特開2016-222759(P2016-222759A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-222759ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222759(P2016-222759A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20161205BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20161205BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20161205BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20161205BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20161205BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08K3/36
   C08K5/54
   C08L23/26
   B60C1/00 Z
   B60C1/00 A
   B60C11/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-107695(P2015-107695)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】田邊 祐介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 峻
(72)【発明者】
【氏名】山川 賀津人
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AC031
4J002AC032
4J002AC081
4J002AC082
4J002BB213
4J002DA030
4J002DA040
4J002DE100
4J002DJ016
4J002EF050
4J002EX007
4J002EX087
4J002FD016
4J002FD140
4J002FD150
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】シランカップリング剤の含有量を低下させても優れた低発熱性を維持しつつ加工性に優れるゴム組成物、これを用いる空気入りタイヤの提供。
【解決手段】ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、重量平均分子量が20,000以下であり、23℃の条件下で液体である液状酸変性ポリオレフィンとを含有し、前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であり、前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して、1質量部以上であり、前記液状酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上であり、前記シランカップリング剤と前記液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部である、ゴム組成物、及び、これを用いる空気入りタイヤ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、重量平均分子量が20,000以下であり、23℃の条件下で液体である液状酸変性ポリオレフィンとを含有し、
前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記液状酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記シランカップリング剤と前記液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部である、ゴム組成物。
【請求項2】
前記液状酸変性ポリオレフィンの主鎖は、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから形成される重合体である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記液状酸変性ポリオレフィンが、マレイン酸及びその無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種で変性されたポリオレフィンである、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記シランカップリング剤の含有量に対する前記液状酸変性ポリオレフィンの含有量の割合(液状酸変性ポリオレフィン/シランカップリング剤)が、0.2〜29である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
更に、重量平均分子量が20,000を超え1,000,000以下である、酸変性ポリオレフィンを含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部である、請求項5に記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記シランカップリング剤の含有量が、前記合計含有量中の、1〜20質量部である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いる空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記ゴム組成物をキャップトレッドに使用する、請求項8に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、タイヤに求められる性能は多岐にわたる。タイヤに求められる性能としては、例えば、高速走行での操縦安定性、湿潤路面での安定性、自動車の低燃費化のための転がり抵抗の低減、耐摩耗性の向上などが挙げられる。
【0003】
従来、転がり抵抗の低減と湿潤路面での安定性とを両立させるために、タイヤ用ゴム組成物に、補強性フィラーとして、シリカを配合することが行われている。
しかし、シリカはゴムに対する分散性が悪く、シリカを多量にゴム組成物に配合することが難しい。このため、シリカの分散性を向上させるための手法として、例えば、シランカップリング剤を配合するなどの手法が知られている。
ところが、シランカップリング剤を多く配合すると、加工性が悪くなるという問題があった。
【0004】
