特開2016-222664(P2016-222664A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-222664生医学的使用のためのビタミンで機能化したゲル形成ブロック・コポリマー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222664(P2016-222664A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】生医学的使用のためのビタミンで機能化したゲル形成ブロック・コポリマー
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/787 20060101AFI20161205BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20161205BHJP
   C08G 64/02 20060101ALI20161205BHJP
   C08J 3/075 20060101ALI20161205BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20161205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161205BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20161205BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20161205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20161205BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   A61K31/787
   C08L69/00
   C08G64/02
   C08J3/075CFD
   A61P31/04
   A61P43/00 121
   A61K31/455
   A61K31/4196
   A61P35/00
   A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】119
(21)【出願番号】特願2016-107194(P2016-107194)
(22)【出願日】2016年5月30日
(62)【分割の表示】特願2016-507558(P2016-507558)の分割
【原出願日】2014年3月31日
(11)【特許番号】特許第6026039号(P6026039)
(45)【特許公報発行日】2016年11月16日
(31)【優先権主張番号】13/859,062
(32)【優先日】2013年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】503231882
【氏名又は名称】エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【復代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】へドリック、ジェームズ ラプトン
(72)【発明者】
【氏名】リー、アシュリン エル.ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ング、ビクター ダブリュ.エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、イ ヤン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4F070
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA17
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC19
4C086BC60
4C086FA02
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB35
4F070AA50
4F070AB08
4F070AB12
4F070AB13
4F070AC12
4F070AC45
4F070AC46
4F070AC59
4F070AC65
4F070AC66
4F070AC93
4F070AE10
4F070AE28
4F070CA11
4F070CA17
4F070CB00
4F070CB02
4F070CB11
4J002CG011
4J002CG021
4J002EN106
4J002EU046
4J002EU166
4J002FD181
4J002FD186
4J002GB04
4J002HA04
4J029AA09
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC03
4J029AD10
4J029AE18
4J029BF25
4J029BF30
4J029BH01
4J029DA01
4J029DA02
4J029FA14
4J029FC16
4J029HA01
4J029HC06
4J029JB232
4J029JC092
4J029JD05
4J029JD08
4J029JE182
4J029KA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】更に効果のある薬剤と抗生物質の製剤の提供。
【解決手段】i)二価のポリ(エチレンオキシド)鎖から実質的になる中心の親水性ブロック、およびii)2つの辺縁のモノカーボネートまたはポリカーボネートの疎水性ブロックを含む、ゲル形成ブロック・コポリマーを調製した。該疎水性ブロックは、1個または複数のビタミン含有サブユニットを含む。該ビタミン含有サブユニットは、カーボネート主鎖分とビタミンの共有結合形態を含む側鎖とを含む。ゲル形成ブロック・コポリマーは、様々な生分解性、生体適合性またはそれらの組合せを有するハイドロゲルおよび有機ゲルの薬剤組成物、具体的には抗菌、抗がんまたはそれらの組合せの薬剤組成物を調製するために使用され得る。該ハイドロゲル組成物は、デポー注射に適し得る。微生物に対する毒性が相乗的に増強されることが、抗菌カチオン性ポリマーおよび抗菌化合物を含む組成物に観察された。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.0001重量%〜10重量%の抗菌カチオン性ポリカーボネート(第1の薬剤)と、
0.0001重量%〜10重量%の抗菌性化合物(第2の薬剤)と
を含む、微生物を死滅させるための水溶液であって、
重量パーセント(重量%)は、前記水溶液の総重量に基づき、
前記第1の薬剤および前記第2の薬剤は、前記水溶液中で非共有結合性の相互作用によって会合する、水溶液。
【請求項2】
0.0001重量%〜10重量%の式(1)に記載の構造を有する抗菌カチオン性ポリカーボネート(第1の薬剤)と、
0.0001重量%〜10重量%の抗菌性化合物(第2の薬剤)と
を含む、微生物を消滅させるための水溶液であって、
重量パーセント(重量%)は、該水溶液の総重量に基づくものであり、
該第1の薬剤および該第2の薬剤は、該水溶液中で非共有結合性の相互作用によって会合する、微生物を消滅させるための水溶液。
【化1】
(上記式(1)中、d’は、100〜600の値を有する正の数であり、
各K’は、O、NH、Sおよびそれらの組合せからなる群から選択される独立した2価の連結基であり、
各Pは、1個〜10個のビタミン担持サブユニットを含む独立したモノカーボネートまたはポリカーボネート鎖であって、ビタミン担持サブユニットのそれぞれがカーボネート主鎖および前記カーボネート主鎖に連結された側鎖を含み、前記側鎖はビタミンの共有結合形態を含み、
は、水素または1個〜15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
【請求項3】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(2)の構造を有するビタミン担持サブユニットを含む、請求項1または2に記載の水溶液。
【化2】
(式中、カーボネート骨格の原子は、1〜6の番号が付され、
は、1個〜15個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’はいずれもゼロではない。)
【請求項4】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(9)の構造を有するカチオン性カーボネートサブユニットを含む、請求項1または2に記載の水溶液。
【化3】
(式中、L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’は、いずれもゼロではなく、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【請求項5】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(10)の構造を有するカチオン性カーボネートサブユニットを含む、請求項1または2に記載の水溶液。
【化4】
(式中、L−Q’(Rは、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基いずれか1つまたはこれらの組合せを含むC−C24のカチオン性部分であり、ここで、Lは、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【請求項6】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(11)の構造を有するカチオン性カーボネートサブユニットを含む、請求項1または2に記載の水溶液。
【化5】
(式中、L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基いずれか1つまたはこれらの組合せを含むC−C24のカチオン性部分であり、ここで、Lは、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
X’は、負電荷をもつイオンである。)


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(共同研究契約の当事者)
本発明は、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションと、エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチとの共同研究契約下で行われた。
【0002】
合成ポリマーの自己組織化により生成されるハイドロゲルおよび有機ゲルは、医薬品、化粧品および食品の広い範囲について、デリバリ・マトリックスとしての提供のため、無尽蔵の可能性を有する。近年のポリマー化学の進展は、良好に制御された組成および構造性を持ったポリマーを合成することを可能としている。高い汎用性を有しつつ異なる機能化戦略は、また、上述したポリマーのゲル化を許容すると共に、下記の会合機構、すなわち疎水性相互作用、イオン性相互作用、水素結合、巨大分子の物理的な交差およびマトリックスの化学的な架橋の1種またはこれらの組合せにより、薬剤ペイロードの取り込みを許容している。
【0003】
いくつかの物理ゲル系が、“ABA”型のトリブロック・コポリマーを使用して配合されており、両親媒性ポリマーを、“A”または“B”のどちらかの構成物質を使って、親水性または疎水性とするように設計することができる。そのような系の多くでは、生体適合性および無毒性の面から、無電荷の疎水性構成物質のブロックとして、ポリ(エチレングリコール)(PEG)が使用されている。疎水性部分について、いくつかのよく選択されるブロックは、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D−ラクチド)(PDLA)、ポリグリコリド(PGA)およびポリ(カプロラクトン)(PCL)であり、それらは中間の“B”ブロック(例えばPEG−b−PGA−b−PEG)または末端の“A”ブロック(例えばPLLA−b−PEG−b−PLLA)のどちらかとして供することができる。PLLAおよびPDLAを含むポリマーのエナンチオマー性トリブロック・コポリマーの水性混合物は、立体複合体を介して形成される物理ゲルを生じることもある。
【0004】
ポリマーゲル系は、使用する分散媒体に応じて、概ね有機ゲルまたはハイドロゲルに分類することができる。有機ゲルは、3D物理架橋ネットワークによって固定された有機液相を有し、このネットワークは、自己組織化したポリマー鎖で撚り合わされた繊維からなる。様々な種類の有機素材(例えば有機溶媒、鉱物油、植物性油およびそれらの組合せ)が、上記の液相を作り上げるために使用されている。有機ゲルは、主に化粧品または食品の用途に使用されるが、一方で、比較的少ないものの、医薬品またはワクチンのデリバリ・マトリックスとして評価中である。その理由は、ゲル形成ポリマーとその分解産物の毒性および生体適合性に関する利用可能な情報が極めて乏しいことにある。しかし、毒性の問題を回避すれば、有機ゲルは局所製剤として使用し得る可能性がある。一般的な有機ゲルでは、皮膚への浸透能が高められているためである。他の適用の態様としては、経口および経粘膜ならびに皮下のデポー注射が挙げられる。本明細書において、デポーとは、体の領域であり、物質(例えば薬剤)は、その中で蓄積、堆積または貯蔵され、そこから分配することができる。デポー注射とは、長期にわたって吸収が起こるように、注射部位に、またはその近くに保持され易い形態をとった物質の注射である。
【0005】
ハイドロゲルは、水中で調製され、有機ゲル系よりもさらに広く研究されている。普通に使用されるハイドロゲル形成“ABA”型トリブロック・コポリマー(例えばPLLA−b−PEG−b−PLLAおよびPCL−b−PEG−b−PCL)の殆どは、ハイドロゲル形成のために、高いポリマー濃度と疎水性含量が必要である。具体的には、(PLLA−b−PEG−b−PLLA)を含むラクチドの含量を17重量%〜37重量%とするには、ゲル化のために最低限で約16重量%のトリブロック・コポリマーが必要である。このように高い割合の疎水性構成物質は、in vivo分解の間に有害な生理的影響を生じる。そのため、低濃度でハイドロゲルを形成することができるポリマー素材を開発することが望ましい。
【0006】
2008年の世界保健機関(WHO)の調査によれば、乳がんは、全がん(非メラノーマ性皮膚がんを除く)の22.9%を占め、その死亡率は世界で13.7%前後である。欧州では、乳がんの罹患率がさらに高く、28%に達している。乳がんの治療は、腫瘍の種類だけではなく、サイズ、段階および成長速度によって異なる場合がある。現在、アジュバント療法または術後療法に3つの主要な分類がある。これらにはホルモン遮断療法、化学療法およびモノクローナル抗体(mAb)療法が挙げられる。後者は、特異的な細胞またはタンパク質を標的とするためのmAbの利用を含み、免疫応答の誘発、増強または抑制によって疾患の治療を目指すものである。mAbは、ホルモン遮断療法と化学療法のどちらかと併用で使用して、がん治療の有効性を高めることができる。
【0007】
研究では、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)遺伝子が、浸潤性乳がんの20%〜25%で増幅および/または過剰発現していることが示されている。これらのHER−2陽性の乳がんは、HER−2陰性の乳腫瘍よりも大幅に低い生存率を有する。HER−2陽性の乳腫瘍は、細胞の無制限な成長および分裂を示す場合が非常に多く、そのためにがん化の発生率が上昇する。ハーセプチンは、組み換えのヒト化mAbであり、HER2タンパク質に選択的に結合して、その結果、別の制御不能ながん細胞の増殖を調節することができる。ハーセプチンは、米国食品医薬品局(FDA)に認可された、HER−2陽性の乳がんを治療するための治療薬でもある。静脈内投与は、多くの医院におけるハーセプチン・デリバリの現行法である。しかし、継続期間および用量の点で、至適のデリバリの態様については多くの議論が取り巻いている。最近、F・ホフマン−ラ・ロシュは、第3相臨床試験(HannaH試験)を報告したが、本試験は、HER−2陽性の乳がんの患者への(ネオ)アジュバントでのハーセプチンの皮下投与(静脈内投与との比較)に関するものであった。その製剤は、固定用量のハーセプチンと、賦形剤として組み換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH−20)とを含んでおり、後者は、皮下腔で間質のヒアルロナンを一時的に分解する酵素の1種である。この試験では、ハーセプチンの皮下デリバリの治療上の有効性が、従来の静脈内経路に匹敵するものの、この治療が、患者の利便性を高め、服薬遵守を良好にし、薬局での調剤時間を短縮し、医薬上のリソースを最適化する上で、利点を有することが見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に説明したように、さらに効果のある薬剤と抗生物質の製剤が今なお求められている。さらに具体的には、製剤は、がん療法に使用する皮下治療の有効性を高めるものであることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、以下を含む薬剤組成物を開示する。すなわち、
約4重量%〜約10重量%のゲル形成ブロック・コポリマーと、
溶媒と、
約0.001重量%〜約10重量%の薬剤と
を含む薬剤組成物であって、
該ゲル形成ブロック・コポリマーは式(1)に記載の構造を有し、
【0010】
【化1】
(式中、d’は、約100〜約600の値を有する正の数であり、
各K’は、O、NH、Sおよびそれらの組合せからなる群から選択される独立した2価の連結基であり、
各Pは、1個〜約10個のビタミン担持サブユニットを含む独立したモノカーボネートまたはポリカーボネート鎖であって、ビタミン担持サブユニットのそれぞれは、カーボネート主鎖および該カーボネート主鎖に連結された側鎖を含み、該側鎖は、ビタミンの共有結合形態を含み、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
重量パーセント(重量%)は、前記薬剤組成物の総重量に基づき、
該薬剤組成物は、前記溶媒中のブロック・コポリマーのポリマー鎖の非共有結合的な相互作用によって形成されるゲルであり、
該薬剤は、ゲルに含まれる、
薬剤組成物である。
【0011】
さらに開示するのは、以下を含む抗菌性薬剤組成物である。すなわち、
約4重量%〜約10重量%のゲル形成ブロック・コポリマーと、
溶媒と、
約0.0001重量%〜約10重量%の薬剤(第1の薬剤)
を含む薬剤組成物であって、
該ゲル形成ブロック・コポリマーは式(1)に記載の構造を有し、
【0012】
【化2】
(式中、d’は、約100〜約600の値を有する正の数であり、
各K’は、O、NH、Sおよびそれらの組合せからなる群から選択される独立した2価の連結基であり、
各Pは、1個〜約10個のビタミン担持サブユニットを含む独立したモノカーボネートまたはポリカーボネート鎖であって、ビタミンを有するサブユニットのそれぞれがカーボネート主鎖および該カーボネート主鎖に連結された側鎖を含み、該側鎖はビタミンの共有結合形態を含み、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
重量パーセント(重量%)は、前記抗菌性薬剤組成物の総重量に基づき、
前記抗菌性薬剤組成物は、前記溶媒中のゲル形成ブロック・コポリマーのポリマー鎖の非共有結合的な相互作用によって形成されるゲルであり、
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、該ゲルに含まれる、
抗菌性薬剤組成物である。
【0013】
さらに開示するのは、以下を含む微生物を消滅させるための水溶液である。すなわち、
約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌カチオン性ポリカーボネート(第1の薬剤)と、
約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌性化合物(第2の薬剤)と
を含む、微生物を消滅させるための水溶液であって、
重量パーセント(重量%)は、該水溶液の総重量に基づき、
該第1の薬剤および該第2の薬剤は、該水溶液中で非共有結合性の相互作用によって会合する、微生物を消滅させるための水溶液である。
【0014】
併せて開示するのは、式(1)に記載の構造を有するゲル形成ブロック・コポリマーである。
【0015】
【化3】
(式中、d’は、約100〜約600の値を有する正の数であり、
各K’は、O、NH、Sおよびそれらの組合せからなる群から選択される独立した2価の連結基であり、
各Pは、1個〜約10個のビタミン担持サブユニットを含む独立したモノカーボネートまたはポリカーボネート鎖であって、ビタミンを有するサブユニットのそれぞれは、カーボネート主鎖および該カーボネート主鎖に連結された側鎖を含み、該側鎖は、ビタミンの共有結合形態を含み、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
【0016】
本願の発明の上記または他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面および添付の特許請求の範囲から、当業者に認識され、理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】HPLC水中に4重量%および8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むブランクハイドロゲル(それぞれ実施例15および実施例16)の貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を示すグラフである。本明細書では、重量パーセント(重量%)は、別段の指示がない限り、ハイドロゲルの総重量に基づく。
図1B】HPLC水中に4重量%および8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5を含むブランクハイドロゲル(それぞれ実施例17および実施例18)の貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を示すグラフである。
図1C】HPLC水中に4重量%および8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むブランクハイドロゲル(それぞれ実施例15および実施例16)のずり速度に及ぼす粘度依存性を示すグラフである。
図1D】HPLC水中に4重量%および8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5を含むブランクハイドロゲル(それぞれ実施例17および実施例18)のずり速度に及ぼす粘度依存性を示すグラフである。
図1E】KOLLIPHOR RH40中に10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5および10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5の有機ゲルを含むブランク有機ゲル(それぞれ実施例19および実施例20)のずり速度に及ぼす粘度依存性を示すグラフである。
図2】4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むブランクハイドロゲル実施例15および4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24の動的ステップひずみ振幅(γ=0.2または100%)を示すグラフである。
図3A】4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む凍結固定したブランクハイドロゲル(実施例15)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図3B】8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む凍結固定したブランクハイドロゲル(実施例16)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図3C】4重量%のVitE2.5PEG(20k)−VitE2.5を含む凍結固定したブランクハイドロゲル(実施例17)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図3D】8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5を含む凍結固定したブランクハイドロゲル(実施例18)の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
図4A】保持ハイドロゲルからのニコチン酸ナトリウムの放出速度を示すグラフであり、保持ハイドロゲルは、 (a)実施例21が、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含み(菱形)、 (b)実施例22が、8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含み(円形)、 (c)実施例23が、4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含む(三角形)。
図4B】保持ハイドロゲルからのハーセプチンの放出速度を示すグラフであり、保持ハイドロゲルは、(a)実施例24が、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチンを含み、(b)実施例25が、4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5および1.0重量%のハーセプチンを含む。
図4C】保持ハイドロゲルからのドキシサイクリン(DXY)の放出速度を示すグラフであり、保持ハイドロゲルは、(a)実施例26が、10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5および1.0重量%のドキシサイクリンを含み、追加のリパーゼが添加または非添加であり、(b)実施例27が、10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5および1.0重量%のドキシサイクリンを含み、追加のリパーゼが添加または非添加である。
図5】ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞の生細胞のパーセンテージを示す棒グラフであり、細胞は、ブランクハイドロゲル実施例15および16(4重量%および8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25をそれぞれ含む、灰色のバー)ならびにブランクハイドロゲル実施例17および18(4重量%および8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5を含む、黒色のバー)で処理した後のものである。
図6】ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞の生細胞のパーセンテージを示す棒グラフであり、細胞は、ブランク有機ゲル実施例19(10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5を含む)、ドキシサイクリン保持ハイドロゲル実施例26(10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5および10重量%ドキシサイクリンを含む)、ブランク有機ゲル実施例20(10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5を含む)およびドキシサイクリン保持ハイドロゲル実施例27(10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5および1重量%ドキシサイクリンを含む)で処理した後のものである。
図7】HER2/neuを過剰発現しているヒト乳がんBT474細胞の生存パーセンテージをハーセプチン濃度の機能として示す棒グラフであり、細胞は、 (a)4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲルに48時間、 (b)ハーセプチン溶液に48時間、 (c)4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲルに120時間および (d)ハーセプチン溶液に120時間処理した後のものであり、それぞれを0.0005重量%、0.002重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%のハーセプチン濃度を使用して実施した。ハーセプチン保持ゲルは、実施例24の手順を使用して調製した。
図8】MCF7細胞の生存率をハーセプチン濃度の機能として示す棒グラフであり、細胞は、 (a)4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲルに48時間、 (b)ハーセプチン溶液に48時間、 (c)4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲルに120時間および (d)ハーセプチン溶液に120時間処理した後のものであり、それぞれを0.0005重量%、0.002重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%のハーセプチン濃度を使用して実施した。ハーセプチン保持ゲルは、実施例24の手順を使用して調製した。
図9】ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞の生存率をハーセプチン濃度の機能として示す棒グラフであり、細胞は、 (a)4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲルに48時間、 (b)ハーセプチン溶液に48時間、 (c)4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハーセプチン保持ハイドロゲルに120時間および (d)ハーセプチン溶液に120時間処理した後のものであり、それぞれを0.0005重量%、0.002重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%のハーセプチン濃度を使用して実施した。ハーセプチン保持ゲルは、実施例24の手順を使用して調製した。
図10】CD45およびヘマトキシリン/エオシン(H&E)で染色したマウス組織の一連の光学顕微鏡像であり、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)を用いて処理した後、注射の1週間後、2週間後、4週間後および6週間後に取り込んだ。矢印は、ハイドロゲルが存在する領域を示す。6週間で、ハイドロゲルは殆どが分解し、明瞭に識別することができなかった。目盛りバーは200マイクロメートルを表す。
図11】ALEXA FLUOR 790で標識したハーセプチンの生体内分布を示す一連のマウスの描図であり、BT474腫瘍担持マウス内における13日間にわたる分布である。ハーセプチンは3通りの方法でマウスに1回デリバリした。すなわち、(i)ハーセプチン保持ハイドロゲル(実施例24)の皮下へのデリバリ(“ハーセプチン保持ハイドロゲル、皮下注”)、(ii)ハーセプチン溶液の静脈内へのデリバリ(“ハーセプチン溶液、静注”)、(iii)ハーセプチン溶液の皮下へのデリバリ(“ハーセプチン溶液、皮下注”)である。13日目に、マウスを屠殺し、薬剤のクリアランスと代謝に関連する臓器および腫瘍組織を取り出して、イメージングした。左から肝臓、脾臓、肺、腎臓、腫瘍である。
図12A】様々なハーセプチン製剤を使用して1回注射した後の、BT474腫瘍担持マウスの体重変化を示すグラフであり、製剤には、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)の皮下へのデリバリ(“ブランクゲル”)、ハーセプチン溶液の静脈内へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(静注、30mg/kg、1回)”)、ハーセプチン溶液の皮下へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(皮下注、30mg/kg、1回)”)ならびにハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%ハーセプチン)の皮下へのデリバリ(“ハーセプチンゲル(皮下注、30mg/kg、1回)”)を含めた。ハーセプチンの投与量は30mg/kgである。
図12B】様々なハーセプチン製剤を使用して1回注射した後の、BT474腫瘍担持マウスの腫瘍サイズの変化を示すグラフであり、製剤には、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)の皮下への送達(“ブランクゲル”)、ハーセプチン溶液の静脈内へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(静注、30mg/kg、1回)”)、ハーセプチン溶液の皮下へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(皮下注、30mg/kg、1回)”)ならびにハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%ハーセプチン)の皮下へのデリバリ(“ハーセプチンゲル(皮下注、30mg/kg、1回)”)を含めた。ハーセプチンの投与量は30mg/kgである。
