特開2016-222779(P2016-222779A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222779(P2016-222779A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20161205BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20161205BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J183/04
   C09D5/02
   B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-108789(P2015-108789)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 愛三
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK15A
4F100AK25B
4F100AK52C
4F100AK54B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB05C
4F100EH46
4F100GB90
4F100JK06
4F100JL13C
4F100YY00B
4J004AA11
4J004AB06
4J004CA05
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE01
4J004FA08
4J038CG141
4J038CH201
4J038DF021
4J038MA07
4J038MA09
4J038PA07
4J040EK031
4J040JB07
4J040KA26
4J040PA23
(57)【要約】
【課題】基材と粘着剤層との間の投錨性に優れ、長期間保存した後であっても、剥離時に基材と粘着剤層が分離しにくい粘着シートを提供すること。
【解決手段】基材、プライマー層及び放射線で硬化した粘着剤層をこの順に備える粘着シートであって、前記プライマー層は、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーと、ポリオキシアルキレン基を有するポリマーと、を含有する、粘着シート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、プライマー層及び放射線で硬化した粘着剤層をこの順に備える粘着シートであって、
前記プライマー層は、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーと、ポリオキシアルキレン基を有するポリマーと、を含有する、粘着シート。
【請求項2】
前記ポリオキシアルキレン基を有するポリマーの含有量が、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーの含有量に対して、質量基準で、0.1〜10倍である、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシプロピレン基及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基である、請求項1又は2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記ポリオキシアルキレン基が、ポリオキシプロピレン基及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基であり、
オキシエチレン単位の質量に対する、オキシプロピレン単位の質量が、0.25以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記基材の材質が、ポリ塩化ビニルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤層が、シリコーン系粘着剤層である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着シートを構成する粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系、天然ゴム系など多くの種類が知られている。粘着剤は架橋して用いられることもあり、架橋方法の一つとして放射線硬化が用いられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/096535号
【特許文献2】国際公開第2010/056544号
【特許文献3】国際公開第2012/091167号
【特許文献4】欧州特許第1458833号明細書
【特許文献5】特開2011−219549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着シートが積層物として提供される場合、各シートを取り出すときに、粘着剤層が基材から離れ、隣接して積層されていたシートの基材上に残ることがある。また、皮膚等の被着体に一時的に貼り付けてその後剥離するような場合、剥離時に基材と粘着剤層が分離し、粘着剤層のみが被着体に残ることがある。そこで、基材と粘着剤層との間の十分な投錨性(以下「アンカー効果」ともいう。)を確保するために、粘着シートには、基材と粘着剤層との間にプライマー層が設けられる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基材、プライマー層及び放射線で硬化した粘着剤層をこの順に備える粘着シートであって、上記プライマー層は、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーと、ポリオキシアルキレンポリマーと、を含有する、粘着シートを提供する。なお、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレート等類似の表現においても同様である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る粘着シートは、基材と粘着剤層との間の投錨性に優れ、長期間保存した後であっても、剥離時に基材と粘着剤層が分離しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0008】
