特開2016-222773(P2016-222773A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222773(P2016-222773A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】硬質表面用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20161205BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20161205BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20161205BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20161205BHJP
   C08F 297/00 20060101ALI20161205BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C11D3/37
   C11D3/43
   C11D3/04
   C09K3/00 R
   C08F297/00
   B08B3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-108574(P2015-108574)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘樹
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
4J026
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201BB09
3B201BB92
3B201BB94
3B201CB11
3B201CC01
4H003AB03
4H003AB31
4H003AC05
4H003AC07
4H003AD04
4H003AE05
4H003BA12
4H003DA05
4H003DC01
4H003EA19
4H003EB08
4H003EB16
4H003EB28
4H003ED02
4H003ED29
4H003FA06
4J026HA11
4J026HA24
4J026HA32
4J026HA39
4J026HB11
4J026HB20
4J026HB24
4J026HB32
4J026HB39
4J026HB44
4J026HB45
4J026HB47
4J026HB50
(57)【要約】
【課題】硬質表面に防汚性と防汚持続性を付与できる硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)疎水性不飽和単量体に由来する特定の構成単位(1)からなる重合体セグメントAと、疎水性不飽和単量体に由来する特定の構成単位(1)及びスルホベタイン基を有する特定の構成単位(2)を含むランダム重合体からなる重合体セグメントBとを有するブロック重合体であって、ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量が2質量%以上14質量%以下であり、重合体セグメントB中の構成単位(1)の含有量が5質量%以上30質量%以下であるブロック重合体を0.01質量%以上、10質量%以下、(b)界面活性剤を0.5質量%以上、30質量%以下含有し、(b)/(a)質量比が5以上、500以下である、硬質表面用洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、及び下記(b)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有し、
(a)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物。
<(a)成分>
重合体セグメントAと重合体セグメントBとを有するブロック重合体であって、
重合体セグメントAが、一般式(1)で表される構成単位からなるブロック重合体セグメントであり、
重合体セグメントBが、一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位からなるランダム重合体セグメントであり、
ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量が2質量%以上14質量%以下であり、
重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位の含有量が、5質量%以上30質量%以下である、
ブロック重合体
【化1】

〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上22以下の炭化水素基
:O又はNR11であり、R11は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
【化2】

〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上4以下のアルキレン基
、R10:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
:O又はNR11であり、R11は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
:水酸基を有してもよい炭素数2以上4以下のアルキレン基を示す。〕
<(b)成分>
界面活性剤
【請求項2】
下記(c)成分を含有する、請求項1記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
<(c)成分>
キレート剤
【請求項3】
(a)成分に対する(c)成分の質量比が、(c)/(a)で、1以上、100以下である、請求項2記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項4】
下記(d)成分を含有する、請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
<(d)成分>
有機溶剤
【請求項5】
下記(e)成分を含有する、請求項1〜4の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
<(e)成分>
アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる無機塩
【請求項6】
浴室用、台所用又はトイレ用である請求項1〜5の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して、洗浄することにより該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、洗浄し水ですすぐことで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物、疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法、及び疎水性硬質表面の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我々を取り巻く住環境設備には、プラスチック、金属等を材料とした各種硬質表面が存在し、これら硬質表面は生活場面に於いて様々な汚れが付着する環境に晒されている。特に水周り設備に於いては、浴室の皮脂・湯垢汚れ、レンジフード、ガスコンロ、シンク周りにおける油汚れなど、日常的に残留し易い汚れが発生しており、これらの汚れを洗浄除去する家事行動は生活者の大きな負担となっている。なかでも、皮脂汚れ、油汚れ等の疎水性の汚れは除去し難く、残留し易い汚れであることが一般に知られている。
【0003】
疎水性の汚れが除去し難く、残留し易い原因のひとつとして、住居環境に用いられているポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ステンレスなど硬質表面の多くが疎水性の性質を有していることが挙げられる。つまり、疎水性の硬質表面は、疎水性汚れとの親和性が高いために、汚れが残留、蓄積し易く、更には一旦付着した疎水性汚れを洗浄又は除去し難い性質を有するものとなっている。
【0004】
疎水性硬質表面からの疎水性汚れの除去や、疎水性硬質表面への汚れの残留ないし汚れの再付着の防止においてより高い効果を得るための方法として、洗浄後に表面改質剤を硬質表面に塗布し疎水性の硬質表面を親水性の性質を有するように表面改質する方法が考えられる。しかし、その表面改質剤を塗布する作業自体が洗浄作業への追加の作業として負担となる上に、表面改質が恒久的なものでない限りは改質処理を繰り返し行う必要が生じてしまう。そのため、洗浄剤中に疎水性硬質表面を親水化改質する成分を含有し、洗浄後に硬質表面に親水性が付与される、親水性の付与効果を有する洗浄剤であることが望ましい。更には、疎水性硬質表面への親水性の付与効果が高いことに加えて、その効果を持続させることが望ましい。
また、親水性の付与効果が高い洗浄剤であることが望まれているが、その洗浄剤により硬質表面が滑り易くならないように留意することが付加的な効果として望まれる。特に、水周り設備である浴室の床面などに用いる際には、洗浄剤により床面が滑り易くならないことが安全性の面から望ましい。
【0005】
特許文献1には、対象面に吸着して防汚性を発現する水性防汚組成物が記載され、多種類の両性高分子電解質が例示されている。
【0006】
特許文献2には、界面活性剤及び特定のポリベタインを含有する洗浄用又は、すすぎ洗い用の組成物が記載されている。特許文献2には、汚染性物質に関して、硬質表面に持続性の付着防止及び密着防止性を付与することを目的として、処理することを意図した組成物が記載されており、多種類の界面活性剤、ポリマー及びその他の任意成分の使用が例示されている。
【0007】
特許文献3には、スルホベタインモノマーのユニットを含み得る特定構造のコポリマーを、洗剤組成物、織物管理組成物、皮膚及び/若しくは毛用の組成物として利用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−181601号公報
【特許文献2】特開2010−100861号公報
【特許文献3】特開2006−505686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、疎水性硬質表面の防汚性効果の点からは、生活者が満足するレベルの更なる高い防汚効果が期待されていた。更に、浴槽のように、温水が接する疎水性硬質表面に対して、防汚性を持続できる技術が望まれる。
【0010】
本発明は疎水性硬質表面を改質して、優れた防汚性を付与でき、且つ防汚持続性を向上できる硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。本発明は、疎水性硬質表面の洗浄作業において用いることにより、疎水性硬質表面から疎水性汚れを除去し、且つ疎水性硬質表面に優れた防汚性と防汚持続性を付与する硬質表面用洗浄剤組成物を含む。
なお、本発明において、「防汚性」とは、汚れが硬質表面に残留することを抑制する効果を意味する。また、本発明において「防汚持続性」とは、防汚性が持続する効果を意味し、好ましくは、高温環境下、例えば、湯に長時間接するような場合でも、防汚性の効果が持続することを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、及び下記(b)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有し、
(a)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
<(a)成分>
重合体セグメントAと重合体セグメントBとを有するブロック重合体であって、
重合体セグメントAが、一般式(1)で表される構成単位からなるブロック重合体セグメントであり、
重合体セグメントBが、一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位からなるランダム重合体セグメントであり、
ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量が2質量%以上14質量%以下であり、
