前記基材が、ポリテトラフルオロエチレン及び/又はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマーである請求項1又は2に記載のガスケット劣化防止材。
前記重合抑制剤が、有機金属化合物、含硫黄化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、金属単体、表面に共鳴安定化作用を持つ炭素繊維、及びカーボン粒子から選択される1以上である請求項1〜3に記載のガスケット劣化防止材。
前記基材がシリコーン樹脂であり、前記粘度調整剤が、リチウム石ケン、四弗化エチレン粉末、アリール尿素、シリカ、及び粘土から選択される1以上である請求項6に記載のガスケット劣化防止材。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のガスケット劣化防止材は、基材及び重合抑制剤を含む。
本発明のガスケット劣化防止材はペースト状であり、例えばモノマー製造プラントに使用しているガスケットのモノマーと接する露出部分に塗布することにより、ガスケット本体の膨潤又はモノマーの侵食を抑制することができる。
以下、ガスケット劣化防止材の各成分について説明する。
【0008】
[基材]
基材は、好ましくはフッ素樹脂ペースト及び/又はシリコーン樹脂ペーストである。ここでフッ素樹脂ペースト及びシリコーン樹脂ペーストは、それぞれフッ素樹脂及びフッ素オイル、並びにシリコーン樹脂及びシリコーンオイルを含む。
【0009】
フッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)、FEP(パーフルオロエチレン−プロピレンコポリマー)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ECTFE(三フッ化塩化エチレン−エチレンコポリマー)が挙げられ、これらのうち、PTFEを用いて得られるフッ素樹脂系ペーストが耐熱性、耐薬品性、低摩擦性に優れる点で好ましい。
これらフッ素樹脂は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0010】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、テトラフルオロエチレンの単独重合体である。ポリテトラフルオロエチレンは変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)を含む。変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)は、パーフルオロアルキルビニルエーテルで変性されたポリテトラフルオロエチレンである。
上記パーフルオロアルキルビニルエーテルとしては、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルビニルエーテルが挙げられる。
CF
2=CF−OR
f (1)
(式(1)中、R
fは炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜5)のパーフルオロアルキル基、又は下記式(2)で表されるパーフルオロ有機基である。)
【化1】
(式(2)中、nは1〜4の整数である。)
【0011】
式(1)の炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基としては、例えばパーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられ、好ましくはパーフルオロプロピル基である。
【0012】
シリコーン樹脂としては、好ましくは直鎖状のアルキルポリシロキサン又はその変性体(変性シリコーン樹脂)を用いる。このようなシリコーン樹脂としては下記式(A)で表される変性シリコーン樹脂が使用できる。
【化2】
(式中、R
1は、それぞれメチル基又はフェニル基である。
R
2は、それぞれメチル基、水酸基、又は下記式(A−1)〜(A−4)で表される基のいずれかである。
nは0〜2000程度の整数である。)
【化3】
(式中、R
3はアルキレン基である。)
【0013】
下記式(B)で表される変性シリコーン樹脂も使用できる。
【化4】
(式中、R
1は、それぞれメチル基又はフェニル基である。
R
2は、それぞれメチル基、水酸基、又は下記式(B−1)〜(B−4)で表される基のいずれかである。
R
4は、それぞれ水素原子、又は下記式(B−5)〜(B−9)で表される基のいずれかである。
x及びyはそれぞれ整数であって、x+yは1〜2000程度の整数である。)
【化5】
(式中、R
3はアルキレン基である。)
【化6】
(式中、R
5はアルキレン基である。)
【0014】
下記式(C)で表される変性シリコーン樹脂も使用できる。
【化7】
(式中、R
1は、それぞれメチル基又はフェニル基である。
R
2は、それぞれメチル基、水酸基、又は下記式(C−1)〜(C−4)で表される基のいずれかである。
R
6は、アルキレン基又はフェニレン基である。
R
7は、アルキル基又はフェニル基である。
POAは、ポリエーテル基である。
