特開2016-222441(P2016-222441A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222441(P2016-222441A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】コンベヤベルト
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/34 20060101AFI20161205BHJP
   D07B 1/06 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B65G15/34
   D07B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-112881(P2015-112881)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】侯 剛
(72)【発明者】
【氏名】末藤 亮太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮島 純
【テーマコード(参考)】
3B153
3F024
【Fターム(参考)】
3B153AA10
3B153AA12
3B153AA18
3B153CC12
3B153CC28
3B153CC29
3B153CC52
3B153FF12
3F024AA01
3F024AA03
3F024AA04
3F024BA07
3F024CA02
3F024CA04
3F024CB03
3F024CB10
3F024CB13
(57)【要約】
【課題】心体層による補強機能を損なわずにコンベヤベルトの製造および使用する際に要するエネルギーを効果的に削減することができるコンベヤベルトを提供する。
【解決手段】横並び状態で延在する多数本のスチールコード1により構成される心体層5を挟んで上下にそれぞれ上カバーゴム6、下カバーゴム7を配置し、スチールコード1の外径Dを0.35mm以上6.0mm以下、スチールコード1の横並びピッチPを0.35mm超7.0mm以下にして、スチールコード1をコンベヤベルト9の長手方向に延在させて埋設する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横並び状態で延在する多数本のスチールコードにより構成される心体層と、この心体層を挟んで上下にそれぞれ配置される上カバーゴムおよび下カバーゴムとを備え、前記スチールコードが長手方向に延在して埋設されたコンベヤベルトにおいて、
前記スチールコードの外径が0.35mm以上6.0mm以下であり、前記スチールコードの横並びピッチが0.35mm超7.0mm以下であることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
前記スチールコードの外径が6.0mm以下である請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
前記スチールコードの構造が、1+6構成コード、3+6構成コード、1+19構成コード、1+Sew(19)構成コードのいずれか1つの構成コードであり、前記スチールコードの撚り倍数が9以上14以下である請求項1または2に記載のコンベヤベルト。
【請求項4】
横並び状態の前記スチールコードの間を上下に縫うように通過して横断する横糸を備え、この横糸が前記スチールコードの長手方向に間隔をあけて配置された請求項1〜3のいずれかに記載のコンベヤベルト。
【請求項5】
前記横糸が複数本の長繊維を編み合わせて構成され、繊度が300dtex以上5000dtexである請求項4に記載のコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルトに関し、さらに詳しくは、心体層による補強機能を損なわずにコンベヤベルトの製造および使用する際に要するエネルギーを効果的に削減することができるコンベヤベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルトには、張設時の張力を負担してコンベヤベルトを形成するゴムを補強するための心体層が埋設されている。心体層を構成する補強材として、スチールワイヤを撚り合わせたスチールコードが使用されている。スチールコードの構造は様々であるが例えば、芯ストランドの外周面に複数本の側ストランドを撚り合わせたストランド構造が知られている(特許文献1参照)。コンベヤベルトを製造する際には、多数本のスチールコードが横並び状態で延在して構成された心体層を未加硫ゴム部材に埋設して成形体を形成し、次いで、この成形体を加硫工程において所定温度で加熱しつつ所定圧力で加圧して未加硫ゴムを加硫する。これにより、スチールコードにより構成された心体層がゴムに埋設されたコンベヤベルトが完成する。
【0003】
近年、省エネルギーがより強く意識されていて、これに伴ってコンベヤベルトに対しても省エネルギーに対する要望が強くなっている。例えば、コンベヤベルトが軽量化されると、コンベヤベルトを運搬する際、使用する際などに要するエネルギーが削減できる。或いは、コンベヤベルトが薄肉化されると、軽量化に寄与するとともに、加硫時間の短縮が可能になるため製造する際に要するエネルギーも削減できる。
【0004】
