特開2016-222572(P2016-222572A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222572(P2016-222572A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】老化防止剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/26 20060101AFI20161205BHJP
   C12P 7/04 20060101ALI20161205BHJP
   C07C 211/54 20060101ALI20161205BHJP
   C07C 49/08 20060101ALI20161205BHJP
   C07C 49/04 20060101ALI20161205BHJP
   C07C 45/29 20060101ALI20161205BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   C07C209/26
   C12P7/04
   C07C211/54
   C07C49/08 A
   C07C49/04 A
   C07C45/29
   C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-109469(P2015-109469)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智行
【テーマコード(参考)】
4B064
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4B064AC02
4B064AC32
4B064AC33
4B064CA02
4B064DA16
4H006AA02
4H006AB51
4H006AC44
4H006AC52
4H006BA05
4H006BA06
4H006BE20
4H039CA62
4H039CC20
(57)【要約】
【課題】バイオマスを原材料にしながら老化防止剤を工業的生産性に優れた方法で製造する。
【解決手段】グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いて酸化することによりアセトンおよびメチルイソブチルケトンを生成する工程、得られたアセトン、メチルイソブチルケトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いて酸化することによりアセトンおよびメチルイソブチルケトンを生成する工程、得られたアセトン、メチルイソブチルケトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴とする老化防止剤の製造方法。
【請求項2】
前記金属元素が、銅、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、鉄から選ばれることを特徴する請求項1に記載の老化防止剤の製造方法。
【請求項3】
前記アセトンまたはメチルイソブチルケトン、および植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴する請求項1または2に記載の老化防止剤の製造方法。
【請求項4】
前記アミン系老化防止剤が、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンから選ばれることを特徴する請求項1,2または3に記載の老化防止剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを原材料にして老化防止剤を得る製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤなどのゴム製品には、老化防止剤が使用される。これら老化防止剤のなかでアミン系老化防止剤は、アセトンやアニリンを原料として合成される。しかしアセトンおよびアニリンは、化石資源を原料として生産されるため、大量の熱や二酸化炭素が排出されるので地球環境への影響が懸念される。
【0003】
このため特許文献1は、グルコースを微生物によって安息香酸または安息香酸誘導体に変換し得られた安息香酸または安息香酸誘導体からアニリンまたはアニリン誘導体を得ること、アセトンブタノール発酵によりアセトンを得ることを記載する。また特許文献2は、糖類またはバイオエタノールからフェノールを合成し、得られたフェノールからアニリンを合成すること、アセトンブタノール発酵、木酢液やバイオエタノールからアセトンを合成することを提案する。しかし、これらの製造方法は、いずれも天然資源からアニリンおよびアセトンを得るまでの工程数が多く、収率がそれほど高くないため工業的生産性が低いという課題があった。特にアセトンについては生産コストが高く、化石資源を原料として生産されたアセトンを置き換えることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−17176号公報
