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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222353(P2016-222353A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】画像認識機能を備えたエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20161205BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B66B3/00 L
   B66B1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-107081(P2015-107081)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】弓場 竜
(72)【発明者】
【氏名】三好 雅則
(72)【発明者】
【氏名】近藤 靖郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮一
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB24
3F303CB31
3F303CB33
3F303DB26
3F303DC25
3F502HB01
3F502JA25
3F502JA32
3F502JA54
3F502KA02
3F502KA10
3F502KA18
3F502KA19
(57)【要約】
【課題】エレベータのカゴ内の乗客の位置に依存する混雑を正確に判定して、エレベータを適切に制御する。
【解決手段】エレベータのカゴ内の乗客の位置を含む画像情報が計測できる乗客センサと、乗客センサの画像情報から少なくともカゴ内の乗客の位置を抽出する乗客特徴抽出部と、乗客特徴抽出部が抽出した乗客の位置の情報から前記エレベータのカゴ内の混雑を判定する位置基準混雑判定部と、位置基準混雑判定部で判定した混雑に応じて前記エレベータのカゴの運行や案内を制御する制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのカゴ内の乗客の位置を含む画像情報が計測できる乗客センサと、該乗客センサの画像情報から少なくともカゴ内の乗客の位置を抽出する乗客特徴抽出部と、該乗客特徴抽出部が抽出した乗客の位置の情報から前記エレベータのカゴ内の混雑を判定する位置基準混雑判定部と、該位置基準混雑判定部で判定した混雑に応じて前記エレベータのカゴの運行や案内を制御する制御部を備えることを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項2】
請求項1に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記乗客センサはエレベータのカゴ内に設けられており、前記乗客特徴抽出部は前記乗客センサの画像情報をカゴの鉛直上方向の無限遠の仮想視点から見下ろした時の俯瞰画像に直上変換し、俯瞰画像からカゴ内の乗客の位置を抽出することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記乗客センサは距離画像センサであり、撮影画像内の対象物までの距離の情報を含む画像情報を得ることを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記乗客センサは監視カメラであり、前記乗客特徴抽出部は前記監視カメラ乗客の頭部の形状をパターン認識で検出し、頭部の高さ位置を平均身長と近似してカゴ内の乗客の位置を抽出することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記位置基準混雑判定部は、前記エレベータのカゴ内の乗客の位置と、前記乗客の位置の周囲に設定した占有領域を用いて前記エレベータのカゴ内の混雑を判定することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項6】
請求項5に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記位置基準混雑判定部は、前記エレベータのカゴの設置個所、時間帯、日種の少なくとも一つに応じて、前記乗客の位置の周囲に設定した占有領域を調整することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記位置基準混雑判定部において前記エレベータのカゴ内の混雑を判定するに当たり、かご内全域を対象として混雑を判定し、あるいは前記エレベータのカゴ内のドア近傍に設定された局所領域における混雑を判定することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記エレベータの混雑を類推可能な第2のセンサを備え、前記位置基準混雑判定部において前記エレベータのカゴ内の混雑を判定するに当たり、前記乗客の位置の情報から求めた前記エレベータのカゴ内の混雑判断と、前記第2のセンサによる混雑判断とから最終的な混雑を判断することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記乗客センサが検知した前記画像情報から、乗客の荷物に関わる情報を抽出し、前記乗客の位置の情報に、前記乗客の荷物に関わる情報を加味して前記混雑を判定することを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記制御部は、前記混雑の情報を用いたエレベータカゴの運行に関して、満室通過、ドア開放時間の調整、ドア開閉速度の調整の内、少なくとも1つの制御を行うことを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【請求項11】
