【実施例1】
【0013】
図1乃至6を参照して、本発明の実施例1による開度調整機構について説明する。
図1は、本実施例による開度調整機構1を備えた車両用ドアDを示す。車両用ドアDはヒンジHを介して不図示の車体に回動可能に接続されている。車両用ドアDには、ドアDと車体との間に配設されたドアチェック機構を備える開度調整機構1が設けられている。開度調整機構1は、ユーザの操作に応じてドアDの開度を制限することができる。また、車両用ドアDには、インナハンドル2や不図示のウィンドウ操作部、アームレスト等の他の部材を設けることができる。
【0014】
図2は、開度調整機構1を示す。
図2において、説明の簡略化のためドアDや車体を省略している。開度調整機構1には、ドアDの開度を制限するための開度調整装置10及び開度調整装置10の操作装置20が設けられており、操作装置20は接続部材21を介して開度調整装置10に接続されている。
【0015】
開度調整装置10には、ドアチェック11、チェックリンク12、チェックストッパ部13、ブラケット14、開度調整ブロック15、付勢部材16及びブロックケース17が設けられている。
【0016】
ドアチェック11は
図1に示すように、不図示のナットなどの固定部材等を介してブロックケース17と共にドアDに取り付けられ、チェックリンク12がドアチェック11を介してドアDの内部に延在するように配置されている。
【0017】
チェックリンク12は、車体に結合されたブラケット14を介して、一端部が車体に対して回動可能に取り付けられている。また、チェックリンク12は、ドアチェック11を通ってドアDの内部に延在する。ドアDの内部に延在するチェックリンク12の他端部にはチェックストッパ部13が設けられている。
【0018】
チェックリンク12は、ドアDの回動にともなって車体に対して回動する。ドアDが開閉される際には、ドアDの回動に基づいてドアDが車体に対して離れる方向又は近づく方向に移動する。そのため、車体に取り付けられたチェックリンク12は、ドアDの回動に基づいて回動するとともに、ドアDが開かれる際には車体から離れる方向に移動するドアDの内部から引き出される。また、ドアDが閉じられる際には、チェックリンク12は、車体に近づく方向に移動するドアDの内部に挿入される。これにより、チェックリンク12は、ドアDが回動する際に、ドアDに取り付けられたドアチェック11に対して相対的にチェックリンク12の長さ方向に移動することができる。
【0019】
また、ドアDが開かれる際には、ドアDの回動に伴ってチェックリンク12がドアDから引き出され、ドアチェック11に対しチェックリンク12の車体に取り付けられた一端部側へ移動する。チェックリンク12が車体に取り付けられた一端部側へ移動することにより、チェックストッパ部13がドアチェック11に向かって移動する。チェックストッパ部13がドアチェック11に当接すると、チェックリンク12の当該一端部側への移動が制限され、それ以上チェックリンク12がドアDから引き出されることが制限される。チェックリンク12の移動、すなわち回動が制限されると、ドアDの回動も制限されるため、チェックリンク12の移動の制限に基づいてドアDの開度が制限される。ここで、チェックストッパ部13がドアチェック11に当接する際のドアDの開度が、ドアDの全開開度となる。
【0020】
開度調整ブロック15には、
図2に示すように、ドアチェック11に当接する第1の当接部151、チェックストッパ部13と当接する第2の当接部152及び第3の当接部153、並びに接続部材21を通す孔部155が設けられている。開度調整ブロック15は、例えばワイヤ、ケーブル及び棒状部材(ロッド)などを含む接続部材21を介して接続される操作装置20の操作に基づいて、上下方向に摺動することができる。第2及び第3の当接部152,153は、
図2に示すように、第1の当接部151からそれぞれ所定の距離L1及びL2を有するように形成されている。本実施例では、第1の当接部151及び第2の当接部152間の距離L1が、第1の当接部151及び第3の当接部153間の距離L2よりも長くなるように、開度調整ブロック15が形成されている。
【0021】
開度調整ブロック15は、
図2に示すように、チェックリンク12の上方に配置されている。開度調整ブロック15は、接続部材21を介して操作装置20に接続されており、ユーザが操作装置20を操作することに基づいて上下方向に移動する。ここで、開度調整ブロック15がユーザの操作に従って、例えば、ドアチェック11とチェックストッパ部13との間において第2の当接部152がチェックストッパ部13と対向する位置に移動する。この場合、ドアDが開かれてチェックリンク12が車体に取り付けられた一端部側へ移動すると、開度調整ブロック15が、ドアチェック11及びチェックストッパ部13との間に挟まれ、チェックリンク12の車体に取り付けられた一端部側への移動を制限する。
【0022】
上記のように、チェックリンク12の移動が制限されるとドアDの回動も制限されるため、開度調整ブロック15は、ドアチェック11とチェックストッパ部13とに挟まれる距離、すなわち第1の当接部151及び第2の当接部152間の距離L1に応じてドアDの開度を制限することができる。なお、開度調整ブロック15はチェックリンク12の車体に取り付けられた一端部側へのチェックリンク12の移動を制限するため、開度調整ブロック15によるドアDの開度の制限は、ドアDが開く方向へのドアの回動のみを制限する。そのため、開度調整ブロック15によるドアDの開度制限では、設定されたドアDの開度以上にドアDが開くことのみを防止し、ドアDの全閉開度から当該設定されたドアDの開度までの間では、ユーザはドアDを自由に回動させることができる。
【0023】
なお、開度調整ブロック15がユーザの操作に従って、第3の当接部153がチェックストッパ部13と対向する位置に移動させることもできる。この場合には、開度調整ブロック15は、ドアDの開度を第1の当接部151及び第3の当接部153間の距離L2に応じて制限することができる。
【0024】
また、付勢部材16は、例えばバネやゴム等を用いて構成され、開度調整ブロック15とブロックケース17との間に配置される。付勢部材16は、開度調整ブロック15をチェックリンク12に向かう方向(本実施例では下方向)、すなわち、ドアチェック11とチェックストッパ部13の間の位置に向かう方向に付勢する。そのため、付勢部材16は、開度調整ブロック15がドアチェック11とチェックストッパ部13の間の位置に配置される際には、開度調整ブロック15が当該位置から動かないように開度調整ブロック15を付勢することができる。そのため、付勢部材16は、車両走行時の振動などに起因する開度調整ブロック15のガタつき等を抑制することができる。
【0025】
ブロックケース17は、ドアチェック11と共に不図示のナットなどの固定部材等を用いてドアDに固定されており、ドアチェック11と、開度調整ブロック15と、付勢部材16とを内部に含むことができる。また、ブロックケース17には開度調整ブロック15に接続される接続部材21を通すための穴171が設けられている。
【0026】
ブロックケース17は、ドアチェック11と開度調整ブロック15とを内包することにより、ドアチェック11と開度調整ブロック15の相対位置のずれを抑制することができる。すなわち、ブロックケース17は、開度調整ブロック15が上下方向に移動する際のドアチェック11に対する位置ずれを抑制することができる。また、開度調整ブロック15及びブロックケース17に、それぞれ不図示の溝及び突出部のいずれか一方を設けて、開度調整ブロック15の上下方向の移動をガイドするガイド部を構成してもよい。なお、本実施例では、ブロックケース17はドアチェック11と共にドアDに固定されているが、ブロックケース17の構成はこれに限られない。例えば、ブロックケース17はドアチェック11とは別々にドアDに固定されてもよい。また、ブロックケース17はドアチェック11と一体的に形成されてもよい。
【0027】
操作装置20には、開度調整装置10の開度調整ブロック15に接続される接続部材21と、接続部材21が接続されたレバー22(移動部材)とが設けられている。また、操作装置20には、さらに、レバー22を所定の方向に付勢するレバー付勢部(付勢部)23と、レバー22を所定の位置で保持するレバー保持部(移動部材保持部)24と、基台25とが設けられている。
【0028】
接続部材21は、例えばワイヤ、ケーブル及び棒状部材(ロッド)などを含む任意の部材によって形成されることができ、一方の端部で開度調整装置10の開度調整ブロック15に接続されている。また、接続部材21は、任意の接続部材支持部211,212によって支持されるとともに延在方向を方向付けられ、他方の端部でレバー22の接続部221に接続される。なお、接続部材支持部は開度調整装置10及び操作装置20の配置に応じて、任意の数だけ設けて、接続部材21の延在方向を任意の方向に方向付けることができる。接続部材支持部211,212はドアD又はドアDに結合される部材、例えば基台25等に固定されることができる。また、接続部材支持部211,212を設けず、開度調整ブロック15及びレバー22を接続部材21によって直接接続することもできる。さらに、任意のアーム部材をレバー22に接続し、接続部材21を任意のアーム部材を介してレバー22に接続することもできる。接続部材21は、レバー22及び開度調整ブロック15に接続されるため、レバー22の移動にともなって移動して開度調整ブロック15を移動させることができる。そのため、開度調整ブロック15は、レバー22の移動にともなう接続部材21の移動に基づいて、ドアチェック11とチェックストッパ部13との間に向かって又は当該間から移動し、ドアDの開度を調整することができる。