重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位の含有量が、5質量%以上30質量%以下である、
ブロック重合体
【0012】
【化1】
【0013】
〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上22以下の炭化水素基
:O又はNR11であり、R11は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
【0014】
【化2】
【0015】
〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上4以下のアルキレン基
、R10:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
:O又はNR11であり、R11は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
:水酸基を有してもよい炭素数2以上4以下のアルキレン基を示す。〕
<(b)成分>
界面活性剤
【0016】
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を疎水性硬質表面に塗布して、洗浄することにより該疎水性硬質表面の親水性を向上させる方法に関する。
【0017】
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、汚れが付着した疎水性硬質表面に適用した後、洗浄し水ですすぐことで、該疎水性硬質表面からの汚れの除去と該疎水性硬質表面への親水性の付与の両方を行う、疎水性硬質表面の処理方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、浴室、台所、トイレ等の硬質表面、好ましくは疎水性硬質表面に、優れた防汚性を付与でき、且つ防汚持続性を向上できる硬質表面用洗浄剤組成物が提供される。更に、本発明によれば、硬質表面、好ましくは疎水性硬質表面に生じた汚れを洗浄する際に高い洗浄力を発現するとともに、優れた防汚性と防汚持続性を付与する硬質表面用洗浄剤組成物が提供される。更に、本発明によれば、処理後の硬質表面の滑りを抑制できる硬質表面用洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<(a)成分>
(a)成分は、特定のブロック重合体である。以下、ブロック重合体という場合は、特記しない限り、本発明の(a)成分のブロック重合体を指す。ブロック重合体は、一般式(1)で表される構成単位からなる重合体セグメントAと一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位からなるランダム重合体セグメントBを有し、重合体中の重合体セグメントAの含有量が2質量%以上14質量%以下、重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位の含有量が、5質量%以上30質量%以下である。本発明に係る重合体は、重合体セグメントAという一群のまとまった部分と、これとは異なる重合体セグメントBという一群のまとまった部分とを有するため、本発明では、このような重合体をブロック重合体と表現している。
【0020】
[重合体セグメントA]
(重合体セグメントAの含有量)
ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量は、吸着量を向上させる観点から、2質量%以上であり、好ましくは4質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上であり、接触角を低減させる観点及び溶解性を向上させる観点から、14質量%以下であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下であり、吸着量を向上させる観点から、さらに好ましくは6.5質量%以下、よりさらに好ましくは5.5質量%以下である。
【0021】
(重合体セグメントAの構成)
重合体セグメントAは吸着量を向上させる観点から、一般式(1)で表される構成単位からなる。
【0022】
【化3】
【0023】
〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上22以下の炭化水素基
:O又はNR11であり、R11は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
一般式(1)で表される構成単位は、下記一般式(1’)で表される不飽和単量体(以下、不飽和単量体aともいう)を重合することにより誘導される構成単位であり、一般式(1)及び一般式(1’)中におけるR、R、R、R及びYは、すべて同義である。
【0024】
【化4】
【0025】
式(1)及び式(1’)において、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点、及び接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上し、適度な動摩擦係数を付与する観点から、R及びRは水素原子が好ましい。Rは、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Yは、同様の観点から、Oが好ましい。Rは、同様の観点から、炭素数1以上18以下の炭化水素基が好ましく、炭素数1以上12以下の炭化水素基がより好ましく、炭素数1以上7以下の炭化水素基がより好ましい。Rの炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。Rとしては、炭素数1以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が挙げられ、好ましくは炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上6以下の直鎖のアルキル基である。
【0026】
不飽和単量体aとしては、具体的に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、及び(メタ)アクリル酸ベヘニル等の(メタ)アクリル酸エステルや、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0027】
不飽和単量体aは、接触角を低下させ、固体表面への吸着性に優れ、溶解性に優れ、適度な動摩擦係数を付与する観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルであり、より好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、及び(メタ)アクリル酸ラウリルから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、及び(メタ)アクリル酸n−ブチルから選ばれる1種又は2種以上である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリル又はそれらの両方を意味する。
【0028】
重合体セグメントA中には、本願の効果を損なわない範囲で、不飽和単量体a以外の単量体由来の構成単位を含有してもよい。不飽和単量体a以外の単量体としては、スルホベタイン基を有する不飽和単量体以外の不飽和単量体が好ましく、スチレン等の疎水性不飽和単量体がより好ましい。
【0029】
重合体セグメントA中の一般式(1)で表される構成単位の含有量は、接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは実質的に100質量%であり、よりさらに好ましくは100質量%である。なお、実質的に100質量%とは、本発明の重合体セグメントA中に不飽和単量体a由来の繰り返し単位以外の構成単位が不可避的に混入する場合を含む意味である。
【0030】
重合体セグメントAの重量平均分子量は、接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上であり、硬質表面用洗浄剤組成物への配合性の観点、溶解性を向上する観点から、好ましくは20000以下、より好ましくは15000以下、さらに好ましくは10000以下であり、さらにより好ましくは8000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0031】
[重合体セグメントB]
(重合体セグメントBの含有量)
ブロック重合体中の重合体セグメントBの含有量は、接触角を低減させる観点及び溶解性を向上させる観点から、86質量%以上であり、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、さらに好ましくは93質量%以上であり、吸着量を向上させる観点から、さらに好ましくは93.5質量%以上、よりさらに好ましくは94.5質量%以上であり、吸着量を向上させる観点から、98質量%以下であり、好ましくは96質量%以下、より好ましくは95.5質量%以下である。
【0032】
(重合体セグメントBの構成)
重合体セグメントBは、接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、前記一般式(1)で表される構成単位及び下記一般式(2)で表される構成単位からなるランダム重合体セグメントである。
【0033】
【化5】
【0034】
〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上4以下のアルキレン基
、R10:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
:水酸基を有してもよい炭素数2以上4以下のアルキレン基
を示す。〕
【0035】
一般式(2)において、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、R及びRは水素原子が好ましい。Rは、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xは、同様の観点から、Oが好ましい。XがNR12の場合、R12は水素原子が好ましい。Rは、同様の観点から、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のジメチレン基がより好ましい。R、R10は、同様の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xは、4級化反応の容易性の観点から、水酸基を有してもよい炭素数3又は4のアルキレン基が好ましく、プロピレン基、ブチレン基、2−ヒドロキシプロピレン基がより好ましく、プロピレン基、2−ヒドロキシプロピレン基がより好ましい。一般式(2)で表される構成単位としては、具体的にはスルホベタインメタクリレート由来の構成単位及び、スルホベタインヒドロキシメタクリレート由来の構成単位が挙げられ、接触角を低下させる観点、及び動摩擦係数を低下させない観点からスルホベタインヒドロキシメタクリレート由来の構成単位が好ましく、吸着量を向上させる観点からスルホベタインメタクリレート由来の構成単位が好ましい。
【0036】
なお、重合体セグメントBにおける一般式(1)で表される構成単位の好ましい態様は、重合体セグメントAで述べたものと同じである。
【0037】
重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位の含有量は、適度な動摩擦係数を付与する観点から、5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは18質量%以上であり、接触角を低下させる観点及び溶解性及び吸着量を向上させる観点から30質量%以下であり、好ましくは28質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは23質量%以下である。
【0038】
重合体セグメントB中には、本願の効果を損なわない範囲で、一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位以外の単量体由来の構成単位を含有してもよい。一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位以外の単量体としては、不飽和単量体a以外の不飽和単量体が好ましく、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、オキシエチレン鎖を有するアクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等の親水性不飽和単量体がより好ましい。