本発明の一実施形態は、基材、プライマー層及び放射線で硬化した粘着剤層をこの順に備える粘着シートであって、上記プライマー層は、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーと、ポリオキシアルキレン基を有するポリマー(以下、ポリオキシアルキレンポリマーともいう。)と、を含有する。
【0009】
基材は、プライマー層と粘着剤層とを担持する支持体であり、その全体形状は、例えばフィルム状、ロール状とすることができる。基材は、孔や凹凸が存在しない平面形状のものの他、適用対象や用途に対応して、繊維形状のもの、メッシュ状のもの、孔が形成されているもの、エンボス等の凹凸が表面に形成されているものなどが利用可能である。基材を構成する素材としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルが挙げられ、ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0010】
プライマー層に含まれる、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーをモノマー単位として有する高分子であり、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。ここで窒素含有基とは、窒素原子を含む官能基であり、この官能基は親水性官能基であり得る。窒素含有基としては、例えば、アミノ基、アミド基及びイミド基が挙げられる。窒素含有基は、アミノ基及びアミド基のように置換が可能な場合、例えば、炭素数が1〜22のアルキル基で置換されていてもよい。このアルキル基は、ポリオキシアルキレン基、ポリアミノアルキレン基等でさらに置換されていてもよく、このアルキレン基は、例えば、炭素数が2〜4のアルキレン基であり得る。なお、窒素含有基は、オニウム塩等の塩を形成していてもよい。
【0011】
窒素含有基は(メタ)アクリルポリマーのいずれの位置に存在していてもよい。(メタ)アクリルポリマーを構成するモノマー単位で説明すると、アミノ基及びアミド基の場合は、(メタ)アクリロイル基に直接結合するか、(メタ)アクリロイル基に結合した基(例えばアルキル基)に結合して存在し得る。窒素含有基がイミド基である場合は、窒素含有基はモノマー単位の非末端部分に存在し、このようなモノマーは、例えば、環状酸無水物にアミノアルキルアルコールを反応させて得られるヒドロキシアルキルイミドに、(メタ)アクリル酸を反応させて得ることができる。
【0012】
窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量は、5000〜1000000であってもよく、10000〜100000であってもよい。また、アミン水素当量は、300〜2000(g・solid/eq)であってもよい。
【0013】
窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーは、アミノ基を有する(メタ)アクリレートポリマーであることが好ましい。このアミノ基を有する(メタ)アクリレートポリマーは、アミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーと(メタ)アクリル酸エステルとをモノマー単位として有する共重合体であってもよい。なお、モノマー単位であるアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリロイル基に結合したアルキル基にアミノ基が結合した形状であること、すなわちアミノアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0014】
窒素含有基を有する(メタ)アクリレートポリマーとしては、以下の一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物をモノマー単位として含むポリマーが挙げられる。
【化1】

式中、Rはメチル基又は水素原子、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又は水素原子、nは1〜100の整数を表す。
【化2】

式中、Rはメチル基又は水素原子、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又は水素原子、Xは対イオン、mは1〜100の整数を表す。対イオンとしては、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、アルコキシイオンが挙げられる。
【0015】
アミノ基を含有する(メタ)アクリレートポリマーとしては、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、アンモニウム基を含有する(メタ)アクリレートポリマーとしては、具体的には、2−ヒドロキシ−3(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエタノールアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0016】
また、窒素含有基を含有する(メタ)アクリレートポリマーは、以下の一般式(3)で表される構造単位を有するポリマーであってもよい。
【化3】

式中、R及びRはそれぞれ独立にメチル基又は水素原子、R10は炭素数1〜22のアルキル基、R11は炭素数2〜4のアルキレン基、xは0〜2000、yは1〜2000、nは1〜100の整数を表す。R10は炭素数1〜18のアルキル基であってもよく、R11は炭素数2のアルキレン基であってもよい。xは0〜1500、yは50〜1500がよく、x及びyは合計で100〜1500になるような数であってもよい。
【0017】
プライマー層は、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーの他、ポリオキシアルキレンポリマーを含有している。このポリオキシアルキレンポリマーは、ポリオキシアルキレン基を有している限り、ポリマーの末端部の官能基は限定されず、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基等であってもよい。このポリオキシアルキレンポリマーのポリオキシアルキレン基は、ポリオキシプロピレン基及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基であることが好ましい。
【0018】
ポリオキシアルキレンポリマーの平均分子量は、500〜15000であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましく、1500〜5000であることがさらに好ましい。
