特開2016-223302(P2016-223302A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223302(P2016-223302A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】内燃機関の尿素水供給装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20161205BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/24 L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-107571(P2015-107571)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土屋 富久
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】清藤 高宏
(72)【発明者】
【氏名】星 作太郎
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA10
3G091AA11
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA07
3G091BA21
3G091CA05
3G091CA17
3G091CA18
3G091FA06
3G091HA08
3G091HA14
(57)【要約】
【課題】尿素水による尿素添加弁の腐食を抑えることのできる内燃機関の尿素水供給装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1の尿素水供給装置200は、尿素水を貯留するタンク210と、排気通路28に設けられて排気に尿素水を添加する尿素添加弁230と、タンク210内の尿素水を尿素添加弁230に供給する尿素水通路240と、尿素水通路240に設けられたポンプ220とを備えている。制御装置80は、尿素添加弁230に供給される尿素水のが予め定められた判定圧以下であって、かつタンク210内の尿素水量が予め定められた閾値以下のときには、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態であると判定し、尿素添加弁230内の尿素水をタンク210に吸い戻す吸い戻し制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素水を貯留するタンクと、排気通路に設けられて排気に尿素水を添加する尿素添加弁と、前記タンク内の尿素水を前記尿素添加弁に供給する尿素水通路と、前記尿素水通路に設けられたポンプとを備える内燃機関の尿素水供給装置であって、
前記尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量を前記タンクから前記尿素添加弁に供給することができない状態であると判定されるときには、前記尿素添加弁内の尿素水を前記タンクに吸い戻す吸い戻し制御を実行する制御部を備える
ことを特徴とする内燃機関の尿素水供給装置。
【請求項2】
前記尿素添加弁に供給される尿素水の圧力を検出する圧力検出部と、
前記タンク内の尿素水量を検出する水量検出部と、を備えており、
前記制御部は、前記圧力検出部で検出された尿素水の圧力が予め定められた判定圧以下であって、かつ前記水量検出部で検出された前記尿素水量が予め定められた閾値以下のときには、前記尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量を前記タンクから前記尿素添加弁に供給することができない状態であると判定する
請求項1に記載の内燃機関の尿素水供給装置。
【請求項3】
前記タンク内の尿素水の液面の傾きを検出する傾き検出部を備えており、
前記制御部は、前記傾き検出部で検出された前記液面の傾きに基づいて前記水量検出部にて検出される前記尿素水量を補正する
請求項2に記載の内燃機関の尿素水供給装置。
【請求項4】
前記タンク内の尿素水を加熱して解凍するヒータと、
前記ヒータによる尿素水の解凍時間を計測する計測部と、を備えており、
前記制御部は、前記解凍時間に基づいて前記水量検出部にて検出される前記尿素水量を補正する
請求項2に記載の内燃機関の尿素水供給装置。
【請求項5】
前記尿素添加弁に供給される尿素水の圧力を検出する圧力検出部を備えており、
前記制御部は、前記圧力検出部で検出された尿素水の圧力が予め定められた第1判定圧以下のときには、前記ポンプの回転速度を増加させることにより前記尿素水の圧力を高める昇圧制御を繰り返し実行し、前記昇圧制御の実行回数が予め定められた回数を超えても前記尿素水の圧力が前記第1判定圧よりも高い圧力に設定された第2判定圧に達しないときには、前記尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量を前記タンクから前記尿素添加弁に供給することができない状態であると判定する
請求項1に記載の内燃機関の尿素水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の尿素水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気に含まれるNOxを浄化する方法として、例えば尿素水を利用する浄化方法が知られている。この浄化方法を採用する内燃機関では、タンクに尿素水が貯留されており、この尿素水を噴射する尿素添加弁が排気通路に設けられている。タンクに貯留された尿素水はポンプによって尿素添加弁に圧送され、その尿素添加弁から排気に向かって尿素水が添加される。排気に添加された尿素水は、排気熱によって加水分解されることによりアンモニアを生成する。生成されたアンモニアは、排気通路に設けられたNOx浄化用の触媒に吸着されてNOxを還元浄化する際に利用される。
【0003】
