特開2016-222996(P2016-222996A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-222996(P2016-222996A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】熱処理条件取得装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/40 20060101AFI20161205BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C21D9/40 B
   C21D9/40 A
   G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-113232(P2015-113232)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 晃
【テーマコード(参考)】
2F065
4K042
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065AA24
2F065AA26
2F065AA27
2F065AA36
2F065BB08
2F065DD00
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF63
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065PP11
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065RR05
2F065TT03
4K042AA22
4K042BA14
4K042DA01
4K042EA01
(57)【要約】
【課題】人為的な確認作業を伴うことなく被処理品の熱処理条件を取得することができる熱処理条件取得装置を提供する。
【解決手段】熱処理条件取得装置10は、被処理品についての複数の性状データを計測する計測部41,51,42と、計測部41,51,42によって計測された複数の性状データに基づいて被処理品を識別し、当該被処理品に対応する熱処理条件を取得する取得部52とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理品についての複数の性状データを計測する計測部と、
前記計測部によって計測された複数の性状データに基づいて前記被処理品を識別し、当該被処理品に対応する熱処理条件を取得する取得部と、を備えている熱処理条件取得装置。
【請求項2】
前記取得部は、被処理品についての複数の性状データと熱処理条件とを対応づけた対応情報を記憶する記憶部と、前記計測部によって計測された複数の性状データを前記対応情報と照合し、当該性状データに対応する熱処理条件を選択する照合部とを備えている、請求項1に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項3】
前記複数の性状データに、前記被処理品の形状に関する性状データが含まれる、請求項1又は2に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項4】
前記形状に関する性状データが、被処理品の寸法である、請求項3に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項5】
前記計測部は、被処理品の画像を撮影する撮像部と、撮影された画像を解析することによって被処理品の寸法を求める画像処理部とを備えている、請求項4に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項6】
前記複数の性状データに、前記被処理品の重量が含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項7】
取得された熱処理条件を熱処理装置に設定する設定部をさらに備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項8】
前記計測部によって計測された複数の性状データを用いて熱処理条件を取得できない場合に警報を発する報知部をさらに備えている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱処理条件取得装置。
【請求項9】
被処理品についての複数の性状データを計測するステップと、
計測された複数の性状データに基づいて被処理品を識別し、前記被処理品に対応する熱処理条件を取得するステップと、を含む、熱処理条件取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理条件取得装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種回転軸を支持するために用いられる転がり軸受の内輪や外輪等は、所望の機械的強度を得るために焼入れ等の熱処理が行われる(例えば、特許文献1参照)。
