(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222466(P2016-222466A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】樹脂製移送板
(51)【国際特許分類】
B65G 7/02 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
B65G7/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-172491(P2016-172491)
(22)【出願日】2016年9月5日
(62)【分割の表示】特願2012-117363(P2012-117363)の分割
【原出願日】2012年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2011-289090(P2011-289090)
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山村 文彦
(57)【要約】
【課題】簡便に且つ低コストで荷物の搬送を行うことができる手段を提供すること。
【解決手段】載せた荷物を搬送する樹脂製移送板110の表面のうち、荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブ12が一方向に交差する方向に沿って形成されている。また、これらリブ12の間には、リブ12の形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔14が形成されている。リブ12の頂部には、リブ12の形成方向に沿って溝12aが形成されている。溝12aには、摺動剤が貯留されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、
荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、
これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、
リブの頂部には、リブの形成方向に沿って溝が形成されており、
溝には、摺動剤が貯留されていることを特徴とする樹脂製移送板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製移送板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内において荷物(例えば、工場内のライン等で製造した製品を収納した通い箱)を出荷場まで搬送する手段として、例えば、ローラコンベア等が既に知られている。このようにローラコンベアを使用すると、工場内の目的場所まで簡便に製品を搬送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平11−236117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、ローラコンベアの設置に高い費用が発生するため(高コストになるため)、搬送費用の低減が求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、簡便に且つ低コストで荷物の搬送を行うことができる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、リブの頂部には、リブの形成方向に沿って溝が形成されており、溝には、摺動剤が貯留されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、樹脂製移送板を敷き詰めると、従来技術のローラコンベアと同様に、目的場所まで簡便に荷物を搬送できる。また、従来技術とは異なり、樹脂製移送板の設置(敷き詰め)に高い費用が発生することもないため、荷物の搬送を低コストで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る樹脂製移送板の全体斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の樹脂製移送板を使用した通い箱の搬送システムを示す全体構成図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例2に係る樹脂製移送板の全体斜視図である。
【
図10】
図10は、
図6の樹脂製移送板を使用した通い箱の搬送システムを示す全体構成図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例3に係る樹脂製移送板の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1を、
図1〜5を用いて説明する。はじめに、
図1〜4を参照して、本発明の実施例1に係る樹脂製移送板10の概略構成を説明する。
【0009】
図1〜2に示すように、この樹脂製移送板10は、幅30cm×奥行き40cm×厚さ8mmの長方形状から成る薄い樹脂プレートから構成されている。この樹脂製移送板10の表面のうち、通い箱20(
図1〜2において、図示しない)を載せる側の表面(
図1において、樹脂製移送板10の上面)には、一方向(樹脂製移送板10の短手方向)に適宜の等間隔(15mm間隔)で高さが5mmを有する複数のリブ12が一方向に交差する方向(樹脂製移送板10の長手方向)に沿って形成されている(
図3参照)。
【0010】
また、この樹脂製移送板10のリブ12の間には、リブ12の形成方向に沿って適宜の等間隔(20mm間隔)で複数の角丸正方形状(一辺が10mmの角丸正方形)の孔14が形成されている。この複数の角丸正方形状の孔14は、二次元的な配置となるように形成されている(
図2参照)。
【0011】
また、リブ12の形成方向における隣り合う孔14の間には、リブ12の盛り上がり方向と同方向に向けて盛り上がり状の肉部16が形成されている(
図4参照)。この肉部16も、平面視において、略正方形状(一辺が10mmの略正方形)に形成されている。樹脂製移送板10は、このように構成されている。
【0012】
