側が面取りされている、ことを特徴とするものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド踏面に、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向主溝により挟まれた1以上の陸部を有し、
少なくとも一つの前記陸部は、タイヤ幅方向に対して傾斜して延在する傾斜溝を少なくとも含む副溝によって区画されて複数のブロックが形成されており、
トレッド踏面の展開視において、前記複数のブロックは、
タイヤ幅方向に対して傾斜するように凹部が形成された第1のブロックと、
前記第1のブロックの凹部に向かって延びる端部を有する第2のブロックと、を含み、
前記第1のブロックの凹部に向かって延びる前記第2のブロックの端部は、前記第1のブロックの凹部と対向する側壁のトレッド踏面側が面取りされている、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第1のブロックの凹部を形成する前記第1のブロックの一方のブロック部分及び他方のブロック部分の、前記第1のブロックの凹部を形成する側壁のトレッド踏面側が面取りされており、
トレッド踏面の展開視において、前記第1のブロックの凹部は、前記一方のブロック部分及び前記他方のブロック部分の前記第1のブロックの凹部を形成する側壁を接続する接続部が曲面状を有している、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
トレッド踏面の展開視において、前記第1のブロックの凹部は、三角形状に形成されている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
トレッド踏面の展開視において、前記第1のブロックの凹部に向かって延びる前記第2のブロックの端部は、前記第1のブロックの凹部の開口位置と、前記開口位置から最も離れた前記凹部の壁部との距離の1/3以上、前記第1のブロックの前記凹部の前記開口位置から前記第1のブロックの前記凹部の内部まで延びている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記第1のブロックには、一端が前記第1のブロックの凹部に開口するサイプが形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
トレッド踏面の展開視において、前記サイプは、屈曲部を有して他端が副溝に開口している、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの排水性能とトラクション性能とを両立させるトレッドパターンとして、周方向主溝と、幅方向溝とを有するパターンが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなトレッドパターンによれば、溝幅の大きい周方向主溝や幅方向溝により排水性を高めつつも、幅方向溝により陸部をブロックに区画して得られるエッジ効果によりトラクション性能を確保することができる。特許文献1に記載のようなトレッドパターンを有するタイヤの中には、泥濘地、砂利道、雪路等の悪路におけるトラクション性能を確保するために、幅方向溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度を大きくしたタイヤがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−44441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、泥濘地、砂利道、雪路等の悪路における走行に対応すべく、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させる手法が要求されている。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面に、タイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向主溝により挟まれた1以上の陸部を有し、少なくとも一つの前記陸部は、タイヤ幅方向に対して傾斜して延在する傾斜溝を少なくとも含む副溝によって区画されて複数のブロックが形成されており、トレッド踏面の展開視において、前記複数のブロックは、タイヤ幅方向に対して傾斜するように凹部が形成された第1のブロックと、前記第1のブロックの凹部に向かって延びる端部を有する第2のブロックと、を含み、前記第1のブロックの凹部に向かって延びる前記第2のブロックの端部は、前記第1のブロックの凹部と対向する側壁のトレッド踏面側が面取りされている、ことを特徴とするものである。
本発明の空気入りタイヤによれば、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させることができる。
