内圧を有するように加圧される外部容器10と、外部容器10内に収容され、内容物C1と加圧剤P1とが充填される内部容器20と、外部容器10に取り付けられるバルブアッセンブリ30とを備えた二重容器であって、バルブアッセンブリ30が、外部容器10内と大気とを連通可能なバルブ40を備えており、内部容器20が、外部容器10内の減圧によって生じる、自身の内圧の相対的な上昇により開封する開封手段21aを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の機構は、約2mm程度しかないステムの作動距離で密封蓋体を破かなければならないものであり、確実な動作を実現するためには、高い精度での製造が求められる。
【0007】
また、特許文献2に開示の機構では、使用に際して破壊用ステムを打ち付ける必要があり、使い勝手が良いとは言えず、また打ち付けに伴って容器に強い衝撃が加わることから容器が破損する虞もある。
【0008】
すなわち、内部容器に直接触れて内部容器を開封する方法は、種々の問題を抱えているのである。
【0009】
そこで、内部容器に直接触れることなく、内部容器を開封することのできる二重容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の二重容器は、内圧を有するように加圧される外部容器と、外部容器内に収容され、内容物と加圧剤とが充填される内部容器と、外部容器に取り付けられるバルブアッセンブリとを備え、バルブアッセンブリが、外部容器内と大気とを連通可能なバルブを備えており、内部容器が、外部容器内の減圧によって生じる、自身の内圧の相対的な上昇により開封する開封手段を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、内部容器がパウチであって、開封手段が周縁部の貼り合せ部であることが好ましい。
【0012】
また、内部容器を少なくとも2つ備えており、内部容器にそれぞれ異なる内容物が充填されることが好ましい。または、内部容器と外部容器とにそれぞれ異なる内容物が充填されることが好ましい。
【0013】
また、バルブアッセンブリが、内部容器内と大気とを連通可能なバルブを備えていることが好ましい。
【0014】
また、外部容器内の内容物を吐出するための吐出用バルブを備えていることが好ましい。
【0015】
また、外部容器内と大気とを連通可能なバルブが、吐出用バルブを兼ねていることが好ましい。
【0016】
また、内部容器が、内部容器内を仕切る隔壁部を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の二重容器では、内部容器が、外部容器内の減圧によって生じる、自身の内圧の相対的な上昇により開封する開封手段を備えているため、使用に際して、バルブを操作し外部容器内を減圧すれば、見かけ上、内部容器の内圧が上昇し、内部容器が開封(破裂)して、内部容器内に充填されている内容物や加圧剤を外部容器内に放出させることができる。すなわち、バルブを操作するだけで内部容器を開封することができ、使い勝手が良い。また、外部容器内が減圧されるだけであるから、容器の破損も生じ難く、さらに、一般的なエアゾール製品に使用されるバルブで事足りるため、一般的なエアゾール製品と同等の精度で製造することができる。内部容器が開封されると内容物は加圧剤の圧力により勢いよく放出されるため、外部容器で混合しやすい。
【0018】
また、内部容器がパウチであって、開封手段が周縁部の貼り合せ部であれば、貼り合せ部の幅や材質、接着剤などを調整することにより、開封に必要な圧力を簡単に調整することができる。
【0019】
また、内部容器を少なくとも2つ備えており、内部容器にそれぞれ異なる内容物を充填する場合、それぞれを安定して保管し、使用時に2つの内容物を外容器内で混合させることができる。さらに、意図せず一方の内部容器が開封したとしても、内容物同士の混合を防ぐことができ、安定性を高めることができる。
または、内部容器と外部容器とにそれぞれ異なる内容物を充填すれば、必ずしも内部容器を2つ設ける必要が無くなり、コスト削減を図ることができる。
【0020】
また、バルブアッセンブリが、内部容器内と大気とを連通可能なバルブを備えていれば、内部容器内への内容物や加圧剤の充填を容易に行うことができる。
【0021】
また、外部容器内の内容物を吐出するための吐出用バルブを備えていれば、内部容器内に充填されていた加圧剤の圧力を利用して混合された内容物を外部に吐出することができる。また、設計通りの比率で内容物を混合して吐出することができるため、所望の効果が得られる。
【0022】
