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2016-222788光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222788(P2016-222788A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20161205BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20161205BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20161205BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C08L69/00
   C08L71/02
   C08K5/524
   C08K5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-109342(P2015-109342)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】396001175
【氏名又は名称】住化スタイロンポリカーボネート株式会社
(72)【発明者】
【氏名】榊 陽一郎
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CG011
4J002CG021
4J002CH032
4J002EP027
4J002ET007
4J002EU177
4J002EU187
4J002EW066
4J002EW086
4J002FD057
4J002FD066
4J002GP01
(57)【要約】
【構成】 ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)を0.005〜5.0重量部、亜リン酸エステル系化合物(C)を0.005〜5.0重量部、及び紫外線吸収剤(D)を1.0重量部まで含有してなることを特徴とする、光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
【効果】 本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率や色相に優れるだけでなく、耐候性にも優れる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、下記一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)を0.005〜5.0重量部、亜リン酸エステル系化合物(C)を0.005〜5.0重量部、及び紫外線吸収剤(D)を1.0重量部まで含有してなることを特徴とする、光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
一般式(1):
HO−(CHCHCHCHO)(CHCH(CH)O)−H (1)
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数を示し、m+nは、10〜90の整数を示す)
【請求項2】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)が、少なくとも下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
一般式(2):
【化1】
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、0〜3の整数を示す)
【請求項3】
前記一般式(2)で表される化合物が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトである、請求項2記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤(D)が、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物およびベンゾフェノン系化合物から選択される1種もしくは2種以上の紫外線吸収剤である、請求項1記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、光学用成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち耐熱性、機械的強度等を損なうことなく、光線透過率が良好で、耐候性にも優れた光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、透明性等に優れていることから、従来、例えば導光板、各種レンズ、銘板等の成形品に利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、重量平均分子量と数平均分子量との比が特定範囲に規定された芳香族ポリカーボネート樹脂に、安定剤及び離型剤が配合された導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に、ポリスチレン及び1種のリン系酸化防止剤が配合された光学用成形品用ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
【0005】
その他、例えば、特許文献3〜8に開示されているように、優れた光線透過率を得て、光学部材の輝度を向上させるべくポリカーボネート樹脂と他の材料とを併用した樹脂組成物が各種提案されている。
【0006】
しかしながら、近年、光学用成形品の中でも特に、LED電球の周辺で使用される光源レンズとしてのLED照明用ポリカーボネート樹脂製レンズには、高い光線透過率、また、屋外用途で使用する場合には優れた耐候性が要求されているが、特許文献1〜8に開示のポリカーボネート樹脂組成物は、かかる要求を充分に満足し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−204737号公報
【特許文献2】特開平09−020860号公報
【特許文献3】特開2011−133647号公報
【特許文献4】特開平11−158364号公報
【特許文献5】特開2001−215336号公報
【特許文献6】特開2004−051700号公報
【特許文献7】国際公開第2011/083635号公報
【特許文献8】特開2012−140472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率や色相に優れるだけでなく、耐候性にも優れる光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂に特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)、亜リン酸エステル系化合物(C)、および紫外線吸収剤(D)を含有させることにより、光線透過率が良好なだけでなく、耐候性にも優れる光学用ポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、下記一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)を0.005〜5.0重量部、亜リン酸エステル系化合物(C)を0.005〜5.0重量部、紫外線吸収剤(D)を1.0重量部まで含有してなることを特徴とする、光学用ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる光学用成形品を提供するものである。
一般式(1):
HO−(CHCHCHCHO)(CHCH(CH)O)−H (1)
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数を示し、m+nは、10〜90の整数を示す)
【発明の効果】
【0011】
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率や色相に優れるだけでなく、耐候性にも優れるものである。よって、例えば、LED照明用レンズや車両用昼間点灯用導光体のように比較的厚みのある成形品であっても、色相が変化して外観が低下することがなく、かつ耐候性にも優れることから屋外利用にも適合するなど工業的利用価値が極めて高い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、発明者らは、当業者が本発明を充分に理解するために以下の説明を提供するのであってこれらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)と紫外線吸収剤(D)とを含有したものである。なお、本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
【0015】
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体である。代表例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0016】
前記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を混合して使用される。これらの他にも、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0017】
