本発明は、変数が上記定義した通りである式(I)の化合物に関する。この化合物は、アポトーシスシグナル調節キナーゼ(「ASK1」)阻害活性を有し、したがって、自己免疫障害、炎症性疾患、心血管疾患、糖尿病、糖尿病性腎症、腎臓疾患を含む心腎臓疾患、線維性疾患、呼吸器疾患、COPD、特発性肺線維症、急性肺損傷、急性および慢性肝臓疾患、ならびに神経変性疾患を含めたASK1が媒介する状態の処置のために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
定義および一般的パラメータ
本明細書で使用される、以下の単語および文言は、それらが使用されている文脈が他に指示する範囲を除き、一般に、以下に示す意味を有するものとする。
【0016】
「アルキル」という用語は、指示される炭素原子の数を有するモノラジカル分枝状または非分枝状飽和炭化水素鎖を指す。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、およびイソ−プロピルなどの基によって例示される。
【0017】
「置換アルキル」という用語は:
1)指示された基から選択される1、2、または3個の置換基を有する、上記定義されたアルキル基を指す。
【0018】
「アルキレン」という用語は、典型的には1から6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子)を有する、分枝状または非分枝状飽和炭化水素鎖のジラジカルを指す。この用語は、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2CH
2−)、およびプロピレン異性体(例えば、−CH
2CH
2CH
2−および−CH(CH
3)CH
2−)などの基によって例示される。
【0019】
「アミノ」という用語は、基−NH
2を指す。置換アミノという用語は、NHR
aまたはNR
aR
b基を指し、式中、R
aおよびR
b(同じでも異なっていてもよい)は、置換基を表す。
【0020】
「シクロアルキル」という用語は、単環を有する3から6個の炭素原子の環式アルキル基を指す。そのようなシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルなどの単環構造が含まれる。
【0021】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フルオロ、ブロモ、クロロ、およびヨードを指す。
【0022】
「ハロアルキル」という用語は、1、2、または3個のハロ原子により置換されたまたは化学的に容認され得る、1〜3個(または指示された通りの)炭素原子のアルキルを指す。ハロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルロプロパニル、1,1,1−トリフルオロイソプロパニルが含まれる。
【0023】
「アシル」という用語は、基−C(O)Rを示し、式中、Rは水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアリール、および必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0024】
「アシルハロゲン化物」という用語は、基−C(O)Xを指し、式中、Xはハロゲン原
子であり、好ましくはクロロである。
【0025】
本明細書で使用されかつ他に定義されない限り、「ヘテロシクリル」、複素環式、および「複素環」という用語は同義であり、単環を有しかつ1から6個の炭素原子と窒素、硫黄、および/または酸素から選択される1から2個のヘテロ原子とを環内に有する、飽和または部分不飽和環式基を指す。本明細書で使用される複素環式基には、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジノ、およびジヒドロピリジノなどが含まれる。本明細書で使用される「4から6員複素環式」という用語は、上記定義された複素環式基を示唆し、環員の総数が4から6個であり、環内のヘテロ原子の数に基づいて炭素原子の数の調整が行われる。
【0026】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、この語に続いて記載される事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、その記載には上記事象または状況が起こる場合と起こらない場合とが含まれることを意味する。
【0027】
所定の式の化合物(例えば、「式(I)の化合物」)は、開示される本発明の化合物と、そのような化合物の薬学的に許容され得る塩、薬学的に許容され得るエステル、水和物、多形、およびプロドラッグを包含するものとする。
【0028】
本発明は、炭素原子に結合する1個以上の水素原子が重水素によって置き換えられた式Iの化合物も含む。そのような化合物は、高められた代謝抵抗性を示し、したがって、ほ乳類に投与された場合に任意の式Iの化合物の半減期を長くするのに有用である。例えば、Foster、「Deuterium Isotope Effects in Studies of Drug Metabolism」、Trends Pharmacol.
Sci.5巻(12号):524〜527頁(1984年)を参照されたい。そのような化合物は、当技術分野で周知の手段によって、例えば1個以上の水素原子が重水素によって置き換えられた出発材料を用いることによって、合成される。
【0029】
「異性体」とは、分子式は同じである、異なる化合物である。
【0030】
「立体異性体」とは、原子の空間配置のみが異なる異性体である。
【0031】
「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である一対の立体異性体である。一対の鏡像異性体の1:1混合物は「ラセミ」混合物である。「(±)」という用語は、適宜ラセミ混合物を表すのに用いられる。
【0032】
「ジアステレオマー」とは、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。
【0033】
式Iの化合物を含めた本明細書に示される任意の式または構造は、化合物の非標識形態ならびに同位体標識形態も表すものとする。
【0034】
「治療有効量」という用語は、そのような処置を必要とするほ乳類患者、好ましくはヒト患者に投与した場合、以下に定義するように、処置を行うのに十分な量を指す。治療有効量は、当業者が容易に決定することのできる、処置がなされる被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重症度、および投与の手法などに応じて変わることになる。
【0035】
「処置」または「処置する」という用語は、
(i)疾患から保護すること、すなわち疾患の臨床症状が発症しないようにすること;
(ii)疾患を阻害すること、すなわち臨床症状の発症を抑止すること;および/または(iii)疾患を緩和すること、すなわち臨床症状を後退させること
を目的とした、本発明の化合物の任意の投与または本発明の方法の実施を意味する。
【0036】
多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれと同様な基の存在により、酸および/または塩基の塩を形成することができる。
【0037】
所定の化合物の「薬学的に許容され得る塩」という用語は、所定の化合物の生物学的有効性および特性を保持しており、生物学的にまたは別の方法で望ましくないものではない塩を意味する。薬学的に許容され得る塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製され得る。無機塩基から誘導される塩として、あくまでも例であるが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩として、第一級アミン、第二級アミン、および第三級アミン、例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミンの塩が挙げられるが、これらに限定されない。また、2個または3個の置換基がアミノ窒素と一緒になって複素環式基またはヘテロアリール基を形成するアミンも挙げられる。
【0038】
薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製され得る。無機酸から誘導される塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの塩が挙げられる。有機酸から誘導される塩として、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの塩が挙げられる。
【0039】
本明細書中使用される場合、「薬学的に許容され得るキャリア」は、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質用のかかる媒体および作用物質の使用は、当該分野で周知である。どのような慣用的媒体および作用物質であっても、活性成分間と相容れないのでない限り、治療用組成物での使用が想定される。補助的な活性成分も組成物に組み込まれ得る。
【0040】
「冠動脈疾患」または「心血管疾患」は、例えば、心不全(うっ血性心不全、拡張期心不全、および収縮期心不全を含む)、急性心不全、虚血、反復性虚血、心筋梗塞、不整脈、狭心症(労作性狭心症(exercise−induced angina)、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症を含む)、急性冠動脈症候群、糖尿病、および間欠性跛行などのいずれか1つまたはそれより多くから生じる心血管構造の疾患を指す。
【0041】
「間欠性跛行」は、末梢動脈疾患に随伴する疼痛を意味する。「末梢動脈疾患」またはPADは、閉塞性末梢血管疾患(PVD)の1種である。PADは、心臓および脳の外側の動脈を冒す。PADで最も一般的な状態は、歩行のとき、階段を上るとき、または運動をしているときに、臀部、大腿、またはふくらはぎに生じる疼痛を伴うけいれんである。この疼痛を間欠性跛行と呼ぶ。間欠性跛行の状態が挙げられる場合、PADとPVDの両方を含むものとする。
【0042】
不整脈とは、何らかの心拍数異常を指す。徐脈は、異常に遅い心拍数を指し、頻脈は、異常に速い心拍数を指す。本明細書中使用される場合、不整脈の処置は、心房細動、心房粗動、房室結節性リエントリ性頻拍、心房頻拍などの上室性頻拍症、ならびに、特発性心室頻拍、心室細動、早期興奮症候群、およびトルサード・ド・ポワント(TdP)を含む心室頻拍(VT)の処置を含むものとする。
【0043】
「薬学的に許容され得る」は、薬学的調製物での使用に適切であることを意味し、一般にかかる使用について安全であるとみなされており、かかる使用について中央政府または州政府の規制当局により正式に認可されているか、動物、特にヒトへの使用について、米国薬局方または他の一般に認知された薬局方に列挙されていることを意味する。
【0044】
「プロドラッグ」は、in vivoで投与されると、1以上のステップまたはプロセスまたは別の方法により代謝されて、化合物の生物学的、薬学的、または治療活性形態に変換される化合物である。例えば、プロドラッグは、経口送達に対する生物学的障壁を克服した後に、親薬物(partent drug)を効率的に遊離させるよう化学的に設計された化合物を意味する。プロドラッグを製造するためには、代謝プロセスにより薬学的活性化合物が再生されるように、その活性化合物を改変する。プロドラッグは、薬の代謝安定性または輸送特性を変更するように、副作用または毒性を遮蔽するように、薬の風味を改善するように、あるいは薬の他の特徴または特性を変更するように設計され得る。in vivoでの薬力学的プロセスおよび薬代謝の知識により、当業者は、一旦、薬学的活性化合物が既知となれば、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York,388〜392頁を参照)。
【0045】