一方、硬度およびモジュラスを維持しながら低発熱性を達成し、高い破断伸びを付与し、なおかつ低比重であるタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤの提供を目的として、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレンゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーからなる群から選択された少なくとも1種のジエン系ゴム100質量部に対し、再生ポリエチレンテレフタレート粉末を1〜80質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物が提案されている(特許文献1)。
特許文献1には、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに、カルボキシル基または無水カルボキシル基含有ポリエチレンを1〜30質量部配合してなることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−153168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようななか、特許文献1をもとに酸変性ポリオレフィンを含有するゴム組成物を調製し評価したところ、このようなゴム組成物は、ムーニー粘度が高くなることが明らかとなった。
本発明は、上記実情を鑑みて、シランカップリング剤の含有量を低下させたり、シリカを多量に配合しても優れた低発熱性を維持しつつ、加工性に優れる(詳細にはムーニー粘度が低い)ゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の液状酸変性ポリオレフィンを特定の含有量で使用することによって所定の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0008】
1. ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、重量平均分子量が20,000以下であり、23℃の条件下で液体である液状酸変性ポリオレフィンとを含有し、
シリカの含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であり、
シランカップリング剤の含有量が、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であり、
液状酸変性ポリオレフィンの含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上であり、
シランカップリング剤と液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部である、ゴム組成物。
2. 液状酸変性ポリオレフィンの主鎖は、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから形成される重合体である、上記1に記載のゴム組成物。
3. 液状酸変性ポリオレフィンが、マレイン酸及びその無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種で変性されたポリオレフィンである、上記1又は2に記載のゴム組成物。
4. シランカップリング剤の含有量に対する液状酸変性ポリオレフィンの含有量の割合(液状酸変性ポリオレフィン/シランカップリング剤)が、0.2〜29である、上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
5. 更に、重量平均分子量が20,000を超え1,000,000以下である、酸変性ポリオレフィンを含有する、上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
6. 酸変性ポリオレフィンの含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部である、上記5に記載のゴム組成物。
7. シランカップリング剤の含有量が、上記合計含有量中の、1〜20質量部である、上記1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
8. 上記1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いる空気入りタイヤ。
9. ゴム組成物をキャップトレッドに使用する、上記8に記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた低発熱性を維持しつつ加工性に優れるゴム組成物を製造することができる。
また、本発明は、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の含有量とは、2種以上の化合物の合計の含有量を指す。
【0012】
本発明のゴム組成物は、
ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、重量平均分子量が20,000以下であり、23℃の条件下で液体である液状酸変性ポリオレフィンとを含有し、
前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記液状酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記シランカップリング剤と前記液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部である、ゴム組成物である。
【0013】
本発明のゴム組成物の特徴点は、所定の液状酸変性ポリオレフィンを使用し、シランカップリング剤と液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量が特定の範囲であることである。このことによって、本発明のゴム組成物は、所定の効果を達成することができる。
これは、液状酸変性ポリオレフィンがシランカップリング剤の代替的役割を果たすことができるためであると、本発明者らは推測する。
つまり、液状酸変性ポリオレフィンは液体なので、シランカップリング剤が有する可塑剤的な役割を果たすことができると考えられる。
また、液状酸変性ポリオレフィンは酸変性されているので、シランカップリング剤が有するシリカの分散性を向上させる役割を果たすことができると考えられる。
一方、液状酸変性ポリオレフィンはポリマーであるので、シランカップリング剤と比較して得られる加硫物性が低下することが考えられた。しかし、意外にも、液状酸変性ポリオレフィンを使用しても得られる加硫物性が低下することはないことが明らかとなった。
更に、液状酸変性ポリオレフィンをシランカップリング剤と併用する場合、シランカップリング剤だけを使用する場合よりも、低発熱性が優れることが明らかとなった。