さらに、前記ジヒドロキシジアリール化合物と、例えば以下に示す3価以上のフェノール化合物とを混合して使用してもよい。
【0018】
前記3価以上のフェノール化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4´−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン等が挙げられる。
【0019】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、10000〜100000、さらには12000〜30000であることが好ましい。なお、このようなポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0020】
本発明にて使用されるテトラメチレングリコール誘導体(B)は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1):
HO−(CHCHCHCHO)(CHCH(CH)O)−H (1)
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数を示し、m+nは、10〜90の整数を示す)
【0021】
これまで、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコール等の直鎖または分岐ポリオキシアルキレングリコールの単独化合物を添加してポリカーボネート樹脂の光線透過率を向上させることが試みられてきたが、該ポリオキシアルキレングリコールは、耐熱性が不充分であるので、該ポリオキシアルキレングリコールを配合したポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形すると、成形品の光線透過率が低下し、色相も劣る。
【0022】
これに対して、前記一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体は、直鎖および分岐ポリオキシアルキレングリコールのランダム共重合体であり、耐熱性が高く、該一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体を配合したポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形した成形品は、光線透過率が高く色相に優れる。
【0023】
また、一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)は、直鎖および分岐ポリオキシアルキレングリコールのランダム共重合体であるため適度な親油性を有することから、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性にも優れるので、該テトラメチレングリコール誘導体(B)を配合したポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の透明性も向上する。
【0024】
さらに、一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)を配合することにより、ポリカーボネート樹脂組成物を成形する際に、せん断熱が必要以上に発生するのを抑制することができるほか、ポリカーボネート樹脂組成物に離型性を付与することもできるので、例えばポリオルガノシロキサン化合物といった離型剤を別途添加しなくてもよい。
【0025】
一般式(1)において、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数であり、m+nは、10〜90の整数であるが、さらには、m及びnは、それぞれ独立して、6〜40の整数であることが好ましく、m+nは、20〜60の整数であることが好ましい。
【0026】
本発明にて使用されるテトラメチレングリコール誘導体(B)の重量平均分子量は、1000〜4000、さらには2000〜3000であることが好ましい。テトラメチレングリコール誘導体(B)の重量平均分子量が1000未満の場合は、光線透過率の充分な向上効果が望めない虞れがあり、逆に重量平均分子量が4000を超える場合も、光線透過率が低下して曇化率が上昇する虞れがある。
【0027】
商業的に入手可能なテトラメチレングリコール誘導体(B)としては、例えば、日油(株)製の、ポリセリンDCB−2000(重量平均分子量2000)、ポリセリンDCB−1000(重量平均分子量1000)等(「ポリセリン」は登録商標)が挙げられる。
【0028】
本発明にて使用されるテトラメチレングリコール誘導体(B)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.005〜5.0重量部であり、0.1〜2.0重量部、さらに0.5〜1.5重量部であることが好ましい。テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が0.005重量部未満の場合は、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。逆にテトラメチレングリコール誘導体(B)の量が5.0重量部を超える場合は、光線透過率が低下して曇化率が上昇してしまう。
【0029】
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物には、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と共に、亜リン酸エステル系化合物(C)が配合されている。このように、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と亜リン酸エステル系化合物(C)とを同時に配合することにより、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率が向上したポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
【0030】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物が特に好適である。(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、0〜3の整数を示す)
一般式(2):
【0031】
【化1】
【0032】
前記一般式(2)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であるが、さらには、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
【0033】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好適であり、例えば、BASF社製のイルガフォス168(「イルガフォス」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標)として商業的に入手可能である。
【0034】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)としては、前記一般式(2)で表される化合物の他にも、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3):
【0035】
【化2】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR−(ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される基を示す。Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR−(ここで、Rは、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素側の結合手であることを示す)で表される基を示す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す)
【0036】
一般式(3)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。
【0037】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0038】
前記R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。特に、R及びRは、それぞれ独立して、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基又は1−メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。特に、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基であることがさらに好ましい。
【0039】
前記Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0040】