【0029】
レバー22には、接続部材21に接続された接続部221と、回転中心点を通る回転軸222と、つまみ(操作部)223とが設けられている。レバー22は回転軸222を中心として回転することができ、回転軸222は基台25に接続されている。また、レバー22は、回転軸222の軸方向において所定の角度まで移動する、傾く又はたわむことができるように構成されている。レバー22は、回転軸222と一体的に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。なお、接続部221は、つまみ223の近隣に設けられているが、接続部221が設けられる部位はこれに限られず、レバー22の移動に伴って移動する部位であれば、レバー22の任意の位置に設けることができる。また、本実施例では接続部221は孔部の態様で記載しているが、接続部の態様はこれに限られず、接続部材21が接続されることができる部位であればよい。例えば、接続部は接続部材21が接続される突出部等であってもよい。
【0030】
つまみ223は、接続部221の一端部に設けられており、ユーザはつまみ223を移動させることで、回転軸222を中心としてレバー22を回転させることができる。なお、つまみ223はレバー22と一体的に形成されてもよいし、別部材として形成されレバー22に接続されてもよい。また、本実施例では、つまみ223は回転軸222が設けられている端部とは反対の端部に設けられているが、つまみ223が設けられるレバー22の部位はこれに限られず、レバー22の任意の位置に設けられることができる。例えば、つまみは、接続部221が設けられている部位に設けられてもよいし、接続部221と回転軸222との間の部位に設けられてもよい。また、レバーと回転軸が一体的に形成される場合には、つまみを回転軸に設けてもよく、この場合には、ユーザはつまみを回転させることで回転軸を回転させてレバーを回転させることができる。
【0031】
レバー付勢部23は、バネやゴム等を含む任意の弾性部材を用いて構成されることができる。また、レバー22自体が板バネ等で構成されるものであってもよい。レバー付勢部23は、回転軸222と同軸上に設けられ、レバー22に対して回転軸222の軸方向においてレバー保持部24に向かう方向に外力を印加する。このため、レバー22は、反対方向の外力が印加されない限り、レバー付勢部23からの外力に基づいて、回転軸222の軸方向においてレバー保持部24に押し付けられて当接する。ここで、レバー22は、回転軸222の軸方向に対して所定の角度まで傾くことができるため、レバー22にレバー付勢部23からの外力と逆の方向の外力が加えられる場合、レバー22はレバー保持部24から離れる方向に傾くことができる。なお、当該逆の方向の外力がレバー22に印加されなくなると、レバー付勢部23からの外力によってレバー22は再びレバー保持部24に当接する。
【0032】
レバー保持部24は基台25に接続されており、レバー保持部24には、レバー22の回転軸222の軸方向に延在し、レバー22を受け入れるための第1の凹部241、第2の凹部242及び第3の凹部243が設けられている。レバー付勢部23は、レバー22をレバー保持部24に向かう方向に付勢しているため、各凹部241,242,243の位置において、レバー22を各凹部241,242,243に押し込むことができる。レバー22が各凹部241,242,243内に位置する場合には、レバー22の回転軸222の軸方向に延在する凹部の壁が、レバー22に当接しレバー22の回転を規制することができる。
【0033】
レバー22は上記のようにレバー保持部24から離れる方向に傾く際には、レバー保持部24の凹部241,242,243から抜け出す程度まで傾くことができる。そのため、ユーザはつまみ223を操作し、レバー22を回転軸222の軸方向においてレバー保持部24から離れる方向に傾けながら回転軸222を中心として回転させることで、レバー22を所望の凹部241,242,243の位置まで移動させることができる。ここで、凹部241,242,243内にレバー22が存在する場合には、レバー22に接続された接続部材21を介して、開度調整ブロック15がドアDの開度を規制する各動作位置に配置される。すなわち、各凹部241,242,243の位置は、開度調整ブロック15がドアDの開度を規制する各動作位置に対応する。従って、各凹部241,242,243の位置までレバー22が移動した際には、接続部材21を介して開度調整装置10が凹部241,242,243の位置に応じた各動作位置まで移動する。このため、凹部241,242,243においてレバー22を保持することで、開度調整ブロック15を備える開度調整装置10を各動作位置で保持することができる。
【0034】
基台25は、ボルトなどの任意の固定部材を介してドアDに結合されている。基台25には、レバー22の移動を制限するレバー制限部251が形成されている。レバー制限部251はレバー22を囲うように形成されており、レバー22がレバー制限部251に当接する位置でレバー22の移動及び傾きを制限し、レバー22の可動範囲を規定することができる。なお、レバー保持部24等でレバー22の可動範囲を規定することができる場合などにはレバー制限部251を設けなくてもよい。
【0035】
次に、
図3A乃至Dを参照して、ドアDの開度を制限する開度調整装置10の動作を説明する。
図3AはドアDの開度を設定する前の開度調整装置10を示す側面図である。
図3Bは、ドアDの開度を距離L1に応じた第1の開度に設定した際の開度調整装置10を示す側面図である。
図3Cは、ドアDの開度を距離L2に応じた第2の開度に設定した際の開度調整装置10を示す側面図である。
図3Dは、ドアDの開度を全開開度に設定した際の開度調整装置10を示す側面図である。
図3Dは、
図3Aに示す開度調整装置10において、ドアDが全開開度まで開かれた場合に対応する。なお、
図3A乃至Dにおいて、説明の簡略化のため車体、ブラケット14、付勢部材16、並びにブロックケース17の側部及び上部を省略している。
【0036】
開度調整装置10において、開度調整ブロック15を用いてドアDの開度を制限する際には、
図3Aに示すように、接続部材21を介して開度調整ブロック15を矢印A1で示す上下方向に移動させる。また、チェックリンク12及びチェックストッパ部13は、ドアDの回動に従って矢印A2で示す方向、すなわちチェックリンク12の長手方向に移動する。
【0037】
まず、
図3Bを参照して、ユーザがドアDの開度を第1の開度に制限する際の開度調整装置10の動作を説明する。ユーザがレバー22を移動させ、ドアDの制限される開度を第1の開度に設定すると、接続部材21を介してレバー22に接続される開度調整ブロック15がチェックリンク12に対して移動し、第2の当接部152がチェックストッパ部13に向かい合う位置まで移動する。これにより、開度調整ブロック15は、第1の当接部151がドアチェック11と向かい合い、第2の当接部152がチェックストッパ部13と向かい合う位置、すなわち、ドアチェック11とチェックストッパ部13との間に移動することとなる。なお、本実施例において、ドアDの第1の開度に対応するレバー22の位置は、第1の凹部241の位置に設定されている。
【0038】
開度調整ブロック15が当該位置に移動した後、ドアDが開かれると、ドアDの回動に従ってチェックリンク12及びチェックストッパ部13がチェックリンク12の車体に取り付けられている一端部側へ移動する。チェックストッパ部13は、当該移動に従って第2の当接部152に当接し、開度調整ブロック15をチェックリンク12の車体Bに取り付けられた一端部側へ移動させる。開度調整ブロック15の第1の当接部151は、開度調整ブロック15の当該移動に従って、ドアチェック11に当接する。ドアチェック11はドアDに取り付けられているため、開度調整ブロック15の当該移動を制限する。
【0039】
そのため、開度調整ブロック15は、
図3Bに示すように、ドアチェック11とチェックストッパ部13との間に挟まれることで、チェックリンク12及びチェックストッパ部13のチェックリンク12の車体に取り付けられた一端部側への移動を制限できる。ここで、第2の当接部152は、チェックリンク12の移動方向において、第1の当接部151から所定の距離L1を有する。開度調整ブロック15は、第1の当接部151でドアチェック11に当接し、第2の当接部152でチェックストッパ部13と当接するため、第1の当接部151及び第2の当接部152間の距離L1の分だけチェックリンク12の当該移動を制限する。ここで、ドアDはチェックリンク12の車体Bに取り付けられた一端部側へのチェックリンク12の移動にともなって開くため、開度調整ブロック15は、ドアDの開度を距離L1に応じた第1の開度に制限することができる。