「多形体」は、化合物の分子が固体状態で少なくとも2種の異なる配置を取り得ることから生じる、化合物の異なる結晶形を指す。所定の化合物の多形形態は、結晶構造は異なるが、液体または気体状態では同一である。所定の物質の異なる多形体は、1種以上の物理特性(溶解性および解離、真密度、結晶の形状、圧縮挙動(compaction behavior)、流動性、および/または固体状態の安定性など)に関して互いに異なることがある。当業者なら、結晶質化合物の多形を生成させるためのプロセスを承知している。したがって、本発明の化合物の多形体は、本発明の範囲内にある。
【0046】
別の実施形態では、本発明は、
R
1が、C
1〜C
3アルキルまたはC
3〜C
6シクロアルキルであり、前記アルキルまたはシクロアルキルが、必要に応じて、1から3個のハロゲン原子で置換されており;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4およびR
5が、共に水素であり;
R
6が、C
1〜C
3アルキルまたはC
3〜C
6シクロアルキルであり;
R
aおよびR
bが、独立して、水素またはC
1〜C
3アルキルであり;またはR
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素または窒素原子を環内に含有する4から6員複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C
1〜C
3アルキルおよびヒドロキシルから独立して選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
別の実施形態では、本発明は、
R
1が、シクロプロピルであり;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4およびR
5が、共に水素であり;
R
6が、シクロプロピルであり;
R
aおよびR
bが、共にC
1〜C
3アルキルであり、またはR
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素原子を環内に含有する4から6員複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C
1〜C
3アルキルおよびヒ
ドロキシルから選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、
R
1が、C
1〜C
3ハロアルキルであり;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4およびR
5が、共に水素であり;
R
6が、シクロプロピルであり;
R
aおよびR
bが、共にC
1〜C
3アルキルであり、またはR
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素原子を環内に含有する4から6員複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C
1〜C
3アルキルおよびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、
R
1が、C
1〜C
3アルキルまたはシクロプロピルであり、前記アルキル基が3個のフルオロ原子で置換され;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4およびR
5が、共に水素であり;
R
6が、シクロプロピルであり;
R
aおよびR
bが、共にC
1〜C
3アルキルであり、またはR
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素原子を環内に含有する4から6員複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C
1〜C
3アルキルおよびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、
R
1が、C
1〜C
3アルキルまたはシクロプロピルであり、前記アルキル基が3個のフルオロ原子で置換され;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4およびR
5が、共に水素であり;
R
6が、シクロプロピルであり;
R
aおよびR
bが、共にメチルであり、またはR
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされてモルホリノ基またはアゼチジニル基を形成し、前記アゼチジニル基は、1個の炭素原子上でジアルキル化されておりまたは1個の炭素上でヒドロキシルおよびメチル基で置換されている
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、
R
1が、C
1〜C
3アルキルまたはシクロプロピルであり、前記アルキル基が3個のフルオロ原子で置換され;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4およびR
5が、共に水素であり;
R
6が、シクロプロピルであり;
R
aおよびR
bが、共にC
1〜C
3アルキルであり、またはR
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素原子を環内に含有する4から6員複素
環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C
1〜C
3アルキルおよびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明は、
R
1が、C
1〜C
3アルキルまたはC
1〜C
3シクロアルキルであり、前記アルキルまたはシクロアルキルが、必要に応じて、1から3個のフルオロ原子で置換され;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4が、水素であり;
R
5が、水素であり;
R
6が、C
1〜C
3アルキル、C
1〜C
3ハロアルキル、またはC
1〜C
3シクロアルキルであり、シクロアルキルは、必要に応じて、1から2個のフルオロ原子で置換され;
R
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルからなる群から選択される複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C
1〜C
3アルキルおよびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明は、
R
1が、メチル、エチル、プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル(difluormethyl)、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、
フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、またはシクロプロピルであり;
R
2が、水素であり;
R
3が、水素であり;
R
4が、水素であり;
R
5が、水素であり;
R
6が、メチル、エチル、プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、またはシクロプロピルであり;
R
aおよびR
bが、それらが結合する窒素原子と合わされて、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルからなる群から選択される複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、メチル、エチル、プロピル、およびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換される
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体を提供する。
【0053】
本発明の化合物には、以下に指名されるような化合物が含まれるが、これらに限定するものではない:
【化2】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−
モルホリノピコリンアミド(化合物1)
【化3】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)ピコリンアミド(化合物2)
【化4】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−モルホリノ−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物3)
【化5】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物4)
【化6】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ジメチルアミノ)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物5)
【化7】
5−(アゼチジン−1−イル)−4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物6)
【化8】
(S)−5−(アゼチジン−1−イル)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物7)
【化9】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ピロリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物8)
【化10】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−ピロリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド(化合物9)
【化11】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル
−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物10)
【化12】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−N−(2−(4−((S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物11)
【化13】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−ピペリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド(化合物12)
【化14】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ピペリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物13)
【化15】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物14)
【化16】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物15)
【化17】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物16)
【化18】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物17)。
【0054】
一態様では、本出願は、ラセミ混合物、鏡像異性体過剰な(e.e.)一方の鏡像異性体を含有する混合物、またはジアステレオマー過剰な(d.e.)一方のジアステレオマーを含有する混合物を、使用するまたは含む化合物、方法、および組成物を提供する。式(I)の化合物は、所望のASK−1活性を有する1種の立体異性体を、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%含んでいてもよい。例として、式(I)の化合物(例えば、化合物3、4、5、7、8、11、13、14、16)の一般的な調製で使用される全てのキラルアミン出発材料(例えば、R