請求項8に記載の画像認識機能を備えたエレベータにおいて、
前記第2のセンサは、前記エレベータのカゴ内の乗客の荷重を計測できる荷重計であることを特徴とする画像認識機能を備えたエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータのカゴ内の乗客の混雑度を認識する画像認識機能を備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータにおいては、従来から乗客の乗りすぎや過重積載に対する対策を実施している。
【0003】
例えば乗客の乗り過ぎによる運転を防止するために、かご内の荷重を検出している。かご内荷重が定格積載荷重を超過した場合には、かご内の警報器を鳴らし続けて戸閉動作を行わないようにしている。これにより、かご内の乗客に降車を促している。
【0004】
また、かご内荷重が定格積載荷重の所定率以上である場合には、かご内が満員であるということで、エレベータの運行中にかご呼び(カゴ内の制御盤で指定された所定階への停車)が無いがホール呼び(所定階のホールで要請されたエレベータの配車)のある途中階でのドア開を抑止し満室通過をする場合もある。
【0005】
これらの従来の対策は、かご内荷重を検知する荷重センサの検知信号に基づいて行われている。これに対し近年、従来の荷重センサよりも、より高度なセンサをエレベータのカゴ内に備え、センサで認識した乗客の認識結果を利用してエレベータを高度に制御する技術が検討されている。
【0006】
例えば特許文献1では、カゴ床上に備えた赤外線センサやカゴの上部に備えたCCDカメラを用いた画像認識等により乗客を認識し、空間的な混雑の度合いを認識している。そのうえで、空間的な混雑度が高い場合には、エレベータのドアや運行を制御する技術が開示されている。
【0007】
この特許文献1に記載の技術によれば、空間的な混雑度を基準とすることで、荷重センサだけでは判別できなかった、大きな荷物が乗車している時の満室を検知して、満室通過の制御をすることが可能になっている。また、混雑時には、身動きが取れない乗客のすぐ近くをドアが通り過ぎることを安全上考慮して、ドア開閉速度を下げる制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−71080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、乗客の位置を考慮していないために、混雑の程度を正確に判定できないという第1の課題がある。例えば、カゴ内に同じ人数と面積の乗客が乗っている場合であっても、乗客が快適に乗れるように互いの間隔を広く取り乗っていることがある。この状態で、次の停止階でドアが開いた時に前記間隔に新たな乗客が入ることが困難な場合には、乗客が実質的にカゴ内の広い面積を占めることで混雑の程度は高くなる。その一方で乗客が他の乗客がより多く乗れるように気遣い、詰めている状況では乗客が実質的に占める面積は狭くなり混雑の程度は小さくなる。
【0010】
また、特許文献1の技術では、同じく乗客の位置を考慮していないために、カゴ内の局所の混雑が判定できないという第2の課題がある。例えば、カゴが全体的に混雑していても、ドア付近の乗客が少なく混雑していなければ、混雑により身動きが取れない乗客のすぐ近くをドアが通り過ぎることは無いので、ドア開閉速度を通常通りにしてエレベータの運行効率を高めることができる。
【0011】
以上のことから本発明の目的は、エレベータのカゴ内の乗客の位置の情報を使ってカゴ内の混雑を判定すること、およびさらには判定した混雑の情報を使って適切にエレベータを制御することができる画像認識機能を備えたエレベータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上のことから本発明においては、エレベータのカゴ内の乗客の位置を含む画像情報が計測できる乗客センサと、乗客センサの画像情報から少なくともカゴ内の乗客の位置を抽出する乗客特徴抽出部と、乗客特徴抽出部が抽出した乗客の位置の情報から前記エレベータのカゴ内の混雑を判定する位置基準混雑判定部と、位置基準混雑判定部で判定した混雑に応じて前記エレベータのカゴの運行や案内を制御する制御部を備える。
【発明の効果】
【0013】
以上述べた特徴により、本発明のエレベータによれば判定した混雑の情報を使って適切にエレベータを制御することができる。
【0014】
