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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222444(P2016-222444A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】用紙綴じ装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20161205BHJP
   B65H 31/00 20060101ALI20161205BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20161205BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   B65H37/04 D
   B65H31/00 Z
   B65H31/26
   G03G15/00 534
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-112980(P2015-112980)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 圭
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA08
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA13
3F054BG03
3F054DA01
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA32
3F108HA54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冊子品位の確保が可能な用紙綴じ装置を提供する。
【解決手段】用紙綴じ装置1Aは、中折りされた本身10及び表紙11が積載される支持部材2と、本身10及び表紙11を支持部材に押圧する押さえ部材3と、綴じ針を本身10及び表紙11に貫通させるステープラと、綴じ針を曲げて本身10及び表紙11を綴じるクリンチャを備える。押さえ部材3は、本身10及び表紙11を押圧する押さえ凹部30を備え、押さえ凹部30の角度が表紙ガイド角度α2へ開き、かつ、押さえ部材3が表紙ガイド位置T2に下降することで、表紙11に折り目を付けることなく、綴じ位置とのずれを抑制する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綴じ針を冊子に貫通させるステープラと、
冊子を貫通した綴じ針を曲げるクリンチャと、
冊子の折り目が上に凸となる状態で冊子を下側から支持する支持部材と、
前記支持部材で支持された冊子を上側から押圧する押さえ部材とを備え、
前記押さえ部材は、冊子を押圧する三角の断面形状を有した押さえ凹部を構成する一対の押圧部材を備え、前記支持部材に対する前記押圧部材の位置が切り替え可能に構成されると共に、前記押さえ凹部の角度が切り替え可能に構成され、
前記支持部材は、冊子を支持する三角の断面形状を構成する一対の支持面を備え、前記一対の支持面の角度が切り替え可能に構成される
ことを特徴とする用紙綴じ装置。
【請求項2】
前記押さえ部材は、前記押圧部材と前記支持部材の間に、冊子の本身を積載可能な隙間を構成する第1の位置と、第1の位置より前記支持部材側であって、前記押圧部材と前記支持部材に積載された本身の間に、前記支持部材に積載された本身より折り目の角度が大きい表紙を積載可能な隙間を構成する第2の位置と、第2の位置より前記支持部材側であって、前記支持部材に積載された本身及び表紙を前記押圧部材で押圧する第3の位置に移動可能に構成される
ことを特徴とする請求項1に用紙綴じ装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記押さえ凹部の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の角度と、本身より折り目の角度が大きい表紙の折り目の角度に応じた第2の角度と、第2の角度より大きい第3の角度に切り替え可能に構成される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の用紙綴じ装置。
【請求項4】
前記支持部材は、一対の前記支持面の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の支持角度と、前記押さえ凹部の第3の角度に応じた第2の支持角度に切り替え可能に構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の用紙綴じ装置。
【請求項5】
冊子の本身を積載する動作では、前記押さえ部材は、前記押圧部材と前記支持部材の間に、冊子の本身を積載可能な隙間を構成する第1の位置に移動させると共に、前記押さえ凹部の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の角度に設定され、前記支持部材は、一対の前記支持面の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の支持角度に設定され、