【特許文献2】特開2012−153655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、バイオマスを原材料にしながら老化防止剤を工業的生産性に優れた方法で製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の老化防止剤の製造方法は、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いて酸化することによりアセトンおよびメチルイソブチルケトンを生成する工程、得られたアセトン、メチルイソブチルケトンからアミン系老化防止剤を合成する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の老化防止剤の製造方法は、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いて酸化することによりアセトンおよびメチルイソブチルケトンを高い収率で効率的に得ることができる。またアセトンおよびメチルイソブチルケトンを得るまでの工程数が少なく、合成に要する熱エネルギーも少ないため工業的生産性に優れるため生産コストを大幅に抑制することができる。得られたアセトン、メチルイソブチルケトンを用いてアミン系老化防止剤として、工業的に量産されているN−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)を製造することにより、バイオマスを原料にしながら生産コストを大幅に抑制したタイヤ用ゴム薬品を得ることができる。
【0008】
前記金属元素としては、銅、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、鉄から選ぶことができる。
【0009】
上述したアセトン、メチルイソブチルケトンと、植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成するができる。アミン系老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンを例示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の老化防止剤の製造方法は、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いて酸化することによりアセトンおよびメチルイソブチルケトンを生成する。グルコースとしては、植物系原料に酸を加え加水分解あるいは加圧熱水処理することにより得られたグルコースを用いることができる。また植物系原料としては、バイオマス材料に使用される通常の植物の他、食用作物の可食部分以外の部分(茎、根、木部)、稲わら、麦わら、もみ殻、雑草、木材や廃木材等を例示することができる。
【0011】
本発明において、グルコースを発酵させることによりイソプロパノールを生成する。グルコースを発酵させてイソプロパノールを得る方法は特に限定されるものではない。例えばバイオエタノールに発酵させたときに副生するイソプロパノールを用いることができる。あるいは大腸菌等を遺伝子工学的手法によって改変しイソプロパノールを代謝する経路を導入した微生物を用いることによりグルコースを発酵させてイソプロパノールを得ることができる。具体的に遺伝子組み換え技術によりイソプロパノール生合成酵素遺伝子群を導入した大腸菌を代謝改変することにより、イソプロパノールをグルコースから効率よく生産することが報告されている。このイソプロパノールの生産性は、48時間で発酵液1L当たりイソプロパノール113gであり、バイオエタノール発酵量と同等レベルの生産性が得られている。
【0012】
本発明の製造方法では、グルコースを発酵させて得られたイソプロパノールを、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いて酸化することによりアセトンおよびメチルイソブチルケトンを生成する工程を含む。イソプロパノールを酸化する方法は、少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を用いる限り特に制限されるものではない。金属元素は、銅、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、鉄から選ぶことが好ましい。より好ましくは、銅、マグネシウム、カルシウム、亜鉛であり、とりわけ好ましくは銅、マグネシウムである。
【0013】
また少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物としては、(CuO)Mg、(Cu2O)Mg、(Cu2O)x(MgO)y、(MgO)Cu等の複合金属酸化物を挙げることができる。好ましくは(CuO)Mg、(Cu2O)Mgである。このような複合金属酸化物は、例えば(CuO)Mgおよび(Cu2O)Mgの混合物をボールミルで、温度0〜100℃の条件で攪拌混合することにより調製するとよい。
【0014】
イソプロパノールを複合金属酸化物に接触させる方法として、好ましく複合酸化物を敷き詰めたものに対して、水素気流中で滴下する方法、イソプロパノールを高温で、水素を同時に流しながら、ガス化させて通過させる方法が挙げられる。何れの方法でも水素に対するイソプロパノールのモル比が好ましくは0.001〜0.1であると良い。
【0015】
イソプロパノールを複合金属酸化物で酸化するとき、酸化反応の温度は好ましくは100〜350℃、より好ましくは150〜300℃にすることができる。このような反応温度にすることにより、アセトンおよびメチルイソブチルケトンの収率を高くすることができる。酸化反応時の圧力は、好ましくは0.5〜1.5MPa、より好ましくは0.5〜1.0MPaにするとよい。さらに酸化反応を行う時間は好ましくは2〜30時間、より好ましくは3〜24時間にするとよい。イソプロパノールを酸化する反応装置は、特に制限されるものではなく、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
【0016】
このようにイソプロパノールから複合金属酸化物を用いてアセトンおよびメチルイソブチルケトンを合成する方法は、バイオマスからアセトンを合成する他の方法(例えばアセトンブタノール発酵法、エタノール発酵からのアセトン変換方法等)に比べ、工程数が少なく収率が高く。
【0017】
また同時に生成するアセトンは、原料や副生成物から分離回収するのにかかる設備、労力やコストも他の方法に比べてに小さくすることができる。また、本アセトンは、老化防止剤2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(AW)等の原料として使用できる。