具体的には例えば、同数の乗客が乗っている場合において、位置基準混雑判定部がエレベータのカゴ内の全体の混雑を判定することで、乗客が間隔を開けて乗っていて新たな乗客が搭乗する余地が無い場合には混雑していると判定し、乗客が間隔を詰めて乗っていて新たな乗客が搭乗する余地が有る場合には混雑でないと判定し、このエレベータのかごの全体の混雑に応じてエレベータを制御することで第1の課題を解決することができる。
【0015】
また、本発明のエレベータを適用することで、位置基準混雑判定部がエレベータのカゴ内の局所の混雑を判定することで、ドアの近くの混雑が混雑しているときのみドア開閉速度を低下する制御を行えば、乗客の安全を保ちつつドア開閉速度をなるべく速くして、エレベータの運行効率をできるだけ高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1に係る画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示す図。
図2】距離画像センサ52の撮像画面を取り込んで混雑度合いを判断する制御装置54の構成事例を示した図。
図3】距離画像において各画素の距離値から三次元データに変換することを説明するための図。
図4】乗客特徴抽出部3における処理の概要を説明するための図。
図5】直上変換によりカゴ51を上方から見下ろした図。
図6図5の乗客の立ち位置Pを示した図。
図7図2における位置基準混雑判定部4の処理内容を示すフロー図。
図8】乗客1人の立ち位置の周りに、占有領域R1を割り当てた状況を示す図。
図9】複数乗客の立ち位置の周りに、占有領域Rを割り当てた状況を示す図。
図10】複数乗客が詰めて乗車する場合の状況を示す図。
図11図10の場合に占有領域Rを割り当てた状況を示す図。
図12】実施例2に係る画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示す図。
図13図12の位置基準混雑判定部4bでの局所領域における混雑の有無を判定するフローを示す図。
図14】直上変換によりカゴ51を上方から見下ろした図。
図15図14の場合の占有領域Rと空き領域の関係を示す図。
図16】実施例3に係る画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示す図。
図17図16における位置基準混雑判定部4の処理内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1について、図1から図11を用いて説明する。まず図1は、実施例1に係る画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示している。
【0019】
図1において、51はエレベータのカゴ、52は本発明により設置された距離画像センサ、53はカゴ51のドア、55はカゴ51の床面、Mは乗客、Pは乗客Mの床面55上における位置、54は制御装置、59はカゴ51内の座標系である。
【0020】
図2は、図1の制御装置54の処理機能を示した図である。制御装置54は、距離画像センサ52の撮像画面を取り込んで混雑度合いを判断するものであり、この図2において乗客センサ2とあるのが、図1の距離画像センサ52に対応する。制御装置54内の乗客特徴抽出部3においては、距離画像センサ52から取得した距離画像151を信号処理することによって、図1の乗客Mの床面55上の位置Pを抽出する。
【0021】
図2の乗客特徴抽出部3、位置基準混雑判定部4における処理の概要を結論的に先に述べておくと、図4に示すように距離画像151をカゴ51の鉛直上方向の無限遠の仮想視点82から見下ろした俯瞰画像251となるように座標変換し、次に俯瞰画像251上で高さYが床面55以上の領域を乗客として抽出してその重心位置を計算するというものである。
【0022】
以下、上記概要の説明について図を参照しながら詳細に説明する。まず図1において、カゴ51内に、原点Oおよび座標軸(X、Y、Z)で定義された座標系59を設定している。座標系59の原点Oは、距離画像センサ52から鉛直下方向に伸ばした線と床面55の交点であり、Y軸は鉛直方向、X軸とZ軸はドア53からカゴ51内を見た時に右方向および手前方向である。
【0023】
これに対し距離画像センサ52は、俯角θ、方位角φ、ロール角ρの設置角度で回転可能に取り付けられている。なお、俯角θと方位角φは、カメラがZ軸方向を見るときに共に0°であり、このとき俯角θ、方位角φ、ロール角ρの回転軸はそれぞれX軸、Y軸、Z軸と一致する。なお、座標系59で定義された距離画像センサ52の設置位置(Xc、
Yc、Zc)、および設置角度(θ、φ、ρ)は事前に取得され、処理装置54内に格納されている。
【0024】
ここで距離画像センサ52は、いわゆる監視カメラと同様の画像の撮像面を有しており、撮像面中の各画素において、各画素に対応した空間中の物体までの距離を計測するセンサである。このようにして画像中の各画素の距離値を計測した画像を距離画像と呼ぶ。
【0025】
距離画像センサ52の計測方式として適用可能な手法には、例えばTOF法(Time Of Flight)がある。TOF方式の距離画像センサによれば、センサ内部に近赤外の発光体を有し、近赤外光を発光してからその近赤外光が視野角内の物体に反射してから戻ってくるまでの時間を計測することで、センサから物体までの距離を計測する計測方式である。