【0039】
重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位および一般式(2)で表される構成単位の含有量の合計は、接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは実質的に100質量%であり、よりさらに好ましくは100質量%である。なお、実質的に100質量%とは、本発明の重合体セグメントB中に一般式(1)で表される構成単位及び一般式(2)で表される構成単位以外の構成単位が不可避的に混入する場合を含む意味である。
【0040】
重合体セグメントBの重量平均分子量は、接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、好ましくは50000以上、より好ましくは70000以上、さらに好ましくは90000以上であり、硬質表面用洗浄剤組成物の配合性の観点、溶解性を向上する観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは150000以下、さらに好ましくは130000以下、よりさらに好ましくは100000以下である。この重量平均分子量は(ブロック重合体の分子量)−(セグメントAの分子量)で計算することができる。
【0041】
[ブロック重合体]
ブロック重合体の重量平均分子量は、接触角を低下させる観点、吸着性及び溶解性を向上する観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、好ましくは20000以上、より好ましくは50000以上、さらに好ましくは70000以上であり、よりさらに好ましくは90000以上、配合性の観点及び溶解性を向上させる観点から、好ましくは220000以下、より好ましくは200000以下、さらに好ましくは150000以下、よりさらに好ましくは130000以下である。この重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0042】
ブロック重合体の構造としては、重合体セグメントAをA、重合体セグメントBをBで表すと、A−B、A−B−A、B−A−Bの構造、又はA−B−A−B−A−B・・・の繰り返し構造が挙げられ、製造容易性の観点から、A−B、A−B−A、B−A−Bのいずれかの構造が好ましく、A−Bの構造がより好ましい。ブロック重合体は、1以上の重合体セグメントAと1以上の重合体セグメントBとからなることが好ましい。ブロック重合体は、1つ又は2つの重合体セグメントAと1つ又は2つの重合体セグメントBとからなることが好ましい。ブロック重合体は、1つの重合体セグメントAと1つの重合体セグメントBとからなることがより好ましい。
【0043】
(重合体セグメントAの製造方法)
本発明において使用される重合体セグメントAの製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができるが、たとえば、モノマーをリビング重合又は連鎖移動で重合させ、ブロック重合体とすることができる。リビング重合としてはリビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等が挙げられる。リビングラジカル重合法としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)法、ヨウ素移動ラジカル重合法、ニトロキシラジカルを用いる重合(NMP)法、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)法、可逆連鎖移動触媒重合(RTCP)法、可逆的錯体形成媒介重合(RCMP)法等を用いることができ、触媒の入手性、重合制御の観点から、ATRP法、RAFT法、RTCP法、RCMP法が好ましい。ATRP法については、Chemical Reviews,2001、101、2921−2990に記載されている。RAFT法については、文献Chemical Reviews,2009、109、5402−5436に記載されている。RTCP法については、特許文献WO2010/027093に記載されている。RCMP法については、特許文献WO2011/016166に記載されている。
【0044】
2種類のブロックからなるブロック重合体の場合、例えば、第1のブロックを重合する工程と、第2のブロックを重合する工程とを包含する方法によりブロック重合体を得ることができる。より具体的には例えば、第1のブロックを重合した後、得られた第1の重合体の存在下に、第2のブロックの重合を行うことにより、ブロック重合体を得ることができる。第1の重合体は、単離精製した後に、第2のブロックの重合に供することもできるし、第1重合体を単離精製せず、第1の重合体の重合の途中または完結時に、第1の重合に第2のモノマーを添加することにより、ブロックの重合を行うこともできる。単離精製は周知の方法、例えば反応溶液を重合体の貧溶媒に添加して重合体を析出させた後、ろ過、乾燥により行うことができる。
【0045】
本発明に係るブロック重合体としては、重合体セグメントAと、重合体セグメントBの前駆重合体セグメントであってアミノ基を有する重合体セグメントB’とを有する下記ブロック重合体を4級化する工程を有する製造方法により得られるブロック重合体が挙げられる。
【0046】
本発明に係るブロック重合体の製造法としては、一般式(1)の繰り返し単位を含む重合体セグメントAを先に製造し、一般式(1)の繰り返し単位及び下記一般式(2−1)の繰り返し単位をランダムに含む重合体セグメント(重合体セグメントBの前駆重合体セグメントB’)を製造し、4級化する方法(製造方法(1))と、一般式(1)の繰り返し単位及び一般式(2−1)の繰り返し単位をランダムに含む重合体セグメント(重合体セグメントBの前駆重合体セグメントB’)を先に製造し、重合体セグメントAを製造し、4級化する方法(製造方法(2))が挙げられ、本発明の効果を向上させる観点から、製造方法(1)が好ましい。
【0047】
【化6】
【0048】
〔式中、R〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基R:炭素数1以上4以下のアルキレン基
、R10:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
【0049】
製造方法(1)は、具体的には、下記工程1〜3を含む製造方法が挙げられる。従って、本発明に係るブロック重合体としては、前記工程1〜3を含む製造方法により得られるブロック重合体が挙げられる。
【0050】
工程1:下記一般式(1’)で表される不飽和単量体を重合し重合体Aを得る工程。
【0051】
【化7】
【0052】
〔式中、
〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基
:炭素数1以上22以下の炭化水素基
:O又はNR11であり、R11は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
【0053】
工程2:重合体Aの存在下、前記一般式(1’)で表される不飽和単量体及び、下記一般式(2’)で表される不飽和単量体をランダムに重合させてセグメントB’を含むブロック重合体を得る工程。
【0054】
【化8】
【0055】
〔式中、R〜R:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1もしくは2のアルキル基R:炭素数1以上4以下のアルキレン基
、R10:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
:O又はNR12であり、R12は水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
を示す。〕
工程3:工程2で得られた重合体と、下記一般式(B1)で表される化合物又は下記一般式(B2)で表される化合物とを反応させて、ブロック重合体を得る工程。
【0056】
【化9】
【0057】
Z−X−SOM (B2)
(式中、ZはCl又はBr、Xは水酸基を有してもよい炭素数2以上4以下のアルキレン基、MはNa又はKを表す。)
【0058】
式(2’)において、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点、接触角を低下する観点、吸着性及び溶解性向上の観点、適度な動摩擦係数を付与する観点から、R及びRは水素原子が好ましい。Rは、同様の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Xは、同様の観点から、Oが好ましい。Rは、同様の観点から、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のジメチレン基が好ましい。R、R10は、同様の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(2’)で表される不飽和単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0059】
工程1では、公知の方法で重合体Aを得ることができる。例えば、前記のリビング重合法を採用できる。溶媒としては、単量体や重合体を溶解するものであれば、特に制限はない。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的にはアニソール、エタノール等が挙げられる。
【0060】
工程3は、工程2で得られたブロック重合体のアミノ基と、一般式(B1)又は(B2)の4級化剤とを反応させてスルホベタイン基に変えてブロック重合体を得る工程である。アミノ基を4級化剤と反応させてスルホベタイン基に変える製造方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、特表2006−514150号公報に記載されている方法が挙げられる。
【0061】
4級化剤としては、反応性の観点から、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムから選ばれる1種以上が好ましい。溶媒としては、重合体を溶解するものであれば、特に制限はない。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には2,2,2−トリフルオロエタノール等が挙げられる。
【0062】
<(b)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分として、界面活性剤を含有する。本発明の防汚性発現には(a)成分の溶存状態が影響していると推定されるが、本発明において発現される高い防汚性能は、(a)成分に、(b)成分を併用することにより、より向上すると考えられる。また、(b)成分を用いることで、疎水性硬質表面の洗浄の際、高い洗浄効果を示すことができる。
【0063】
(b)成分としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0064】
防汚性付与及び洗浄力向上の点から好ましいアニオン界面活性剤としては、下記(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(b1)成分;炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤、
(b2)成分;炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤
【0065】