このような液状酸変性ポリオレフィンによる低発熱性の発現は、酸変性部位とシリカ表面の相互作用(化学結合を含んでも良い)およびポリオレフィン部分とジエン系ゴム成分との相互作用(分子鎖絡み合いなど)によるものと考えられる。
以下、本発明のゴム組成物に含有される各成分について詳述する。
【0014】
[ゴム組成物]
<ジエン系ゴム>
本発明のゴム組成物が含有するジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有するものであれば特に限定されない。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム等が挙げられる。
ジエン系ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム、NR、BRが好ましい。
芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴムとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴムが挙げられる。なかでもSBRが好ましい。
【0015】
ジエン系ゴムの重量平均分子量は特に限定されないが、加工性の観点から、50,000〜3,000,000であるのが好ましく、100,000〜2,000,000であるのがより好ましい。なお、ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0016】
ジエン系ゴムが芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム及び/又はBRを含む場合、芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム及び/又はBRの含有量は、低発熱性とウェットグリップ性のバランスに優れるという観点から、ジエン系ゴムに対して、5〜100質量%であるのが好ましい。
【0017】
ジエン系ゴムが芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム及びBRを含む場合、BRに対する芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴムの含有量の割合(芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム/BR)は、10〜1000質量%であるのが好ましい。
【0018】
<シリカ>
本発明のゴム組成物に含有されるシリカはゴム組成物に一般的に使用することができるものと同様のものが挙げられる。具体的には例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
【0019】
上記シリカは、シリカの凝集を抑制する観点から、CTAB吸着比表面積が50〜300m2/gであるのが好ましく、80〜250m2/gであるのがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面への臭化n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムの吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
シリカはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
本発明において、シリカの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であり、加工性および低発熱性のいずれか一つがより優れる点(以後、「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、5〜140質量部であるのが好ましく、10〜130質量部であるのがより好ましい。
【0021】
<シランカップリング剤>
本発明のゴム組成物に含有されるシランカップリング剤は特に制限されない。なかでも硫黄原子を有するシランカップリング剤(含硫黄シランカップリング剤)が好ましい態様の1つとして挙げられる。
含硫黄シランカップリング剤は、硫黄原子を有するシランカップリング剤であれば特に制限されない。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドのようなポリスルフィド系シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール(エボニック・デグサ社製Si363)のようなメルカプト系シランカップリング剤;3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランのようなチオカルボキシレート系シランカップリング剤;3−チオシアネートプロピルトリエトキシシランのようなチオシアネート系シランカップリング剤が挙げられる。
なかでも、ポリスルフィド系シランカップリング剤が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
2種以上のシランカップリング剤を使用する場合、これらを予め縮合したものを使用してもよい。シランカップリング剤を縮合する方法は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
【0022】
本発明において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上である。
【0023】
シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、シリカ100質量部に対して、1〜30質量部であるのが好ましく、1〜25質量部であるのがより好ましい。
【0024】
また、シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、シランカップリング剤と液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量中の、1〜20質量部であるのが好ましく、2〜15質量部であるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物は液状酸変性ポリオレフィンを含有するので、シランカップリング剤の含有量を通常よりも減らすことができる。また、シリカを多量配合する場合であってもシランカップリング剤の含有量を通常よりも減らすことが出来る。
【0025】
<液状酸変性ポリオレフィン>
本発明のゴム組成物に含有される液状酸変性ポリオレフィンは、その重量平均分子量が20,000以下であり、23℃の条件下で液体であり、カルボン酸で酸変性されたポリオレフィンである。上記カルボン酸は酸無水物であってもよい。
【0026】
液状酸変性ポリオレフィンの骨格は単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