【0018】
本発明の製造方法により得られるアセトン、メチルイソブチルケトンは、バイオマスを原材料にしながら、通常、化石資源を使用して製造されたアセトンを代替し得る生産性を有する。例えば(CuO)Mgを使用しイソプロパノールを500℃で酸化すると、アセトンが約70%、メチルイソブチルケトンが約30%生成し、両者を合わせた収率は98%以上になる。
【0019】
上記で得られたアセトンおよびメチルイソブチルケトンは、種々の工業化学品を製造するのに使用することができる。本発明では、アセトンおよびメチルイソブチルケトンを原料にしてアミン系老化防止剤を製造する。アミン系老化防止剤としては、キノリン系、アルキルアリール−p−フェニレンジアミン系の各種老化防止剤を挙げることができる。これらアミン系老化防止剤は、アニリンまたはメチルイソブチルケトン、およびアセトンを用いて通常の方法で合成することができる。
【0020】
キノリン系老化防止剤は、例えば2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(AW)等を挙げることができる。
【0021】
アルキルアリール−p−フェニレンジアミン系老化防止剤は、例えばN−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3PPD)、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)等を挙げることができる。
【0022】
本発明の製造方法は、アミン系老化防止剤の原料となる他の化合物についても植物系資源から得られるものを使用するとよい。とりわけアニリンは、植物から抽出されたインジゴを原料にして合成することができる。インジゴからアニリンを合成する方法としては、インジゴを無溶媒で熱分解することによりアニリンを合成する方法、およびインジゴを加水分解して2−アミノ安息香酸を生成しこれを脱炭酸することによりアニリンを合成する方法を挙げることができる。これらの方法でインジゴから合成されたアニリンは、高い収率で容易に製造することができ生産性が優れる。この植物系資源由来のアニリンは、化石資源を使用して製造されたアニリンを代替し得る。
【0023】
インジゴは、青藍の染料であり、体系名をΔ2’3H3’H)―ビ[1H−インドール]−3,3’―ジオンという。インジゴは、種々の植物に含有されており、例えば蓼藍(タデ科)、インド藍(マメ科)、琉球藍(キツネノマゴ科)、蝦夷藍(アブラナ科)、山藍(トウダイグサ科)、大青(ウォード、アブラナ科)等(以下、「藍植物」ということがある。)に多く含まれている。これら藍植物から抽出したインジゴを使用することができる。インジゴを抽出する方法は特に制限されるものではなく、藍植物から水溶性のインジカンを抽出して取り出し、このインジカンを加水分解してインドキシルを生成する。この加水分解のときインジカン分解酵素を添加することもできる。得られたインドキシルの2分子が酸化し酸素と結合することによりインジゴが得られる。インジゴは、室温で粉末状の形態である。
【0024】
本発明の第1のアニリンの製造方法は、植物から抽出されたインジゴを無溶媒で熱分解することによりアニリンに変換するものである。インジゴを無溶媒で熱分解することにより、アニリンの化学純度を高く、かつ収率を高くすることができ、分離回収にかかるコストを低減することができる。すなわち粉末状のインジゴを無溶媒で熱分解することにより、アニリンが気体状態または液体状態で生成するので、これを回収し適宜、分離することができる。例えばインジゴを無溶媒で400℃で熱分解すると、アニリンが約29%生成する。これらの収率は、インジゴをアルカリ水溶液中で400℃で熱分解したときのアニリンの収率(約3%)やインジゴをジメチルスルホキシド中で400℃で熱分解したときのアニリンの収率(約2%)と比べ大幅に高いものである。
【0025】
インジゴを熱分解する温度は、好ましくは320〜430℃、より好ましくは350℃〜400℃にすることができる。インジゴの熱分解温度が320℃より低いと分解量が少量になる。またインジゴの熱分解温度が430℃より高いと副生する化合物が多くなり、アニリンの収率が低くなる。なおインジゴは、無溶媒の状態で、かつ不活性ガスの雰囲気中で熱分解することによりアニリンの収率をより高くすることができる。
【0026】
インジゴを熱分解する装置は、粉末状のインジゴを所定の温度で加熱し、生成したアニリンを回収することが可能であれば特に制限されるものではなく、バッチ式、連続式のいずれでもよい。インジゴを熱分解する装置として、例えば窒素雰囲気環状炉、窒素雰囲気バッチ炉等を挙げることができる。
【0027】
本発明の第2のアニリンの製造方法は、植物から抽出されたインジゴを加水分解して2−アミノ安息香酸を生成しこれを脱炭酸することによりアニリンを合成する方法である。加水分解の条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃で加水分解することができる。インジゴはこのような温和な条件で効率的に2−アミノ安息香酸に加水分解することができる。インジゴは水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中で加水分解することもできる。使用するアルカリ水の性状は、特に限定されるものではないが、pHが好ましくは8〜14、より好ましくはpH10〜12であるとよい。アルカリの種類としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を例示することができる。
【0028】
次に得られた2−アミノ安息香酸を脱炭酸することによりアニリンを得ることができる。2−アミノ安息香酸を脱炭酸する条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは
酢酸、硫酸などの酸等の存在下、或いは酸等の不存在下で、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは50〜150℃で脱炭酸することができる。また脱炭酸するときの圧力は、好ましくは大気圧〜2.0MPa(ゲージ圧)にするとよい。さらに脱炭酸する時間は、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは0.5〜10時間にすることができる。上述した条件で2−アミノ安息香酸を脱炭酸することにより、アニリンの収率をより高くすることができる。
【0029】
インジゴを加水分解する装置や2−アミノ安息香酸の脱炭酸に使用する装置は、特に制限されるものではなく、各操作に通常用いられる装置を使用することができる。
【0030】
本発明の製造方法では、バイオマスのグルコースから得られたアセトンおよび植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成する工程を含む。例えばアニリンを出発原料にしてN−フェニル−p−フェニレンジアミンを合成し、このN−フェニル−p−フェニレンジアミンにアセトンを反応させることにより、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3PPD)を合成することができる。またアセトンおよびアニリンを出発原料にして2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を合成することができる。
【0031】
本発明の製造方法において、バイオマスのグルコースから得られたメチルイソブチルケトンと、植物から得られたアニリンを反応させてアミン系老化防止剤を合成する工程を含む。例えばアニリンを出発原料にしてN−フェニル−p−フェニレンジアミンを合成し、このN−フェニル−p−フェニレンジアミンにメチルイソブチルケトンを反応させることにより、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)を合成することができる。
【0032】
本発明の製造方法により得られた老化防止剤は、通常のゴム製品、特に空気入りタイヤやコンベアベルトの配合剤として好適に使用することができる。
【0033】
空気入りタイヤやコンベアベルトを構成するゴム組成物には、ゴム成分、カーボンブラック、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤からなる基本配合に、シリカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機充填剤、シランカップリング剤、プロセスオイル、軟化剤、加硫促進助剤などの通常、用いられる配合剤を適宜配合することができる。
【0034】
ゴム組成物として、加硫系配合剤を除く配合剤およびゴム成分をバンバリーミキサー、オープンロールなどのゴム混練機を用いて混練した後、冷却してから加硫系配合剤を混合することにより未加硫ゴム組成物が調製される。得られた未加硫ゴム組成物を、空気入りタイヤの各部品の形状に合わせて押出し成形し、タイヤ成型機上にてグリーンタイヤを形成する。さらに、このグリーンタイヤを加硫機中で加硫成形することにより空気入りタイヤが製造される。
【0035】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
実施例1
<グルコースからイソプロパノールの生成>
グルコースを出発原料にし、グルコースを出発原料にし、例えば、特許第5568562号、特許第5628288号に例示されるような大腸菌を使って発酵することにより、培養開始から48時間後、蒸留精製し、イソプロパノールを得た。イソプロピルアルコールイソプロパノールの収率は、グルコースに対し48%であった。
【0037】
<複合金属酸化物の調製>
複合金属酸化物として(CuO)Mgを以下の製造法により調製した。酸化銅を79gおよびマグネシウム粉を24gを秤量し、その混合物をミキサーミル(SPEX社製8000M)で、、500回転で、3時間、攪拌混合することにより、(CuO)Mgを調製した。攪拌混合時の温度は室温から初めても最終的には90℃近くまで高温になった。
【0038】
<イソプロパノールからメチルイソブチルケトンおよびアセトンの合成>
上記で得られたイソプロパノールを、300℃で、上記で得られた(CuO)Mgをパイレックス(登録商標)ガラス管製の反応管に敷き詰め、滴下速度5g/hで滴下した。イソプロパノールが水素に対して0.01になるように水素を流しながら(CuO)Mg接触させることにより酸化させ、アセトンまたはメチルイソブチルケトンを生成した。得られたガスをクロマトグラフィーで検出した。イソプロパノールからアセトンへの転化率は約68%、メチルイソブチルケトンへの転化率は約30%で、両者を合計した転化率は98%以上であった。またグルコースに対する発酵製造量は100〜120g/Lであった。
【0039】
<藍からインジゴの抽出>
藍(インド藍)から刈取った葉を水で洗った後、80℃の熱湯で煮だした後、ミキサーにかけてろ過を行った。この液に水酸化ナトリウムを加え、0.1N規定のアルカリ溶液中に調整した。この操作で、葉の中のインジカンからインドキシルに加水分解する。この液を2日間空気にさらすことでゆるやかに酸化が行われる。さらに、ろ過を行い、24時間乾燥することにより、粉末状のインジゴを得た。このインジゴの純度は、91%であった。
【0040】
<インジゴからアニリンの合成>
熱分解装置として排ガス管の途中に冷却トラップが接続されている窒素雰囲気バッチ炉を使用した。
熱分解装置に、インジゴ5gをセットし、雰囲気を窒素で置換した。