【0019】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールのオキシエチレン単位の含有量は、全体の質量に対して、80以下であることが好ましく、60以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましい。すなわち、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールにおいて、オキシエチレン単位の質量に対するオキシプロピレン単位の質量は、0.25以上であることが好ましく、0.66以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。
【0020】
ポリオキシアルキレンポリマーは、2〜6官能とすることができる。ここで、2〜6官能とは、1分子中に2〜6の官能基を有することをいい、官能基は例えば水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基又はアリールオキシ基である。これらのポリオキシアルキレンポリマーは、好ましくは2〜3官能であり、2官能のものだけを用いることもできる。また、2官能ポリオキシアルキレンポリマーと3官能ポリオキシアルキレンポリマーとの混合物とすることもできる。なお、分子形状は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0021】
具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノプロピルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノミリステート、ポリエチレングリコールモノイソステアレート、ポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジパルミテート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリプロピレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート、ポリプロピレングリコールジラウレート、ミリスチン酸ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルが挙げられる。
【0022】
ポリオキシアルキレンポリマーは、その水酸基当量が250〜7500g/eqであることが好ましく、500〜5000g/eqであることがより好ましく、750〜2000g/eqであることが更に好ましい。ここで、水酸基当量とは、低分子ポリオールの分子量を水酸基の数で除した値である。また、水酸基当量は、以下の式にしたがい、水酸基価から算出することができる。なお、水酸基価とは、JIS K1557−1:2007にしたがって得られる値であり、例えば、低分子ポリオール1g中の水酸基と当量の水酸化カリウム(分子量56)のミリグラム(mg)数を意味する。
(水酸基当量)=(低分子ポリオールの分子量)/{(水酸基価)/56×17}
【0023】
ポリオキシアルキレンポリマーは、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体である場合、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン(POE−POP−POE)、又は、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(POP−POE−POP)の構造を有する3元ブロック共重合体が好ましい。
【0024】
本実施形態において、プライマー層における、ポリオキシアルキレンポリマーの含有量は、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーに対して、質量基準で、0.1〜10倍、0.2〜5倍、または0.3〜3倍であってもよい。
【0025】
なお、プライマー層は、本発明の目的を損なわない範囲で界面活性剤、紫外線吸収剤等の添加成分を含有していてもよい。
【0026】
第1実施形態の粘着シートは、放射線で硬化した粘着剤層を備えているが、放射線とは、電子線、ガンマ線などのエネルギー線量の大きい放射線(電離放射線)をいい、紫外線等の非電離放射線は含まない。粘着剤層を形成する粘着剤としては、シリコーン系粘着剤(例えば、ポリオルガノシロキサンにMQレジン等のシリコーン系粘着付与剤を添加したもの)、アクリル系粘着剤等が挙げられる。本実施形態においては、シリコーン系粘着剤が特に有効である。
【0027】
粘着剤層は、放射線で硬化する前の段階で、粘着性を発揮する程度に高分子量である粘着剤からなっていてもよく、放射線照射により初めて高分子量化して粘着性を発揮するような素材を用いてもよい。後者の場合、粘着剤層は、放射線硬化前にモノマー状態やオリゴマー状態であり、放射線照射により分子鎖の伸長や架橋等が生じる。
【0028】
放射線で硬化した粘着剤層をプライマー層上に設ける場合、電子線硬化させた粘着剤層をプライマー層上に積層する方法や、プライマー層上に粘着剤層を積層した後に、全体に電子線を照射して粘着剤を硬化させる方法がある。後者の方法を採用すると、放射線照射により粘着剤からラジカルが発生し、プライマー層を構成する成分と反応することにより、優れた投錨性を発揮することから、後者の方法を採用することが好ましい。
【0029】
本実施形態に係る粘着シートは、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0030】
すなわち、窒素含有基を有する(メタ)アクリルポリマーとポリオキシアルキレンポリマーを含有するプライマー組成物を調製し、このプライマー組成物を基材に展延し、基材表面上にプライマー層を形成する。この場合、加熱を施してもよい。そして、プライマー層上に放射線で硬化可能な粘着剤を展延し、放射線を照射することにより硬化させ粘着シートを得る。得られた粘着シートは、さらに剥離ライナーを備えていてもよい(他の実施形態においても同様である。)。
【0031】
本実施形態に係る粘着シートは、基材の材質がポリ塩化ビニルである場合に、より優れたアンカー効果を発揮する。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例及び比較例を示しながら、本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