他方、排気に曝されることにより尿素添加弁が高温化し、これによって尿素添加弁内の尿素水が高温化すると、高温化した尿素水によって尿素添加弁が腐食するおそれがある。そこで、例えば特許文献1に記載の装置では、尿素添加弁を冷却するために尿素水を添加する冷却添加(同文献1の保護噴射)を行うようにしている。この冷却添加によって尿素添加弁から尿素水が添加されると、比較的温度の低い尿素水がタンクから尿素添加弁内へと新たに流れ込むため、尿素添加弁は冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−222064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができないときには、それまで添加していた尿素水が尿素添加弁内に残留するようになるため、その残留した尿素水が排気による尿素添加弁の温度上昇によって高温化し、尿素添加弁が腐食するおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、尿素水による尿素添加弁の腐食を抑えることのできる内燃機関の尿素水供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する内燃機関の尿素水供給装置は、尿素水を貯留するタンクと、排気通路に設けられて排気に尿素水を添加する尿素添加弁と、前記タンク内の尿素水を前記尿素添加弁に供給する尿素水通路と、前記尿素水通路に設けられたポンプとを備えている。そして、前記尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量を前記タンクから前記尿素添加弁に供給することができない状態であると判定されるときには、前記尿素添加弁内の尿素水を前記タンクに吸い戻す吸い戻し制御を実行する制御部を備えるようにしている。
【0008】
同構成によれば、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができないときには、尿素添加弁内の尿素水がタンクに吸い戻される。従って、尿素添加による尿素添加弁の冷却効果が十分に得られない状態のときに、尿素添加弁内に尿素水が残留することを抑えることができる。そのため、尿素水による尿素添加弁の腐食を抑えることができるようになる。
【0009】
上記尿素水供給装置において、前記尿素添加弁に供給される尿素水の圧力を検出する圧力検出部と、前記タンク内の尿素水量を検出する水量検出部と、を備える。そして、前記制御部は、前記圧力検出部で検出された尿素水の圧力が予め定められた判定圧以下であって、かつ前記水量検出部で検出された前記尿素水量が予め定められた閾値以下のときには、前記尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量を前記タンクから前記尿素添加弁に供給することができない状態であると判定することが好ましい。
【0010】
タンク内の尿素水量が少なくなると、尿素水の液面がポンプの吸い込み口に近づくようになるため、ポンプへの空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプへの空気の混入が起きると、尿素添加弁に供給される尿素水の圧力は低下する。そこで、同構成では、尿素添加弁に供給される尿素水の圧力が予め定められた判定圧以下であって、かつタンク内の尿素水量が予め定められた閾値以下のときには、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態であると判定するようにしている。従って、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態にあることを適切に判定することができる。
【0011】
ここで、タンク内の尿素水量が十分な量であったとしても、尿素水の液面が傾くことでポンプの吸い込み口近傍における液面高さが低くなると、尿素水の液面がポンプの吸い込み口に近づくようになるため、ポンプへの空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプへの空気の混入が起きると、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができなくなる。そこで、上記尿素水供給装置において、前記タンク内の尿素水の液面の傾きを検出する傾き検出部を備えており、前記制御部は、前記傾き検出部で検出された前記液面の傾きに基づいて前記水量検出部にて検出される前記尿素水量を補正することが好ましい。
【0012】
同構成によれば、液面の傾きに基づいて尿素水量が補正されるため、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態にあるか否かを精度よく判定することができる。
【0013】
また、タンク内の尿素水は、極低温下において凍結するため、タンク内の尿素水を加熱して解凍するヒータを設けることが好ましい。ここで、タンク内の尿素水量が十分な量であったとしても、尿素水が凍結しており一部の尿素水しか解凍されていない状態では、尿素添加弁に供給可能な尿素水の量が少ない。そのため、冷却用の尿素添加を続けていると解凍された尿素水の液面がポンプの吸い込み口に近づくようになるため、ポンプへの空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプへの空気の混入が起きると、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができなくなる。ここで、ヒータによって解凍された尿素水の量は、ヒータによる尿素水の解凍時間の長さに比例して多くなる。そこで、上記尿素水供給装置において、前記ヒータによる尿素水の解凍時間を計測する計測部を備えており、前記制御部は、前記解凍時間に基づいて前記水量検出部にて検出される前記尿素水量を補正することが好ましい。
【0014】
同構成によれば、解凍された尿素水の量に比例する上記解凍時間に基づいて尿素水量が補正されるため、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態にあるか否かを精度よく判定することができる。
【0015】
他方、添加弁に供給される尿素水の圧力が低下したときには、ポンプの回転速度を増加させることにより尿素水の圧力を高める昇圧制御を行うことにより、低下した尿素水の圧力を回復させることができる。ここで、ポンプが空気を吸い込む程度までタンク内の尿素水量が減少していると、昇圧制御を繰り返し行っても尿素水の圧力を回復させることはできない。従って、そうした昇圧制御の実行回数に基づき、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態にあるか否かを判定することも可能である。
【0016】
そこで、上記尿素水供給装置において、前記尿素添加弁に供給される尿素水の圧力を検出する圧力検出部を備えており、前記制御部は、前記圧力検出部で検出された尿素水の圧力が予め定められた第1判定圧以下のときには、前記ポンプの回転速度を増加させることにより前記尿素水の圧力を高める昇圧制御を繰り返し実行し、前記昇圧制御の実行回数が予め定められた回数を超えても前記尿素水の圧力が前記第1判定圧よりも高い圧力に設定された第2判定圧に達しないときには、前記尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量を前記タンクから前記尿素添加弁に供給することができない状態であると判定することが好ましい。