aR
bNH)を、鏡像異性体の混合物として使用した。別の例では、式(I)の化合物の一般的な調製における中間体Eを、(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロ−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミドを主に含有する混合物と
して、調製し使用した。
【0055】
別の態様では、本出願は、式Iの化合物の光学異性体、ラセミ化合物、もしくこれらのその他の混合物、またはこれらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、もしく溶媒和物を、使用するまたは含む方法、組成物を提供する。単一の鏡像異性体またはジアステレオマー、すなわち、光学的に活性な形態は、不斉合成によってまたはラセミ化合物の分割によって得てもよい。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)カラムを使用したクロマトグラフィなどの公知の方法によって、達成されてもよい。例えば、炭素間2重結合を有する、化合物のZおよびE型(またはシスおよびトランス型)、またはそれらの薬学的に許容され得る塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物がある。
【0056】
命名法
本発明の化合物の名称は、ChemBioDraw Ultra 11の命名システム、またはInternational Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC)に準拠したthe Molecule to Chemical Name component of Pipeline Pilot version 9.1.0を使用して、提供される。その他の化合物またはラジカルには、一般名または組織もしくは非組織名を付けてもよい。本発明の化合物の命名および位置番号を、式(I)の代表的な化合物
【化19】
により例示するが、この化合物は:(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ジメチルアミノ)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミドという名称である。別の例では、下記の
【化20】
の構造を有する化合物を、IUPAC式名称に準拠したthe Molecule to
Chemical Name component of Pipeline Pilot version 9.1.0の命名システムを使用して4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミドと、またはChemBioDraw Ultraの命名システムを使用して4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピコリンアミドと呼んでもよい。
【0057】
併用療法
ASK1阻害剤の投与により急性心血管疾患事象の処置をうけているヒト患者は、他の治療剤による処置が有益な疾患または状態を呈することが多い。そうした疾患または状態は、心血管性のものであり得るか、または肺障害、代謝障害、胃腸管障害などに関連したものであり得る。さらに、ASK1阻害剤の投与により急性心血管疾患事象の処置をうけている冠動脈患者によっては、抗生物質、鎮痛薬、および/または抗鬱薬および抗不安薬といった治療剤での処置が有益となり得る状態を示すことがある。
【0058】
ASK1阻害剤と他の治療剤との併用処置が有益となり得る心血管関連疾患または状態として、安定狭心症、不安定狭心症(UA)、労作性狭心症、異型狭心症を含む狭心症、不整脈、間欠性跛行、非STE心筋梗塞(NSTEMI)を含む心筋梗塞、およびうっ血性(または慢性)心不全、急性心不全、または反復性虚血を含む心不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
心血管関連疾患または状態の処置に適した治療剤として、抗狭心症薬、心不全薬、抗血栓薬、抗不整脈薬、抗高血圧薬、および脂質低下薬が挙げられる。
【0060】
ASK1阻害剤と心血管関連状態の処置に適した治療剤との共投与により、患者が現在受けている医療(care therapy)の標準が向上する。
【0061】
抗狭心症薬として、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、およびニトレート(nitrate)が挙げられる。β遮断薬は、心臓の作業負荷を減少させることにより心臓が必要とする酸素を減らし、それにより心拍数を低下させるとともに心臓収縮を穏やかにするものである。β遮断薬の例として、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロール(Betapace)、およびチモロールが挙げられる。
【0062】
ニトレートは、動脈および静脈を拡張し、それにより冠動脈の血流を増大させるとともに血圧を低下させるものである。ニトレートの例として、ニトログリセリン、ニトレートパッチ、イソソルビドジニトレート、およびイソソルビド−5−モノニトレートが挙げられる。
【0063】
カルシウムチャネル遮断薬は、心臓および血管の細胞へのカルシウムの通常の流入を防いで血管を弛緩させ、それにより心臓への血液および酸素の供給を増加させるものである。カルシウムチャネル遮断薬の例として、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニフェジピン、ニモジピン(Nimotop)、ニソルジピン、ベラパミル、およびニカルジピンが挙げられる。
【0064】
心不全の処置に用いられる薬剤として、利尿薬、ACE阻害剤、血管拡張薬、および強心配糖体が挙げられる。利尿薬は、組織および循環系中の余分な流体を除去することにより心不全の症状の多くを緩和する。利尿薬の例として、ヒドロクロロチアジド、メトラゾン、フロセミド、ブメタニド、スピロノラクトン、およびエプレレノンが挙げられる。
【0065】
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤は、血管を拡張して血流抵抗を低下させることで心臓にかかる作業負荷を減らす。ACE阻害剤の例として、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、およびトランドラプリルが挙げられる。
【0066】
血管拡張薬は、血管を弛緩させ拡張することにより、血管にかかる圧を下げる。血管拡
張薬の例として、ヒドララジン、ジアゾキシド、プラゾシン、クロニジン、およびメチルドパが挙げられる。ACE阻害剤、ニトレート、カリウムチャネルアクチベータ、およびカルシウムチャネル遮断薬も、血管拡張薬として作用する。
【0067】
強心配糖体は、心臓の収縮力を高める化合物である。こうした化合物は、心臓のポンプ作用能力を増強し、心拍の不規則性を改善する。強心配糖体の例として、ジギタリス、ジゴキシン、およびジギトキシンが挙げられる。
【0068】
抗血栓薬は、血液の凝固能力を阻害する。抗血栓薬には、主要な3つの種類−血小板抑制剤、抗凝固剤、および血栓溶解剤が存在する。
【0069】
血小板抑制剤は、血小板の凝固活性を阻害し、それにより動脈での凝固を減少させる。血小板抑制剤の例として、アセチルサリチル酸(アスピリン)、チクロピジン、クロピドグレル、ジピリダモール、シロスタゾール、ペルサンチン、スルフィンピラゾン、ジピリダモール、インドメタシン、ならびに糖タンパク質llb/llla阻害剤(アブシキシマブ、チロフィバン、およびエプチフィバチドなど)が挙げられる。β遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬も、血小板抑制作用を有する。
【0070】
抗凝固剤は、血餅がさらに大きくなるのを防ぐとともに、新たなクロットの形成を防ぐ。抗凝固剤の例として、ビバリルジン、ワルファリン、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、ダナパロイド、レピルジン、およびアルガトロバンが挙げられる。
【0071】
血栓溶解剤は、既存の血餅を分解するように作用する。血栓溶解剤の例として、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、およびテネクテプラーゼ、ならびに組織プラスミノーゲン活性化因子が挙げられる。
【0072】
抗不整脈薬は、心拍数および律動の障害を処置するのに用いられる。抗不整脈薬の例として、アミオダロン、プロカインアミド、リドカイン、およびプロパフェノンが挙げられる。強心配糖体およびβ遮断薬も、抗不整脈薬として用いられる。
【0073】
抗高血圧薬は、高血圧、すなわち血圧が定常的に正常より高い状態を処置するのに用いられる。高血圧は、うっ血性心不全、粥状動脈硬化、およびクロット形成などの多くの心血管疾患の態様と関連している。
【0074】
抗高血圧薬の例として、α1アドレナリン作用拮抗薬(プラゾシン(Minipress)、ドキサゾシンメシレート(Cardura)、プラゾシン塩酸塩(Minipress)、プラゾシン、ポリチアジド(Minizide)、およびテラゾシン塩酸塩(Hytrin)など)、βアドレナリン作用拮抗薬(プロプラノロール(Inderal)、ナドロール(Corgard)、チモロール(Blocadren)、メトプロロール(Lopressor)、およびピンドロール(Visken)など)、中枢性αアドレナリン作動薬(クロニジン塩酸塩(Catapres)、クロニジン塩酸塩とクロルタリドン(Clorpres、Combipres)、グアナベンズアセテート(Wytensin)、グアンファシン塩酸塩(Tenex)、メチルドパ(Aldomet)、メチルドパとクロロチアジド(Aldoclor)、メチルドパとヒドロクロロチアジド(Aldoril)など)、複合α/βアドレナリン作用拮抗薬(ラベタロール(Normodyne、Trandate)、カルベジロール(Coreg)など)、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬(グアネチジン(Ismelin)およびレセルピン(Serpasil)など);中枢神経系作用性抗高血圧薬(クロニジン(Catapres)、メチルドパ(Aldomet)、グアナベンズ(Wytensin)など)、抗アンギオテンシンII剤、ACE阻害剤(ペリンドプリル(Aceon)、カプトプリル(Capot
en)、エナラプリル(Vasotec)、およびリシノプリル(Prinivil、Zestril)など)、アンギオテンシンII受容体拮抗薬(カンデサルタン(Atacand)、エプロサルタン(Teveten)、イルベサルタン(Avapro)、ロサルタン(Cozaar)、テルミサルタン(Micardis)、およびバルサルタン(Diovan)など)、カルシウムチャネル遮断薬(ベラパミル(Calan、Isoptin)、ジルチアゼム(Cardizem)、およびニフェジピン(Adalat、Procardia)など)、利尿薬、直接血管拡張薬(ニトロプルシド(Nipride)、ジアゾキシド(Hyperstat IV)、ヒドララジン(Apresoline)、ミノキシジル(Loniten)、ベラパミルなど)、ならびにカリウムチャネルアクチベータ(アプリカリム、ビマカリム、クロマカリム、レマカリム(emakalim)、ニコランジル、およびピナシジルなど)が挙げられる。
【0075】
脂質低下薬は、血中のコレステロールまたは脂肪糖の量を低下させるのに用いられる。脂質低下薬の例として、ベザフィブラート(Bezalip)、シプロフィブラート(Modalim)、およびスタチン類、例えばアトルバスタチン(Lipitor)、フルバスタチン(Lescol)、ロバスタチン(Mevacor、Altocor)、メバスタチン、ピタバスタチン(Livalo、Pitava)、プラバスタチン(Lipostat)、ロスバスタチン(Crestor)、およびシンバスタチン(Zocor)などが挙げられる。
【0076】
