特開2016-223010(P2016-223010A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223010(P2016-223010A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】印刷層のめっき方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/00 20060101AFI20161205BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20161205BHJP
   C25D 5/12 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   C23C28/00 A
   C25D7/00 T
   C25D5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-101290(P2016-101290)
(22)【出願日】2016年5月20日
(31)【優先権主張番号】104117885
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】TW
(31)【優先権主張番号】104124314
(32)【優先日】2015年7月28日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516150028
【氏名又は名称】合謚實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】黄紀超
【テーマコード(参考)】
4K024
4K044
【Fターム(参考)】
4K024AA03
4K024AB01
4K024BA01
4K024BA11
4K024BB28
4K024GA11
4K044AA01
4K044AA11
4K044AB02
4K044BA06
4K044BA08
4K044BA21
4K044BB03
4K044BB11
4K044BC09
4K044CA18
4K044CA53
4K044CA62
(57)【要約】
【課題】印刷層のめっき方法を提供する。
【解決手段】本発明の印刷層のめっき方法は、被めっき物の文字またはパターンの設定領域には、導電物質或いは導電物質に金属粒子が混合されて文字またはパターン印刷層が印刷される、或いは選択的に印刷層に置換物が更に浸漬される工程と、導電物質により印刷される文字またはパターン印刷層及び被めっき物の表層には、めっきによりめっき層が形成される工程とを含む。被めっき物に導電物質により文字またはパターン印刷層が直接印刷された後にめっきが施され、印刷めっき加工工程全体がより高速で利便になり、同時に文字またはパターン印刷層のめっき表面に特殊な剥落を防止させる立体霧状印刷、立体ダイヤモンド装飾表面印刷の文字またはパターンが形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属或いは非金属素材の被めっき物が提供される工程と、
前記被めっき物の表層の設定領域には、導電物質により前記設定領域に必要な導電物質の文字またはパターン印刷層が印刷される工程と、
前記導電物質により印刷される文字またはパターン印刷層及び被めっき物の表層には、めっきによりめっき層が形成される工程とを含むことを特徴とする印刷層のめっき方法。
【請求項2】
前記導電物質は導電性塗料であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項3】
前記導電物質は蛍光塗料であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項4】
前記導電性塗料は銀導電性塗料であることを特徴とする、請求項2に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項5】
前記導電性塗料は銅導電性塗料であることを特徴とする、請求項2に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項6】
前記導電性塗料はニッケル導電性塗料であることを特徴とする、請求項2に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項7】
前記被めっき物の表層には、更に金属めっき層が予め設けられてめっき保護層となることを特徴とする、請求項1に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項8】
前記めっき保護層は半光沢ニッケル金属めっき層であることを特徴とする、請求項7に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項9】
被めっき物が提供される工程と、
前記被めっき物の表層の設定領域には、導電物質に金属粒子が混合されて前記設定領域に必要な文字またはパターン印刷層が印刷される工程と、
前記導電物質に金属粒子が混合されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層の表面及び被めっき物の表層には、めっきよりめっき層が形成される工程とを含むことを特徴とする印刷層のめっき方法
【請求項10】
前記導電物質は導電性塗料であることを特徴とする、請求項9に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項11】
前記導電物質に金属粒子が混合されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層は、更に置換物が予め浸漬されることを特徴とする、請求項9に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項12】
前記被めっき物の表層には、更に金属めっき層が予め設けられてめっき保護層となることを特徴とする、請求項9に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項13】
前記めっき保護層は半光沢ニッケル金属めっき層であることを特徴とする、請求項12に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項14】