一般式(3)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R、R、R及びRの説明にて例示したアルキル基が挙げられる。特に、Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0041】
一般式(3)において、Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR−で表される基を示す。ここで、式:−CHR−中のRは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、それぞれ前記R、R、R及びRの説明にて例示したアルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。特に、Xは、単結合、メチレン基、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等で置換されたメチレン基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0042】
一般式(3)において、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR−で表される基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また、式:*−COR−におけるRは、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。Rを示す炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、前記Aの説明にて例示したアルキレン基が挙げられる。Rは、単結合又はエチレン基であることが好ましい。また、式:*−COR−における*は、酸素側の結合手であり、カルボニル基がフォスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。
【0043】
一般式(3)において、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R、R、R及びRの説明にて例示したアルキル基が挙げられる。
【0044】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。これらの中でも、特に光学特性が求められる分野に、得られるポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合には、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好適であり、例えば、住友化学(株)製のスミライザーGP(「スミライザー」は登録商標)として商業的に入手可能である。
【0045】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)としては、前記一般式(2)及び一般式(3)で表される化合物の他にも、例えば、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
一般式(4):
【0046】
【化3】
(式中、R及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、b及びcは、それぞれ独立して、0〜3の整数を示す)
【0047】
一般式(4)で表される化合物としては、例えば、(株)ADEKA製のアデカスタブPEP−36(「アデカスタブ」は登録商標)が商業的に入手可能である。
【0048】
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(C)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.005〜5.0重量部であり、0.01〜0.5重量部、さらに0.02〜0.1重量部であることが好ましい。亜リン酸エステル系化合物(C)の量が0.005重量部未満の場合は、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。逆に亜リン酸エステル系化合物(C)の量が5.0重量部を超える場合も、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。
【0049】
なお、亜リン酸エステル系化合物(C)として前記一般式(2)で表される化合物を用いる場合、その量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜1.0重量部であることが、光線透過率及び色相の向上効果がより大きいという点で好ましい。
【0050】
また、亜リン酸エステル系化合物(C)として前記一般式(3)で表される化合物を用いる場合、その量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.05〜2.0重量部であることが光線透過率及び色相の向上効果がより大きいという点で好ましい。
【0051】
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物には、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)と紫外線吸収剤(D)とが配合されている。このように、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と亜リン酸エステル系化合物(C)と紫外線吸収剤(D)とを同時に配合することにより、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率や色相、耐候性が向上した光学用ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。例えば、LED照明用レンズや車両用昼間点灯用導光体として使用する場合でも、光線透過率や色相に優れるだけでなく、紫外線による黄変が抑制された、道路用LED照明や車両用昼間点灯等の屋外用途に好適に使用できる。
【0052】
本発明にて使用される紫外線吸収剤(D)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物およびベンゾフェノン系化合物等の、ポリカーボネート樹脂に通常配合される紫外線吸収剤を、少なくとも単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−butyl−2−hydroxy−5−methylphenyl)−5−chloro−2H−benzotriazole、2−(3,5−di−tert−pentyl−2−hydroxyphenyl)−2H−benzotriazole、2−(2H−benzotriazole−2−yl)−4−methyl−6−(3,4,5,6−tetrahydrophthalimidylmethyl)phenol、2−(2−hydroxy−4−octyloxyphenyl)−2H−benzotriazole、2−(2−hydroxy−5−tert−octylphenyl)−2H−benzotriazole、2−[2’−hydroxy−3,5−di(1,1−dimethylbenzyl)phenyl]−2H−benzotriazole、2,2’−Methylenbis[6−(2H−benzotriazol−2−yl)4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol]などが挙げられる。なかでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール等が好適であり、例えば、BASF社製のTINUVIN 329、TINUVIN 234(TINUVINは登録商標)、シプロ化成(株)製のシーソーブ709(シーソーブは登録商標)、ケミプロ化成(株)製のケミソーブ79(ケミソーブは登録商標)等が商業的に入手可能である。
【0054】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等が挙げられ、例えば、BASF社製のTINUVIN 1577等が商業的に入手可能である。
【0055】
シュウ酸アニリド系化合物としては、例えば、クラリアントジャパン(株)製のSanduvor VSU(Sanduvorは登録商標)等が商業的に入手可能である。
【0056】
シアノアクリレート系化合物としては、例えば、BASF社製のUvinul3030(Uvinulは登録商標)等が商業的に入手可能である。
【0057】
サリシレート系化合物としては、例えば、シプロ化成(株)製のシーソーブ201、ケミプロ化成(株)製のケミソーブ21等が商業的に入手可能である。
【0058】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、シプロ化成(株)製のシーソーブ102、ケミプロ化成(株)製のケミソーブ11、BASF社製のUvinul3049等が商業的に入手可能である。
【0059】
本発明にて使用される紫外線吸収剤(D)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して1.0重量部までであり、0.1〜0.5重量部であることが好ましい。紫外線吸収剤(D)の量が1.0重量部を超える場合は、得られる光学用ポリカーボネート樹脂組成物の初期の色相が低下する虞れがある。また、紫外線吸収剤(D)の量が0.1重量部以上の場合は特に、光学用ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性をより向上させる効果が大きく奏される。