例えば、図8に示すように、内輪や外輪等の同一種類の被処理品Wは、ケースK内に多数収容された状態で熱処理装置に搬送され、所定の熱処理条件により連続的に熱処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−034712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱処理装置によって被処理品Wを熱処理するとき、被処理品Wに応じた熱処理条件を予め設定しておく必要がある。従来は次のような手順で熱処理条件の設定が行われている。
まず、熱処理装置のオペレータは、ケースKから被処理品Wを一つ取り出し、その被処理品Wに刻印された型番を確認し、ケースKに貼付された指示票に記載の型番と照合する。双方の型番が一致する場合、オペレータは、指示票に記載された熱処理条件を確認し、その条件を熱処理装置の制御盤に入力する。
【0005】
しかし、上記のような熱処理条件の設定作業には、型番の照合という人為的な作業が必要であるため、ミスを完全に無くすことは困難である。また、指示票に記載された熱処理条件を入力する際にもミスが生じ得る。
また、最近では、被処理品への型番の刻印が省略されたり、熱処理後に刻印が設けられたりすることがあり、熱処理条件の設定のために型番の照合作業自体が行えない場合もある。この場合、新たな設定方法が必要である。
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑み、人為的な確認作業を伴うことなく被処理品の熱処理条件を取得することができる熱処理条件取得装置及び方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の熱処理条件取得装置は、被処理品についての複数の性状データを計測する計測部と、前記計測部によって計測された複数の性状データに基づいて前記被処理品を識別し、当該被処理品に対応する熱処理条件を取得する取得部と、を備えているものである。
【0008】
上記構成によれば、従来のように人為的な型番の照合を行わなくても、計測部によって計測された被処理品の複数の性状データを用いて被処理品を識別し、熱処理条件を取得することができる。また、複数の性状データを用いることで、より正確に被処理品を識別することができる。
【0009】
(2)前記取得部は、被処理品についての複数の性状データと熱処理条件とを対応づけた対応情報を記憶する記憶部と、前記計測部によって計測された複数の性状データを前記対応情報と照合し、当該性状データに対応する熱処理条件を選択する照合部とを備えていることが好ましい。
このような構成によって、記憶部に記憶された対応情報を用いて適切な熱処理条件を選択することができる。
【0010】
(3)前記複数の性状データには、前記被処理品の形状に関する性状データが含まれることが好ましい。
形状は、被処理品を特徴づける有効な性状であるため、これを計測することによって被処理品の識別性を高めることができる。
【0011】
(4)前記形状に関する性状データは、被処理品の寸法であることが好ましい。
(5)この場合、前記計測部は、被処理品の画像を撮影する撮像部と、撮影された画像を解析することによって被処理品の寸法を求める画像処理部とを備えていてもよい。
このような構成によって、被処理品の寸法を非接触で計測することができる。
【0012】
(6)前記複数の性状データには、前記被処理品の重量が含まれることが好ましい。
この場合、例えば、形状に関する性状データを取得し難い被処理品や、形状を特定し難い被処理品については、形状にあまり依存せずに取得できる重量を用いることによって、被処理品を識別することが可能となる。
【0013】
(7)本発明の熱処理条件取得装置は、取得された熱処理条件を熱処理装置に設定する設定部をさらに備えていてもよい。
このような構成によって、被処理品に応じた熱処理条件の取得だけでなく熱処理装置に対する熱処理条件の設定までを自動的に行うことができ、熱処理条件の入力に伴う人為的なミスを防止することができる。
【0014】
(8)本発明の熱処理条件取得装置は、前記計測部によって計測された複数の性状データを用いて熱処理条件を取得できない場合に警報を発する報知部をさらに備えていることが好ましい。
このような構成によって、オペレータは、熱処理条件を取得できないことを容易に把握することができる。
【0015】
(9)本発明の熱処理条件取得方法は、被処理品についての複数の性状データを計測するステップと、計測された複数の性状データに基づいて被処理品を識別し、前記被処理品に対応する熱処理条件を取得するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、人為的な確認作業を伴うことなく被処理品の熱処理条件を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る熱処理条件取得装置の概略的な構成図である。
図2】計測部における計測装置を示す説明図である。
図3】熱処理の対象となる転がり軸受の一例を示す断面図である。
図4】(a)は、被処理品としての内輪の平面画像を示す図、(b)は、内輪の正面画像を示す図である。
図5】(a)は、被処理品としての外輪の平面画像を示す図、(b)は、外輪の正面画像を示す図である。
図6】被処理品の性状データと熱処理条件との対応情報の一例を示すデータベースである。
図7】熱処理条件取得装置の処理手順を示すフローチャートである。