【0017】
同構成によれば、タンク内の尿素水量を参照すること無く、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態にあることを適切に判定することができる。また、タンク内の尿素水量を参照しないため、尿素水の液面の傾きやタンク内における尿素水の解凍量を考慮しなくても、尿素添加弁の冷却に必要な尿素水の添加量をタンクから尿素添加弁に供給することができない状態にあるか否かを精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における尿素水供給装置を備える内燃機関の構成を示す模式図。
図2】同実施形態における腐食抑制処理の手順を示すフローチャート。
図3】腐食抑制処理の作用を説明するタイミングチャート。
図4】腐食抑制処理の作用を説明するタイミングチャート。
図5】第2実施形態における腐食抑制処理の手順を示すフローチャート。
図6】第1実施形態の変形例における腐食抑制処理の手順を示すフローチャート。
図7】第1実施形態の変形例における腐食抑制処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、内燃機関の尿素水供給装置を具体化した第1実施形態について、図1図4を参照して説明する。
【0020】
図1に、尿素水供給装置が適用された内燃機関1の構成を示す。なお、本実施形態の内燃機関1は、ディーゼルエンジンであって車両に搭載される。
内燃機関1には複数の気筒#1〜#4が設けられている。シリンダヘッド2には複数の燃料噴射弁4a〜4dが各気筒#1〜#4に対応して取り付けられている。これら燃料噴射弁4a〜4dは各気筒#1〜#4の燃焼室に燃料を噴射する。また、シリンダヘッド2には新気を気筒内に導入するための吸気ポートと、燃焼ガスを気筒外へ排出するための排気ポート6a〜6dとが各気筒#1〜#4に対応して設けられている。
【0021】
燃料噴射弁4a〜4dは、高圧燃料を蓄圧するコモンレール9に接続されている。コモンレール9はサプライポンプ10に接続されている。サプライポンプ10は燃料タンク内の燃料を吸入するとともにコモンレール9に高圧燃料を供給する。コモンレール9に供給された高圧燃料は、各燃料噴射弁4a〜4dの開弁時に同燃料噴射弁4a〜4dから気筒内に噴射される。
【0022】
吸気ポートにはインテークマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド7は吸気通路3に接続されている。この吸気通路3内には吸入空気量を調整するための吸気絞り弁16が設けられている。
【0023】
排気ポート6a〜6dにはエキゾーストマニホールド8が接続されている。エキゾーストマニホールド8は排気通路28に接続されている。
排気通路28の途中には、排気圧を利用して気筒に導入される吸入空気を過給するターボチャージャ11が設けられている。ターボチャージャ11の吸気側コンプレッサと吸気絞り弁16との間の吸気通路3にはインタークーラ18が設けられている。このインタークーラ18によって、ターボチャージャ11の過給により温度上昇した吸入空気の冷却が図られる。
【0024】
また、排気通路28の途中にあって、ターボチャージャ11の排気側タービンの下流には、排気を浄化する第1浄化部材30が設けられている。この第1浄化部材30の内部には、排気の流れ方向に対して直列に酸化触媒31及びフィルタ32が配設されている。
【0025】
酸化触媒31には、排気中のHCを酸化処理する触媒が担持されている。また、フィルタ32は、排気中のPM(微粒子物質)を捕集する部材であって、多孔質のセラミックで構成されている。このフィルタ32には、PMの酸化を促進させるための触媒が担持されており、排気中のPMは、フィルタ32の多孔質の壁を通過する際に捕集される。
【0026】
また、エキゾーストマニホールド8の集合部近傍には、酸化触媒31やフィルタ32に添加剤として燃料を供給するための燃料添加弁5が設けられている。この燃料添加弁5は、燃料供給管29を介して前記サプライポンプ10に接続されている。なお、燃料添加弁5の配設位置は、排気系にあって第1浄化部材30の上流側であれば適宜変更するも可能である。また、燃料の噴射時期を調整してポスト噴射を行うことにより、酸化触媒31やフィルタ32に添加剤として燃料を供給してもよい。
【0027】
フィルタ32に捕集されたPMの量が所定値を超えると、フィルタ32の再生処理が開始されて燃料添加弁5からはエキゾーストマニホールド8内に向けて燃料が噴射される。この燃料添加弁5から噴射された燃料は、酸化触媒31に達すると燃焼され、これにより排気温度の上昇が図られる。そして、酸化触媒31にて昇温された排気がフィルタ32に流入することにより、同フィルタ32は昇温され、これによりフィルタ32に堆積したPMが酸化処理されてフィルタ32の再生が図られる。
【0028】
また、排気通路28の途中にあって、第1浄化部材30の下流には、排気を浄化する第2浄化部材40が設けられている。第2浄化部材40の内部には、排気中のNOxを浄化する触媒として、選択還元型NOx触媒(以下、SCR触媒という)41が配設されている。
【0029】
さらに、排気通路28の途中にあって、第2浄化部材40の下流には、排気を浄化する第3浄化部材50が設けられている。第3浄化部材50の内部には、排気中のアンモニアを浄化するアンモニア酸化触媒51が配設されている。
【0030】
内燃機関1には、排気に尿素水を添加する尿素水供給装置200が設けられている。尿素水供給装置200は、尿素水を貯留するタンク210、排気通路28内に尿素水を噴射供給する尿素添加弁230、尿素添加弁230とタンク210とを接続する尿素水通路240、尿素水通路240の途中に設けられた電動式のポンプ220等にて構成されている。
【0031】
尿素水供給装置200には、凍結した尿素水を解凍したり、尿素水の凍結を抑えるためのヒータが設けられている。例えば本実施形態では、タンク210、尿素水通路240、及びポンプ220のそれぞれに電気式のヒータ290が設けられている。
【0032】
尿素添加弁230は、第1浄化部材30と第2浄化部材40との間の排気通路28に設けられており、その噴射孔はSCR触媒41に向けられている。この尿素添加弁230が開弁されると、尿素水通路240を介して排気通路28内に尿素水が噴射供給される。