それ故、心体層を軽量化、薄肉化することにより、省エネルギーを実現することが可能である。しかしながら、心体層を単純に軽量化、薄肉化すると心体層の本来の補強機能が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−36539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、心体層による補強機能を損なわずにコンベヤベルトの製造および使用する際に要するエネルギーを効果的に削減することができるコンベヤベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のコンベヤベルトは、横並び状態で延在する多数本のスチールコードにより構成される心体層と、この心体層を挟んで上下にそれぞれ配置される上カバーゴムおよび下カバーゴムとを備え、前記スチールコードが長手方向に延在して埋設されたコンベヤベルトにおいて、前記スチールコードの外径が0.35mm以上6.0mm以下であり、前記スチールコードの横並びピッチが0.35mm超7.0mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンベヤベルトによれば、心体層を構成するスチールコードを従来に比して細径の0.35mm以上6.0mm以下にすることにより、コンベヤベルトを薄肉化および軽量化することができる。これに伴い、コンベヤベルトを運搬、稼働させる際に要するエネルギーを削減できる。また、コンベヤベルトの薄肉化によって、コンベヤベルトの加硫時間が短縮されるので、コンベヤベルトを製造する際に要するエネルギーも削減することができる。そのため、コンベヤベルトの製造および使用する際に要するエネルギーを効果的に削減することが可能になる。
【0009】
スチールコードを細径化する一方で、スチールコードの横並びピッチを従来に比して短くして、単位ベルト幅当たりのスチールコード本数密度を向上させている。これにより、心体層としての補強機能を損なわずに確保することが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のコンベヤベルトを例示する横断面図である。
図2図1のコンベヤベルトの平面図である。
図3図1の心体層を平面視で例示する説明図である。
図4図3の心体層を横断面視で例示する説明図である。
図5】心体層の変形例を横断面視で例示する説明図である。
図6図1のスチールコードを横断面視で例示する説明図である。
図7】スチールコードの変形例を横断面視で例示する説明図である。
図8】スチールコードの別の変形例を横断面視で例示する説明図である。
図9】スチールコードの別の変形例を横断面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコンベヤベルトを図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1図2に例示する本発明のコンベヤベルト9は、心体層5と、心体層5を上下に挟んで配置される上カバーゴム6と下カバーゴム7とを備えていて、これらが一体化している。心体層5は、多数本のスチールコード1により構成されている。多数本のスチールコード1は、ベルト幅方向に横並び状態になっていて、ベルト長手方向に延在してコンベヤベルト9を形成するゴムに埋設されている。
【0013】
詳述すると、それぞれのスチールコード1は、クッションゴム8により被覆されていて、スチールコード1とクッションゴム8とは加硫接着により接合されている。クッションゴム8は接着性に優れるゴムである。クッションゴム8と上カバーゴム6および下カバーゴム7とが加硫接着により一体化している。コンベヤベルト9は、その他、ベルト幅方向両端部に配置される耳ゴム等、他の構成要素が適宜追加されて構成される。
【0014】
上カバーゴム6、下カバーゴム7としては、少なくとも天然ゴムを含むジエン系ゴムからなり、カーボンブラックなどによって耐摩耗性を良好にしたゴム組成物が用いられる。上カバーゴム6および下カバーゴム7の厚さは、コンベヤベルト9に要求される性能によって適宜決定される。
【0015】
スチールコード1は複数本のスチールワイヤを撚り合わせて形成されている。スチールコード1は癖付けされずに実質的に直線状になっている。即ち、いわゆる捲縮していないスチールコード1である。スチールコード1の構造は後述する。S撚りのスチールコード1とZ撚りのスチールコード1とを1本毎に交互に横並びさせることが好ましい。
【0016】
スチールコード1の外径Dは0.35mm以上6.0mm以下に設定される。スチールコード1の強力は例えば、500kN以上5000kN以下である。
【0017】
スチールコード1の横並びピッチPは0.35mm超7.0mm以下に設定される。横並びのスチールコード1の隣り合うスチールコード1どうしのすき間にはクッションゴム8が介在して互いが接触しない状態になっている。したがって、横並びで隣り合うスチールコード1どうしのすき間は0mm超である。このすき間は、スチールコード1の外径D以下にすることが好ましく、例えば、0.2mm以上1.5mmにする。
【0018】
図3図4に例示するようにこの実施形態の心体層5では、横並び状態のスチールコード1の間に、横糸4が上下に縫うように通過して横断している。この横糸4は、スチールコード1の長手方向に間隔Lをあけて配置されている。
【0019】
横糸4は、製造工程においてRFLディップ処理が施されている。RFLディップ処理では、RFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス系)処理液に横糸4を浸漬させた後、乾燥させることにより、横糸4の表面にRFL処理液の被膜を形成する。この横糸4によってスチールコード1どうしが連結された状態になっている。
【0020】
横糸4は任意で設けることができる。横糸4を設けることにより、製造工程において横並び状態にする多数本のスチールコード1が乱れ難くなるので、心体層5の取り扱い性が格段に向上してコンベヤベルト9の生産性向上に寄与する。
【0021】
横糸4どうしの間隔Lは、例えば、16mm以上500mm以下に設定される。この間隔Lが16mm未満では心体層5を製造する工数が過大になる。一方、この間隔Lが500mm超では横糸4によるスチールコード1の乱れを防止する効果が過小になる。
【0022】
図3では、間隔Lをあけて隣り合う横糸4どうしは、スチールコード1を上下に縫う位置がオフセットされている。即ち、間隔Lをあけて隣り合う一方の横糸4が上側に配置されているスチールコード1では、隣り合う他方の横糸4はそのスチールコード1の下側に配置されている。
【0023】