x、y、z及びwはそれぞれ整数であって、x+y+z+wは1〜2000程度の整数である。)
【化8】
(式中、R
3はアルキレン基である。)
【0015】
これらシリコーン樹脂は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
基材として使用する樹脂の分子量は、ガスケット劣化防止材が所望の粘度となるように調節すればよい。また、後述するようにガスケット劣化防止材が粘度調節剤を含む場合、基材である樹脂の分子量は特に限定されない。
【0017】
基材として使用する樹脂は好ましくは粉末状であり、該粉末状樹脂の平均粒径(測定法:マイクロトラック粒度分析計による)は、通常、30μm以下、好ましくは10μm以下であり、平均粒径の下限値は、例えば0.3μmである。
このような粒径の粉末状樹脂は、得られるガスケット劣化防止材中での分散性に優れる。また、基材がフッ素樹脂粉末であれば、得られるガスケット劣化防止材は、優れた耐熱性、耐薬品性及び低摩擦性が得られるほか、−200℃〜+250℃の広範な温度範囲や、酸・アルカリ等の広範な薬液ラインで優れた潤滑性及びシール性を示すことができる。
【0018】
ガスケット劣化防止材中の基材の含有量は、例えば19.5〜94.5重量%であり、好ましくは40〜70重量%であり、より好ましくは50〜60重量%である。
【0019】
[重合抑制剤]
ガスケットの製造には一般に焼成工程を必要とするために使用できる重合抑制剤は限定されるが、本発明のガスケット劣化防止材の製造には焼成工程を必要としないため、使用できる重合抑制剤の自由度が高い。
重合抑制剤としては有機金属化合物、含硫黄化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、金属単体、表面に共鳴安定化作用を持つ炭素繊維、カーボン粒子等が挙げられる。ガスケット劣化防止材は、これら重合抑制剤を1種又は2種以上含んでもよい。
【0020】
有機金属化合物としては、例えば有機スズメルカプチド、有機スズラウレート、有機スズマレエート等の有機スズ化合物;ステアリン酸のバリウム、カルシウム、ストロンチウム等の塩、ラウリン酸のバリウム、カルシウム等の塩;オクチル酸の亜鉛等の塩;リシノレイン酸のカドミウム等の塩;塩基性ステアリン酸鉛[PbO・Pb(C
17H
35COO)
2]、塩基性硫酸鉛(PbO・PbSO
4)等があげられる。
【0021】
含硫黄化合物としては、例えば2−メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系メルカプタン化合物又はその塩;2−メルカプトベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系メルカプタン化合物又はその塩;チウラムモノサルファイド、チウラムジサルファイド等のチウラム化合物;ジチオカルバミン酸又はその塩等があげられる。塩としては亜鉛、スズ、カドミウム、鉄、ニッケル、銅、バリウム等の金属塩が好ましい。
【0022】
アミン系化合物としては、例えばジナフチルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、フェニルシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α−ナフチル−ジフェニルアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−オクチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ポリ(2,2,4トリメチル1,2ジヒドロキノリン)、ジ(4−オクチルフェニル)アミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン又はこれらの誘導体があげられる。また、ノクラックODA及びノクラックODA−N(いずれも大内新興化学工業製)も使用することができる。
【0023】
上記のN,N’−ジ−ナフチル−p−フェニレンジアミン、ポリ(2,2,4トリメチル1,2ジヒドロキノリン)、ジ(4−オクチルフェニル)アミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミンは、下記構造を有する化合物である。
【化9】
【0024】
フェノール系化合物としては、モノフェノール類であれば、2,6−ジ−t−プチル−4−メチルフェノール(DTBMP)、スチレン化フェノール(SP)、アルキル化フェノール、シクロヘキシル化フェノールが挙げられ、ビスフェノール類であれば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(MBMTB)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−メチルシクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(BBMTBP)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(TBMTBP)が挙げられる。