ASK1阻害剤を必要としている患者は、代謝障害、肺障害、末梢血管障害、または胃腸管障害などの1種以上の二次的病状を患っていることが多い。そのような患者には、本発明の化合物に少なくとも1種の治療剤を組み合わせて投与することを含む併用療法による処置が有益となり得る。
【0077】
肺障害とは、肺に関連した疾患または状態を指す。肺障害の例として、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、および気腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
肺障害の処置に用いられる治療剤の例として、β2作動薬および抗コリン作用薬などの気管支拡張薬、コルチコステロイド、ならびに電解質補助剤が挙げられる。肺障害の処置に用いられる治療剤の具体例として、エピネフリン、テルブタリン、アルブテロール、サルメテロール、セレベント(Serevent)、テオフィリン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウム、メチルプレドニゾロン、マグネシウム、およびカリウムが挙げられる。
【0079】
代謝障害の例として、I型およびII型糖尿病などの糖尿病、代謝症候群、脂質代謝異常、肥満、グルコース不耐性、高血圧、血清コレステロールの上昇、ならびにトリグリセリド上昇が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
代謝障害の処置に用いられる治療剤の例として、上記の「心血管剤の併用療法」の段落に記載された抗高血圧薬および脂質低下薬が挙げられる。代謝障害の処置に用いられる治療剤としてさらに、インシュリン、スルホニル尿素、ビグアナイド、αグルコシダーゼ阻害剤、およびインクレチン様剤が挙げられる。
【0081】
末梢血管障害とは、心臓および脳の外部に位置する血管(動脈および静脈)に関連した障害であり、例えば、末梢動脈疾患(PAD)、すなわち血液を内蔵、腕部、および脚部に供給する動脈が、粥状動脈硬化の結果、完全にまたは部分間的に塞がれた場合に発現する状態が含まれる。
【0082】
胃腸管障害とは、胃腸管に関連する疾患および状態を指す。胃腸管障害の例として、胃
食道逆流症(GERD)、炎症性腸疾患(IBD)、胃腸炎、胃炎および消化性潰瘍疾患、ならびに膵炎が挙げられる。
【0083】
胃腸管障害の処置に用いられる治療剤の例として、プロトンポンプ阻害剤(パントプラゾール(Protonix)、ランソプラゾール(Prevacid)、エソメプラゾール(Nexium)、オメプラゾール(Prilosec)、およびラベプラゾールなど)、H2遮断薬(シメチジン(Tagamet)、ラニチジン(Zantac)、ファモチジン(Pepcid)、およびニザチジン(Axid)など)、プロスタグランジン(ミソプロストール(Cytotec)など)、スクラルファート、および制酸薬が挙げられる。
【0084】
鎮痛薬は、疼痛を緩和するのに用いられる治療剤である。鎮痛薬の例として、オピエートおよびモルヒネ様剤(morphinomimetics)(フェンタニルおよびモルヒネなど)、パラセタモール、NSAID、ならびにCOX−2阻害剤が挙げられる。
【0085】
薬学的組成物および投与
本発明により提供される化合物は、通常、薬学的組成物の形態で投与される。したがって、本発明は、活性成分として、上記化合物、または薬学的に許容され得るその塩もしくはエステルのうち1種以上、および1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤、キャリア(不活性固形希釈剤および充填剤を含む)、希釈剤(滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む)、浸透増強剤、可溶化剤、およびアジュバントを含有する薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、単独で投与されても他の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。こうした組成物は、薬学分野で周知の様式で調製される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Co.、フィラデルフィア、ペンシルベニア 第17版(1985);およびModern Pharmaceutics,Marcel Dekker,Inc.第3版(G.S.Banker & C.T.Rhodes編を参照)。
【0086】
薬学的組成物は、例えば、参照として援用される特許および特許出願に記載されている、類似の有用性を有する薬剤の許容された投与方法のいずれかにより、単回の用量で投与されても複数回の用量で投与されてもよく、そのような方法として、直腸、口腔、鼻腔内および経皮経路による投与、動脈内注射による投与、静脈内投与、腹腔内投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、局所投与、吸入薬としての投与、または含浸もしくは被覆デバイス(例えば、ステントまたは動脈挿入式円柱状重合体など)を介した投与が挙げられる。
【0087】
投与方法の1つは、非経口、特に注射によるものである。本発明の新規組成物を注射による投与用に組み入れることができる形態として、ゴマ油、コーン油、綿実油、もしくは落花生油、ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水性溶液、および同様の薬学的ビヒクルを用いた、水性もしくは油性懸濁液、またはエマルジョンが挙げられる。注射には食塩水の水性溶液も慣用的に用いられているが、本発明の状況においてはあまり好適ではない。エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど(およびそれらの適切な混合物)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も用いることができる。適切な流動性は、例えば、被覆剤(レシチンなど)の使用により、分散液の場合は必要な粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤の使用により、維持され得る。微生物の作用は、様々な抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチメロサールなど)により防ぐことができる。
【0088】
滅菌注射用溶液は、本発明の化合物を必要量で、必要に応じて上記に列挙された様々な
他の成分とともに適切な溶媒に組み込み、続いて滅菌濾過することにより調製される。一般に、分散液は、滅菌された様々な活性成分を滅菌ビヒクル(基礎分散媒体および上記に列挙されたもののうち必要な他の成分を含有する)に組み込むことにより調製される。滅菌注射用溶液調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥技術および凍結乾燥技術であり、これらは、活性成分と任意の所望の追加成分の溶液をあらかじめ滅菌濾過しておき、その溶液からこれらの成分の粉末を生成する。
【0089】
経口投与は、本発明の化合物の別の投与経路である。投与は、カプセルまたは腸溶錠などによるものが可能である。本明細書に記載の少なくとも1種の化合物を含む薬学的組成物を作製する場合、活性成分は通常、賦形剤で希釈され、および/またはキャリア(これは、カプセル、サシェ、紙、または他の容器の形態のものが可能である)内に封入される。賦形剤が希釈剤として働く場合、賦形剤は、固体、半固体、または液体材料(上記)の形態のものが可能であり、活性成分用のビヒクル、キャリア、または媒体として働く。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ、エアロゾル(固体として、または液体媒体において)、活性化合物を含有(例えば、上限10重量%)する軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル剤、滅菌注射用液剤、およびパッケージされた滅菌散剤の形態のものが可能である。
【0090】
適切な賦形剤のいくつかの例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤はさらに、滑剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱物油など)、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存剤(メチルおよびプロピルヒドロキシ安息香酸)、甘味剤、ならびに香味剤を含むことができる。
【0091】
本発明の組成物は、当該分野で公知の手順を用いることにより、患者への投与後、活性成分が、迅速に、持続して、または遅延して放出されるように、製剤化され得る。経口投与用の放出制御薬物送達系として、浸透圧ポンプ系および重合体を被覆したリザーバーまたは薬物−重合体マトリックス製剤を含有する溶解系が挙げられる。放出制御系の例は、米国特許第3845770号、同第4326525号、同第4902514号、および同第5616345号に示される。本発明の方法で用いるための別の製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を用いる。そのような経皮パッチを用いることで、本発明の化合物を制御された量で連続または不連続注入することが可能になる。薬学的作用物質送達用経皮パッチの構成および使用は、当該分野で周知である。例えば、米国特許第5023252号、同第4992445号、および同第5001139号を参照。そのようなパッチは、薬学的作用物質を、連続送達、拍動送達、または応需型送達するように構築され得る。
【0092】
本組成物は、好ましくは、単位剤形で製剤化される。「単位剤形」という用語は、ヒト被験体および他のほ乳類のための単位投薬量に適した物理的に分離した単位であって、単位ごとに、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性材料と適切な薬学的賦形剤が含有されているもの(例えば、錠剤、カプセル剤、およびアンプル剤)を指す。本化合物は、一般に、薬学的有効量で投与される。好ましくは、各投薬単位は、経口投与の場合、本明細書に記載の化合物を1mg〜2g、非経口投与の場合、本明細書に記載の化合物を好ましくは0.1〜700mg含有する。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、処置される状態、選択した投与経路、実際に投与される化合物とその相対活性、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症状の重篤度などの関連性のある状況に照らして、医師により決定されることは理解される。
【0093】
錠剤などの固形組成物を調製する場合、主要な活性成分を薬学的賦形剤と混合して本発
明の化合物の均一混合物を含有する固形の製剤化前組成物を形成する。こうした製剤化前組成物が均一であると言う場合、その表現は活性成分が組成物全体にくまなく一様に分散されているため、組成物が容易に等しく有効な単位剤形(錠剤、丸剤、およびカプセル剤など)に分割され得ることを意味する。
【0094】
本発明の錠剤または丸剤は、被覆されるか、または他の方法で調合されることで、長期作用という利点をもたらす剤形となるか、胃の酸性条件から保護される。例えば、錠剤または丸剤は、内側投薬成分と外側投薬成分から構成され、後者が前者を包み込む形であることが可能である。この2成分は、胃での消化に耐えて内側成分が無傷のまま十二指腸に進むことができるようにするか、放出を遅らせることを可能にする腸溶層によって分離され得る。このような腸溶層またはコーティングには様々な材料を用いることができ、そのような材料として、多くのポリマー酸ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物が挙げられる。
【0095】