(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基と、カルボン酸基又はその塩を有するアニオン界面活性剤である。洗浄力の観点から鎖式炭化水素基の炭素数は9以上が好ましく、10以上がより好ましく、そして、15以下が好ましく、13以下がより好ましく、12以下がより好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩が好適である。(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。また、(b1)成分は、カルボン酸基又はその塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。(b1)成分は、カルボン酸基の塩を有するものがより好ましい。鎖式炭化水素基としては、直鎖炭化水素基及び分岐鎖炭化水素基から選ばれる炭化水素基が挙げられる。更に、鎖式炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。鎖式炭化水素基は、直鎖が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。鎖式炭化水素基は、1級が好ましく、1級アルキル基がより好ましい。鎖式炭化水素基は、直鎖1級アルキル基が好ましい。
【0066】
好ましい(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を有する高級脂肪酸塩、アルキル基の炭素数が8以上、18以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキル基の炭素数が8以上、18以下であるポリオキシエチレンアミドアルキルエーテルカルボン酸塩である。より好ましい(b1)成分は、炭素数8以上、18以下の鎖式炭化水素基を有する高級脂肪酸塩、すなわち総炭素数9以上、19以下の高級脂肪酸塩であり、より好ましくは総炭素数9以上、19以下の直鎖高級脂肪酸塩である。より好ましい化合物としては、デカン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウムが挙げられる。
【0067】
(b2)成分は、炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基と、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される1種以上を有するアニオン界面活性剤である。鎖式炭化水素基としては、直鎖炭化水素基及び分岐鎖炭化水素基から選ばれる炭化水素基が挙げられる。好ましい鎖式炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基がより好ましい。鎖式炭化水素基は、直鎖が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。鎖式炭化水素基は、1級が好ましく、1級アルキル基がより好ましい。鎖式炭化水素基は、直鎖1級アルキル基が好ましい。(b2)成分の鎖式炭化水素基の炭素数は7以上、18以下であり、洗浄力の観点から、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上がより好ましく、そして、16以下が好ましく、15以下がより好ましく、14以下がより好ましい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩が好適である。(b2)成分は、炭素数7以上、18以下の鎖式炭化水素基を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。また、(b2)成分は、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、及びそれらの塩から選択される基又は基の塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。より更に、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩、及びリン酸基の塩から選択される基の塩を1個又は2個、更に1個有するものが好ましい。
【0068】
洗浄力向上の点で好ましい(b2)成分の例としては、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩、炭素数7以上、18以下のα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のα−スルホ脂肪酸の炭素数1又は2のアルキル基を有する低級アルキルエステル塩、炭素数7以上、18以下の一級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下の二級アルカンスルホン酸塩、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルリン酸エステル塩等が挙げられる。中でも、炭素数7以上、18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、及びアルキル基の炭素数が7以上、18以下でありエチレンオキサイド平均付加モル数が1〜6であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩から選ばれるアニオン界面活性剤が好ましい。これらのアニオン界面活性剤の塩もまた、アルカリ金属塩、エタノールアミン塩、あるいはアンモニウム塩が好ましい。
【0069】
(b)成分として(b1)成分及び(b2)成分を併用すると、洗浄時に良好な泡立ちが得られ、一方、すすぎ性は良好となる。そのため、本発明では、(b)成分として、(b1)成分及び(b2)成分を含有することが好ましい。この場合、(b2)成分に対する(b1)成分の質量比は、(b1)成分/(b2)成分で、0.05以上が好ましく、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、そして、1以下が好ましく、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
【0070】
洗浄力向上の点から好ましいノニオン界面活性剤としては、炭素数10以上、18以下のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数10以上、18以下のアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、炭素数10以上、18以下の脂肪酸基を有するポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルポリグリコシド、炭素数8以上、18以下の脂肪酸基を有するショ糖脂肪酸エステル、炭素数8以上、18以下のアルキル基を有するアルキルポリグリセリルエーテル等が挙げられる。中でも油性汚れに対する洗浄性の観点から、炭素数10以上、14以下のアルキル基を有しエチレンオキサイド平均付加モル数が5以上、20以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、また、使用時の泡立ちの観点から炭素数8以上、18以下のアルキル基を有し糖縮合度が1以上、3以下であるアルキルポリグリコシドが好ましい。ノニオン界面活性剤が有するアルキル基は、直鎖アルキル基が好ましい。また、ノニオン界面活性剤が有するアルキル基は、1級アルキル基が好ましい。また、ノニオン界面活性剤が有するアルキル基は、直鎖1級アルキル基が好ましい。
【0071】
除菌性能及び洗浄力向上の点から好ましいカチオン界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が10以上、20以下であるアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が6以上、14以下であるジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が6以上、18以下であるアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベンゼトニウム塩等が挙げられる。カチオン界面活性剤が有するアルキル基は、直鎖アルキル基が好ましい。また、カチオン界面活性剤が有するアルキル基は、1級アルキル基が好ましい。また、カチオン界面活性剤が有するアルキル基は、直鎖1級アルキル基が好ましい。
【0072】
泡コントロール及び洗浄力向上の点から好ましい両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、脂肪酸アミドプロピルアミンオキサイド、アルキル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキル−N,N−ジメチルエタンスルホベタイン、脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のベタイン等が挙げられる。
【0073】
中でも洗浄時の泡立ちや石鹸カス等のスカム汚れに対する洗浄性の観点から、アルキル基の炭素数が10〜16のアルキルジメチルアミンオキシド、炭素数12〜14の脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタインが好ましい。
【0074】
(b)成分としては、防汚性付与の効果を妨げにくい点から、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を含有することが好ましい。中でもアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。また、(b)成分として、(b1)成分及び(b2)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤を含有することが好ましく、(b1)成分及び(b2)成分の両方を含有することがより好ましい。
【0075】
<硬質表面用洗浄剤組成物の組成等>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を、0.01質量%以上、10質量%以下含有する。防汚性付与効果の観点で、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上含有する。そして、硬質表面の親水性が高められる観点で、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0076】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分を、0.5質量%以上、30質量%以下含有する。洗浄力向上の観点で、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは7質量%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは12質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは9質量%以下含有する。なお、本発明では、(b)成分のうち、アニオン界面活性剤の質量は、ナトリウム塩としての質量をいうものとする。それに基づき組成物中の(b)成分の質量%や質量比を算出する。
【0077】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物では、防汚性付与の観点から、(a)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である。防汚性付与の観点から、(b)/(a)の質量比は、7以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上がより好ましく、30以上がより好ましく、50以上がより好ましく、そして、400以下が好ましく、300以下がより好ましく、200以下がより好ましく、100以下がより好ましい。
【0078】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分、(b)成分以外に下記の成分を含有することができる。
【0079】