前記支持部材に積載された本身より折り目の角度が大きい表紙を積載する動作では、前記押さえ部材は、前記押圧部材と前記支持部材に積載された本身の間に、本身より開いた形態の表紙を積載可能な隙間を構成する第2の位置に移動させると共に、前記押さえ凹部の角度が、表紙の折り目の角度に応じた第2の角度に設定され、
本身及び表紙を綴じる動作では、前記押さえ部材は、前記支持部材に積載された本身及び表紙を前記押圧部材で押圧する第3の位置に移動させると共に、前記押さえ凹部の角度が、第2の角度より大きい第3の角度に設定され、前記支持部材は、一対の前記支持面の角度が、前記押さえ凹部の第3の角度に応じた第2の支持角度に設定される
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙綴じ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の用紙綴じ装置を備えた
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中折りされた冊子を綴じ針で綴じる用紙綴じ装置及びこの用紙綴じ装置が組み込まれた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステープルと称される綴じ針で用紙の束を綴じる技術が知られている。このような製本化作業では、折り目位置のずれ等、冊子の仕上がりの良さ及び生産性の向上が求められており、これらを解決する手法として、鞍掛け中綴じ方式と称す製本機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
鞍掛け中綴じ方式では、逆V字形状に積載された冊子を綴じる処理を行う前に、逆V字型の押さえ部材で押さえることで、折り目位置のずれを抑制する技術が知られている。
【0004】
また、表紙のみ折り目を甘折りとすることで、表紙に本身の折り目の後が付いくこと、表紙の画像が割れることを抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4135595号公報
【特許文献1】特許第5500156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、表紙のみ折り目を甘折りとしても、V字型の支持部材に積載された表紙及び本身を逆V字型の押さえ部材で押さえることで、本身の折り目が表紙に転写されてしまい、折り目の筋が表紙についてしまう。その対策として、押さえ部材を平面とすると、折り目の位置を保持することができず、綴じ位置のずれ、あるいは表紙と本身との位置ずれが生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、冊子品位の確保が可能な用紙綴じ装置、及び、この用紙綴じ装置を備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、綴じ針を冊子に貫通させるステープラと、冊子を貫通した綴じ針を曲げるクリンチャと、冊子の折り目が上に凸となる状態で冊子を下側から支持する支持部材と、支持部材で支持された冊子を上側から押圧する押さえ部材とを備え、押さえ部材は、冊子を押圧する三角の断面形状を有した押さえ凹部を構成する一対の押圧部材を備え、支持部材に対する押圧部材の位置が切り替え可能に構成されると共に、押さえ凹部の角度が切り替え可能に構成され、支持部材は、冊子を支持する三角の断面形状を構成する一対の支持面を備え、一対の支持面の角度が切り替え可能に構成される用紙綴じ装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、押さえ部材は、押圧部材と支持部材の間に、冊子の本身を積載可能な隙間を構成する第1の位置と、第1の位置より支持部材側であって、押圧部材と支持部材に積載された本身の間に、支持部材に積載された本身より折り目の角度が大きい表紙を積載可能な隙間を構成する第2の位置と、第2の位置より支持部材側であって、支持部材に積載された本身及び表紙を押圧部材で押圧する第3の位置に移動可能に構成される請求項1に用紙綴じ装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、押さえ部材は、押さえ凹部の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の角度と、本身より折り目の角度が大きい表紙の折り目の角度に応じた第2の角度と、第2の角度より大きい第3の角度に切り替え可能に構成される請求項1または請求項2に記載の用紙綴じ装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、支持部材は、一対の支持面の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の支持角度と、押さえ凹部の第3の角度に応じた第2の支持角度に切り替え可能に構成される請求項3に記載の用紙綴じ装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