【0040】
次に、
図3Cを参照して、ユーザがドアDの開度を第2の開度に制限する際の開度調整装置10の動作を説明する。ユーザがレバー22を移動させ、ドアDの制限される開度を第2の開度に設定すると、接続部材21を介してレバー22に接続される開度調整ブロック15がチェックリンク12に対して移動し、第3の当接部153がチェックストッパ部13に向かい合う位置まで移動する。開度調整ブロック15が当該位置に移動すると、開度調整ブロック15は、第1の当接部151がドアチェック11と向かい合い、第3の当接部153がチェックストッパ部13と向かい合う位置移動することとなる。すなわち、開度調整ブロック15はドアチェック11とチェックストッパ部13との間に移動することとなる。なお、本実施例において、ドアDの第2の開度に対応するレバー22の位置は、第2の凹部242の位置に設定されている。
【0041】
開度調整ブロック15が当該位置に移動した後、ドアDが開かれると、ドアDの回動に従ってチェックリンク12及びチェックストッパ部13がチェックリンク12の車体に取り付けられている一端部側へ移動する。チェックストッパ部13は、当該移動に従って第3の当接部153に当接し、開度調整ブロック15をチェックリンク12の車体に取り付けられた一端部側へ移動させる。開度調整ブロック15の第1の当接部151は、開度調整ブロック15の当該移動に従って、ドアチェック11に当接する。ドアチェック11はドアDに取り付けられているため、開度調整ブロック15の当該移動を制限する。
【0042】
そのため、開度調整ブロック15は、
図3Cに示すように、ドアチェック11とチェックストッパ部13との間に挟まれることで、チェックリンク12及びチェックストッパ部13のチェックリンク12の車体Bに取り付けられた一端部側への移動を制限することができる。ここで、第3の当接部153は、チェックリンク12の移動方向において、第1の当接部151から所定の距離L2を有する。開度調整ブロック15は、第1の当接部151でドアチェック11に当接し、第3の当接部153でチェックストッパ部13と当接するため、第1の当接部151及び第3の当接部153間の距離L2の分だけチェックリンク12の当該移動を制限する。ここで、ドアDはチェックリンク12の車体Bに取り付けられた一端部側へのチェックリンク12の移動にともなって開くため、開度調整ブロック15は、ドアDの開度を距離L2に応じた第2の開度に制限することができる。
【0043】
なお、上記のように、開度調整ブロック15は、第1の当接部151及び第3の当接部153間の距離L2が、第1の当接部151及び第2の当接部152間の距離L1よりも短くなるように、段差付けて構成されている。そのため、ドアDの開度を第2の開度に設定する場合には、ドアDの開度を第1の開度に設定する場合に比べて、チェックリンク12の制限される移動距離はより短い。すなわち、この場合には、チェックリンク12は車体に取り付けられた一端部側へより長く移動することができるため、ドアDがより広く開くことができる。従って、第1の当接部151からの距離が異なる第2及び第3の当接部152,153を有するように、段階付けて開度調整ブロック15を構成することで、ドアDの開度を段階付けて制限することができる。
【0044】
また、ユーザがレバー22を操作し、ドアDの開度をドアDが全開開度まで開くように設定する場合には、開度調整ブロック15がドアチェック11とチェックストッパ部13とに挟まれない位置まで移動する。この際、ドアDが開かれると、
図3Dに示すように、チェックリンク12及びチェックストッパ部13は、チェックストッパ部13がドアチェック11に当接する位置まで、チェックリンク12の車体に取り付けられた一端部側へ移動する。チェックストッパ部13がドアチェック11に当接する位置までチェックリンク12が移動することができるため、ドアDは全開開度まで開くことができる。なお、本実施例において、ドアDの全開開度に対応するレバー22の位置は、第3の凹部243の位置に設定されている。
【0045】
次に、
図4乃至6を参照して、本実施例による操作装置20について説明する。
図4は本実施例による操作装置20を概略的に示す。
図4において、レバー22は、ドアDの第1の開度に対応する第1の凹部241の位置にあり、当該レバー22の位置を位置P1で示す。また、ドアDの第2の開度に対応する第2の凹部242の位置にあるときのレバー22の位置を位置P2で示す。同様に、ドアDの全開開度に対応する第3の凹部243の位置にあるときのレバー22の位置を位置P3で示す。
図4では、位置P2及びP3にあるときのレバー22を二点鎖線で示す。さらに、
図4において車両前方及び車両後方の方向を示す。
【0046】
上記のように、開度調整装置10がドアDの開度を制限する際には、開度調整ブロック15の位置に基づいて制限すべきドアDの開度が設定される。そのため、ユーザはレバー22を移動させることによって、接続部材21を介して開度調整ブロック15を移動させることができ、ドアDの開度を所望の開度に設定することができる。以下、操作装置20の動作について詳細に説明する。
【0047】
図4に示すように、レバー保持部24の第1の凹部241内にレバー22がある場合には、レバー22は位置P1で保持される。また、同様に、レバー22は、第2の凹部242内にある場合には位置P2で保持され、第3の凹部243内にある場合には位置P3で保持される。
【0048】
ここで、レバー22が位置P1にあるときには、レバー22の接続部221は接続部材支持部211に近い位置にある。そのため、レバー22が位置P1に移動するときには、接続部材21がより開度調整装置10側へ移動する。接続部材21が開度調整装置10側へ移動すると、接続部材21に接続される開度調整ブロック15がよりチェックリンク12に近づく方向に移動する。これにより、開度調整ブロック15がドアチェック11及びチェックストッパ部13との間に挟まれる位置に移動する。本実施例では、レバー22が位置P1に移動するときには、開度調整ブロック15が、第1の当接部151及び第2の当接部152がドアチェック11及びチェックストッパ部13との間に挟まれる位置に移動する。そのため、レバー22が位置P1にあるときには、開度調整装置10は、ドアDの開度を第1の当接部151と第2の当接部152との間の距離L1に対応する第1の開度に制限することができる。
【0049】
レバー22が位置P2にあるときには、レバー22が位置P1にあるときに比べて、レバー22の接続部材21が接続部材支持部211から少し離れた位置にある。そのため、レバー22が位置P2に移動するときには、レバー22が位置P1にあるときに比べて、接続部材21が操作装置20側に移動し、接続部材21に接続される開度調整ブロック15がチェックリンク12から少し離れる方向に移動する。ここで、本実施例では、レバー22が位置P2に移動するときには、開度調整ブロック15が、第1の当接部151及び第3の当接部153がドアチェック11及びチェックストッパ部13との間に挟まれる位置に移動する。そのため、レバー22が位置P2にあるときには、開度調整装置10は、ドアDの開度を第1の当接部151と第3の当接部153との間の距離L2に対応する第2の開度に制限することができる。
【0050】
また、レバー22が位置P3にあるときには、レバー22が位置P2にあるときに比べて、レバー22の接続部材21が接続部材支持部211からさらに離れた位置にある。そのため、レバー22が位置P3に移動するときには、レバー22が位置P2にあるときに比べて、接続部材21がさらに操作装置20側に移動し、接続部材21に接続される開度調整ブロック15がチェックリンク12から少し離れる方向に移動する。ここで、本実施例では、レバー22が位置P3に移動するときには、開度調整ブロック15が、ドアチェック11及びチェックストッパ部13との間に挟まれない位置に移動する。そのため、レバー22が位置P3にあるときには、開度調整装置10は、ドアDの開度をドアDの全開開度に設定することができる。
【0051】
このように、レバー22の位置P1,P2,P3は、それぞれ、ドアDの開度を第1の開度、第2の開度及び第3の開度に設定する際の開度調整装置10の動作位置に対応する。そのため、レバー保持部24の各凹部241,242,243は、それぞれレバー22を位置P1,P2,P3で保持することで、ドアDの開度を第1の開度、第2の開度及び全開開度に設定する開度調整装置10の各動作状態を保持することができる。
【0052】
ここで、
図5A乃至6を参照してレバー保持部24について説明する。
図5Aにレバー保持部24の上面図を示す。
図5Bはレバー22を第1の凹部241内に移動させた際の操作装置20の上面図を示す。
図5Cは、レバー22を回転軸222の軸方向に移動させて、第1の凹部241から抜け出す位置まで移動させた際の操作装置20の上面図である。
図6は、操作装置20の側面図であり、回転軸222の軸方向においてレバー保持部24から離れる方向に傾けて移動させたレバー22を二点鎖線で示す。