<(c)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分としてキレート剤を含有することが好ましい。キレート剤としては、(c1)トリポリリン酸、ピロリン酸、オルソリン酸、ヘキサメタリン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、(c2)エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(c3)アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、及びこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、(c4)アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるモノマーの単一重合体又は共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリα−ヒドロキシアクリル酸、並びにこれらのアルカリ金属塩、(c5)クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸から選ばれる多価カルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上、(c6)アルキルグリシン−N,N−二酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン−N,N−二酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、及びこれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、(c2)、(c3)、及び(c5)から選ばれる1種以上のキレート剤が好ましく、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、クエン酸、コハク酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤がより好ましい。エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種以上のキレート剤がより好ましい。
【0080】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分を、洗浄力がより向上する観点で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、低温での貯蔵安定性に優れる観点で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下含有する。なお、本発明では、(c)成分のキレート剤の質量は、ナトリウム塩としての質量をいうものとする。それに基づき組成物中の(c)成分の質量%や質量比を算出する。
【0081】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物では、防汚性付与の観点から、(a)成分に対する(c)成分の質量比が、(c)/(a)で、好ましくは1以上、100以下である。洗浄性、防汚性付与の観点から、(c)/(a)の質量比は、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、5以上がより更に好ましく、6以上がより更に好ましく、そして、80以下がより好ましく、60以下が更に好ましく、50以下がより更に好ましく、30以下がより更に好ましい。
【0082】
<(d)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分として、有機溶剤を含有することが好ましい。
【0083】
(d)成分は、有機概念図における無機性/有機性の比率が、0.6以上、2.2以下である有機溶剤が好ましい。
【0084】
有機溶剤は、通常、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる目的及び洗浄性を向上させる目的で配合されることが多い成分である。無機性/有機性の比率が、0.6以上、2.2以下である有機溶剤を、(a)成分と共に特定量含有させることで、疎水性硬質表面により高い防汚性を付与する組成物を得ることが出来る。
【0085】
本発明において有機溶剤を特定するために用いた「有機概念図」とは、有機化合物の性状の概要を把握するための方法であり、主として炭素数に基づく有機性(共有結合性)と、置換基の性質、傾向に基づく無機性(イオン結合性)に分け、有機化合物を有機軸と無機軸と名づけた直交座標上の1点ずつに位置させて、その性質の概要を理解させるものである。有機概念図における有機溶剤の無機性/有機性の値は、「新版 有機概念図 基礎と応用」(甲田善生・佐藤四郎・本間善夫、三共出版、2008年、15頁、表1.1)に記載されたものから算出することが出来る。
【0086】
防汚性付与の観点から、(d)成分の有機概念図における無機性/有機性の比率は、0.7以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.2以上がより好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上がより好ましく、そして、2.0以下が好ましく、1.9以下がより好ましく、1.8以下がより好ましく、1.7以下がより好ましい。
【0087】
(d)成分として用いられる有機溶剤は、種々のモノ−、ジ−又はトリ−アルキレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−アルキレングリコールジエーテルが挙げられる。具体的には、モノ−、ジ−又はトリ−エチレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−エチレングリコールジエーテル、並びにモノ−、ジ−又はトリ−プロピレングリコールモノエーテル、及びモノ−、ジ−又はトリ−プロピレングリコールジエーテルが適している。このようなグリコールモノエーテル及びグリコールジエーテルはアルキル基を有するものが好ましく、アルキル基は、種々の炭素数のアルキル基から選択できる。例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシルなどである。これらグリコールエーテル及びグリコールジエーテルは、化合物全体の炭素数が好ましくは4以上、より好ましくは6以上、より好ましくは8以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
【0088】
(d)成分としては、防汚性付与の観点から、エチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.5)、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)、エチレングリコールモノ−イソブチルエーテル(1.6)、ジエチレングリコールモノ−イソブチルエーテル(1.7)、エチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル(1.1)、ジエチレングリコールモノ−ヘキシルエーテル(1.2)、プロピレングリコールモノ−ブチルエーテル(0.9)、ジプロピレングリコールモノ−ブチルエーテル(0.7)、ジプロピレングリコールモノ−メチルエーテル(1.0)、トリプロピレングリコールモノ−メチルエーテル(0.8)、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル(2.0)、2−プロパノール(2.0)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(0.8)、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(1.0)及びジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(0.8)から選ばれる1種以上の有機溶剤が挙げられる。なかでも、エチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.5)、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましく、ジエチレングリコールモノ−ブチルエーテル(1.6)がより好ましい。ここで、( )内の数字は、無機性/有機性の値である。
【0089】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分を、好ましくは、1質量%以上、30質量%以下含有する。防汚性付与の観点で、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上、より更に好ましくは7質量%以上、より更に好ましくは7.5質量%以上含有する。そして、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分を、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは9質量%以下含有する。
【0090】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分及び(b)成分と、(d)成分とを、好ましくは所定条件で組み合わせて用いることで、(a)成分が疎水性硬質表面に吸着するため、より高い防汚性を付与するものと推定される。
【0091】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物が(d)成分を含有する場合、防汚性付与の観点から、(d)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(d)で、0.1以上、10以下であることが好ましい。防汚性付与の観点から、(b)/(d)の質量比は、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.8以上がより好ましく、そして、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がより好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下がより好ましい。
【0092】
<(e)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる目的で、(e)成分として、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる無機塩を含有することが好ましい。(e)成分としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びヨウ化カリウムからなる群から選択される1以上の化合物が好ましい。(e)成分は、アルカリ金属の塩化物がより好ましく、塩化ナトリウムがより好ましい。
【0093】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(e)成分を、液状組成物の液性を均一とし、長期保存後も液性を保持させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下含有する。
【0094】
<(f)成分>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(f)成分として、水を含有することが好ましい。水を含有する液体組成物であることがより好ましい。長期保存後に液の均一性を確保するために、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(f)成分を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下含有する。
【0095】
更に、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物には、防汚性付与効果及び洗浄性能を阻害しない範囲において、防腐剤、ハイドロトロープ剤、染料、粘度調整剤、酸化防止剤、香料などを配合することが出来る。
【0096】
また、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、洗浄力が高まる観点で、20℃におけるpHが3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることがより好ましく、7以上であることがより好ましい。そして、保存安定性に優れる観点で、20℃におけるpHが11以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、9以下であることがより好ましく、8.5以下であることがより好ましい。pH調整剤としては、酸剤として、塩酸や硫酸などの無機酸や、(b)成分及び(e)成分以外の有機酸を用いることが出来る。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることが出来る。