また、外部容器内と大気とを連通可能なバルブが、吐出用バルブを兼ねていれば、コスト削減を図ることができる。
【0023】
また、内部容器が、内部容器内を仕切る隔壁部を備えていれば、1つの内部容器に対し
て複数の内容物を充填することができ、汎用性を増すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、この発明の二重容器1について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1aに示す二重容器1は、有底筒状の外部容器10と、その内部に挿入される2つの可撓性を有する内部容器20と、外部容器10と内部容器20とをそれぞれ閉じるバルブアッセンブリ30とから構成されている。なお、この二重容器1は、2つの内部容器20に異なる種類の内容物C1、C2を別々に収容し、使用に際して外部容器10内で内容物C1、C2を混合することにより、外部容器10内で発光させ、非常用の照明などとして用いることを想定するものである。
【0026】
外部容器10は、
図1aに示すように、筒状の胴部10a、テーパー状の肩部10b、円筒状の首部10cおよび上端に肉厚のフランジ部10dを備えた合成樹脂製の耐圧容器である。首部10cの内面とフランジ部10dの内面とは連続する円筒状となっており、開口部の内面10eを構成している。この外部容器10は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどからなる透光性を有する合成樹脂製で、筒状のパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成形によって成形されている。しかし、射出成形で成形されても良い。
【0027】
内部容器20は、
図1a、cに示すように、シートを貼り合わせて袋状にしている、いわゆるパウチであって、袋体21と、袋体21の開口部に取り付けられる連結部材22とから構成されている。しかし、可撓性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0028】
袋体21のシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エバールなどの合成樹脂シート、合成樹脂シートにシリカやアルミナなどを蒸着した蒸着樹脂シート、アルミニウムなどの金属箔シートあるいは合成樹脂シート、蒸着樹脂シート、金属箔シートから選ばれる少なくとも2つのシートを積層した積層シートが挙げられる。袋体21は前記シートを複数枚重ね合わせ、または、1枚のシートを折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着剤などにより貼り合わせて形成される。なお、この貼り合せ部21aが開封手段となる。貼り合せ部21aは、大気圧下において、内部容器20に充填される加圧剤P1の圧力で剥がれる(開封される)よう、貼り合せる幅や材質、接着剤などが適宜調整されている。また、シートの材料は、充填する内容物C1、C2に応じて適宜選択されるが、遮光性のある材料であれば、内容物C1、C2を安定して保管することができる。
【0029】
連結部材22は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂の一体成形品である。
図2aに示すように、下部に、袋体21を取り付けるための貼着部23を備えており、上部に、後述する内部容器用バルブ40のハウジング41の下端の連結筒41hと連結する連結部24を備えている。貼着部23は、略ひし形柱状のものであり、その側面に水平方向に延びる水平リブ23aが形成されており、上端にフランジ部23bが形成されている。連結部24は、円筒状のものであり、その下端に底部24aが形成されている。また、上端部に、後述するバルブホルダー50と係合するための係合部24bが形成されている。
【0030】
バルブアッセンブリ30は、
図2aに示すように、2つの独立した内部容器用バルブ40と、それらの内部容器用バルブ40を受け入れるバルブホルダー50と、内部容器用バルブ40およびバルブホルダー50を覆うようにして内部容器用バルブ40をバルブホルダー50に固定するマウンテンカバー90とから構成されている。
【0031】
内部容器用バルブ40は、内部容器20への内容物C1、C2や加圧剤P1の充填を行うためのものであるとともに、内部容器20内に充填された内容物C1、C2や加圧剤P1の外部への吐出を阻止するものであって、言わば逆止弁である。具体的に、内部容器用バルブ40は、