【0025】
フェノール系化合物としては、下記構造を有する化合物も使用できる。
【化10】
【0026】
金属単体としては、例えば亜鉛、スズ、コバルト、ニッケル、鉄、銅、カドミウム、鉛、バリウム又はこれらの合金等があげられ、微粉末の形で用いるのが好ましい。
【0027】
重合抑制剤の配合量は、基材100重量部に対して例えば0.01〜50重量部であり、好ましくは0.05〜30重量部であり、より好ましくは0.05〜10重量部である。
または、重合抑制剤の配合量は、ペースト全体において、通常0.01〜30重量%、好ましくは0.025〜20重量%、より好ましくは0.025〜15重量%である。
【0028】
[粘度調整剤]
本発明のガスケット劣化防止材は、好ましくは粘度調整剤を含む。粘度調整剤を含むことで、ペースト状ガスケット劣化防止材の粘度の調製が容易となる。
基材がフッ素樹脂ペーストの場合、使用できる粘度調整剤としては、水、界面活性剤、水膨潤性鉱物等が挙げられる。ガスケット劣化防止材は、これら粘度調整剤を1種又は2種以上含んでもよい。
【0029】
界面活性剤は、ガスケット劣化防止材中において、基材を均一に分散させる役割を有している。粘度調整剤である界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、これらのうちでは非イオン界面活性剤が好ましい。
【0030】
非イオン界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型等がある。
エーテル型の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル等が挙げられる。
エーテルエステル型の非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
エステル型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。
含窒素型の非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
【0031】
上記非イオン界面活性剤のうちでは、エーテル型のものが好ましく、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが分散性の点で望ましい。すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(RO(CH
2CH
2O)
nH、R:C12〜C22、n:2〜30程度)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(R−Ph−O(CH
2CH
2O)
nH、Ph:フェニレン基、R:C2〜C20、好ましくはC5〜C15程度、n:2〜30程度)が望ましい。
これらの非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
界面活性剤のHLB価は、エチレンオキシドのモル数(n)の増加等に伴い上昇するが、通常、5.5〜18、好ましくは10〜15程度であることが、分散性の点で望ましい。
また、該界面活性剤の性状は、分子量の増大(エチレンオキシドのモル数(n)の増加等)に伴い、液体〜固体へと変化するが、上記HLB価を有し、かつ液体〜ペースト状のものが望ましい。
【0033】
上記の界面活性剤は、何れも上市されており、上記ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、例えば、「BLAUNON N502〜N−550」(青木油脂工業(株)製、HLB:5.7〜18.1)を好適に使用できる。
【0034】
水膨潤性鉱物は、本発明のガスケット防止材をガスケットに塗布して用いた場合に、ガスケット防止材が乾燥して粉っぽくなり、塗布面からぼろぼろと剥離してしまうのを防止する役割を有している。
【0035】
粘度調整剤である水膨潤性鉱物としては、膨潤性マイカの他、スメクタイト、バーミキュライト、ベントナイト等が挙げられる。これらの水膨潤性鉱物は1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記の水膨潤性鉱物のうちでは、水膨潤性マイカ(合成雲母)がその平滑性、耐熱性を生かして、得られるガスケット防止材の潤滑特性の向上や耐熱性向上を図ることができる点で好ましい。
【0036】
水膨潤性マイカとしては、鱗片状で、平均粒径(D
50)が2〜10μmであり、真比重が2〜3のものが好ましい。
この水膨潤性マイカ(合成雲母)としては、鱗片状であり、天然雲母と同様の結晶構造を有し、タルクを主原料とする高純度フッ素系雲母であり、水中で膨潤し、粘性のある微結晶の分散液となる、「ソマシフ(ME100)」{コープケミカル(株)製、平均粒径:5〜7μm、真比重2.6、粘度(B型粘度計を用いて、7%水分散液で測定、6rpm値)が4000〜8000[mPa・s]、(同じく60rpm値)800〜1600[mPa・s]}等を利用できる。
【0037】