雰囲気温度を400℃まで20分かけて昇温し、20分間その温度を保つことにより、インジゴを熱分解した。インジゴを無溶媒で400℃で熱分解し、排出ガスを冷却することにより、アニリンが1.6g(収率32%)合成された。
【0041】
<メチルイソブチルケトンおよびアニリンから老化防止剤の合成>
上記で得られたメチルイソブチルケトンおよびアニリンから、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)を合成した。
【0042】
上記の方法で得たアニリン、とアニリンをタングステン触媒を用いて過酸化水素水で酸化することによりニトロベンゼンを準備した。溶媒はt-ブタノールを用いて合成した。また、ニトロベンゼンは特許文献特許第3755955号等に記載のバイオ由来のベンゼンを硝酸と硫酸を用いてニトロ化することによって合成しても良い。25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAOH)187gを、温度55℃、圧力75mbarで蒸留濃縮して、35%溶液を得た。上記バイオマス由来アニリン5gに水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に添加した後、温度80℃、圧力0.0090MPaで溜去した。この液にニトロベンゼン4.5gを加え、3時間撹拌した。この間、水/アニリン共沸混合物の蒸留を継続した。Ni触媒10mgを、この粗混合液に添加した。次に、温度80℃において、水素を用いて圧力を0.6MPaにして、そして反応混合液を、水素のさらなる吸収が認められなくなるまで撹拌した。これにトルエン10mlを添加し、触媒を濾別し、有機相と水相を分液ロートにて分離した。硫酸マグネシウムで脱水した後精製することにより、4−アミノジフェニルアミンを98%の収率で得た。
【0043】
その後、オートクレーブに、得られた4−アミノジフェニルアミンとメチルイソブチルケトンを白金触媒及び活性炭を入れ、水素雰囲気下とした後、槽内を200℃にした。次いで、水素を加圧して、1時間反応を行った。常圧、室温まで槽内を戻して、アセトンで濾下することにより、活性炭および触媒を除去し、N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミンを調製した。収率は95%であった。
【0044】
<同時に生成するアセトンおよびアニリンから老化防止剤の合成>
上記で得られたアニリンから、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンを合成した。アセトン導入装置、蒸留装置、温度計および攪拌機を備えたフラスコに、アニリン93gと、塩酸3.6gを加え、120℃まで加熱した。120℃に保温しながら、6時間にわたりアセトン174gフラスコ内に連続的に供給した。留出する未反応のアセトンやアニリンは、随時フラスコ内に戻した。2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物81g(収率約30%)を得た。重合度は2〜3であった。なお、未反応のアニリン、および2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンのモノマーは、減圧蒸留により回収した。140℃で未反応のアニリンが留出し、その後190℃まで昇温することにより、モノマーが留出した。
【0045】
比較例1
<イソプロパノールからアセトンの合成>
上記で得られたイソプロパノールに過酸化水素水を滴下しながら、酸化させた。イソプロパノールからアセトンへの変換収率は95%以上であった。またグルコースに対する発酵製造量は100〜120g/Lであった。
【0046】
<アセトンからメチルイソブチルケトンの合成>
上記で得られたアセトンを塩基または酸触媒を使用し、例えば、工業的には水酸化ナトリウムを使用して、室温の条件で2分子でアルドール縮合反応させることにより容易にジアセトンアルコールを生成した(収率100%)。得られたジアセトンアルコールをヨウ素を触媒として還流させることにより、脱水してメシチルオキシドを生成した(収率91%)。その後、得られたメシチルオキシドをパラジウムの存在下、室温〜50℃の条件で水素化することによりメチルイソブチルケトンを合成した(収率99%)。工業的な方法で、アセトンから3ステップの工程で合成できる。
【0047】
比較例2
触媒に酸化銅を敷き詰める以外は酸化銅を加えた以外は、実施例と同じように反応させた。アセトンが57%、メチルイソブチルケトンが11%、ジイソブチルケトンが8%得られた。
【0048】
比較例3
<触媒ZnO:ZrO2(94:6)の調製>
500mlの攪拌羽付き丸底フラスコに、炭酸ナトリウム15.94g(0.15mol)及び水130mlを入れ溶解させた。得られた水溶液に、硝酸亜鉛六水和物34.36g(0.11mol)及び酸化二硝酸ジルコニウム二水和物1.30g(0.05mol)を150mlの水に溶解させた水溶液を、1時間半かけて滴下した。そのまま5日間熟成させた後、ろ過し、よく水洗した。得られた白色物を120℃で2時間、400℃で1時間乾燥し、最後に600℃で2時間焼成した。複合酸化物触媒ZnO:ZrO2(94:6)を白色の粉末として9.50gを得た。
【0049】
<アセトンの生産>
直径1cm、長さ40cmのSUS製反応器に、複合酸化物触媒ZnO:ZrO2(94:6)1.0g(20MPaで圧縮成型後、250〜500μmへ分級したもの)を充填し、10ml/minの窒素気流下、350℃で、混合液(アセトン18.7質量%、イソプロパノール62.6質量%、不明成分0.2質量%、残りは水)を1.50g/hrの割合で流通させた。反応器の出口を冷却し反応液と反応ガスとを捕集した。反応開始5時間後の生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、78.3モル%のアセトン、および0.2モル%のメチルイソブチルケトンが生成していた。