【0097】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、硬質表面、好ましくは疎水性硬質表面を対象とするものであり、疎水性表面を親水性表面に改質することで防汚性付与効果が発現していると推定している。
【0098】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の対象となる疎水性硬質表面は、イオン交換水に対する25℃における静止接触角が50°以上であるものが好ましく、60°以上であるものがより好ましく、70°以上であるものがより好ましく、80°以上であるものがより好ましい。本発明では、この接触角を満たす硬質表面を疎水性硬質表面とすることができる。
【0099】
疎水性硬質表面を与える材質としては、ステンレス鋼等の疎水性金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、6−ナイロン等の疎水性プラスチックが挙げられ、繊維強化プラスチック(FRP)のような複合素材であってもよい。
【0100】
台所、浴室及びトイレには、前記した疎水性硬質表面を与える材質が多用されており、且つ食品や人体由来の疎水性汚れが付着しやすい環境にあることから、疎水性汚れに対する防汚性付与の意義が大きい。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、台所、浴室及びトイレの疎水性硬質表面に対して優れた防汚性を付与できる。よって、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、台所用、浴室用、又はトイレ用として用いられることが好ましい。具体的には、本発明の組成物は、台所まわりの疎水性硬質表面(壁、床、シンクなど)や台所で用いられる製品(コンロ、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、浴室まわりの疎水性硬質表面(壁、床、浴槽など)や浴室で用いられる製品(浴室用イス、洗面器など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。また、本発明の組成物は、トイレの疎水性硬質表面(壁、床、便器など)やトイレで用いられる製品(収納棚、ごみ箱など)の疎水性硬質表面に対して適用できる。中でも浴室用の硬質表面用洗浄剤組成物としてより好ましく用いられる。
【0101】
また、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、スプレー式容器に充填してなるスプレー式硬質表面用洗浄剤物品として使用することが好ましい。かかる物品は、スプレー式硬質表面用洗浄剤物品やスプレー式硬質表面用改質剤物品として用いることもできる。スプレー式容器としては、トリガー式スプレーヤーが装着されたスプレー容器(トリガー式スプレー容器という)が挙げられる。トリガー式スプレー容器としては、液体洗浄剤組成物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着されたトリガー式液体噴出器とを具備するものが挙げられ、更には、容器本体の口部に液体洗浄剤組成物を噴出するトリガー式スプレーヤーが装着され、該トリガー式スプレーヤーの内部に垂直管路及び水平管路が形成され、該垂直管路内に該垂直管路と上記水平管路との連通を遮断するバルブが配設されたスプレー容器(スプレー容器(I)という)が挙げられる。スプレー容器(I)は、水平管路の下方位置にシリンダーを備え、また、水平管路の先端部にスピンエレメントが装着され、更に、このスピンエレメントの先端部にノズル孔を有するノズル部が嵌着固定されている。スプレー容器(I)は、トリガーを引いて、シリンダー内の空気を外に排出し、トリガーを戻した際に容器本体の液体洗浄剤組成物に浸した垂直管路を通じて液体洗浄剤組成物を吸い上げ、上記シリンダー内に液体を満たし、再びトリガーを引くことにより、該シリンダー内の液体を押し出して垂直管路に導き、更に水平管路、スピンエレメントを通じて液体の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出するタイプのものである。疎水性硬質表面への本発明の洗浄剤組成物の適用方法は、疎水性硬質表面の広さ(面積)等に応じて選択できる。例えば本発明の組成物の原液をそのまま0.05〜5mL程度スプレーして行うことができる。
【0102】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、疎水性の硬質表面に対して良好な親水性を付与することが出来、しかもその持続効果に優れる。更に、疎水性硬質表面に付着した油汚れ、タンパク質汚れ、皮脂汚れ等に対する洗浄効果を有する。硬質表面の親水性は、該表面上での水の接触角を測定することにより評価できるが、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で硬質表面を処理することにより、接触角が著しく低減することを確認出来ており、この親水化により高い防汚性付与効果を発現していることが示唆される。
【0103】
また、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、実施例記載の方法で測定される処理後のPVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製)のイオン交換水に対する静止接触角が70°以下となることが、防汚性付与の観点から好ましく、60°以下となることがより好ましく、40°以下となることがより好ましく、30°以下となることがより好ましい。更に、処理前のPVC板のイオン交換水に対する静止接触角と処理後のPVC板のイオン交換水に対する静止接触角との差が、10°以上であることが防汚性付与の点から好ましく、30°以上がより好ましく、40°以上であることがより好ましく、50°以上であることがより好ましい。
【0104】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物では、疎水性硬質表面に適用後、(a)成分を含有する被覆膜が形成されて該硬質表面を被覆することにより、PVC板のイオン交換水に対する静止接触角を低減できると推定している。
【0105】
また、本発明は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物からなる硬質表面用改質剤組成物を包含する。すなわち、本発明は、(a)成分を0.01質量%以上、10質量%以下、及び(b)成分を0.5質量%以上、30質量%以下含有し、(a)成分に対する(b)成分の質量比が、(b)/(a)で、5以上、500以下である、硬質表面用改質剤組成物に関する。本発明の硬質表面用改質剤組成物の好ましい態様は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で述べたものから選定できる。
【0106】
<使用方法>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、当該組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程と、該疎水性硬質表面の組成物が塗布された面を水、好ましくは、塗布質量の5倍以上の質量の水によりすすぐ工程とを有する硬質表面の処理方法に使用することが好ましい。また、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を疎水性硬質表面に塗布する工程の後に、スポンジ等を用いて薄く塗りのばす工程を行い、その後、水によりすすぐ工程を有する硬質表面の処理方法として使用することがより好ましい。この方法を汚れが付着した疎水性表面に対して行うことで、汚れの除去と防汚性付与の両方を達成することができる。
【0107】
これらの工程は公知の方法に準じて行うことができるが、疎水性硬質表面への塗布には、前述のような、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物をスプレー式容器に充填してなるスプレー式硬質表面用洗浄剤物品を用いることが好ましい。また、洗浄後にすすぐ際に使用する水の温度は、(a)成分からなる親水化改質成分を疎水性硬質表面に残留させるために、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、そして、50℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。
【実施例】
【0108】
<(a)成分及び(a’)成分>
表2の実施例、比較例の硬質表面用洗浄剤組成物に用いた(a)成分及び(a’)成分を以下に示す。
・(a)成分:下記合成例で得られたブロック重合体a−1〜ブロック重合体a−6
・(a’)成分:下記比較合成例で得られた比較高分子化合物1〜比較高分子化合物8
【0109】
(a)成分の重合体の製造に用いた単量体の一部の入手先を示す。
・メタクリル酸n−ブチル:和光純薬工業(株)製
・メタクリル酸−2−(ジメチルアミノ)エチル:和光純薬工業(株)製
【0110】
<合成例1:ブロック重合体a−1の合成>
(工程1)
ナスフラスコにメタクリル酸n−ブチル40.00g、2‐ブロモイソ酪酸エチル1.097g(東京化成工業(株)製)、4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル(シグマアルドリッチ製)3.45g、アニソール60.00gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)(和光純薬工業(株)製)0.278g、塩化銅(II)(和光純薬工業(株)製)0.189gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱した。320分間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水400mL、メタノール1200mLの混合液に撹拌しながら反応溶液を滴下し、重合体を析出させ、デカンテーション、乾燥を行い、重合体セグメントAを構成する重合体(重合体A)を得た。
【0111】
(工程2)
次にナスフラスコにメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル12.00g、メタクリル酸n−ブチル3.16g、工程1で得られた重合体A0.932g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(シグマアルドリッチ製)0.081g、アニソール21.00gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.035gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱した。840分間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン1Lに撹拌しながら重合体溶液を滴下し、重合体を析出させ、デカンテーション、乾燥を行い、重合体セグメントA及び重合体セグメントB’を有する重合体(重合体A−B’)を得た。
【0112】
(工程3)
ナスフラスコに工程2で得られた重合体A−B’3.00g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)12.00gを入れ、重合体を溶解させた。50℃に加熱しながら1,3−プロパンスルトン(和光純薬工業(株)製)2.04gを滴下した。5時間反応させた後冷却した。メタノール500mLに撹拌しながら、反応溶液を滴下して重合体を析出させ、ろ過、乾燥を行ってブロック重合体a−1の固体を得た。
【0113】
<合成例2:ブロック重合体a−2の合成>