基材がシリコーン樹脂ペーストの場合、使用できる粘度調整剤としては、具体的にはアルミニウム,鉛,亜鉛,マンガン,リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,バリウム,ストロンチウム,銅,水銀,ビスマス,クロム,鉄,ニッケル等の金属を含有し、かつ炭素数が8個以上の脂肪酸の金属石ケン;シリカ,アルミナ,酸化鉄,チタニア,酸化亜鉛,ガラス繊維,粘土等の無機質微粒子活性酸化物;アリール尿素、フタロシアニン、インダスレン、四弗化エチレン粉末、グラファイト、カーボンブラック等が例示される。このうちリチウムステアレート、リチウムヒドロキシステアレート、リチウムミリステート、リチウムカプレート等のリチウム石ケン類、四弗化エチレン粉末、アリール尿素、シリカ、粘土等が特に好適に使用される。
【0038】
ガスケット劣化防止材中の粘度調整剤の含有量は、基材の種類や使用状況等に応じて適切の粘度となるように適宜調節できるので、限定されない。通常5〜80重量%であり、好ましくは10〜70重量%である。粘度調整剤として水を含む場合、水の含有量は例えば5〜60重量%であり、好ましくは20〜50重量%であり、より好ましくは30〜40重量%である。粘度調整剤として界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は例えば3〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%であり、より好ましくは10〜20重量%であり、粘度調整剤として水膨潤性鉱物を含む場合、水膨潤性鉱物の含有量は、例えば1〜10重量%であり、好ましくは3〜5重量%である。
【0039】
[その他の成分]
本発明のガスケット劣化防止材は、基材、重合抑制剤及び任意の粘度調整剤を含めばよく、実質的にこれら成分のみからなってもよい。本発明において「実質的にのみからなる」は、基材、重合抑制剤及び粘度調整剤の合計の含有量が90重量%以上、95重量%以上、98重量%以上又は100重量%であることを言う。
但し、本発明の効果を損なわない範囲で、基材、重合抑制剤及び粘度調整剤以外のその他成分を含むことができる。例えば、充填材等を含むことができる。
【0040】
本発明のガスケット劣化防止材の製造方法は、上記各成分を一度あるいは任意の順序で配合し、撹拌することで製造できる。
得られるガスケット劣化防止材の粘度は特に限定されないが、測定法(:B型粘度計、6rpm値)にて測定した場合に、通常0.5〜10mPa・s、好ましくは1〜5mPa・sであることが取り扱い性の点あるいは、ガスケットに塗布した場合にシール性等に優れる点で望ましい。
【0041】
本発明のガスケット劣化防止材は、フランジに施工した場合のガスケットの露出部分に塗布することにより、ガスケット本体の膨潤又はモノマーの侵食を抑制することができる。
図1は、本発明のガスケット劣化防止材をモノマー製造プラントに使用した場合の一実施形態を示す図である。
図1中の矢印はプラントで製造したモノマー流動方向であり、ペースト状のガスケット劣化防止材10は、配管用フランジに施工したガスケット20のモノマー曝露面に塗布充填される。これによりガスケット本体を保護することができる。
ガスケットへの塗布の時期はガスケットの取り付け前でも後でもよいが、好ましくは取り付け前である。具体的には、ガスケットのモノマー曝露面に予めガスケット劣化防止材を塗布し、ガスケット防止材を塗布したガスケットを配管用フランジに施工する。
【実施例】
【0042】
実施例1
表1に示す配合量で、水、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(大内新興化学工業社製、ノクラックホワイト)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(青木油脂工業株式会社製、BLAUNON N−510)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の順序で容器に撹拌しながら添加することにより、ペーストを調製した。
尚、表1中の基材、重合抑制剤、粘度調整剤の各項目の数値はそれぞれ重量部を表す。
【0043】
得られたペーストをPTFE樹脂シート(□30×10×1.5t)に塗布し、密閉容器中でスチレンに浸漬した後、100℃で5時間加熱処理してスチレンを重合させた。加熱後、ペーストを塗布したPTFE樹脂シートを取り出し、密閉容器中のスチレンを新しいスチレンに交換し、再度100℃で5時間加熱した。この操作を20回繰り返し、累計100時間加熱処理した。
100時間加熱前後のペーストを塗布したPTFE樹脂シートの重量増加量を測定し、耐重合性を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
実施例2−5及び比較例1−3
実施例2−5及び比較例1−2について、表1に示す成分及び配合量とした他は実施例1と同様にペーストを調製し、その耐重合性を評価した。比較例3では、ペーストは調製せず、ペーストを塗布していないPTFE樹脂シートについて耐重合性の評価を行った。結果を表1に示す。
尚、水膨潤性マイカは、ソマシフ:ME100(コープケミカル株式会社)を用いた。
【0045】
【表1】