図2bに示すように、下部に内部容器20が連結される筒状のハウジング41と、そのハウジング41内に上下動自在に挿入される弁体42と、そのハウジング41と弁体42との間を閉じる環状のラバー43と、弁体42を常時上方に付勢するバネ44と、弁体42および環状のラバー43をハウジング41に固定するカバー45とから構成されている。なお、これは従来から公知の一般的なバルブである。
【0032】
ハウジング41は、
図2bに示すように、中心に形成された円柱状の空間41aを備えている。また、ハウジング41は、底面中央に内部容器20と連通する連通孔41bが形成されており、上端に環状のラバー43を保持するラバー保持部41cが形成されている。またハウジング41の上端外周には外方向に突出したフランジ部41dが形成されており、ハウジング41の中部外周には下方に向かって縮径する第1段部41eが形成されている。さらに、第1段部41eの下に下方に向かって縮径する第2段部41fが形成されている。第1段部41eと第2段部41fとの間には、内部容器用バルブ40とバルブホルダー50とをシールするリング状のバルブガスケット41gが設けられている。ハウジング41の下端には、内部容器20の連結部24(他の実施形態においてはディップチューブ110)を取り付けるため、下方に突出した円筒状の連結筒41hが形成されている。
【0033】
弁体42は、
図2bに示すように、底部を有する筒状体であり、上端に環状段部42aが形成されており、その環状段部42aに環状のラバー43が当接している。なお、弁体42は外部に突出しない長さとされている。
【0034】
環状のラバー43は、その内周面側が、弁体42の環状段部42aに当接するリング状のものであり、外周面側は、ハウジング41の上端のラバー保持部41cに保持されている。
【0035】
バネ44は、例えば金属製のつるまきバネであって、弁体42の下端とハウジング41の底面とに支持されている。
【0036】
カバー45は、上底45aを有するカップ状のものであり、この上底45aに弁体42を通す中心孔45bが形成されている。このカバー45は、上底45aによって、環状のラバー43がハウジング41から飛び出さないように保持している。
【0037】
この内部容器用バルブ40の組み立て方法は、弁体42、環状のラバー43およびバネ
44をハウジング41内に挿入し、カバー45でそれらを覆うようにして固定する。つまり、カバー45をハウジング41に向かう方向(下方向)に押圧しながら、ハウジング41のフランジ部41dの下部に位置するカバー45の側面45cをハウジング41側に向かって環状に数箇所または全周をカシメて(縮径して)、ハウジング41に固定する。これにより環状のラバー43と、環状のラバー43に連結された弁体42は、バネ44の弾発力を受けてカバー45に押し付けられた状態でハウジング41内に固定され、環状のラバー43でシールされた状態になる。カバー45の下端45dは、下方に真っ直ぐ向いた状態となっている。
【0038】
この内部容器用バルブ40は、例えば、内容物充填装置の充填ノズルを弁体42に押し付けて、弁体42をハウジング41に対して降下させることにより、環状のラバー43によるシールが開放され、ハウジング41内と大気とが連通する。なお、本実施形態では、この内部容器用バルブ40から内容物C1、C2を吐出することはないため、弁体42の降下は、内容物C1、C2や加圧剤P1の充填時に限られることになる。内部容器用バルブ40としては、他の逆止弁構造を採用しても良い。
【0039】
バルブホルダー50は、
図1c、
図2aに示すように、円柱状の基部60と、その基部60を上下に貫通するように形成された充填部70と、その基部60を上下に貫通するように形成された2つの筒状のホルダー部80とを有する。
【0040】
基部60は、
図1cに示すように、本体(蓋部)61と、シール部(栓部)62とから構成されている。本体61の上面61aは、周縁が上方に立ち上がったリング部61bを備えている。つまり、本体61の上面61aは、リング部61bより若干凹んでいる。また、本体61は、下部にフランジ部61cを備えており、シール部62の環状凹部62aにガスケット(Oリング)62bが用いられている。
【0041】
充填部70には、
図1cに示すように、上端にステムラバー保持部70aが形成されている。また、ステム71が挿入され、ステムラバー保持部70aにステムラバー72が配置され、ステム71を上方に付勢するようにバネ73が配置されることにより、外部容器10内と大気とを連通可能とし、外部容器10と内部容器20との間に充填された加圧剤P2を外部に放出するための弁(一般的なエアゾールバルブ:以下、混合操作用バルブと称す)が構成されている。この混合操作用バルブ70は、外部容器10への加圧剤P2の充填を行うためのものであるとともに、未使用時は外部容器10内に充填された加圧剤P2の外部への吐出を阻止するものであって、言わば逆止弁である。混合操作用バルブ70を備えることで、外部容器10と内部容器20との間への加圧剤P2の充填作業や、外部容器10内の加圧剤P2の外部への放出が容易になる。ステムラバー72は、後述するようにマウンテンカバー90によって固定される。また、このとき、ステムラバー72の上面は、基部60のリング部61bより下方に位置する。