試験例1
<プライマー組成物P1〜P8の調製>
表1に記載の割合で、ポリオキシアルキレンポリマー1のメチルエチルケトン溶液に、アクリレートポリマー1を添加した後、充分に混合し、プライマー組成物P1〜P3を調製した。また、ポリオキシアルキレンポリマー1に代えて、ポリオキシアルキレンポリマー2を使用した以外は、プライマー組成物P2と同様にして、プライマー組成物P4を調製した。ポリオキシアルキレンポリマー1に代えて、ポリオキシアルキレンポリマー3を使用した以外は、プライマー組成物P2と同様にして、プライマー組成物P5を調製した。ポリオキシアルキレンポリマー1に代えて、ポリオキシアルキレンポリマー4を使用した以外は、プライマー組成物P2と同様にして、プライマー組成物P6を調製した。
プライマー組成物P7として、ポリオキシアルキレンポリマー1をトルエンとイソプロピルアルコール(70:30)の混合溶媒で希釈した溶液を調製した。プライマー組成物P8として、アクリレートポリマー1をトルエンとイソプロピルアルコール(70:30)の混合溶媒で希釈した溶液を調製した。なお、表1中のポリオキシアルキレンポリマー1の量は水酸基当量数で示した。また、プライマー組成物P1〜P8を調製するにあたり、ポリオキシアルキレンポリマー1〜4及びアクリレートポリマー1の濃度の合計が10質量%となるように、メチルエチルケトンの量を調整した。
【0034】
【表1】
【0035】
ポリオキシアルキレンポリマー1:CM−294(商品名,株式会社ADEKA社製)を用いた。CM−294は、平均分子量が約2900g/モルであるトリブロックコポリマーであり、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の比が40:60であり、その水酸基当量は1450g/eqである。
ポリオキシアルキレンポリマー2:ユニセーフ NKL−9520(商品名,株式会社日油社製)を用いた。ユニセーフ NKL−9520は平均分子量が2500のポリプロピレングリコール・ジステアレートである。
ポリオキシアルキレンポリマー3:UCON−50−HB−400(商品名,ダウケミカル社製)を用いた。UCON−50−HB−400は平均分子量が1230のトリブロックコポリマーであり、オキシエチレンとオキシプロピレンの質量比が50:50(オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の比に換算すると57:43)であるポリオキシエチレンオキシプロピレン・モノブチルエーテルである。
ポリオキシアルキレンポリマー4:ユニルーブ 50MB−72(商品名,株式会社日油社製)を用いた。ユニルーブ 50MB−72は平均分子量が3000のトリブロックコポリマーであり、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位の比が50:50であるポリプロピレングリコール・モノブチルエーテルである。
アクリレートポリマー1:一般式(1)の構造を有するポリメントNK−350(商品名,株式会社日本触媒製)を用いた。
【0036】
<粘着シートの調製>
(1)基材へのプライマーのコーティング
可塑化ポリ塩化ビニル製の基材上に、プライマー組成物P1〜P5のいずれかをワイヤーバー(株式会社丸協技研、ワイヤーバー#5)を用いて展延し、オーブンで60℃、2分間加熱することにより、基材表面をプライマー層でコーティングした。
(2)粘着剤組成物の調製
シラノール末端ポリジメチルシロキサン(商品名:TSF451−100M、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)100質量部に対し、粘着付与剤としてMQ樹脂(商品名:MQ803TF,Wacker Chemie AG社製)30質量部を加え、シリコーン系粘着剤組成物を調製した。
(3)粘着シートの調製
上記プライマー組成物でコーティングされた可塑化ポリ塩化ビニル製の基材の該プライマー上に、またはプライマーで処理されていない可塑化ポリ塩化ビニル製の基材上に、ナイフコーターを用いて粘着剤層の厚さが50μmになるように、上記シリコーン系粘着剤組成物を展延した。展延されたシリコーン系粘着剤組成物に対して、電子線発生装置CB300を用いて、加速電圧(180keV)の条件で電子線(40KGy)を照射することにより、すぐに粘着剤組成物を硬化し、さらに粘着剤表面にフルオロシリコーンライナー(商品名:K1,株式会社フジコー製)を積層させ、実施例1〜4、比較例1〜3の粘着シートをそれぞれ作製した。
【0037】
得られた実施例1〜6、比較例1〜3の粘着シートと、プライマー組成物P1〜P8との関係は、表2に記載したとおりである。なお、比較例1の粘着シートは、プライマー層を備えていない。
【0038】
【表2】
【0039】
<投錨性試験>
得られた粘着シートの基材の表面に、両面粘着テープ(商品名:ST−416,3M社製)を用いてステンレスプレートを固定させ、フルオロシリコーンライナーを粘着剤層から剥離した後、露出された粘着剤層の表面に、幅1インチのシリコーンテープ(商品名:8403、3M社製)を固定させて積層体を得た。次に、2kgのローラーを用いて、得られた積層体の各層を充分に圧着させた。続いて、圧着された積層体をそれぞれ下記保存条件1〜3で保存した後、上記シリコーンテープを180°の角度、30cm/分の速度で剥離した時のピール強度(N/インチ)及び外観検査について評価した。
保存条件1:温度23℃、7日間
保存条件2:温度70℃(オーブン使用)、7日間
保存条件3:温度65℃(オーブン使用)、相対湿度80%RH、7日間
【0040】
ピール強度の結果を表3に示し、外観検査の結果を表4に示す。なお、表4中、「A」とは、基材と粘着剤層とがきれいに分離された、すなわち、粘着剤層と基材、粘着剤層とプライマー層、又は、プライマー層と基材のいずれかの投錨性が不充分であったことを意味する。「B」とは、シリコーンテープと粘着剤層とがきれいに分離されたことを意味する。「C」とは、粘着剤層が割け、シリコーンテープと基材の両側に粘着剤層が分離したことを意味する。また、表4の数値は、当該試験において、基材と粘着剤層との接面全体の面積を10とした場合に、A、B又はCの状態となった面積の比率を意味する。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
実施例1〜6の粘着シートは、保存条件1〜3のいずれの条件で保存した後においても、充分な投錨性を示した。一方、比較例1〜3の粘着シートでは、基材と粘着剤層が分離する場合が多く、投錨性が不充分であった。