前記導電性塗料は導電性カーボンであることを特徴とする、請求項10に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項15】
被めっき物が提供される工程と、
前記被めっき物の表層の設定領域には、導電物質に導電粒子が混合されて前記設定領域に必要な文字またはパターン印刷層が印刷される工程と、
前記導電物質に導電粒子が混合されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層の表面及び被めっき物の表層には、めっきによりめっき層が形成される工程と、を含むことを特徴とする印刷層のめっき方法。
【請求項16】
前記導電物質は導電性塗料であることを特徴とする、請求項15に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項17】
前記導電性塗料は導電性カーボンであることを特徴とする、請求項16に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項18】
前記被めっき物の表層には、更に金属めっき層が予め設けられてめっき保護層となることを特徴とする、請求項15に記載の印刷層のめっき方法。
【請求項19】
前記めっき保護層は半光沢ニッケル金属めっき層であることを特徴とする、請求項18に記載の印刷層のめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本案は2015年06月03日に提出した出願第104117885号の「印刷層のめっき方法」及び2015年07月28日に提出した出願第104124314号の「印刷層のめっき方法」の出願案の出願日を台湾における優先日と主張する。本発明は、印刷層のめっき方法に関し、より詳しくは、被めっき物の表面に導電物質により必要な文字またはパターン印刷層が直接印刷され、且つめっきにより特殊な突出するめっき層の文字またはパターンが形成され、また、文字またはパターン印刷層にダイヤモンドチップ等で装飾された表面が形成され、前記印刷層の剥離或いは脱離が有効的に防止される印刷層のめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属物にめっき加工が施されて製品の表面が美化されることは、常用される工業技術手段である。めっき後には表面が単一の金属色のみになるため、一部の製品の表面加工の需要を満たせなかった。美観や必要な広告効果を高めるため、製品のめっき層に文字やパターンが印刷されるが、工場内での製造作業中に、製品のめっき層の表面に後続の印刷プロセスを実行することが多い。
【0003】
従来の印刷めっき方法は、金属素材の表面にまずめっきが施された後、インク印刷が施され、形成される印刷層はめっき層の表面に浮き彫りにされる形式を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の印刷めっき方法の技術では、文字またはパターンが形成される印刷層は製品の表面に浮き彫りにされるが、この種の印刷層は僅かな異物や硬い物に擦られるのみで、印刷層がすぐに脱落したり損傷してしまい、本来予期していた製品の表面の印刷効果に甚大な影響が及んだ。なお、先に金属素材にインク印刷を行った後にめっきを施す方法では、金属素材の表面を先に洗浄する必要があるが、その後に印刷を施すまでの間に金属素材が酸化してしまい、これを一般的な製造プロセスにおいて作業員が肉眼で判別するのは困難であり、めっきが施された後に、製品の不良率が非常に高くなった。防蝕或いは抗酸化剤による処理が施されても、めっき過程中で、印刷されたインクが脱落したり、製品にめっきの不良等の問題が発生した。
【0005】
このほか、上述の従来の印刷めっき方法或いは他の改良された印刷めっきプロセスを使用すると、印刷層が損傷したり脱落しやすい上、プロセスが煩雑になり不良品が多くなるという欠点以外にも、表現される文字またはパターンが単調であるという欠点も存在する。
【0006】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明は、印刷層のめっき方法を提供することを主目的とする。文字またはパターン印刷層の脱落を防止させる保護作用を有し、印刷めっきの製造プロセスもより高速で便利になる。
【0008】
本発明の他の目的は、印刷層のめっき方法を提供することにあり、めっきが完成した後、文字またはパターン印刷層に現在の印刷めっきの浮彫の立体効果とは異なる効果を形成させる。
【0009】
本発明のさらなる他の目的は、印刷層のめっき方法を提供することにあり、文字またはパターン印刷層にダイヤモンドチップ装飾面等の剥落を防止させる印刷層が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る印刷層のめっき方法は、
金属或いは非金属素材の被めっき物が提供される工程と、前記被めっき物の表層の設定領域には、導電物質により前記設定領域に必要な導電物質の文字またはパターン印刷層が印刷される工程と、前記導電物質により印刷される文字またはパターン印刷層及び被めっき物の表層には、めっきによりめっき層が形成される工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
被めっき物が導電物質により文字またはパターン印刷層が直接印刷された後にめっきが施され、印刷めっき加工プロセス全体がより高速で利便になり、且つ文字またはパターン印刷層のめっき表面には立体霧状の突起される文字またはパターンが形成される。また、前記被めっき物の表層には、更に選択的に金属めっき層が予め設けられてめっき保護層となる。前記めっき保護層は、好ましくは、半光沢ニッケル金属めっき層等であり、被めっき物の表面がより安定して平滑になる。
【0012】
好ましい実施態様において、前記導電物質は導電性塗料或いは蛍光塗料である。導電性塗料は製造の需要に応じて銀導電性塗料、銅導電性塗料、ニッケル導電性塗料または導電性カーボンから選択される。
【0013】
他の実施形態において、本発明に係る印刷層のめっき方法は、
被めっき物が提供される工程と、前記被めっき物の表層の設定領域には、導電物質に金属粒子が混合されて前記設定領域に必要な文字またはパターン印刷層が印刷される工程と、前記導電物質に金属粒子が混合されるか、或いは金属粒子や導電粒子が粘着されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層の表面及び被めっき物の表層には、めっきよりめっき層が形成される工程とを含む。