図5A乃至6では、説明の簡略化のため接続部材21を省略している。
【0053】
凹部241,242,243はレバー22の回転方向に形成されている。また、
図5Aに示すように、各凹部241,242,243には、壁部(当接部)2411,2421,2431が設けられている。
【0054】
ここで、開度調整装置10では、付勢部材16が開度調整ブロック15をチェックリンク12に向かって付勢していることから、開度調整装置10は、付勢された開度調整ブロック15に接続される接続部材21を介して、レバー22に常に張力を印加している。そのため、レバー22は、接続部材21から印加された張力に基づいて、当該張力の方向に、すなわち接続部材21の延在方向(
図5Aでは、接続部材支持部211に向かう方向)に向かって常に回転しようとする。
【0055】
これに対し、各凹部の壁部2411,2421,2431は、レバー22が各凹部241,242,243内に存在する場合に、接続部材21からの張力に基づいて回転するレバー22と当接することで、当該張力に基づくレバー22の回転を規制する。そのため、壁部2411,2421,2431は、レバー22を各壁部に対応する凹部241,242,243の位置において保持することができる。ここで、上記のように、各凹部241,242,243の位置は開度調整装置10の各動作位置に対応付けて設けられているため、各凹部の壁部2411,2421,2431は、開度調整装置10の各動作位置に対応する位置でレバー22を保持することができる。そのため、ユーザはレバー22を各凹部241,242,243内の位置に移動させることで、開度調整装置10によるドアDの開度調整動作を操作することができる。
【0056】
当該操作の例として、ドアDの開度が第1の開度に設定されている際の操作装置20の操作について説明する。ドアDの開度が第1の開度に設定されている際の操作装置20の上面図として
図5Bを参照する。
【0057】
図5Bでは、レバー22が第1の凹部241内に存在し、レバー22が第1の凹部241の壁部2411に当接している。壁部2411は、レバー22に当接することで、レバー22の接続部材21からの張力に基づく回転を規制し、レバー22をドアDの第1の開度に対応する第1の凹部241の位置で保持している。
【0058】
ここで、レバー付勢部23は、レバー22に対し、レバー22の回転方向と交差する方向、本実施例では該回転方向と直交する回転軸222の軸方向においてレバー保持部24に向かうように外力を印加する。そのため、レバー22は、レバー付勢部23からの外力に基づいてレバー保持部24に向かい、第1の凹部241内に入り込むように付勢される。すなわち、レバー付勢部23は、レバー22の回転方向と交差する方向において、レバー22をレバー保持部24に当接させ、レバー22と第1の凹部241の壁部2411との当接を維持するようにレバー22を付勢する。このように、レバー付勢部23がレバー22をレバー保持部24に向けて付勢することにより、車両の走行に基づく振動などが伝えられた場合であっても、レバー22は当該振動に基づいて第1の凹部241から抜け出ることなく、位置P1で保持される。また、第2の凹部242又は第3の凹部243内にレバー22が存在する場合でも同様に、車両走行に基づく振動などが伝えられた場合であっても、レバー付勢部23からの外力に基づいて位置P2又は位置P3で保持される。従って、操作装置20では、レバー付勢部23による付勢に基づいて車両走行時の振動によるレバー22のガタツキが抑制され、開度調整装置10の動作状態を適切に保持することができる。同様に、操作装置20では、レバー付勢部23によるレバー22の付勢に基づいて、ユーザが意図せずレバー22に触れた場合にレバー22が移動することを抑制し、ユーザが意図しない開度調整装置10の動作状態の変更を防止することができる。
【0059】
ユーザが、第1の開度に設定したドアDの開度を他の開度(第2の開度又は全開開度)に設定するように操作装置20を操作する場合には、
図5C及び6に示すように、まずレバー22を矢印A3で示す回転軸222の軸方向に移動させ、第1の凹部241から出す。この場合、ユーザはレバー付勢部23によるレバー22の付勢に抗するようにレバー22に外力を印加することでレバー22を移動させることができる。なお、ユーザがレバー22に当該外力を印加することをやめる場合には、レバー22はレバー付勢部23による付勢に基づいて再びレバー保持部24に向かって移動することとなる。
【0060】
ユーザは、
図5Cに示すように、レバー22を第1の凹部241から出すように移動させることで、回転軸222を中心として矢印A4で示す回転方向にレバー22を回転させることができるようになる。そのため、ユーザはレバー22を凹部241,242,243の間で移動させることができ、レバー22を各凹部に対応する位置P1,P2,P3に移動させることができる。ここで、レバー22の位置P1,P2,P3は、上記のように開度調整装置10の動作位置に対応する。従って、ユーザは、レバー22を回転軸222の軸方向において、レバー保持部24から離れる方向に外力を印加しつつ、回転軸222を中心としてレバー22を回転させることで、開度調整装置10の動作位置に対応するレバー22の位置を変更することができる。
【0061】
上記では、第1の凹部241内にあるレバー22を移動させる操作について説明したが、ユーザは第2の凹部242又は第3の凹部243内にあるレバーを同様の操作によって移動させることができる。このように、ユーザは操作装置20のレバー22を操作することで、開度調整装置10の動作状態を変更させることができる。
【0062】
上記のように、本実施例による操作装置20は、開度調整装置10に接続された接続部材21と、接続部材21が接続されたレバー22とを備える。また、操作装置20は、レバー22を所定の複数の位置P1,P2,P3で保持するレバー保持部24と、レバー22を所定の方向に付勢するレバー付勢部23とをさらに備える。レバー22は、回転中心点を通る回転軸222を中心として回転する。開度調整装置10は、接続部材21を介してレバー22に張力を印加し、レバー22の移動にともなう接続部材21の移動に基づいて、車両用ドアDの開度を調整する。レバー保持部24は、レバー22の回転方向における所定の複数の位置でそれぞれレバー22と当接する複数の壁部2411,2421,2431を含む。壁部2411,2421,2431は、それぞれ、レバー22に当接することでレバー22が接続部材21から印加される張力に基づいて移動することを制限する。これにより、壁部2411,2421,2431は、それぞれ、レバー22を当接した壁部2411,2421,2431に対応する所定の位置P1,P2,P3で保持する。レバー付勢部23は、レバー22に対して、レバー22の回転方向と交差する方向、特に回転軸222の軸方向においてレバー保持部24に向かうように外力を印加し、レバー22をレバー保持部24に向かうように付勢する。
【0063】
操作装置20では、開度調整装置10に接続部材21を介して接続されるレバー22が、レバー22の回転方向における複数の位置P1,P2,P3で、レバー保持部24の壁部2411,2421,2431に当接する。レバー22は、壁部2411,2421,2431に当接すると、開度調整装置10から接続部材21を介して印加された張力に基づく回転が制限されるとともに、当該張力に基づいて壁部2411,2421,2431に当接する位置で保持される。ここで、開度調整装置10は、接続部材21が接続されるレバー22の位置に基づいて、車両用ドアDの開度を調整するための各動作位置で動作する。従って、操作装置20では、開度調整装置10からの張力に基づく、レバー22の保持によって、電気制御を要しない簡易な構成で、開度調整装置10の動作状態を保持することができる。
【0064】
操作装置20では、レバー付勢部23が、レバー22に対し、レバー22の回転方向と交差する方向においてレバー保持部24に向かう方向に外力を印加し、レバー22をレバー保持部24に当接させる。これにより、レバー22は、ユーザによって操作されない限り、回転方向と交差する方向においてレバー保持部24に当接するように付勢される。そのため、操作装置20では、車両走行時の振動等に基づくレバー22の回転方向に交差する方向の移動が抑制される。従って、操作装置20では、車両走行時の振動などによるレバー22の移動を抑制し、ユーザが意図していない開度調整装置10の動作状態の変化を防止することができる。
【0065】
なお、本実施例による操作装置20では、レバー22はユーザによって操作されるつまみ223を備える。また、接続部材21が接続されるレバー22の接続部221は、レバー22において回転中心点に対して、つまみ223が設けられた部位と同じ側に設けられている。そのため、レバー22が移動する際に、レバー22と接続部材21が、レバー22の回転中心点に対して同じ側に移動する。
【0066】
ここで、