横糸4は図3図4に例示するように、1本のスチールコード1毎の間を上下に縫うように横断させるだけでなく、図5に例示するように、2本のスチールコード1毎の間を上下に縫うように横断させることもできる。或いは、3本、4本のスチールコード1毎の間を上下に縫うように横糸4を横断させることもできる。
【0024】
横糸4としては例えば樹脂繊維を用いる。具体的には、ポリエステル繊維、ナイロン(6ナイロン、66ナイロン)繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン繊維等を横糸4として用いる。
【0025】
横糸4は、柔軟性や耐久性を考慮して、例えば、複数本の長繊維を編み合わせて構成し、繊度は300dtex以上5000dtex以下にする。横糸4は、スチールコード1よりも細径にする。
【0026】
スチールコード1は種々の構造を採用することができ、図6に示す1+6構成コード、図7に例示する3+6構成コード、図8に例示する1+19構成コード、図9に例示する1+Sew(19)構成コードのうちのいずれか1つの構成コードを採用する。
【0027】
スチールコード1の撚り倍数は9以上14以下に設定することが好ましい。撚り倍数とは、スチールコード1の外径Dに対するスチールコード1の撚りピッチTの比を示す値T/Dである。撚り倍数が9未満ではスチールコード1の強力が不十分になり、14超では十分な耐疲労性を確保することができない。
【0028】
図6に例示する1+6構成のスチールコード1は、芯線2となる1本のスチールワイヤの外周面に、側線3となる6本のスチールワイヤが撚り合わされてオープン構造になっている。
【0029】
図7に例示する3+6構成のスチールコード1は、芯線2となる3本のスチールワイヤの外周面に、側線3となる6本のスチールワイヤが撚り合わされてオープン構造になっている。
【0030】
図8に例示する1+19構成のスチールコード1は、芯線2となる1本のスチールワイヤの外周面に、側線3となる6本のスチールワイヤと、さらにその外周面に側線3となる12本のスチールワイヤが撚り合わされてオープン構造になっている。
【0031】
図9に例示する1+Sew(19)構成のスチールコード1は、芯線2となる3本のスチールワイヤの外周面に、側線3となる6本のスチールワイヤと、さらにその外周面に側線3となる12本のスチールワイヤが撚り合わされている。
【0032】
スチールコード1の側線3に外径の異なる2種類のスチールワイヤが使用されている場合、相対的に小径のスチールワイヤの外径を、相対的に大径のスチールワイヤの外径の60%以上90%以下に設定するとよい。これにより、ゴムの浸透性が良好になる。
【0033】
本発明のコンベヤベルト9では、心体層5を構成するスチールコード1を従来に比して細径の0.35mm以上6.0mm以下にしているため、コンベヤベルト9を薄肉化および軽量化される。これに伴い、コンベヤベルト9を使用現場まで運搬する際、使用現場で稼働させる際に要するエネルギーを削減することができる。
【0034】
このコンベヤベルト9の製造工程では、心体層5の薄肉化に伴うコンベヤベルト9の薄肉化によって、コンベヤベルト9の加硫時間が短縮される。そのため、コンベヤベルト9を製造する際に要するエネルギーも削減することができる。そのため、本発明では、コンベヤベルト9の製造および使用する際に要するエネルギーを効果的に削減することが可能になる。
【0035】
スチールコード1を細径化することにより、スチールコード1の1本当たりの強力は低下する。しかしながら、スチールコード1の横並びピッチPを0.35mm超7.0mm以下に設定して従来に比して非常に短くしている。そのため、単位ベルト幅当たりのスチールコード1の本数密度が向上する。したがって、単位ベルト幅当たりに埋設できるスチールコード1の本数が増大し、心体層5としての総強力を十分に得ることができ、補強機能を損なうことなく確保できる。
【0036】
コンベヤベルト9が薄肉化することにより、コンベヤベルト9の曲げ剛性が小さくなってプーリ周りを走行する際に生じるエネルギーロスが減少する。また、スチールコード1により構成される心体層5は、1層をコンベヤベルト9に埋設することが従来の常識であった。その理由は、複数層の心体層5を埋設すると、コンベヤベルト9がプーリ周りを走行する際に、内周側に埋設された心体層5を構成するスチールコード1に圧縮力が作用して座屈し易くなるためである。しかしながら、この薄肉化された心体層5では、複数層をコンベヤベルト9に埋設しても、コンベヤベルト9がプーリ周りを走行する際に、内周側に埋設された心体層5を構成するスチールコード1の中立面からの距離が小さくなる。それ故、このスチールコード1に作用する圧縮力が非常に小さくなるため、複数層の心体層5をコンベヤベルト9に埋設することが可能になる。
【0037】
スチールコード1の外径Dを0.35mm以上6.0mm以下にすると、心体層5としての補強機能を確保しつつ、コンベヤベルト9の製造および使用する際に要するエネルギーを一段と削減することができる。
【0038】
ここで、心体層5を構成するスチールコードの外径および本数のみを異ならせて、心体層を1層埋設した同等性能(心体層の総強力は実質的に同じにする)の厚さ36.5mmのコンベヤベルトを製造する場合について、コンベヤベルトの重量、加硫時間を試算する。スチールコードの外径Dを10.4mmとして、横並びピッチPを16mmとして埋設本数を59本とした仕様を従来例とする。スチールコードの外径Dを6.0mmとして、横並びピッチPを7.0mmとして埋設本数を135本とした仕様を実施例とする。
【0039】
この従来例と実施例とを比較すると、従来例に対して実施例のコンベヤベルトの重量は約18%低減し、加硫時間は約15%短くすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 スチールコード
2 芯線
3 側線
4 横糸
5 心体層
6 上カバーゴム
7 下カバーゴム
8 クッションゴム
9 コンベヤベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9