【0060】
さらに、本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明における効果を損なわない範囲で、例えば、他の酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤等の各種添加剤、ポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等が適宜配合されていてもよい。
【0061】
ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法には特に限定がなく、ポリカーボネート樹脂(A)、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)、亜リン酸エステル系化合物(C)、及び紫外線吸収剤(D)、並びに必要に応じて前記各種添加剤やポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等について、各成分の種類及び量を適宜調整し、これらを、例えばタンブラー、リボンブレンダー等の公知の混合機にて混合する方法や、押出機にて溶融混練する方法が挙げられる。これらの方法により、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを容易に得ることができる。
【0062】
前記のごとく得られるポリカーボネート樹脂組成物のペレットの形状及び大きさには特に限定がなく、一般的な樹脂ペレットが有する形状及び大きさであればよい。例えば、ペレットの形状としては、楕円柱状、円柱状等が挙げられる。ペレットの大きさとしては、長さが2〜8mm程度であることが好適であり、楕円柱状の場合、断面楕円の長径が2〜8mm程度、短径が1〜4mm程度であることが好適であり、円柱状の場合、断面円の直径が1〜6mm程度であることが好適である。なお、得られたペレット1つずつがこのような大きさであってもよく、ペレット集合体を形成する全てのペレットがこのような大きさであってもよく、ペレット集合体の平均値がこのような大きさであってもよく、特に限定はない。
【0063】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法には特に限定がなく、例えば、公知の射出成形法、圧縮成形法等によりポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。
【0064】
以上のように、本発明の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本発明における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【実施例】
【0065】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ重量基準である。
【0066】
原料として以下のものを使用した。
1.ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAと塩化カルボニルとから合成されたポリカーボネート樹脂
カリバー200−80
(商品名、住化スタイロンポリカーボネート(株)製、「カリバー」はスタイロン ユーロップ ゲーエムベーハーの登録商標、粘度平均分子量:15000、以下「PC」という)
【0067】
2.テトラメチレングリコール誘導体(B):
ポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダムタイプ)
ポリセリンDCB−2000
(商品名、日油(株)製、重量平均分子量:2000、以下「化合物B」という)
【0068】
3.亜リン酸エステル系化合物(C):
以下の式で表される、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
【0069】
【化4】
イルガフォス168
(商品名、BASF社製、以下「化合物C」という)
【0070】
4.紫外線吸収剤(D):
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール
TINUVIN 234
(商品名、BASF社製、以下「化合物D1」という)
2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール
TINUVIN 1577
(商品名、BASF社製、以下「化合物D2」という)
ペンタエリスリトールテトラキス(3,3−ジフェニル−2−シアノアクリレート)
Uvinul 3030
(商品名、BASF社製、以下「化合物D3」という)
2−エチル2’−エトキシ−オキサルアニリド
Sanduvor VSU
(商品名、クラリアントジャパン(株)製、以下「化合物D4」という)
【0071】
<実施態様>
実施例1〜4及び比較例1〜4
前記各原料を、表1に示す割合にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、溶融温度240℃にて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。なお、実施例及び比較例で得られたペレットは、ほぼ楕円柱状であり、ペレット100個からなる集合体は、各々、長さの平均値が約5.1mm〜約5.4mm、断面楕円の長径の平均値が約4.1mm〜約4.3mm、短径の平均値が約2.2mm〜約2.3mmであった。
【0072】
得られたペレットを用い、以下の方法にしたがって、各評価用試験片を作製して評価に供した。その結果を表1に示す。
【0073】
(試験片の作製)
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S2000i100A)を用い、成形温度280℃、金型温度80℃にて、JIS K 7139「プラスチック−試験片」にて規定の多目的試験片A型(全長168mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片の端面を切削し、切削端面について、樹脂板端面鏡面機(メガロテクニカ(株)製、プラビューティーPB−500)を用いて鏡面加工した。
【0074】
(積算透過率の評価方法)
分光光度計((株)日立製作所製、UH4150)に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で、波長380〜780nmの領域で1nm毎の、試験片各々の分光透過率を、試験片の全長方向について測定した。測定した分光透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより、各々の積算透過率を求めた。なお、積算透過率が26000以上を良好(表中、○で示す)、26000未満を不良(表中、×で示す)とした。
【0075】
(成形品の耐候性の評価)
上記で作製した試験片を促進耐候試験機キセノンウェザーメーター(スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75)の中に設置し、100W/m2、雨有りの条件で300時間照射を行った。照射前後の試験片の黄色度(以下、YI)を測定し、ΔYI(YIの差)を求めた。△YIとは照射前後の黄色度の変化の程度を表し、△YIが小さい程、変色は小さく耐候性に優れている。△YIの評価基準としては、△YIの値が5.0未満であるものを良好(○)、5.0以上であるものを不良(×)とした。
【0076】
【表1】
【0077】
実施例1〜4のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)に、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)と、紫外線吸収剤(D)とが、各々特定の割合で配合されたものである。
【0078】
実施例1〜4のポリカーボネート樹脂組成物から成形された168mm長光路試験片は、積算透過率に優れているだけでなく、耐候性も良好であった。
【0079】
これに対して、比較例1〜4のポリカーボネート樹脂組成物から成形された168mm長光路試験片は、耐候性は良好であるものの、積算透過率が劣っていた。
【0080】
以上のように、本発明における技術の例示として実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明を提供した。
【0081】
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0082】
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の光学用ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率や色相に優れるだけでなく、耐候性にも優れるものである。よって、例えば、LED照明用レンズや車両用昼間点灯用導光体のように比較的厚みのある成形品であっても、色相が変化して外観が低下することがなく、かつ耐候性にも優れることから屋外利用にも適合するなど工業的利用価値が極めて高い。