【0042】
ホルダー部80は、
図2aに示すように、基部60を上下に貫通するように形成されており、内部容器用バルブ40を受け入れて保持する部位であり、上筒部81と、その上筒部81より縮径した下筒部82と、上筒部81の下端と下筒部82の上端とを連続する環状段部83と、その環状段部83から上筒部81に向かって突出した筒状のシール部84とからなる。上筒部81とシール部84との間には、環状の溝部85が形成されている。シール部84は、さらに筒状の上部84aと、その上部より縮径した筒状の下部84bとから構成され、上部84aと下部84bとは、第1テーパー段部84cによって連続している。
また、シール部84と下筒部82の内面とは、第2テーパー段部84d(環状段部)によって連続している。下筒部82の下部内面には、連結部材22の連結部24の係合部24bと係合する環状係合部86が形成されている。
【0043】
このように構成されたホルダー部80に対して、内部容器用バルブ40の上部が上筒部81に挿入され、内部容器用バルブ40の下部が下筒部82に挿入される。詳しくは、内部容器用バルブ40の第2段部41fより下方の部位が下筒部82に挿入される。一方、内部容器用バルブ40のガスケット41gが、シール部84の第1テーパー段部84cと当接し、ホルダー部80をシールする。さらに、内部容器用バルブ40のカバー45の下端45dが環状の溝部85内に挿入される。
【0044】
このバルブホルダー50は、内部容器用バルブ40が挿入されたとき、内部容器用バルブ40のカバー45の上面が、基部60のリング部61bの上端より若干下方に位置するように構成されている。
【0045】
バルブホルダー50の外形は、
図1cに示すように、一部が切欠かれており、その側面に切欠面50aが形成されている。なお、バルブホルダー50に嵌着されるマウンテンカバー90の平面断面の形状も、
図1bに示すように、バルブホルダー50の形状に合わせて、一部を切欠いた円となっており、その側面には、バルブホルダー50の切欠面50aに対応して切欠面90aが形成されている。この切欠面90aは、バルブアッセンブリ30および二重容器1の方向(位置)合わせ手段および方向確認手段である。
【0046】
マウンテンカバー90は、
図1c、2aに示すように、内部容器用バルブ40およびバルブホルダー50を覆う円筒状のカバー部91と、バルブホルダー50のフランジ部61cと外部容器10とを固定し、そのカバー部91より大きい径の円筒状の固定部92とを有する。
【0047】
カバー部91は、その上底に内部容器用バルブ40の弁体42、混合操作用バルブ70のステム71を通す3つの挿通孔91aを有している。また、カバー部91は、その上底の下面と内部容器用バルブ40のカバー45の上面、上底の下面と混合操作用バルブ70のステムラバー72の上面とが当接するように下方に押し付けられた状態でカシメられており、上面に4箇所の凹み部91bを構成している。凹み部91bは、混合操作用バルブ70のステムラバー72をしっかり押え付けるためのものであり、シール性を高めることができる。また、内部容器用バルブ40をしっかり押え付けてバルブホルダー50に固定することができ、ガスケット41gやステムラバー72のシール性を高めることができる。さらに、マウンテンカバー90のリブ作用を奏し、二重容器1の内部圧力に対する強度が向上し、マウンテンカバー90が外方向に膨らみ、全体のシール性が低下することを防ぐ。この実施形態では、二等辺三角形状の凹み部91bが4個形成されており、それぞれの頂点が二重容器1の軸を向くように形成されている。つまり、
図1bのようにマウンテンカバー90を上から見ると、リング状および十字状の突出部91cが形成されている。
固定部92は、
図2aに示すように、バルブホルダー50のフランジ部61cの上面と当接する上鍔部92aを有し、バルブアッセンブリ30を外部容器10に取り付けるときに、下端をカシメることによって下鍔部92bが形成される。
【0048】