、冊子の本身を積載する動作では、押さえ部材は、押圧部材と支持部材の間に、冊子の本身を積載可能な隙間を構成する第1の位置に移動させると共に、押さえ凹部の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の角度に設定され、支持部材は、一対の支持面の角度が、冊子の本身の折り目の角度に応じた第1の支持角度に設定され、支持部材に積載された本身より折り目の角度が大きい表紙を積載する動作では、押さえ部材は、押圧部材と支持部材に積載された本身の間に、本身より開いた形態の表紙を積載可能な隙間を構成する第2の位置に移動させると共に、押さえ凹部の角度が、表紙の折り目の角度に応じた第2の角度に設定され、本身及び表紙を綴じる動作では、押さえ部材は、支持部材に積載された本身及び表紙を押圧部材で押圧する第3の位置に移動させると共に、押さえ凹部の角度が、第2の角度より大きい第3の角度に設定され、支持部材は、一対の支持面の角度が、前記押さえ凹部の第3の角度に応じた第2の支持角度に設定される請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙綴じ装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の用紙綴じ装置を備えた画像形成システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、折り目が甘折りされた冊子の表紙を冊子の本身に積載する際に、表紙の折り目に合わせて押さえ凹部の角度を設定し、また、表紙のガイドが可能な位置に押さえ部材を移動させることで、折り目の位置を綴じ位置に合わせ、かつ、表紙の折り目に筋が付くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態の用紙綴じ装置の一例を示す要部斜視図である。
図2】本実施の形態の用紙綴じ装置の動作例を示す要部側面図である。
図3】本実施の形態の用紙綴じ装置の動作例を示す要部側面図である。
図4】本実施の形態の用紙綴じ装置の動作例を示す要部側面図である。
図5】本実施の形態の用紙綴じ装置の動作例を示す要部側面図である。
図6】本実施の形態の用紙綴じ装置が組み込まれた画像形成システムの一例を示す構成図である。
図7】開閉機構の一例を示す構成図である。
図8】駆動機構の一例を示す構成図である。
図9】本実施の形態の用紙綴じ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】本実施の形態の用紙綴じ装置の他の動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の用紙綴じ装置、用紙綴じ装置が組み込まれた画像形成システムの実施の形態について説明する。
【0017】
<本実施の形態の用紙綴じ装置及び画像形成システムの構成例>
図1は、本実施の形態の用紙綴じ装置の一例を示す要部斜視図、図2図5は、本実施の形態の用紙綴じ装置の動作例を示す要部側面図、図6は、本実施の形態の用紙綴じ装置が組み込まれた画像形成システムの一例を示す構成図である。
【0018】
本実施の形態の用紙綴じ装置1Aは、図6に示すように、用紙に画像を形成して排紙する画像形成装置100と組み合わせられて画像形成システム101を構成する。画像形成システム101は、本例では、画像形成装置100と、中間搬送装置200と、中綴じ処理装置300と、平綴じ処理装置400を備える。
【0019】
画像形成装置100は、用紙に画像を形成する。画像形成装置100は、例えば、記録媒体として備蓄された用紙を用紙トレイから引き出して搬送する搬送部、ビットマップデータに応じたトナー像を転写ローラ等の一次転写部材に現像する現像部、一次転写部材に現像されたトナー像を転写ドラム150等の二次転写部材に転写する一次転写部、二次転写部材に転写されたトナー像を搬送部により搬送される用紙に転写する二次転写部、転写されたトナー像を用紙に定着させる定着部、及び定着部による定着処理後の用紙を排出する排出部等を備える。画像形成装置100は、画像が形成された用紙を中間搬送装置200に搬送する。
【0020】
中間搬送装置200は、用紙を一時的に待機させると共に、用紙に対して筋付け及び断裁を施すことの可能な装置である。中間搬送装置200は、例えば、画像形成装置100から搬送された用紙を下降させるように搬送して用紙の紙面を上下方向にほぼ沿わせた状態で一旦停止させて待機させるスタッカと称される待機部、待機中の用紙の位置を整合する整合部、整合された用紙に筋付けを行うクリーサと称される筋付け部、及び筋付けが施された用紙を搬送しながら当該用紙の余白部分を断裁するスリッタと称される断裁部等を備える。
【0021】
中間搬送装置200は、画像形成装置100から搬送された用紙を待機部において一旦停止させた状態で整合部により整合を行い、次いで筋付け部により筋付け処理を行った後、筋付けが施された用紙を搬送しながら当該用紙の余白部分を断裁部により断裁する。その後、中間搬送装置200は、断裁部により余白部分の断裁された用紙を中綴じ処理装置300に搬送する。
【0022】