液状酸変性ポリオレフィンの主鎖は、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから形成される重合体であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンが挙げられる。
【0027】
(ポリオレフィン)
上記液状酸変性ポリオレフィンの骨格(主鎖)を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテンなどの単独重合体;少なくとも2種のオレフィンから形成される共重合体が挙げられる。
なかでも、共重合体が好ましく、エチレンとα−オレフィンとの共重合体がより好ましい。
【0028】
(カルボン酸)
一方、上述したポリオレフィンを変性するカルボン酸としては、例えば、不飽和カルボン酸が挙げられる。具体的には例えば、アクリル酸、メタアクリル酸のようなモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸のようなジカルボン酸;酸無水物などが挙げられる。酸無水物としては例えばジカルボン酸の無水物が挙げられる。
これらのうち、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸が好ましい。
【0029】
液状酸変性ポリオレフィンは、酸無水物で変性されたポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンがより好ましい。
【0030】
液状酸変性ポリオレフィンにおいて、カルボン酸が主鎖のどの位置に結合するかは特に制限されない。例えば、末端、側鎖が挙げられる。なかでもカルボン酸が側鎖として主鎖に結合するのが好ましい。カルボン酸と主鎖とは直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。
【0031】
本発明において、液状酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は20,000以下である。液状酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、本発明の効果がより優れる点で、1,000〜19,000であるのが好ましく、2,000〜18,000であるのがより好ましい。
液状酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、120℃の条件下で、トリクロロベンゼンを溶媒とする、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0032】
本発明において、液状酸変性ポリオレフィンは23℃の条件下で液体である。
液状酸変性ポリオレフィンの150℃における粘度は、本発明の効果がより優れる点で、10〜1,000mPa・sであるのが好ましく、20〜800mPa・sであるのがより好ましい。
液状酸変性ポリオレフィンの粘度は、JIS K 2283に準じて、150℃の条件下で測定された。
【0033】
液状酸変性ポリオレフィンはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。グラフト重合による製造方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
また液状酸変性ポリオレフィンとして市販品を用いることができる。
市販品としては、例えば、ルーカントA−5515(酸変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体)、ルーカントA−5260(無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体)、ルーカントA−5320H(酸変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体)(以上いずれも三井化学社製)が挙げられる。
液状酸変性ポリオレフィンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
本発明において、液状酸変性ポリオレフィンの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上である。液状酸変性ポリオレフィンの含有量は、本発明の効果がより優れる点で、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜29質量部であるのが好ましく、1〜15質量部であるのがより好ましく、2〜10質量部であるのが更に好ましい。
【0035】
本発明において、シランカップリング剤と液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部である。上記合計含有量は、本発明の効果がより優れる点で、ジエン系ゴム100質量部に対して、4〜28質量部であるのが好ましく、5〜26質量部であるのがより好ましい。
【0036】
シランカップリング剤の含有量に対する液状酸変性ポリオレフィンの含有量の割合(液状酸変性ポリオレフィン/シランカップリング剤。質量比)は、本発明の効果がより優れる点で、0.2〜29であるのが好ましく、0.5〜25であるのがより好ましい。
【0037】
<その他の成分>
本発明のゴム組成物は、目的、効果を損なわない範囲で必要に応じてその他の成分(添加剤)を更に含有することができる。添加剤としては、例えば、シリカ以外の充填剤(例えば、カーボンブラック)、上記以外の酸変性ポリオレフィン、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸のような加硫促進助剤、加硫遅延剤、オイル、老化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤などのゴム組成物に一般的に配合されうるものが挙げられる。添加剤の含有量は適宜選択することができる。
【0038】
(酸変性ポリオレフィン)
本発明のゴム組成物は、重量平均分子量が20,000を超え1,000,000以下である酸変性ポリオレフィンを更に含有するのが好ましい。
本発明のゴム組成物が更に含有することができる酸変性ポリオレフィンは、カルボン酸で変性されたポリオレフィンである。
【0039】
酸変性ポリオレフィンの骨格は単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
酸変性ポリオレフィンの主鎖は、エチレン及びα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから形成される重合体であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンが挙げられる。
【0040】
(ポリオレフィン)