図4に示すように、接続部材21が車両前方側からレバー22の接続部221に接続される場合、レバー22が車両前方側に移動されると、接続部材21も車両前方側に移動し、より開度調整装置10側に移動する。そのため、開度調整装置10はドアDの開度をより狭い開度に設定するように動作する。また、レバー22が車両後方側に移動されると、接続部材21も車両後方側に移動し、より操作装置20側に移動するため、開度調整装置10はドアDの開度をより広い開度に設定するように動作する。従って、ユーザが、レバー22を車両前方方向に押すとドアDの開度をより狭い開度に設定し、レバー22を車両後方に引くとドアDの開度をより広い開度に設定することができる。このため、開度調整装置10の動作に対する操作装置20の操作をより人間工学に即したものとすることができる。
【0067】
開度調整装置10はドアチェック11を含むため、開度調整装置10は車両前方側の側部付近に設けられることが想定される。そのため、操作装置20は、開度調整装置10よりも車両後方側に設けられ、接続部材21は車両前方側から接続部221に接続されることが想定される。従って、接続部221が、レバー22において回転中心点に対して、つまみ223が設けられた部位と同じ側に設けられている場合には、開度調整装置10の動作に対する操作装置20の操作をより人間工学に即したものとすることができる。
【0068】
これに対し、レバーの接続部が、レバーにおいて、回転中心点に対してつまみが設けられた部位と反対側に設けられる場合には、レバーが移動する際に、レバーと接続部材が、レバーの回転中心点に対して反対側に移動する。そのため、接続部材が車両前方側からレバーの接続部に接続される場合には、レバーが車両前方側に移動されると接続部材がより操作装置側に移動し、レバーが車両後方側に移動されると接続部材がより開度調整装置10側に移動する。従って、開度調整装置10の動作に対する操作装置の操作方向が逆になってしまう。
【0069】
この場合には、接続部材が車両後方側からレバーの接続部に接続されるように構成することで、操作装置の操作を人間工学に即したものすることができる。上記のように、操作装置は開度調整装置10よりも車両後方側に設けられることが想定されるため、例えば、任意の接続部材支持部を用いて操作装置を迂回するように接続部材を引き回すことで、接続部材を車両後方側からレバーの接続部に接続することができる。
【0070】
これに対し、回転中心点に対して、つまみ223が設けられた部位と同じ側に接続部221を設ける場合には、上記のように、接続部材21の引き回しスペースやそのための部材を必要としない。従って、本実施例による操作装置20では、接続部材21の引き回しスペースを縮小するとともに引き回しのための部材をより少なくし、開度調整装置10の動作に対する操作装置20の操作をより人間工学に即したものとすることができる。
【0071】
また、本実施例による操作装置20では、接続部材21は直接レバー22に接続されているが、接続部材21がレバー22に接続される構成はこれに限られない。例えば、レバー22に設けられた任意のアーム部材を介して接続部材21をレバー22に接続してもよい。また、レバー22を回転軸222に結合し一体的に回転する構成とする場合には、アーム部材を回転軸222に結合し一体的に回転する構成とし、回転軸222に結合されたアーム部材を介して、接続部材21をレバー22に接続してもよい。この場合、回転軸222は基台25に対して回転可能なように接続される。なお、レバー22を回転軸222に結合し一体的に回転する構成とする場合には、レバー22を回転軸222の軸方向において所定の角度までたわむように構成することで、レバー22を回転軸222の軸方向に移動することができるように構成することができる。
【0072】
操作装置20では、レバー付勢部23は回転軸222と同軸上に設けられているが、レバー付勢部23の構成はこれに限られない。レバー付勢部23は、レバー22に対して、レバー22の回転方向と交差する方向において、レバー保持部24に向かう方向に外力を印加することができればよい。そのため、例えば、レバー付勢部をレバー22と基台25の間に設け、レバー22に対して、レバー22の回転方向と交差する方向において、基台25に接続されたレバー保持部24に向かう方向に外力を印加するようにレバー付勢部を構成してもよい。
【0073】
レバー付勢部をレバー22と基台25との間に設ける場合には、接続部材21が接続される移動部材として、回転可能なレバー22に代えて、接続部材21の延在方向に摺動可能なレバーを用いることもできる。この場合、接続部材21の延在方向に摺動可能なレバーは、接続部材21の延在方向に摺動することで接続部材21を開度調整装置10側又は操作装置20側に移動させることができ、レバーの摺動に基づいて開度調整装置10の動作状態を変更することができる。また、当該レバーをレバー保持部24で保持することで、接続部材21からの張力に基づいて、開度調整装置10の動作状態を保持することができる。さらに、レバー付勢部によって、当該レバーに対して摺動方向と交差する方向においてレバー保持部24に向かう方向に外力を印加して付勢することができる。そのため、当該レバーを用いても、回動可能なレバー22と同様に、車両走行時の振動等に基づくレバーの摺動方向に交差する方向の移動が抑制され、ユーザが意図していないレバーの移動に基づく開度調整装置10の動作状態の変化を防止することができる。なお、当該レバーも、レバー保持部24の当接部との当接を解除することができるように、レバーの摺動方向と交差する方向において移動する、傾く又はたわむことができるように構成される。また、摺動可能なレバーの構成としては、既存の任意の構成を用いることができる。例えば、基台25に設けた溝部に係合する突出部をレバーに設け、突出部が溝部に係合することで溝部に従って接続部材21の延在方向に摺動可能なようにレバーを構成することができる。
【0074】
また、操作装置20では、レバー保持部24に壁部2411,2421,2431を備える凹部241,242,243が設けられる構成としているが、レバー保持部24の構成はこれに限られない。レバー保持部24は、レバー22の移動方向において、複数の位置で接続部材21からの張力に基づくレバー22の移動を規制する当接部を有し、レバー付勢部23によるレバー22の付勢に基づいてレバー22の移動方向と交差する方向でレバー22に当接できればよい。
【0075】
例えば、レバー保持部は、凹部241,242,243の代わりに、開度調整装置10の動作位置に対応する位置に凸部を備える構成であってもよい。この場合、レバー22は、凸部の壁部に当接することで、回転が規制されるとともに、レバー付勢部23による付勢に基づいて凸部を有するレバー保持部に当接することができる。
【0076】
また、例えば、レバー保持部は、レバーに設けられた突出部または溝部に係合する、開度調整装置10の動作位置に対応する位置に設けられた溝部または突出部を備えるように構成されてもよい。この場合、レバーは、レバー保持部の溝部または突出部とレバーの突出部または溝部が係合することで、回転が規制されるとともに、レバー付勢部23による付勢に基づいてレバー保持部に当接することができる。
【0077】
さらに、レバー保持部24を回転軸222の軸方向において段差を有する階段状に形成してもよい。レバー保持部を階段状に形成する場合には、接続部材21からの張力の方向に向かうに従って、レバー保持部が回転軸の軸方向において基台25から段階的に離れるように、レバー保持部を階段状に形成することができる。これにより、各段差部分の壁部でレバー22と当接することで、レバー22の回転を規制し、レバー付勢部23による付勢に基づいて、回転軸の軸方向においてレバーとレバー保持部の当接を維持することができる。
【0078】
また、レバー22と当接する、レバー保持部24の当接部の数は3つに限られない。レバー保持部の当接部は、開度調整装置10の設定可能なドアDの開度の段階に応じて設けることができる。例えば、開度調整装置10が4段階にドアDの開度を設定できる場合には、レバー保持部に当該開度調整装置10の4段階の動作位置に対応する4つの当接部を設けることができる。同様に、開度調整装置10が2段階にドアDの開度を設定できる場合には、レバー保持部に当該開度調整装置10の2段階の動作位置に対応する2つの当接部を設けることができる。また、当接部の数に応じて、凹部や凸部の数も任意の数だけ設けることができる。
【0079】
なお、操作装置20では、レバー保持部24は基台25に接続されているが、レバー保持部24を基台25と一体的に形成してもよい。
【実施例4】
【0096】
本発明の実施例1による操作装置20では、レバー保持部24でレバー22の回転を規制し、レバー22を所望の位置で保持する。しかしながら、接続部材が接続されたレバーを、レバーの移動方向において所望の位置で保持する構成はこれに限られない。本発明の実施例4による操作装置では、レバーの回転軸の径方向において延在する当接部を有する付勢部と、レバーの回転軸の周辺部において当接部に係合する複数の溝部とを設け、当接部と溝部の係合により、レバーを所望の位置で保持する。
【0097】
本実施例による操作装置50を
図9A乃至10Cを参照して説明する。
図9Aは、ドアDを第1の開度に設定する際の操作装置50を概略的に示す。