図8】従来の熱処理条件の設定の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱処理条件取得装置の概略的な構成図である。
本実施形態の熱処理条件取得装置10は、熱処理装置11によって被処理品の熱処理を実施する際に、熱処理時間や熱処理温度等の条件を取得するための装置である。この熱処理条件取得装置10は、被処理品の製造ラインに設置された熱処理装置11に付属して設けられている。
【0019】
図3は、熱処理の対象となる転がり軸受20の一例を示している。この転がり軸受20は、円すいころ軸受であり、円環状に形成された内輪21及び外輪22と、これらの間に配置された複数の転動体23と、複数の転動体23の周方向の間隔を保持する保持器24とを備えている。内輪21の外周面には内側軌道面25が形成され、外輪22の内周面には外側軌道面26が形成されている。内側軌道面25と外側軌道面26とは径方向に対向しており、両軌道面25,26の間に転動体としての円すいころ23が転動可能に配置されている。内側軌道面25の軸方向両側には、円すいころ23の軸方向の位置を規制する鍔部27が形成されている。本実施形態の熱処理条件取得装置10は、被処理品としての内輪21及び外輪22に対する熱処理条件を取得するものとする。
【0020】
図1に示すように、熱処理条件取得装置10は、計測装置31と、制御装置32と、表示装置33とを備えている。
計測装置31は、被処理品Wの性状データを計測するためのものであり、カメラ(撮像部)41と重量計42とを備えている。カメラ41は、CCDやCMOS等の受光素子を備えたデジタルカメラであり、被処理品Wの画像を撮影する。また、図2に示すように、本実施形態の計測装置31は、被処理品Wを異なる方向から撮影する2台のカメラ41a,41bを備えている。
【0021】
一方のカメラ(第1のカメラ)41aは被処理品Wを上方(軸方向外側)から撮影する。他方のカメラ(第2のカメラ)41bは被処理品Wを前方(径方向外側)から撮影する。各カメラ41a,41bによって撮影された被処理品Wの画像は、それぞれ制御装置32に入力される。
重量計42は、被処理品Wの重量を計測する。本実施形態の重量計42は、カメラ41a,41bによって撮影される被処理品Wを載置するための載置台42aを兼ねている。したがって、計測装置31は、被処理品Wの画像と、被処理品Wの重量とを同時に取得することができる。重量計42によって計測された被処理品Wの重量は、制御装置32に入力される。
【0022】
制御装置32は、CPU等の演算部と、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶部と、各種入出力インターフェース等を有するコンピュータにより構成されている。計測装置31によって取得された情報は、入力インタフェースを介して制御装置32に入力される。制御装置32は、記憶部にインストールされたプログラムを演算部が実行することによって、以下に説明するような機能を発揮する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の制御装置32は、その機能構成として、画像処理部51と、取得部52と、報知部53と、設定部54とを備えている。
画像処理部51は、カメラ41a,41bによって撮影された画像を解析することによって、被処理品Wの形状に関する性状データを求める。具体的に、画像処理部51は、被処理品Wとしての内輪21及び外輪22の寸法を算出する。
【0024】
図4(a)は、被処理品Wとしての内輪21を第1のカメラ41aによって撮影した平面画像を示している。図4(b)は、内輪21を第2のカメラ41bによって撮影した正面画像を示している。なお、内輪21は、内側軌道面25の小径側が上位となるように載置台42a(図2参照)上に載置されるものとする。画像処理部51は、平面画像を解析することによって、内輪21の内径と外径とを算出する。また、画像処理部51は、正面画像を解析することによって、内輪21の幅(高さ)と内側軌道面25のテーパ角度(傾斜角度)とを算出する。
【0025】
図5(a)は、被処理品Wとしての外輪22を第1のカメラ41aによって撮影した平面画像を示している。図5(b)は、同外輪22を第2のカメラ41bによって撮影した正面画像を示している。なお、外輪22は、外側軌道面26の小径側が上位となるように載置台42a(図2参照)上に載置されるものとする。画像処理部51は、平面画像を解析することによって、外輪22の内径と外径とを算出する。また、画像処理部51は、正面画像を解析することによって、外輪22の幅(高さ)を算出する。
【0026】
被処理品Wの内径、外径、幅、及びテーパ角度を算出するために、従来公知の画像解析方法を用いることができる。例えば、画像処理部51は、画像中のピクセルの濃度差等に基づいて被処理品Wの輪郭線を抽出し、画像中の被処理品Wの領域を特定する。そして、画像処理部51は、特定された被処理品Wの領域を対象として、その内径、外径、幅、及びテーパ角度に相当する寸法を算出する。したがって、被処理品Wの寸法の計測は、カメラ41a,41bと制御装置32(画像処理部51)とが一体となって実施され、これらが本発明の「計測部」を構成することになる。
【0027】