図13】BT474腫瘍担持マウスの腫瘍細胞を示す一連の顕微鏡像であり、1回の注射後28日目に、ターミナルデオキシヌクレオチジル転移酵素によるdUTPニック端標識(TUNEL)染色を行った後の像である。様々なハーセプチンの製剤を使用して注射しており、製剤には、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)の皮下へのデリバリ(“ブランクゲル(皮下注)”)、ハーセプチン溶液の静脈内へのデリバリ(“Her溶液(静注)”)、ハーセプチン溶液の皮下へのデリバリ(“Her溶液(皮下注)”)、ならびにハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%ハーセプチン)の皮下へのデリバリ(“Herゲル(皮下注)”)を含めた。ハーセプチンの投与量は30mg/kgである。目盛りバーは100マイクロメートルを表す。ハーセプチンを用いて処理した腫瘍細胞は、使用した製剤に関わらず、大部分がアポトーシス性を有していた。このことは、抗腫瘍機構が、ハーセプチン誘発性アポトーシスに基づくものであったことを示している。
図14A】BT474腫瘍担持マウスの腫瘍サイズの変化を示すグラフであり、4週間にわたって毎週、ハーセプチン溶液の静脈内へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(静注、4×10mg/kg、毎週)”)および皮下へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(静注、4×10mg/kg、毎週)”)による投与を行った後のものを、ハーセプチン保持ハイドロゲル(実施例24)の皮下への1回デリバリ(“ハーセプチンゲル(皮下注、40mg/kg、1回)”)したものと比較している。ハーセプチンの総投与量は、各群40mg/kgである。
図14B】BT474腫瘍担持マウスの体重の変化を示すグラフであり、4週間にわたって毎週、ハーセプチン溶液の静脈内へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(静注、4×10mg/kg、毎週)”)および皮下へのデリバリ(“ハーセプチン溶液(静注、4×10mg/kg、毎週)”)による投与を行った後のマウスを、ハーセプチン保持ハイドロゲル(実施例24)の皮下への1回デリバリ(“ハーセプチンゲル(皮下注、40mg/kg、1回)”)を行った場合と比較している。ハーセプチンの総投与量は、各群40mg/kgである。
図15】BT474腫瘍担持マウスの腫瘍細胞を示す一連の顕微鏡像であり、図14Aおよび図14Bに先に記載したようにハーセプチン溶液およびハーセプチン保持ゲルを注射した後28日目に、TUNEL染色を行った後の像である。ハーセプチン溶液を静脈内にデリバリしたものを“Her溶液(静注、毎週)”と標記する。ハーセプチン溶液を皮下にデリバリしたものを“Her溶液(皮下注、毎週)”と標記する。ハーセプチン保持ハイドロゲル(実施例24)を皮下にデリバリしたものを“Herゲル(皮下注、1回)”を標記する。ハーセプチン溶液の注射は、週1回基準で実施し、一方、ハーセプチン保持ハイドロゲル(皮下注)は、治療第1日目に1回注射した。総投与量は40mg/kgであった。目盛りバーは100マイクロメートルを表す。
図16】ハーセプチンの注射後28日目にH&E染色を行った後の、マウスの心臓、肺、肝臓および腎臓の細胞の一連の顕微鏡像である。図15に先に記載したように、ハーセプチン溶液製剤の注射(静脈内および皮下)は、週1回基準で行い、ハーセプチン保持ハイドロゲル(実施例24)は、治療第1日目に1回、皮下に注射した。目盛りバーは、100マイクロメートルを表す。
図17A】カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例28(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.1%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)をHPLC水中に含む)および実施例29(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.1%のカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)をHPLC水中に含む)のG’値の棒グラフである。併せて示しているのは、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む)である。
図17B図17Aのカチオン保持ハイドロゲルの粘度対ずり速度のプロファイルの棒グラフである。
図18A】Staphylococcus aureus (S.aureus)、Escherichia coli(E.coli)およびCandida albicans(C.albicans)に対する、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルの消滅効率をそれぞれ示す棒グラフであり、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルは、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および様々な濃度のVE/BnCl(1:30)またはVE/PrBr(1:30)を含む。横軸のポリマーの濃度は、カチオン性ポリマーを指す。
図18B】Staphylococcus aureus (S.aureus)、Escherichia coli(E.coli)およびCandida albicans(C.albicans)に対する、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルの消滅効率をそれぞれ示す棒グラフであり、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルは、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および様々な濃度のVE/BnCl(1:30)またはVE/PrBr(1:30)を含む。横軸のポリマーの濃度は、カチオン性ポリマーを指す。
図18C】Staphylococcus aureus (S.aureus)、Escherichia coli(E.coli)およびCandida albicans(C.albicans)に対する、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルの消滅効率をそれぞれ示す棒グラフであり、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルは、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および様々な濃度のVE/BnCl(1:30)またはVE/PrBr(1:30)を含む。横軸のポリマーの濃度は、カチオン性ポリマーを指す。
図19】E.coliの処理の18時間後の生菌のコロニー形成単位(CFU)の数を示した棒グラフであり、E.coliは、 (a)ブランク有機ゲル実施例19(“6.5VE−PEG20k−6.5VE”)、 (b)ブランク有機ゲル実施例20(“8.5VE−PEG20k−8.5VE”)、 (c)ドキシサイクリン保持有機ゲル実施例26(“6.5VE−PEG20k−6.5VE 1重量%DXY”)および (d)ドキシサイクリン保持有機ゲル実施例27(“8.5VE−PEG20k−8.5VE 1重量%DXY”)を用いて処理した。
図20】C.albicanに対する3種の溶液の消滅効率を示した棒グラフであり、 (a)C.albicanに対する1.0MIC(250ppm)のVE/PrBr(1:15)のみ、 (b)0.5MIC(125ppm)のVE/PrBr(1:15)およびフルコナゾール(2.5ppm)を用いて調製した、VE/PrBr(1:15)/フルコナゾール溶液および (c)フルコナゾール(5.0ppm)のみの場合を示す。MICは、カチオン性ポリマーの最小発育阻止濃度を指す。
図21】VE/PrBr(1:15)/フルコナゾールの組合せの相乗効果を示すアイソボログラムであり、VE/PrBr(1:15)のみおよびフルコナゾールのみと比較したものであり、いずれもC.albicanに対し溶液によってデリバリされている。相乗効果は、薬剤の組合せの投与量によって提示されており、当該投与量は、相加効果の線の左側に位置し、三角形の内側の正方形として示されている。
図22】C.albicanに対する消滅効率を比較した棒グラフであり、 (a)フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例30(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.05重量%のフルコナゾールを含む)を、500mg/Lのハイドロゲル保持濃度で使用する場合、 (b)カチオン性ポリマー/フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例31(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0156重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.001重量%のフルコナゾールを含む)を、フルコナゾール濃度=10mg/LおよびVE/BnCI(1:30)=156mg/L(0.5MBC)で使用する場合ならびに (c)カチオン性ポリマー/フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例32(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0078重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.004重量%のフルコナゾールを含む)を、フルコナゾール濃度=40mg/LおよびVE/BnCI(1:30)=78mg/L(0.5MBC)で使用する場合の効率である。MBCは、最小殺菌濃度を指す。
図23】フルコナゾールの放出速度を示したグラフであり、フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例43(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.05重量%のフルコナゾールを含む)(上方の線)およびカチオン性ポリマー/フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例44(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.3重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.3重量%のフルコナゾールを含む)(下方の線)からの放出に関するものである。
図24】VE/BnCl(1:30)およびフルコナゾールの組合せの相乗効果を実証するアイソボログラムであり、ハイドロゲルによってデリバリした場合の最小殺菌濃度に関する。カチオン性ポリマーとフルコナゾールとの相乗効果は、薬剤の組合せの投与量によって提示されており、当該投与量は、それぞれの保持ハイドロゲルに関する相加効果の線の左側に位置し、三角形の内側の正方形によって表されている。上方の正方形は、実施例31に相当し、この例は、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0156重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.001重量%のフルコナゾールを含む。下方の正方形は、実施例32に相当し、この例は、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0078重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.004重量%のフルコナゾールを含む。
図25】カチオン性ポリマー/ドキシサイクリン(DXY)保持ハイドロゲルの消滅効率を示した棒グラフであり、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)に対する効率を示す。4種の保持ハイドロゲルは、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、DXYおよびカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)を用いて調製され、DXY/ VE/BnCl(1:30)の比率は、それぞれ2.5ppm/15.6ppm(実施例33)、5ppm/15.6ppm(実施例34)、1ppm/31.2ppm(実施例35)および2.5ppm/31.2ppm(実施例36)である。消滅効率は、DXYを1ppmから5ppmDXYで保持したものおよびVE/BnCl(1:30)を15ppmから31ppmで保持したものを使用する場合を100%とした。
図26】カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびドキシサイクリン(DXY)の相乗効果を示すイソボログラムであり、保持ハイドロゲル実施例33および実施例35を用いてデリバリした場合のP.aeruginosaに対する効果を示す。この効果は、相加効果の線の左側に組合せの投与量によって提示されており、三角形の内側の正方形によって表されている。左側の正方形は、実施例35に相当し、右側の正方形は、実施例33に相当する。図26は、薬剤の組合せが、極めて低いドキシサイクリン濃度で効果があることを示している。
図27A】S.aureusのバイオフィルムの代謝活性の低下を示す棒グラフであり、この低下は、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)は、S.aureusに対する最小殺菌濃度(MBC)で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲルに保持される。
図27B】S.aureusのバイオフィルムのバイオマスの減少を示す棒グラフであり、この低下は、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)は、S.aureusに対する最小殺菌濃度(MBC)で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲルに保持される。
図28A】E.coliのバイオフィルムの代謝活性の低下を示す棒グラフであり、この低下は、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)は、E.coliに対する最小殺菌濃度(MBC)で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲルに保持される。
図28B】E.coliのバイオフィルムのバイオマスの減少を示す棒グラフであり、この低下は、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)は、E.coliに対する最小殺菌濃度(MBC)で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲルに保持される。
図29A】C.albicansのバイオフィルムの代謝活性の低下を示す棒グラフであり、この低下は、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)は、C.albicansに対する最小殺菌濃度(MBC)で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲルに保持される。
図29B】C.albicansのバイオフィルムのバイオマスの減少を示す棒グラフであり、この低下は、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)およびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)は、C.albicansに対する最小殺菌濃度(MBC)で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲルに保持される。
図30】S.aureus、E.coliおよびC.albicansのバイオフィルムの一連のSEM像であり、 (a)ブランクハイドロゲル実施例15、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含むハイドロゲル、 (b)カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含むハイドロゲル、および (c)実施例38、すなわち、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含む例を用いた処理後のものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ゲル形成ブロック・コポリマーを開示する。このブロック・コポリマーは、(i)中心の親水性ブロック、(ii)該親水性ブロックの各末端に連結された、2つの辺縁の疎水性ブロック、および(iii)該疎水性ブロックの各末端に連結された2つの末端基を含む。親水性ブロックは、本質的に約100〜約600の重合度(DP)の2価のポリ(エチレンオキシド)鎖からなる。それぞれの疎水性ブロックは、モノカーボネートまたは1個〜10個のカーボネートサブユニットを含み、このサブユニットは、ビタミンの共有結合形態を含む。これらのカーボネートサブユニットを、本明細書では、ビタミン担持サブユニットとよぶ。該ビタミン担持サブユニットは、カーボネート骨格と、共有結合形態を担持した側鎖とを含む。その末端基は、水素またはC〜C15基である。
【0019】
疎水性ブロックは、任意選択で第2のカーボネートサブユニットを含むことができる。この第2のカーボネートサブユニットは、ビタミン担持サブユニットの希釈材としての役割を果たし得るか、ゲル形成ブロック・コポリマーのペイロード運搬能か、生物活性を増強するための付加的な機能(例えば、電荷を有するアミンまたはカルボキシル酸基)を提供し得るか、またはこれらのいかなる組合せをも提供し得る。好適な一実施形態では、ゲル形成ブロック・コポリマーは、無電荷である。別の実施形態では、各疎水性ブロックは、本質的に1個〜約4個のビタミン担持サブユニットからなり、各末端基は水素である。
【0020】
以降にさらに記載するゲル形成ブロック・コポリマーおよび抗菌カチオン性ポリマーは、生分解性とすることができる。“生分解性である”という用語は、米国試験材料協会によって定義されており、生物活性、特に酵素作用によって引き起こされる分解であって、その結果、材料の化学構造を大きく変化させることをいう。本明細書での目的には、材料が“生分解性である”のは、ASTM D6400に拠るところで、材料が180日以内に60%生分解される場合である。本明細書では、材料が“酵素的に生分解性である”のは、材料を、酵素に触媒される反応によって分解(例えば解重合)し得る場合である。
【0021】
ゲル形成ブロック・コポリマーおよび抗菌カチオン性ポリマーは、生体適合性であり得る。“生体適合性のある”材料は、本明細書では、特定な施用の際に、適切な宿主応答を用いて実施することのできる材料として定義される。
【0022】
ゲル形成ブロック・コポリマーは、溶媒中に約20℃から約40℃でゲルを形成することができるが、ゲル形成ブロック・コポリマーの濃度は、ゲルを含有する溶媒の総重量に基づけば、約4重量%以上であり、好ましくは約4重量%〜約10重量%である。物理ゲルの堅さは、貯蔵弾性率(G’)によって表され、ゲル形成ブロック・コポリマーの構造、濃度またはそれらの組合せを調整することによって、約300パスカル(Pa)から約12000Paまで変化させることができる。溶媒は、水、有機溶媒またはそれらの混合物とすることができる。有機溶媒としては、揮発性の有機液体(例えばエタノール)と、標準的な温度および気圧では難揮発性または不揮発性である有機液体(例えば鉱油、植物油)とが挙げられる。
【0023】
本明細書で“ゲル”とは、別段の指示がない限り、“ハイドロゲル、有機ゲル、またはそれらの組合せ”を意味する。ゲルは、ゲル形成ブロック・コポリマーのポリマー鎖の非共有相互作用によって、所与の溶媒中に形成される。ゲルのネットワークは、これらのポリマー鎖の物理的な架橋からなる。ゲルは、医薬上有用な種々の材料をデリバリするためのマトリックスとして提供され得るが、そのような材料としては、1種または複数の薬剤が挙げられ、物理的にゲルに保持することができる。本明細書で“薬剤”は、米国食品・医薬品・化粧品法に承認または定義されている任意の物質にすることができる。当該物質を、開示したゲルを用いて効果的に配合し、効果のある医薬的使用に供することができる。薬剤には、疾患の診断、治療、予防、外傷の治療、またはこれらのいかなる組合せに使用する物質を含める。薬剤には、局所的に施用する化粧品および美容手術用製品に使用される材料も含める。薬剤には、ビタミンなどの食品も含める。薬剤には、治療用処置のために用いる場合の生細胞も含める。本願の薬剤は、好ましくは、ゲル形成ブロック・コポリマーの共有結合のないゲルを含む。本願の薬剤は、ゲルマトリックスに溶解または分散することができる。
【0024】
薬剤は、天然生成もしくは合成の化合物、天然生成もしくは合成のポリマー、または前述の材料の組合せであり得る。天然生成の化合物の非限定的な例示としては、パクリタキセル、アルテミシニン、アルカロイド類、テルペノイド類、フィトステロール類、天然フェノール類、シクロスポリン、ロバスタチン、モルヒネ、キニン、ツボクラリン、ニコチン、ムスカリン、アスペルリシン、エレウテロビン、ディスコデルモライド、ブリオスタチン類、ドロスタチン類、セファロスタチン類およびビタミン類が挙げられる。合成の化合物の例示としては、抗菌薬類のセファロスポリン類、テトラサイクリン類、アミノグリコシド類、リファマイシン類、クロラムフェニコール、フルコナゾール、ドキシサイクリンが挙げられる。天然生成のポリマーの例示としては、遺伝子、ヌクレオチド、タンパク質およびペプチドが挙げられる。合成のポリマーの例示としては、抗菌カチオン性ポリカーボネートおよびモノクローナル抗体が挙げられ、後者は遺伝子工学的手法によって人工的に生産される。
【0025】
本明細書では、ビタミンは、生体の正常な代謝のために微量で不可欠な有機化合物の群として定義され、一般的に体内で合成することができない。例示的なビタミンとしては、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミン12(コバラミン)、ベータ−カロテン、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD化合物(ビタミンD1(カルシフェロール)、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェノール)またはそれらの組合せを含む)、ビタミンE化合物(アルファ−トコフェロール、ベータ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、デルタ−トコフェロール、アルファ−トコトリエノール、ベータ−トコトリエノール、ガンマ−トコトリエノール、デルタ−トコトリエノールまたはそれらの組合せを含む)およびビタミンK1(フィロキノン)が挙げられる。
【0026】
保持ゲル(薬剤組成物ともいう)は、溶媒、約4重量%〜約10重量%のゲル形成ブロック・コポリマーおよび約0.0001重量%〜約10重量%の薬剤を含むが、さらに特別には約0.0001%から約2重量%の薬剤を、さらになお特別には約0.0001%から約1重量%の薬剤を含む。例えば、保持ゲルは、がんの治療に適した抗腫瘍薬を含むことができる。別の例として、保持ゲルは、抗菌カチオン性ポリマー(第1の薬剤)を含むことができる。抗菌カチオン性ポリマーは、ホモポリマー、ランダムポリマー、ブロック・コポリマー、スターポリマー、架橋されたマイクロゲルコアを含むスターポリマー、デンドリマー様ポリマーまたは上述したポリマーの型の組合せとすることができる。好ましくは、抗菌カチオン性ポリマーは、以降にさらに記載する1種または複数のカチオン性ポリマーであり、これらはカチオン性ポリカーボネートである。抗菌カチオン性ポリカーボネートは、好ましくは、ゲル形成ブロック・コポリマーに共有結合することなくゲルに含まれる。保持ゲルは、さらに抗菌化合物(第2の薬剤)を含むことができる。そのような薬剤としては、例えばフルコナゾールが挙げられ、この薬剤は、バイオフィルムを消滅させるのに適している。保持ゲルは、1種または複数の薬剤を含むことができるが、ゲル中で非共有結合的な相互作用によって会合する。保持ゲルは、薬剤の放出速度を制御し、適用部位または注射部位の近辺に薬剤を局在させ、その結果、薬剤の有効性を上げるための手段を提供する。
【0027】
保持ゲル組成物は、様々な種類の注射によってデリバリすることができるが、そのような注射としては、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、骨内注射、腹腔内注射またはそれらの組合せが挙げられる。保持ゲルは、局所的に皮膚表面(例えば生物活性物質の経皮デリバリ)、他の体表またはそれらの組合せに施用することができる。体表としては、眼および体腔が挙げられる。保持ゲルは、外傷に施用することもできる。
【0028】
保持ゲル用の溶媒は、水、有機溶媒またはそれらの組合せとすることができる。有機溶媒の非限定的な例としては、KOLLIPHOR RH40(BASFの登録商標)が挙げられる。KOLLIPHOR RH40は、PEG−40キャスター油としても公知であり、非イオン性ポリエトキシレート界面活性剤である。
【0029】
ゲル形成ブロック・コポリマーは、式(1)に記載の構造を有する。
【0030】
【化4】
(式中、d’は、約100〜約600の値を有する正の数であり、
各K’は、O、NH、Sおよびそれらの組合せからなる群から選択される独立した2価の連結基であり、
各Pは、1個〜約10個のビタミン担持サブユニットを含む独立したモノカーボネートまたはポリカーボネート鎖であって、ビタミン担持サブユニットのそれぞれは、カーボネート主鎖および該カーボネート主鎖に連結された側鎖を含み、該側鎖は、ビタミンの共有結合形態を含み、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
【0031】
好ましくは、ビタミン担持サブユニットは無電荷である。一実施形態では、各Pは、本質的に1個〜約10個のビタミン担持サブユニットからなる。別の実施形態では、各K’は、Oである。
【0032】
のビタミン担持サブユニットは、式(2)に記載の構造を有することができる。
【0033】
【化5】
(式中、カーボネート骨格の原子は、1〜6の番号を付され、
は、1個〜約15個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’は、いずれもゼロにはなり得ない。)
【0034】
本明細書では、星印を付した結合(−)は、別の化学構造部分に付加する箇所を表す。
【0035】
さらに特別なビタミン担持サブユニットは、ビタミンの共有結合形態を含み、該ビタミンは、ビタミンD化合物、ビタミンE化合物およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0036】
いっそう特別なビタミン担持サブユニットは、アルファ−トコフェロール、ベータ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、デルタ−トコフェロール、アルファ−トコトリエノール、ベータ−トコトリエノール、ガンマ−トコトリエノール、デルタ−トコトリエノールおよびそれらの組合せの共有結合形態を含む。
【0037】
さらになお特別なビタミン担持サブユニットは、カーボネート主鎖分および該主鎖分に連結された側鎖を含み、該側鎖は、アルファ−トコフェロール(ビタミンE化合物)の共有結合形態を含む。
【0038】
【化6】
アルファ−トコフェロールは、公知の抗酸化剤である。疎水性アルファ−トコフェロール部をAブロックへ導入することによって、ゲル化のための濃度の閾値およびハイドロゲルのレオロジー特性に大きな影響が及ぼされる。さらに、アルファ−トコフェロールおよびポリ(エチレングリコール)(PEG)は、生体適合性があり、FDAに認可された化学化合物であり、医薬適用での使用を評価する際の利点をハイドロゲル系に加える認可化合物である。
【0039】
ビタミンの共有結合形態は、単一の立体異性体または立体異性体の混合物として存在することができる。
【0040】
およびZは、独立した末端基である。一実施形態では、ZおよびZのそれぞれは、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル)である。別の実施形態では、Zは、水素であり、Zは、水素である。
【0041】
さらに特別なビタミン担持サブユニットは、式(3)の構造を有する。
【0042】
【化7】
(式中、Lは、1個〜約14個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0043】
一実施形態では、Lは、1個〜約10個の炭素を含む。
【0044】
別のさらに特別なビタミン担持サブユニットは、式(4)に記載の構造を有する。
【0045】
【化8】
(式中、Lは、1個〜約14個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0046】
一実施形態では、Lは、1個〜約10個の炭素を含む。
【0047】
さらに特別なゲル形成ブロック・コポリマーは、式(1−A)に記載の構造を有する。
【0048】
【化9】
(式中、カーボネート骨格の原子では、各カーボネートサブユニットに1〜6の番号を付され、
d’は、約100〜約600の値を有する正の数であり、
各m’は、2から約20の値を有する独立した正の数であり、
各Lは、独立して、1個〜約15個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
各V’は、ビタミンの共有結合形態を含む独立した部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカーボネートサブユニットはなく、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
【0049】
一実施形態では、各R’は、水素であり、各R”は、メチルまたはエチルであり、各t’は、1であり、各t”は、1であり、Zは、水素であり、Zは、水素である。
【0050】
さらになお特別なゲル形成ブロック・コポリマーは、式(1−B)に記載の構造を含む。
【0051】
【化10】
(式中、カーボネート骨格の原子では、各カーボネートサブユニットに1〜6の番号を付され、
d’は、約100〜約600の値を有する正の数であり、
各m’は、2から約20の値を有する独立した正の数であり、
各Lは、独立して、1個〜約15個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
各V’は、ビタミンの共有結合形態を含む独立した部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜約15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
【0052】
一実施形態では、各R”は、メチルまたはエチルであり、Zは、水素であり、Zは、水素である。
【0053】
ゲル形成ブロック・コポリマーを調製するための好適な方法は、有機的に触媒される環状カーボネートモノマーの開環重合を利用するものである。このモノマーは、ビタミンの共有結合形態を含み、ビタミン担持モノマーという。上記の開環重合は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)によって開始することができ、このPEGは、平均分子量数(Mn)が約5000〜約25,000であるが、さらに具体的には10,000〜約20,000である。ビタミン担持モノマーは、以降にさらに記載する抗菌カチオン性コポリマーの調製に使用することもできる。
【0054】
ビタミン担持サブユニットは、式(5)に記載の構造を有することができる。
【0055】
【化11】
(式中、環原子は、1〜6の番号で示され、
は、1個〜約15個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素および1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される独立した1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’は、いずれもゼロにはなり得ない。)
【0056】
一実施形態では、tおよびt’は、それぞれ1であり、炭素4の各R’は、水素であり、炭素6の各R’は、水素であり、炭素5のR”は、水素、メチルおよびエチルからなる群から選択される。
【0057】
式(5)の環状カーボネートモノマーは、立体特異的または非立体特異的とし得る。
【0058】
式(5)のビタミン担持モノマーの開環重合は、開始ポリカーボネートを生成する。該ポリカーボネートは、以降にさらに記載する式(2)のビタミン担持サブユニットを有する。
【0059】
ビタミン担持モノマーは、式(6)を有することができる。
【0060】
【化12】
(式中、環原子5は、標識されており、