図9Bは、ドアDを第2の開度に設定する際の操作装置50を概略的に示す。
図10A乃至Cは、操作装置50を用いて開度調整装置10の動作状態を変更する際の操作装置50の動作を示す。なお、操作装置50に接続される開度調整装置10は、操作装置20に接続される開度調整装置10と同様のものであるため説明を省略する。また、操作装置50において、接続部材51や接続部521等の動作は、操作装置20の接続部材21や接続部221等の動作と同様であるため、相違点を中心に説明する。
【0098】
図9A及びBに示すように、操作装置50には、接続部材51、扇形のダイヤルレバー52、付勢部53、及び基台55が設けられている。開度調整装置10に接続される接続部材51は、接続部材支持部511によって延在方向を方向付けられるとともにダイヤルレバー52の接続部521に接続されている。基台55は不図示の固定部材を用いてドアDに接続されている。
【0099】
ダイヤルレバー52には、接続部材51に接続される接続部521、回転中心点を通る回転軸522、操作部となる周面523、及び収容部54が設けられている。ダイヤルレバー52は、回転軸522を中心として回転することができ、回転軸522は基台55に接続されている。収容部54には、付勢部53の一対の押圧子531に係合する第1の溝部541、第2の溝部542及び第3の溝部543の対、並びに溝部間の第1の山部544及び第2の山部545の対が設けられている。収容部54は、付勢部53を収容する。溝部(係合部)541,542,543は、回転軸522に対して対称となる位置に設けられた溝部同士で溝部の対を形成する。また、溝部間の山部544,545も同様に、回転軸522に対して対称となる位置に設けられた山部同士で山部の対を形成する。各溝部541,542,543の対は、回転軸522の周辺において、回転方向に沿った方向、すなわち回転中心点を中心とした円の周方向の所定の位置に設けられている。溝部541,542,543の各対は、収容部54に収容された付勢部53の一対の押圧子531と係合すると、接続部材51を介して接続された開度調整装置10の各動作位置に対応する位置でダイヤルレバー52を保持するように、所定の位置に設けられている。
【0100】
付勢部53は基台55に固定されており、付勢部53には、回転軸522の径方向において互いに相反する方向に延在する一対の押圧子付勢部材532と、押圧子付勢部材532に接続される一対の押圧子531とが設けられている。一対の押圧子(当接部)531は、それぞれ、対となる押圧子付勢部材532から離れた各押圧子付勢部材532の端部に設けられている。一対の押圧子付勢部材532は、バネやゴムなどの任意の弾性部材を用いて形成されることができ、一対の押圧子531に対して、回転軸522の径方向において互いに相反する方向、すなわち回転軸522から離れる方向に外力を印加し付勢する。付勢部53が収容部54に収容されるときには、一対の押圧子531は、一対の押圧子付勢部材532の付勢に基づいて、ダイヤルレバー52の溝部541,542,543の対又は山部544,545の対に当接する。
【0101】
ここで、
図9A及びBを参照して、付勢部53及び収容部54によるダイヤルレバー52の保持と開度調整装置10の動作状態の保持について説明する。
【0102】
図9Aにおいては、一対の押圧子531は第1の溝部541の対に当接し、係合している。ここで、一対の押圧子付勢部材532は、一対の押圧子531を互いに離れる方向に付勢しているため、一対の押圧子531と第1の溝部541の対との係合状態を保持する。一対の押圧子531が第1の溝部541の対と係合している際には、該係合に基づいて一対の押圧子531と第1の溝部541の相対移動が制限される。そのため、付勢部53は、一対の押圧子531と第1の溝部541の対を係合させることで、第1の溝部541が設けられた収容部54ひいてはダイヤルレバー52の回転を制限することができる。従って、付勢部53はダイヤルレバー52に対し回転軸522の径方向において回転軸522から離れる方向に外力を印加することで、ダイヤルレバー52を押圧子531と第1の溝部541が係合する位置に保持することができる。ここで、第1の溝部541は、接続部材51が接続されたダイヤルレバー52を、第1の溝部541及び押圧子531の係合により、ドアDの開度を第1の開度に設定する開度調整装置10の動作位置に対応する位置で保持できるように設けられている。そのため、ダイヤルレバー52を、押圧子531と第1の溝部541が係合する位置で保持することで、ドアDの開度を第1の開度に設定する動作位置及び動作状態で開度調整装置10を保持することができる。
【0103】
なお、ユーザによって、ダイヤルレバー52に回転方向に所定の外力が加えられ、押圧子531と第1の溝部541の係合が解除されると、ダイヤルレバー52は該外力に従って回転することができる。ここで、押圧子531と溝部541,542,543との係合を解除するために必要な外力の大きさを、開度調整装置10からダイヤルレバー52に印加される張力よりも大きい値に設定することができる。この場合には、当該張力によりダイヤルレバー52が意図せずに移動することを防止することができる。また、押圧子531と溝部541,542,543との係合を解除するために必要な外力の大きさを当該張力よりも十分に大きい値に設定することで、走行時の車両の振動等によって、意図せずにダイヤルのレバーが移動することを防止することができる。なお、押圧子531と溝部541,542,543との係合を解除するために必要な外力の大きさを設定する際には、例えば押圧子付勢部材532の弾性係数や押圧子531と溝部541,542,543との回転軸522の径方向における相対位置等を考慮することができる。
【0104】
図9Bに示す操作装置50では、一対の押圧子531が第2の溝部542の対と係合し、ダイヤルレバー52の位置を保持している。ここで、ダイヤルレバー52を
図9Bに示す位置まで回転させると、
図9Aに示すドアDの開度を第1の開度に設定するダイヤルレバー52の位置と比べて、接続部材51が接続部材支持部511から離れる方向、すなわち操作装置50側に移動される。従って、接続部材51の操作装置50側への移動に伴い、開度調整装置10の動作位置を変更し、開度調整装置10の動作状態を変更することができる。ここで、第2の溝部542は、接続部材51が接続されるダイヤルレバー52を、第2の溝部542及び押圧子531の係合により、ドアDの開度を第2の開度に設定する開度調整装置10の動作位置に対応する位置で保持できるように設けられている。そのため、ダイヤルレバー52を、押圧子531と第2の溝部542が係合する位置で保持することで、開度調整装置10をドアDの開度を第2の開度に設定する動作位置、動作状態で保持することができる。
【0105】
同様に、一対の押圧子531を第3の溝部543の対と係合させる位置までダイヤルレバー52を回転させることで、開度調整装置10の動作状態を変更することができる。また、一対の押圧子531と第3の溝部543の対が係合することで、ダイヤルレバー52の位置を保持することができる。ここで、第3の溝部543は、接続部材51に接続されるダイヤルレバー52を、第3の溝部543及び押圧子531の係合により、ドアDの開度を全開開度に設定する開度調整装置10の動作位置に対応する位置で保持できるように設けられている。そのため、ダイヤルレバー52を、押圧子531と第3の溝部543が係合する位置で保持することで、開度調整装置10をドアDの開度を全開開度に設定する動作位置、動作状態で保持することができる。
【0106】
次に、
図10A乃至Cを参照して、操作装置50を用いてドアDの開度を第1の開度から第2の開度に設定する際の付勢部53と収容部54との動作を説明する。
図10A乃至Cは、それぞれ、ダイヤルレバー52における付勢部53と収容部54の拡大図である。
図10Aは、ドアDの開度を第1の開度に設定している際のダイヤルレバー52を示す。
図10Bは、ドアDの開度を第1の開度から第2の開度に設定するために移動するダイヤルレバー52を示す。
図10Cは、ドアDの開度を第2の開度に設定している際のダイヤルレバー52を示す。
【0107】
ドアDの開度を第1の開度に設定している際には、
図10Aに示すように、一対の押圧子付勢部材532が一対の押圧子531を互いに離れる方向に付勢し、第1の溝部541の対に当接させ、係合させる。押圧子付勢部材532は、押圧子531を回転軸522から離れる方向に付勢するため、押圧子531と第1の溝部541との当接及び係合状態を保持することができる。押圧子531と第1の溝部541との係合状態が保持されると、ダイヤルレバー52の回転が制限されるため、ダイヤルレバー52は、押圧子531と第1の溝部541が係合する位置、回転角度で保持される。
【0108】
ここで、ユーザがダイヤルレバー52の周面523に触れてダイヤルレバー52を回転させるように、ダイヤルレバー52に外力を印加すると、