【0007】
ここで、「トレッド踏面」とは、適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填したタイヤを、最大負荷能力に対応する負荷を加えた状態で転動させた際に、路面に接触することになる、タイヤの全周にわたる外周面を意味する。なおここで、「適用リム」とは、タイヤサイズに応じて下記の規格に規定された標準リム(下記TRAのYEAR BOOKでは"Design Rim"。下記ETRTOのSTANDARDS MANUALでは"Measuring Rim"。)をいい、「規定内圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに負荷されることが許容される最大の質量をいう。そして、その規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格によって決められたものであり、例えば、アメリカ合衆国では、"The Tire and Rim Association, Inc.(TRA)"の"YEAR BOOK"であり、欧州では、"The European Tyre and Rim Technical Organisation(ETRTO)"の"STANDARDS MANUAL"であり、日本では、"日本自動車タイヤ協会(JATMA)"の"JATMA YEAR BOOK"である。
【0008】
また、周方向主溝が「トレッド周方向に連続して延びる」とは、トレッド周方向に向かって連続して延びることを指し、トレッド周方向に向かってジグザグ状に連続して延びる場合や、トレッド周方向に向かって湾曲しながら連続して延びる場合も含まれる。
さらに、端部が、「凹部に向かって延びる」とは、端部付近におけるブロックのタイヤ幅方向中心線を延長した線上に、凹部が位置していることをいう。
【0009】
本発明の空気入りタイヤでは、前記第1のブロックの凹部を形成する前記第1のブロックの一方のブロック部分及び他方のブロック部分の、前記第1のブロックの凹部を形成する側壁のトレッド踏面側が面取りされており、トレッド踏面の展開視において、前記第1のブロックの凹部は、前記一方のブロック部分及び前記他方のブロック部分の前記第1のブロックの凹部を形成する側壁を接続する接続部が曲面状を有している、ことが好ましい。
この構成によれば、トラクション性能をさらに高めつつも、ブロック剛性をさらに確保して耐摩耗性をさらに向上させることができる。
ここで、「トレッド踏面側が面取り」されているとは、トレッド踏面から溝底まで全体が面取りされていることを含む。
【0010】
本発明の空気入りタイヤでは、トレッド踏面の展開視において、前記第1のブロックの凹部は、三角形状に形成されている、ことが好ましい。
ここで「三角形状」とは、辺が曲がっていたり、角が丸まっていたりしても、全体として三角形状となっていればよいことを意味する。
この構成によれば、トラクション性能をさらに向上させることができる。
【0011】
本発明の空気入りタイヤでは、トレッド踏面の展開視において、前記第1のブロックの凹部に向かって延びる前記第2のブロックの端部は、前記第1のブロックの凹部の開口位置と、前記開口位置から最も離れた前記凹部の壁部との距離の1/3以上、前記第1のブロックの前記凹部の開口位置から前記第1のブロックの凹部の内部まで延びている、ことが好ましい。
この構成によれば、静粛性を高めつつ、ブロック剛性をさらに高めて耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0012】
本発明の空気入りタイヤでは、前記第1のブロックには、一端が前記第1のブロックの凹部に開口するサイプが形成されている、ことが好ましい。
この構成によれば、ブロック剛性を均一化させて、耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0013】
本発明の空気入りタイヤでは、トレッド踏面の展開視において、前記サイプは、屈曲部を有して他端が副溝に開口している、ことが好ましい。
この構成によれば、耐摩耗性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
図2図1の空気入りタイヤの中央陸部の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)のトレッドパターンを示す展開図であり、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態のトレッド踏面を展開して示す図であり、図2は後述する図1の中央陸部の一部拡大図である。以下、特段の説明がないかぎり、トレッドパターンの形状及び寸法は、トレッド踏面を展開視した場合についてのものである。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかるタイヤは、トレッド踏面1に、トレッド周方向に連続して延びる周方向主溝が形成されている。図1の例では、トレッド踏面1は、それぞれトレッド周方向に沿って直線状に延びる2本の周方向主溝21及び22を有している。本実施形態では、2本の周方向主溝21及び22は、同一の形状を有しており、これらの周方向主溝21及び22により、タイヤの排水性を確保することができる。