なお、この樹脂製移送板10は、例えば、POMから一体的に成形されている。また、この樹脂製移送板10は、その奥行き方向に沿って複数連結可能となるように、連結部材(例えば、フック、フックを引っ掛ける孔等)が形成されている。
【0013】
次に、
図5を参照して、上述した構成から成る樹脂製移送板10を使用した通い箱20の搬送システム1を説明する。この説明では、従来技術の説明と同様に、工場内のライン(図示しない)で製造した製品(図示しない)を通い箱20に入れて出荷場まで搬送する作業を説明する。
【0014】
まず、
図5に示すように、作業者Mは、工場内のラインの終点Aから出荷場Bまで、樹脂製移送板10を複数敷き詰める作業を行う。このとき、上述した連結部材を介して樹脂製移送板10を連結させることができるため、複数敷き詰めた樹脂製移送板10にズレ等が生じることを防止できる。
【0015】
次に、作業者Mは、工場内のラインの終点Aにおいて、このラインで出来上がった製品を通い箱20に入れる作業を行う。製品の数が多いと、通い箱20の数も多くなるため、
図5に示すように、通い箱20は複数積み重ねられた状態となっている。次に、作業者Mは、積み重ねられた通い箱20を押し出しながら出荷場Bまで通い箱20を滑らせていく作業を行う。やがて、積み重ねられた通い箱20が出荷場Bに到着すると、通い箱20の搬送作業が終了となる。
【0016】
本発明の実施例1に係る樹脂製移送板10は、上述したように構成されている。この構成によれば、樹脂製移送板10の表面のうち、通い箱20を載せる側の表面には、一方向(樹脂製移送板10の短手方向)に適宜の等間隔(15mm間隔)で複数のリブ12が一方向に交差する方向(樹脂製移送板10の長手方向)に沿って形成されている。また、この樹脂製移送板10のリブ12の間には、リブ12の形成方向に沿って適宜の等間隔(20mm間隔)で複数の角丸正方形状(一辺が10mmの正方形)の孔14が形成されている。このように形成されている樹脂製移送板10を敷き詰めると、従来技術のローラコンベアと同様に、目的場所まで簡便に製品を搬送できる。また、従来技術とは異なり、樹脂製移送板10の設置(敷き詰め)に高い費用が発生することもないため、製品の搬送を低コストで行うことができる。なお、このように樹脂製移送板10が成形されていると、樹脂製移送板10の表面(通い箱20を載せる側の表面)の平面度を高めることができる。したがって、樹脂製移送板10の表面と通い箱20との間に生じる摩擦力を低減できるため、通い箱20の押し出しに必要な力を抑えることができる(軽い力で通い箱20を押し出すことができる)。
【0017】
また、この構成によれば、複数の角丸正方形状の孔14は、二次元的な配置となるように形成されている。このように形成されていると、樹脂材の成形に際して、製品の変形が問題となるが孔14を等間隔で配置することで製品の変形を抑えることができる。また、このように形成されていると、樹脂製移送板10の表面(通い箱20を載せる側の表面)の平面度をより高めることができる。したがって、樹脂製移送板10の表面と通い箱20との間に生じる摩擦力をより低減できるため、通い箱20の押し出しに必要な力をより抑えることができる(軽い力で通い箱20を押し出すことができる)。
【0018】
また、この構成によれば、リブ12の形成方向における隣り合う孔14の間には、リブ12の盛り上がり方向と同方向に向けて盛り上がり状の肉部16が形成されている。そのため、樹脂製移送板10の表面(通い箱20を載せる側の表面)の平面度をより高めることができる。したがって、樹脂製移送板10の表面と通い箱20との間に生じる摩擦力をより低減できるため、通い箱20の押し出しに必要な力をより抑えることができる(軽い力で通い箱20を押し出すことができる)。
【0019】
また、この構成によれば、この肉部16も、平面視において、略正方形状に形成されている。そのため、樹脂製移送板10の表面(通い箱20を載せる側の表面)の平面度をより高めることができる。したがって、樹脂製移送板10の表面と通い箱20との間に生じる摩擦力をより低減できるため、通い箱20の押し出しに必要な力をより抑えることができる(軽い力で通い箱20を押し出すことができる)。
【0020】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を、
図6〜10を用いて説明する。はじめに、
図6〜9を参照して、本発明の実施例2に係る樹脂製移送板110の概略構成を説明する。この実施例2の樹脂製移送板110は、既に説明した実施例1の樹脂製移送板10と比較すると、通い箱20の押し出しに必要な力をより抑えることができる形態である。なお、以下の説明にあたって、実施例1と同一もしくは均等な構成の部材には、図面において同一符号を付すことで重複する説明は省略することとする。
【0021】
図6〜9に示すように、樹脂製移送板110のリブ12の頂部には、リブ12の形成方向に沿って溝12aが形成されている。この溝12aは、その溝深さが、0.3mmとなるように、且つ、その溝幅が、0.7mmとなるように形成されている(
図8〜9参照)。そして、樹脂製移送板110の上面には、摺動剤(例えば、PTFE系のフッ素樹脂)が塗布されている。
【0022】
この塗布により、樹脂製移送板110の溝12aに摺動剤(図示しない)が貯留されることとなる。なお、樹脂製移送板110の上面のうち、溝12aを除いた部位には、摺動剤が貯留されることがない(摺動剤は蒸発する)。なお、この樹脂製移送板110も、実施例1の樹脂製移送板10と同様に、通い箱20の搬送システム1を成立させることができる(
図10参照)。
【0023】
本発明の実施例2に係る樹脂製移送板110は、上述したように構成されている。この構成によれば、実施例1の樹脂製移送板10と同様の作用効果を得ることができる。また、この構成によれば、樹脂製移送板110のリブ12の頂部には、リブ12の形成方向に沿って溝12aが形成されている。そして、樹脂製移送板110の溝12aには、摺動剤が貯留されている。そのため、樹脂製移送板110の表面と通い箱20との間に生じる摩擦力をより低減できるため、通い箱20の押し出しに必要な力をより抑えることができる(より軽い力で通い箱20を押し出すことができる)。
【0024】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3を、
図11〜15を用いて説明する。はじめに、