吸入または吹送用組成物として、薬学的に許容され得る水性もしくは有機溶媒,またはそれらの混合物による液剤および懸濁剤、ならびに散剤が挙げられる。液体または固体組成物は、上記のとおり、適切な薬学的に許容され得る賦形剤を含有してもよい。好ましくは、組成物は、局所または全身に効果を及ぼすために経口または経鼻呼吸器経路で投与される。好ましい薬学的に許容され得る溶媒における組成物は、不活性気体を用いて噴霧されてもよい。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接吸入されてもよいし、噴霧デバイスがフェイスマスクのテントまたは間欠陽圧呼吸装置に接続されていてもよい。溶液、懸濁液、および粉末組成物は、製剤を適切な方法で送達するデバイスから、好ましくは経口または経鼻経路により投与され得る。
【0096】
式(I)の化合物の合成
本発明の化合物は、本明細書中に開示された方法および本明細書の開示を考慮すると明らかである常用的な修飾をその方法に施したもの、ならびに当該分野で周知である方法を用いて調製することができる。本明細書の教示に加えて、慣用的な周知の合成法を用いることもできる。本明細書に記載の典型的化合物、例えば式(I)の1つ以上で記載される構造を有する化合物の合成は、以下のスキームAに記載のとおりに、およびまたは以下の実施例で提供されるように達成され得る。入手可能な場合は、試薬は、例えばSigma
Aldrichまたは他の化学品供給元から商業的に購入してもよい。
【化21】
【0097】
4−ブロモチアゾールカルボン酸(1)を、塩化チオニルまたは塩化オキサリルなどのアシルハロゲン化物形成試薬を使用して塩化アシルに変換することにより、まずカルボヒドラジドに変換する。次いでアシルハロゲン化物をヒドラジンで処理して、カルボヒドラジド(2)を形成する。カルボヒドラジドを、ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよび適切に置換された第一級アミンの存在下で環化して、所望のR1置換基を有するトリアゾール(3)を得る。あるいは、アシルハロゲン化物を、適切に置換されたアミン(R
1NH
2)との反応によってアミンに変換して、対応する化合物(1)のアミドを形成する。アミドを、公知の条件を使用してまたは本明細書に記載するように、Lawesson試薬との反応によってチオアミドに変換する。次いでチオアミドをヒドラジンと反応させて、トリアゾール(3)を得る。トリアゾール(3)を、DMFまたは当業者に公知のその他の溶媒中の酢酸銅および水酸化アンモニウムとの反応を介して、アミノ類似体(中間体A)に変換する。
【0098】
中間体Cの調製を、化合物(4)と、所望のR
6置換基を有する適切に置換されたイミダゾールとをカップリングすることによって開始する。得られた生成物(5)を、ブタノールなどのプロトン性溶媒中の一酸化炭素の存在下、Pd(dppf)Cl
2などのパラ
ジウム試薬を使用してカルボニル化する。得られた酸(6)を、中間体Cとして単離する。次いで中間体Cを中間体Aと反応させて、アミド中間体Dを形成する。中間体Dを、S
NAr反応に供し、式(I)の所望のアミン化合物に変換する。当業者は、上記の一般的なスキーム、本明細書で提供される特定の手順、またはそのような当業者に公知のその他の文献の出典に従って、本明細書の反応を行うことができる。
【0099】
一般的な合成:
本発明による化合物の典型的な実施形態は、以下に記載する一般的な反応スキームを使用して合成されてもよい。本明細書の記載によれば、一般的なスキームは、出発材料を、相応に異なる生成物をもたらすよう類似の構造を有するその他の材料に置き換えることによって、変更してもよいことが明らかにされよう。対応する生成物を提供するのに出発材料をどのように変えてもよいかに関する数多くの実施例を提供するために、合成に関する記載を以下に示す。置換基が定義された所望の生成物の場合、必要な出発材料は、一般に検査によって決定されてもよい。出発材料は、典型的には、商用の供給元から得られまたは公開された方法を使用して合成される。本発明の実施形態である化合物を合成するために、合成されることになる化合物の構造の検査は、各置換基が特定される。最終生成物が特定されると、本明細書の実施例の場合、一般に、検査の簡単なプロセスによって、必要な出発材料が明白に特定される。
【0100】
合成反応パラメータ
「溶媒」、「不活性有機溶媒」、または「不活性溶媒」という用語は、併せて記載される反応の条件下で不活性な溶媒を指す(例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、およびピリジンなどを含む)。そうでないことが明記されない限り、本発明の反応で使用される溶媒は不活性有機溶媒であり、反応は、不活性気体、好ましくは窒素下で実施される。
2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−アミン(中間体A)の調製
【化22】
【0101】
ステップ1: 4−ブロモチアゾール−2−カルボヒドラジドの調製:
MeOH(10mL)中の4−ブロモチアゾール−2−カルボン酸(2.0g、9.8mmol)の溶液に、SOCl
2(710μL、9.8mmol)を添加し、反応物を3時間還流させた。反応物を濃縮し、残留物をEtOH(10mL)に懸濁し、ヒドラジン水和物(2.4mL、49mmol)を添加し、反応物を90分間加熱還流した。反応物を濃縮し、CH
3CNに懸濁し、濾過し、固形分をCH
3CN、Et
2Oで洗浄し、乾燥して、4−ブロモチアゾール−2−カルボヒドラジド1.7g(77%)が黄色固体として得られた。M+1=222.1
【0102】
ステップ2: 4−ブロモ−2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾールの調製:
4−ブロモチアゾール−2−カルボヒドラジド(620mg、2.8mmol)およびトルエン(9mL)を、密閉可能なバイアルに加え、DMF・DMA(920μL、6.9mmol)を添加し、反応物を5分間撹拌した。シクロプロピルアミン(770μL、11mmol)、およびAcOH(160μL、2.8mmol)を添加し、反応物を、150℃のマイクロ波反応器で30分間加熱した。反応物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィにより精製して(1→7%MeOH、CH
2Cl
2中)、4−ブロモ−2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール(DMF・DMAが混入、しかし次のステップで直接使用)740mgが得られた。
【0103】
ステップ3: 2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−アミンの調製:
マイクロ波バイアルに、上記合成されたブロモチアゾール(1.0g、3.7mmol)、Cu(acac)
2(97mg、0.37mmol)、およびCs
2CO
3(2.4g、7.4mmol)を添加し、フラスコにN
2を充填した。ペンタジオン(150μL、1.5mmol)、DMF(8mL)、および水酸化アンモニウム(1.1ml、300μL/mmol)を添加し、反応物を90℃に加熱した。反応が、HPLC(約4時間)によって終了したと判断したら、混合物をCeliteに通して濾過し、CeliteをCH
2Cl
2で洗浄し、濾液を濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィ(6→13%MeOH、CH
2Cl
2中)により精製して、2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−アミン480mg(2ステップで63%)が油状物として得られた。M+1=208.2
【0104】
2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−アミン(中間体B)の調製
【化23】
【0105】
ステップ1: 4−ブロモチアゾール−2−カルボン酸の調製:
Et
2O(1000ml)中の2,4−ジブロモチアゾール(50g、207mmol、1.0当量)の溶液に、n−BuLi(90ml、2.5M、1.1当量)を−78℃で滴下して添加し、それを1時間撹拌した。反応溶液を、乾燥CO
2に−78℃で注ぎ、反応混合物を室温に温めた。TLCおよびLCMSは、反応が終了したことを示した。これを水(100ml)でクエンチ処理した。Et
2O相を除去した。水相を、pH2〜3に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥し、濾過し、濃縮して、4−ブロモチアゾール−2−カルボン酸35g(収率82%)が得られた。
1HNMR (400 MHz, DMSO): δ8.23(1H, s)
【0106】
ステップ2〜3: (S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボキサミドの調製:
SOCl
2(300ml)中の4−ブロモチアゾール−2−カルボン酸(80g、1.0当量)の混合物に、DMF(10滴)を添加した。これを5時間還流し、濃縮した。残留物をDCM(300ml)に溶解し、(S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−アミン塩酸塩(60.5g、1.05当量)の溶液にEt
3N(117g、3.0当量)と共に0℃で添加した。これを一晩撹拌した。TLCおよびLCMSは、反応が終了したことを示した。これを水でクエンチ処理し、DCMで抽出した。有機相を乾燥し、濾過し、濃縮した。残留物を、カラムにより精製して、(S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボキサミド62g(収率53%)が得られた。
1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ7.47 (1H, s), 7.17 (1H, br s), 4.74-4.76 (1H, m), 1.39 (3H, d, J = 6.8 Hz).
【0107】
ステップ4: (S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボチオアミドの調製
トルエン(1000ml)中の(S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボキサミド(50g、1.0当量)の溶液に、Lawesson試薬(100g、1.5当量)を添加した。これを一晩還流した。TLCおよびLCMSは、反応が終了したことを示した。これを濃縮し、残留物をカラムにより精製して、(S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボチオアミド46g(収率88%)が得られた。
【0108】
ステップ5: (S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボヒドラゾンアミドの調製
(S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボチオアミド(46g、1.0当量)の溶液に、ヒドラジン水和物(15g、2.0当量)を添加した。これを一晩還流した。TLCおよびLCMSは、反応が終了したことを示した。これを濃縮し、残留物をフラッシュカラムにより精製して、(S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボヒドラゾンアミド48g(収率100%)が得られた。
【0109】
ステップ6: (S)−4−ブロモ−2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾールの調製
トリエトキシメタン(500ml)中の(S)−4−ブロモ−N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)チアゾール−2−カルボヒドラゾンアミド(55g)を、90℃で3時間、次いで130℃で一晩撹拌し、反応物を濃縮した。残留物をカラムにより精製して、(S)−4−ブロモ−2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール44g(収率77%
)が得られた。
1HNMR (400 MHz, CDCl
3): δ8.46 (1H, s), 7.43 (1H, s), 6.48-6.52 (1H,
m), 1.83 (3H, d, J = 7.2 Hz).