合成例1の工程2において、重合体Aを0.946g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを14.00g、メタクリル酸n−ブチルの量を1.60gとし、工程3において1,3−プロパンスルトンの量を2.33gとした以外は合成例1と同様に行い、ブロック重合体a−2を得た。
【0114】
<合成例3:ブロック重合体a−3の合成>
ナスフラスコにメタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)7.78g、ヨウ素0.49g(和光純薬工業(株)製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.90g、エタノール7.15gを入れ、20分間窒素バブリングを行なった。70℃に加熱し310分間反応させた。
【0115】
(工程2)
別途ナスフラスコ中に、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル61.09g、メタクリル酸メチル31.13g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.11g、エタノール92.85gを入れ20分間窒素バブリングを行なった溶液を工程1の反応溶液に加え、70℃にて、300分間反応させた。反応させた溶液を80℃で減圧乾燥させ重合体A−B’を得た。
【0116】
(工程3)
ナスフラスコに工程2で得られた重合体A−B’3.00g、2,2,2−トリフルオロエタノール 12.00g、イオン交換水6g、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム2.52gを入れた。80℃に加熱して、16時間反応させた。続いて、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム0.46g、炭酸水素ナトリウム0.25gを入れ10時間反応させ、冷却した。減圧乾燥によりブロック重合体a−3の固体を得た。
【0117】
<合成例4:ブロック重合体a−4の合成>
合成例3の工程1において、メタクリル酸メチルを7.45gとし、工程2において、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを70.20g、メタクリル酸メチルを22.35gとし、工程3において分割して添加する3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムをそれぞれ2.89g、0.53gとした以外は合成例3と同様に行い、ブロック重合体a−4を得た。
【0118】
<合成例5:ブロック重合体a−5の合成>
合成例3の工程1においてヨウ素を0.91g、メタクリル酸メチルを7.15g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を1.37gとし、工程2において、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを78.56g、メタクリル酸メチルを14.30g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を0.17gとし、工程3において分割して添加する3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムをそれぞれ3.00g、0.59gとした以外は合成例5と同様に行い、ブロック重合体a−5を得た。
【0119】
<合成例6:ブロック重合体a−6の合成>
(工程1)
ナスフラスコにメタクリル酸n−ブチル40.00g、2‐ブロモイソ酪酸エチル1.097g(東京化成工業(株)製)、4,4’−ジノニル−2,2’−ジピリジル(シグマアルドリッチ製)3.45g、アニソール60.00gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)(和光純薬工業(株)製)0.278g、塩化銅(II)(和光純薬工業(株)製)0.189gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱した。320分間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、水400mL、メタノール1200mLの混合液に撹拌しながら反応溶液を滴下し、重合体を析出させ、デカンテーション、乾燥を行い、重合体セグメントAを構成する重合体(重合体A)を得た。
【0120】
(工程2)
次にナスフラスコにメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル12.00g、メタクリル酸n−ブチル5.43g、工程1で得られた重合体A 1.08g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(シグマアルドリッチ製)0.081g、アニソール21.00gを入れ、15分間窒素バブリングを行ない、モノマー溶液を調製した。次に、別のナスフラスコにスターラーチップ、塩化銅(I)0.035gを入れ、窒素置換した後、モノマー溶液を添加した。10分間窒素バブリングを行った後、70℃に加熱した。840分間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、重合を終了した。次いで、活性アルミナカラム処理により銅錯体を除去後、ヘキサン1Lに撹拌しながら重合体溶液を滴下し、重合体を析出させ、デカンテーション、乾燥を行い、重合体セグメントA及び重合体セグメントB’を有する重合体(重合体A−B’)を得た。
【0121】
(工程3)
ナスフラスコに重合体A−B’3.00g,2,2,2−トリフルオロエタノール12.00g、イオン交換水6.00g、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(シグマアルドリッチ製)2.66gを入れた。80℃に加熱して、16時間反応させた。続いて、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(シグマアルドリッチ製)0.48g、炭酸水素ナトリウム0.21g(和光純薬工業(株)製)を入れ10時間反応させ、冷却した。メタノール500mLに撹拌しながら反応溶液を滴下して重合体を析出させ、ろ過、乾燥を行ってブロック重合体a−6を得た。
【0122】
なお、(a)成分のブロック重合体a−1〜a−6の重合体セグメントAの重量平均分子量(重合体セグメントAひとつあたりの重量平均分子量)、及び含有量、重合体セグメントB中の式(1)で表す構成単位の含有量並びに、ブロック重合体の重量平均分子量を表1に示す。各種物性等の測定は以下の方法により行った。
【0123】
(1)重合体セグメントAの重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(ポリスチレン換算)で測定した。
カラム:K-804L(昭和電工(株)製)を2本直列に連結して使用した。
カラム温度:40℃
溶離液:1mmol/Lジメチルラウリルアミン/CHCl(ジメチルラウリルアミン:ファーミンDM2098:花王(株)製)
流量:1.0ml/分
検出器:示差屈折率計
【0124】
(2)ブロック重合体の重量平均分子量
SLS(静的光散乱法)による分子量測定を行った。重量平均分子量(Mw)は光散乱光度計「DLS−7000」(大塚電子(株)製)を用いて、下記の条件で静的光散乱を測定し、Zimm−plotを作製することで算出した。また、分子量の算出に必要な屈折率増分は、示差屈折率計「DRM3000」(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
波長:632.8nm(ヘリウム−ネオンレーザー)
散乱角:30°から150°まで10°おきに測定した。
平均温度:25℃
溶媒:2,2,2−トリフルオロエタノール
【0125】
(3)ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量
前記(1)及び(2)で求めた重合体セグメントAの重量平均分子量、ブロック重合体の重量平均分子量を用いて、下記の式より求めた。
ブロック重合体中の重合体セグメントAの含有量(%)=重合体セグメントAの重量平均分子量/ブロック重合体の重量平均分子量×100
【0126】
(4)重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位の含有量
工程2の反応溶液を、ガスクロマトグラフ(GC)6850(Agilent社製)を用いて、溶媒であるアニソールのピークの積分値に対する、一般式(1)で表される構成単位の単量体のピークの積分値と一般式(2)で表される構成単位の単量体のピークの積分値の比率から反応率を測定した。これらより重合体セグメントB中の一般式(1)で表される構成単位の含有量を求めた。
検出器:FID
カラム:DB−1
温度(オーブン):50−200℃、10℃/min
注入口 温度:200℃
スプリット比:50:1
ガスタイプ:ヘリウム
検出器 温度:250℃
H2流量:40.0ml/min
Air流量:400.0ml/min
合計流量:45.0ml/min
【0127】
【表1】
【0128】
・比較高分子化合物1:下記比較合成例1で得られた、スルホベタイン単位及び疎水性単位からなる重量平均分子量120,000のランダム型高分子化合物、比較高分子化合物2におけるスルホベタイン単位/疎水性単位=80/20(質量%)
なお、「スルホベタイン単位」は、スルホベタイン基を有する不飽和単量体由来の繰返し単位であり、「疎水性単位」は、疎水性不飽和単量体由来の繰り返し単位である(以下、同様)。
【0129】
・比較高分子化合物2:下記比較合成例2で得られた、スルホベタイン単位及び疎水性単位からなる重量平均分子量120,000のランダム型高分子化合物、比較高分子化合物2におけるスルホベタイン単位/疎水性単位=70/30(質量%)
【0130】
・比較高分子化合物3:下記比較合成例3で得られた、スルホベタイン単位及び疎水性単位からなる重量平均分子量120,000のランダム型高分子化合物、比較高分子化合物3におけるスルホベタイン単位/疎水性単位=70/30(質量%)
【0131】
・比較高分子化合物4:下記比較合成例2と同様の手法で得られた、スルホベタイン単位及び疎水性単位からなる重量平均分子量120,000のランダム型高分子化合物、比較高分子化合物4におけるスルホベタイン単位/疎水性単位=50/50(質量%)
【0132】
・比較高分子化合物5:下記比較合成例2と同様に、ただしメタクリル酸メチルを使用せずに得られた、スルホベタイン単位からなる単一高分子化合物、重量平均分子量130,000
【0133】
・比較高分子化合物6:下記比較合成例3と同様の手法で、ただしメタクリル酸n−ブチルをメタクリル酸t−ブチルに変更して得られた、スルホベタイン単位及び疎水性単位からなる重量平均分子量110,000のランダム型高分子化合物、比較高分子化合物5におけるスルホベタイン単位/疎水性単位=96/4(質量%)
【0134】
・比較高分子化合物7:下記比較合成例4で得られた重量平均分子量130,000のランダム型高分子化合物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位/メタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位=70/40(質量%)
【0135】
・比較高分子化合物8:下記比較合成例5で得られた重量平均分子量55,000のランダム型高分子化合物、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位/メタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位=70/40(質量%)
【0136】
以下の比較合成例で用いたモノマーの出所を以下に示す。
・メタクリル酸メチル:和光純薬工業株式会社製
・メタクリル酸n−ブチル:和光純薬工業株式会社製
・メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル:和光純薬工業株式会社製
・メタクリル酸t−ブチル:和光純薬工業株式会社製
【0137】
<比較合成例1:比較高分子化合物1の合成>