図11〜12を参照して、本発明の実施例3に係る樹脂製移送板210の概略構成を説明する。この実施例3の樹脂製移送板210は、既に説明した実施例2の樹脂製移送板110と比較すると、樹脂製移送板110に連結部材を一体に設けた形態である。
【0025】
図11〜13に示すように、樹脂製移送板210の短手側の縁の一方には、適宜の間隔で複数(この例では、4つ)の接合片212が形成されている。この接合片212には、裏面側に向けて突起212aが形成されている。この突起212aは、その先端側が先太りを成すように形成されている。
【0026】
また、樹脂製移送板210の短手側の縁の他方には、接合片212と対応する位置に、別の樹脂製移送板210の接合片212を嵌め込み可能な凹部214が形成されている。この凹部214には、嵌め込んだ接合片212の突起212aをさらに嵌め込み可能な接合孔214aが形成されている。
【0027】
このように形成された樹脂製移送板210を複数連結させる場合、
図14〜15に示すように、樹脂製移送板210の接合片212を別の樹脂製移送板210の凹部214(
図14〜15において、図示しない)に嵌め込み、さらに、樹脂製移送板210の接合片212の突起212aを別の樹脂製移送板210の凹部214の接合孔214aに嵌め込めばよい。
【0028】
本発明の実施例3に係る樹脂製移送板210は、上述したように構成されている。この構成によれば、実施例2の樹脂製移送板110と同様の作用効果を得ることができる。また、この構成によれば、樹脂製移送板210を複数連接させる場合、樹脂製移送板210の接合片212を別の樹脂製移送板210の凹部214に嵌め込み、さらに、樹脂製移送板210の接合片212の突起212aを別の樹脂製移送板210の凹部214の接合孔214aに嵌め込むため、連接の強度を高めることができる。
【0029】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例で記載されている樹脂製移送板10の数値(サイズ)は、これに限られるものでなく、搬送する製品の重量やサイズ等によって決められる設計的な事項である。また、他にも樹脂移送板10を、例えば、高摺動樹脂材料POMにブレンドしてから一体的に成形しても構わない。
【符号の説明】
【0030】
10 樹脂製移送板(実施例1)
12 リブ
12a 溝
14 孔
16 肉部
110 樹脂製移送板(実施例2)
210 樹脂製移送板(実施例3)
【手続補正書】
【提出日】2016年9月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、
荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、
これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、
複数の孔は、互いが同形状となっており、且つ、直交する方向に沿って二次元的な配置となるように形成されていることを特徴とする樹脂製移送板。
【請求項2】
載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、
荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、
これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、
リブの形成方向の両縁は、下り傾斜になっていることを特徴とする樹脂製移送板。
【請求項3】
載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、
荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、
これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、
樹脂製移送板自身の短手側の縁の一方には、裏側に向けて突起を有する接合片が形成されており、
樹脂製移送板自身の短手側の縁の他方には、隣り合う樹脂製移送板の接合片を嵌め合い可能な凹部が形成されており、
凹部には、嵌め込んだ接合片の突起をさらに嵌め込み可能な接合孔が形成されていることを特徴とする樹脂製移送板。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂製移送板であって、
凹部に接合片を嵌め合うと、樹脂製移送板自身の裏面が隣り合う樹脂製移送板の裏面と面一となることを特徴とする樹脂製移送板。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、
複数の孔は、互いが同形状となっており、且つ、直交する方向に沿って二次元的な配置となるように形成されていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、樹脂製移送板を敷き詰めると、従来技術のローラコンベアと同様に、目的場所まで簡便に荷物を搬送できる。また、従来技術とは異なり、樹脂製移送板の設置(敷き詰め)に高い費用が発生することもないため、荷物の搬送を低コストで行うことができる。
また、請求項2に記載の発明は、載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、リブの形成方向の両縁は、下り傾斜になっていることを特徴とする構成である。
また、請求項3に記載の発明は、載せた荷物を搬送する樹脂製移送板であって、荷物を載せる側の表面には、一方向に適宜の等間隔で複数のリブが一方向に交差する方向に沿って形成されており、これらリブの間には、リブの形成方向に沿って適宜の等間隔で複数の孔が形成されており、樹脂製移送板自身の短手側の縁の一方には、裏側に向けて突起を有する接合片が形成されており、樹脂製移送板自身の短手側の縁の他方には、隣り合う樹脂製移送板の接合片を嵌め合い可能な凹部が形成されており、凹部には、嵌め込んだ接合片の突起をさらに嵌め込み可能な接合孔が形成されていることを特徴とする構成である。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の樹脂製移送板であって、凹部に接合片を嵌め合うと、樹脂製移送板自身の裏面が隣り合う樹脂製移送板の裏面と面一となることを特徴とする構成である。