は、1個〜約14個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
R”は、水素および1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0061】
式(6)のビタミン担持モノマーの開環重合は、開始ポリカーボネートを生成する。該ポリカーボネートは、以降にさらに記載する式(3)のビタミン担持サブユニットを有する。
【0062】
式(6)の例示的な化合物は、MTC−VitEである。
【0063】
【化13】
この化合物は、ペンダントのアルファ−トコフェロール基を有する。MTC−VitEは、開環重合を経て、以下の構造を有するカーボネートサブユニットを形成する。
【0064】
【化14】
【0065】
別の式(6)の化合物は、MTC−VitD2であり、以下の構造を有し、
【0066】
【化15】
ペンダントのエルゴカルシフェリル基を有する。MTC−VitD2は、開環重合を経て、以下の構造を有するカーボネートサブユニットを形成する。
【0067】
【化16】
【0068】
ビタミン担持モノマーは、式(7)を有することができる。
【0069】
【化17】
(式中、環原子は、1〜6の番号で示され、
は、1個〜約14個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素および1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’は、いずれもゼロにはなり得ない。)
【0070】
式(7)のビタミン担持モノマーの開環重合は、開始ポリカーボネートを生成する。該ポリカーボネートは、以降にさらに記載する式(4)のビタミン担持サブユニットを有する。
【0071】
いくつかの好適な抗菌カチオン性ポリマーの型を、以下の節に記載する。
1本のポリマー鎖を有する抗菌カチオン性ポリマー(単腕型)
【0072】
第1の抗菌カチオン性ポリマーは、式(8)に記載の構造を有する。
【0073】
【化18】
(式中、Z’は、1価のC〜C15の第1の末端基であって、P’の骨格カルボニル基に連結されており、
Z”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
P’は、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなるポリマー鎖であり、
i)P’は、約5〜約45の重合度(DP)を有し、ii)カチオン性カーボネートサブユニットのそれぞれは、ポリマー鎖の主鎖分と、該主鎖分に連結されたC〜C25のカチオン性側鎖とを含み、iii)該カチオン性側鎖は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せの正電荷をもつヘテロ原子Q’を含み、
第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜約100%は、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖を有し、
第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性カーボネートサブユニットの約0%〜約75%は、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖を有する。)
【0074】
Z’は、1個〜15個の炭素を含む任意の適した末端基とすることができる。Z’は、酸素、窒素または硫黄のヘテロ原子であり、それらは、P’の骨格カルボニルに、それぞれカーボネート、カルバメートまたはチオカーボネートの形態で連結されている。Z’は、カチオン性ポリマーを形成するための開環重合に使用する開始剤の残基とすることができる。一実施形態では、Z’は、C〜C15化合物の共有結合形態である。別の実施形態では、Z’は、C〜C15アルコキシまたはアリールオキシ基である。
【0075】
Z”は、好ましくはP’の骨格酸素に連結されている。Z”が水素である場合、カチオン性ポリマーは、端部水酸基を有する。Z”が水素ではない場合、Z”は、1個〜15個の炭素を含む任意の適した末端基とし得る。一実施形態では、Z”は、C〜C15化合物の共有結合形態である。別の実施形態では、Z”は、C〜C15アシル基である。
【0076】
第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、好ましくはカチオン性側鎖を含み、該側鎖は、13個〜約20個の炭素、さらにいっそう好ましくは15個〜約20個の炭素を有する。
【0077】
一実施形態では、P’は、本質的に25モル%から約75モル%の第1のカチオン性カーボネートサブユニットと、約75モル%から約25モル%の第2のカチオン性サブユニットとからなる。別の実施形態では、P’は、本質的に25モル%から約50モル%の第1のカチオン性カーボネートサブユニットと、約75モル%から約25モル%の第2のカチオン性サブユニットとからなる。
【0078】
カチオン性カーボネートサブユニットは、式(9)に記載の構造を有することができる。
【0079】
【化19】
(式中、L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’は、いずれもゼロにはなり得ず、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【0080】
星印を付した結合は、ポリマー構造の他の部分に付加する箇所である。カチオン性カーボネートサブユニットのポリマー骨格の原子は、式(9)で1〜6と標識されている。この場合には、カチオン性側鎖基は、サブユニットの骨格炭素5に連結されている。一実施形態では、tおよびt’は、いすれも1であり、各R’は、ハロゲンであり、R”は、メチルまたはエチルである。
【0081】
カチオン性カーボネートサブユニットが式(9)である式(8)のカチオン性ポリマーでは、各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0082】
さらに特別なカチオン性サブユニットは、式(10)に記載の構造を有する。
【0083】
【化20】
(式中、L−Q’(Rは、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基いずれか1つまたはこれらの組合せを含むC−C24のカチオン性部分であり、ここで、Lは、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【0084】
この場合には、カチオン性側鎖は、C(=O)O−L−Q’(Ru’およびC(=O)O−Lであり、式(9)の2価の連結基Lに対応する。カチオン性側鎖は、5で標識された骨格炭素に連結されている。
【0085】
カチオン性カーボネートサブユニットが式(10)である式(8)のカチオン性ポリマーでは、各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖C(=O)O−L−Q’(Rを有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜約12個の炭素を含むカチオン性側鎖C(=O)O−L−Q’(Ru’を有する。
【0086】
別のさらに特別なカチオン性サブユニットは、式(11)に記載の構造を有する。
【0087】
【化21】
(式中、L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基いずれか1つまたはこれらの組合せを含むC−C24のカチオン性部分であり、ここで、Lは、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【0088】
この例では、カチオン側鎖は、N(H)C(=O)O−L−Q’(Ru’およびN(H)C(=O)O−Lであり、式(9)の2価の連結基Lに対応する。カチオン性側鎖は、5で標識された骨格炭素に連結されている。セリノール、スレオニノールまたはそれらの組合せは、式(11)のサブユニットの形成に有用な出発材料を提供する。
【0089】
カチオン性カーボネートサブユニットが式(11)である式(8)のカチオン性ポリマーでは、各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖N(H)C(=O)O−L−Q’(Rを有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜約12個の炭素を含むカチオン性側鎖N(H)C(=O)O−L−Q’(Rを有する。
【0090】
式(9)のカチオン性サブユニットを使用すると、式(8)のカチオン性ポリマーは、式(12)に記載の構造を有し得る。
【0091】
【化22】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、ここで、n’は、約5〜約45の値を有し、
Z’は、1価のC〜C15の第1の末端基であり、
Z”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0092】
式(12)に示すように、ポリマー鎖は、オキシカルボニル基(“カルボニル末端”とよぶ)を鎖の第1の末端に、骨格の酸素(“酸素末端”とよぶ)を鎖の第2の末端を含む、主鎖分を含む。カチオン性カーボネートサブユニットの骨格原子は、1〜6の番号を付されて示される。
【0093】
式(12)では、第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計13個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。好ましくは、第1のカチオン性カーボネートサブユニットのL基は、5個〜約12個の炭素を、さらに好ましくは8個〜約12個の炭素を含む。好ましくは、第1のカチオン性カーボネートサブユニットのQ’(Ru’は、3個〜約18個の炭素を、さらに好ましくは4個から約18個の炭素を含む。
【0094】
同じように、式(12)の第2のカーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、少なくとも3個の炭素をそれぞれ有することができるが、L−Q’(Ru’が合計6個〜12個の炭素を有するという条件においてである。
【0095】
一実施形態では、Z”は、水素である。別の実施形態では、第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、15個〜20個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0096】
さらに特別で非限定的な例として、Z’は、ベンシルオキシ、4−メチルベンジルオキシまたはそれらの組合せであり、Z”は、水素、アセチルまたはそれらの組合せとすることができる。
【0097】
Z’の末端基、Z”の末端基またはそれらの組合せ、ならびに以降に記載した末端基によって、抗菌上の有効性を増強し、望ましくない潜在的な副反応(例えば鎖の開裂)からカチオン性ポリマーを安定化させることができ、該副反応は、例えば、保護されていない求核性の末端水酸基によって引き起こされる。さらにかさ高い末端基によって、疎水性を与え、カチオン性ポリマーの両親媒性の制御を可能にすることもできる。
【0098】
抗菌カチオン性ポリマーは、式(13)に記載の構造を有し得る。
【0099】
【化23】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、n’は、約5〜約45の値を有し、
Y’は、1価のC〜C15の第1の末端基であって、生物活性化合物の共有結合形態を含み、該生物活性化合物は、ステロイド類、非ステロイドホルモン類、ビタミン類および薬剤からなる群から選択され、
Y”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0100】
式(13)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(13)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0101】
生物活性化合物は、立体特異的または非立体特異的とし得る。一実施形態では、Y’は、ステロイド(例えばコレステロール)の共有結合形態を含み、S’と称される。ステロイド基は、カチオン性ポリマーの生体適合性を増強する。
【0102】
別の実施形態では、Y’は、ビタミン(例えばアルファ−トコフェロール(ビタミンE化合物)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)またはそれらの組合せ)の共有結合形態を含む。
【0103】
Y’は、S’−L’−の構造を有することができる。ここで、S’は、ステロイド基であり、L’は、1個〜約10個の炭素を含む単結合または任意の適した2価の連結基である。この場合には、L’は、S’を、ポリカーボネート骨格のカルボニル末端に連結する。
【0104】
抗菌カチオン性ポリマーは、式(14)に記載の構造を有することができる。
【0105】
【化23】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、n’は、約5〜約45の値を有し、
W’は、1価のC〜C15の第1の末端基であり、
W”は、生物活性化合物の共有結合形態を含む1価の第2の末端基であって、該生物活性化合物は、ステロイド類、非ステロイドホルモン類、ビタミン類および薬剤類からなる群から選択されるものであり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される1価のラジカルであり、
各R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0106】
式(14)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(14)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0107】
W”は、生物活性化合物の立体特異的または非立体特異的な形態を含むことができる。一実施形態では、W”は、コレステロール、アルファ−トコフェロール(ビタミンE化合物)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)またはそれらの組合せの共有結合形態を含む。
【0108】
W”は、全体構造S’−L”−を有することができる。ここで、S’は、ステロイド基であり、L”は、1個〜約10個の炭素を含む単結合または任意の適した2価の連結基である。この場合には、L”は、S’を、ポリカーボネート骨格の酸素末端に連結する。
【0109】
抗菌カチオン性ポリマーは、式(15)に記載の構造を有する。
【0110】
【化24】
(式中、Z’は、1価のC〜C15の第1の末端基であり、
Z”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
P”は、ポリマー鎖であり、本質的にI)85モル%から99.9モル%のカチオン性カーボネートサブユニット、およびII)ステロイド、ビタミン化合物またはそれらの組合せの共有結合形態を含む、0.1モル%から約15モル%のカーボネートサブユニットからなり、ここで、i)P”は、約5〜約45の重合度(DP)を有し、ii)カチオン性カーボネートサブユニットのそれぞれは、ポリマー主鎖分と、該ポリマー主鎖分に連結されたカチオン性側鎖とを含み、iii)該カチオン性側鎖部分は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せの正電荷をもつヘテロ原子を含み、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0111】
式(15)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(15)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0112】
式(15)の抗菌カチオン性ポリマーは、式(16)に記載の構造を有することができる。
【0113】
【化25】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、ここで、n’は、0以上の値を有し、
m’は、カーボネートサブユニットの数を表し、ここで、m’は、0以上の値を有し、
n’+m’は、約5〜約45の値を有し、
m’:n’は、約15:85〜約0.1:99.9であり、
Z’は、1価のC〜C15の第1の末端基であり、
Z”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
各Lは、1個〜約10個の炭素を含む単結合または1価のラジカルからなる群から選択される、独立した2価の連結基であり、
各H’は、ステロイド、ビタミン化合物のいずれか1つまたはこれらの組合せの共有結合形態を含む、独立した1価のラジカルであり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0114】
式(16)の角括弧内にサブユニットが垂直に積み重なっているのは、ポリマー鎖内でサブユニットがランダムに分配されていることを示す。
【0115】
式(16)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(16)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0116】
H’は、ビタミンE化合物、ビタミンD化合物またはこれらの組合せの共有結合形態を含む。好ましくは、ビタミン化合物は、アルファ−トコフェロール(ビタミンE化合物)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)またはそれらの組合せである。
【0117】
以下の議論は、上記のあらゆるカチオン性ポリマーに全体的に適用される。
【0118】
例示的で非限定的な2価のLа基としては、
【0119】
【化26】
およびこれらの組合せが挙げられる。これらの例では、カルボニルおよびカルバメート窒素の星印を付した結合は、ポリカーボネート骨格(例えば、上記のカチオン性カーボネートサブユニットの5で標識された骨格炭素)に連結され、メチレン基の星印を付した結合は、Q’に連結される。
【0120】
互いに、LおよびQ’(Ru’は、第四級アンモニウム基または第四級ホスホニウム基を形成するが、このことは、正電荷をもつヘテロ原子Q’がLの炭素および3つまでの独立したR基に結合することを意味する。
【0121】
各Rは、少なくとも1個の炭素を含む。各Rは、1価の炭化水素置換基(例えばメチル、エチルなど)とすることができ、その場合に、u’は3である。
【0122】
は、Q’と共に環を形成することができ、その場合に、環のRは、2価を有する。例えば、Q’(Ru’は、
【0123】
【化27】
とすることができ、上式で、星印を付した結合はLに連結され、Q’は窒素であり、u’は2である。この例では、第1のRは、2価のブチレン基(−(CH)であり、第2のRは、メチルである。
【0124】
は、Q’の多環部分である。例えば、Q’(Ru’は、
【0125】
【化28】
とすることができ、上式で、星印を付した結合はLに連結され、Q’は窒素であり、u’は1であり、Rは3価を有する断片
【0126】
【化29】
である。
【0127】
基はまた、独立して、酸素、窒素、硫黄、別のヘテロ原子またはこれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、各Rは、独立した1価の分岐または非分岐の炭化水素置換基である。
【0128】
例示的で非限定的なR基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−へプチル、n−オクチルおよびベンジルが挙げられる。
【0129】
例示的で非限定的なQ’(Ru’基としては、
【0130】
【化30】
【0131】
【化31】
【0132】
【化32】
が挙げられる。
【0133】
前出の例では、正電荷をもつ窒素およびリンが4価であり、星印を付した結合がLの炭素に連結されていることを理解されたい。Q’基は、カチオン性ポリマーに単独または組合せで存在する。
【0134】
例示的な負電荷をもつX’としては、ハライド(例えばクロライド、ブロミドおよびイオダイド)、カルボキシレート(例えばアセテートおよびベンゾエート)、スルホネート(例えばトシレート)またはこれらの組合せが挙げられる。X’イオンは、単独または組合せで存在する。
【0135】
例示的で非限定的なカチオン性カーボネートサブユニットとしては、以下
【0136】
【化33】
【0137】
【化34】
【0138】
【化35】
【0139】
【化36】
およびこれらの組合せが挙げられる。上式で、X’は、イオンを介してカチオンと会合する負電荷をもつイオンである。
【0140】
一般に、カチオン性ポリマーの抗菌活性は、25モル%から100モル%のカチオン性カーボネートサブユニットの(第1のカチオン性カーボネートサブユニット)のポリカーボネート骨格から、正電荷を持つヘテロ原子Q’を隔てることによって生じ易く、ポリマー骨格からの6個以上の隣接して連結された原子中心を有する経路を、最も短くすることによって隔てられる。隣接して連結した原子中心は、ポリカーボネート骨格とQ’との間にあることを理解されたい。例えば、L−Q’が
【0141】
【化37】
であれば、ポリマー骨格からQ’までの最短の経路は、番号が付されている通り、5個の隣接して連結された原子中心を有する。この最短の経路には、カルボニル酸素を含めない。別の例として、L−Q’が
【0142】
【化38】
であれば、ポリマー骨格からQ’までの最短の経路は、番号が付されている通り、6個の隣接して連結された原子中心を有する。この最短の経路には、アミド水素およびカルボニル酸素を含めない。別の例として、L−Q’が
【0143】
【化39】
であれば、ポリマー骨格からQ’までの最短の経路は、番号が付されている通り、8個の隣接して連結された原子中心を有する。この最短の経路には、芳香環の2個の炭素およびカルボニル酸素を含めない。別の例として、L−Q’が
【0144】
【化40】
であれば、ポリマー骨格からQ’までの最短の経路は、番号が付されている通り、7個の隣接して連結された原子中心を有する。この最短の経路には、芳香環の3個の炭素およびカルボニル酸素を含めない。最後に、別の例として、L−Q’が
【0145】
【化41】
であれば、ポリマー骨格からQ’までの最短の経路は、番号が付されている通り、4個の隣接して連結された原子中心を有する。この最短の経路には、芳香環およびカルボニル酸素を含めない。
【0146】
好ましくは、第1のカーボネートサブユニットのQ’は、最短の経路によってポリマー骨格から隔てられているが、その経路は、6個〜約15個の隣接して連結された原子中心を、さらに好ましくは8個〜約15個の隣接して連結された原子中心を有する。
【0147】
ステロイド基S’は、天然のヒトステロイド、非ヒトステロイド、合成ステロイド化合物またはこれらの組合せを由来とすることができる。本明細書では、ステロイド基は、四環系環構造を含み、
【0148】
【化42】
上式で、環系の17個の炭素は、示すように番号を付される。ステロイド基は、1または複数の追加の置換基を含み、それらの置換基は、環の1または複数の番号付けされた位置に付加されている。四環の環構造の各環は、独立して、1または複数の二重結合を含む。
【0149】
例示的なステロイド基としては、コレステリルが挙げられ、コレステリルは、コレステロール由来であり、以下に立体化学を記載せずに示される。
【0150】
【化43】
コレステリルの非制限的な立体特異的構造としては、
【0151】
【化44】
が挙げられ、上式で、立体特異的な不斉中心のR,S立体配置は標識されている。
【0152】
追加の非限定的なステロイド基としては、
【0153】
【化45】
【0154】
【化46】
が挙げられる。
【0155】
星印を付した結合は、付加の箇所を表す。例えば、上記のそれぞれのステロイド基の星を付した結合は、ポリカーボネート骨格の端部カルボニル基に、2価の連結基L’を通じて連結することができる。或いは、ステロイド基の星印を付した結合は、直接的に、ポリカーボネート骨格の端部カルボニル基に連結することができる。(例えば、L’を単結合とすることができる)。
【0156】
当業者は、ステロイド基の各不斉中心を、R立体異性体、S立体異性体として、またはRおよびSの立体異性体の混合物として、存在させ得ることを認識することになる。追加のステロイド基S’としては、上記の構造の様々な立体異性体が挙げられる。カチオン性ポリマーは、ステロイド基を、単一の立体異性体として、または立体異性体の混合物として、含むことができる。
【0157】
一実施形態では、S’はコレステリル基であり、ここで、該コレステリル基は、異性体の混合物
【0158】
【化47】
によって示される。
【0159】
さらに特別なステロイド含有カチオン性ポリマーは、式(17)に記載の構造を有する。
【0160】
【化48】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、約5〜約45の値を有し、
S’−L’は、第1の末端基であって、ここで、L’は、単結合または1個〜約10個の炭素を含む2価の連結基であり、S’は、ステロイドの共有結合形態を含み、
Y”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0161】
式(17)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(17)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0162】
式(17)では、L’が単結合である際に、S’は、直接的に、ポリカーボネート骨格の端部カルボニル基に連結されている。一実施形態では、L’は、アルキレンオキシドを含む2価の連結基であり、該アルキレンオキシドは、エチレンオキシド(−CHCHO−)、プロピレンオキシド(−CHCHCHO−)、トリ(エチレンオキシド)(−CHCHOCHCHOCHCHO−)からなる群から選択される。上式で、酸素の星印を付した結合は、ポリカーボネート骨格の端部カルボニル基に連結されており、炭素の星印を付した結合は、S’に連結されている。
【0163】
ステロイド含有カチオン性ポリマーは、先にさらに記載した単独または組合せのカチオン性カーボネートサブユニットを含むことができる。
【0164】
ステロイド含有カチオン性ポリマーは、式(18)に記載の構造を有することができる。
【0165】
【化49】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、約5〜約45の値を有し、
Y’は、1価のC〜C15の第1の末端基であり、
S”−L”は、第2の末端基であって、ここで、L”は、単結合または1個〜約10個の炭素を含む2価の連結基であり、S”は、ステロイドの共有結合形態を含み、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0166】
S”−L”基は、ポリカーボネート骨格の酸素末端に連結し、Y’は、ポリカーボネート骨格のカルボニル末端に連結されている。
【0167】
式(18)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(18)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
2本のカチオン性ポリマー鎖を有するカチオン性ポリマー(二腕型カチオン性ポリマー)
【0168】
抗菌カチオン性ポリマーは、式(19)に記載の構造を有することができる。
【0169】
【化50】
(式中、C’は、ポリマー鎖Pに接続しているC〜C15の2価の連結基であり、ここで、C’は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子とを含み、
各Zは、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される、独立した1価の末端基であり、
各ポリマー鎖Pは、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなり、i)該カチオン性ポリマーは、合計5個〜約45個のカチオン性カーボネートサブユニットを含み、ii)カチオン性カーボネートサブユニットのそれぞれは、該ポリマー鎖の主鎖分と、該主鎖分に連結されたカチオン性側鎖とを含み、iii)該カチオン性側鎖は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せの正電荷をもつヘテロ原子Q’を含み、
第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーの全カチオン性カーボネートサブユニットの25%〜100%は、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖を有し、
第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜75%は、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖を有する。)
【0170】
式(19)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(19)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0171】
一実施形態では、各Zは、窒素である。別の実施形態では、第1のカチオン性カーボネートサブユニットの正電荷をもつヘテロ原子Q’は、主鎖分から最短の経路によって隔てられており、その最短の経路は、Q’と主鎖分との間に、6個〜約15個の隣接して連結された原子中心を有する。
【0172】
式(19)のさらに特別なカチオン性ポリマーは、式(20)に記載の構造を有する。
【0173】
【化51】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの総数を表し、約5〜約45の値を有し、
C’は、ポリマー鎖Pを接合するC〜C15の2価の連結基であって、C’は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子とを含み、
各ポリマー鎖Pは、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなり、
各Zは、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される独立した1価の末端基であり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンまたは1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0174】
式(20)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(20)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0175】
C’は、非ポリマー性の2価の求核性の開始剤の残基として、開環重合によってカチオン性ポリマーを調製するのに使用することができる。
【0176】
別の抗菌性ポリマーでは、2つのカチオン性ポリマー鎖に連結している断片は、生物活性化合物の共有結合形態を含み、そのような化合物は、ステロイド類、非ステロイドホルモン類、ビタミン類および薬剤類からなる群から選択される。これらの抗菌カチオン性ポリマーは、式(21)に記載の構造を有する。
【0177】
【化52】
(式中、C”は、ポリマー鎖Pを接続している2価の連結基であり、ここで、C”は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子と、iii)ステロイド類、非ステロイドホルモン類、ビタミン類および薬剤類からなる群から選択される化合物の共有結合形態とを含み、
各Zは、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される、独立した1価の末端基であり、
各ポリマー鎖Pは、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなり、i)該カチオン性ポリマーは、合計5個〜約45個のカチオン性カーボネートサブユニットを含み、ii)カチオン性カーボネートサブユニットのそれぞれは、該ポリマー鎖の主鎖分と、該主鎖分に連結されたC〜C25のカチオン性側鎖とを含み、iii)該カチオン性側鎖は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せの正電荷をもつヘテロ原子Q’を含み、
第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖を有し、
第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖を有する。)
【0178】
式(21)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(21)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0179】
第1のカチオン性カーボネートサブユニットの正電荷をもつヘテロ原子Q’は、最短の経路によってポリマー主鎖分から隔てられているが、その経路は、Q’と主鎖分との間に、6個〜約18個の隣接して連結された原子中心を有する。
【0180】
一実施形態では、C”は、コレステロールの共有結合形態を含む。別の実施形態では、C”は、アルファ−トコフェロール、、エルゴカルシフェロールおよびそれらの組合せからなる群から選択されるビタミンの共有結合形態を含む。