上記構成の二重容器1には、外部容器10と内部容器20との間に加圧剤P2が充填され、2つの内部容器20に加圧剤P1と互いに異なる内容物C1、C2とが充填される。なお、外部容器10と内部容器20との間に充填される加圧剤P2は、保管時には、内部容器20を与圧して開封手段21aを作動させないようにし、使用時には、内部容器20内の見かけ上の圧力変動(外部容器10の内圧と内部容器20の内圧との圧力差)を生じさせ、開封手段21aを作動させるためのものである。つまり、加圧剤P2を充填することで、内部容器20に充填された加圧剤P1によって生じる内部容器20の内圧をPi、外部容器10と内部容器20との間に充填された加圧剤P2によって生じる外部容器10の内圧をPo、内部容器20の開封手段21aの許容圧力をPaとした場合、保管時には
Pi−PoがPaを下回るようにし、使用時にはPi(加圧剤P1によるゲージ圧)がPa以上となるようにしているのである。
【0049】
これら加圧剤P1、P2及び内容物C1、C2は、通常、二重容器1の組み立てが終わってから充填される。充填の順序としては、内部容器20の破裂を防止するため、まず、外部容器10と内部容器20との間に加圧剤P2を充填することが好ましい。外部容器10と内部容器20との間への充填は、混合操作用バルブ70のステム71からなされる。しかし、マウンテンカバー90とバルブホルダー50とを一体化した状態でバルブアッセンブリ30を若干持ち上げ、持ち上げによって生じる隙間から外部容器10と内部容器20との間に加圧剤P2を充填するようにしても良い。この場合、バルブアッセンブリ30の取り付けは、マウンテンカバー90の下鍔部92bをカシメることによりなされる。
加圧剤P2としては、例えば窒素、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素などの圧縮ガス、液化石油ガス、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスなどがあげられる。外容器内の圧力としては、例えば0.2〜0.6MPaとする。
【0050】
外部容器10と内部容器20との間に加圧剤P2が充填された(与圧された)状態において、2つの内部容器20のうち、一方に内容物C1と加圧剤P1とを充填し、他方に内容物C2と加圧剤P1とを充填する。充填は、内部容器用バルブ40からなされる。しかし、内容物C1、C2については、外部容器10と内部容器20との間に加圧剤P2が充填される前に充填していても良い。
内容物C1、C2としては、混合されることで効果を発揮する2液反応製剤があげられ、特に本発明の二重容器1は2液反応製剤に触れることなく外部容器10内で2液を混合することができるため、皮膚に対して刺激がある有機溶剤を含有する2液式発光剤などがあげられる。2液式発光剤とする場合は、2つの内部容器20の一方に活性シュウ酸エステル溶液を充填し、他方に過酸化水素水を充填するのが好ましい。
加圧剤P1としては、上記外部容器10と内部容器20との間に充填されるものと同様のものを用いるが、これに限定されるわけではなく、種々のものを使用可能である。圧力は、内部容器20の開封手段21aを開封するのに必要な圧力や、外部容器10と内部容器20との間に充填される加圧剤P2の圧力との兼ね合いで決まるが、少なくとも、外部容器10と内部容器20との間に充填された加圧剤P2による与圧が無くなった状態において、開封手段21aの作動圧力(許容圧力)を上回る圧力とする。具体的には、例えば0.1〜0.5MPaとする。なお、開封手段21aの作動圧力が0.05MPa以下であると、内容物Cや加圧剤Pの充填時や搬送時の衝撃等により開封してしまう可能性があり、0.4MPa以上とすると、圧力差を生じさせるために多くの加圧剤P1、P2が必要となるため、0.05〜0.4MPaとすることが好ましい。
【0051】
二重容器1に加圧剤P1、P2や内容物C1、C2を充填してなる製品は、混合操作用バルブ70のステム71に装着された操作ボタン74を押し込むことにより使用する。すなわち、
図1cに示すように、操作ボタン74は、ステム71のステム孔71aと外気とを連通する通路74aを有しているため、操作ボタン74を押し込むと、ステムラバー72によるステム孔71aの閉塞が解かれ、外部容器10に充填されている加圧剤P2が外部に放出される。すると、外部容器10内の圧力が下がり、内部容器20の内圧が見かけ上、上昇する(外部容器10の内圧と内部容器20の内圧との圧力差が大きくなる)。その結果、内圧に耐えられなくなった内部容器20が、開封手段である貼り合せ部21aから剥がれるようにして破裂し、内容物C1、C2が加圧剤P1の圧力によって外部容器10内に勢い良く流出し、外部容器10内で混ざり合うこととなる。なお、本実施形態では、活性シュウ酸エステル溶液と過酸化水素水を内容物C1、C2として用いているため、混合された内容物は外部容器10内で化学発光により蛍光を放つ。外部容器10の全体から光を発するため周囲を明るくすることができ、また遠方からでも認識しやすいため非常灯として有用である。