【0026】
このようにして画像中の各画素の距離値を計測した距離画像では、各画素の距離値から三次元データに変換できる。図3を用いて、距離画像において各画素の距離値から三次元データに変換することを説明する。図3において、151は距離画像、150は距離画像中の画素、50は画素150に対応した空間中の対応点、69は距離画像センサ52を基準(原点Os)とし座標軸(X、Y、Z)で定義される座標系、i(u、v)は画素150の距離画像151上の座標であり、空間中の対応点50の座標I(X、Y、Z)は、対応点50を含む座標系69の座標で表される。
【0027】
座標系69の原点Oは距離画像センサ52の投影の中心であり、座標軸(X、Y、ZS)は距離画像センサ52から見て左、上、奥にあたる。座標I(X、Y、Z)は、距離画像センサ52を座標系の基準(原点Os)としたときの三次元データである。座標I(X、Y、Z)の要素中のZsが、画素150の距離値に等しい。距離画像センサ52の投影モデルをピンホールモデルで近似し、距離画像センサ52の焦点距離をλとすると、座標I(X、Y、Z)の要素中で、残るX、Yは順に(1)式、(2)式で計算できる。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
距離画像センサ52は、距離画像151を所定の周期で撮像する。距離画像センサ52には、以上述べたTOF方式以外にも、画像中の各画素の距離値を三次元データに変換できる方式が適用できる。ステレオカメラやレーザレーダがその一例であるがこれに限らない。距離画像センサ52は、この距離画像を所定の周期で取得する。
【0031】
詳細には、まず図2の乗客特徴抽出部3において、乗客センサ2(距離画像センサ52)からの距離画像151をカゴ51の鉛直上方向の無限遠の仮想視点から見下ろした様に直上変換する。図4において、82は鉛直上方向の無限遠にある仮想視点、251は俯瞰画像、jは俯瞰画像251中の画素である。直上変換の機能を果たす乗客特徴抽出部3では、まず距離画像151中の各画素150において、(1)式、(2)式から座標についての三次元データI(X、Y、Z)求める。
【0032】
次に、(3)式を用いて、三次元データI(X、Y、Z)をカゴ51内の座標系59で定義した三次元データI(X、Y、Z)に変換する。
【0033】
【数3】
【0034】
(3)式において、位置(X、Y、Z)は図1に示すように座標系59における距離画像センサ52の設置位置、角度(θ、φ、ρ)は図1に示すように座標系59における距離画像センサ52の設置角度である。これらの設置位置や設置角度のデータは事前に計測しておく。
【0035】
次に、図4の仮想視点82から対応点50を平行投影して、俯瞰画像上251の画素250の座標j(X、Z)を取得する。この対応点50を介して、画素150から画素250を取得する変換を直上変換と呼ぶ。画素250では、座標jと共に、高さYも求めておく。直上変換の機能を果たす乗客特徴抽出部3では、距離画像151中の全ての画素150を俯瞰画像251上に直上変換する。
【0036】
画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示す図1においては、上記した変換処理を以下の構成により実施する。まず図1において、乗客センサ2は少なくともエレベータのカゴ内の乗客の位置に関わるセンサ情報を計測できるセンサであり、例えば距離画像センサ52がこれに相当する。乗客特徴抽出部3は、上記(1)から(3)式を用いて、乗客センサ2が計測したセンサ情報から、少なくとも乗客の位置を認識する。位置基準混雑判定部4は、各々の乗客位置と、乗客1人あたりが占有することを予測した仮想的な占有領域から全ての乗客の占有領域を計算し、全ての乗客の占有領域からエレベータのカゴ内全体の混雑を判定する。制御部5は、位置基準混雑判定部4の混雑の判定結果を使って、エレベータの内部のドア等の装置や運行の少なくとも一つを制御する。
【0037】
次に、乗客特徴抽出部3は、俯瞰画像251上における床面55の領域において、高さYが床面55よりも高い部分の連結領域を乗客として抽出し、連結領域の重心を乗客の位置とする。ここで、俯瞰画像251上における床面55の領域は、事前に座標系59とカゴ51の寸法から求めておくことができる。図1の場合、以上述べた信号処理で乗客Mの床面55上の位置Pが抽出できる。
【0038】
図1の乗客特徴抽出部3においては、乗客の数が2人以上の複数の場合、乗客Mから位置Pを抽出する手順を繰り返すことで、各乗客から床面55上の位置を抽出する。図5に乗客が6人乗っている例、図6図5の乗客から位置を抽出した例を示す。
【0039】
まず図5はカゴ51を上方から見下ろした図であり、直上変換により鉛直上方向の無限遠にある仮想視点82から見たかご内の様子を表している。この図で55は床面、53はドアであり、M1からM6はそれぞれ乗客である。この図5によれば、乗客M1からM6は身体が接触するほど詰めてはおらず、間隔を開けて乗車している。
【0040】