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸n−ブチル(疎水性単位となる)10.74g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)42.95g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.384g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)78.53gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、1,3−プロパンスルトン(和光純薬工業(株)製)を2.464g入れ、重合体を溶解させた。50℃に加熱し、5時間反応させた後冷却し、乾燥を行って重合体(比較高分子化合物1)の固体を得た。比較高分子化合物1は、重量平均分子量が120,000であった。
【0138】
<比較合成例2:比較高分子化合物2の合成>
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸メチル(疎水性単位となる)16.00g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)37.69g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.384g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)78.53gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、1,3−プロパンスルトン(和光純薬工業(株)製)を2.464g入れ、重合体を溶解させた。50℃に加熱し、5時間反応させた後冷却し、乾燥を行って重合体(比較高分子化合物1)の固体を得た。比較高分子化合物1は、重量平均分子量が120,000であった。
【0139】
<比較合成例3:比較高分子化合物3の合成>
(工程1)
ナスフラスコにスターラーチップ、メタクリル酸メチル(疎水性単位となる)16.00g、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(スルホベタイン単位となる)37.69g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)0.384g、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製)78.53gを入れ、30分間窒素バブリングを行い、モノマー溶液を調製した。その後、67℃に加熱し重合を行った。8時間反応させた後、反応溶液を空気にさらしながら氷冷し、乾燥により重合体B1を得た。
(工程2)
ナスフラスコに工程1で得られた重合体B1を4.000g、2,2,2−トリフルオロエタノール(シグマアルドリッチ製)を16.00g、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ製)を4.546g、水を8.000gとスターラーチップを入れ、三方コックを取り付けた。次に82℃に昇温しておいたオイルバスで加熱し、10時間反応を行った。その後、3−クロロ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム0.826gと炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.336gを添加し、再び82℃で10時間加熱して反応を行った。反応終了後、乾燥を行って重合体(比較高分子化合物3)の固体を得た。比較高分子化合物3は、重量平均分子量が120,000であった。
【0140】
<比較合成例4:比較高分子化合物7の合成>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(シグマアルドリッチ製)13.7g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)6.33g、メタノール38.5g、イオン交換水23.4gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。その後、この溶液を約70℃まで昇温した後、重合開始剤(V−65、和光純薬工業(株)製)0.13g、メタノール5.0gを加え、6時間保持して重合を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7に中和した。次いで、2−プロパノール4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物6の固体を得た。
比較高分子化合物6は、モノマー単位が2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位であり、そのモル比が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸から得られるモノマー単位/メタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位=70/30(重量%)であった。また、比較高分子化合物7は、重量平均分子量が130,000であった。
【0141】
<比較合成例5:比較高分子化合物8の合成>
内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(QDM、MRCユニテック(株)製)33.6g、メタクリル酸n−ブチル(和光純薬工業(株)製)15.3g、重合開始剤(パーロイルL、日油(株)製)8.53g、イオン交換水2.52g、及びエタノール103gを入れ、均一に混合し窒素雰囲気下で30分間攪拌した。この溶液を約90℃まで昇温した後、6時間保持して重合を行った。次いで、アセトン4Lを撹拌しながらポリマー溶液を滴下し、ポリマーを析出させ、ろ過、乾燥により比較高分子化合物7の固体を得た。
比較高分子化合物7は、モノマー単位がメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位とメタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位であり、そのモル比が、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから得られるモノマー単位/メタクリル酸n−ブチルから得られるモノマー単位=70/30(重量%)であった。また、比較高分子化合物8は、重量平均分子量が55,000であった。
【0142】
<実施例及び比較例>
表2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を調製した。各組成物のpH(20℃)は水酸化ナトリウム及び塩酸により表中の値に調整した。これら組成物について、下記項目について評価した。詳細を以下に示す。結果を表2に示した。表中、一部の例では、(a’)成分を(a)成分として(b)/(a)質量比と(c)/(a)質量比を示した。
【0143】
<接触角>
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×75mm×1mm)に、硬質表面用洗浄剤組成物を1mL塗布して5分間静置した後、25℃の水道水(流速50mL/秒)で20秒間すすいだ。25℃40%RHに調温調湿された測定室にて、上記処理を行ったPVC板のイオン交換水に対する静止接触角を測定した。測定には協和界面科学株式会社製の全自動接触角計DM−500を使用し、20μlのイオン交換水の水滴を処理表面に着滴させ、着滴3秒後から1秒間隔で10回接触角を測定し、その平均値をデータとして記載した。なお、処理前のPVC板の静止接触角は、85°であった。
【0144】
<防汚性>
40℃の湯10Lに12gのモデル皮脂溶液(モデル皮脂/クロロホルム=1、質量比)を添加し分散させ、各組成物で処理したPVC板を12時間浸漬させた。浸漬後のPVC板を、25℃の水道水(50mL/秒)で、表裏各10秒間すすぎ、乾燥後に質量を測定して残留皮脂量(x)を測定した。各組成物の組成において(a)成分を配合していない組成物〔(a)成分の分をイオン交換水に置き換える〕で処理したPVC板表面に残留した皮脂量(y)を同様に測定した。残留皮脂量xとyとから、次式により防汚性を算出した。
防汚性(%)=〔1−(x/y)〕×100
※各組成物で処理したPVC板
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は80mm×250mm×1mm)の両面に、硬質表面用洗浄剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだもの。
【0145】
<滑り抑制性(摩擦係数)>
各組成物で処理したPVC板を両面テープで角皿容器(角型透明ディッシュ(角2号)、アズワン(株))に固定し、容器内をイオン交換水で満たし、豚皮を貼った摩擦子と各組成物で処理したPVC板との摩擦係数を、摩擦測定器「KES−ES」(カトーテック株式会社)により測定した。
イオン交換水に10分間浸漬させた豚皮(三力製作所)を1cm角の摩擦子に貼り付け、摩擦子の総質量が50gになるようにおもりをセットして用いた。
また、各組成物で処理したPVC板は、PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は25mm×70mm×1mm)の両面に、硬質表面用洗浄剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして20秒間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだものを用いた。この評価では、表中の摩擦係数が大きいほど、すべりの抑制に優れていることを示す。
【0146】
<防汚持続性>
各組成物で処理したPVC板及び未処理のPVC板を、40℃の湯を入れた浴槽の喫水部に複数枚固定した。4人の男性が、1人ずつ交代で入浴した後のPVC板に対する汚れの付着状況を評価した。入浴時間は、1人あたり10分間とした。また、PVC板は、男性が浴槽内に入ったときに、喫水部にPVC板の中央が位置するように固定した。なお、未処理のPVC板は、各組成物の組成において(a)成分を配合していない組成物〔(a)成分の分をイオン交換水に置き換える〕で処理したPVC板である。
【0147】
1人目の男性が入浴した後に、任意のPVC板を1枚取り出し、40℃で30分放置後にシャワーの水のみで10秒間洗浄し、PVC板の汚れの付着状況を目視にて観察し、以下の基準で評価した。更にこの作業を繰り返し、2人目の男性が入浴した後のPVC板、3人目の男性が入浴した後のPVC板、4人目の男性が入浴した後のPVC板を各々評価した。なお、組成物ごとに、湯を入れ替えて評価を行った。比較例の一部では、2人目、3人目の入浴後の評価を行わなかった。
【0148】
※各組成物で処理したPVC板
PVC板(株式会社エンジニアリングテストサービス製、形状は80mm×250mm×1mm)の両面に、硬質表面用洗浄剤組成物をそれぞれ1mL塗布してスポンジで塗りのばして5分間静置した後、25℃の水道水(50mL/秒)で20秒間すすいだもの。
【0149】
評価基準
5;汚れの付着が全く無い
4:微かに汚れが付着している
3:未処理のPVC板と比較して、1/4の汚れが付着している
2:未処理のPVC板と比較して、半量の汚れが付着している
1:未処理のPVC板と同レベルの汚れが付着している
【0150】
表中の成分は以下のものである。
・(a)成分:前記ブロック重合体a−1〜ブロック重合体a−6
・(a’)成分:前記比較高分子化合物1〜比較高分子化合物8
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数4.0
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:アルキル基の炭素数12〜16、エチレンオキサイド平均付加モル数10
・アルキルポリグリコシド:アルキル(炭素数12〜16)ポリグルコース(平均糖縮合度1〜2)
・アルキルアミドプロピルベタイン:脂肪酸(炭素数12)アミドプロピル−N,N−ジメチル−酢酸ベタイン
・アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:アルキル基の炭素数12〜16
【0151】
【表2】