【0033】
また、尿素添加弁230とSCR触媒41との間の排気通路28内には、尿素添加弁230から噴射された尿素水をSCR触媒41の上流で分散させることにより同尿素水の霧化を促進する分散板60が設けられている。
【0034】
尿素添加弁230から噴射された尿素水は、排気の熱によって加水分解されてアンモニアになる。そしてこのアンモニアはSCR触媒41に吸着される。そして、SCR触媒41に吸着されたアンモニアによってNOxが還元浄化される。
【0035】
この他、内燃機関1には排気再循環装置(以下、EGR装置という)が備えられている。このEGR装置は、排気の一部を吸入空気に導入することで気筒内の燃焼温度を低下させ、NOxの発生量を低減させる装置である。このEGR装置は、吸気通路3とエキゾーストマニホールド8とを連通するEGR通路13、同EGR通路13に設けられたEGR弁15、及びEGRクーラ14等により構成されている。EGR弁15の開度が調整されることにより排気通路28から吸気通路3に導入される排気再循環量、すなわちEGR量が調量される。また、EGRクーラ14によってEGR通路13内を流れる排気の温度が低下される。
【0036】
内燃機関1には、機関運転状態を検出するための各種センサが取り付けられている。例えば、エアフロメータ19は吸入空気量GAを検出する。絞り弁開度センサ20は吸気絞り弁16の開度を検出する。クランク角センサ21は機関回転速度NEを検出する。アクセルセンサ22はアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル操作量ACCPを検出する。外気温センサ23は、外気温度THoutを検出する。車速センサ24は内燃機関1が搭載された車両の走行速度である車速SPDを検出する。傾斜角センサ25は、車両の傾斜角ARを検出するセンサであって、傾斜角ARは、タンク210内の尿素水の液面の傾きを示す。尿素添加弁230近傍の尿素水通路240に設けられた圧力検出部としての圧力センサ260は、尿素添加弁230に供給される尿素水の圧力である尿素水圧PNを検出する。タンク210に設けられた温度センサ270は、タンク210内の尿素水の温度である尿素水温度THnを検出する。タンク210に設けられた水量検出部としてのレベルセンサ280は、タンク210内に貯留されている尿素水の量である尿素水量RNを検出する。
【0037】
また、酸化触媒31の上流に設けられた第1排気温度センサ100は、酸化触媒31に流入する前の排気温度である第1排気温度TH1を検出する。差圧センサ110は、フィルタ32の上流及び下流の排気圧の圧力差である差圧ΔPを検出する。第1浄化部材30と第2浄化部材40との間の排気通路28にあって、尿素添加弁230の上流には、第2排気温度センサ120及び第1NOxセンサ130が設けられている。第2排気温度センサ120は、SCR触媒41に流入する前の排気温度である第2排気温度TH2を検出する。第1NOxセンサ130は、SCR触媒41に流入する前の排気中のNOx濃度、つまりSCR触媒41で浄化される前の排気中のNOx濃度である第1NOx濃度N1を検出する。なお、第1NOx濃度N1は、燃料噴射弁4a〜4dから噴射される燃料噴射量、燃料の噴射時期、機関回転速度、及び空燃比に関与する吸入空気量GA等といった機関運転状態に関する各種値に基づいて推定することも可能である。
【0038】
第3浄化部材50の下流の排気通路28には、SCR触媒41で浄化された排気のNOx濃度である第2NOx濃度N2を検出する第2NOxセンサ140が設けられている。
これら各種センサ等の出力は、制御部としての制御装置80に入力される。制御装置80は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0039】
そして、この制御装置80により、例えば燃料噴射弁4a〜4dや燃料添加弁5の燃料噴射制御、サプライポンプ10の吐出圧力制御、吸気絞り弁16を開閉するアクチュエータ17の駆動量制御、EGR弁15の開度制御等、内燃機関1の各種制御が行われる。また、上記フィルタ32に捕集されたPMを燃焼させる上記再生処理等といった各種の排気浄化制御も同制御装置80によって行われる。
【0040】
また、制御装置80は、排気浄化制御の一つとして、上記尿素添加弁230による尿素水の添加制御を行う。この添加制御では、内燃機関1から排出されるNOxを還元処理するために必要な尿素添加量QEが機関運転状態等に基づいて算出される。そして、算出された尿素添加量QEが尿素添加弁230から噴射されるように、尿素添加弁230の開弁状態が制御される。
【0041】
他方、尿素添加弁230の先端は排気に曝されるため、熱害を受けるおそれがある。ここで、尿素添加弁230から尿素水を噴射すると、比較的温度の低い尿素水がタンク210から尿素添加弁230内に流れ込むため、尿素添加弁230は冷却される。そこで、制御装置80は、尿素添加弁230から尿素水を噴射することで同尿素添加弁230を冷却する冷却添加を行う。この冷却添加では、排気温度(例えば第2排気温度TH2など)、排気流量(例えば吸入空気量GAや機関回転速度などに基づいて算出される推定値など)、走行風による尿素添加弁230の冷却効果に関与する車速SPD、尿素水温度THn等に基づき、冷却添加に必要な尿素水の添加量である冷却添加量QECが算出される。そして、NOx浄化用の上記尿素添加量QEが冷却添加量QECを超えている場合には、尿素添加量QEに相当する量の尿素水が尿素添加弁230から噴射されるように、尿素添加弁230の開弁状態が制御される。一方、NOx浄化用の上記尿素添加量QEが冷却添加量QEC以下である場合には、冷却添加量QECに相当する量の尿素水が尿素添加弁230から噴射されるように、尿素添加弁230の開弁状態が制御される。
【0042】
また、機関運転が停止されると尿素添加も停止されるのであるが、尿素添加弁230内や尿素水通路240内に尿素水が残留していると、外気温度が低いときなどにはその残留した尿素水が凍結し、膨張するおそれがある。そこで、そうした尿素水の凍結膨張による尿素添加弁230や尿素水通路240の破損を防止するために、制御装置80は、機関停止後に尿素添加弁230内や尿素水通路240内の尿素水をタンク210に吸い戻す吸い戻し制御を行う。この吸い戻し制御では、機関運転中の尿素添加時とは逆方向にポンプ220が駆動されるとともに尿素添加弁230が開弁状態に保持される。こうしたポンプ220の逆回転駆動と尿素添加弁230の開弁状態の保持とが所定時間実行されることにより、尿素添加弁230及び尿素水通路240を満たしていた尿素水はタンク210に吸い戻される。