【0052】
上述の通り、本実施形態の二重容器1では、内部容器20の封止を圧力差によって破り、内容物C1、C2同士を混合させる方法を採っていることから、操作ボタン74を押し込むだけで使用することができ、使い勝手が良い。また、容器を打ち付けたりする必要も無いため、使用に際して容器が破損する虞も少ない。さらに、一般的なエアゾール製品に使用されるバルブで構成しているため、一般的なエアゾール製品と同等の精度で製造することができる。
【0053】
また、パウチの貼り合せ部21aによって開封手段を形成しているため、簡単に開封に必要な圧力を調整することができる。
【0054】
また、内部容器20を2つ設け、それぞれに異なる内容物C1、C2を充填しているため、意図せず一方の内部容器20が開封したとしても、内容物C1、C2同士の混合を防ぐことができ、安定性が高い。
【0055】
なお、
図3に示すように、内部容器用バルブ40の弁体として、通常のステム42A(ステム孔42bが形成されたステム)を用い、このステム42Aを操作できないように、別途キャップ100を取り付けることで二重容器1Aを構成するようにしても良い。この場合、共通の部品を用いることができるため、コスト削減を図ることができる。
【0056】
次に本発明の異なる実施形態について
図4に基づいて詳細に説明する。なお、
図4以降は、混合した内容物を吐出する吐出容器でもある。この実施形態に係る二重容器2は、2つの内部容器用バルブ40のうち、一方の内部容器用バルブ40Aに内部容器20が取り付けられず、変わりにディップチューブ110が取り付けられている。また、このディップチューブ110が取り付けられている内部容器用バルブ(吐出用バルブ)40Aでは、ステムとして通常のステム42Aが用いられており、このステム上端に吐出用ボタン120が取り付けられている。
【0057】
また、内部容器20に内容物C1が充填され、外部容器10に異なる内容物C2が充填されている。内容物C1、C2としては、例えば2液式染毛剤、2液式パーマ剤、2液式接着剤等、2液反応型製剤の一方の液体が挙げられる。なお、先の実施形態と同様に、本実施形態の二重容器2も、2液反応製剤に触れることなく外部容器10内で2液を混合することができるものであり、酸とアルカリの組み合わせからなる2液式染毛剤などを充填するのに適している。2液式染毛剤を充填する場合には、アルカリ性酸化染料を内部容器20に充填することが好ましい。内部容器20であるパウチによって酸素を遮断できるため、安定して保管することができるためである。
【0058】
また、内部容器20に加圧剤P1が充填され、外部容器10と内部容器20との間に加圧剤P2が充填されている。外部容器10と内部容器20との間に充填される加圧剤P2は、外部容器10内での圧力変動を生じさせる(見かけ上、外部容器10内の圧力を上昇させる)役割をもち、内部容器20に充填される加圧剤P1は、開封手段21aを作動させる役割の他、混合された内容物を外部に吐出するための噴射剤としての役割をもつ。
【0059】
使用に際しては、まず、操作ボタン74を押し込み、外部容器10内に充填されている加圧剤P2を外部に放出する。すると、先の実施形態と同様、内部容器20内の圧力が見かけ上、上昇し、内圧に耐えられなくなった内部容器20が開封手段21aから破裂、内容物C1が加圧剤P1によって勢い良く流出し、外部容器10内の内容物C2と混ざり合うこととなる。その後、吐出用ボタン120を押し込み、混合された内容物を吐出させて使用する。なお、内容物の吐出は、内部容器20内に充填されていた加圧剤P1の圧力によってなされる。
【0060】
本方式では、予め外部容器10内で2つの内容物を設計通りの混合比率で混合するため、ノズル内で内容物を混合するものに比べてムラなく混合することができる。従って、内容物が、2液式染毛剤である場合、その吐出対象物が使用者は直接目視できない髪であっても、染毛を一層容易にできる。
【0061】
図5は、混合した内容物を吐出する別の実施形態を示している。
図5に示す二重容器3は、
図4に示す二重容器2と異なり、内容物を吐出するためのバルブ40Aにディップチューブが取り付けられておらず、且つ正立状態において、吐出用バルブ40Aの下端(連結筒41h)が内容物C2の表面に接していない、すなわち、内容物C2の表面よりも上方に位置させている点に特徴を有する。
【0062】
このような構成であれば、吐出用バルブ40Aによって、外部容器10内の加圧剤P2を外部に放出することができる、すなわち、混合操作用バルブと吐出用バルブとを兼用できるため、別途、混合操作用バルブを設ける必要が無く、コスト削減を図ることができる。