図1に示すように、制御装置32の取得部52は、記憶部56と照合部57とを備えている。記憶部56には、熱処理条件を選択するために用いられるデータベースが記憶されている。図6に示すように、データベースDBは、被処理品Wの型番、寸法(外径、内径、幅、テーパ角度)、及び重量と、被処理品Wの熱処理条件とが対応付けられた状態で登録されており、本発明の「対応情報」を構成している。熱処理条件は、熱処理の温度や時間等の条件の組合せが番号(熱処理条件No.)で表現された状態でデータベースDBに登録されている。
【0028】
なお、図6に示すデータベースDBにおいて、上側の2つ(型番1234,1235)には内輪21の情報が登録され、下側の2つ(型番2234,2235)には外輪22の情報が登録されている。内輪21の情報には、テーパ角度の項目に数値が登録されているが、外輪22の情報には、テーパ角度の項目に数値が登録されていない。外輪22は、図5(b)に示すように、第2のカメラ41bによる正面画像から外側軌道面26を認識することができず、よってテーパ角を計測することができないからである。
【0029】
図1に示すように、制御装置32の照合部57は、カメラ41a,41b及び画像処理部51によって計測された被処理品Wの寸法と、重量計42によって計測された被処理品Wの重量とを、記憶部56に記憶されたデータベースDBと照合する。そして、被処理品Wの寸法及び重量と合致する型番を探索し、当該型番の熱処理条件を取得する。かかる処理の詳細については、図7を参照して後述する。
【0030】
制御装置32の報知部53は、取得部52において熱処理条件を取得できなかった場合に、その旨をオペレータに報知する。熱処理条件を取得できない例として、計測された性状データがデータベースDBに登録されていない場合や、被処理品Wを識別するのに必要な全ての性状データが取得できなかった場合等が考えられる。報知部53は、例えば、表示装置33に熱処理条件を取得できなかった旨の表示を行うことによってオペレータに報知することができる。また、報知部53は、音又は光等を通じてオペレータに報知してもよい。
【0031】
制御装置32の設定部54は、取得部52において取得された熱処理条件を熱処理装置11に対して自動で設定するものである。設定部54は、取得された熱処理条件についての情報を熱処理装置11に送信すると共に、条件変更を行う旨の指示を与える。熱処理装置11は、設定部54からの指示に従って熱処理条件を変更する。
【0032】
次に、図7のフローチャートを参照して熱処理条件取得装置10の動作手順を説明する。
図2に示すように、被処理品Wは、ケースKに収容された状態で、製造ラインに設置された熱処理装置11に搬送される。熱処理装置11のオペレータは、ケースKから被処理品Wを一つ取り出して載置台42aに載せ、計測装置31による計測を開始させる(図7のステップS1)。カメラ41a,41bによって取得された被処理品Wの画像と、重量計42によって計測された被処理品Wの重量とは、それぞれ制御装置32に入力される。制御装置32は、入力された被処理品Wの画像に基づいて被処理品Wの内径や外径等の寸法を算出する。
【0033】
次いで、制御装置32は、計測された被処理品Wの寸法及び重量を、データベースDBと照合する(図7のステップS2)。このとき、制御装置32は、計測された被処理品Wの寸法及び重量の性状データがデータベースDBに登録されているか否かを判断する(ステップS3)。性状データが登録されていない場合、その被処理品Wの型番自体が登録されていないと考えられるので、制御装置32は、表示装置33に「型番が登録されていません。」という警報を表示させる(ステップS9)。
【0034】
その後、制御装置32は、再計測を実施するか否かを確認するための通報を表示装置33に表示させる(ステップS11)。オペレータが、前記通報に応じて再計測を実施する旨又は実施しない旨の入力を行うと、制御装置32は、その入力の内容を判断し(ステップS12)、再計測を実施する場合にはステップS1に処理を戻し、再計測を実施しない場合には、処理を終了する。
【0035】
ステップS3において、制御装置32が、計測された被処理品Wの寸法及び重量の性状データがデータベースDBに登録されていると判断した場合、処理をステップS4に進める。ステップS4において、制御装置32は、被処理品Wを識別するために必要な性状データに不足がないか否かを判断する。性状データに不足があると判断した場合、制御装置32は、表示装置33に「必要データが不足しています。」という警報を表示させる(ステップS10)。
【0036】
その後、制御装置32は、上記と同様にステップS11及びS12の処理を実行する。
ステップS4において、制御装置32は、被処理品Wを特定するために必要なデータに不足がないと判断した場合、被処理品Wに対応する熱処理条件をデータベースDBから選択する(ステップS5)。次いで、制御装置32は、熱処理条件の変更を実施するか否かを確認するための通報を表示装置33に表示させる(ステップS6)。取得された熱処理条件が、その時点で熱処理装置11に設定されている熱処理条件と同一である場合、熱処理条件を変更する必要が無いので、オペレータは熱処理条件を変更しない旨の入力を行い、取得された熱処理条件が、その時点で熱処理装置に設定されている熱処理条件と異なる場合には、オペレータは熱処理条件を変更する旨の入力を行う。
【0037】