図1に示す例では、2本の周方向主溝21及び22は、タイヤ赤道面CLに関して対称に設けられている。
【0019】
また、図1に示すように、2本の周方向主溝21及び22並びにトレッド端TE1及びTE2により複数の陸部が区画形成されている。具体的には、トレッド幅方向の一方側の周方向主溝21と一方側のトレッド端TE1とにより、トレッド幅方向の一方側の外側陸部31が区画形成され、周方向主溝21とトレッド幅方向の他方側の周方向主溝22とにより中央陸部32が区画形成され、周方向主溝22と他方側のトレッド端TE2とにより、トレッド幅方向の他方側の外側陸部33が区画形成されている。
図示例では、外側陸部31及び外側陸部33のトレッド幅方向の寸法が等しくなるように形成されている。
ここで「トレッド端」とは、トレッド踏面のトレッド幅方向の最外位置をいう。
【0020】
本実施形態の外側陸部31には、一端がトレッド端TE1に開口し、他端が周方向主溝21に開口するラグ溝41と、一端がトレッド端TE1に開口し、他端が外側陸部31内で終端するラグ溝42が形成されている。本実施形態の外側陸部31にはさらに、周方向主溝21により区画される側壁に、タイヤ幅方向外側に凹となる幅方向凹部61が形成されている。本実施形態の外側陸部31にはまた、一端が周方向主溝21に開口し、他端が外側陸部31内で終端するサイプ51と、一端がラグ溝42に開口し他端が幅方向凹部61に開口するサイプ52とが形成されている。
ここで「サイプ」とは、ブロックの外表面から内部に切り込まれた薄い切り込みであって、接地時に閉じることが可能なものを指す。
【0021】
本実施形態の他方側の外側陸部33には、一方側の外側陸部31と同様に、ラグ溝41及び42、凹部61、サイプ51及びサイプ52が形成されている。
【0022】
本実施形態では、周方向主溝21及び22により挟まれた中央陸部32は、タイヤ幅方向に対して傾斜して延在する傾斜溝8を少なくとも含む副溝25によって区画されて複数のブロックが形成されている。具体的には、中央陸部32は、傾斜溝8を少なくとも含む副溝25により区画されて、中央陸部32のタイヤ幅方向中心上に配置され、タイヤ幅方向に対して傾斜するように凹部62が形成された第1のブロック71と、第1のブロック71の凹部62と対向する位置に配置された第2のブロック72と、第1のブロック71の凹部62を形成する第1のブロック71の2つのブロック部分71a及び71bのうち、一方のブロック部分71aにおける、凹部62に隣接する第1の側壁部分71cと対向する位置に配置された第3のブロック73と、を備えている。
ここで、「対向する位置」に配置されるとは、少なくとも一部が互いに対向する位置に配置されることをいう。
本実施形態では、第1のブロック71は、中央陸部32のタイヤ幅方向中心上に配置されている。また本実施形態では、中央陸部32のタイヤ幅方向中心の位置と、タイヤ赤道面CLの位置とが一致している。
なお本実施形態では、2つのブロック部分71a及び71bのうち、他方のブロック部分71bにおける、凹部62に隣接する第2の側壁部分71dは、副溝25のうちタイヤ幅方向に対して55°〜90°の範囲で傾斜する傾斜溝8の延在方向に位置している。この傾斜溝8は、タイヤ幅方向に対して好ましくは60°〜90°の範囲で傾斜している。
本実施形態では、中央陸部32に延在する副溝25は全て、タイヤ幅方向に対して45°〜90°の範囲で傾斜している。
また本実施形態では、タイヤ赤道面CL上の点を中心として点対称となるように、第1のブロック71、第2のブロック72及び第3のブロック73が区画形成されている。
また本実施形態では、第1のブロック71、第2のブロック72及び第3のブロック73が、タイヤ周方向に繰り返し配置されている。
【0023】
図1及び図2に示す実施形態では、第1のブロック71の凹部62を形成する第1のブロックの71の一方のブロック部分71a及び他方のブロック部分71bは、第1のブロック71の凹部62を形成する側壁71e及び71fの、トレッド踏面側が面取りされている。また、第1のブロック71の凹部62は、一方のブロック部分71aの凹部62を形成する側壁71eと他方のブロック部分71bの凹部62を形成する側壁71fとの接続部62aが曲面状を有している。そのため、凹部62内に入り込んだ泥、砂利、雪等を、側壁71e及び71f並びに接続部62aから凹部62外に容易に排出できるため、トラクション性能を向上させることができる。また、接続部62aが曲面状を有しているので、歪みの集中を緩和するとともに、ブロック剛性を向上させて、耐摩耗性を向上させることができる。特に本実施形態では、凹部62を形成する側壁71e及び71f並びに接続部62aの全体が、凹部62の底部に対して傾斜するように構成されている。