【0043】
また、機関停止後にこうした吸い戻し制御を行うと、次に機関始動が行われて尿素添加を開始するときには、尿素添加弁230及び尿素水通路240を尿素水で満たす必要がある。そこで、制御装置80は、機関始動後であってNOx浄化用の尿素添加を開始する前に、尿素添加弁230及び尿素水通路240が尿素水で満たされるようにポンプ220を正回転駆動するとともに尿素添加弁230を開閉駆動する充填制御を行う。そして、充填制御が完了すると、制御装置80は、尿素水圧PNを予め定められた規定圧近傍の圧力にまで昇圧する昇圧制御を実行する。この昇圧制御では、制御装置80は、尿素添加弁230を閉弁状態に維持すると共に、正回転駆動されているポンプ220の回転速度を所定速度まで増大させる処理を所定時間実行する。そして、昇圧制御が完了すると、制御装置80は、尿素水圧PNが規定圧にて保持されるようにポンプ220の回転速度をフィードバック制御する定圧制御を開始する。そして、こうした定圧制御が開始されると、尿素水の添加準備が完了する。
【0044】
また、制御装置80は、尿素水温度THnが所定の温度よりも低い場合、タンク210内の尿素水が凍結している可能性が高いと判断し、ヒータ290への通電を行うことにより尿素水の解凍を行う。そして、尿素水温度THnが所定温度以上になった場合には、尿素水の解凍が完了した判断して、ヒータ290への通電を停止する。
【0045】
ところで、上述した冷却添加の実行に必要な冷却添加量QECに相当する量の尿素水をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態になると、それまで添加していた尿素水が尿素添加弁230内に残留するようになる。そのため、その残留した尿素水が排気によって高温化し、尿素添加弁230が腐食するおそれがある。
【0046】
そこで、制御装置80は、そうした尿素水による尿素添加弁230の腐食を抑えるために、図2に示す腐食抑制処理を所定周期毎に実行する。
図2に示すように、本処理が開始されると、添加準備が完了しているか否かが判定される(S100)。このステップS100では、上述したように充填制御及び昇圧制御が完了しており、定圧制御が開始されているときに、添加準備が完了していると判定される。そして、添加準備が完了していないときには(S100:NO)、本処理は終了される。
【0047】
一方、添加準備が完了しているときには(S100:YES)、上記尿素水圧PNが低下したか否かが判定される(S110)。このステップS110では、尿素水圧PNが判定圧PNTS以下であるときに尿素水圧PNが低下したと判定される。この判定圧PNTSには、上述した規定圧よりも十分に低い圧力が予め設定されている。なお、尿素水圧PNが判定圧PNTS以下となった状態が突発的な状態ではなく、ある程度継続した状態であることを判定するために、このステップS110では、尿素水圧PNが判定圧PNTS以下となった状態が規定期間TT以上継続しているときに、尿素水圧PNが低下したと判定することが好ましい。ちなみに、規定期間TTには、尿素水圧PNが判定圧PNTS以下となった状態が突発的な状態ではなく、ある程度継続した状態であることを判定するのに適した時間を予め設定しておくとよい。そして、尿素水圧PNが低下していないと判定されるときには(S110:NO)、本処理は終了される。
【0048】
一方、尿素水圧PNが低下していると判定されるときには(S110:YES)、タンク210内の尿素水量RNが閾値RNTS以下か否かが判定される(S120)。この閾値RNTSとしては、尿素水量RNがこの閾値RNTS以下になっていることに基づいて、現在の尿素水量RNが、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態になっていることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されている。
【0049】
そして、尿素水量RNが閾値RNTS以下であるときには(S120:YES)、吸い戻し制御が実行されて(S130)、本処理は終了される。このステップS120における吸い戻し制御は、上述した吸い戻し制御と同じ制御である。すなわち、機関運転中の尿素添加時とは逆方向にポンプ220が駆動されるとともに尿素添加弁230が開弁状態に保持される。そして、こうしたポンプ220の逆回転駆動と尿素添加弁230の開弁状態の保持とが予め定められた時間の間実行されることにより、尿素添加弁230内に残留している尿素水や、尿素水通路240内に残留している尿素水はタンク210に吸い戻される。
【0050】
一方、尿素水量RNが閾値RNTSを超えているときには(S120:NO)、昇圧制御が実行されて(S140)、本処理は終了される。このステップS140における昇圧制御は、上述した昇圧制御と同じである。すなわち、尿素添加弁230を閉弁状態に維持すると共にポンプ220を正回転駆動した状態でポンプ回転速度を所定速度まで増大させる処理を所定時間実行することにより、低下している尿素水圧PNを上記規定圧近傍の圧力にまで昇圧させる。なお、この昇圧制御が完了すると、上述した定圧制御が開始される。
【0051】
次に、上記腐食抑制処理の実行によって得られる作用を説明する。
図3に示すように、ポンプ220への空気の混入により、規定圧に維持されていた尿素水圧PNが低下し始めて、時刻t1において判定圧PNTS以下になり、尿素水圧PNが判定圧PNTS以下である状態が上記規定期間TT以上継続すると(時刻t2)、その時点での尿素水量RNが閾値RNTS以下であるか否かが判定される。そして、尿素水量RNが閾値RNTSを超えていときには、昇圧制御が実行されることによりポンプ回転速度は所定速度まで増大される。そして、昇圧制御が所定時間実行されると、尿素水圧PNは規定圧近傍にまで昇圧される(時刻t3)。
【0052】
このように、尿素水圧PNが低下したときの尿素水量RNが閾値RNTSを超えている場合には、タンク210内に貯留されている尿素水の量は、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができる程度に十分貯留された状態になっている。そのため、尿素水圧PNの低下は一時的なものであり、上記昇圧制御を行うことで、尿素水圧PNは上記規定圧にまで回復するようになる。
【0053】