【0181】
式(21)のさらに特別なカチオン性ポリマーは、式(22)に記載の構造を有する。
【0182】
【化53】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの総数を表し、約5〜約45の値を有し、
C”は、ポリマー鎖Pを接続している2価の連結基であって、C”は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子と、iii)ステロイド類、非ステロイドホルモン類、ビタミン類および薬剤類からなる群から選択される化合物の共有結合形態とを含み、
各ポリマー鎖Pは、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなり、
各Zは、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される独立した1価の末端基であり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンまたは1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0183】
式(22)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(22)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0184】
抗菌カチオン性ポリマーは、式(23)に記載の構造を有することができる。
【0185】
【化54】
(式中、C”は、ポリマー鎖Pを接続しているC〜C15の2価の連結基であり、ここで、C”は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子とを含み、該第2のヘテロ原子は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択され、
各Zは、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される、独立した1価の末端基であり、
各ポリマー鎖Pは、本質的にI)85モル%から99.9モル%のカチオン性カーボネートサブユニット、およびII)ステロイド、ビタミン化合物またはそれらの組合せの共有結合形態を含む、0.1モル%から約15モル%のカーボネートサブユニットからなり、ここで、i)P”は、約5〜約45の重合度(DP)を有し、ii)カチオン性カーボネートサブユニットのそれぞれは、ポリマー主鎖分と、該ポリマー主鎖分に連結されたC〜C25カチオン性側鎖とを含み、iii)該カチオン性側鎖部分は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せの正電荷をもつヘテロ原子Q’を含み、
第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖を有し、
第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖を有する。)
【0186】
式(23)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(23)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0187】
式(23)のカチオン性ポリマーは、式(24)に記載の構造を有することができる。
【0188】
【化55】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの総数を表し、ここで、n’は、0以上の値を有し、
m’は、カーボネートサブユニットの総数を表し、ここで、m’は、0以上の値を有し、
n’+m’は、約5〜約45の値を有し、
m’:n’の比は、約15:85〜約0.1:99.9であり、
C’は、ポリマー鎖Pを接続しているC〜C15の2価の非ポリマー性の連結基であって、C’は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子とを含み、
各Zは、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される独立した1価の末端基であり、
各Lは、1個〜約10個の炭素を含む単結合または1価のラジカルからなる群から選択される、独立した2価の連結基であり、
各H’は、ステロイド、ビタミン化合物のいずれか1つまたはこれらの組合せの共有結合形態を含む、独立した1価のラジカルであり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンまたは1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0189】
式(24)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(24)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0190】
H’は、ビタミンE化合物、ビタミンD化合物またはそれらの組合せの共有結合形態を含むことができる。一実施形態では、H’は、ビタミン化合物の共有結合形態を含むことができ、そのようなビタミン化合物は、アルファ−トコフェロール(ビタミンE化合物)、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0191】
抗菌カチオン性ポリマーは、式(25)に記載の構造を有することができる。
【0192】
【化56】
(式中、C’は、ポリマー鎖Pを接続しているC〜C15の2価の連結基であって、C’は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子とを含み、
は、水素、ステロイドの共有結合形態を含む基およびビタミンの共有結合形態を含む基からなる群から選択される、1価の第1の末端基であり、
は、水素、ステロイドの共有結合形態を含む基およびビタミンの共有結合形態を含む基からなる群から選択される、1価の第2の末端基であり、
各ポリマー鎖Pは、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなり、i)該カチオン性ポリマーは、合計5個〜約45個のカチオン性カーボネートサブユニットを含み、ii)カチオン性カーボネートサブユニットのそれぞれは、該ポリマー鎖の主鎖分と、該主鎖分に連結されたカチオン性側鎖とを含み、iii)該カチオン性側鎖は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せの正電荷をもつヘテロ原子Q’を含み、
第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーの全カチオン性カーボネートサブユニットの25%〜100%は、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖を有し、
第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称する、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜75%は、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖を有する。)
【0193】
式(25)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(25)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
【0194】
Yc、Ydのどちらかまたはその両方は、ステロイド、ビタミンのどちらかまたはその両方の共有結合形態を含むことができる。
【0195】
式(25)のさらに特別なカチオン性ポリマーは、式(26)に記載の構造を有する。
【0196】
【化57】
(式中、n’は、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの総数を表し、約5〜約45の値を有し、
C’は、ポリマー鎖Pを接続しているC〜C15の2価の連結基であって、C’は、i)第1のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第1のヘテロ原子と、ii)第2のポリマー鎖Pに連結され、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される第2のヘテロ原子とを含み、
該ポリマー鎖Pは、本質的にカチオン性カーボネートサブユニットからなり、
は、水素、ステロイドの共有結合形態を含む基およびビタミンの共有結合形態を含む基からなる群から選択される、1価の第1の末端基であり、
は、水素、ステロイドの共有結合形態を含む基およびビタミンの共有結合形態を含む基からなる群から選択される、1価の第2の末端基であり、
各L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンまたは1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカチオン性カーボネートサブユニットはなく、
各X’は、負電荷をもつ独立したイオンであり、
また式中、カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの約25%〜100%は、第1のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、10個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、
カチオン性ポリマーのカチオン性カーボネートサブユニットの0%〜約75%は、第2のカチオン性カーボネートサブユニットと称し、6個〜9個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。)
【0197】
式(26)の第1のカチオン性カーボネートサブユニットのLおよびQ’(Ru’は、別個に3個〜約22個の炭素を有することができるが、L−Q’(Ru’が合計10個〜約25個の炭素を有するという条件においてである。一実施形態では、式(26)の各第1のカチオン性カーボネートサブユニットは、13個〜約25個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有し、各第2のカチオン性カーボネートサブユニットは、6個〜12個の炭素を含むカチオン性側鎖L−Q’(Ru’を有する。
カチオンを形成する環状カーボネートモノマー
【0198】
開示したカチオン性ポリマーを調製する好適な方法は、環状カーボネートモノマーを利用し、該モノマーは、重合前または重合後にカチオン部分を形成することができる。これらをカチオン形成モノマーと称し、式(27)を有する。
【0199】
【化58】
(式中、環原子は、1〜6の番号を付されて示され、
は、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて6〜約25個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
tおよびt’は、そちらもゼロにはなり得ない。)
【0200】
式(27)のカチオン形成モノマーは、環置換基L−E’を有する。環置換基L−E’は、開始ポリマーの側鎖となってゆくが、該側鎖は、カチオン形成モノマーの開環重合によって形成される。E’は、求電子性基、求核性基のいずれかまたはどちらともすることができるが、側鎖L−E’が反応して、カチオン性ポリマーのC〜C25カチオン性側鎖L−Q’(Ru’を生じることが可能である限りにおいてである。好ましくは、E’は、第三級アミンと反応して第四級アンモニウム基を形成するか、第三級ホスフィンと反応して第四級ホスホニウム基を形成するか、またはこれらのどちらも可能な脱離基である。
【0201】
カチオン形成モノマーは、立体特異的または非立体特異的とし得る。
【0202】
一実施形態では、式(27)のtおよびt’は、それぞれ1であり、炭素4の各R’は、水素であり、炭素6の各R’は、水素であり、炭素5のR”は、水素、メチルおよびエチルからなるg4群から選択される。
【0203】
式(27)のカチオン形成モノマーの開環重合は、式(28)に記載のサブユニットを有する開始のポリカーボネートを生成する。
【0204】
【化59】
(式中、骨格原子は、1〜6の番号を付されて示され、
は、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて6〜約25個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
tおよびt’は、そちらもゼロにはなり得ない。)
【0205】
さらに特別なカチオン形成モノマーは、式(29)を有する。
【0206】
【化60】
(式中、環原子5は、標識され、
は、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて5〜約24個の炭素を含み、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0207】
式(29)のカチオン形成モノマーの開環重合は、式(30)に記載のサブユニットを有するポリカーボネートを生成する。
【0208】
【化61】
(式中、環原子5は、標識され、
は、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて5〜約24個の炭素を含み、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0209】
カチオン形成モノマーは、式(31)を有することができる。
【0210】
【化62】
(式中、環原子5は、標識され、
は、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて5〜約24個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0211】
式(31)のカチオン形成モノマーの開環重合は、式(32)に記載のサブユニットを有する開始のポリカーボネートを生成する。
【0212】
【化63】
(式中、環原子5は、標識され、
は、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて5〜約24個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルである。)
【0213】
例示的なカチオン形成モノマーとしては、表1の環状カーボネートモノマーが挙げられる。
【0214】
【表1】

開環重合
【0215】
開示したゲル形成ブロック・コポリマーおよび抗菌カチオン性ポリマーを形成するための開環重合の方法は、溶媒、有機触媒、求電子性の開始剤、追加の促進剤、および1種または複数の環状カーボネートモノマーを利用する。
【0216】
式(5)のビタミン担持モノマーを使用して、式(1)のゲル形成ブロック・コポリマーを開環重合(ROP)によって形成する方法を説明すると、式(5)のビタミン担持モノマー、触媒、随意の促進剤、2価の求電子性のポリ(エチレンオキシド)開始剤および溶媒を含む、反応混合物を構成する。混合物を撹拌して、式(1)のゲル形成ブロックリビングコポリマーを生成し、該コポリマーは、ROPを開始することのできる求電子基を含む端部サブユニットを有する。任意選択で、開始のゲル形成ブロック・コポリマーを、適したエンドキャッピング剤を用いてエンドキャップする。
【0217】
式(27)のカチオン形成モノマーを使用して、開示したカチオン性ポリマーを作製する方法を説明すると、式(27)の環状カーボネートモノマー、触媒、随意の促進剤、1価のROP開始剤(任意選択でステロイド基を含む)および溶媒を含む、反応混合物を構成する。混合物を撹拌して、開始ポリマーを生成する。任意選択で、開始ポリマーをエンドキャップして、エンドキャップされた開始ポリマーを形成することができる。その結果得られるポリマーは、式(33)に記載の構造を有する。
【0218】
【化64】
(式中、n’は、カチオン性カーボネートサブユニットの数を表し、ここで、n’は、約5〜約45の値を有し、
Z’は、1価のC〜C15の第1の末端基であり、
Z”は、水素およびC〜C15部分からなる群から選択される1価の第2の末端基であり、
は、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、
E’は、反応して、Lに連結されたカチオン性部分Q’(Ru’を生成することができる置換基であり、ここで、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、Q’(Ru’およびLは、合わせて6〜約25個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各R”は、水素、ハロゲンまたは1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
各tは、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
各t’は、0〜2の値を有する独立した正の整数であり、
t=0およびt’=0であるカーボネートサブユニットはない。)
【0219】
Z’は、ROP開始剤の残基であり得る。一実施形態では、Z’は、ステロイド部分を含むS’−L’である。この例では、開始ポリマーの各カーボネートユニットは、側鎖E’基を含む。
【0220】
ROPによって形成された開始ポリマーのリビング末端(酸素末端)は、反応性のある水酸基(第2の末端基Z”=H)を有し、該水酸基は、別のROPを開始することが可能である。リビング末端は、エンドキャッピング剤によって処理することができ、その結果、第2の末端基Z”を形成する。Z”は、さらに進んだ鎖の成長を防止し、鎖の開裂などの望まない副反応に対して、ポリマーを安定化させることができる。重合およびエンドキャッピングは、開始ポリマーを単離することなく同じ槽で起こる。エンドキャッピング剤としては、例えば、端部の水酸基をエステルへ変換するための材料、すなわち無水カルボン酸、カルボン酸塩化物や反応性エステル(例えばp−ニトロフェニルエステル)などが挙げられる。一実施形態では、エンドキャップ剤は、アシル化剤であり、第2の末端基Z”は、アシル基である。別の実施形態では、アシル化剤は、無水酢酸であり、第2の末端基Z”は、アセチル基である。別の実施形態では、エンドキャップ剤は、ステロイド基。ビタミンまたはそれらの組合せの共有結合形態を含む。
【0221】
開始ポリマー、エンドキャップされた開始ポリマーのどちらかまたはその両方は、化学的、熱的、光化学的のいずれかまたはそれらの組合せで処理し、E’を、正電荷をもつQ’(Ru’基に変換することによって、カチオン性ポリマーを形成することができる。例えば、E’は、求電子性の脱離基(例えばクロライド、ブロミド、イオダイド、スルホン酸エステルなど)とすることができ、この脱離基は、ルイス塩基(例えば第三級アミン、トリアルキルホスフィン)との求電子性置換反応を経て、第四級アンモニウム基、ホスホニウム基のいずれかまたはその両方を形成する。一実施形態では、E’は、クロライド、ブロミド、イオダイドのいずれか1つまたはそれらの組合せである。別の実施形態では、環状カーボネートモノマーは、式(29)の化合物であり、開始ポリマーは、式(30)のサブユニットを含む。別の実施形態では、環状カーボネートモノマーは、式(31)の化合物であり、開始ポリマーは、式(32)のサブユニットを含む。
【0222】
また、意図されているのは、正電荷をもつQ’基を含むカチオン性環状カーボネートモノマーを使用して、カチオン性ポリマーを形成する方法である。この例では、ROPは、リビング末端ユニット(すなわち、続きのROPを開始することができる求核性の末端水酸基)を有するカチオン性開始ポリマーを形成する。リビング末端ユニットは、エンドキャップされて、望ましくない副反応を防止する。
【0223】
求電子性のE’基を用いた求核置換反応によって第四級アミンを形成するための、例示的で非限定的な第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソ−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチル−イソ−プロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルペンチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルメチルアミン、ジエチルペンチルアミン、ジエチルブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、N−(n−プロピル)イミダゾール、N−イソプロピルイミダゾール、N−(n−ブチル)イミダゾール、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジンおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0224】
求電子性のE’基を用いた求核置換反応によって第四級ホスホニウム基を形成するための、例示的で非限定的な第三級ホスフィンとしては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、エチルジメチルホスフィン、プロピルジメチルホスフィン、ブチルジメチルホスフィン、ペンチルジメチルホスフィン、ヘキシルジメチルホスフィン、ヘプチルジメチルホスフィン、オクチルジメチルホスフィン、メチルジエチルホスフィン、プロピルジエチルホスフィン、ブチルジエチルホスフィン、ペンチルジエチルホスフィン、ヘキシルジエチルホスフィン、ヘプチルジエチルホスフィン、オクチルジエチルホスフィン、ペンチルジプロピルホスフィン、ペンチルジブチルホスフィン、ジペンチルメチルホスフィン、ジペンチルエチルホスフィン、ジペンチルプロピルホスフィン、ジペンチルブチルホスフィン、トリペンチルホスフィン、ヘキシルジプロピルホスフィン、ヘキシルジブチルホスフィン、シクロヘキシル−ジメチルホスフィン、シクロヘキシルジエチルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジヘキシル−エチルホスフィン、ジヘキシルプロピルホスフィン、ベンジルジメチルホスフィンおよびそれらの組合せが挙げられる。
ROP開始剤
【0225】
ROPのための求核性の開始剤は、一般に、アルコール、アミン、チオールのいずれか1つまたはいかなる組合せも含める。
1価の求核性の開始剤
【0226】
1つのカチオン性ポリマー鎖を有する上記のカチオン性ポリマー(単腕型カチオン性ポリマー)について、ROP開始剤は、非ポリマー性の1価の求核性の開始剤である(例えばエタノール、n−ブタノール、ベンジルアルコールなど)。一部の例では、ROP開始剤は、生物活性化合物の共有結合形態を含むことができ、該生物活性化合物は、ステロイド類、非ステロイドホルモン類、ビタミン類および薬剤類からなる群から選択される。例えば、1価の求核性のROP開始剤としては、コレステロール、アルファ−トコフェロールおよびエルゴカルシフェロールが挙げられる。
【0227】
さらに特別な1価の求核性のROP開始剤は、無電荷のステロイド基S’を含む。該開始剤は、式(34)に記載の構造を有することができる。
【0228】
【化65】
(式中、S’は、ステロイド基であり、Lは、i)1個〜約10個の炭素と、ii)ROPのための求核性の開始基とを含む1価の基である。式(34)のROP開始剤の非限定的な例としては、Chol−OPrOH、すなわち
【0229】
【化66】
およびChol−OTEG−OH、すなわち
【0230】
【化67】
が挙げられる。)上記の例では、S’は、コレステリル基である。下記に記載するカチオン性ポリマーを調製するための好適な方法を使用すると、カチオン性ポリマーのS’−L’−断片は、ポリカーボネート骨格のカルボニル末端に連結されている場合に、ROP開始剤の残基である。Chol−OPrOHに由来するS’−L’−断片は、構造
【0231】
【化68】
を有する。Chol−OTEG−OHに由来するS’−L’−断片は、構造
【0232】
【化69】
を有する。
【0233】
ROP開始剤は、単独で、または異なるROP開始剤(例えば、異なるステロイド基、異なるL基のどちらかまたはその両方を有する開始剤)と組合せて、使用することができる。ROP開始剤は、立体特異的または非立体特異的とし得る。
二腕型のカチオン性ポリマーのための2価の求核性の開始剤
【0234】
2つのポリマー鎖を有する上記のカチオン性ポリマー(二腕型カチオン性ポリマー)を形成するために使用されるROP開始剤は、2価の求核性の開始剤である。例示的な2価の求核性のROP開始剤としては、エチレングリコール、ブタンジオール、1,4−ベンゼンジメタノールおよびBn−MPA、すなわち
【0235】
【化70】
が挙げられる。
【0236】
ステロイド基を含む例示的な2価のROP開始剤は、Chol−MPA、すなわち
【0237】
【化71】
である。
ゲル形成ブロック・コポリマーを調製するためのポリエチレンオキシド開始剤
【0238】
ゲル形成ブロック・コポリマーを調製するのに使用するROP開始剤は、2価の求核性のポリ(エチレンオキシド)であり、その平均分子量数(Mn)は、約5000〜約25000であり、好ましくは約10000〜約20000である。2価の求核性のポリ(エチレンオキシド)は、独立した端部のROP開始基を有し、この基は、アミン、アルコール、チオールおよびそれらの組合せからなる群から選択される。例示的な2価の求核性のポリ(エチレンオキシド)開始剤としては、以下の材料、すなわち
【0239】
【化72】
およびこれらの組合せが挙げられる。
【0240】
一実施形態では、ゲル形成ブロック・コポリマーを形成するのに使用されるROP開始剤は、ポリ(エチレングリコール)(HO−PEG−OH)であり、単にPEGともよばれる。
ROP溶媒
【0241】
非限定的な溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、石油エーテル、アセトニトリル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または先の溶媒の1種を含む組合せが挙げられる。適したモノマー濃度は、1リットル当たり約0.1〜5モル、およびさらに具体的には、1リットル当たり約0.2〜4モルである。
ROP触媒
【0242】
好適さに劣るもののROP重合のための触媒としては、金属酸化物として、例えばテトラメトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジルコニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、モノ−sec−ブトキシ−ジ−iso−プロポキシアルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、テトラエトキシチタニウム、テトラ−iso−プロポキシチタニウム、テトラ−n−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−sec−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、トリ−iso−プロポキシガリウム、トリ−iso−プロポキシアンチモン、トリ−iso−ブトキシアンチモン、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−iso−プロポキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−t−ブトキシボロン、トリ−iso−プロポキシガリウム、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブトキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−sec−ブトキシゲルマニウムやテトラ−t−ブトキシゲルマニウムなど、ハロゲン化化合物として、例えば五塩化アンチモン、塩化亜鉛、臭化リチウム、塩化スズ(IV)、塩化カドミウムや三フッ化ホウ素ジエチルエーテルなど、アルキルアルミニウムとして、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウムやトリ−iso−ブチルアルミニウムなど、アルキル亜鉛として、例えばジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛やジイソプロピル亜鉛など、ヘテロポリ酸として、例えばリンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸やこれらのアルカリ金属塩など、ジルコニウム化合物として、塩化ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウムや硝酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0243】
好ましくは、開環重合に使用する触媒の化学式は、金属のイオン性または非イオン性の形態を含まない。この金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、砒素、アンチモン、ビスマス、テルリウム、ポロニウムおよび周期表第3〜12族の金属からなる群から選択される。周期表第3〜12族の金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタノイド、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、アクチニウム、トリウム、プロタクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウムおよびコペルニシウムが挙げられる。
【0244】
好適な触媒は、有機触媒であり、その化学式は上記の金属を含まない。開環重合のための有機触媒の例としては、トリアリルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−オクチルアミンおよびベンジルジメチルアミン4−ジメチルアミノピリジンなどの第三級アミン、ホスフィン、N−ヘテロ環状カルベン類(NHC)、二機能性アミノチオウレア類、ホスファゼン類、アミジン類およびグアニジン類が挙げられる。
【0245】
さらに特別な有機触媒は、N−ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル−N’−シクロヘキシルチオウレア(TU)である。
【0246】
【化73】
【0247】
他のROP有機触媒は、少なくとも1つの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール−2−イル(HFP)基を含む。単供与水素結合触媒は、式(35)を有する。
【0248】
【化74】
(式中、Rは、水素または1〜20個の炭素を有する1価のラジカルを表し、例えばアルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、置換ヘテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基またはこれらの組合せである。)例示的な単供与性の水素結合触媒を表2に列記する。
【0249】
【表2】
【0250】
二重供与性の水素結合触媒は、2つのHFP基を有し、式(36)によって表される
【0251】
【化75】
(式中、Rは、1〜20個の炭素を含む2価のラジカル架橋基であり、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、置換シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、置換ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基やこれらの組合せなどがある)。式(36)の二重水素結合触媒の代表例としては、表3に列記したものが挙げられる。特別な実施形態では、Rは、アリーレン基または置換アリーレン基であり、HFP基は、芳香環上で互いにメタ位を占める。
【0252】
【表3】
【0253】
一実施形態では、触媒は、4−HFA−St、4−HFA−Tol、HFTB、NFTB、HPIP、3,5−HFA−MA、3,5−HFA−St、1,3−HFAB、1,4−HFABおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0254】
また、想定するのは、支持体に結合されたHFP含有基を含む触媒である。一実施形態では、支持体は、ポリマー、架橋されたポリマービーズ、無機物粒子または金属粒子を含む。HFP含有ポリマーは、公知の方法によって形成することができ、方法としては、HFP含有ポリマーの直接的な重合(例えば、メタクリレートモノマーである3,5−HFA−MA、またはスチリルモノマーである3,5−HFA−St)が挙げられる。直接的な重合(またはコモノマーによる重合)に付すことができるHFP含有モノマー中の官能基としては、アクリレート、メタクリレート、アルファ、アルファ、アルファ−トリフルオロメタクリレート、アルファ−ハロメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ノルボルネン、ビニル、ビニルエーテルおよび当分野で公知の他の基が挙げられる。連結基の例としては、C〜C12アルキル、C〜C12ヘテロアルキル、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、エステル基、アミド基またはこれらの組合せが挙げられる。また、想定するのは、電荷をもつHFP含有基を含む触媒であり、該HFP含有基は、ポリマーまたは支持体表面の逆電荷をもつ部位に、イオン性会合によって結合している。