図6図5の乗客の立ち位置Pをしめしたものである。図6において、立ち位置P1からP6はそれぞれ、乗客M1からM6についての撮像画像から乗客特徴抽出部3で抽出した位置である。なお、図6において床面55上の点線は、乗客M1からM6の輪郭線を表しており、位置P1からP6と乗客M1からM6の関係が分かりやすくなるように補助的に記したものである。
【0041】
図2における位置基準混雑判定部4の処理内容を図7のフローを使って説明する。図7のフローにおいて、処理ステップS11と処理ステップS13は部分的な繰り返し処理の範囲を示しており、処理ステップS11と処理ステップS13の間に記載された処理ステップS12について、定義された個数が全て終了するまで繰り返し実行することを意味している。図7の場合には、直上変換により抽出された全ての乗客(M1からM6)について、乗客ごとに占有領域Rを割り当てていく。占有領域Rは、乗客Mの立ち位置Pの周囲に設定された当該乗客の体格が占める仮想の領域であり、図6の乗客ごとの外側の点線で示す領域がこれに当たると考えてよい。
【0042】
図8は、乗客Mが1人の場合に、乗客M1の床面55上の立ち位置P1の周りに、占有領域R1を割り当てた状況を示している。ここで、占有領域R1は、乗客1人あたりが実質的に占める領域であり、事前にその面積および形状が定められている。
【0043】
図7の処理フローの処理ステップS14においては、全ての乗客(M1からM6)に占有領域Rを割り振った後、床面55上においてそれら占有領域Rと重ならない空き領域Sを求め、この空き領域Sの面積を計算する。
【0044】
図9は、図5の全ての乗客(M1からM6)に占有領域(R1からR6)を割当てた後に空き領域Sを求めた図である。この図においてRは、乗客M1からM6の占有領域(R1からR6)を重ね合わせた総占有領域であり、Sは床面55上で総占有領域R以外の空き領域である。
【0045】
次に図7の処理フローの処理ステップS15においては、空き領域Sの面積が閾値以上であるかを判定し、閾値以上であれば処理ステップS16において「混雑していない」と判定し、閾値未満であれば処理ステップS17において「混雑している」と判定する。
【0046】
なお図2の位置基準混雑判定部4において、占有領域Rの面積は、乗客Mが床面55上において物理的に占める面積だけではなく、パーソナルスペース(他人に近付かれると不快に感じる空間)を考慮して定めるのがよい。また占有領域Rの形状は、乗客Mの凡その形状を近似して定めるのがよい。図8の例では、過半のエレベータにおいて乗客Mは乗車中に現在階を示すインジケータの有るドア53を向くことと、ドア53の方向を向いた乗客は床面55上において長軸を肩幅、短軸を体の厚みとした楕円に近い形状をとるために、占有領域Rの形状は横長の楕円で近似している。ただしこれに限らず、エレベータ毎の乗客の平均的な乗り方に応じて占有領域Rの形状は定めて良い。
【0047】
また図7の処理フローの処理ステップS15における空き領域Sの面積の閾値は、空き領域Sに新たな乗客が所定人数以上乗れる余地があるかを基準としてあらかじめ定めておくのがよい。所定人数をNとすると、処理ステップS15における閾値は、Nと占有領域Rの面積の積で求める。所定人数は、制御部5で行う制御の内容および方針に応じて定める。例えば、制御部5において満室通過を行う場合、1人でも搭乗の余地が有ればドア開をする方針の場合には所定人数を1人とし、まとまった人数の搭乗の余地が有るとききのみドア開をする方針の場合には所定人数は2人以上の所定値、例えばカゴ51の定員の所定の割合に設定するのがよい。
【0048】
位置基準混雑判定部4の判定の例を、処理ステップS15の閾値を1人とした場合について説明する。図5の様に乗客M1からM6が間隔を開けて乗車する状況では、図6のように総占有領域Rが床面55上の広い範囲にまたがるため、空き領域Sはほぼ無いため処理ステップS17において混雑していると判定する。
【0049】
一方、図10の様に乗客M1からM6が図5よりも詰めて乗車する場合には、図11に示す様に乗客(M1からM6)から立ち位置(P1からP6)を求め、総占有領域Rおよび空き領域Sを求めた時、空き領域Sには乗客1人分以上あるため、位置基準混雑判定部4の処理ステップS16では「混雑していない」と判定する。
【0050】
図2の制御部5では、位置基準混雑判定部4の判定結果に応じて、エレベータのカゴ51内の装置や、カゴ51の運行の少なくとも1つを制御する。
【0051】
また制御部5では、満室通過を行う場合、処理ステップS17で「混雑」と判断しているとき、カゴ呼びが無くホール呼びのみがある途中階でのドア開を抑止する。
【0052】
また制御部5では、ドア開放時間を制御する場合、処理ステップS17で「混雑」と判断しているとき、ドア開の時間を通常通りもしくは短縮させ、処理ステップS18で「混雑していない」と判断しているとき、ドア開の時間を通常よりも長くしてホールからより多くの乗客が乗れるように計らう。
【0053】
なお実施例1についての上記説明においては、距離画像センサ52を用いて直上変換を行う事例を紹介したが、同様のことは通常の監視カメラにおいても可能である。一般の監視カメラの場合には、乗客の頭部の形状をパターン認識で検出し、頭部の高さ位置を全て例えば成人の平均身長と近似しておくことで、センサ2としての利用が可能である。