上記酸変性ポリオレフィンの骨格(主鎖)を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテンなどの単独重合体;少なくとも2種のオレフィンから形成される共重合体が挙げられる。
なかでも、共重合体が好ましく、エチレンとα−オレフィンとの共重合体がより好ましく、エチレンと1−ブテンとの共重合体、エチレンとプロピレンとの共重合体が更に好ましい。
【0041】
(カルボン酸)
一方、上述したポリオレフィンを変性するカルボン酸としては、例えば、不飽和カルボン酸が挙げられる。具体的には例えば、アクリル酸、メタアクリル酸のようなモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸のようなジカルボン酸;酸無水物などが挙げられる。酸無水物としては例えばジカルボン酸の無水物が挙げられる。
これらのうち、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸が好ましい。
【0042】
酸変性ポリオレフィンは、酸無水物で変性されたポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンがより好ましい。
【0043】
酸変性ポリオレフィンにおいて、カルボン酸が主鎖のどの位置に結合するかは特に制限されない。例えば、末端、側鎖が挙げられる。なかでもカルボン酸が側鎖として主鎖に結合するのが好ましい。カルボン酸と主鎖とは直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。
【0044】
酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、本発明の効果がより優れる点で、20,000を超え1,000,000以下であるのが好ましく、25,000〜800,000であるのがより好ましい。
酸変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、120℃の条件下で、トリクロロベンゼンを溶媒とする、高温ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0045】
酸変性ポリオレフィンは23℃で固体であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの融点は、モジュラス、加工性により優れるという観点から、105〜145℃であるのが好ましく、110〜146℃であるのがより好ましい。
本発明において、酸変性ポリオレフィンの融点は、ASTM D2117に準じて測定された。
【0046】
酸変性ポリオレフィンはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。グラフト重合による製造方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
また酸変性ポリオレフィンとして市販品を用いることができる。
市販品としては、例えば、アドマーQE060(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性ポリプロピレン;アドマーHE810(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性ポリエチレン;タフマーMH7020などの無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体;タフマーMP0620などの無水マレイン酸変性エチレン/プロピレン共重合体が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
酸変性ポリオレフィンの含有量は、本発明の効果がより優れる点で、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部であるのが好ましく、2〜25質量部であるのがより好ましい。
【0048】
液状酸変性ポリオレフィンと酸変性ポリオレフィンとの合計含有量は、本発明の効果がより優れる点で、ジエン系ゴム100質量部に対して、2〜30質量部であるのが好ましく、3〜25質量部であるのがより好ましい。
【0049】
酸変性ポリオレフィンの含有量に対する液状酸変性ポリオレフィンの含有量の割合(液状酸変性ポリオレフィン/酸変性ポリオレフィン、質量比)は、本発明の効果がより優れる点で、0.05〜30であるのが好ましく、0.1〜25であるのがより好ましい。
【0050】
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は更にカーボンブラックを含有するのが好ましい。カーボンブラックとしては、ゴム組成物に一般的に使用することができるカーボンブラックと同様のものが挙げられる。具体的には例えば、SAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPE、SRF等が挙げられる。なかでも、SAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFが好ましい。
【0051】
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、ゴム組成物の加工性により優れるという観点から、30〜250m2/gであるのが好ましく、40〜240m2/gであるのがより好ましい。
ここで、N2SAは、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K 6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
カーボンブラックの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜100質量部であるのが好ましく、3〜90質量部であるのがより好ましい。
【0053】
本発明のゴム組成物は再生ポリエチレンテレフタレートを含有しないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。再生ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、未使用又は使用済みのポリエチレンテレフタレート製の成形品を微粒子化した粉末が挙げられる。再生ポリエチレンテレフタレートを実質的に含有しないとは、再生ポリエチレンテレフタレートの含有量が、本発明のゴム組成物全体に対して、0〜0.1質量部であることを意味する。上記再生ポリエチレンテレフタレートの含有量が本発明のゴム組成物全体に対して0質量部であるのが好ましい。
【0054】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、例えば、上記成分を混合する方法が挙げられる。