【0024】
また図1及び図2に示す実施形態では、第1のブロック71の凹部62は、トレッド踏面を展開視したときの形状が、三角形状に形成されている。そのため、三角形状の頂点にある接続部62aにおいて、泥、砂利、雪等を圧縮することができ、圧縮した泥、砂利、雪等に対する剪断力を向上させてトラクション性能を向上させることができる。
【0025】
図1及び図2に示す実施形態では、第1の側壁部分71cは、トレッド踏面側が面取りされている。また、第2の側壁部分71dは、トレッド踏面側が面取りされている。本実施形態では、第1の側壁部分71c及び第2の側壁部分71dの全体が、副溝25の溝底に対して傾斜するように面取りされている。
【0026】
図1及び図2に示す実施形態では、第1のブロック71には、複数のサイプ53が形成されている。具体的には、一端が第1のブロック71の凹部62の接続部62aに開口し、他端が副溝25に開口するサイプ53aが形成されている。そのため、第1のブロック71の剛性が均一化されて、耐摩耗性が向上している。特に図1に示す実施形態では、サイプ53aは、屈曲部Fを1つ有するように形成されている。そのため、本実施形態の第1のブロック71は、サイプ53aにより2つに分断された部分が、サイドフォース等の力が加わって倒れ込むように変形する際に、互いに支え合うことができるので、副溝25とサイプ53aとの動きとが連動して、サイプ53aにより分断された一方の部分に大きな応力が集中することを抑制して、耐摩耗性を向上できる。なお、図1に示す実施形態では、サイプ53aに隣接するサイプ53bは、屈曲部Fを2つ有するように形成されており、サイプ53bによっても、第1のブロック71の耐摩耗性が高められている。
【0027】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、第2のブロック72は、第1のブロック71の凹部62に向かって延びる端部72aを有している。このような構成とすると、泥、砂利、雪等が端部72aの側壁によって案内されて、凹部62の内部まで入りやすくなるので、トラクション性能を向上させることができる。
【0028】
また本実施形態では、図1及び図2に示すように、第2のブロックの端部72aは、第1のブロック71の凹部62と対向する側壁72bのトレッド踏面側が面取りされている。このような構成とすると、面取りされた側壁72bにより泥、砂利、雪等が凹部62の内部まで案内されやすくなるので、トラクション性能をさらに向上させることができる。本実施形態では、側壁72bの全体が、副溝25の溝底に対して傾斜するように面取りされている。
【0029】
図1及び図2に示す実施形態では、第2のブロック72は、タイヤ周方向の寸法が、タイヤ幅方向中央部より、タイヤ幅方向外側に向かって大きくなる形状を有している。この構成により、コーナリング時に旋回外側の車輪の荷重が増加し、接地圧が上昇した状態で、大きなサイドフォースを受ける第2のブロック72のタイヤ幅方向外側の剛性を高めることができるので、操縦安定性を高めることができる。
【0030】
図1及び図2に示す実施形態ではさらに、第2のブロック72の端部72aが、第1のブロック71の凹部62内に入り込んでいる。このような構成とすると、凹部62に溝が集中して凹部62が大きな空間となることが抑制される。そのため、静粛性を高めることができる。また、凹部62内に泥、砂利、雪等が集中して、第1のブロック71に大きな応力がかかることを回避でき、第1のブロック71の耐摩耗性を高めることができる。
【0031】
この場合、第2のブロック72の端部72aは、第1のブロック71の凹部62の開口位置から、第1のブロック71の凹部62の最も離れた壁部までの距離の1/3以上、第1のブロック71の凹部62の開口位置から第1のブロック71の凹部62の内部まで延びていることが好ましい。この構成によれば、凹部62に溝が集中して凹部62が大きな空間となることが抑制される。そのため、静粛性を高めることができる。また、凹部62内に泥、砂利、雪等が集中して、第1のブロック71に大きな応力がかかることを回避でき、第1のブロック71の剛性を高めて耐摩耗性を高めることができる。
【0032】
図1及び図2に示す実施形態では、第2のブロック72には、一端が周方向主溝21または22に開口し、タイヤ径方向に凸となる段部9が底部に形成された段部付き凹部63が形成されている。旋回時に段部付き凹部63が泥、砂利、雪等を捉えるので、旋回時の操縦安定性を高めることができる。また段部付き凹部63の底部が階段状となっているため、段部9の端がエッジとして機能するので、エッジ成分を増大させてトラクション性能をさらに高めることができる。また、底部を階段状とすることにより、第2のブロック72のブロック剛性を高めて耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0033】