【0110】
ステップ7: (S)−2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−アミン(中間体B)の調製
DMF(500ml)中の(S)−4−ブロモ−2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール(50g、120mmol、1.0当量)の溶液に、Cu(acac)
2(3.2g、12mmol、0.1当量)、アセチルアセトン(1.2g、0.1当量)、およびNH
4OH(50ml、濃)を添加した。これを90℃で一晩撹拌し、濃縮した。残留物をMeOH(500ml)に溶解し、これを濾過した。濾液を濃縮し、残留物をカラムにより精製して、中間体B 9.6g(収率24%)が得られた。
1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ8.38 (1H, s), 6.58-6.65 (1H, m), 6.14 (1H,
s), 4.20 (2H, br s), 1.77 (3H, d, J = 7.2 Hz);ESI MS:264
([M+1])。
【0111】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピコリン酸(中間体C)の調製
【化24】
ステップ1: 2−クロロ−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピリジンの調製
【0112】
ブチロニトリル(50mL)中の2−クロロ−5−フルオロ−4−ヨードピリジン(1.8g、1.00mmol)、4−シクロプロピルイミダゾール(982mg、9.10mmol)、Cu
2O(100mg、0.700mmol)、8−ヒドロキシキノリン(152mg、1.05mmol)、炭酸セシウム(4.60g、14.0mmol)、およびPEG−3350(1.4g)の懸濁物を、65℃で16時間加熱した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、濃縮し、残留物を、ジクロロメタンと水との間で分配した。層を分離し、水層をジクロロメタンで2回洗浄した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO
4)、濾過し、濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィ(15→60%EtOAc、ヘキサン中)により精製して、2−クロロ−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピリジン(702mg、収率42%)が得られた。
【0113】
ステップ2: ブチル4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5
−フルオロピコリネートの調製
2−クロロ−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピリジン(730mg、3.07mmol)およびPd(dppf)Cl
2(112mg、0.159mmol)を、脱気したBuOHに懸濁し、反応容器を一酸化炭素でパージし、COのバルーンを反応容器に固定した。混合物を70℃に90分間加熱し、Celiteに通して濾過し、濃縮した。残留物を、シリカゲルの短いプラグに通して、ブチル4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピコリネート(860mg、93%)が得られた。
【0114】
ステップ3: 4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピコリン酸の調製
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピコリネート(640mg、2.11mmol)を、1N HCl(5mL)に溶解し、反応物を、100℃に一晩加熱した。溶媒を除去し、CH
3CNを添加し、溶媒を除去して、4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−フルオロピコリン酸が得られ、これを後続の反応で直接使用した(変換率100%と想定)。
【0115】
アミドカップリング反応の代表的な手順:
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−フルオロピコリンアミド(中間体D)の調製
【化25】
中間体C・HCl(340mg、1.2mmol)、中間体A(261mg、1.26mmol)、HATU(638mg、1.68mmol)、およびN−メチルモルホリン(330μL、3.00mmol)の混合物に、DMF(5mL)を添加し、反応物を2時間撹拌した。混合物を濃縮し、最小量のCH
3CNに再溶解し、濃厚なスラリーが形成されるまで水を滴下した。固形分を、濾過によって単離し、CH
3CNで洗浄して、320mg(収率61%)が得られた。M+1=437.2
【0116】
中間体Eを、同じ手順により調製した:
【化26】
最終生成物を得るための、フッ化アリールのS
NAr置換に関する代表的な手順:
【0117】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−モルホリノピコリンアミドの調製
【化27】
DMF(3mL)中の中間体D(450mg、1.03mmol)およびK
2CO
3(430mg、3.09mmol)の混合物に、モルホリン(270μl、3.09mmol)を添加し、反応物を80℃に一晩加熱した。反応物を濃縮し、RP−HPLCにより精製して、4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−モルホリノピコリンアミド390mg(収率75%)が得られた。全ての最終化合物を、分取HPLCからHCl塩として単離した。
C
24H
25N
9O
2S。504.2。(M+1)。
1H NMR (DMSO) δ 10.99 (s,
1H), 9.57 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.99
(s, 2H), 4.05-4.09 (m, 1H), 3.61-3.64 (m, 4H), 2.90-3.05 (m, 4H), 2.04-2.08 (m, 1H), 1.03-1.09 (m, 6H), 0.85-0.90 (m, 2H).
【0118】
下記の化合物を、適切なアミンおよび指示された中間体を使用して、類似の手法で調製した。
【化28】
【0119】
中間体Dを介して、4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)ピコリンアミドを調製した。C
24H
25N
9O
2S。504.2。(M+1)。
1H NMR (DMSO)
δ 10.74 (s, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.10
(s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.77 (s, 1H), 4.02-4.06 (m, 1H), 3.67 (dd,
J = 8.0, 20.4 Hz, 4H), 2.01-2.06 (m, 1H), 1.37 (s, 3H), 1.03-1.10
(m, 6H), 0.83-0.86 (m, 2H).
【化29】
【0120】
中間体Eを介して、(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−モルホリノ−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンア
ミドを調製した。C
24H
24F
3N
9O
2S。560.2。(M+1)。
1H NMR (DMSO) δ 11.46 (s, 1H), 9.56 (s, 1H), 9.23 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 6.78-6.82 (m, 1H), 3.61-3.65
(m, 4H), 2.90-2.94 (m, 4H), 2.02-2.06 (m, 1H), 1.83 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.03-1.07 (m, 2H), 0.86-0.88 (m, 2H).
【化30】
【0121】
中間体Eを介して、(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミドを調製した。C
24H
24F
3N
9O
2S。560.1。(M+1)。
1H NMR (DMSO) δ 11.21 (s, 1H), 9.24 (br s,
1H), 9.22 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.75
(s, 1H), 6.79 (pent, J = 7.2 Hz, 1H), 3.67 (dd, J = 8.0, 19.6 Hz, 4H), 2.68 (s, 1H), 2.02-2.05 (m, 1H), 1.82 (d, J = 7.2 Hz, 3H),
1.37 (s, 3H), 1.01-1.06 (m, 2H), 0.81-0.85 (m, 2H).
【化31】
【0122】
中間体Eを介して、(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ジメチルアミノ)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミドを調製した。C
22H
22F
3N
9OS。518.1。(M+1)。
1H NMR (DMSO) δ 11.32 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 9.23 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 6.80 (pent, J = 7.2 Hz, 1H), 2.73 (s, 6H), 2.02-2.06 (m, 1H), 1.83 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 1.01-1.06 (m, 2H), 0.84-0.88 (m, 2H).
【0123】
式(I)の化合物の、さらなる一般的調製
【化32】
(式中、R
a、R
b、およびR
1は、式(I)で定義される。)
【0124】
2mLの反応バイアルに、適切なアミン求核試薬(4.1当量)およびK
2CO
3(6.1当量)を入れた。ここに、NMP(0.15M)中の中間体DまたはE(1.0当量)の溶液を添加した。混合物を80℃で16時間加熱した。これを室温に冷却し、ここにEtOAcを添加した。得られた上澄みを、別の収集チューブに移した。溶媒をGenevacにより除去し、得られた固体を水で洗浄し、乾燥して、所望の生成物が得られた。生成物を、LCMS分析による検証により特定した。
【0125】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミドの調製
【化33】
2mlの反応バイアルに、ピロリジン−3−オール塩酸塩(22.7mg、0.19mmol)およびK
2CO
3(38mg、0.28mmol)を入れた。ここに、NMP(0.3mL)中の中間体D(20mg、0.046mmol)の溶液を添加した。混合物を、80℃で16時間加熱した。これを室温に冷却し、ここにEtOAc(1mL)を添加した。溶媒をGenevacにより除去し、得られた固体を水で洗浄し、乾燥して、4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物10)が得られた。LRMS(ESI
+)m/z[M+H]
+ C
24H
26N
9O
2Sの計算値504.2、504.1。
【0126】
化合物6、9、12、15、および17を、中間体Dを使用して、類似の手法で調製した。
【化34】
5−(アゼチジン−1−イル)−4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボキサミド(化合物6)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
23H
23N
9OSの計算値474.2、実測値:474.2。
【化35】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−ピロリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド(化合物9)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
24H
25N
9OSの計算値488.2、実測値:488.2。
【化36】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−ピペリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド(化合物12)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
25H
27N
9OSの計算値502.2、実測値:502.1。
【化37】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物15)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
26H
29N
9O
2Sの計算値532.2、実測値:532.1。
【化38】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド(化合物17)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
25H
28N
10OSの計算値517.2、実測値:517.1。
【0127】