混合する際の温度(混合温度)としては例えばこれを10〜170℃とすることができ、50〜170℃が好ましく、100〜170℃がより好ましい。
本発明のゴム組成物が酸変性ポリオレフィンを更に含有する場合、上記混合温度は酸変性ポリオレフィンの融点以上であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
上記成分に必要に応じて使用することができる添加剤を更に加えてもよい。
【0055】
また、加硫剤、加硫促進剤等のような加硫系成分以外の成分を予め混合し、これに加硫系成分を加えてもよい。このとき、予め混合する際及び/又は加硫系成分を加えた後混合する際の混合温度は、上記の混合温度と同様とすることができる。
【0056】
上記成分を混合する際に使用される装置は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本明細書において混合は混練を含むものとする。
【0057】
本発明のゴム組成物は例えば従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
【0058】
本発明のゴム組成物は、例えば、空気入りタイヤ、ホース、ベルトなどを製造する際に使用されるゴム組成物として使用することができる。
【0059】
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明のゴム組成物を用いる空気入りタイヤである。本発明のゴム組成物を空気入りタイヤの、例えばタイヤトレッドに用いて本発明の空気入りタイヤを製造するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。なかでも、本発明のゴム組成物を、キャップトレッド及び/又はアンダートレッドに用いるのがより好ましく、キャップトレッドに用いるのが更に好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
【0060】
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。ビード部1においては、リム(図示せず。)に接する部分にリムクッション8が配置されている。
【0061】
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<ゴム組成物の製造>
下記の各表に示す配合において、加硫系(含硫黄加硫促進剤、加硫促進剤、硫黄)を除く各成分を同表に示す量(質量部)で用いて、これらを1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで170℃の条件下で5分間混練した後、得られた混合物をミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、上記混合物に上記加硫系を同表に示す量(質量部)で加え、これらをオープンロールで140℃の条件下で混練し、ゴム組成物を製造した。
【0063】
なお、ゴム組成物が酸変性ポリオレフィンを含有する場合、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーでの温度を50℃から170℃まで昇温してこの温度範囲の条件下で5分間混練し、オープンロールでの温度を10〜140℃の条件下で混練した以外は、上記のゴム組成物の製造と同様の方法で、酸変性ポリオレフィンを含有するゴム組成物を製造した。
【0064】
なお、各表において、シランカップリング剤の含有量の含有量を2個記載した。上段の数値は各ゴム組成物において使用されたシランカップリング剤の含有量であり、下段のかっこ内の数値は、上段に示したシランカップリング剤の含有量をシリカ100質量部に対する含有量に換算した値である。
【0065】
<加硫ゴム試験片の調製>
上記のとおり製造されたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。
【0066】
<評価>
上記のとおり製造された、ゴム組成物、加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。結果を各表に示す。
各例の評価の結果を、各表の比較例1の結果を100とする指数で表示した。
なお、ムーニー粘度、反発弾性の結果をすべての表に示した。モジュラス、破断時伸びの結果を第5表、第6表に示した。
【0067】
<未加硫物性>
・加工性(ムーニー粘度)
JIS K6300に準拠して、L形ローターを使用し、上記のとおり製造されたゴム組成物のムーニー粘度ML(1+4)を100℃の条件下で求めた。
ムーニー粘度の指数が小さいほど、ゴム組成物の加工性が優れることを示す。
【0068】
<加硫物性>
・低発熱性(反発弾性)
上記のとおり製造された加硫ゴム試験片について、JIS K 6255に準じて、温度60℃のときの反発弾性を測定した。
反発弾性の指数が大きいほど、加硫ゴム試験片の低発熱性が優れることを示す。
【0069】
・モジュラス(M100)、破断時伸び(Eb
上記のとおり製造された加硫ゴム試験片からJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、JIS K−6251:2010に準拠して引張速度500mm/分で引張試験を行い、100%伸び時における引張応力(M100)、破断時伸び(Eb)を20℃の条件下で測定した。
M100及び破断時伸びの指数が大きい場合、強靭性に優れることを示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】
各表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・E−SBR:乳化重合により製造されたスチレンブタジエンゴム、Nipol1502、日本ゼオン社製、重量平均分子量400,000
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製 Nipol BR 1220、重量平均分子量400,000
・液状酸変性ポリオレフィン1:三井化学社製 ルーカントA−5515(HC−150の酸変性タイプ、高温GPC分析によって測定された重量平均分子量1,000)、23℃の条件下で液体である。無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体。主鎖はエチレン・プロピレン共重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。150℃条件下での粘度70mPa・s
・液状酸変性ポリオレフィン2:三井化学社製 ルーカントA−5320H(HC−2000の酸変性タイプ、高温GPC分析によって測定された重量平均分子量15,700)、23℃の条件下で液体である。無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体。主鎖はエチレン・プロピレン共重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。150℃条件下での粘度680mPa・s