【0255】
ROP反応混合物は、少なくとも1種の有機触媒を含み、適切な場合にいくつかの有機触媒を共に含む。ROP触媒は、環状カルボニルモノマーに対して1/20〜1/40,000モルの割合で、好ましくは環状カルボニルモノマーに対して1/1,000〜1/20,000モルの割合で添加される。
ROP促進剤
【0256】
ROP重合は、任意選択の促進剤、具体的には窒素塩基の存在下で行うことができる。例示的な窒素塩基性促進剤を後段に列記するが、ピリジン(Py)、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン(MeNCy),4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トランス1,2−ビス(ジメチルアミノ)シクロヘキサン(TMCHD)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デカ−5−エン(TBD)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ(4.4.0)デカ−5−エン(MTBD)、(−)−スパルテイン(Sp)、1,3−ビス(2−プロピル)−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン(Im−1)、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(Im−2)、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(Im−3)、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾール−2−イリデン(Im−4)、1,3−ジ−i−プロピルイミダゾール−2−イリデン(Im−5)、1,3−ジ−t−ブチルイミダゾール−2−イリデン(Im−6)、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン(Im−7)、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(2,6−ジ−i−プロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン(Im−8)またはそれらの組合せが挙げられ、これらは表4に示されている。
【0257】
【表4】
【0258】
【0259】
一実施形態では、促進剤は、2個またか3個の窒素を有し、それぞれがルイス塩基として、例えば(−)−スパルテインの構造で関与しうる。さらに強い塩基は、一般に重合速度を高める。
【0260】
触媒および促進剤は、同じ材料とすることができる。例えば、ある開環重合は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エン(DBU)のみを使用して、別の触媒または促進剤を存在させることなく行うことができる。
【0261】
触媒は、環状カルボニルモノマーの総モル数に基づいて、好ましくは約0.2〜20モル%、0.5〜10モル%、1〜5モル%または1〜2.5モル%の量で存在する。
【0262】
窒素塩基促進剤は、使用する際に、環状カルボニルモノマーの総モル数に基づいて、好ましくは0.1〜5.0モル%、0.1〜2.5モル%、0.1〜1.0モル%または0.2〜0.5モル%の量で存在する。先に述べたように、ある例では、特定の環状カルボニルモノマーに応じて、触媒および窒素塩基促進剤を同じ化合物とすることができる。
【0263】
開始基は、環状カルボニルモノマーの総モル数に基づいて、好ましくは0.001〜10.0モル%、0.1〜2.5モル%、0.1〜1.0モル%または0.2〜0.5モル%の量で存在する。
【0264】
特別な実施形態では、環状カルボニルモノマーの総モル数に基づいて、触媒は、約0.2〜20モル%の量で存在し、窒素塩基促進剤は、0.1〜5.0モル%の量で存在し、開始剤の求核性の開始基は、0.1〜5.0モル%の量で存在する。
【0265】
触媒は、選択された沈殿法によって除去することができ、また、固相に支持された触媒の場合には、単に濾過によって除去することができる。触媒は、カチオン性オリゴマーと残渣の触媒との総重量に基づき、0重量%(重量パーセント)〜約20重量%、好ましくは0重量%(重量パーセント)〜約0.5重量%の量で存在させることができる。カチオン性オリゴマーは、好ましくは残渣の触媒を含まない。
【0266】
開環重合は、ほぼ周囲温度であるかそれよりも高い温度で、さらに具体的には15℃〜200℃で、いっそう具体的には20℃〜80℃で実施することができる。反応時間は、溶媒、温度、撹拌速度、圧力、器具に応じて変わるが、一般に、重合は1〜100時間以内に完了する。
【0267】
ROP重合は、窒素やアルゴンなどの不活性の(すなわち乾燥した)雰囲気下で、かつ100MPa〜500MPa(1atm〜5atm)の圧力で、さらに典型的には100MPa〜200MPa(1atm〜2atm)の圧力で行われる。反応の完了時に、減圧を使用して、溶媒を除去することができる。
【0268】
ゲル形成ブロック・コポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定されるところ、約5500〜約55000の数平均分子量(Mn)を有することができる。
【0269】
カチオン性ポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定されるところ、約1500〜約50,000の、さらに具体的には約1500〜約30,000の数平均分子量(Mn)を有することができる。カチオン性ポリマーの前駆体ポリマー、カチオン性ポリマーのいずれか1つまたはどちらも、1.01〜約2.0の、さらに好ましくは1.01〜1.30の、いっそう好ましくは1.01〜1.25の多分散性指数(PDI)を好ましくは有することができる。
【0270】
幾つかの例では、カチオン性ポリマーは、脱イオン水中で、単独でナノ粒子ミセルに自己集合することができる。カチオン性ポリマーは、約15mg/L〜45mg/Lの臨界ミセル濃度(CMC)を有することができる。このミセルは、約7mg/L〜約500mg/Lの微生物増殖に対する最小発育阻止濃度(MIC)を有する。幾つかの例では、MICは、CICを下回るが、このことは、抗菌活性がカチオン性ポリマーの自己集合に依存しないことを示している。
【0271】
一般に、5〜約45のDPを有するカチオン性ポリマーであり、カチオン性カーボネートサブユニットの側鎖L−Q’(Ru’基の75%を超える分が8個またはそれ以下の炭素を含有したポリマーは、グラム陰性、グラム陽性のいずれかまたは両方である微生物および真菌に対して弱い活性を有していた。さらに、低いDP(<10)では、カチオン性ポリマーのHC50、HC20のいずれか1つまたはどちらの値も、概ね500mg/Lを下回るが、このことは、殺生物特性の傾向を示している。さらに高いHC50、HC20のいずれか1つまたはどちらの値とも、概して、約10〜約45のDPによって支持されていた。さらに後段の実施例では、カチオン性カーボネートサブユニットの側鎖基の少なくとも約25%が13個以上の炭素を含有し、DPが約10〜約30であった場合に、カチオン性ポリマーは、グラム陰性、グラム陽性のいずれかまたは両方である微生物および真菌に対して、高い活性(MC<500mg/L)であり、500mg/L以上のHC50値を有していた。高められた阻害有効性およびさらに低い赤血球毒性(さらに高いHC50値)は、ステロイド末端基Z’を使用することによって得られる。溶血選択性(HC50/MIC)も上昇する。Z’基、Z” 基、Z基およびC’ 基は、抗菌活性、溶血選択性をさらに調整し、第2の機能(例えば細胞認識能、細胞膜透過性の増強など)を付与するために使用することができる。
【0272】
さらに、アルファ−トコフェリル(ビタミンE化合物)側鎖部分、エルゴカルシフェリル(ビタミンD2)側鎖部分のいずれか1つまたは両方を含む10モル%以下のカーボネートサブユニットはまた、カチオン性カーボネートサブユニットの25%〜100%が10〜25個の炭素を含む場合に、MICを低下させる(すなわち、微生物に対する毒性を増加させる)か、HC50値を増加させる(すなわち、哺乳類の赤血球に対する毒性を低下させる)かのいずれかまたは両方について有効でもある。
【0273】
また開示するのは、溶媒、約4重量%〜約10重量%のゲル形成ブロック・コポリマーおよび約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌カチオン性ポリマーを含む、抗菌性薬剤組成物である。ここで、重量パーセント(重量%)は、薬剤組成物の総重量に基づくものであり、薬剤組成物は、溶媒中で、ブロック・コポリマーのポリマー鎖の非共有結合性の相互作用によって、形成されたゲルであり、抗菌カチオン性ポリマーは、ゲルに含有されている。この抗菌カチオン性ポリマーは、ゲル中で、非会合のポリマー鎖、自己集合による粒子(例えばミセル)、および非共有結合性の相互作用によって形成された複合体のいずれか1つまたはそれらの組合せの形態で、存在することができる。
【0274】
別の抗菌薬剤組成物は、約4重量%〜約10重量%のゲル形成ブロック・コポリマー、および約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌カチオン性ポリマー(第1の薬剤)、および約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌性化合物(第2の薬剤)を含む。ここで、重量パーセント(重量%)は、薬剤組成物の総重量に基づくものであり、薬剤組成物は、溶媒中で、ブロック・コポリマーのポリマー鎖の非共有結合性の相互作用によって、形成されたゲルであり、第1の薬剤および第2の薬剤は、非共有結合性の相互作用によって会合し、ゲルに含有されている。後段の実施例は、このタイプの組合せが、別の同一の条件下で試験した場合の抗菌カチオン性ポリマーまたは抗菌性薬剤化合物のない同じ組成物よりも、微生物に対する毒性を著しく相乗的に増強することができることを、示している。
【0275】
また開示するのは、微生物を消滅させるための抗菌性水溶液である。該溶液は、約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌カチオン性ポリカーボネート(第1の薬剤)、および約0.0001重量%〜約10重量%の抗菌性化合物(第2の薬剤)を含む。ここで、重量パーセント(重量%)は、水溶液の総重量に基づくものである。第1の薬剤および第2の薬剤は、水溶液中で、非共有結合性の相互作用によって会合する。一実施形態では、抗菌化合物(第2の薬剤)は、フルコナゾール、ドキシサイクリンまたはこれらの組合せである。後段の実施例は、これらの組合せがまた、別の同一の条件下で試験した場合の抗菌カチオン性ポリマーまたは抗菌性化合物のどちらかがない同じ組成物よりも、微生物に対する毒性を著しく相乗的に増強することを呈示しうることを示している。該抗菌性水溶液は、微生物のバイオフィルムを消滅するのに適したものとすることができる。
【0276】
さらに開示するのは、微生物を消滅させる方法であり、本法は、前記の任意の抗菌組成物を微生物に接触させるステップを含む。
【0277】
例示的な微生物としては、Staphylococcus epidermidis(S.epidermidis)、Staphylococcus aureus(S.aureus)、Escherichia coli(E.coli)、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、Candida albicans(C.albicans)、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、バンコマイシン耐性Enterococcus(VRE)、Acinetobacter baumannii(A.baumannii)、Cryptococcus neoformans(C.neoformans)およびKlebsiella pneumoniae(K.pneumoniae)が挙げられる。
【0278】
追加的に開示されているのは、がんを治療する方法であり、本法は、腫瘍の近傍または接触させて、ゲル組成物のin vivoのデポー注射を実施し、その結果、腫瘍の成長を阻害するステップを含む。該ゲル組成物は、溶媒、開示したゲル形成ブロック・コポリマーおよび抗腫瘍剤を含む。一実施形態では、該抗がん剤は、モノクローナル抗体である。別の実施形態では、抗腫瘍剤は、ハーセプチンである。
【0279】
後段の実施例について、以下の定義を適用することができる。
【0280】
HC50は、哺乳類赤血球の50%を溶血に付す原因となる、カチオン性ポリマーの濃度(mg/L)として規定される。500mg/L以上のHC50値が望ましい。
【0281】
HC20は、哺乳類赤血球の20%を溶血に付す原因となる、カチオン性ポリマーの濃度(mg/L)として規定される。500mg/L以上のHC20値が望ましい。
【0282】
生育阻止濃度(MIC)は、所与の微生物の増殖を24時間阻止するのに必要なカチオン性ポリマーの最小濃度(mg/L)として規定される。500mg/L未満のMICが望ましい。いっそう望ましくは、250mg/L以下のMICである。低いMICであるほど、高い抗菌活性を表す。
【0283】
最小殺菌濃度(MBC)は、所与の微生物を消滅させるのに必要なカチオン性ポリマーの最小濃度(mg/L)として規定される。低いMBCであるほど、高い抗菌活性を表す。
【0284】
HC50選択性は、HC50/MICの比として規定される。4以上のHC50選択性が望ましい。高いHC50選択性の値であるほど、微生物細胞に対する高い活性と、哺乳類細胞に対する低い毒性とを表す。同様に、HC20選択性が、HC20/MICの比として規定される。4以上のHC20選択性が望ましい。
【0285】
さらに後段にある実施例は、ゲル形成トリブロック・コポリマーが、大きなペイロードを運搬する能力と調整可能な放出特性とを有し、多くの医薬品主導の用途を可能にすることを実証している。幾つかの実施例では、ハイドロゲルが、抗菌カチオン性ポリカーボネート、分子抗菌薬のどちらか、もしくはその組合せと混合されて、ハイドロゲルに抗菌活性を付与するか、カチオン性ポリカーボネート、分子抗菌薬のどちらか、もしくは両方の制御放出を提供するかのどちらか一方、または両方をもたらした。抗菌カチオン性ポリカーボネートおよび分子抗菌剤の組合せを使用することによって、相乗的な増強が認められた。他の実施例では、抗がん剤をハイドロゲル中に組み込み、デポー注射によってデリバリしたが、このデポー注射は、腫瘍細胞に対して、強力なin vivoの選択的毒性を示した。
【実施例】
【0286】
以下の実施例にて使用する材料を表5に列記する。
【0287】
【表5】
【0288】
本明細書では、Mnは、数平均分子量であり、Mwは、重量平均分子量であり、MWは、1分子の分子量である。
【0289】
p値は、帰無仮説が真であると考える場合に、実際に観察されたのと少なくとも同程度に極端な検定統計量を得る蓋然性である。p値が低いほど、帰無仮説が真である場合に、結果が生じる傾向が少なくなり、かつそのために、結果は、統計的有意性の観点からさらに“有意性のある”ものとなる。帰無仮説は、p値が有意性レベルα(ギリシャ文字のアルファ)よりも少ない場合に、しばしば棄却されるが、このαは0.05または0.01であることが多い。後段では、p値を単に“P”と報じる。
【0290】
アポトーシスは、生物の成長または発達の過程の正常かつ制御された一部として発生する、細胞の死を指す。生化学的な事象によって、特徴的な細胞の変化(形態構造)および死が引き起こされる。これらの変化としては、小疱形成、細胞膜の対称性および接着の喪失、細胞の退縮、核の断片化、クロマチンの凝縮および染色体DNAの断片化が挙げられる。
【0291】
別段に指示のない限り、材料は、Sigma−Aldrich、TCIまたはMerckから購入した。すべての溶媒は、分析グレードであり、Fisher ScientificまたはJ.T.Bakerから購入し、受領した際に使用した。グローブボックスに移す前に、モノマーおよび他の試薬(例えば開始剤、モノマーなど)を高圧下で凍結乾燥することによって、良く乾燥させた。
【0292】
N−ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル−N’−シクロヘキシルチオウレア(TU)をR.C.Prattら、Macromolecules、2006年、第39巻(23)、7863〜7871ページに報告されているように調製して、CaH上で乾燥THF中にて撹拌し、濾過し、真空下で溶媒を除去することによって乾燥した。
【0293】
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデカ−7−エン(DBU)をCaH上で撹拌し、グローブボックスに移す前に真空蒸留した。
【0294】
ヒト皮膚線維芽細胞を、RPMI1640培地で培養した。全ての培養培地に、10%ウシ胎児血清、100U/mLのペニシリンおよび100マイクログラム/mLのストレプトマイシン(HyClone、USA)を補った。MTTを、濃度5mg/mLとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)に溶解し、使用前に水溶液を0.22マイクロメートルフィルターで濾過して、青色ホルマザン結晶を除去した。
核磁気共鳴(NMR)分光測定
【0295】
モノマーおよびポリマーのH−および13C−NMRスペクトルは、Bruker Avance 400スペクトロメータを使用して記録し、それぞれ400MHzおよび100MHzで、内部対照標準として溶媒のプロトンシグナルを用いて運用した。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分子量の決定
【0296】
SECは、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として使用し、ポリマーの変換をモニターすると共に、マクロ連鎖移動剤のポリスチレン等価分子量を決定するために、実施した。THF−SECは、Waters 2695D(Waters Coprporation、USA)分離モジュールに、Optilab rEX示差屈折計(Wyatt Technology Corporation、USA)、ならびにWaters HR−4EおよびHR 1カラム(Waters Coprporation、USA)を備え付けて記録した。装置は、THF中で30℃に平衡化し、ポリマー溶媒として供給し、流速1.0mL/分で溶出するものとした。ポリマー溶液は、公知の濃度(およそ3mg/mL)に調製し、100マイクロリットルの注入量を使用した。データの収集および解析は、Astra software(Wyatt Technology Corporation、USA;バージョン5.3.4.14)を使用して行った。カラムは、Mp=360DaからMp=778kDaまでの範囲のポリスチレン標品の一式(Polymer Standard Service、USA)を用いて較正した。
レオロジー実験
【0297】
既知濃度(4〜8重量%)のハイドロゲルおよび有機ゲルを、脱イオン(DI)水中に25℃でコポリマーを溶解することによって調製した。ハイドロゲルのレオロジー解析は、ARES−G2流量計(TA Instruments、USA)に、8mm径のプレート−プレートジオメトリを備え付けて行った。測定は、1mmの間隙のプレート間で、25℃でゲルを平衡化させることによって取得した。データは、0.2%の制御されたストレインおよび1.0〜100ラジアン/secの走査周波数で収集した。ポリマー懸濁液のゲル化特性は、各点における貯蔵せん断弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を測定することによって、モニターした。ずり流動化解析には、ハイドロゲルの粘度を、0.1〜10秒−1のずり速度の関数としてモニターした。
ハイドロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)撮像
【0298】
形態構造上の摂動を最小限にするために、液体窒素で満たしたチャンバ内に試料を移し入れることによって、ハイドロゲルを凍結固定した。続いて1日の凍結乾燥工程をおいた。ゲルの形態構造を、SEM(Jeol JSM−7400F、日本)を使用して観察した。
1.モノマーの調製
【0299】
MTC−OH(MW160.1)の調製
【0300】
【化76】
【0301】
MTC−OHは、R.C.Prattら、Chemical Communications、2008、114−116の方法によって調製することができる。
【0302】
MTC−C6H5(MW326.2)の調製
【0303】
【化77】
【0304】
100mLの丸底フラスコに、bis−MPA、(7)、(5.00g、37mol、MW134.1)、ビス−(ペンタフルオロフェニル)カーボネート(PFC、31.00g、78mmol、MW394.1)および各回70mLのテトラヒドロフラン(THF)でリンスしたCsF(2.5g、16.4mmol)を装入した。初めは、反応が不均一であったが、1時間後に清澄で均一な溶液が形成され、そのまま20時間撹拌した。溶媒を真空除去し、残渣を塩化メチレンに溶解した。溶液を約10分間放置し、その間にペンタフルオロフェノール副生成物を沈殿させて、定量的に回収することができた。このペンタフルオロフェノール副生成物は、ペンタフルオロフェノールの19F NMRにおいて特徴的な3つのピークを、GCMSにおいて質量184の単一のピークを示した。濾過物を重炭酸ナトリウム、水で抽出し、MgSOで乾燥させた。溶媒を真空留去し、生成物を再結晶化(酢酸エチル/ヘキサン混合物)して、MTC−Cを白色粉末結晶として得た。GCMSでは、326g/molの単一のピークであった。C12についての分子量の計算値は、所与の構造と一致した。1H-NMR (400MHz、CDCl3中):デルタ4.85 (d, J = 10.8Hz, 2H, CHaHb)、4.85 (d, J = 10.8Hz, 2H, CHaHb)、1.55 (s, 3H, CCH3)
【0305】
MTC−BnCl(MW298.7)の調製
【0306】
【化78】
【0307】
フラスコに、MTC−C6F5(10g、30.6mmol)、p−クロロメチルベンジルアルコール(4.8g、30.6mmol)、PROTON SPONGE(2g、9.3mmol)およびTHF(30mL)を装入した。反応混合物を12時間撹拌して、次いでシリカゲルカラムに直接的に添加した。ジエチルエーテルを溶離液として使用して、生成物を単離し、7.45g(81%)の白色粉末結晶を生成させた。
【0308】
MTC−PrCl(MW236.65)の調製
【0309】
【化79】
【0310】
塩化オキザリルを用いた標準的なプロトコールを使用して、MTCOH(8.82g、55mmol)をMTCOClに変換した。撹拌子を備えた250mLの乾燥丸底フラスコ内で、形成された中間体を150mLの乾燥塩化メチレンに溶解した。窒素気流下で添加用漏斗を取り付け、その中に、3−クロロプロパノール(4.94g、4.36mL、52.25mmol)、ピリジン(3.95g、4.04mL、55mmol)および50mLの乾燥塩化メチレンを装入した。氷浴を使用してフラスコを0℃に冷却し、上部の溶液を30分の間、滴下添加した。形成された溶液をさらに30分間撹拌し、氷浴を外して、溶液を窒素下でさらに16時間撹拌した。MTC−PrClの粗生成物を、シリカゲルカラム上に直接的にアプライし、100%塩化メチレンで溶出することによって、生成物を分離した。生成物の画分を取り出して、溶媒を留去し、生成物を灰白色の油として生成させたが、放置後に結晶となった。収量11g(85%)。1H-NMR (CDCl3) デルタ:4.63 (d, 2H, CH2)、4.32 (t, 2H, CH2)、4.16 (d, 2H, CH2)、3.55 (t, 2H, CH2)、2.09 (m, 2H, CH2), 1.25 (s, 3H, CH3).
【0311】
5−メチル−5−(3−ブロモプロピル)オキシカルボキシル−1,3−ジオキサン−2−オン(MTC−PrBr)(MW281.10)の調製
【0312】
【化80】
【0313】
3−ブロモ−1−プロパノールをアルコールとして使用し、MTCOPrClに用いた手順によって、MTCOPrBrを45mmolスケールで調製した。生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、続いて再結晶化させて、白色結晶を生成させた(6.3g、49%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3):デルタ 4.69 (d, 2H; CH2OCOO)、4.37 (t, 2H; OCH2)、4.21 (d, 2H; CH2OCOO)、3.45 (t, 2H; CH2Br)、2.23 (m, 2H; CH2)、1.33 (s, 3H; CH3).13C NMR (100 MHz, CDCl3):delta 171.0、147.3、72.9、63.9、40.2、31.0、28.9、17.3.
【0314】
MTC−VitEモノマーの調製
【0315】
【化81】
【0316】
数滴のDMFを加えた無水THF(50mL)に、MTC−OH(3.08g、19.3mmol)を溶解した。次いで塩化オキザリル(3.3mL、39.4mmol)を滴下添加して、反応混合物を窒素気流下で1時間撹拌して、揮発性物質を真空下で除去した。結果として生じた灰白色の固体を2〜3分間、65℃に加熱し、あらゆる試薬残渣および溶媒を除去して、塩化アシル中間体であるMTC−Clを得た。固体を乾燥ジクロロメタン(50mL)に再溶解し、氷浴を使用して0℃に冷却した。ジクロロメタン(50mL)中のアルファ−トコフェロール(8.30g、19.3mmol)の溶液および乾燥トリエチルアミン(3mL、21.6mmol)を、続いて30分間にわたって滴下添加した。混合物を周囲温度にまで温めて、さらに18時間撹拌した。溶媒を除去後に固体粗生成物を得て、シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィーによる精製に付した。ヘキサンを初めに溶離液として使用して、その後、穏やかに極性を上げてゆき、最終的な終点を50%酢酸エチルとした。2回目のクロマトグラフィー分離を、ジクロロメタン/酢酸エチル(4:1)を使用して行い、所望の生成物を、高純度で白色固体として得た(6.05g、53%).1H NMR (400 MHz, CDCl3):デルタ 4.92 (d, 2H, J = 10.8 Hz, MTC-CH2)、4.34 (d, 2H, J = 10.8 Hz, MTC-CH2)、2.59 (d, 2H, J = 6.7 Hz, テトラヒドロピラノ-CH2)、2.09 (s, 3H, Ar-CH3)、2.00 (s, 3H, Ar-CH3)、1.96 (s, 3H, ArCH3)、1.70-1.90 (m, 2H)、1.00-1.60 (オーバーラッピングピーク, 27H)、0.80-0.90 (m, 12H, 4 × CH3 疎水性尾部上).
II.カチオン性ポリマーの調製
【0317】
実施例1〜8
ランダムなカチオン性コポリマーを調製し、調製には、カチオンサブユニット用にMTC−PrBrおよびMTC−BnCl前駆体と、疎水性コモノマーとしてMTC−VitEと、ベンジルアルコール(BnOH)開始剤と、DBU/チオウレアとを使用した。4級化は、トリエチルアミンを用いて行った。反応の順序をスキーム1に示す。
【0318】
【化82】
【0319】
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(すなわちm’:n’=1:30)の調製を代表とする。グローブボックス内の、磁気撹拌子を入れた20mLのバイアル中で、MTC−BnCl(608.8mg、2.04mmol、30当量)、MTC−VitE(40.0mg、68マイクロモル、1.0当量)およびTU(25.2mg、68マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(3mL)に溶解した。この溶液に、ベンジルアルコール(BnOH)(7.0マイクロリットル、68マイクロモル、1.0当量)と、続いてDBU(10.2マイクロリットル、68マイクロモル、1.0当量)とを添加して、重合化を開始した。反応混合物を室温で20分間撹拌し、過剰量(〜20mg)の安息香酸の添加によってクエンチした。次いで混合物を氷浴メタノール(50mL)中に沈殿させて、−5℃で30分間遠心分離した。結果として生じた半透明の油を、真空下で乾固し、泡状の白色固体を得た。中間体のGPC分析を実施し、ポリマーはさらに精製を行わずに使用した。続いてポリマーをアセトニトリルに溶解し、テフロン(登録商標)栓シール可能なチューブに移して、0℃に冷却した。トリメチルアミンを添加して、4級化工程を開始した。反応混合物を、室温で18時間、シールチューブ内で撹拌した。反応の過程中に、油状物質の沈殿が観察された。混合物を、真空下で乾固し、凍結乾燥して、最終的に白色のクリスプな泡状の固体を得た。最終生成のポリマーを1H NMRによって特性解析に付し、最終的な組成および純度を決定した。
【0320】
カチオン性ポリマーを形成するための重合化は、一般に効率がよく、適度に高収量を与える。MTC−BnClの場合は、反応を30分以内にクエンチした。MTC−PrBrの反応は、大抵は4時間まで要した。全ての予め第四級したポリマーを、GPC分析に付したところ、その全てがPDI<1.3の単峰形を有したことから、よく制御された重合化であったことが示された。最終的な4級化ポリマーのプロトンNMR解析もまた、式に一致した。
【0321】
表6に、MTC−VitEおよびBnOH開始剤を用いて調製したカチオン性ランダムコポリマー、その重合化度(DP)、第四級化試薬、CMCおよび各カチオン性サブユニットの総炭素数を挙げる。表6の各ポリマーについて、m’=1である。
【0322】
【表6】
【0323】
表7に、MTC−VitEを使用して調製したカチオン性ランダムコポリマーの分析特性を挙げる。
【0324】
【表7】
【0325】
III.トリブロック・コポリマーの調製
【0326】
MTC−VitEの有機触媒性の開環重合(ROP)は、ポリ(エチレングリコール)(HO−PEG−OH)によって開始され、スキーム2によるDBU/チオウレア触媒の組合せを使用して達成された。
【0327】
【化83】
【0328】
MTC−VitEを用いた開環重合(ROP)は、不完全であり、変換効率は、おおよそ60%であった。過剰量のモノマーおよび試薬を、ジエチルエーテルを用いた沈殿を繰り返すことによって除去した。ポリマーの最終的な組成を、PEGのOCH−CHピークと、MTC−VitEの疎水性尾部上の4つのCHピークとの比較によって決定した。ポリマーの疎水性は、MTC−VitE部分の量を変えることによって調整した。親水性は、HO−PEG−OHの長さを変えることによって調整した。トリブロック・コポリマーは、エンドキャップを行わなかった。
【0329】
実施例9〜14
実施例11のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を代表とする。グローブボックス内の、磁気撹拌子を入れた20mLのバイアル中で、MTC−VitE(58.9mg、100マイクロモル、4.0当量)、HO−PEG−OH(Mn=20kDa、500mg、25マイクロモル、1.0当量)およびTU(9.3mg、25マイクロモル、1.0当量)をジクロロメタン(4mL)に溶解した。この溶液に、DBU(3.7マイクロリットル、25マイクロモル、1.0当量)を添加して、重合化を開始した。反応混合物を室温にて撹拌したまま、試料のアリコートを採取して、モノマーの変換と分子量の増大をH NMR分析およびSECによってモニターした。120分後に、過剰量(〜20mg)の安息香酸の添加によって、反応混合物をクエンチし、氷冷ジエチルエーテル(2×50mL)中に沈殿させた。結果として生じたポリマーを、バイアル中にて約1〜2日乾燥し、試料の恒量を白色粉末として得た。
【0330】
表8に、スキーム2の反応を使用して形成させたトリブロック・コポリマーの概要を示す。
【0331】
【表8】
【0332】
表9に、トリブロック・コポリマーの分析結果を列記する。
【0333】
【表9】

IV.ハイドロゲルおよび有機ゲルの調製
ブランクハイドロゲルの調製
【0334】
実施例15
VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)を、HPLCグレード水(1mL)に25℃で溶解して、4重量%のハイドロゲルを形成させた。
【0335】
実施例16
VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(80mg)を、HPLCグレード水(1mL)に25℃で溶解して、8重量%のハイドロゲルを形成させた。ゲルを4時間で形成させた。
【0336】
実施例17
VitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(40mg)を、HPLCグレード水(1mL)に25℃で溶解して、4重量%のハイドロゲルを形成させた。ゲルを4時間で形成させた。
【0337】
実施例18
VitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(80mg)を、HPLCグレード水(1mL)に25℃で溶解して、8重量%のハイドロゲルを形成させた。ゲルを4時間で形成させた。
【0338】
ブランクABA有機ゲル
【0339】
実施例19
VitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5(80mg)をKOLLIPHOR RH40(200マイクロリットル)に溶解して、該混合物を1400rpmで撹拌しながら85℃で1時間加熱することによって、10重量%の有機ゲルを形成させた。HPLCグレード水(10マイクロリットル)を、次いで撹拌しながら有機ゲルへ添加した。
【0340】
実施例20
実施例19の手順を使用して、10重量%の有機ゲルVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5を調製した。
ABAコポリマー/ニコチン酸ナトリウムハイドロゲルの調製
【0341】
実施例21
ニコチン酸ナトリウムを、HPLCグレード水に溶解して濃度3g/Lとした。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に25℃で添加して、ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含むハイドロゲルを形成した。
【0342】
実施例22
ニコチン酸ナトリウムを、HPLCグレード水に溶解して濃度3g/Lとした。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(80mg)に25℃で添加して、ハイドロゲルの総重量に基づき、8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含むハイドロゲルを形成した。
【0343】
実施例23
ニコチン酸ナトリウムを、HPLCグレード水に溶解して濃度3g/Lとした。次いでこの溶液(1mL)を、VitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(40mg)に25℃で添加して、ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含むハイドロゲルを形成した。
ABAコポリマー/ハーセプチンハイドロゲルの調製
【0344】
実施例24
抗体ハーセプチンを、HPLCグレード水に溶解して濃度10g/Lとした。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に周囲温度で添加して、ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチンを含むハイドロゲルを形成した。
【0345】
実施例25
抗体ハーセプチンを、HPLCグレード水に溶解して濃度10g/Lとした。次いでこの溶液(1mL)を、VitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(40mg)に25℃で添加して、ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5および1.0重量%のハーセプチンを含むハイドロゲルを形成した。
抗菌性ABAトリブロック/ドキシサイクリン有機ゲルの調製
【0346】
【化84】
【0347】
抗菌性有機ゲルを調製するために、トリブロック・コポリマーを、まずKOLLIPHOR RH40に、85℃に加熱することによって溶解した。細胞培養用フード内で、ドキシサイクリンを分けて濾過HPLC水に溶解した。次いで2つの溶液を室温で合わせて混合し、有機ゲルを形成した。
【0348】
実施例26
VitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5(20mg)を、KOLLIPHOR RH40(200マイクロリットル)に溶解し、85℃に加熱し、1400rpmで1時間撹拌した。その後、ドキシサイクリン溶液(HPLCグレード水に200g/L)(10マイクロリットル)を添加し撹拌して、ハイドロゲルの総重量に基づき、10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5および1重量%のドキシサイクリンを含む有機ゲルを形成した。
【0349】
実施例27
VitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5(20mg)を、KOLLIPHOR RH40(200マイクロリットル)に溶解し、85℃に加熱し、1400rpmで1時間撹拌した。その後、ドキシサイクリン溶液(HPLCグレード水に200g/L)(10マイクロリットル)を添加し撹拌して、ハイドロゲルの総重量に基づき、10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5および1重量%のドキシサイクリンを含む有機ゲルを形成した。
ABAトリブロック/カチオン性ポリマーハイドロゲルの調製
【0350】
抗菌性ハイドロゲルを調製するために、カチオン性ポリマーを、バイオフード内で、まず濾過HPLC水に25℃で溶解した。結果として得た溶液を、次いで固形トリブロック・コポリマーへ添加して溶解し、室温で放置した。
【0351】
実施例28
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(1mg)を、滅菌HPLCグレード水(1mL)に溶解して、濃度溶液(1g/L)を形成させた。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加し、周囲温度に4時間放置して、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.1重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
【0352】
実施例29
カチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)(1mg)を、滅菌HPLCグレード水1mLに溶解して、濃度溶液(1g/L)を形成させた。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加し、周囲温度に4時間放置して、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.1重量%のVE/PrBr(1:30)を含む。
フルコナゾールを含む2成分または3成分のハイドロゲルの調製
【0353】
実施例30
フルコナゾール(0.5mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に溶解して、濃度0.5g/Lとした。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、フルコナゾール保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.05重量%のフルコナゾール(500mg/L)を含む。
【0354】
実施例31
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.156mg)(C.albicansについて0.5MBC=156mg/L)およびフルコナゾール(0.01mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0156重量%のVE/Bn(1:30)および0.001重量%のフルコナゾールを含む。
【0355】
実施例32
0.25MBC(C.albicansについて78mg/L)のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.078mg)およびフルコナゾール(0.04mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0078重量%のVE/BnCl(1:30)および0.004重量%のフルコナゾールを含む。
ドキシサイクリンを含む2成分または3成分のハイドロゲルの調製
【0356】
実施例33
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.0156mg)およびドキシサイクリン(0.0025mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.00156重量%のVE/Bn(1:30)および0.00025重量%のフルコナゾールを含む。
【0357】
実施例34
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.0156mg)およびドキシサイクリン(0.005mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.00156重量%のVE/Bn(1:30)および0.0005重量%のフルコナゾールを含む。
【0358】
実施例35
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.0312mg)およびドキシサイクリン(0.0025mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.00312重量%のVE/BnCl(1:30)および0.00025重量%のフルコナゾールを含む。
【0359】
実施例36
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.0312mg)およびドキシサイクリン(0.0025mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.00312重量%のVE/BnCl(1:30)および0.00025重量%のフルコナゾールを含む。
【0360】
S.aureus、E.coliおよびC.albicansに対するMBCに調製されたハイドロゲル
【0361】
実施例37
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.156mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
【0362】
実施例38
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.625mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
【0363】
実施例39
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.3125mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.03125重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
【0364】
実施例40
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.25mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.025重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
【0365】
実施例41
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.313mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0313重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
【0366】
実施例42
カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)(0.625mg)を滅菌HPLCグレード水(1mL)に含む溶液を、25℃で調製した。次いでこの溶液(1mL)を、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(40mg)に添加して、保持ハイドロゲルを形成させた。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/BnCl(1:30)を含む。
フルコナゾールを含む2成分または3成分のハイドロゲルの調製
【0367】
実施例43
実施例30の手順の概要にしたがって、フルコナゾール保持ハイドロゲルを調製した。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のフルコナゾール(500mg/L)を含む。
【0368】
実施例44
実施例31の手順の概要にしたがって、保持ハイドロゲルを調製した。該ハイドロゲルは、該ハイドロゲルの総重量に基づき、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.3重量%のVE/BnCl(1:30)および0.3重量%のフルコナゾールを含む。
【0369】
表10にハイドロゲルおよび有機ゲルの組成物を挙げる。
【0370】
【表10】
【0371】
【0372】
VI.薬剤溶液の調製
ハーセプチン溶液の調製
【0373】
細胞培養検討のために、滅菌HPLCグレード水を使用して、ハーセプチンを以下の濃度に溶解した。すなわち、0.005、0.02、0.1、0.5、1および5g/Lである。
フルコナゾール溶液の調製
【0374】
【化85】
【0375】
抗菌剤検討のために、滅菌HPLCグレード水を使用して、フルコナゾールを適切な濃度に溶解した。例えば、5mg/Lのフルコナゾールを含む溶液は、フルコナゾールのストック溶液(1g/L)に滅菌HPLCグレード水を加えることによって形成させた。
VII.特性
レオロジー特性評価
【0376】
ハイドロゲルのレオロジー解析を、ARES−G2レオメータ(TA instruments、USA)に8mm径のプレート−プレートジオメトリを備え付けて行った。測定は、1mmの間隙のプレート間で、25℃でゲルを平衡化させることによって取得した。データは、0.2%の制御されたストレインおよび1.0〜100ラジアン/秒の走査周波数で収集した。ハイドロゲルの貯蔵せん断弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を、各点で測定した。ずり流動化解析には、ハイドロゲルの粘度を、0.1〜10秒−1のずり速度の関数としてモニターした。貯蔵せん断弾性率G’から、有効架橋間の分子量であるMcを、以下の数式を使用して計算した。
【0377】
【数1】
上式で、ρは、ポリマー濃度(g/m)であり、Rは、モルガス定数であり、Tは、絶対温度である。
【0378】
ネットワークを破壊した後のハイドロゲルの弾性係数の回復は、100%の高い歪みを200秒間加えて、1rad/秒の定周波数でG’およびG”の変化をモニターすることによって、検討した。
走査型電子顕微鏡(SEM)画像
【0379】
形態構造上の摂動を最小限にするために、液体窒素で満たしたチャンバ内に試料を移し入れることによって、ハイドロゲルを凍結固定した。次いで1日の凍結乾燥工程を行った。ゲルの形態構造を、SEM(Jeol JSM−7400F、日本)を使用して観察した。
in vitroでのハイドロゲルからのニコチン酸ナトリウムの放出
【0380】
ハイドロゲルからのニコチン酸ナトリウムの放出を、透析法を使用して検討した。500Daの分子量カットオフ(MWCO)を有する透析膜(Spectrum Laboratories、USA)に0.5mLのゲルを入れて、25mLの放出媒体(すなわち、PBS(pH7.4))に浸漬した。これを37℃の水浴中にて100rpmで撹拌した。指定された時間間隔で、0.5mLの放出媒体を除去し、新鮮な媒体に置換した。除去した媒体を、体積比99:1の50mM KHPO(pH7.0に調整)およびメタノールからなるHPLC移動相に混合した。薬剤含量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、Waters 996 PDA検出器、USA)を使用して、220nmのUV波長で分析した。
in vitroでのハイドロゲルからのハーセプチンの放出
【0381】
ハーセプチン保持ハイドロゲルを、Transwellインサート(Corning、USA)に移した。次いで、インサートを、25mLの放出媒体(すなわち、PBS(pH7.4))に浸漬した。これを、37℃の水浴中にて100rpmで撹拌し続けた。指定された時間間隔で、0.1mLの放出媒体を除去し、新鮮な媒体に置換した。ハーセプチンの放出量を、タンパク質定量BCAアッセイ(Pierce、USA)を使用して定量した。
in vitroでの有機ゲルからのドキシサイクリンの放出
【0382】
ドキシサイクリンを含む保持有機ゲルを、Transwellインサート(Corning、USA)に移した。次いで、インサートを、25mLの放出媒体(PBS pH7.4または1×10U/LのリパーゼのPBS pH7.4溶液のどちらか)に浸漬した。これを、37℃の水浴中にて100rpmで撹拌し続けた。指定された時間間隔で、1.0mLの放出媒体を除去し、新鮮な媒体に置換した。リパーゼの活性を維持させるために各一晩のインキュベーションを経て、放出媒体を新鮮な媒体に完全に置換した。収集した媒体を、体積比30:70の25mM KHPO:アセトニトリルからなるHPLC移動相(pH3.0に調整)に混合した。薬剤含量を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、Waters 996 PDA検出器、USA)を使用して、260nmのUV波長で分析した。
MTTアッセイを使用したハイドロゲルの細胞毒性検討
【0383】
ヒト皮膚線維芽細胞を96穴プレートに2×10細胞/穴で播種し、100マイクロリットルの増殖培地で培養した。次いで、プレートを24時間、インキュベータへ戻して、処理前に70〜80%のコンフルエンシに到達させた。所望の細胞のコンフルエンシに到達した際に、使用済みの増殖培地を各穴から除去し、50マイクロリットルの新鮮培地および50マイクロリットルのハイドロゲルに置換して、24時間インキュベートした。各条件について4連で試験した。処理が完了した際に、培養培地を除去して、10マイクロリットルのMTT溶液を、各100マイクロリットルの新鮮培地に添加した。次いで、プレートをインキュベータに戻して、5%CO、37℃で、さらに3時間維持した。次いで、各穴の増殖培地および過剰量のMTTを除去した。150マイクロリットルのDMSOを次いで各穴に添加して、内在化した紫色ホルマザン結晶を溶解した。100マイクロリットルのアリコートを各穴から採取し、新しい96穴プレートに移した。次いで、マイクロプレート・リーダ(Tacan、USA)を使用して、プレートを550nmおよび対照波長690nmでアッセイした。ホルマザン結晶の吸収の読み取りは、550nmの吸収から690nmの吸収を差し引いて得た。結果を、無処理のコントロール細胞の吸収の百分率として表した。
【0384】
ヒト皮膚線維芽細胞を24穴プレートに6×10細胞/穴で播種し、500マイクロリットルの増殖培地で培養した。次いで、プレートを24時間、インキュベータへ戻して、処理前に70〜80%のコンフルエンシに到達させた。所望の細胞のコンフルエンシに到達した際に、使用済みの増殖培地を各穴から除去し、500マイクロリットルの新鮮培地に置換した。50マイクロリットルの有機ゲルをTranswellインサート(Corning、USA)へ添加して、培養培地に浸漬した。細胞を次いで24時間、有機ゲルと共にインキュベートした。各条件について3連で試験した。処理が完了した際に、培養培地を除去して、10plのMTT溶液を100マイクロリットルの新鮮培地に添加した。次いで、プレートをインキュベータに戻して、5%CO、37℃で、さらに3時間維持した。次いで、各穴の増殖培地および過剰量のMTTを除去した。150マイクロリットルのDMSOを次いで各穴に添加して、内在化した紫色ホルマザン結晶を溶解した。100マイクロリットルのアリコートを各穴から採取し、新しい96穴プレートに移した。次いで、マイクロプレート・リーダ(Tacan、USA)を使用して、プレートを550nmおよび対照波長690nmでアッセイした。ホルマザン結晶の吸収の読み取りは、550nmの吸収から690nmの吸収を差し引いて得た。結果を、無処理のコントロール細胞の吸収の百分率として表した。
【0385】
濃度の影響、疎水性/親水性のバランスおよび両親媒性のコポリマーの化学組成を、動力的機械的解析によって精査した。ポリマー濃度は、ハイドロゲルの貯蔵弾性率G’に強く影響する。図1A図1Dは、ブランクハイドロゲルの機械的特性を示すグラフである。図1Aは、ブランクハイドロゲルの貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G”)を示すグラフであり、該ハイドロゲルは、4重量%および8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25をHPLC水に含む(それぞれ実施例15および16)。図1Bは、ブランクハイドロゲルの貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G”)を示すグラフであり、該ハイドロゲルは、4重量%および8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5をHPLC水に含む(それぞれ実施例17および18)。図1Cは、ブランクハイドロゲルのずり速度への粘度依存性を示すグラフであり、該ハイドロゲルは、4重量%および8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25をHPLC水に含む(それぞれ実施例15および16)。図1Dは、ブランクハイドロゲルのずり速度への粘度依存性を示すグラフであり、該ハイドロゲルは、4重量%および8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5をHPLC水に含む(それぞれ実施例17および18)。
【0386】
図1Aに示すように、濃度を倍加させると(4〜8重量%)、G’は4〜10倍の高値となる。特に、8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5は、約12000Paの貯蔵弾性率G’を有し、この値は、4重量%ゲル(G’1400Pa)よりもほぼ10倍高い。ポリマーの疎水性部分と親水性部分の間のバランスのゲル剛性への影響は、高いポリマー濃度で見ることができる。8重量%の濃度における1.25から2.5へのMTC−VitEサブユニットの増加によって、貯蔵弾性率G’が約5000Paから約12000Paに増加する。物理的架橋間の分子量Mcを決定し、表11に概要を示した。ポリマー濃度を上げたハイドロゲルは、さらに低いMc値を示したが、このMc値は、架橋間の分子量がさらに低くなったこと、および架橋密度がさらに高くなったことに対応する。
【0387】
【表11】
【0388】
図1C(実施例15および16)ならびに図1D(実施例17および18)の25℃におけるずり速度へのハイドロゲルの粘度依存性は、明確にゲルのずり流動化特性を示している。ずり流動化は、ずり応力のかかったポリマー鎖間の物理的な架橋の破壊に起因する。ずり流動化は、局所施用と注射可能な施用の両方に望ましい。
【0389】
図1Eは、10重量%の有機ゲルのずり速度への粘度依存性を示し、該有機ゲルは、VitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5(実施例19)およびVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5(実施例20)を用いてKOLLIPHOR RH40中に調製したものである。有機ゲルは、低いずり速度において高い粘度を発揮し、このことは、よく構成されかつ堅固な構造であることを示している。ずり速度の増加においては、ゲルの粘度は漸減し、薄い液体となる。このことは、有機ゲルが、医薬化合物の局所デリバリのために、皮膚全体にわたってよく広げることができることを示している。
【0390】
ハイドロゲルを注射可能な薬剤デポーとして使用するには、ずり応力が解除された場合に、低粘度の溶液相が速やかにゲルを形成することが不可欠である。この特性を検討するために、ダイナミックステップひずみ振幅試験(γ=0.2または100%)を、HPLCグレード水中のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)ハイドロゲル(実施例15、図2に−ハーセプチンで標示)、およびハーセプチン保持ゲル(実施例24、図2に−ハーセプチンで標示)に適用した。図2のグラフは、開始時のG’が、小さなひずみ(γ=0.2%)では約1400Paであることを示している。高いひずみ(γ=100%)に付す場合には、G’値は、25℃で、直ちに1/20を下回って67Paにまで減少する。200秒間の連続的な応力を印加した後、ひずみは、γ=0.2%に戻り、G’は、25℃で直ちに約1400Paにまで何ら損失なく回復した。このダイナミックステップひずみ試験は、臨床において25℃で皮下組織内に投与する間の押圧の所作を模倣するものである。ハイドロゲルのレオロジー上の動態の可逆性は、医薬のデリバリのための注射可能なマトリックスとして使用するのに好都合である。
ハイドロゲルのSEM撮像
【0391】
ハイドロゲルを、脱イオン(DI)水中に形成させ、液体窒素を満たしたチャンバへ速やかに移した。凍結したハイドロゲルを1日凍結乾燥させ、次いで撮像した。ハイドロゲルの走査型電子顕微鏡(SEM)撮像画像(図3A図3D)は、ハイドロゲルネットワークの横断面の形態構造および多孔性が、ポリマー濃度に強く影響を受けることを示している。図3Aおよび図3Bは、4重量%(実施例15)および8重量%(実施例16)の濃度のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25をHPLCグレード水に含むブランクハイドロゲルのSEMをそれぞれ示す。図3Cおよび図3Dは、4重量%(実施例17)および8重量%(実施例18)の濃度のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5をHPLCグレード水に含むブランクハイドロゲルのSEMをそれぞれ示す。長くしなやかな繊維が、両方のVitE1.25−PEG(20k)−の4重量%のハイドロゲルに、大きな割合で存在しており、長いしなやかな繊維が、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(図3A)とVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(図3C)の両方の4重量%のハイドロゲルに、大きな割合で存在しており、このことは、PEG鎖のもつれに起因する蓋然性が最も高い。これらの長くしなやかな繊維は、約0.1〜約1マイクロメートルの径で異なる。ナノサイズ(<1マイクロメートル)の球形の構造が、線維の長さに伴って発生するが、この構造は、ポリマーの自己会合の過程中に形成されるミセルである可能性がある。8重量%の濃度では、ハイドロゲルは、ナノ相レベルに分離したスポンジ構造をとる(図3Bおよび図3D)。そのスポンジ構造の多孔性は、異なるポリマー濃度で異なったものとなる。4重量%では、ハイドロゲルは、8重量%のハイドロゲルよりも、さらに多孔性を有したものとなる。
ハイドロゲルおよび有機ゲルからの薬剤の放出
【0392】
図4Aは、保持ハイドロゲルからのニコチン酸ナトリウムの放出速度をプロットしたグラフであり、該保持ハイドロゲルは、実施例21(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含む)、実施例22(8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含む)および実施例23(4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5および0.3重量%のニコチン酸ナトリウムを含む)である。保持ハイドロゲルは、ハイドロゲルを37℃でリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中に浸漬し、継時的にPBS溶液のニコチン酸塩の濃度を測定することによって検討した。トリブロック・コポリマー濃度が高いほど、ハイドロゲルからのニコチン酸ナトリウムの放出が大幅に低いものとなった(図4A)。これは、おそらくはゲルマトリックスの多孔性が低く、その結果、ゲルを介した薬剤分子の拡散がさらに遅くなったためである。コポリマーの疎水性/親水性バランスも、放出プロファイルに影響を与える。図4Aでは、4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(実施例23)が、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(実施例21)よりも速いニコチン酸ナトリウムの放出を示している。畏友付ける訳ではないが、このことは、VitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5のさらに低い疎水性に起因し、この疎水性は、結果としてポリマーとニコチン酸ナトリウム分子との分子間水素結合の程度を低める可能性がある。
【0393】
大きな生体分子は、同様の傾向の放出プロファイルを示す。図4Bは、保持ハイドロゲルからのハーセプチンの放出速度をプロットしたグラフであり、該保持ハイドロゲルは、実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチンを含む)および実施例25(4重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5および1.0重量%のハーセプチンを含む)である。大きな違いがハーセプチンの放出速度に観察された。VitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(実施例25)ハイドロゲルから、タンパク質の90%が48時間内に放出されたのに対し、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(実施例24)からの同量の放出は、312時間で完了した。
【0394】
ドキシサイクリン(DXY)の放出は、有機ゲルをPBSに浸漬し、PBS溶液中のドキシサイクリンの濃度を継時的に測定することによって検討した。有機ゲルの分解を促進するために、リパーゼを放出媒体に添加した。図4Cは、リパーゼの存在下および非存在下における有機ゲルからのドキシサイクリンの放出速度をプロットしたグラフであり、該有機ゲルは、実施例26(10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5および1.0重量%のドキシサイクリンを含む)および実施例27(10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5および1.0重量%のドキシサイクリンを含む)である。リパーゼの存在は、77時間まではドキシサイクリンの放出の増加をもたらさず、VitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5(実施例26)およびVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5(実施例27)を伴う該酵素を含んだ媒体中に、20%近くも多くの抗生物質が放出された。リパーゼの存在下では、有機ゲルの分解が発生し、その結果、同様の量の抗生物質(〜75%)が2つのポリマーから放出された可能性がある。77時間後、薬剤の複数のピークが、HPLCクロ間とグラムに現れており、このことは、薬剤の分解を示している。測定をさらには行わなかった。
in vitroの生体適合性の検討
【0395】
ハイドロゲルを、そのin vitroの生体適合性について、ハイドロゲルおよび有機ゲルの24時間の存在下でヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を培養することによって評価した。図5は、ブランクハイドロゲルを用いて処理した後に生存していたHDF細胞の百分率を示す棒グラフであり、該ブランクハイドロゲルは、実施例15および16(それぞれ4重量%および8重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む)、ならびに実施例17および18(それぞれ4重量%および8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5を含む)である。低濃度(4重量%)のハイドロゲルは、細胞に対し何も毒性を表さなかった。しかし、8重量%のVitE2.5−PEG(20k)−VitE2.5(実施例18)の細胞生存率は、約75%であった。理由を付けようとする訳ではないものの、このことは、ハイドロゲルの高い剛性(G’〜12000)および低い多孔性(図3Dを参照)に起因し、その結果、細胞への栄養分の拡散が遅延し、細胞環境から代謝物が排除された可能性がある。
【0396】
図6は、ゲルを用いて処理した後に生存していたHDF細胞の百分率を示す棒グラフであり、該ゲルは、ブランク有機ゲル実施例19(10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5を含む)、ドキシサイクリン保持ハイドロゲル実施例26(10重量%のVitE6.5−PEG(20k)−VitE6.5および1重量%のドキシサイクリンを含む)、ブランク有機ゲル実施例20(10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5を含む)、ならびにドキシサイクリン保持ハイドロゲル実施例27(10重量%のVitE8.5−PEG(20k)−VitE8.5および1重量%のドキシサイクリンを含む)である。
ハイドロゲルによってデリバリされたハーセプチンの様々な細胞株に対する細胞毒性
【0397】
ハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)を、HER2/neuを過剰発現しているヒト乳がんBT474細胞、HER2/neuを低発現しているヒト乳がんMCF7細胞およびヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に対して試験し、該ハイドロゲルの処置特異性ならびにin vitro生体適合性を精査した。HER2/neuは、c−erbB−2としても知られている。
【0398】
ヒト皮膚線維芽細胞であるMCF7およびBT474細胞を、24穴プレートに6×10細胞/穴で播種し、500マイクロリットルの増殖培地で培養した。次いで、プレートを24時間、インキュベータへ戻して、処理前に〜70%のコンフルエンシに到達させた。所望の細胞のコンフルエンシに到達した際に、使い果たされた増殖培地を各穴から除去し、Transwellインサート中で500マイクロリットルの新鮮培地および共に50マイクロリットルの有機ゲルへ置換して、48時間または120時間のどちらかの間インキュベートした。各条件について4連で試験した。処理が完了した際に、培養培地を除去して、50マイクロリットルのMTT溶液を500マイクロリットルの新鮮培地に添加した。次いで、プレートをインキュベータに戻して、5%CO、37℃で、さらに3時間維持した。次いで、各穴の増殖培地および過剰量のMTTを除去した。600マイクロリットルのDMSOを次いで各穴に添加して、内在化した紫色ホルマザン結晶を溶解した。100マイクロリットルのアリコートを各穴から採取し、新しい96穴プレートに移した。次いで、マイクロプレート・リーダ(Tacan、USA)を使用して、プレートを550nmおよび対照波長690nmでアッセイした。ホルマザン結晶の吸収の読み取りは、550nmの吸収から690nmの吸収を差し引いて得た。結果を、無処理のコントロール細胞の吸収の百分率として表した。
【0399】
図7は、細胞を処理した後のハーセプチン濃度との相関関係として、HER2/neuを過剰発現しているヒト乳がんBT474細胞の生存率を示す棒グラフであり、細胞は、(a)ハーセプチン保持ハイドロゲル(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)で48時間、(b)ハーセプチン溶液で48時間、(c)ハーセプチン保持ハイドロゲル(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)で120時間、(d)およびハーセプチン溶液で120時間処理し、それぞれは、0.0005重量%、0.002重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%のハーセプチン濃度を使用して実施した。ハーセプチン保持ゲルは、実施例24の手順を使用して調製した。図7は、48時間の処理では、ハーセプチンがBT474細胞への十分な消滅効果を発揮するのに不十分であることを示す。約65%のBT474細胞が、供試した最も高いハーセプチン濃度(すなわち5g/L)でさえ依然として残った。興味深いことに、処理を120時間に延長した際には、ハイドロゲルを使用してデリバリしたハーセプチンのIC50が、0.02g/Lにまで劇的に減少し、一方、ブランクハイドロゲルは、最小限の細胞毒性であった。IC50とは、最大阻害濃度の半分であり、所与の生物学的な過程(または過程の構成要素、すなわち酵素、細胞、細胞の受容体もしくは微生物)を阻害するために、特定の薬剤または他の物質(阻害剤)がどの程度必要であるかについての定量基準である。ハーセプチンの溶液製剤のIC50は、さらに低く、<0.005g/Lである。理由を付けようとする訳ではないものの、このハイドロゲル製剤の高いIC50値は、該ハイドロゲルからのハーセプチンの放出速度論に起因すると思われる。ハーセプチンの初発量の約50%が、5日目まで(すなわち120時間)に放出されたが、さらに、細胞毒性効果の累積も、ハーセプチン溶液のボーラス・デリバリに比べて、5日間にわたって低減したことになる。ハーセプチン保持ハイドロゲルは、BT474細胞を高いハーセプチン濃度(≧1g/L)で消滅させる際に極めて有効であり、70%以上の細胞が120時間に消滅した。薬物動態検討では、ハーセプチンが6.2〜8.3日の半減期を有することを示しており、ハイドロゲルからの2週間以上にわたるハーセプチンの持続放出プロファイルを用いて、in vivoで抗体の継続供給をデリバリして、HER2+腫瘍を根絶させることが可能となることが期待される。
【0400】
図8は、細胞を処理した際のハーセプチン濃度の相関関係として、MCF7細胞の生存率を示す棒グラフであり、細胞は、(a)ハーセプチン保持ハイドロゲル(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)で48時間、(b)ハーセプチン溶液で48時間、(c)ハーセプチン保持ハイドロゲル(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)で120時間、(d)およびハーセプチン溶液で120時間処理し、それぞれは、0.0005重量%、0.002重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%のハーセプチン濃度を使用して実施した。ハーセプチン保持ゲルは、実施例24の手順を使用して調製した。MCF細胞では、ハイドロゲル製剤または溶液製剤のどちらかでデリバリしたハーセプチンは、ごく僅かな細胞毒性効果を示し、その効果は、5g/Lのハーセプチン濃度までの120時間にわたる処理でさえ、80%以上の細胞生存率を伴うものであった。このことは、ハーセプチン処理が、HER2/neuを過剰発現しているがん細胞に対して特異的であることを示す。
【0401】
図9は、細胞を処理した際のハーセプチン濃度との相関として、ヒト皮膚線維芽(HDF)細胞の生存率を示す棒グラフであり、細胞は、(a)ハーセプチン保持ハイドロゲル(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)で48時間、(b)ハーセプチン溶液で48時間、(c)ハーセプチン保持ハイドロゲル(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中の4重量%)で120時間、(d)およびハーセプチン溶液で120時間処理し、それぞれは、0.0005重量%、0.002重量%、0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%および0.5重量%のハーセプチン濃度を使用して実施した。ハーセプチン保持ゲルは、実施例24の手順を使用して調製した。抗体溶液は、HDFに対し、5g/Lにて処理後24時間後に僅かな細胞毒性を示した。HDR細胞上のハーセプチンと上皮成長因子受容体(EGFR/ErbB)との相互作用は、HDF細胞の増殖に僅かな障害を引き起こす可能性がある。ハーセプチン保持ハイドロゲルは、ハーセプチンの持続放出(120時間後にゲルから放出されるハーセプチンは〜60%に過ぎない)が原因で、5g/Lで大きな細胞毒性を示さなかった。さらに、ブランクハイドロゲルは、HDFに対して処理の120時間後でさえ細胞毒性を示さず、このことは、in vivoの生体適合性を示している。
in vivo生体適合性およびゲル分解の検討
【0402】
ビタミンE機能化ポリマーハイドロゲルを薬剤デリバリ・デポーとして提供するために、ハイドロゲルがin vivoで生体適合性を有することは極めて重要である。この特性を評価するために、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)の皮下注射をマウスに行った。
【0403】
全ての動物実験は、施設内動物管理使用委員会(IACUC)による認可されたプロトコールに従って、シンガポール生物資源センターで実施した。雌BALB/cマウスで体重が20g〜25gのものに、150マイクロリットルのブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)を皮下に注射した。所定の期間で、マウスを屠殺して、ハイドロゲルおよびその周囲の組織を単離した。組織学的試験には、試料を4%の中性緩衝ホルマリン中に固定化し、次いで、標準的な手法を使用しヘマトキシリン/エオシン(H&E)で染色した。皮下組織およびハイドロゲルに集結した炎症性の細胞を特定するために、免疫組織化学染色を行い、染色には、白血球によくみられる抗原(CD45)を認識する、ラットモノクローナル抗マウスCD45R抗体(BD Biosciences、米国)を使用した。スライドを、ヘマトキシリン/エオシン(H&E)で対比染色して、細胞の核を可視化し、実体顕微鏡(Nicon、米国)を使用して調べた。
【0404】
処理したハイドロゲルおよび周囲のマウス組織の組織学的切片を、注射後1、2、4および6週間後に調べた(図10、染色した組織の光学的な顕微鏡写真)。注射後2週間以内では、ハイドロゲルは、多くが無傷で残っており(図10の矢印)、いくらかの炎症性細胞(点線の円内に示す一段暗いDAB染色によって標示されている)がハイドロゲル内へ浸潤していた。4週間では、ハイドロゲルの厚みが低下し、このことは、ハイドロゲルの分解を示す。6週間までに、ハイドロゲルは多くが分解して、該ハイドロゲルおよび周囲の組織のCD45陽性細胞の数には顕著な低下があった。白血球(炎症媒介性細胞)の数のこの大幅な低下は、ハイドロゲルの投与によって穏やかなin vivo組織応答のみが発生し、炎症応答は1価的なものに過ぎず、慢性相へ進行しなかったことを示す。
【0405】
体内分布を評価するために、ハーセプチンをまず、ALEXA FLUOR 790(Invitrogen、米国)を使用して標識した。テトラフルオロフェニル(TFP)エステル部分を含むALEXA FLUOR染色剤を、モル比15:1で抗体に添加した。反応は、室温で30分間行った。蛍光コンジュゲートの精製は、超遠心分離を介して行った。次いで、コンジュゲートを、NANODROP ND−1000分光光度計(NanoDrop Technologies,米国)を使用して分析し、標識度を、ハーセプチン1モル当たりALEXA FLUOR染色剤1.45モルであるものとして決定した。
【0406】
BT474腫瘍を担持した雌BALB/cヌードマウスを本検討に使用した。マウスを3群に分け、異なる製剤のハーセプチンを投与した。すなわち、(1)ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25ハイドロゲルおよび0.5重量%のハーセプチンを含む)(“ハーセプチン保持ハイドロゲル、皮下注”)、(2)ハーセプチン溶液を腫瘍部位からおよそ1cm離して皮下注射(“ハーセプチン溶液、皮下注”)、および(3)ハーセプチン溶液を静脈内注射(“ハーセプチン溶液、静注”)である。(2)および(3)には、ハーセプチンを、HPLCグレード水に濃度5g/Lで溶解した。
【0407】
麻酔した動物を、37℃に加温した動物プレートに置いた。ICGフィルタ対を使用して近赤外蛍光をイメージングし、曝露時間を1秒に設定した。スキャンは、投与後1、2、3、6、8、10および13日目に行った。13日目にマウスを屠殺し、薬剤のクリアランスおよび代謝に関与する器官、ならびに腫瘍組織を摘出して、IVIS(Caliper Life Science、米国)を使用しイメージングした。
【0408】
図11は、13日間にわたるマウス体内のALEXA FLUOR 790標識ハーセプチンの体内分布を示すマウス図の一式である。ハイドロゲルを使用した皮下デリバリと、溶液での静脈注射との比較によって、皮下注射がより好都合であることが示されている。静脈注射法の結果、ハーセプチンの蓄積が、主に腎臓、肝臓や肺などの器官内に生じたがが、腫瘍組織中にはごく僅かな量のみであった。ハーセプチン溶液を腫瘍部位から約1cm離して皮下に注射する際には、抗体は、静脈注射の場合よりも、腫瘍に大量に蓄積した。これは、腫瘍組織の近接性に起因する可能性が最もあり、この近接性によって、ハーセプチンを腫瘍へ行き届かせるための近付き易さがもたらされる。しかし、ハーセプチンは、循環系に入って、静脈内注射と同様の体内分布を受けることがさらに可能である。一方で、ハイドロゲル製剤は、ハーセプチンの局所デリバリを提供するが、このことによって、高容量のハーセプチンの蓄積が腫瘍内に生じ、他の器官へは殆ど蓄積が生じない。様々な製剤の体内分布のパターンは、その抗腫瘍効果に影響を及ぼす。
VIII.in vivo抗腫瘍効果
【0409】
異なる投与経路を介したハーセプチンのデリバリの医薬有効性を理解するため、ハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中に4重量%および1重量%のハーセプチン)を皮下(S.C.)注射し、BT474腫瘍担持マウスモデルにおいて、ハーセプチン溶液の静脈内と皮下(I.V.)の両方の投与と比較した。マウスを、治療の最初の日にHPLCグレード水(S.C.)で対照の注射を行ったもの(0日);ハーセプチン溶液を静注投与したもの(I.V.);ハーセプチン溶液を皮下注投与したもの(S.C.);ブランクハイドロゲル(実施例15)を皮下注投与したもの(S.C.);およびハーセプチンを保持したハイドロゲル(実施例24)を皮下注投与したもの(S.C.)5群に分けた。ハーセプチン溶液は、HPLCグレード水を使用して5g/Lでハーセプチンを溶解することによって調整した。皮下注射は、腫瘍部位から1cmのところに、マウス当たり1回行った。ハーセプチンの投与量は、すべての処方において、150ミリリットル中、30mg/kgであった。
【0410】
雌BALB/cヌードマウスで18g〜22gのものに、5×10個のBT474細胞を含む200マイクロリットルの細胞懸濁液(マトリゲル(BD Bioscience、米国)を用いて1:1)を皮下注射した。接種3週間後(腫瘍体積は100mm〜120mmであった)に、腫瘍担持マウスを無作為にいくつかの群に分けた(1群あたり7〜10匹のマウス)。
【0411】
第1の実験では、グループ1のマウスを非処理対照として使用し、グループ2および3のマウスには、それぞれ静脈内(30mg/kg)および皮下(150マイクロリットル)に、HPLCグレード水中1.25g/Lの濃度のハーセプチン溶液の投与を行った。グループ4および5のマウスには、皮下(150マイクロリットル、30mg/kg)に、それぞれブランクハイドロゲル実施例15(VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25中に4重量%)およびハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)を、腫瘍部位から〜1cm離して投与した。全てのマウスには、処理第1日目(0日目)に1回のみ注射した。
【0412】
第2の実験では、グループ1bのマウスを非処理対象として使用し、グループ2bおよび3bのマウスには、毎週4回の用量のハーセプチン(4×10mg/kg)の静脈内および皮下投与をそれぞれ与えた。一方、グループ4bのマウスには、ハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)を、処理第1日目(0日目)に40mg/kgの投与量で、皮下に1回それぞれ注射した。臨床的意義を高めるために、ハーセプチン溶液およびハーセプチン保持ゲルの皮下投与は、離れた部位に、すなわち腫瘍から〜4cm離して行った。腫瘍サイズは、2本の直交する径にてノギスによって測定し、体積は、L×W2/2として計算した。式中、LおよびWは、それぞれ外径および内径である。処理の終わりに、スチューデントの両側t検定を使用して、統計的に腫瘍体積の差を評価し、P≦0.05を考慮して統計的有意差を標示した。また、異なる製剤の毒性を、処理経過にわたってマウスの体重の変化をモニターすることによって評価した。
【0413】
図12Aは、様々なハーセプチン製剤を使用して1回注射した後の、BT474腫瘍担持マウスの体重の変化を示すグラフであり、該製剤は、皮下にデリバリされたブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)(“ブランクゲル”)、静脈内にデリバリされたハーセプチン溶液(“ハーセプチン溶液(静注、30mg/kg、1回)”)、皮下にデリバリされたハーセプチン溶液(“ハーセプチン溶液(皮下注、30mg/kg、1回)”)および皮下にデリバリされたハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)(“ハーセプチンゲル(皮下注、30mg/kg、1回)”)を含める。ハーセプチン投与量は、30mg/kgであった。処理経過の間に、全てのマウスに体重変化は観察されず、このことは、全ての処理条件に対する良好な忍容性を示す。
【0414】
図12Bは、様々なハーセプチン製剤を使用して1回注射した後の、BT474腫瘍担持マウスの腫瘍サイズの変化を示すグラフであり、該製剤は、皮下にデリバリされたブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)(“ブランクゲル”)、静脈内にデリバリされたハーセプチン溶液(“ハーセプチン溶液(静注、30mg/kg、1回)”)、皮下にデリバリされたハーセプチン溶液(“ハーセプチン溶液(皮下注、30mg/kg、1回)”)および皮下にデリバリされたハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)(“ハーセプチンゲル(皮下注、30mg/kg、1回)”)を含める。ハーセプチン投与量は、30mg/kgであった。時間に伴う腫瘍サイズの測定から、溶液製剤とハイドロゲル製剤による腫瘍成長阻害が異なることは明らかとなった。ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、“ブランクゲル”)は、対照群に比べて、同様の平均腫瘍体積を有する(P=0.56)。このことは、ブランクハイドロゲル実施例15が、腫瘍に対し細胞毒性効果を何も発揮しないことを示す。著しく対照的に、ハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン、“ハーセプチンゲル(静注、30mg/kg、1回)”)は、対照群に比べて、腫瘍を約77%まで(P=0.01)低減した。ハーセプチン保持ハイドロゲルで処置されたマウスは、腫瘍の退縮を示した唯一の群であったことに注目されたい。このことは、処理経過の初日および最終日の腫瘍サイズを比べることによってみとめることができる(P<0.001)。さらに、抗腫瘍効果は、ハーセプチン溶液を静脈内(“ハーセプチン溶液(静注、30mg/kg、1回)”)または皮下(“ハーセプチン溶液(皮下注、30mg/kg、1回)”)にデリバリして使用した処理に比べて、ハイドロゲル処理ではいっそう際立ち、P値は<0.005である。理由を付けようとする訳ではないが、このことは、ハーセプチン含有ハイドロゲルに起因する。このハイドロゲルは、より長い時間にわたって腫瘍部位に高濃度のハーセプチンを局所的に有し(図11に示されているように)、ハーセプチンが、がん細胞に対する細胞毒性効果をさらに高く発揮することを可能にする。
組織学的解析
【0415】
ハーセプチン製剤を注射後28日目に、マウスを屠殺して、腫瘍ならびに正常組織(心臓、肺、肝臓および腎臓)を個別に摘出して、切片とした。組織学的試験には、試料を4%中性緩衝ホルマリン中に固定化して、次いで、標準的な手法を使用して、ヘマトキシリン/エオシン(H&E)で染色した。腫瘍組織のアポトーシス細胞は、ターミナル転移酵素dUTPニック端標識(TUNEL)アッセイを使用して特定した。スライドをヘマトキシリンで対照染色して核を可視化し、実体顕微鏡(Nicon、米国)を使用して調べた。
【0416】
TUNELアッセイは、アポトーシスの結果生じるDNA断片化を検出することによって、アポトーシス細胞を明らかにする(褐色の3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)として)。図13は、BT474腫瘍担持マウスの腫瘍細胞を示す顕微鏡写真の一式であり、様々なハーセプチン製剤を使用して1回の投与後28日目に、ターミナルデオキシヌクレオチジル転移酵素dUTPニック端標識(TUNEL)染色後のものである。該製剤は、皮下にデリバリされたブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)(“ブランクゲル(皮下注)”)、静脈内にデリバリされたハーセプチン溶液(“ハーセプチン溶液(静注”)、皮下にデリバリされたハーセプチン溶液(“ハーセプチン溶液(皮下注)”)および皮下にデリバリされたハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)(“ハーセプチンゲル(皮下注)”)を含める。ハーセプチン投与量は、30mg/kgであった。目盛りバーは、100マイクロメートルを表す。図13の顕微鏡写真のカラー版は、ハーセプチンを用いて処理した腫瘍細胞が、使用した製剤に関わらず、概ねアポトーシスを生じたことを示しており、このことは、抗腫瘍機構が、ハーセプチン誘発性アポトーシスに基づくものであることを呈示している。H&E染色は、ハーセプチン保持ハイドロゲルを使用した処理の結果、残存する細胞がさらに僅かとなったことを示す。このことは、皮下デリバリされたハーセプチン保持ハイドロゲルの高い抗腫瘍効果を例示している。
【0417】
また、ハーセプチン保持ハイドロゲルの単回皮下注射の抗腫瘍効果を、ハーセプチン溶液の毎週の静脈内および皮下注射と比べた。重要なのは、本研究の臨床的意義を高めるために、距離を置いた部位(腫瘍から約4cm離した)に皮下注射を行ったことである。ハーセプチンの総投与量は、各群で40mg/kgであった。処理の終わりには、スチューデントの両群t検定を使用して、腫瘍体積の差を統計的に評価し、P≦0.05を考慮して統計的有意差を標示した。
【0418】
図14Aおよび図14Bは、BT474腫瘍担持マウスの腫瘍サイズ(図14A)およびマウス体重(図14B)の変化を示すグラフであり、ハーセプチン溶液を静脈内(“ハーセプチン溶液(静注、4×10mg/kg、毎週)”)および皮下(“ハーセプチン溶液(静注、4×10mg/kg、毎週)”)に4回、毎週投与した後のものを、ハーセプチン保持ゲル(実施例24)を1回皮下投与したもの(“ハーセプチンゲル(皮下注、40mg/kg、1回)”)と比較している。ハーセプチン溶液で処理した群では、腫瘍は、28日間にわたって同様のサイズのままであった。
【0419】
皮下デリバリされたハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)による腫瘍の低減は、皮下デリバリされたハーセプチン溶液よりも極めて大きなものであった(図14A)。ハーセプチン溶液群では、腫瘍は、全処理経過を通じてサイズが同様のままであり、一方で、ハイドロゲル処理群では、腫瘍は、処理の終期に30%まで縮小した(P=0.03)。マウスの体重も、供試した各試料について比較的一定のままであった(図14B)。理由を付ける訳ではないものの、ハイドロゲル製剤の優れた抗腫瘍効果は、おそらくはハイドロゲルネットワークによって供される保護的な環境に起因し、この環境は、ハーセプチンを分解するタンパク質分解酵素が皮下領域へ進入するのを大きく低減するものと考えられる。
【0420】
治療の早期のフェーズでは、皮下注射したハーセプチン保持ハイドロゲル実施例24(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および1.0重量%のハーセプチン)の抗腫瘍の有効性は、静脈内注射したハーセプチン溶液よりもいっそう顕著である。ハイドロゲル処理群は、3日目までに61%の腫瘍の退縮(p<0.001)があったのに対し、溶液処理群は、治療開始からたった2週間後に腫瘍サイズに減少を示したに過ぎなかった。興味深いことに、ハイドロゲル治療群と同様に、ハーセプチン溶液を用いて注射(静脈内)したマウスは、治療の終了までに、32%の腫瘍の退縮を示した(P=0.001)。図15は、BT474腫瘍担持マウスの腫瘍細胞を示した顕微鏡写真の一式であり、ハーセプチンを溶液製剤(静脈内および皮下)ならびにハイドロゲル製剤(皮下)を投与後28日目にTUNEL染色した後のものである。目盛りバーは、100マイクロメートルを表す。静脈内にデリバリされたハーセプチン溶液は、“ハーセプチン溶液(静注、毎週)”と標識されている。皮下にデリバリされたハーセプチン溶液は、“ハーセプチン溶液(皮下注、毎週)”と標識されている。皮下にデリバリされたハーセプチン保持ハイドロゲル(実施例24)は、“ハーセプチン溶液(皮下注、1回)”と標識されている。ハーセプチンの毎週投与は、循環系に入る抗体を新鮮に供給し、このことによって、体組織のタンパク質分解および分解に起因する生物活性の損失を補てんすることが可能となりうる。ハーセプチン保持ハイドロゲルの1回の注射の治療有効性は、溶液のハーセプチンの毎週投与(静脈内)と同様であり、これは、ポリマー・マトリックスが、抗体を捕捉し、持続方式で放出することができることに因る。がん細胞数におけるアポトーシスおよび大幅な低下は、どちらの治療条件でも観察された。臨床的意義に関しては、注入の頻度が、ハイドロゲルの使用を介して激減することができ、他の製剤を超える投与上の利便性を提供する。
【0421】
図16は、ハーセプチンの注入後28日目にH&E染色を行った後のマウスの心臓、肺、肝臓および腎臓の細胞の顕微鏡写真の一式であり、ハーセプチン溶液製剤(静脈内および皮下)の注入は、週1回行い、ハーセプチン保持ハイドロゲル(皮下)は、治療第1日目に1回注入した。目盛りバーは、100マイクロメートルを表す。当該マウスから摘出した正常組織(心臓、肺、肝臓および腎臓)の病理学的解析では、毒性が示されなかった。
IX.抗菌特性
消滅効率
【0422】
ハイドロゲルの手順:E.coli、P.aeruginosa、S.aureusおよびC.albicansをATCCより入手し、製造者のプロトコールに従って、凍結乾燥形態から再生させた。細菌試料は、トリプティックソイブロス(TSB)溶液中で300rpmの定常撹拌下にて37℃で培養した。C.albicansは、酵母培地中で70rpmの定常撹拌下にて室温で培養した。処理前に、細菌試料をまず植菌し、培養して対数増殖相に入らせた。抗菌性ハイドロゲルを調製するために、バイオフード内で、カチオン性ポリマーをまず濾過済HPLC水に溶解した。結果として得た溶液を、次いで固体トリブロック・コポリマーに添加して融解させ、室温で4時間放置してハイドロゲルを形成させた(実施例28および実施例29)。例として、カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)またはVE/PrBr(1:30)を、滅菌済HPLCグレード水を使用することによって溶解し、種々の濃度のポリマー溶液を形成させた。次いで、この溶液を使用してVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を溶解し、種々の濃度のカチオン性ポリマーを含む4重量%のハイドロゲルを形成させた。
【0423】
抗菌処理には、種々の濃度のカチオン性ポリマーを組み入れた、50マイクロリットルのハイドロゲルのアリコートを96穴マイクロプレートの穴の中に配した。細菌溶液の濃度を、マイクロプレート・リーダ(TECAN、スイス)上の600nmの波長において約0.07の初期光学濃度(O.D.)に調整した。これは、McFarland1溶液(3×10CFU/ml)の濃度に相当する。この96穴プレートを、E.coli、P.aeruginosa、S.aureusおよびC.albicansについて、37℃、300rpmの一定振盪下で18時間インキュベートした。処理後、試料を採取して10倍希釈系列とし、寒天プレート上に広げた。プレートを37℃で24時間培養し、コロニー形成ユニット(CFU)の数を計数した。カチオン性カーボネートを含まないハイドロゲルを用いて処理した細菌を陰性対照として使用し、各試験を3連で行った。最小殺菌濃度(MBC)は、本明細書では、>99.9%の微生物を除外する抗菌組成物の最小濃度として規定する。
【0424】
有機ゲルの手順:E.coliをATCCより入手し、製造者のプロトコールに従って、凍結乾燥形態から再生させた。細菌試料は、トリプティックソイブロス(TSB)溶液中で300rpmの定常撹拌下にて37℃で培養した。C.albicansは、酵母培地中で70rpmの定常撹拌下にて室温で培養した。処理前に、細菌試料をまず植菌し、培養して対数増殖相に入らせた。抗菌性処理のため、20マイクロリットルの1重量%のドキシサイクリンを含む有機ゲル(実施例26および実施例27)を滅菌済バイアルへ加えた。細菌溶液の濃度を、マイクロプレート・リーダ(TECAN、スイス)上の600nmの波長において約0.07の初期光学濃度(OD)に調整した。これは、McFarland1溶液(3×10CFU/ml)の濃度に相当する。次いで、この細菌溶液を希釈して、等容量の細菌懸濁液(3×10)を各バイアル内へ添加し、37℃、300rpmの一定振盪下で18時間インキュベートした。処理後、試料を採取して10倍希釈系列とし、寒天プレート上に広げた。プレートを37℃で24時間培養し、コロニー形成ユニット(CFU)の数を計数した。KOLLIPHOR RH40を用いて処理した細菌を陰性対照として使用し、各試験を3連で行った。
薬剤相互作用の解析
【0425】
薬剤の組合せ(例えば、カチオン性ポリマー/ドキシサイクリンとカチオン性ポリマー/フルコナゾールのどちらかまたは両方)の抗菌効果を評価するために、薬剤相互作用の分析のチェッカボード法およびアイソボログラム法を使用した。チェッカボード法については、各組合せ投与量における各構成要素について部分阻害濃度(FBC)を算出した。相互作用の種類および程度を、FBCインデックスを算出することによって決定した。このインデックスは、組合せでの薬剤のMBCと薬剤単独のMBCとの比率である。2つの相互作用性の薬剤であるAおよびBについて、FBCの総和は、相互作用の程度を示す。相乗効果を、ΣFICインデックス≦0.5として定義する。無関係性を、ΣFICインデックス>0.5でありながら≦4として定義し、拮抗作用を、ΣFICインデックス>4として定義した。アイソボログラム法については、薬剤相互作用の評価を、MBCレベルで行う。グラフ解析を使用して、>99.9%の消滅効率の効果を生じるのに必要な濃度を、各構成要素について決定し、二座標プロットのx軸およびy軸にプロットする。線を描いてこれらの二点を連結し、これを相加効果の線として定義する。その後、種々の濃度で組合せた薬剤を用いて処理を行う。同じ効果をもたらす組合せでのフルコナゾールおよびカチオン性ポリマーの濃度を、同じプロットに配置する。薬剤相互作用の効果を、相加効果の線に対する点の位置に従って決定する。相乗効果、相加効果または拮抗作用は、点がそれぞれ線の下方、真上または上方に位置する際に表される。
バイオフィルムの形成および処理
【0426】
S.aureusおよびE.coliを、トリプティックソイブロス(TSB)中にて37℃で一晩増殖させ、使用前にTSB中で3×10および3×10CFU/mlに希釈した。C.albicansを、酵母培地中にて室温で一晩増殖させて、使用前に3×10CFU/mlに希釈した。希釈した細胞懸濁液100マイクロリットルを、次いで96穴プレートの各穴へ植菌し、増殖速度に応じて7〜10日間培養した。バイオフィルム形成の速度に違いがあったことから、S.aureusおよびC.albicansを、それぞれ100rpm、37℃および50rpm、25℃で振盪し続けた。E.Coliは、37℃にて非振盪条件でインキュベートした。培養培地を毎日交換し、その際に、PBSを添加して、プランクトン状および接着の緩い細胞を洗い出してから、新鮮な培地に置換した。使い果たされた培地を最初に除去する前に、処理を実施した。バイオフィルムを穏やかにPBSで洗浄して、プランクトン状および接着の緩い細胞を除去した。次いで、バイオフィルムを、50マイクロリットルのハイドロゲル組成物を用いて24時間インキュベートした。
バイオアッセイ
【0427】
処理後に残ったバイオマスを、クリスタルバイオレット(CV)染色アッセイを使用して分析した。使い果たされた培地およびハイドロゲルを穏やかに除去し、バイオフィルムをPBSで洗浄して、プランクトン状の細胞を除去した。固定化は、100マイクロリットルのメタノールをバイオフィルムに添加し、15分後に除去することによって行った。この後、100マイクロリットルのクリスタルバイオレット染色液(0.1重量%)を固定化されたバイオフィルムに添加して、10分間インキュベートした。過剰量のクリスタルバイオレットは、HPLC水を使用して徹底的に洗い出した。バイオフィルムへ結合した残りのクリスタルバイオレットを、200マイクロリットルの33%氷酢酸を使用して抽出した。150マイクロリットルのアリコートを各穴から採取し、新しい96穴プレートに移した。次いで、マイクロプレート・リーダ(Tecan、スイス)を使用して、570nmでの吸収を測定した。
XTT低減アッセイ
【0428】
XTTアッセイを使用し、細胞のミトコンドリア酵素活性を測定することによって、ハイドロゲル処理後のバイオフィルム中の生細胞を定量した。本アッセイは、代謝的に活性のある微生物細胞内の2,3−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−((フェニルアミノ)カルボニル)−2H−テトラゾリウムヒドロキシド(XTT)が低減して水溶性ホルマザンとなることに基づく。XTT溶液(1mg/mL)およびメナジオン溶液(0.4mM)を、脱イオン水に溶解させることによって別個に調製した。アッセイの直前に、2つの成分を混和して、XTT:メナジオンを5:1の容量比とした。アッセイの間、培地をまず除去し、バイオフィルムを慎重にPBSで洗浄して、プランクトン状の細胞を除去した。120マイクロリットルのPBSおよび14.4マイクロリットルのXTT−メナジオン混合物を、次いで各穴に添加して、3時間インキュベートした。100マイクロリットルのアリコートを、次いで各穴から採取して、新しい96穴プレートに移した。次いで、マイクロプレート・リーダ(Tacan、スイス)を使用して、490nmにおける吸収を測定した。