一方、図4に示すように、ポンプ220への空気の混入により、規定圧に維持されていた尿素水圧PNが低下し始めて、時刻t1において判定圧PNTS以下になり、尿素水圧PNが判定圧PNTS以下である状態が上記規定期間TT以上継続すると(時刻t2)、その時点での尿素水量RNが閾値RNTS以下であるか否かが判定される。そして、尿素水量RNが閾値RNTS以下であるときには、吸い戻し制御が実行されることにより、正回転していたポンプ220は、予め定められたポンプ回転速度にて逆回転される(時刻t3)。なお、正回転していたポンプ220を急激に逆回転させると、ポンプ220に大きな負荷が加わってしまうため、正回転していたポンプ220を一旦停止させた後に、逆回転を開始させるようにすることが好ましい。そして、吸い戻し制御が所定時間実行されると、ポンプ220の回転は停止される(時刻t4)。
【0054】
このように、ポンプ220への空気の混入によって尿素水圧PNが低下しており、かつ尿素水量RNが閾値RNTS以下である場合には、ポンプ220への空気の混入が尿素水量RNの不足に起因するものである。そして、タンク210内に貯留されている尿素水の量は、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない程度に不足した状態になっている。そのため、昇圧制御は行わず、吸い戻し制御が行われる。つまり、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態になっており、尿素添加による尿素添加弁230の冷却効果が十分に得られない状態のときには、尿素添加弁230内の尿素水がタンク210に戻される。従って、尿素添加弁230内に尿素水が残留することを抑えることができる。そのため、尿素添加弁230内に残留した尿素水が排気によって高温化することにより、尿素添加弁230が腐食するという不具合の発生が抑えられる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができないと判定されるときには、尿素添加弁230内の尿素水をタンク210に吸い戻すようにしている。従って、尿素添加による尿素添加弁230の冷却効果が十分に得られない状態のときに、尿素添加弁230内に尿素水が残留することを抑えることができる。そのため、尿素水による尿素添加弁230の腐食を抑えることができる。
【0056】
(2)タンク210内の尿素水量RNが少なくなると、尿素水の液面がポンプ220の吸い込み口に近づくようになるため、ポンプ220への空気の混入が起きやすくなる。そして、実際にポンプ220への空気の混入が起きると、尿素添加弁230に供給される尿素水の圧力は低下する。そこで、尿素添加弁230に供給される尿素水の圧力である尿素水圧PNが予め定められた判定圧RNTS以下であってポンプ220への空気の混入が起きていると判断できる状態において(S110:YES)、タンク210内の尿素水量RNが予め定められた閾値RNTS以下のときには(S120:YES)、次のように判定するようにしている。すなわち、ポンプ220への空気の混入が尿素水量RNの不足に起因するものであり、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態であると判定している。従って、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあることを適切に判定することができるようになる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、内燃機関の尿素水供給装置を具体化した第2実施形態について、図5を参照して説明する。
【0058】
タンク210内の尿素水量RNが十分な量であったとしても、車両が傾斜して尿素水の液面が傾くことにより、ポンプ220の吸い込み口近傍における尿素水の液面高さが低くなると、尿素水の液面がポンプ220の吸い込み口に近づくようになる。そのため、ポンプ220への空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプ220への空気の混入が起きると、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができなくなる。
【0059】
また、タンク210内の尿素水は、極低温下において凍結するため、タンク210内の尿素水を加熱して解凍するヒータ290が設けられている。ここで、タンク210内の尿素水量が十分な量であったとしても、尿素水が凍結しており一部の尿素水しか解凍されていない状態では、尿素添加弁230に供給可能な尿素水の量が少ない。そのため、冷却添加を続けていると比較的早い時期に解凍された尿素水の液面がポンプ220の吸い込み口に近づくようになる。そのため、この場合にも、ポンプ220への空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプ220への空気の混入が起きると、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができなくなる。
【0060】
こうした理由により、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあるか否かを判定する際に、尿素水量RNを参照する場合には、そうした液面の傾きや尿素水の解凍量を考慮することが好ましい。しかし、こうした点を考慮する場合には、液面の傾きや尿素水の解凍量に応じて尿素水量RNを補正する必要があるため、制御が複雑化したり、補正に使用する補正値を求めるために多くの適合工数が必要になるといった不都合がある。
【0061】
他方、上述したように、尿素添加弁230に供給される尿素水の圧力が低下したときには、ポンプ220の回転速度を増加させることにより尿素水の圧力を高める昇圧制御を行うことにより、低下した尿素水の圧力を回復させることができる。ここで、ポンプ220が空気を吸い込む程度までタンク210内の尿素水量が減少していると、昇圧制御を繰り返し行っても尿素水の圧力を回復させることはできない。従って、そうした昇圧制御の実行回数に基づき、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあるか否かを判定することも可能である。
【0062】
そこで、本実施形態では、尿素水量RNではなく、昇圧制御の実行回数を利用して上記腐食抑制処理を行うようにしている。以下、第1実施形態との相異点を中心にして、本実施形態の腐食抑制処理を説明する。
【0063】
図5に、本実施形態の腐食抑制処理の手順を示す。なお、図5において、第1実施形態で説明した腐食抑制処理の処理ステップと実質的に同一の処理ステップについては、同じステップ番号を付している。
【0064】