【実施例2】
【0054】
本発明の実施例2について、図12から図15を用いて説明する。まず図12は、実施例2に係る画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示している。なお図12において、乗客センサ2と乗客特徴抽出部3の機能は図2の実施例1と共通であり、位置基準混雑判定部4bと制御部5bの処理内容が図2とは相違する。
【0055】
図12の構成における概要を述べると、位置基準混雑判定部4bにおいては、床面55上の所定の位置に設けた局所領域における混雑を判定する機能を有し、制御部5bは局所領域における混雑を参照してエレベータの制御を行う。この場合における局所領域とはエレベータかごのドア付近であり、この部分に空き領域が存在するのであれば他の乗客の搭乗が可能と判断できる。
【0056】
図12の位置基準混雑判定部4bでの局所領域における混雑の有無を判定するフローを図13で説明する。図13において、処理ステップS11から処理ステップS13における処理は図7と同じであり、要するに各乗客の占有領域Rを割り当てている。
【0057】
次に処理ステップS24では、あらかじめ設定された局所領域D内の占有領域Rの面積を求める。図14図15を用いて処理ステップS24の処理を説明する。まず図14図5と同様にカゴ51を見下ろした図で、M1からM4は乗客、Dはドア53付近に設けられた局所領域である。図14の例では、かご内には乗客が乗降可能な領域があるが、乗客M1とM2がドア53近傍に位置しており、ドア53付近に設けられた局所領域Dがふさがっている状態である。
【0058】
図15は、図14の場合の占有領域Rと空き領域の関係を示している。この図によれば、乗客(M1からM4)から求めた立ち位置(P1からP4)、これら立ち位置(P1からP4)の周囲に設定した占有領域(R1からR4)及び割り振り求めた総占有領域Rおよび空き領域Sを示している。
【0059】
処理ステップS24での判断処理においては、局所領域Dをドア53近傍に設定している。当該局所領域D内の占有領域RDの面積は、局所領域D中の総占有領域の面積である。床面全体での占有領域Rの比率は、6割程度であり、まだ余裕があるといえるが、局所領域D内の占有領域RDの比率は、9割以上であり、余裕がない状態ということができる。
【0060】
次に処理ステップS25では、処理ステップS24で求めた局所領域D内における総占有領域RDの面積を、局所領域D面積で除算することで局所領域中の占有率を計算する。
【0061】
さらに処理ステップS26では、処理ステップS25で求めた局所領域D中の占有率が閾値以下かを判定し、閾値以下であれば処理ステップS27において「局所領域Dが混雑していない」と判断し、閾値より大きければ処理ステップS28において「局所領域Dが混雑している」と判断する。
【0062】
図14の状況の例では、ドア53のすぐ前に乗客M1とM2がいることで、図15に示すように局所領域D内の広い範囲に総占有面積RDがまたがり、処理ステップS25の局所領域中の占有率は高い。他方、仮に図10に局所領域Dを図14と同じ場所に設けた場合を想定すると、ドア53の前に乗客はいないので、処理ステップS25の局所領域D中の占有率は低いという結果になる。
【0063】
よって、処理ステップS26では処理ステップS26中の閾値を適切に定めることによって、図10の状況を局所領域Dが混雑していない(処理ステップS27)と判定し、図14の状況を局所領域Dが混雑している(処理ステップS28)と判定することができる。
【0064】
制御部5bは、位置基準混雑判定部4bにおける局所領域Dの混雑の有無(処理ステップS28、処理ステップS27)、あるいはこれに位置基準混雑判定部4におけるカゴ51全体の混雑の有無(処理ステップS16、処理ステップS17)を加えて、カゴ51内の装置や、カゴ51の運行の少なくとも1つを制御する。
【0065】
制御部5bで満室通過を行う場合、図15の様にドア53付近の局所領域Dを設け、局所領域Dが混雑している(処理ステップS28)場合には、ドア53が開いても局所領域Dの混雑に阻まれて新たな乗客が乗ることが困難であり、これが満室状態と等しいとみなして、カゴ呼びが無くホール呼びのみがある途中階でのドア開を抑止する。
【0066】
あるいは処理ステップS28の判定結果に、カゴ51全体の混雑の判定結果を加えて(処理ステップS15)、カゴ51内が混雑してなくても(処理ステップS16)、ドア53付近の局所領域Dが混雑している(処理ステップS28)場合には、乗客M等にカゴ51の奥(ドア53と反対側)に詰めるように促すアナウンスを流してもよい。図14がこのアナウンスを出力するのに適した状況である。詰めるように促すアナウンスにカゴ51内の乗客が従えば、ドア53の付近が乗客で塞がれる状況が改善して、途中階の乗客が乗車できるようになり、エレベータの運行効率が向上する。
【0067】
また制御部5bでドア開閉速度を制御する場合、図15の様にドア53付近の局所領域Dを設け、局所領域D中が混雑している(処理ステップS28)時のみ、ドア開閉速度を下げる。それ以外の場合は、ドア53付近の乗客が混雑により身動きがとりにくい状況ではないので、ドア開閉速度を通常から下げない。制御部5bでは以上述べた制御により乗客Mの安全を確保しつつ、ドア開閉速度をなるべく通常に保つことで、カゴ51の運行効率を高められる。