図10Bに示すように、一対の押圧子531が第1の山部544の対に当接しながらダイヤルレバー52が回転する。ここで、押圧子531と第1の山部544は凸形状などの互いに係合しない形状に形成されているため、押圧子531と第1の山部544は当接しても係合しない。押圧子531と第1の山部544とが当接する際には、一対の押圧子531が第1の山部544の対の形状に沿って互いに近づく方向に移動させられるため、一対の押圧子付勢部材532は圧縮され、接続された一対の押圧子531に印加する外力を蓄積する。
【0109】
ユーザがさらにダイヤルレバー52を回転させるように、ダイヤルレバー52に外力を印加すると、押圧子531が第1の山部544を越えて移動することで、押圧子付勢部材532は押圧子531に蓄積した外力を印加し第2の溝部542に向かう方向に付勢する。一対の押圧子付勢部材532は、一対の押圧子531を第2の溝部542の対に向けて付勢することで、一対の押圧子531を第2の溝部542に当接させ、係合させる。押圧子付勢部材532は押圧子531を回転軸522から離れる方向に付勢するため、押圧子531と第2の溝部542との当接及び係合状態を保持することができる。押圧子531と第2の溝部542との係合状態が保持されると、ダイヤルレバー52の回転が制限されるため、ダイヤルレバー52は、押圧子531と第2の溝部542が係合する位置、回転角度で保持される。
【0110】
なお、操作装置50を用いてドアDの開度を第2の開度から全開開度に設定する際の付勢部53と収容部54との動作も同様であり、この場合、ダイヤルレバー52が回転することで押圧子531は第2の山部545を越えて、第3の溝部543に当接し、係合する。そのため、押圧子付勢部材532が押圧子531と第3の溝部543の係合状態を保持し、ダイヤルレバーの回転を制限し、ダイヤルレバー52を、押圧子531と第3の溝部543が係合する位置、回転角度で保持する。
【0111】
このように、操作装置50では、付勢部53の押圧子531と収容部54の溝部541,542,543との係合により、所定の位置でダイヤルレバー52を保持することで、ダイヤルレバー52に接続された開度調整装置10の動作状態を保持することができる。
【0112】
上記のように、本実施例による操作装置50は、開度調整装置10に接続された接続部材51と、接続部材51が接続されたダイヤルレバー52と、押圧子531を含むとともに該押圧子531に対し所定の方向に力を印加し付勢する付勢部53とを備える。ダイヤルレバー52は、回転中心点を通る回転軸522を中心として回転する。開度調整装置10は、ダイヤルレバー52の移動にともなう接続部材51の移動に基づいて、車両用ドアDの開度を調整する。また、ダイヤルレバー52は、ダイヤルレバー52内において回転方向に沿った所定の複数の位置に押圧子531に係合する溝部541,542,543を含む。押圧子531は、付勢部53によって印加された力に基づいて溝部541,542,543に係合することでダイヤルレバー52の移動を制限して、係合した溝部541,542,543に対応する所定の回転位置でダイヤルレバー52を保持する。
【0113】
開度調整装置10は、接続部材51を介して接続されたダイヤルレバー52の位置に基づいて、車両用ドアDの開度を調整するための各動作位置で動作する。従って、操作装置50では、付勢部53によって付勢される押圧子531と溝部541,542,543との係合に基づく、ダイヤルレバー52の保持によって、電気制御を要しない簡易な構成で、開度調整装置10の動作状態を保持することができる。
【0114】
本実施例による操作装置50では、溝部541,542,543と、押圧子531と、押圧子付勢部材532とが、それぞれ対を有するように設けられているが、これらは対として構成されなくてもよい。そのため、溝部、押圧子及び押圧子付勢部材はそれぞれ1つだけ設けられてもよい。
【0115】
また、操作装置50では、付勢部53が、ダイヤルレバー52の溝部541,542,543に当接する押圧子531と、押圧子531を付勢する押圧子付勢部材532とを備える構成としているが、付勢部53の構成はこれに限られない。例えば、付勢部が板バネを含み、板バネの一部が、回転軸522の径方向に延在するとともに、板バネの弾性力で回転軸522の径方向において回転軸522から離れる方向に付勢されるように、付勢部を構成してもよい。この場合には、回転軸522の径方向に延在する板バネの一部が、溝部541,542,543に当接する当接部として機能する。
【0116】
さらに、ダイヤルレバー52は扇状のレバーとして形成されているが、レバーの形状はこれに限られない。レバーの形状は例えば、操作装置20のレバー22のように棒状などの任意の形状であってよい。
【0117】
なお、溝部の数は開度調整装置10の動作状態の数に対応して任意の数だけ設けることができる。すなわち、開度調整装置10がドアDの開度を4段階に設定することができる場合には、溝部を該開度調整装置10の各動作位置に対応した4つの位置に設けることができる。また、開度調整装置10がドアDの開度を2段階に設定することができる場合には、溝部を該開度調整装置10の各動作位置に対応した2つの位置に設けることができる。
【実施例5】
【0118】
実施例4による操作装置50では、一対の押圧子付勢部材532によって一対の押圧子531を付勢し、溝部541,542,543の対に係合させることで、ダイヤルレバー52の回転位置を保持した。これに対し、板バネを用いて形成した一つの当接部を、ダイヤルレバーに設けた溝部に当接させて係合させることで、ダイヤルレバーの回転位置を保持させることもできる。
【0119】
本発明の実施例5による操作装置60を
図11乃至12Cを参照して説明する。
図11は、操作装置60を概略的に示す分解図である。
図11では、説明の簡略化のため、基台及び接続部材支持部を省略している。
図12A乃至Cは、操作装置60を用いて開度調整装置10の動作状態を変更する際の操作装置60の動作を示す。なお、操作装置60に接続される開度調整装置10は、操作装置20に接続される開度調整装置10と同様のものであるため説明を省略する。また、操作装置60において、接続部材61や収容部64等の動作は、操作装置50の接続部材51や収容部54等の動作と同様であるため、相違点を中心に説明する。
【0120】
図11に示すように、操作装置60には、接続部材61、略扇形のダイヤルレバー62、及び付勢部63が設けられている。開度調整装置10に接続される接続部材61は、不図示の接続部材支持部によって延在方向を方向付けられるとともにダイヤルレバー62の接続部621に接続されている。
【0121】
ダイヤルレバー62には、接続部材61に接続される接続部621、回転中心点を通る回転軸である突出部632が通る孔部622、操作部623、及び収容部64が設けられている。ダイヤルレバー62は、付勢部63に設けられる突出部632を中心として回転することができる。収容部64には、付勢部63の当接部631と係合する第1の溝部641、第2の溝部642及び第3の溝部643、並びに当接部631と係合しない溝部間の第1の山部644及び第2の山部645が設けられている。また、収容部64には、付勢部63の移動制限部633及び634とそれぞれ当接して、ダイヤルレバー62の回転移動を規制することで、ダイヤルレバー62の可動範囲を規定する壁部646及び647が設けられている。収容部64は、付勢部63を収容する。各溝部541,542,543は、孔部622の周辺において、回転方向に沿った方向、すなわち回転中心点を中心とした円の周方向の所定の位置に設けられている。溝部641,642,643は、収容部64に収容された付勢部63の当接部631と係合すると、接続部材61を介して接続された開度調整装置10の各動作位置に対応する位置でダイヤルレバー62を保持するように、所定の位置に設けられている。なお、溝部641,642,643は、溝部541,542,543と同様に、それぞれ、ドアDの開度を第1の開度、第2の開度及び全開開度に設定する際の開度調整装置10の各動作位置に対応する位置で、ダイヤルレバー62を保持できるように設けられている。
【0122】
付勢部63には、ダイヤルレバー62の回転中心及び孔部622を通りダイヤルレバー62の回転軸となる円形の突出部632が設けられており、付勢部63は突出部632を介して不図示の基台に固定されている。また、付勢部63には、突出部632の径方向において突出部632から離れる方向に延在する当接部631が設けられている。さらに、付勢部63には、突出部632を中心とした円の周方向において、収容部64の壁部646及び647と当接してダイヤルレバー62の移動を規制し、ダイヤルレバー62の可動範囲を規定する移動制限部633及び634が設けられている。当接部631は、板バネを用いて形成されることができ、板バネの弾性力に基づいて突出部632から離れる方向に付勢される。付勢部63が収容部64に収容されるときには、当接部631は、板バネの付勢に基づいて、ダイヤルレバー62の溝部641,642,643又は山部644,645に当接する。
【0123】
次に、
図12A乃至Cを参照、操作装置60を用いてドアDの開度を第1の開度から第2の開度に設定する際の付勢部63と収容部64との動作を説明する。
図12A乃至Cは、それぞれ、ダイヤルレバー62における付勢部63と収容部64の拡大図である。