図1及び図2に示す実施形態ではさらに、第2のブロック72には、2つの屈曲部Fを有するサイプ54aを含む複数のサイプ54が形成されている。
【0034】
図1及び図2に示す実施形態では、第1のブロック71の第1の側壁部分71cと対向する第3のブロック73の側壁73aは、第1のブロック71と第3のブロック73とを区画する副溝25の延在方向の寸法が、第1の側壁部分71cの副溝25の延在方向の寸法よりも大きくなっている。また、第3のブロック73の側壁73aの周方向主溝21または22側の部分に、傾斜壁が形成されている。第1のブロック71が第3のブロック73に向かって倒れ込むように変形した場合に、第1の側壁部分71cの全体が側壁73aに支えられることとなるので、第1のブロック71の剛性を高めて耐摩耗性をさらに高めることができるとともに、第1のブロック71の第1の側壁部分71cの面取りによりエッジ成分が増えてトラクション性能をさらに向上させることができる。
【0035】
図1及び図2に示す実施形態ではさらに、第3のブロック73には、複数のサイプ55が形成されている。
【0036】
図1及び図2に示す実施形態では、第1のブロック71の他方のブロック部分71bの第2の側壁部分71dが延在方向に位置している傾斜溝8は、第1のブロック71が隣接する他の第1のブロック71と、第2のブロック72とに挟まれている。また、第2のブロック72の、傾斜溝8により区画される側壁72cには、傾斜溝8に向かって凸となる段部72dが形成されている。この構成によれば、傾斜溝8に向かって凸となる段部72dによりエッジ成分が増大するので、トラクション性能がさらに向上している。
【0037】
以下、本実施形態のタイヤの作用効果について説明する。
【0038】
本発明の一実施形態のタイヤによれば、まず、第1のブロック71に、タイヤ幅方向に対して傾斜するように凹部62が形成されているので、凹部62で泥、砂利、雪等を捉えて泥、砂利、雪等を掻くことができるので、トラクション性能を高めることができる。また第2のブロック72は、第1のブロック71の凹部62に向かって延びる端部72aを有している。そのため、泥、砂利、雪等が端部72aの側壁によって案内されて、凹部62の内部まで入りやすくなるので、トラクション性能を向上させることができる。また、凹部62の付近に溝が集中して凹部62が大きな空間となることを抑制できるので、静粛性を高めることができるとともに、凹部62の付近にある第1のブロック71の側壁に大きな応力がかかることを抑制し、第1のブロック71の剛性で耐摩耗性をさらに高めることができる。さらに、第2のブロック72の端部72aは、第1のブロック71の凹部62と対向する側壁72bのトレッド踏面側が面取りされているため、面取りされた側壁72bにより泥、砂利、雪等が凹部62の内部まで案内されやすくなるので、トラクション性能をさらに向上させることができる。
そのため、本実施形態の空気入りタイヤでは、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させることができる。
【0039】
特に図1の一実施形態では、走行時のタイヤ接地長が最も長く、トラクション性能に大きく影響するタイヤ赤道面CLに第1のブロック71を配置することで、トラクション性能をより高めている。
【0040】
ここで、本発明にあっては、図1の実施形態に示すように、第1のブロック71の凹部62を形成する第1のブロック71の一方のブロック部分71a及び他方のブロック部分71bの、第1のブロック71の凹部62を形成する側壁71e及び71fのトレッド踏面側が面取りされており、トレッド踏面の展開視において、第1のブロック71の凹部62は、一方のブロック部分71a及び他方のブロック部分71bの第1のブロック71の凹部62を形成する側壁71e及び71fを接続する接続部62aが曲面状を有している、ことが好ましい。この構成によれば、凹部62内に入り込んだ泥や砂利等を、側壁71e及び71f並びに接続部62aから凹部62外に容易に排出できるため、トラクション性能を向上させることができる。また、接続部62aを湾曲面としているので、歪みの集中を緩和することができ、ブロック剛性を向上させて耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0041】
さらに、本発明においては、図1の実施形態に示すように、トレッド踏面の展開視において、第1のブロック71の凹部62は、三角形状に形成されている、ことが好ましい。この構成によれば、三角形状の頂点にある接続部62aにおいて、泥、砂利、雪等を圧縮することができ、圧縮した泥、砂利、雪等に対する剪断力を向上させることができ、トランクション性能を向上させることができる。
【0042】