制御装置32は、ステップS7において、オペレータによる入力の内容を判断し、熱処理条件の変更を実施する場合には、ステップS8に処理を進め、実施しない場合には処理を終了する。
ステップS8において、制御装置32は、熱処理装置11に対して熱処理条件と、熱処理条件を変更する旨の指示を送信する。熱処理装置11は、制御装置32からの指示に基づいて熱処理条件を変更した上で、熱処理を実施する。
【0038】
以上、本実施形態の熱処理条件取得装置10においては、計測装置31のカメラ41a,41bによって撮像した画像を用いて被処理品Wの寸法を計測し、計測装置31の重量計42によって重量を計測し、これらの複数の被処理品Wの性状データに基づいて、被処理品Wに対応する熱処理条件を取得している。したがって、従来のように、オペレータ自身が被処理品Wの型番の照合を行わなくてもよく、人為的な照合ミスを防止することができる。
【0039】
また、被処理品Wの熱処理条件を取得するために複数の性状データを用いているので、より正確に被処理品Wを識別することができる。
被処理品Wが内輪21である場合には、その画像から内側軌道面25の形状(テーパ角)を求めることができ、形状についてより多くの性状データを取得することが可能である。しかし、被処理品Wが外輪22である場合には、その画像から外側軌道面26の形状を取得することができず、内輪21と比較して取得可能な形状についての性状データが少なくなる。この点において、本実施形態では、性状データとして、被処理品Wの形状についての性状データだけでなく、形状に直接依存せずに取得できる重量をも採用しているので、外輪22のような被処理品Wであっても可及的に多くの性状データを取得することができる。
【0040】
本実施形態においては、計測された性状データから熱処理条件を取得できない場合、例えば、性状データが不足している場合や性状データがデータベースDBに登録されていない場合には、表示装置33に警報が表示されるので、オペレータは、熱処理条件の取得に失敗したことを迅速に把握することができ、再計測等の措置を講じることができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、計測装置を構成するカメラは、2台に限らず3台以上備えられていてもよい。カメラの台数が多くなるほど、被処理品の形状についての性状データを詳細に取得することができ、被処理品の識別性を高めることができる。ただし、カメラの台数が多くなるほど画像処理の手順が増大し、製品コストも増大するため、必要最小限の台数とすることが好ましい。本実施形態のように、円環状に形成された被処理品の場合、軸方向と径方向との2方向から被処理品を撮影することによって識別に必要な寸法を取得することができる。もっとも、カメラによって被処理品を撮影する方向、載置台上の被処理品の向き等についても上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0042】
本発明の計測部は、被処理品の寸法や重量に限らず、他の性状データを計測するものであってもよい。例えば、カメラによって撮像された画像データから被処理品の全体形状を認識し、制御装置に記憶された被処理品の形状データと照合し、両者の類似度に基づいて被処理品を識別してもよい。また、性状データは、被処理品の体積であってもよい。体積は、例えば、被処理品を液体に投入したときの液体の増量によって計測することができる。
【0043】
また、本発明の計測部は、カメラ以外の計測装置を用いて被処理品の寸法を計測してもよい。例えば、被処理品に対して投光器から光を当て、受光器が受光した領域に基づいて被処理品の形状を特定し、その寸法を計測してもよい。
ただし、上記実施形態のように、カメラと重量計とを用いて被処理品の寸法と重量とを計測することによって、より簡単で安価な装置構成により性状データを計測することが可能となる。
【0044】
データベースに登録される被処理品の寸法や重量は、特定の値であってもよいし、ある程度の範囲を有する値であってもよい。
また、上記実施形態では、被処理品の複数の性状データと熱処理条件とを対応付けた状態でデータベースに登録し、計測された性状データをデータベースと照合することによって熱処理条件を取得していたが、これに限定されるものではなく、性状データと熱処理条件との関係を示す演算式、図、マップ等を用いて熱処理条件を取得してもよい。
【0045】
本発明の熱処理条件取得装置は、円すいころ軸受に限らず、玉軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受等のあらゆる転がり軸受の内輪及び外輪を被処理品として熱処理条件を取得することができる。また、熱処理条件取得装置は、転がり軸受の内輪及び外輪以外の被処理品にも適用することができる。例えば、車両のハブユニットやステアリング装置の構成部品の熱処理のためにも用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
10:熱処理条件取得装置,11:熱処理装置,20:転がり軸受,21:内輪,22:外輪,31:計測装置,32:制御装置,52:取得部,53:報知部,54:設定部,56:記憶部,57:照合部,W:被処理品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8