図12Aは、ドアDの開度を第1の開度に設定している際のダイヤルレバー62を示す。
図12Bは、ドアDの開度を第1の開度から第2の開度に設定するために移動するダイヤルレバー62を示す。
図12Cは、ドアDの開度を第2の開度に設定している際のダイヤルレバー62を示す。
【0124】
ドアDの開度を第1の開度に設定している際には、
図12Aに示すように、当接部631が、突出部632から離れる方向に板バネによって付勢されるため、第1の溝部641に当接し、係合する。また、当該板バネの付勢により、当接部631と第1の溝部641との当接及び係合状態が保持されることができる。当接部631と第1の溝部641との係合状態が保持されると、ダイヤルレバー62の回転が制限されるため、ダイヤルレバー62は当接部631と第1の溝部641が係合する位置、回転角度で保持される。
【0125】
ここで、ユーザがダイヤルレバー62の操作部623に触れてダイヤルレバー62を回転させるように、ダイヤルレバー62に外力を印加すると、
図12Bに示すように、当接部631が第1の山部644に当接しながらダイヤルレバー62が回転する。当接部631と第1の山部644は凸形状などの互いに係合しない形状に形成されているため、当接部631と第1の山部644は当接しても係合しない。当接部631と第1の山部644とが当接する際には、当接部631が第1の山部644の形状に沿って突出部632に近づく方向に移動させられるため、当接部631を形成する板バネが圧縮され、当接部631を付勢する力を蓄える。
【0126】
ユーザがさらにダイヤルレバー62を回転させるように、ダイヤルレバー62に外力を印加すると、当接部631が第1の山部644を越えて移動することで、板バネは当接部631に蓄積した力を印加し第2の溝部642に向かう方向に付勢する。当接部631は、板バネの付勢に基づいて、第2の溝部642に当接し、係合する。また、板バネの付勢により、当接部631は突出部632から離れる方向に付勢されるため、当接部631と第2の溝部642との当接及び係合状態を保持されることができる。当接部631と第2の溝部642との係合状態が保持されると、ダイヤルレバー62の回転が制限されるため、ダイヤルレバー62は当接部631と第2の溝部642が当接する位置、回転角度で保持される。
【0127】
なお、操作装置60を用いてドアDの開度を第2の開度から全開開度に設定する際の付勢部63と収容部64との動作も同様であり、この場合、ダイヤルレバー62が回転することで当接部631は第2の山部645を越えて、第3の溝部643に当接し、係合する。そのため、板バネの付勢に基づいて当接部631と第3の溝部643の係合状態が保持され、ダイヤルレバー62の回転を制限されるため、ダイヤルレバー62は当接部631と第2の溝部642が当接する位置、回転角度で保持される。
【0128】
なお、当接部631と溝部641,642,643との係合を解除するために必要な外力の大きさを、開度調整装置10からダイヤルレバー62に印加される張力よりも大きい値に設定することができる。この場合には、当該張力によりダイヤルレバー62が意図せずに移動することを防止することができる。また、当接部631と溝部641,642,643との係合を解除するために必要な外力の大きさを当該張力よりも十分に大きい値に設定することで、走行時の車両の振動等によって、意図せずにダイヤルのレバーが移動することを防止することができる。なお、当接部631と溝部641,642,643との係合を解除するために必要な外力の大きさを設定する際には、例えば板バネの弾性係数や当接部631と溝部641,642,643との相対位置等を考慮することができる。
【0129】
このように、操作装置60でも、当接部631と収容部64の溝部641,642,643との係合に基づいて、ダイヤルレバー62を、開度調整装置10の各動作位置に対応する所定の位置で保持することができる。従って、操作装置60でも、電気制御を要しない簡易な構成で、開度調整装置10の動作状態を保持することができる。
【0130】
なお、本実施例による操作装置60では、ダイヤルレバー62が付勢部63の突出部632を通す孔部622を備え、突出部632を中心として回転する構成としたが、ダイヤルレバー62の構成はこれに限られない。例えば、操作装置50におけるダイヤルレバー52と同様に、ダイヤルレバー62が回転軸を備え、ダイヤルレバー62が該回転軸を中心として回転するようにダイヤルレバー62を構成してもよい。この場合、回転軸はダイヤルレバー62と一体的に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。ダイヤルレバーと回転軸が一体的に形成される場合には、回転軸は基台に対して回転可能に接続されることができる。また、ダイヤルレバーと回転軸が別々に形成される場合には、回転軸は基台に固定されることができる。
【0131】
操作装置60のダイヤルレバー62は、扇状のダイヤルレバーとして形成したが、接続部材61が接続される移動部材の形状はこれに限られない。例えば、移動部材の形状は、操作装置20におけるレバー22のように棒状などの任意の形状とすることができる。
【0132】
また、板バネで形成した当接部631の代わりに、押圧子とバネやゴムなどの任意の付勢部材を用いて収容部64の溝部641,642,643に当接する当接部を形成することもできる。
【0133】
なお、溝部の数は開度調整装置10の動作状態の数に対応して任意の数だけ設けることができる。すなわち、開度調整装置10がドアDの開度を4段階に設定することができる場合には、溝部を該開度調整装置10の各動作位置に対応した4つの位置に設けることができる。また、開度調整装置10がドアDの開度を2段階に設定することができる場合には、溝部を該開度調整装置10の各動作位置に対応した2つの位置に設けることができる。
【0134】
また、操作装置60では、
図11に示すように、接続部621がダイヤルレバー62の回転中心点に対して、操作部623と反対側に設けられている。これに対して、接続部621をダイヤルレバー62の回転中心点に対して、操作部623と同じ側に設けることもできる。この場合の操作装置70を
図13に示す。
【0135】
図13に示す操作装置70では、接続部721がダイヤルレバー72の回転中心点に対して、操作部723と同じ側に設けられている。そのため、ダイヤルレバー72が移動する際に、ダイヤルレバー72と接続部材71が、ダイヤルレバー72の回転中心点に対して同じ側に移動する。
【0136】
そのため、ダイヤルレバー72に対して接続部材71が車両前方側から接続される場合、ダイヤルレバー72が車両前方側に回転されると、接続部材71も車両前方側に移動し、より開度調整装置10側に移動する。そのため、開度調整装置10はドアDの開度をより狭い開度に設定するように動作する。また、ダイヤルレバー72が車両後方側に移動されると、接続部材71も車両後方側に移動し、より操作装置70側に移動するため、開度調整装置10はドアDの開度をより広い開度に設定するように動作する。従って、ユーザが、ダイヤルレバー72を車両前方方向に押すように回すとドアDの開度をより狭い開度に設定し、ダイヤルレバー72を車両後方に引くように回すとドアDの開度をより広い開度に設定することができる。このため、開度調整装置10の動作に対する操作装置70の操作をより人間工学に即したものとすることができる。
【0137】
従って、操作装置70では、操作装置70が開度調整装置10よりも車両後方側に設けられている場合に、接続部材71を操作装置70の後方に引き回すことを必要とせずに、操作装置70の操作をより人間工学に即したものとすることができる。そのため、接続部材71の配置のためのスペースを縮小するとともに接続部材の引きまわしに用いられる支持部材より少なくすることができる。
【0138】
上述の実施例では、車両前方右側の車両用ドアDを例に説明したが、開度調整機構が設けられるドアはこれに限られない。開度調整機構はフロントドア、リアドア等の任意のドアに設けることができる。
【0139】
また、上述の実施例では、ドアDの開度を制限する開度調整ブロック15を備える開度調整装置10を用いたが、開度調整装置10の構成はこれに限られない。上述の実施例による操作装置は、接続部材の移動に従ってドアDの開度を制限するための部材が移動する任意の開度調整装置に適用することができる。そのため、例えば、開度調整ブロックがチェックリンクに向かってチェックリンクの側方から摺動する開度調整装置や開度調整ブロックがチェックリンクに向かって回動するような開度調整装置に対して上記実施例による操作装置を適用することもできる。また、特許文献1に記載のドアチェック機構において、締付け機構の規制部材を上記実施例による操作装置の接続部材の移動に従って移動するように構成することで、操作装置を当該ドアチェック機構に適用することもできる。
【0140】
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施例及び変形例は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。