また本発明においては、図1の実施形態に示すように、トレッド踏面の展開視において、第1のブロック71の凹部62に向かって延びる第2のブロック72の端部72aは、第1のブロック71の凹部62の開口位置と、開口位置から最も離れた凹部62の壁部との距離の1/3以上、第1のブロック71の凹部62の開口位置から第1のブロック71の凹部62の内部まで延びている、ことが好ましい。この構成によれば、凹部62に溝が集中して凹部62が大きな空間となることが抑制される。そのため、静粛性を高めることができる。また、凹部62内に泥、砂利、雪等が集中して、第1のブロック71に大きな応力がかかることを回避でき、第1のブロック71の剛性を高めて、耐摩耗性を高めることができる。
【0043】
加えて本発明においては、図1の実施形態に示すように、第1のブロック71には、一端が第1のブロック71の凹部62に開口するサイプ53aが形成されている、ことが好ましい。この構成によれば、第1のブロック71の剛性を均一化して、耐摩耗性を高めることができる。
【0044】
加えて本発明においては、図1の実施形態に示すように、トレッド踏面の展開視において、サイプ53aは、屈曲部Fを有して他端が副溝25に開口している、ことが好ましい。この構成によれば、第1のブロック71は、サイプ53aにより2つに分断された部分が、サイドフォース等の力が加わって倒れ込むように変形する際に、互いに支え合うことができるので、溝8とサイプ53aとの動きとが連動して、サイプ53aにより分断された一方の部分に大きな応力が集中することを抑制できる。そのため、第1のブロック71の剛性を高めて、耐摩耗性を高めることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、トレッド踏面に、3本以上の周方向主溝が形成されていてもよい。他にも種々の変形、変更が可能である。
【実施例】
【0046】
本発明の効果を確かめるため、実施例1〜6にかかるタイヤと、比較例1〜3にかかるタイヤとを試作し、タイヤの性能を評価する試験を行った。各タイヤの諸元は、以下の表1に示している。試験は、タイヤサイズ215/55R17の上記各タイヤを適用リムに組み付け、内圧を230kPaとして車両に装着して行った。
なお、各タイヤは、図1に示すように、トレッド踏面1に、トレッド周方向に連続して延びる2本の周方向主溝21及び22を有するタイヤである。
【0047】
<トラクション試験>
上記各タイヤについて、圃場(泥地)を5km/hの速度で走行したときのトラクション力を測定することにより行った。比較例1にかかるタイヤの評価結果を100とした場合の相対値で評価し、数値が大きい方がトラクション性に優れていることを示す。
<摩耗試験>
上記各タイヤについて、コンクリート路面上を40km/hの速度で20000km走行後の、ヒールアンドトゥ摩耗によって消失したラグのゴム体積を測定することにより行った。比較例1にかかるタイヤの評価結果を100とした場合の相対値で評価し、数値が大きい方が耐摩耗性に優れていることを示す。
<静粛性試験>
上記各タイヤについて、時速80km/hにて、室内ドラム試験機上で走行させた際のタイヤ側方音をJASO C606規格にて定める条件で測定して気柱共鳴音を評価した。比較例1にかかるタイヤの評価結果を100とした場合の相対値で評価し、数値が大きい方が静粛性に優れていることを示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示すように、実施例1〜6にかかるタイヤは、いずれも比較例1〜3にかかるタイヤと比べて、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させることができていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、トラクション性能をより高めつつも、ブロック剛性を十分に確保して耐摩耗性を向上させた空気入りタイヤを提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:トレッド踏面、 21:周方向主溝、 22:周方向主溝、 25:副溝、 31:外側陸部、 32:中央陸部、 33:外側陸部、 41、42:ラグ溝、 51、52:サイプ、 53:サイプ、 53a:サイプ、 53b:サイプ、 54:サイプ、 54aサイプ、 61:幅方向凹部、 62:凹部、 62a:接続部、 63:段部付き凹部、 71:第1のブロック、 71a:一方のブロック部分、 71b:他方のブロック部分、 71c:第1の側壁部分、 71d:第2の側壁部分、 71e、71f:凹部を形成する側壁、 72:第2のブロック、 72a:端部、 72b:側壁、 72c:側壁、 72d:段部、 73:第3のブロック、 73a:側壁、 8:傾斜溝、 9:段部、 CL:タイヤ赤道面、 F:屈曲部、 TE1、TE2:トレッド端
図1
図2