化合物7、8、11、13、14、および16を、中間体Eを使用して、類似の一般的な調製手順で調製した。
【化39】
(S)−5−(アゼチジン−1−イル)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物7)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
23H
22F
3N
9OSの計算値530.2、実測値:530.2。
【化40】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ピロリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物8)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
24H
24F
3N
9OSの計算値544.2、実測値:543.8。
【化41】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−N−(2−(4−((S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物11)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
24H
24F
3N
9O
2Sの計算値560.2、実測値:560.2。
【化42】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ピペリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物13)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
25H
26F
3N
9OSの計算値558.2、実測値:557.9。
【化43】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物14)。LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+
C
26H
28F
3N
9O
2Sの計算値588.2、実測値:587.9
【化44】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド(化合物16)LRMS(ESI
+)m/z [M+H]
+ C
25H
27F
3N
10OSの計算値573.2、実測値:573.1。
【0128】
有用性、試験、および投与
一般的有用性
式Iの化合物は、ASK1阻害剤の投与に反応する状態を処置するのに有効と考えられ
る。特に、式Iの化合物は、広範な疾患、例えば自己免疫障害、炎症性疾患、心血管疾患(糖尿病、糖尿病性腎症、およびその他の糖尿病の合併症を含む)、腎臓疾患を含む心腎臓疾患、線維性疾患、呼吸器疾患(COPD、特発性肺線維症(IPF)、および急性肺損傷を含む)、急性および慢性肝臓疾患、ならびに神経変性疾患を処置するのに有用である。
【0129】
試験
活性試験を、下記の実施例に記載されるように、また、当業者に明らかな方法によって、実施する。
【0130】
下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下に続く実施例に開示される技術は、本発明の実施に際して十分機能することが本発明者(ら)により発見された技術を表し、したがってその実施のための好ましい態様を構成すると見なすことができることが、当業者に理解されよう。しかし当業者は、本開示に照らして、多くの変更を、開示された特定の実施形態に行うことができ、かつその変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果を依然として得ることができることを理解すべきである。
【0131】
生物学的アッセイ
ASK1(アポトーシスシグナル調節キナーゼ1)キナーゼに対する本発明の化合物の阻害活性を評価するために、その活性を、ATPからペプチド基質に移送されたホスフェートの量を決定するTR−FRET ASK1キナーゼアッセイを使用して検査した。
【0132】
材料および方法
試薬
脱リン酸化組換えヒトASK1キナーゼは、Gilead Sciences製であった。小分子キナーゼ阻害剤スタウロスポリン(カタログ# S6942)およびジチオトレイトール(DTT、カタログ# 43815−5G)は、Sigma Chemicals(St.Louis、MO)から得た。ATP(カタログ# 7724)は、Affymetrix(Santa Clara、CA)製であり、試験化合物は、Gilead Sciences製であった。HTRF KinEASE(商標)−STK S3キットを、Cisbio(Bedford、Mass)から得た。その他全ての試薬は、最高級の市販のものであった。
【0133】
アッセイ
アッセイは、HTRF検出を使用して(6.1)、ASK1キナーゼによるビオチニル化ペプチド基質のリン酸化レベルを測定する。これは、CisbioからのHTRF(登録商標)KinEASE(商標)−STKマニュアルに基づいた(6.1)、競合的な時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET:time−resolved fluorescence resonance energy transfer)免疫アッセイである。試験化合物、1μM STK3ペプチド基質、4nM ASK1キナーゼを、10mM 酢酸Mg、0.025%NP−40、1mM DTT、0.05%BSA、および1.5%グリセロールを含有する10mM MOP緩衝液(pH7.0)と共に30分間インキュベートし、次いで100μM ATPを添加してキナーゼ反応を開始させ、3時間インキュベートする。10mM EDTAおよび125nMストレプトアビジンXL665を含有する1×Eu
3+クリプテート緩衝液で標識されたペプチド抗体を添加して、反応を停止させ、リン酸化ペプチド基質を、PerkinElmer製のEnvision 2103マルチラベルリーダーを使用して検出する。蛍光を、615nm(クリプテート)および665nm(XL665)で測定し、665nm/615nmの比を各ウェルごとに計算する。得られるTR−FRETレベル(665nm/615nmの比
)は、リン酸化レベルに比例する。これらのアッセイ条件下、ペプチド基質のリン酸化度は、時間および酵素の濃度に対して線形であった。アッセイシステムは、酵素のK
mおよび特異的活性に関して一貫した結果をもたらした。阻害実験(IC
50値)では、活性は、一定濃度のATP、ペプチド、およびいくつかの固定濃度の阻害剤で実現した。スタウロスポリン、非選択的キナーゼ阻害剤を、陽性対照として使用した。全ての酵素の活性データを、4連で測定した平均として報告する。
【0134】
データ解析
IC
50値を、方程式:
y=範囲/{1+(x/IC
50)
s}+バックグラウンド
に従い計算した。式中、xおよびyは、それぞれ阻害剤の濃度および酵素活性を表す。酵素活性は、ATPから基質ペプチドに組み込まれたホスフェートの量として表す。範囲は、最大y範囲(阻害剤なし、DMSO対照)であり、sはスロープ係数である(6.2)。
【0135】
結果
上記方法に従って、以下に示すようにASK1を阻害する式(I)の化合物について試験をした。
【表1】
【0136】
データは、試験がなされた式(I)の化合物が、ASK−1受容体の強力な阻害剤であることを実証する。
【0137】
ASK1(アポトーシスシグナル調節キナーゼ1)293細胞をベースにしたアッセイ(細胞EC
50)
化合物の細胞効力を、AP−1:ルシフェラーゼレポーター構築物を安定に発現する細胞(293/AP1−Luc細胞−Panomics Inc.、6519 Dumbarton Circle、Fremont、CA)でアッセイした。細胞を、キナーゼ活性ASK1を発現するアデノウイルスに感染させたが(ラットASK1 cDNAの631−1381)、これはAP−1転写因子を活性化させ、ルシフェラーゼの発現を増大させるものである。ASK1の阻害剤は、ASK1の酵素活性を減少させ、したがってAP−1転写因子の活性およびルシフェラーゼの発現を減少させることになる。
1.このプロトコールに必要な材料
【表2】
【0138】
2.参考文献
1. Panomics 293/AP1−Luc安定細胞系プロダクトインサート。
2. Promega Steady−Gloルシフェラーゼアッセイシステムプロダクトインサート。
【0139】
3.必要な培地
3. 完全成長培地、「CGM」
a. DMEM(MediaTech)
b. 10% FBS
c. 1% PSG
d. 100ug/mL ハイグロマイシンB
4. アッセイ培地、「AM」
a. DMEM(Invitrogen)
b. 25mM HEPES
c. 1mM ピルビン酸ナトリウム
d. 1% PSG
【0140】
4.方法
メンテナンス:
1. 293/AP1−Lucは、業者の取扱説明書により293/A細胞を維持し;T150フラスコ内の約80%のコンフルエンスで、下記の通り細胞を採取する:
a. 培地を吸引し、約12mLの滅菌D−PBSで穏やかに洗浄し、吸引する。
b. 5mLのトリプシン−EDTAを添加し、穏やかに傾けてフラスコをコーティングし、約5分間37℃でインキュベートする。
c. フラスコを叩かない;5mLのCGMを添加し、細胞懸濁液で4回フラスコを洗浄し、50mLの円錐バイアルに移し、5分間1200rpmで遠心分離する。
d. 細胞ペレットから培地を吸引し、20から30mLのCGMを添加し、6回ピペッティングすることによってペレットを再懸濁し、細胞ストレイナーに通して凝集塊を分散させ(必要な場合)、血球計数器で細胞をカウントする。
アッセイ 1日目:
2. 細胞ペレットを再懸濁する他は、上記の通り細胞を採取する。
細胞をカウントし、mL当たり1.5×10
5細胞に希釈し;細胞当たり5つの感染形成単位が存在するように、アデノウイルスを添加する。
3. Greinerポリ−D−リシンコーティング付き384ウェルプレートをプライム処理し(20から30mL)、BioTek uFill(ウェル当たり80uL)を使用して、ウェル当たり1.2×10
4細胞で細胞をプレーティングする。
4. 直後に、0.4uLの化合物用量系列(100%DMSO中)でプレートに投与し、加湿したインキュベーター(37℃、5%CO
2)内で24時間インキュベートする。
アッセイ 2日目:
5. プレートを、下記の通り加工する(製造業者の取扱説明書に従って):
a. プレートを、層流フード内に設置し、室温で30分間露出させて冷却する。
b. アッセイウェルからAM 60uLを除去する。
c. Steady−Glo Firefly基質をウェル当たり20uL添加し、室温で10〜20分間静置する。
d. アッセイプレートの底部を白色バッキングテープで覆う。
e. 蛍光プレート読取り器でデータを獲得する。
【0141】
100%阻害陽性対照ウェルを、残基709でリシンからアルギンに変異する触媒的に不活性なASK1変異体を発現するアデノウイルスを細胞に感染させることによって、生成した。
【0143】
上記データは、式(I)の化合物、特に試験がなされた化合物が、強力なin−vitro効能を示すことを示唆する。
【0144】
ヒト全血CXCL1アッセイ
試薬
ヘパリンナトリウムガラスバキュテナー管(BD Biosciences #366480)に収集されたヒト血液を、Stanford Blood Center(Palo Alto、Ca)から得た。赤血球塩化アンモニウム−−カリウム(Ammonium−Chloride−Potassium;ACK)溶解緩衝液を、Invitrogen(A10492−01)から得た。リン酸緩衝食塩水(PBS、21−031−CV)およびRPMI640培地(10−040−CV)をCellgroから購入した。50mlの円錐チューブは、BD Biosciences(352070)製であった。96ウェルプレート(MAVM0960R)用の真空マニホールドと共に使用されるマルチスクリーンフィルタープレート(MSBVS1210)は、EMD Millipore Inc.から購入した。全量ピペット(13−711−20)および血球計数器(0267110)は、Thermo Fisher Scientificから購入した。Beckmann Coulter製Allegra X15Rを、PBMCの単離において全ての遠心分離ステップで使用した。
【0145】
ASK1阻害剤およびオーラノフィン(Enzo Life Sciences Inc.BML−EI206−0100)を、それぞれ10mMおよび100mMの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Aldrich cat#472301)
に溶解した。一定分量を、使用する時まで−20℃で凍結保存し、再使用または再凍結はしなかった。ASK1阻害剤の連続希釈を、食塩水(pH4.5〜7、Hospira Inc、RL−2099)で行った。細胞抽出緩衝液(FNN0011)およびHaltプロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤カクテル(78442)を、それぞれLife Technologies,Inc.およびThermofisher Scientific Inc.から購入した。Boekel scientific Rocker IIを使用して、処理の間でプレートを撹拌した。CXCL1タンパク質を、MilliporeからのELISAアッセイにより定量した。
【0146】
化合物処理およびオーラノフィン刺激
10mM ASK1阻害剤DMSOストックを食塩水で希釈して、100μM(10×)の希釈標準溶液を生成した。これを、食塩水による8点3倍連続希釈系列に供し、各濃度は、最終的に意図される濃度の10×であった。各10×希釈標準ストック(working stock)10uLを、全血90μlを含む96プレートの8個のウェルに添加し、用量範囲10uMから1.5nMを生成したが(アッセイプレート構成を
図1に示す)、濃度ごとに8個のレプリケートを用いた。試料を、37℃および5%CO