【0063】
使用に際しては、吐出用ボタン(吐出用・混合操作用の兼用ボタン)120を押し込むことにより、外部容器10内を減圧し、内部容器20を破裂させて、内容物C1、C2を混合する。その後、容器を上下反転させた状態で吐出用ボタン120を押せば、内部容器20内に充填されていた加圧剤P1の圧力により、内容物を吐出させることができる。
【0064】
図6は、さらに別の実施形態を示している。
図6に示す二重容器4は、
図5に示す二重容器3と比較して、外部容器10内に内容物が充填されておらず、代わりに内部容器20が隔壁部130によって上下方向に区画されており、この区画された空間内に内容物C1と内容物C2が充填されている点に特徴を有する。
【0065】
隔壁部130は、パウチを、上下方向の略中央部において貼り合せることで形成している。なお、
図6に示すように、下方に形成された空間には加圧剤が充填されないため、隔壁部130は、内部容器20の開封手段21aが作動する前に加圧剤P1の圧力により解消される(剥がれる)ようにする。これは、例えば貼り合せる幅を、開封手段21aよりも隔壁部130の方を短くすれば達成しうる。つまり、吐出用ボタン120を操作して、内部容器20の上方空間の外部空間に対する相対的な圧力を作動圧力以上とすることにより、貼り合せ部21a及び隔壁部130が同時に剥がれ始める。そのため、幅の狭い隔壁部130が先に開封し、次いで貼り合せ部21aが開く。内部容器20には、例えば、上方の区角部に加圧剤P1と、内容物C1として増粘剤入り酸性水溶液とを充填し、下方の区角部に、内容物C2としてアルカリ性水溶液を充填することが考えられる。この場合、2液が混ざるとゲル状に変化する。ただ、これに限らず、種々の内容物を充填可能である。
【0066】
図7は、さらに別の実施形態を示している。
図7に示す二重容器5は、内部容器140として、可撓性を有するパウチではなく、硬質の円筒体を用いている点に特徴がある。円筒体140の下端は、圧力の変化によって外れる(破れる)アルミ箔や樹脂等からなる開封手段(蓋体)141によって閉塞されている。円筒体140内には、粉末状の内容物C1と、円筒体140内を加圧する加圧剤P1とが収納されている。外部容器10内には、液状の内容物C2と加圧剤P2とが充填されている。
【0067】
使用に際しては、先の実施形態と同様に、吐出用ボタン120を押し込み、外部容器10内に充填されている加圧剤P2を外部に放出し、外部容器10内の圧力を減じることで、円筒体140内に充填されている加圧剤P1の圧力を利用して蓋体141を取外し(破
き)、円筒体140に収納されている内容物C1と、外部容器10内の内容物C2と混合させる。なお、円筒体140内に収納されている内容物C1は、外部容器10内の内容物C2と反応しガスを発生させる炭酸塩などの発泡剤を含んでおり、混合によりガスを生じさせ、このガスによる圧力で内容物を外部へ吐出できるようになっている。
【0068】
以上に、この発明の代表的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、
図1〜
図6の二重容器では、必ずしも外部容器10内に加圧剤P2を充填する必要は無く、外部容器10を密閉した状態において、内部容器20内に内容物C1や加圧剤P1を充填し内部容器20を膨張させたことによって生じる外部容器10内の圧力上昇分を、加圧剤による圧力と見立てて、これを利用するようにしても良い。この場合であっても、外部容器10内は少なくとも大気圧以上となるため、内部容器20の開封手段21aの作動を阻止することができる。すなわち、大気圧下であればPi(内部容器20の内圧)>Pa(開封手段21aの許容圧力)となり開封手段21aが作動するが、外部容器10の内圧Poが一定以上であれば、Pi−Po<Paとなり、開封手段21aの作動を阻止することが可能となるためである。
【0069】
また、内部容器20から外部容器10への内容物C1、C2の流出をより確実なものとするため、内部容器20の周りに鋭利な突起物などを配置し、内部容器20が膨張すれば突起物と接触して内部容器20に穴が開き、内容物C1、C2が流出するといった方法を併用しても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、2種類の異なる内容物C1、C2を内部容器20や外部容器10に充填していたが、内部容器20内に1種類の内容物を充填するだけでも良い。この場合でも、内部容器20が遮光性や非透過性を有していれば、外部容器10が透光性や透過性を有していても、内容物を安定して保管することができるといった利点がある。