【0068】
さらに制御部5bでドア開放時間を制御する場合、図15の様にドア53付近の局所領域Dを設け、局所領域Dが混雑している(処理ステップS28)の場合には、カゴ51内のドア53付近が混雑していることが妨げとなり、ドア開放時間を長くしても新たな乗客が乗ることが期待できないとみなして、ドア開放時間を通常通りにするか通常より短縮する。
【0069】
あるいはドア53付近の局所領域Dが混雑している(処理ステップS28)の判定結果に、カゴ51全体の混雑の判定結果を加えて(処理ステップS16、処理ステップS17)、カゴ51全体が混雑してなくても(処理ステップS16)、局所領域Dが混雑している(処理ステップS28)場合には、乗客M等にカゴ51の奥(ドア53と反対側)に詰めるように促すアナウンスを流してから、ドア開放時間を通常より長くしてもよい。
【0070】
詰めるように促すアナウンスに乗客M等が従えば、ドア53の付近を乗客M等がスムーズに通過できるようになり、ドア開の間に多くの乗客M等が乗車できるようになり、カゴ51の運行効率を高めることができる。
【実施例3】
【0071】
本発明の実施例3について、図16図17を用いて説明する。まず図16は、実施例3に係る画像認識機能を備えたエレベータの具体的な構成事例を示している。なお図13において、乗客センサ2と乗客特徴抽出部3の機能は図2の実施例1と共通であり、位置基準混雑判定部4bと制御部5bの処理内容が図2とは相違する。そのうえで荷重計6を新たに設けて制御部の判断に適用している。
【0072】
図16の概要を述べると、荷重計6はカゴ51と乗客を合わせた荷重を図るセンサである。カゴ51の下方に設けた渦電流による荷重センサや、カゴ51を吊り下げるロープの張力計により、この荷重計6は実現できる。
【0073】
位置基準混雑判定部4cは、乗客特徴抽出部3が抽出した少なくとも乗客Mの位置Pの情報と、荷重計6の荷重の情報を用いて、カゴ51内の混雑を判定する。制御部5cは、位置基準混雑判定部4cで判定した混雑に応じて、カゴ51の内部のドア等の装置やカゴ51の運行を制御する。以下、詳細について説明する。
【0074】
図16の位置基準混雑判定部4cのフローを図17に示す。図17の最初の処理ステップS31では、まず乗客特徴抽出部3が抽出した乗客Mの位置P等から位置基準混雑判定部4と同様に図7図13のフローでカゴ51全体の混雑を判定する。係る混雑判定結果の一例が図9図11に示されている。
【0075】
次に処理ステップS32において、荷重計6の荷重値Wから、以下の手順で混雑を判定する。まず、荷重計6が計測した荷重W値からカゴ51の荷重値WCを差し引いて、カゴ51内の乗客Mの荷重値WMを求める。次に、カゴ51内の乗客Mの荷重値WMを、事前に求めて用意しておいた乗客Mの平均体重WMmで除算してカゴ51内の乗客Mの概数を求める。また、乗客Mの荷重値WMの荷重値で求めた乗客の概数が、乗客の概数の閾値以上になると混雑と判定する。
【0076】
乗客の概数の閾値は、カゴ51の定員の所定率以上(80%等)で設定する。荷重値で求めた乗客Mの概数は、乗客Mの体重に個人差が有ることや荷重計6の精度があまり高くないことから、高い精度では期待できない。また、荷重計6はカゴ51とカゴ51内の乗客Mの合計の荷重値を図るので、荷重値で求めた乗客の概数には、位置Pの様なカゴ51内の位置に関わる情報は含まれない。
【0077】
その一方で、荷重計6は長年使われてきた実績のあるセンサなので、荷重値で求めた乗客の概数は信頼度が高い。すなわち、荷重値で求めた乗客の概数は、エレベータの運行を通じて長期間、所定範囲内の誤差に収まり続けることが期待できる。
【0078】
次に処理ステップS33において、処理ステップS31と処理ステップS32の判定結果を組み合わせた時、混雑しているかを判定する。処理ステップS33での組み合わせの方法は論理積が一例である。処理ステップS33では、処理ステップS31と処理ステップS32の両方で混雑していると判定した時のみ、処理ステップS34において「混雑している」と判断し、それ以外では処理ステップS35において「混雑していない」と判断とする。
【0079】
論理積による判断では、カゴ51内が乗客センサ2にとって悪影響を与える環境条件であり、乗客の位置Pを過剰に数えやすい(乗客センサ2にノイズが入る等)場合には、以下の修正が有効である。つまり処理ステップS31で実際には混雑していないにも関わらず混雑していると誤判定した時(図13の処理ステップS17の処理で、「混雑している」と誤判定した時)に、処理ステップS32で混雑していると誤判定しなければ、処理ステップS33の判定は正しく混雑していない(処理ステップS35)と修正することができる。
【0080】
他方において、処理ステップS33での組み合わせの方法は論理和も考えられる。処理ステップS31と処理ステップS32の両方が混雑していないと判定した時のみ混雑していない(処理ステップS35)と判定し、それ以外では混雑している(処理ステップS34)と判定する。
【0081】