・液状酸変性ポリオレフィン3:三井化学社製 ルーカントA−5260(HC−600の酸変性タイプ、高温GPC分析によって測定された重量平均分子量9,200)、23℃の条件下で液体である。無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体。主鎖はエチレン・プロピレン共重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。150℃条件下での粘度160mPa・s
・酸変性ポリオレフィン:タフマーMH7020、三井化学社製、無水マレイン酸で変性されたエチレン・1−ブテン共重合体。主鎖はエチレン・1−ブテン共重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。高温GPC分析によって測定された重量平均分子量84,000。
【0077】
・シランカップリング剤:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド。スルフィド系シランカップリング剤、デグッサ社製 Si69
・シリカ:湿式シリカ、CTAB吸着比表面積170m2/g、日本シリカ社製 ニップシールAQ
・カーボンブラック:昭和キャボット社製ショウブラックN339M、N2SA81m2/g、HAF
・酸化亜鉛:正同化学社製亜鉛華3号
・ステアリン酸:日本油脂社製ステアリン酸
・老化防止剤(S−13):住友化学社製アンチゲン6C
・オイル:昭和シェル石油社製エクストラクト4号S
・イオウ:軽井沢精錬所社製油処理硫黄
・含硫黄加硫促進剤(CZ):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学社製サンセラーCM−PO
・加硫促進剤(DBP):ジフェニルグアニジン、三新化学 サンセラーD−G
【0078】
第1表に示すように、比較例1を基準として、更に酸変性ポリオレフィンを含有する比較例2は、比較例1よりもムーニー粘度が高くなった。
また、液状酸変性ポリオレフィンとシランカップリング剤との合計含有量が所定の範囲を超える比較例3は、比較例1よりもムーニー粘度が高くなった。
【0079】
これに対して、第1表において、実施例1、2は、比較例1よりも反発弾性が高く低発熱性に優れ、ムーニー粘度が低かった。
【0080】
第2表に示すように、比較例1を基準として、これに液状酸変性ポリオレフィンとシランカップリング剤との合計含有量が所定の範囲を超える比較例2は、比較例1よりも反発弾性が低く低発熱性が悪かった。
【0081】
これに対して、第2表において、実施例1〜7は、比較例1よりも反発弾性が高く低発熱性に優れ、ムーニー粘度が低かった。
【0082】
第3表に示すように、比較例1を基準として、液状酸変性ポリオレフィンとシランカップリング剤との合計含有量が所定の範囲を超える比較例2は、比較例1よりも反発弾性が低くなり低発熱性が悪かった。
【0083】
これに対して、第3表において、実施例1〜7は、比較例1よりも反発弾性が高く低発熱性に優れ、ムーニー粘度が低かった。
【0084】
第4表に示すように、比較例1を基準として、液状酸変性ポリオレフィンとシランカップリング剤との合計含有量が所定の範囲を超える比較例2は、比較例1よりも反発弾性が低く低発熱性が悪かった。
【0085】
これに対して、第4表において、実施例1〜7は、比較例1よりも反発弾性が高く低発熱性に優れ、ムーニー粘度が低かった。
【0086】
第5表において、更に酸変性ポリオレフィンを含有する実施例2〜7は、実施例1よりも、反発弾性が高く低発熱性により優れた。
【0087】
第6表において、第2表〜第4表の各実施例2を比較すると、液状酸変性ポリオレフィンとシランカップリング剤とを併用することによって、シランカップリング剤の含有量を低下させても優れた加硫物性(低発熱性、モジュラス、破断時伸び)を維持しつつ、加工性に優れることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0088】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
図1
【手続補正書】
【提出日】2016年9月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、重量平均分子量が20,000以下であり、23℃の条件下で液体である液状酸変性ポリオレフィンとを含有し、
前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記液状酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記シランカップリング剤と前記液状酸変性ポリオレフィンとの合計含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部であり、
前記液状酸変性ポリオレフィンの主鎖が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である、ゴム組成物。
【請求項2】
前記液状酸変性ポリオレフィンが、マレイン酸及びその無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種で変性されたポリオレフィンである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記シランカップリング剤の含有量に対する前記液状酸変性ポリオレフィンの含有量の割合(液状酸変性ポリオレフィン/シランカップリング剤)が、0.2〜29である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
更に、重量平均分子量が20,000を超え1,000,000以下である、酸変性ポリオレフィンを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記酸変性ポリオレフィンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部である、請求項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記シランカップリング剤の含有量が、前記合計含有量中の、1〜20質量部である、請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いる空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記ゴム組成物をキャップトレッドに使用する、請求項に記載の空気入りタイヤ。