図5に示すように、本処理が開始されて、ステップS100にて添加準備が完了していると判定されるときには(S100:YES)、尿素水圧PNが低下したか否かが判定される(S110)。このステップS110では、尿素水圧PNが第1判定圧PNTS1以下であるときに尿素水圧PNが低下したと判定される。なお、第1判定圧PNTS1は、第1実施形態で説明した判定圧PNTSと同じ値が設定されている。なお、尿素水圧PNが第1判定圧PNTS1以下となった状態が突発的な状態ではなく、ある程度継続した状態であることを判定するために、このステップS110でも、尿素水圧PNが第1判定圧PNTS1以下となった状態が上記規定期間TT以上継続しているときに、尿素水圧PNが低下したと判定することが好ましい。
【0065】
そして、ステップS110にて尿素水圧PNが低下したと判定されるときには(S110:YES)、カウンタKがカウンタ判定値KTSを超えているか否かが判定される(S120)。このカウンタKは、昇圧制御の実行回数を示す値である。また、カウンタ判定値KTSとしては、カウンタKがこのカウンタ判定値KTSを超えていることに基づき、昇圧制御を複数回行っても、低下した尿素水圧PNを回復させることができない状態になっていることを的確に判定することができるように、その値の大きさは設定されている。
【0066】
そして、カウンタKがカウンタ判定値KTSを超えているときには(S120:YES)、カウンタ判定値KTSの値の分だけ昇圧制御を繰り返し行っても、低下した尿素水圧PNを回復させることができない状態になっている。そのため、このように尿素水圧PNを回復させることができない状態は、ポンプ220が空気を吸い込む程度までタンク210内の尿素水量RNが減少しているためであると推測することができる。そして、このように推測することができる場合には、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあると判断することができる。そこで、第1実施形態と同様に吸い戻し制御が実行される(S130)。そして、カウンタKが「0」にリセットされて(S240)、本処理は終了される。
【0067】
一方、カウンタKがカウンタ判定値KTS以下であるときには(S120:NO)、上述した昇圧制御が1回行われて(S210)、カウンタKの更新が行われる(S220)。ステップS220では、現在のカウンタKの値に「1」が加算されることにより、カウンタKの更新が行われる。
【0068】
次に、尿素水圧PNが回復したか否かが判定される(S230)。このステップS230では、ステップS210での昇圧制御の実行によって尿素水圧PNが上記第1判定圧PNTS1よりも高い圧力に設定された第2判定圧PNTS2、より好適には上記規定圧近傍の圧力に設定された第2判定圧PNTS2に達しているときには、尿素水圧PNが回復したと判定される。
【0069】
そして、尿素水圧PNが回復したと判定されるときには(S230:YES)、カウンタKが「0」にリセットされて(S240)、本処理は終了される。なお、ステップS210での昇圧制御の実行によって尿素水圧PNが回復したと判定されるときには、上述した定圧制御が開始される。
【0070】
一方、尿素水圧PNが回復していないと判定されるときには(S230:NO)、上記ステップS200の以降の処理が実行されることにより、カウンタKがカウンタ判定値KTSを超えるまで、あるいはカウンタKがカウンタ判定値KTS以下であって尿素水圧PNが回復するまで昇圧制御は繰り返し実行される。
【0071】
以上説明した本実施形態によれば、上記(1)の効果に加えて次の作用効果を得ることができる。
(3)尿素水圧PNが第1判定圧PNTS1以下のときには、ポンプ220の回転速度を増加させることにより尿素水圧PNを高める昇圧制御を繰り返し実行する。そして、昇圧制御の実行回数を示すカウンタKがカウンタ判定値KTSを超えても、尿素水圧PNが第1判定圧PNTS1よりも高い圧力に設定された第2判定圧PNTS2に達しておらず、尿素水圧PNを回復させることができないときには、次のように判定するようにしている。すなわち尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態であると判定するようにしている。
【0072】
従って、タンク210内の尿素水量RNを参照すること無く、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあることを適切に判定することができる。
【0073】
また、タンク210内の尿素水量RNを参照しないため、尿素水の液面の傾きやタンク210内における尿素水の解凍量を考慮しなくても、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあることを適切に判定することができるようになる。
【0074】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・上述したように、タンク210内の尿素水量RNが十分な量であったとしても、車両が傾斜して尿素水の液面が傾くことにより、ポンプ220の吸い込み口近傍における尿素水の液面高さが低くなると、尿素水の液面がポンプ220の吸い込み口に近づくようになる。そのため、ポンプ220への空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプ220への空気の混入が起きると、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができなくなる。
【0075】
そこで、上記第1実施形態で説明した腐食抑制処理を実行する場合には、レベルセンサ280で検出された尿素水量RNを、傾斜角センサ25で検出された傾斜角ARに基づいて補正するようにしてもよい。この変形例における腐食抑制処理の手順の一例を図6に示す。
【0076】
図6に示すように、第1実施形態で説明した腐食抑制処理のステップS110にて、尿素水圧PNが低下したと判定されるときには(S110:YES)、制御装置80は、傾斜角ARを取得する(S300)。そして、取得した傾斜角ARに基づいて尿素水量RNを補正する(S310)。このステップS310では、例えば水平方向に対して傾斜角ARが大きくなるほど、ポンプ220の吸い込み口から液面までの高さが低くなる場合には、傾斜角ARが大きくなるほど補正後の尿素水量RNが少なくなるように、尿素水量RNを補正する。
【0077】