カゴ51内が乗客センサ2にとって悪影響を与える環境条件であり乗客センサ2が位置Pを過小に数えやすい場合(乗客センサ2の感度が落ちる等)は、以下のように修正するのがよい。処理ステップS31で実際には混雑しているにも関わらず混雑していないと誤判定した時、処理ステップS33で混雑していないと誤判定しなければ、処理ステップS33の判定は正しく混雑している(処理ステップS34)と修正できる。
【0082】
先述の通り、荷重値で求めた乗客の概数は信頼度が高いために、処理ステップS32の判定はカゴ51内が乗客センサ2にとって悪影響を与える環境条件でも影響を受けにくく、結果処理ステップS33の判定結果は正しくなる。
【0083】
処理ステップS33における処理ステップS31と処理ステップS32の判定結果の組み合わせ方は、前述の論理積や論理和に限らず、乗客センサ2が受けると想定される主要な悪影響に応じて適切に定めればよい。
【0084】
以上の実施例1から3の説明では、乗客センサ2を距離画像センサとしたが、乗客Mの位置Pを直接的に計測できるセンサ、もしくはセンサの計測情報から乗客特徴抽出部3の信号処理によって位置Pを計算できるセンサであれば、他のセンサを適用してもよい。例えば、感圧センサをカゴ51の床面55上に並べて、乗客Mの位置Pを計測すれば、乗客センサ2に適用できる。他にも、単眼カメラをカゴ51内に設置し、乗客特徴抽出部3が座標系59と乗客の平均身長から位置Pを計算するとき、単眼カメラを乗客センサ2にできる。
【0085】
また以上の実施例1から3の説明では、占有領域Rの面積を事前に設定した所定値としたが、カゴ51の設置個所に応じて自動調整してもよい。例えば、所定の設置個所のカゴ51の乗員数の頻度分布を、乗客特徴抽出部3が抽出した位置P等の数から求め、上位3%に当たる乗員数Mを実質的な満室とみなして(3%という低い頻度でしかM人以上になることが無い)、床面55の面積をAとして、(4)式で計算したRSを所定の設置個所に最適な占有領域Rの面積としてもよい。(4)式のRSは、実質的な満室において乗客1人あたりが床面55上を占める面積である。
【0086】
【数4】
【0087】
あるいは、同じ設置個所でも、時間帯や曜日や日種毎に乗員数の頻度分布を計算して、(4)式のRSを時間帯や曜日毎に最適になるように定めてもよい。例えば、朝夕の通勤時間帯や昼食の時間帯では乗客が譲り合い詰めあって(4)式のRSが小さくなること、反対に休日や夜間は見知らぬ人が乗り合わせて心理上距離を開けるために(4)式のRSが大きくなることが予期される。
【0088】
以上の実施例1から3の説明では、乗客特徴抽出部3は乗客Mの位置P等の位置の情報のみを抽出していたが、位置以外の情報を抽出し、位置基準混雑判定部4、4b、4cにおける混雑の判定に用いてもよい。例えば、床面55上の乗客Mの向きの情報を抽出して、乗客Mの向きがドア53から離れる場合には、占有領域Rの向きを抽出した乗客Mの向きに応じて調整してもよい。
【0089】
また、乗客Mの性別や年代(成人、子供等)等の属性を抽出して、属性を抽出した乗客ごとに占有領域Rの面積を調整してもよい。例えば、女性は男性よりも警戒心が強い分プライバシーエリアが広く占有領域Rの面積を広くした方が適切と予期される。また、床面55上における乗客Mの荷物を認識して、荷物に応じて占有領域Rを拡大してもよい。例えば、荷物には、カバンやスーツケースといった手荷物あるいは、台車やショッピングカートの様な貨物を含む。占有領域Rの拡大の方法としては、例えば、床面55上の乗客の占有領域Rに床面55上における荷物の領域を重畳する。あるいは、より簡易に占有領域Rの形状は変えずにその面積を荷物に応じて拡大してもよい。なお、乗客特徴抽出部3が位置P以外の情報を抽出する場合、乗客センサ2も位置P以外の情報に応じたセンサ情報を計測できるものとする。
【0090】
以上の実施例1から3を通じて本発明の制御部5では、かごの運行(ドアの開閉、通貨指示など)や案内(アナウンス:詰めることの指示など)を制御している。運行や案内の内容は、個別の実施例に限らず適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の乗客の位置の情報を用いた混雑の判定の方法は、本発明で述べたエレベータのカゴ内以外にも、混雑している時と混雑していない時が現れ、かつドアやスピーカ等の制御可能な装置を備えた乗り物に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
2:乗客センサ
3:乗客特徴抽出部
4、4b、4c:位置基準混雑判定部
5、5b、5c:制御部
50:画素150に対応した空間中の対応点
51:エレベータのかご
52:距離画像センサ
53:カゴ51のドア
54:制御装置
55:カゴ51の床面
59:カゴ51内の座標系
69:距離画像センサ52を基準とした座標系
82:鉛直上方向の無限遠にある仮想視点
150:距離画像中の画素
151:距離画像
251:俯瞰画像
i(u、v):画素150の距離画像151上の座標
j:俯瞰画像251中の画素
(X、Y、Z):対応点50の座標系69の座標で表される。
M:乗客
P:乗客Mの床面55上における位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17