中綴じ処理装置300は、用紙処理装置として、用紙を中折り(二つ折り)にする中折り処理、中折りされた用紙を所定枚数重ね合わせて綴じることにより中綴じされる冊子を作成する中綴じ処理、冊子の小口断裁を行う断裁処理等を行う装置である。
【0023】
中綴じ処理装置300は、例えば、中間搬送装置200から搬送された用紙中折りする中折り部310と、中折り部310により中折りされた用紙を、用紙の折り目に沿った方向に搬送する搬送機構320と、搬送機構320により搬送された用紙を重ね合わせた後、冊子10Bに対して打針して中綴じする用紙綴じ装置1Aと、中綴じされた冊子10Bの小口端部の断裁処理を行う断裁部370等を備える。
【0024】
次に、図1図5を参照して、本実施の形態の用紙綴じ装置1Aの詳細について説明する。用紙綴じ装置1Aは、中折りされた冊子10Bの本身10が、折り目10aが凸状となる向きである本例では上に凸となる向きで積載されると共に、本身10に重ねて、本身10の折り目10aより浅い角度で折り目11aが甘折りされた冊子の表紙11が積載される支持部材2と、冊子の本身10及び表紙11を支持部材2に押圧する押さえ部材3を備える。
【0025】
また、用紙綴じ装置1Aは、綴じ針を冊子の本身10及び表紙11に貫通させるステープラ4と、綴じ針を曲げて冊子の本身10及び表紙11を綴じるクリンチャ5を備える。
【0026】
更に、用紙綴じ装置1Aは、ステープラ4をクリンチャ5に対して離接する方向に移動させると共に、ステープラ4に連動して、押さえ部材3を支持部材2に対して離接する方向に移動させる駆動機構6を備える。
【0027】
支持部材2は冊子押さえ手段の一例で、本身10の折り目10aを挟んだ一方の側と他方の側を支持する一対の支持面20を備える。支持部材2は、最下位の本身10の折り目10aの近傍を仮想の支点Oとして、本身10の折り目10a及び表紙11の折り目11aを開く方向に、一対の支持面20が第1の支持角度である待機角度α10から第2の支持角度である押さえ角度α11に開閉可能に構成される。なお、支持部材2は、本身10の折り目10aを支持する図示しない支持凸部を備える。支持凸部は、ばねで上方向に付勢され、押さえ部材による冊子の押圧で昇降可能に構成される。
【0028】
待機角度α10は、冊子の本身10の折り目10aのなす角度と同等程度に設定される。また、押さえ角度α11は、表紙11の折り目11aに本身10の折り目10aが転写されない角度に設定される。
【0029】
押さえ部材3は冊子押さえ手段の一例で、本身10の折り目10aの位置を綴じ位置Pに合わせると共に、表紙11の折り目11aの位置を綴じ位置Pにガイドする押さえ凹部30を備える。押さえ部材3は、ステープラ4による綴じ位置P合わせて三角形状となる凹部を設けて押さえ凹部30が構成される。
【0030】
そして、支持部材2に本身10を積載する動作と、表紙11を積載する動作と、綴じ針が本身10及び表紙11を貫通する動作のそれぞれで、押さえ凹部30の角度を各動作に適した角度で保持できるようにするため、押さえ部材3は、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bを備えて、押さえ凹部30の角度を可変とする。
【0031】
押さえ部材3は、駆動機構6を構成するアーム60に、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bが軸33を支点に回転可能に支持され、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bの組み合わせで、綴じ位置Pに位置が合わせられた頂点部が凹状の三角形状となる押さえ凹部30が構成される。
【0032】
押さえ部材3は、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bのなす角である押さえ凹部30の角度を規制するばね34を備える。ばね34は付勢手段の一例で、例えば、ねじりコイルばねで構成される。
【0033】
押さえ部材3は、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bを、押さえ凹部30の角度が小さくなる方向に軸33を支点として回転させる力がばね34で加えられる。
【0034】
押さえ部材3は、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bを開閉する開閉機構35を備える。図7は、開閉機構の一例を示す構成図である。開閉機構35は、モータ等の駆動部37の駆動力を受け、軸35aを支点に回転する。
【0035】
開閉機構35は、軸35aに対する一方の端部に、第1の押圧部材31aに設けた第1の係合部32aと当接する第1の押圧部36aを備え、軸35aに対する他方の端部に、第2の押圧部材31bに設けた第2の係合部32bと当接する第2の押圧部36bを備える。
【0036】
これにより、押さえ部材3は、開閉機構35が矢印a方向に回転することで、第1の押圧部36aが第1の係合部32aを押圧し、第2の押圧部36bが第2の係合部32bを押圧して、ばね34に抗して第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bが軸33を支点に開く方向に回転する。