次に、傾斜角ARに基づいて補正された補正後の尿素水量RNが上記閾値RNTS以下であるか否かを判定する(S320)。そして、補正後の尿素水量RNが上記閾値RNTS以下であるときには(S320:YES)、上記ステップS130と同様に、上述した吸い戻し制御を実行する。一方、補正後の尿素水量RNが上記閾値RNTSを超えているときには(S320:NO)、上記ステップS140と同様に、上述した昇圧制御を実行する。
【0078】
こうした変形例によれば、尿素水の液面の傾きに基づいて尿素水量RNが補正されるため、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあるか否かを精度よく判定することができる。
【0079】
なお、車両の加速度によっても尿素水の液面は傾くため、例えば車両の加速度を検出する加速度センサを設ける。そして、加速度センサで検出された車両の加速度が大きいときほど、尿素水の液面の傾きが大きいと推定する。そして、上記傾斜角ARと同様に、その推定された液面の傾きの大きさに基づいて尿素水量RNを補正してもよい。
【0080】
・上述したように、タンク210内の尿素水量が十分な量であったとしても、尿素水が凍結しており一部の尿素水しか解凍されていない状態では、尿素添加弁230に供給可能な尿素水の量が少ない。そのため、冷却添加を続けていると比較的早い時期に解凍された尿素水の液面がポンプ220の吸い込み口に近づくようになる。そのため、この場合にも、ポンプ220への空気の混入が起きやすくなり、実際にポンプ220への空気の混入が起きると、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができなくなる。
【0081】
ここで、ヒータ290によって解凍された尿素水の量は、ヒータ290の通電時間、つまり尿素水の解凍時間の長さに比例して多くなる。そこで、上記第1実施形態で説明した腐食抑制処理を実行する場合、計測部としての制御装置80は、ヒータ290による尿素水の解凍時間UFTを計測する。より詳細には、ヒータ290に通電を開始してから現在までの通電時間を計測する。そして、タンク210内の尿素水が凍結している可能性が高いと判断したときにレベルセンサ280で検出されていた尿素水量RN、換言すればヒータ290による尿素水の解凍が開始された時点においてレベルセンサ280で検出されていた尿素水量RNを解凍時間UFTに基づいて補正するようにしてもよい。この変形例における腐食抑制処理の手順の一例を図7に示す。
【0082】
図7に示すように、第1実施形態で説明した腐食抑制処理のステップS110にて、尿素水圧PNが低下したと判定されるときには(S110:YES)、ヒータ290への通電が行われているか否かを判定する(S400)。そして、ヒータ290への通電が行われていないときには(S400:NO)、第1実施形態で説明したステップS120以降の処理を実行する。
【0083】
一方、ヒータ290への通電が行われているときには(S400:YES)、現在、尿素水の解凍が行われているため、解凍時間UFTの計測が行われている。そこで、解凍開始時における尿素水量RNを解凍時間UFTに基づいて補正することにより、解凍された尿素水の量を算出する(S410)。このステップS410における尿素水量RNの補正は、例えば以下のようにして実施される。
【0084】
すなわち、ヒータ290による尿素水の解凍が開始された時点では、タンク210内の尿素水が全て凍結しているものと仮定し、尿素水の解凍開始時においてレベルセンサ280により検出された尿素水量RNを記憶しておく。そして、その記憶した尿素水量RNに対して乗算される値であって解凍時間UFTに基づいて設定される補正値を算出する。例えば、この補正値は「0」以上「1」以下の範囲内で可変設定される値であって、解凍時間UFTが「0」のときには補正値として「0」が設定される。そして、解凍時間UFTが長くなるに伴ってこの補正値は徐々に大きくされていく。こうした補正により、解凍時間UFTが短いときほど補正後の尿素水量RNは少なくなり、解凍時間UFTに応じて尿素水量RNは減量補正される。なお、こうした尿素水量RNの補正方法は一例であり、解凍時間UFTに応じた尿素水の解凍量を適切に算出することができるのであれば、他の方法で解凍時間UFTに基づいた尿素水量RNの補正を行ってもよい。
【0085】
次に、解凍時間UFTに基づいて補正された補正後の尿素水量RN、つまり現状での尿素水の解凍量が上記閾値RNTS以下であるか否かを判定する(S420)。そして、補正後の尿素水量RNが上記閾値RNTS以下であるときには(S420:YES)、上記ステップS130と同様に、上述した吸い戻し制御を実行する。一方、補正後の尿素水量RNが上記閾値RNTSを超えているときには(S420:NO)、上記ステップS140と同様に、上述した昇圧制御を実行する。
【0086】
こうした変形例によれば、解凍された尿素水の量に比例する上記解凍時間UFTに基づいて尿素水量RNが補正されるため、尿素添加弁230の冷却に必要な尿素水の添加量をタンク210から尿素添加弁230に供給することができない状態にあるか否かを精度よく判定することができる。
【0087】
・酸化触媒31、フィルタ32、SCR触媒41、及びアンモニア酸化触媒51の配設数は適宜変更することができる。
・排気温度センサやNOxセンサの配設数は適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…内燃機関、2…シリンダヘッド、3…吸気通路、4a〜4d…燃料噴射弁、5…燃料添加弁、6a〜6d…排気ポート、7…インテークマニホールド、8…エキゾーストマニホールド、9…コモンレール、10…サプライポンプ、11…ターボチャージャ、13…EGR通路、14…EGRクーラ、15…EGR弁、16…吸気絞り弁、17…アクチュエータ、18…インタークーラ、19…エアフロメータ、20…絞り弁開度センサ、21…クランク角センサ、22…アクセルセンサ、23…外気温センサ、24…車速センサ、25…傾斜角センサ、28…排気通路、29…燃料供給管、30…第1浄化部材、31…酸化触媒、32…フィルタ、40…第2浄化部材、41…選択還元型NOx触媒(SCR触媒)、50…第3浄化部材、51…アンモニア酸化触媒、60…分散板、80…制御装置、100…第1排気温度センサ、110…差圧センサ、120…第2排気温度センサ、130…第1NOxセンサ、140…第2NOxセンサ、200…尿素水供給装置、210…タンク、220…ポンプ、230…尿素添加弁、240…尿素水通路、260…圧力センサ、270…温度センサ、280…レベルセンサ、290…ヒータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7