電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)
【0429】
処理後、バイオフィルムをPBSで穏やかに洗浄し、4%ホルムアルデヒドで30分間固定化した。次に、バイオフィルムをDI水で洗浄して、ホルムアルデヒドを除去し、一連のエタノール洗浄(35、50、75、90、95および100%)を行って、試料を脱水した。2日間の風乾後、試料をカーボンテープの上に乗せ、白金で被覆して、電界放射型走査電子顕微鏡(JEOL JSM−7400F、日本)下の分析用とした。
【0430】
ハイドロゲルマトリックスの力学的特性に及ぼすカチオン性ポリマーの効果を検討した。HPLC水中での4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25ハイドロゲルの形成の間に、カチオン性ポリマー(0.1重量%、1000mg/Lと等価)を添加した。図17Aは、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例28(HPLC水中に4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.1重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)を含む)および実施例29(HPLC水中に4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.1重量%のカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)を含む)のG’値の棒グラフである。図17Aの示すように、G’値は、1400Pa〜1600Paの範囲にある。ブランクハイドロゲルとカチオン性ポリマー保持ハイドロゲルとの間に、剛性の差は殆どなかった。
【0431】
図17Bは、図17Aのカチオン保持ハイドロゲルの粘度性対ずり速度のプロファイルのグラフである。カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル(実施例28および実施例29)は、低いずり速度において高い粘度を発揮し、このことは、堅固かつよく構成された構造であることを呈示している。ずり速度が増えると、ゲルの粘度は激減して希薄な液体となる。ハイドロゲルのこのずり流動化のプロファイルは、ずり応力の印加によって、ポリマー鎖間の物理的な架橋が途絶されたことに起因する。したがって、このことは、皮膚感染の局所的な処置のために、皮膚に広く広げることができることを示している。
ハイドロゲルを使用したABAトリブロック/カチオン性ポリマーの抗菌活性試験
【0432】
2つのカチオン性ポリマー保持ハイドロゲルの抗菌活性を、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌および真菌のそれぞれの代表的なモデルとして、S.aureus、E.coliおよびC.albicansに対して検討した。これらの微生物は、皮膚外傷にしばしば現れる一般的な病原菌であり、抗生物質の感染域への局所的なデリバリを介して治療される。
【0433】
VE/BnCl(1:30)およびVE/PrBr(1:30)を4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25ハイドロゲルに保持した(それぞれは実施例28および実施例29)。2つのカチオン性ポリマーの抗菌上の有効性が一致しないことから、ハイドロゲルの調製のために、異なる濃度の範囲を使用した。ハイドロゲルを3×10CFU/mLの接種量で投与し、次いで、生細胞の増殖能を、24時間後にプレート塗布手法によって評価した。この抗菌活性の試験方法は、溶液中のカチオン性ポリマーの最小阻止濃度(MIC)を測定することと同種である。
【0434】
図18A〜18Cは、Staphylococcus aureus(S.aureus)、Escherichia coli(E.coli)およびCandida albicans(C.albicans)に対するカチオン性ポリマー保持ハイドロゲルの消滅効率を示す棒グラフであり、該ハイドロゲルは、4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25と、様々な濃度のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)またはVE/PrBr(1:30)とを含む。横軸に示す濃度は、カチオン性ポリマーについて表している。この結果、ハイドロゲルによってデリバリされたカチオン性ポリマーは、細菌および真菌に対して広範な抗菌性を有することが示された。
【0435】
表12に、カチオン性ポリマーの最小殺菌濃度(MBC)を列記する。該ポリマーは、トリブロック・コポリマーを含むものおよび含まないものであり、該MBCは、S.aureus、E.coliおよびC.albicansに対するものである。MBC値は、mg/Lでカチオン性コポリマーの量を指す。カチオン性ポリマー単独(実施例2および8)については、溶液のMBC値は、各微生物に対する溶液の最小阻止濃度(MIC)に等価である。
【0436】
【表12】
【0437】
表12は、トリブロック・コポリマーの存在が、カチオン性ポリマーの抗菌上の有効性を低下させる(すなわち、カチオン性ポリマー単独に対してMBCを増加させる)ことを示す。保持ハイドロゲルは、グラム陽性のS.aureusの増殖を阻害する際に最も効果がある。S.aureusは、最も少ない量の各カチオン性ポリマー(VE/BnCl(1:30)についてはMBC=156.2mg/LおよびVE/PrBr(1:30)については312.5mg/L)を要する。カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルは、グラム陰性のE.coliの増殖を阻害する能力が低い(VE/BnCl(1:30)についてはMBC=312.5mg/LおよびVE/PrBr(1:30)については2500mg/L)。C.albicans(真菌)に及ぼす抗菌効果は、2つの細菌種の効果の中間であった。カチオン性ポリマーのMBC値(表12)は、カチオン性ポリマーが哺乳類細胞に対して溶血性を有するようになる濃度よりも低かった。
【0438】
保持ハイドロゲルは、カチオン性ポリマー単独の溶液特性に一致する。すなわち、カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)は、溶液でデリバリする場合も、ハイドロゲル複合体としてデリバリする場合も、VE/PrBr(1:30)よりも高い抗菌/抗真菌特性を示す。
ドキシサイクリン保持有機ゲルの抗菌活性
【0439】
薬剤保持有機ゲル(実施例26および27)の抗菌効能をE.coliについて試験した。皮膚および柔組織の感染由来のE.coli株は、強力な潜在的病原性を発揮することができる。図19は、E.coliの処理から18時間後の生細菌のコロニー形成ユニット(CFU)の数を示す棒グラフである。ここでは、ブランク有機ゲル(実施例19および20、それぞれ“6.5VE−PEG20k−6.5VE”および“8.5VE−PEG20k−8.5VE”と標識)ならびにドキシサイクリン保持有機ゲル(実施例26および27、それぞれ”6.5VE−PEG20k−6.5VE 1重量%DXY”および”8.5VE−PEG20k−8.5VE 1重量% DXY”と標識)を用いた”。ドキシサイクリン保持有機ゲルは、100%の殺菌活性(0CFU)を示した。使用したドキシサイクリン濃度は、いくつかのE.coli株では、既報の最小殺菌濃度(MBC)の範囲より高かったものの、1重量%を選択した。その理由として、この濃度は、NanoDOX(登録商標)やATRIDOX(登録商標)などの臨床上認可されたドキシサイクリン製剤の典型的な保持含量であるためである。
溶液によってデリバリされるフルコナゾールおよびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:15)の相乗効果
【0440】
以下に、溶液を介したデリバリによってカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:15)をフルコナゾールと組み合わせて使用し、抗菌活性の相乗的な増強を示す。フルコナゾール(Fluc)は、抗真菌剤のアゾールファミリーの一員であり、C.albicansに対する良好な活性を備え、低い細胞毒性を示す。臨床上の利用については相当に安全である一方で、アゾール類の負の面は、これらが静真菌的に過ぎず、殺真菌ではないことである。
【0441】
カチオン性ポリマーVE/PrBr(1:15)(5mg)の滅菌HPLCグレード水(10mL)中ストック溶液を調製し、本溶液の終濃度を500mg/L(500ppm)とした。第2の溶液のフルコナゾール(1mg)の滅菌HPLCグレード水(100mL)中ストック溶液を調製し、本溶液の終濃度を10mg/L(10ppm)とした。3種の溶液を調製した。すなわち、(1)カチオン性ポリマー単独であり、C.albicansに対して1.0MIC=250mg/L(250ppm)であるもの、(2)カチオン性ポリマー/フルコナゾール溶液であり、C.albicansに対して0.5MIC=125mg/L(125ppm)のVE/PrBr(1:15)および2.5mg/L(2.5ppm)のフルコナゾールを含むもの、および(3)フルコナゾール単独であり、5.0mg/L(5.0ppm)であるもの、とした。製剤(2)は、125マイクロリットルのカチオン性ポリマーおよびフルコナゾールの各ストック溶液を組み合わせて、結果として生じた溶液を750マイクロリットルの滅菌HPLCグレード水で希釈することによって得た。
【0442】
図20は、3つの溶液のC.albicansに対する消滅効率を示す棒グラフである。カチオン性ポリマー溶液(1)は、1.0MIC=250mg/L(250ppm)で99.98%の消滅効率を達成した。フルコナゾール溶液は(3)は、5.0mg/L(5.0ppm)で95.53%の消滅効率を達成した。しかし、VE/PrBr(1:15)およびフルコナゾールを含む溶液(2)は、0.5MIC=125mg/L(125ppm)のVE/PrBr(1:15)および2.5mg/L(2.5ppm)のフルコナゾールを使用して、100%の消滅効率を達成した。
【0443】
図21は、VE/PrBr(1:15)/フルコナゾールの組合せの相乗効果を実証するグラフ(アイソボログラム)であり、C.albicansに対し溶液によってデリバリしたVE/PrBr(1:15)単独およびフルコナゾール単独と比較したものである。相乗効果は、相加効果の線の左に配置する薬剤の組合せによって標示されており、三角形の内側に正方形として示されている。
ハイドロゲルによってデリバリされるフルコナゾールおよびカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)の相乗効果
以下の結果は、C.albicansに対する抗菌活性の相乗的な増強を実証しており、ここでは、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、ポリマーVE/BnCl(1:30)およびフルコナゾールを含む3成分ハイドロゲルを使用した。3種
のハイドロゲルを調製した。すなわち、(1)フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例30(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.05重量%のフルコナゾール)であり、500mg/Lの保持ハイドロゲル濃度で使用したもの、(2)カチオン性ポリマー/フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例31(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0156重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)、および0.001重量%のフルコナゾール)であり、フルコナゾール=10mg/LおよびVE/BnCl(1:30)=156mg/L(0.5MBC)の濃度で使用したもの、ならびに(3)カチオン性ポリマー/フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例32(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、0.0078重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)、および0.004重量%のフルコナゾール)であり、フルコナゾール=40mg/LおよびVE/BnCl(1:30)=78mg/L(0.25MBC)の濃度で使用したもの、である。図22は、3種のハイドロゲルのC.albicansに対する消滅効率を比較した棒グラフである。500mg/Lの高濃度でさえ、フルコナゾール単独では、C.albicansの99.56%のみを消滅させるに過ぎなかったのに対し、フルコナゾール=10mg/LおよびVE/BnCl(1:30)=156mg/L(0.5MBC)を使用した実施例31の薬剤の組合せは、C.albicansの99.99%を消滅させた(図22、中央のバー)。
【0444】
図23は、フルコナゾールの放出率を示すグラフであり、フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例43(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.3重量%のフルコナゾール、上部の曲線)、カチオン性ポリマー/フルコナゾール保持ハイドロゲル実施例44(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)、0.3重量%のカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)および0.3重量%のフルコナゾール、下部の曲線)からの放出率を示す。この結果は、約80%のフルコナゾールが、4時間以内に2成分ハイドロゲル実施例43から放出され(図23、上部の曲線)、約40%のフルコナゾールが、7時間以内に3成分ハイドロゲル実施例44から放出された(図23、下部の曲線)ことを示す。
【0445】
ハイドロゲルマトリックス中でこの静真菌剤およびカチオン性ポリマーを組合わせることによって、2つの組合せ用量で治療有効性の大幅な向上が観察された。該組合せ用量のFBC指標は、それぞれ〜0.5および〜0.25であり、このことは、2つの化合物の共デリバリによる相乗的な相互作用を示す。さらに、薬剤相互作用を解析するイソボログラム法は、ハイドロゲルによってデリバリされた際のフルコナゾールとVE/BnCl(1:30)との間の強い相乗性をさらに説明する。図24は、最小殺菌濃度についての組合せ投与(VE/BnCl(1:30)/フルコナゾール)の相乗効果を実証するイソボログラムであり、保持ハイドロゲル実施例31(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)、0.0156重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.001重量%のフルコナゾール)および保持ハイドロゲル実施例32(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25)、0.0078重量%のカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)および0.004重量%のフルコナゾール)によってデリバリされた際のものである。カチオン性ポリマーとフルコナゾールとの間の相乗効果は、各保持ハイドロゲルを添加する線の左側に位置する薬剤の組合せの投与量によって示されており、三角形の内側に正方形として示した。上部の正方形は、実施例31に相当し、下の正方形は、実施例32に相当する。
ハイドロゲルによってデリバリされたドキシサイクリン(DXY)/カチオン性ポリマーの相乗効果
【0446】
DXYは、テトラサイクリン系抗生物質である。保持ハイドロゲルは、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25、DXY、およびカチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)を用いて調製した。ハイドロゲルをPseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)に対して供試した。P.aeruginosaは、1週間を超えて滞在している入院患者に一般的な病原菌である。P.aeruginosaに対するDXYのMBCは、約20〜30mg/L(30ppm)である。P.aeruginosaに対するVE/BnCl(1:15)のMBCは、約500mg/L(500ppm)である。4種のハイドロゲルを調製した。すなわち、DXY/VE/BnCl(1:30)比が、それぞれ2.5ppm/15.6ppm(実施例33)、5ppm/15.6ppm(実施例34)、1ppm/31.2ppm(実施例35)、2.5ppm/31.2ppm(実施例36)のものである。図25は、各ハイドロゲルが100%の消滅効率を達成したことを示す棒グラフである。図26は、P.aeruginosaに対するドキシサイクリン/カチオン性ポリマーの相乗効果を実証するイソボログラムであり、保持ハイドロゲル実施例33および実施例35によってデリバリされた際のものである。相乗効果は、薬剤の組合せの投与量によって示されており、三角形の内側の正方形によって示した。左側の正方形は、実施例35に相当し、右側の正方形は、実施例33に相当する。薬剤の組合せは、極めて低いドキシサイクリン濃度(約1ppmまたは1mg/L)で有効である。
【0447】
カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルを、バイオフィルムを消滅させる能力について検討した。バイオフィルムの形成は、微生物が表面(無生物材料または組織)に付着し、それらが増殖して、不溶性のゼラチン状のエキソポリマーを分泌することができるようになった時に起こり、該エキソポリマーは、バイオフィルムとして知られる三次元の細胞:ポリマー・マトリックスを生じる。医療上のバイオフィルムの出現は、極めて手強いものであり、その理由は、バイオフィルム中で成長する微生物が、プランクトン状の細胞に比べて、抗菌剤および宿主防御系に不応性であり、かつ反応性が劇的に低いためである。バイオフィルムの持続性は、外傷治癒の不全、慢性炎症や感染性の塞栓の拡散などの臨床的状態を導くことがある。
【0448】
バイオフィルムの排除に使用する抗菌剤の臨床的意義を確立するために、様々な微生物を細菌(S.aureus、E.coliおよびC.albicans)を数日間培養して、治療前にバイオフィルムを発達させた。カチオン性ポリマーVE/BnCl(1:30)またはカチオン性ポリマーVE/PrBr(1:30)を、S.aureus、E.coliおよびC.albicansに対するMBC濃度で、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25(4重量%)内に保持し、バイオフィルムの上に置いた。カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37および実施例38を、S.aureus用に調製し、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例39および実施例40を、E.coli用に調製し、そしてカチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例41および実施例42を、C.albicans用に調製した。対応のブランクハイドロゲル実施例15を、対照として使用した。次いで、培養系をハイドロゲルと共に24時間インキュベートして、抗菌作用を発生させた。次いで、XTTアッセイを実施して、残存する細菌の生存率を評価した。このアッセイでは、光学濃度(O.D.)の読み取りが低いほど、相当する細胞生存率が低く、ハイドロゲルのバイオフィルム排除能がより良好となる。
【0449】
図27Aおよび27Bは、S.aureusのバイオフィルムの代謝活性およびバイオマスの低下をそれぞれ示す棒グラフであり、この低下は、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む)、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含む)、ならびにカチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含む)に因るものである。代謝活性(図27A)およびバイオマス(図27B)の低下は、S.aureusに対するカチオン性ポリマー保持ゲルを用いて得た。
【0450】
図28Aおよび28Bは、E.coliのバイオフィルムの代謝活性およびバイオマスの低下をそれぞれ示す棒グラフであり、この低下は、ブランクハイドロゲル実施例15、(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む)、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含む)、ならびにカチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含むハイドロゲルに因るものである。代謝活性(図28A)およびバイオマス(図28B)の低下は、E.coliに対するカチオン性ポリマー保持ゲルを用いて得た。
【0451】
図29Aおよび29Bは、C.albicansのバイオフィルムの代謝活性およびバイオマスの低下を示す棒グラフであり、この低下は、ブランクハイドロゲル実施例15(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を含む)、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例37(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0156重量%のVE/BnCl(1:30)を含む)、ならびにカチオン性ポリマー保持ハイドロゲル実施例38(4重量%のVitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25および0.0625重量%のVE/PrBr(1:30)を含む)に因るものである。代謝活性(図29A)およびバイオマス(図29B)の低下は、C.albicansに対するカチオン性ポリマー保持ゲルを用いて得た。
【0452】
VE/BnCl(1:30)を用いて保持したハイドロゲルは、S.aureus(グラム陰性)およびC.albicans(真菌)の増殖ならびに生存率を低下させる上で、E/PrBr(1:30)を保持したものと同等に効率が良いように思われた。主な違いがE.coli(グラム陰性)に観察されたが、そこでは、さらに疎水性の高いVE/BnCl(1:30)を保持したハイドロゲルを用いて処理した細胞は、VE/PrBr(1:30)保持ハイドロゲルを用いて処理したものに比べて、大幅に生存率が低かった。
【0453】
処理後の細菌のバイオマスの持続性を、クリスタルバイオレットアッセイを使用して定量した。残存する任意のバイオフィルムの一部分は、抗菌剤から保護された状態にある細菌のポケットを備えた休止状態の区域として、作用することができる。さらに、残余のバイオフィルムに存在する“持続生残菌”と称する抵抗性細胞の亜集団も存在する。カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルのバイオマス消滅能は、バイオフィルム中に存在する細菌の細胞生存率が低下する傾向と同様の傾向を辿った。すなわち、VE/BnCl(1:30)は、E.coliに対して、VE/PrBr(1:30)よりも良好な抗菌作用を有し、2種のカチオン性ポリマーは、S.aureusおよびC.albicansのバイオフィルムに対して、同様の効率を示した。
【0454】
SEMイメージングは、VE/BnCl(1:30)保持ハイドロゲル(実施例37)を用いて処理したバイオフィルムが、広域で細胞が消滅し一掃されたことを示している(図30)。S.aureusおよびC.albicansについては、無傷の細胞は存在せずに破裂した細胞片のみが残っていた。該イメージングはまた、細胞生存率およびバイオマスの定量アッセイと良く相関しており、ここでは、VE/BnCl(1:30)ハイドロゲルが、VE/PrBr(1:30)の同等物よりも大幅に効率良くE.coliバイオフィルムを消滅させた。
結論
【0455】
生分解性および生体適合性がある、ビタミンE−機能化“ABA”型トリブロック・コポリマーは、環状カーボネートモノマーの有機触媒性の開環重合によって形成され、該モノマーは、ビタミンE化合物の共有結合形態を担持する。ブロック・コポリマー形態は、試薬または化学反応を添加することなく、物理的に架橋されたハイドロゲルおよび有機ゲルを形成する。ゲルのレオロジー特性は、ポリマーの濃度または組成を変えることによって、簡便な様式で容易に調整することができる。ゲルの剛性は、貯蔵弾性率G’によって標示され、ポリマーの組成、濃度のどちらかまたは両方に応じて、100〜1200Paに変化させることができる。一連の広範な医薬化合物は、低分子薬剤、生体分子および化粧品/食品を含めて、ゲル形成過程の間にゲルの中に保持することができる。これらのゲルは、薬剤をデリバリするための、制御された放出プロファイルを有するデポーとして機能することができる。製剤化と調整が容易であることによって、これらの柔軟な物理ゲルは、広大な範囲の医薬主導の施用に魅力のある候補物質として供給する。
【0456】
一例として、生分解性および生体適合性があるハーセプチン保持ハイドロゲルを、VitE1.25−PEG(20k)−VitE1.25を用いて調製し、抗体を局所的に注入可能なデリバリ素材として利用することに成功した。保持ハイドロゲルのレオロジー特性および多孔性は、ポリマーの組成およびポリマーの濃度を変化させることによって、調整することができる。組織学的試験では、ハイドロゲルが慢性的な炎症応答を誘発せず、in vivoで経時的に分解可能であることが明らかにされている。ハイドロゲルマトリックスは、ハーセプチンの持続放出を供給し、腫瘍部位内に抗体を局在化させる。ハーセプチン溶液に比べて、in vivoの抗腫瘍有効性は、腫瘍近くの部位へのハーセプチン保持ゲルの単回の皮下注射を使用して、大幅に増強された。ハーセプチン保持ゲルは、腫瘍から遠位の部位に1回注射された際に、4週間にわたる毎週のハーセプチン溶液の静脈投与に匹敵する。ハイドロゲルを使用したハーセプチン処理は、さらに少ない頻度の注射を要し、これによって、高い利便性と、患者の服薬遵守の向上に寄与する。これらの結果は、ビタミンE機能化ハイドロゲルによって、抗体の皮下デリバリが期待されることを示唆している。
【0457】
カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルは、バイオマスを消滅させ、バイオフィルム中に存在する細菌の生存率を大きく低減することができる。まとめると、本結果は、カチオン性ポリマー保持ハイドロゲルは、プランクトン様細菌とバイオフィルムの細菌の両方を排除するのに使用することができる。
【0458】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのみに使用され、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される単数形態“a”、“an”、および“the”は、文脈が明らかに他を示さない限り、同様に複数形態を含むことを意図する。さらに本明細書における用語“含む”または“含んでいる”、またはそれら両方は、記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、またはコンポーネント、またはこれらの如何なる組み合わせの存在を規定するものであって1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネントまたはそれらのグループやこれらの如何なる組み合わせを排除するものではない。可能な値の範囲を表現するために2つの数値限定XおよびY(例えば、濃度XppmからYppm)を使用する場合、他のことが記述されない限り、値は、X,Y、またはXとYの間の如何なる数とすることができる。
【0459】
本発明の記述は、例示および説明の目的のために提示されたのであって、本発明を開示された形態に終止させるものであるとか、本発明を制限するものとかを意図するものではない。実施形態は、本発明の原理、実際的な適用を、当業者が本発明を理解することを可能とするため最適に説明するべく選択され、記述されたものである。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図30
【手続補正書】
【提出日】2016年9月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.0001重量%〜10重量%の式(1)に記載の構造を有する抗菌カチオン性ポリカーボネート(第1の薬剤)と、
0.0001重量%〜10重量%の抗菌性化合物(第2の薬剤)と
を含む、微生物を消滅させるためのゲル形成性の水溶液であって、
重量パーセント(重量%)は、該水溶液の総重量に基づくものであり、
該第1の薬剤および該第2の薬剤は、該水溶液中で非共有結合性の相互作用によって会合する、微生物を消滅させるための水溶液。
【化1】
(上記式(1)中、d’は、100〜600の値を有する正の数であり、
各K’は、O、NH、Sおよびそれらの組合せからなる群から選択される独立した2価の連結基であり、
各Pは、1個〜10個のビタミン担持サブユニットを含む独立したモノカーボネートまたはポリカーボネート鎖であって、ビタミン担持サブユニットのそれぞれがカーボネート主鎖および前記カーボネート主鎖に連結された側鎖を含み、前記側鎖はビタミンの共有結合形態を含み、
は、水素または1個〜15個の炭素を含む基からなる群から選択される第1の末端基であり、
は、水素または1個〜15個の炭素を含む基からなる群から選択される第2の末端基である。)
【請求項2】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(2)の構造を有するビタミン担持サブユニットを含む、請求項1に記載の水溶液。
【化2】
(式中、カーボネート骨格の原子は、1〜6の番号が付され、
は、1個〜15個の炭素を含む単結合または2価の連結基であり、
V’は、ビタミンの共有結合形態を含む部分であり、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素または1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’はいずれもゼロではない。)
【請求項3】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(9)の構造を有するカチオン性カーボネートサブユニットを含む、請求項1に記載の水溶液。
【化3】
(式中、L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基のいずれか1つまたはこれらの組合せを含むC〜C25のカチオン性側鎖であり、ここで、Lは、少なくとも3個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、独立した1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
tは、0〜2の値を有する正の整数であり、
t’は、0〜2の値を有する正の整数であり、
tおよびt’は、いずれもゼロではなく、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【請求項4】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(10)の構造を有するカチオン性カーボネートサブユニットを含む、請求項1に記載の水溶液。
【化4】
(式中、L−Q’(Rは、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基いずれか1つまたはこれらの組合せを含むC−C24のカチオン性部分であり、ここで、Lは、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
X’は、負電荷をもつイオンである。)
【請求項5】
前記抗菌カチオン性ポリカーボネートは、式(11)の構造を有するカチオン性カーボネートサブユニットを含む、請求項1に記載の水溶液。
【化5】
(式中、L−Q’(Ru’は、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基いずれか1つまたはこれらの組合せを含むC−C24のカチオン性部分であり、ここで、Lは、少なくとも2個の炭素を含む2価の連結基であり、Q’は、4価の正電荷をもつ窒素またはリンであり、u’は、1〜3の値を有し、各Rは、1〜3価を有する独立したラジカルであり、各Rは、少なくとも1個の炭素を含み、
各R’は、水素、ハロゲン、メチルおよびエチルからなる群から選択される、1価のラジカルであり、
R”は、水素、ハロゲンおよび1個〜6個の炭素を含むアルキル基からなる群から選択される1価のラジカルであり、
X’は、負電荷をもつイオンである。)