2のインキュベーター内で1時間インキュベートした。100mMのオーラノフィン原液を、RPMI培地中で100μMに希釈し、5ulをアッセイプレートの各ウェルに添加して、最終濃度を約5μMにした。Ask1阻害剤またはオーラノフィンで処理しなかった対照試料では、最高濃度の試験化合物でインキュベートされたウェルと等量のDMSO/食塩水を添加した(DMSO 0.1%最終濃度)。試料を、37℃/5%CO
2のインキュベーターで24時間、穏やかに撹拌しながらインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、RPMI 1640培地を100μl、各ウェルに添加し、プレートを穏やかに混合し、次いで1000×gで10分間、4℃で遠心分離して、細胞をペレッティングした。各ウェルから得られた上澄み50μlを、新しい96ウェルアッセイプレートに移し、CXCL1の量を、製造業者の取扱説明書に従いProcarta免疫アッセイによって定量した。各化合物を、少なくとも2名の独立したドナーから得た血液中で試験した。
図1.最終アッセイプレート構成
【表4】
【0147】
データ解析
データは、EC
50値を決定するために、様々な勾配に対する非線形回帰曲線の当てはめを使用したGraphPad Prism 5ソフトウェア(GraphPad Software Inc.、La Jolla、CA、USA)を使用して解析した。少なくとも2名の独立したドナーからの平均EC
50を報告する。
結果:
【表5】
【0148】
データは、式(I)の化合物が、ASK1のin vivo阻害剤において強力であることを示唆する。化合物6〜17の活性を、アッセイ尺度、すなわち上記のCisbio(6.1)からのHTRF(登録商標)KinEASE(商標)−STKマニュアルに基づく同じ競合TR−FRET免疫アッセイを使用したASK1キナーゼによるビオチニル化ペプチド基質のリン酸化レベルを使用して、検査した。試験をした化合物は、以下に示すようにASK1を阻害した。
【表6-1】
【表6-2】
【0149】
データは、試験された式(I)の化合物が、ASK−1受容体の強力な阻害剤であることを実証する。
【0150】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(I)の化合物:
【化45】
(式中:
R1は、C1〜C3アルキルまたはC3〜C6シクロアルキルであり、前記アルキルまたはシクロアルキルは、必要に応じて、1から3個のハロゲン原子で置換されており;
R2は、水素またはC1〜C6アルキルであり、前記アルキルは必要に応じてハロで置換されており;
R3は、水素またはC1〜C3アルキルであり;
R4は、水素またはC1〜C3アルキルであり;
R5は、水素、C1〜C3アルキル、ORa、または−NHRaであり;
R6は、水素、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、またはC3〜C6シクロアルキルであり、前記シクロアルキルは、必要に応じて、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、または1もしくは2個のハロゲン原子で置換されており;
RaおよびRbは、独立して、水素、C1〜C3アルキルであり、またはRaおよびRbは、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素または窒素原子を環内に含有する4から6員複素環を形成する)、
またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体。
(項2)
R1が、C1〜C3アルキルまたはC3〜C6シクロアルキルであり、前記アルキルまたはシクロアルキルは、必要に応じて、1から3個のハロゲン原子で置換されており;
R2が、水素であり;
R3が、水素であり;
R4およびR5が、共に水素であり;
R6が、C1〜C3アルキルまたはC3〜C6シクロアルキルであり;
RaおよびRbが、独立して、水素またはC1〜C3アルキルであり;またはRaおよびRbが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素原子を環内に含有する4から6員複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシルから独立して選択される1または2個の基で置換されている、
上記項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体。
(項3)
R1が、C1〜C3アルキルまたはシクロプロピルであり、前記アルキル基が3個のフルオロ原子で置換されており;
R2が、水素であり;
R3が、水素であり;
R4およびR5が、共に水素であり;
R6が、シクロプロピルであり;
RaおよびRbが、共にC1〜C3アルキルであり、またはRaおよびRbが、それらが結合する窒素原子と合わされて、必要に応じて酸素原子を環内に含有する4から6員複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換されている、
上記項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体。
(項4)
【化46】
すなわち
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−モルホリノピコリンアミド;
【化47】
すなわち
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)ピコリンアミド;
【化48】
すなわち
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−モルホリノ−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;
【化49】
すなわち
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;および
【化50】
すなわち
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ジメチルアミノ)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミドからなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは鏡像異性体。
(項5)
【化51】
すなわち
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ジメチルアミノ)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド
である、上記項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは鏡像異性体。
(項6)
【化52】
すなわち、
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド
である、上記項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは鏡像異性体。
(項7)
【化53】
すなわち、
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−シクロプロピル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)−5−(3−ヒドロキシ−3−メチルアゼチジン−1−イル)ピコリンアミド
である、上記項4に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは鏡像異性体。
(項8)
上記項1〜7および14〜16に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む、薬学的組成物。
(項9)
上記項1〜7および14〜16に記載の化合物の治療量を投与する工程を含む、ヒト患者において、自己免疫障害、炎症性疾患、心血管疾患(糖尿病、糖尿病性腎症、およびその他の糖尿病の合併症を含む)、腎臓疾患を含む心腎臓疾患、線維性疾患、呼吸器疾患(COPD、特発性肺線維症(IPF)、および急性肺損傷を含む)、急性および慢性肝臓疾患、ならびに神経変性疾患などの疾患を処置する方法。
(項10)
上記項1〜7および14〜16に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む、慢性腎臓疾患を処置する方法。
(項11)
肺線維症または腎臓線維症を処置する方法であって、上記項1〜7および14〜16に記載の化合物の治療有効量を、前記処置の必要がある患者に投与する工程を含む、方法。
(項12)
治療における使用のための、上記項1〜7および14〜16に記載の化合物。
(項13)
自己免疫障害、炎症性疾患、心血管疾患(糖尿病、糖尿病性腎症、およびその他の糖尿病の合併症を含む)、腎臓疾患を含む心腎臓疾患、線維性疾患、呼吸器疾患(COPD、特発性肺線維症(IPF)、および急性肺損傷を含む)、急性および慢性肝臓疾患、ならびに神経変性疾患を処置するための医薬を製造するための、上記項1〜7および14〜16に記載の化合物の使用。
(項14)
R1が、C1〜C3アルキルまたはシクロプロピルであり、アルキルまたはシクロプロピルが必要に応じて1から3個のフルオロ原子で置換されており;
R2が、水素であり;
R3が、水素であり;
R4およびR5が、共に水素であり;
R6が、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキル、またはシクロプロピルであり、シクロプロピルが、1から2個のフルオロ原子で置換されており;
RaおよびRbが、それらが結合する窒素原子と合わされて、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルからなる群から選択される複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、C1〜C3アルキルおよびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換されている、
上記項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体。
(項15)
R1が、メチル、エチル、プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、またはシクロプロピルであり;
R2が、水素であり;
R3が、水素であり;
R4およびR5が、共に水素であり;
R6が、メチル、エチル、プロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、またはシクロプロピルであり;
RaおよびRbが、それらが結合する窒素原子と合わされて、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルからなる群から選択される複素環式基を形成し;前記複素環式基がさらに、必要に応じて、メチル、エチル、プロピル、およびヒドロキシルから選択される1または2個の基で置換されている、
上記項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体。
(項16)
【化54】
5−(アゼチジン−1−イル)−4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボキサミド;
【化55】
(S)−5−(アゼチジン−1−イル)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;
【化56】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ピロリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;
【化57】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−ピロリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド;
【化58】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド;
【化59】
4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−N−(2−(4−((S)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;
【化60】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−ピペリジン−1−イルピリジン−2−カルボキサミド;
【化61】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(ピペリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;
【化62】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;
【化63】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド;
【化64】
(S)−4−(4−シクロプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−N−(2−(4−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チアゾール−4−イル)ピコリンアミド;および
【化65】
4−(4−シクロプロピルイミダゾール−1−イル)−N−[2−(4−シクロプロピル−1,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピリジン−2−カルボキサミド
からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは立体異性体。