【0037】
開閉機構35が図7(a)に示す状態では、図2に示すように、押さえ凹部30の角度が、第1の角度の一例としての所定の鋭角である待機角度α1に切り替えられる。開閉機構35が図7(b)に示す状態では、図3図4に示すように、押さえ凹部30の角度が、第2の角度の一例である所定の鈍角である表紙ガイド角度α2に切り替えられる。開閉機構35が図7(c)に示す状態では、図5に示すように、押さえ凹部30の角度が、表紙ガイド角度α2より大きい第3の角度の一例としての鈍角である押さえ角度α3に切り替えられる。
【0038】
また、押さえ部材3は、開閉機構35が矢印a方向に回転することで、ばね34の復元力で第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bが軸33を支点に綴じる方向に回転する。なお、ばね34の復元力を使用せずに、開閉機構35の動きを第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bに伝達して、閉じる方向に回転する動作を行う構成としても良い。
【0039】
待機角度α1は、冊子の本身10の折り目10aのなす角度と同等程度に設定される。また、表紙ガイド角度α2は、本身10の折り目10aより浅い角度で甘折りされた表紙11の折り目11aと同等、あるいは、折り目11aより若干小さい角度に設定され、折り目11aの角度を大きくすることなく、表紙11をガイドできるように構成される。更に、押さえ角度α3は、表紙11の折り目11aに本身10の折り目10aが転写されない角度に設定される。
【0040】
図8は、駆動機構の一例を示す構成図である。駆動機構6は、アーム60の回転動作で押さえ部材3を昇降させ、支持部材2に対する高さ方向の位置を移動させるカム61を備える。カム61は駆動手段の一例で、アーム60に設けたローラ60aと当接する変位面61a〜61aを外周面に備える。
【0041】
カム61は、中心Ocから変位面61aまでの半径rより、中心Ocから変位面61aまでの半径rが大きく構成され、中心Ocから変位面61aまでの半径rより、中心Ocから変位面61aまでの半径rが大きく構成される。
【0042】
押さえ部材3は、カム61の回転動作で、ローラ60aが変位面61aに接している間、アーム60が回転せず、押さえ部材3の高さ方向の位置は変位しない。また、ローラ60aが変位面61aに接している間、アーム60は回転せず、押さえ部材3の高さは変位しない。同様に、ローラ60aが変位面61aに接している間、アーム60は回転せず、押さえ部材3の高さは変位しない。
【0043】
これに対し、押さえ部材3は、カム61の回転動作で、ローラ60aが接する箇所が変位面61aから変位面61aに移動すると、アーム60が軸60bを支点に回転して、押さえ部材3の高さ方向の位置が変化する。また、カム61の回転動作で、ローラ60aが接する箇所が変位面61aから変位面61aに移動すると、アーム60が軸60bを支点に回転して、押さえ部材3の高さが変化する。
【0044】
押さえ部材3は、カム61の回転動作で、ローラ60aが変位面61aに接している状態では、図2に示すように、押さえ部材3の高さが所定の第1の位置である待機位置T1に切り替えられる。ローラ60aが変位面61aに接している状態では、図3図4に示すように、押さえ部材3の高さが、待機位置T1より低い第2の位置である表紙ガイド位置T2に切り替えられる。ローラ60aが変位面61aに接している状態では、図5に示すように、押さえ部材3の高さが、表紙ガイド位置T2より低い第3の位置である押さえ位置T3に切り替えられる。
【0045】
待機位置T1は、押さえ部材3と支持部材2との間に所定の空間が形成され、本身10の積載が可能である。表紙ガイド位置T2は、支持部材2に積載された本身10の最上位と押さえ部材3との間に、折り目11aの位置を綴じ位置Pにガイド可能な所定の隙間が形成され、表紙11が積載可能な状態である。押さえ位置T3は、本身10及び表紙11を押さえ部材3で支持部材2に押圧可能な状態である。
【0046】
本例では、押さえ部材3の高さ方向への移動と、第1の押圧部材31aと第2の押圧部材31bの開閉動作は独立して行うことが可能である。例えば、図3では、押さえ部材3が表紙ガイド位置T2にある状態で、押さえ凹部30の角度が表紙ガイド角度α2となっている例を示しているが、押さえ凹部30の角度を待機角度α1とすることも可能である。
【0047】
図1に戻り、用紙綴じ装置1Aは、本身ガイド70と表紙ガイド71を備える。本身ガイド70は、押さえ部材3が待機位置T1にある状態において、本身10の折り目10aの位置をガイドする。本身ガイド70は、押さえ部材3の昇降に連動せず、高さ方向の位置が固定される。表紙ガイド71は、押さえ部材3が表紙ガイド位置T2にある状態において、表紙11の折り目11aの位置をガイドする。表紙ガイド71は、押さえ部材3の昇降に連動する。ここで、表紙ガイド71は、表紙11の折り目11aと同等程度の角度を有したV形状である。
【0048】
<本実施の形態の用紙綴じ装置及び画像形成システムの動作例>
図9は、本実施の形態の用紙綴じ装置の動作の一例を示すフローチャートで、次に、各図を参照して、用紙綴じ装置1Aで本身10及び表紙11を綴じる動作について説明する。