【0014】
さらなる他の実施形態において、前記以導電物質に金属粒子が混合されるか、金属粒子が粘着されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層の表面には、選択的に更に置換物が予め浸漬される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態による印刷層のめっき方法を示す製造プロセスの概略図である。
図2図1に示す実物を示す製造プロセスの概略図である。
図3図1に示す印刷導電物質プロセスを示す概略図である。
図4図3の後のめっきプロセスを示す概略図である。
図5】本発明の完成品を示す概略図である。
図6図5に示す一部を示す拡大図である。
図7】本発明の他の実施形態による印刷層のめっき方法を示す製造プロセスの概略図である。
図8図7に示す実物の製造プロセスを示す概略図である。
図9図7に示す完成品を示す概略図である。
図10図9Aに示す一部を示す拡大図である。
図11】本発明の他の実施形態による印刷層のめっき方法を示す製造プロセスの概略図である。
図12図11に示す実物の製造プロセスを示す概略図である。
図13】本発明のさらなる他の実施形態による印刷層のめっき方法を示す製造プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0017】
(第1実施形態)
本発明の製造工程は(図1及び図2参照)、金属或いは非金属素材の被めっき物10が提供される工程と、前記被めっき物10の表層の設定領域には、導電物質により前記設定領域に必要な導電物質の文字またはパターン印刷層20が印刷される工程と、前記導電物質により印刷される必要な文字またはパターン印刷層20及び被めっき物10の表層には、めっきによりめっき層30が形成される工程とを含む。
【0018】
前記導電物質は導電性塗料等の導電材料や蛍光塗料であり、導電性塗料を例にすると、銀粒子粉末を含有する導電性塗料(銀導電性塗料)、銅粒子粉末を含有する導電性塗料(銅導電性塗料)、ニッケル粒子粉末を含有する導電性塗料(ニッケル導電性塗料)、或いは導電性カーボンを導電材料とする。銅導電性塗料はコスト上、銀導電性塗料が経済的であり、ニッケル導電性塗料が優良な導電性質を有する。導電物質は、製造される文字またはパターンの違いに合わせて選択される。
【0019】
図3及び図4に示すように、本発明は被めっき物10の表層の設定領域に導電物質により必要な文字またはパターン印刷層20が直接印刷され、その後に、前記文字またはパターン印刷層20及び被めっき物10の表層にめっきが施されてめっき層30が形成される。前記めっき層30は被めっき物10の表層に対してめっきが施される以外、同時に被めっき物10の表層に保護めっき層30が形成される。
【0020】
上述の銀導電性塗料、銅導電性塗料或いはニッケル導電性塗料等の金属粒子粉末を含有する導電物質を使用して文字またはパターン印刷層20とする場合、前記文字またはパターン印刷層20の表面に直接めっきが施された後、前記文字またはパターン印刷層20の領域のめっき面表層31に立体霧状の僅かに浮き上がる文字パターン表面が現れ、現在のめっき印刷効果とは異なる(図5及び図6参照)。また、前記実施形態では、前記被めっき物10の表層には、更に図13に示すように、金属めっき層が予め設けられてめっき保護層101となる。前記めっき保護層101は、最も好ましくは、半光沢ニッケル金属めっき層が使用され、被めっき物10の表面がより安定して平滑になる。
【0021】
他の実施形態において、本発明の製造工程は(図7及び図8参照)、金属或いは非金属素材の被めっき物100が提供される工程と、前記被めっき物100の表層の設定領域に導電物質201に金属粒子202が混合されるか、金属粒子或いは他の導電粒子が粘着されて、前記設定領域に必要な文字またはパターン印刷層200が印刷される工程と、前記以導電物質201に金属粒子202が混合されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層200の表面及び被めっき物100の表層には、めっきによりめっき層300が形成される。
【0022】
この実施形態において、図9及び図10に示すように、導電物質201に金属粒子202が混合されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層200は、製品になっためっき面表層310にはダイヤモンドチップを含有する等の装飾効果が現れる。同様に、本実施形態では、前記被めっき物100の表層には、更に金属めっき層が予め設けられてめっき保護層となる。前記めっき保護層は、最も好ましくは、同様に半光沢ニッケル金属めっき層であり、被めっき物100の表面がより安定して平滑になる。
【0023】
さらなる他の実施形態において、図11及び図12に示すように、選択的に、導電物質201に金属粒子202が混合されて印刷される必要な文字またはパターン印刷層200には、置換物90が予め浸漬され、めっきプロセスでの固定付着能力がより高まり、剥離や脱離現象の発生を有効的に防止させる。
【0024】
上述したように、本発明の以上のプロセスには、以下の長所を少なくとも有する。
(1)導電物質により文字パターンが直接印刷され、印刷層を含有するめっき製品の製造プロセス全体がより高速で利便になる。
(2)文字またはパターン印刷層20は表面に保護めっき層30を含み、文字またはパターン印刷層20が異物や硬い物に擦れて脱落して変形しないように保護され、より長く使用できるようになる。
(3)文字またはパターン印刷層20は外観上、完全に異なる特殊な立体霧状浮彫効果が形成される。
(4)剥落を防止させるより強固なダイヤモンド装飾効果の文字またはパターン印刷層が形成される。
【0025】
従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0026】
10、100 被めっき物
101 めっき保護層
20、200 文字またはパターン印刷層
30、300 めっき層
31、310 めっき面表層
90 置換物
201 導電物質
202 金属粒子
S1,S2,S3,S10,S20,S25,S30,S100、S101,S102,S103 工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13