【0049】
画像形成システム101では、中綴じ処理装置300で中折り処理及び積載処理が行われた本身10が、用紙綴じ装置1Aに搬送される。図9のステップSA1で、本身10を積載する動作では、用紙綴じ装置1Aは、図2に示すように、押さえ部材3を待機位置T1とし、押さえ凹部30の角度を待機角度α1とし、支持面20を待機角度α10として、本身10が支持部材2に積載される。待機位置T1では、押さえ部材3と支持部材2との間に所定の空間が形成され、本身10の積載時の接触が抑制されることで、積載速度を向上させて生産性を向上させることができる。
【0050】
図9のステップSA2で、本身10の積載が完了したと判断すると、図9のステップSA3で、用紙綴じ装置1Aは、図3に示すように、押さえ部材3を表紙ガイド位置T2に移動させると共に、押さえ凹部30の角度を表紙ガイド角度α2に開く。甘折りされた表紙11は、表紙ガイド71及び押さえ凹部30に折り目11aの位置がガイドされて、本身10上に積載される。
【0051】
上述したように、表紙ガイド角度α2は、本身10の折り目10aより浅い角度で甘折りされた表紙11の折り目11aと同等、あるいは、折り目11aより若干小さい角度に設定されることで、表紙11の折り目11aが綴じ位置Pにガイドされる。また、表紙11の折り目11aをガイドする際に、折り目11aを角度が大きくなる方向に折り曲げられない。よって、折り目11aに筋が付くことが抑制される。
【0052】
図9のステップSA4で、表紙11の積載が完了したと判断すると、図9のステップSA5で、用紙綴じ装置1Aは、図4に示すように、支持面20を押さえ角度α11に開き、本身10の折り目10aの角度を大きくする。
【0053】
図9のステップSA6で、支持面20が開く動作が完了したと判断すると、図9のステップSA7で、用紙綴じ装置1Aは、図5に示すように、押さえ凹部30の角度を押さえ角度α3に開いた後、押さえ部材3を押さえ位置T3に移動させる。
【0054】
本身10を支持部材2に積載する動作では、押さえ凹部30の角度を待機角度α1とすることで、折り目10aの位置が綴じ位置Pに合わせられる。また、表紙11を支持部材2に積載する動作では、押さえ凹部30の角度を表紙ガイド角度α2に開くことで、折り目11aの位置が綴じ位置Pに合わせられる。更に、押さえ部材3が表紙ガイド位置T2に位置することで、最上位の本身10と押さえ部材3との間に所定の隙間が形成されるので、押さえ凹部30の角度と合わせた効果で、折り目11aに筋が付くことが抑制される。
【0055】
この状態で、支持面20を押さえ角度α11に開くことで、本身10の折り目10aが開かれるが、綴じ位置Pに対する位置ずれは抑制される。更に、押さえ凹部30を押さえ角度α3に開いた状態で、押さえ部材3により表紙11及び本身10を支持部材2に押圧することで、本身10の折り目10a及び表紙11の折り目11aの綴じ位置Pに対する位置ずれが抑制され、かつ、折り目11aに筋が付くことが抑制される。
【0056】
そして、本身10の折り目10aが所定の鈍角となるように開いた状態で、本身10及び表紙11を押さえ部材3で支持面20に押圧した後、ステープラ4をクリンチャ5に近づく方向に移動させることで、ステープラ4とクリンチャ5との間に本身10及び表紙11を挟持させる。そして、綴じ針をステープラ4で打ち出して本身10及び表紙11を貫通させ、本身10及び表紙11を貫通させた綴じ針の脚部をクリンチャ5で曲げることで、本身10及び表紙11が綴じ針で綴じられる。
【0057】
図9のステップSA8で、綴じ処理が完了したと判断すると、図9のステップSA9で、押さえ部材3を待機位置T1に移動させ、押さえ凹部30の角度を待機角度α1に戻し、支持面20を待機角度α10に戻す。
【0058】
図10は、本実施の形態の用紙綴じ装置の他の動作例を示す説明図である。表紙11に折り目11aが付いて良い場合、図2に示すように、押さえ凹部30の角度を待機角度α1とした状態で、表紙11の積載も行う。そして、図10に示すように、支持面20を待機角度α10に保持し、押さえ凹部30の角度を待機角度α1に保持した状態で、押さえ部材3を押さえ位置T3に移動させる。なお、押さえ部材3を押さえ位置T3に移動させた後、綴じ位置を押し潰すため、押さえ凹部30の角度を押さえ角度α3に開き、支持面20の角度を押さえ角度α11に開いていても、積載時に折り目の位置が合わせられているので、折り目の位置がずれることが抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、冊子を綴じ針で中綴じする用紙綴じ装置、及び、この用紙綴じ装置を備えた画像形成システムに適用される。
【符号の説明】
【0060】
1A・・・用紙綴じ装置、2・・・支持部材、20・・・支持面、3・・・押さえ部材、30・・・押さえ凹部、31a・・・第1の押圧部材、31b・・・第2の押圧部材、33・・・軸、35・・・開閉機構、4・・・ステープラ、5・・・クリンチャ、6・・・駆動機構、101・・・画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10