特開2016-223307(P2016-223307A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223307(P2016-223307A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】可変容量型斜板式液圧回転機
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/22 20060101AFI20161205BHJP
   F03C 1/253 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F04B1/22
   F03C1/253
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-107681(P2015-107681)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宇野 峰志
(72)【発明者】
【氏名】横町 尚也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 力
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐規
【テーマコード(参考)】
3H070
3H084
【Fターム(参考)】
3H070AA01
3H070BB04
3H070BB06
3H070CC12
3H070CC37
3H070DD02
3H070DD13
3H070DD42
3H070DD47
3H084AA08
3H084AA16
3H084BB11
3H084CC02
3H084CC14
3H084CC33
3H084CC35
(57)【要約】
【課題】斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性を調整することができる可変容量型斜板式液圧回転機を提供すること。
【解決手段】供給孔43には、オリフィス50hを有する着脱自在な取付部材50が設けられている。これによれば、取付部材50を供給孔43に設ける前に比べて、シリンダボア内から溝40内に供給される作動油の供給量が変化する。よって、溝40内に供給される作動油の圧力による斜板18をピストンに向けて押し返す力が調節され、摺動面32aと被摺動面との間に形成される油膜の厚さが調節される。その結果として、摺動面32aと被摺動面との間で発生する摩擦力が調節されるため、斜板18の傾角の変更に伴う斜板18の動きの応答性が調整可能となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に支持される回転軸と、
前記回転軸と一体的に回転するシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに形成される複数のシリンダボアと、
各シリンダボア内に収納されるピストンと、
前記ピストンの端部に設けられるシューと、
前記ハウジング内に収容されるとともに前記回転軸の回転軸線に直交する方向に対する傾角の変更が可能な斜板と、
前記斜板の傾角の変更を許容しつつ、且つ前記斜板を保持する斜板保持部と、を備え、
前記斜板は、前記シューが摺接する摺接面と、前記シリンダブロックとは反対側に向けて膨出する弧状に湾曲した摺動面を有する摺動部と、を備え、
前記斜板保持部は、前記摺動面に沿って延びるとともに前記摺動面が摺動する被摺動面を備え、
前記摺動面には、内部に作動油が供給される溝が形成されており、
前記斜板には、前記シリンダボア内の作動油を前記溝内に供給する供給孔が形成されており、
前記回転軸の回転に伴って前記シリンダブロックが回転して、各シューが前記摺接面に摺接しながら、各ピストンが前記回転軸の周囲を前記回転軸の周方向に移動することで、前記ピストンが前記斜板の傾角に応じたストロークで往復動する可変容量型斜板式液圧回転機であって、
前記供給孔には、前記シリンダボア内から前記溝内に供給される作動油の供給量を調節するオリフィスを有する着脱自在な取付部材が設けられていることを特徴とする可変容量型斜板式液圧回転機。
【請求項2】
前記斜板は、前記摺動部を一対備え、
一方の摺動部は、吐出行程中のピストンに対応する側に位置するとともに、他方の摺動部は、吸入行程中のピストンに対応する側に位置しており、
前記溝は、少なくとも前記一方の摺動部の摺動面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式液圧回転機。
【請求項3】
前記供給孔における前記取付部材よりも前記摺接面側にオリフィスがさらに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の可変容量型斜板式液圧回転機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容量型斜板式液圧回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
可変容量型斜板式液圧回転機は、例えば、エンジン式のフォークリフトに搭載される油圧ポンプや、油圧モータとして使用されている。可変容量型斜板式液圧回転機は、油圧ポンプとして使用される場合には、作動油(作動流体)の吐出容量を可変とし、油圧モータとして使用される場合には、回転速度やトルクを可変とする。このような可変容量型斜板式液圧回転機のハウジング内には回転軸が回転可能に支持されている。回転軸には、回転軸と一体的に回転するシリンダブロックが設けられている。シリンダブロックには、複数のシリンダボアが回転軸の周囲に形成されている。各シリンダボア内にはピストンが収納されている。各ピストンの端部にはシューがそれぞれ設けられている。各シューは、リテーナプレートによって保持されている。
【0003】
ハウジング内には、回転軸の回転軸線に直交する方向に対する傾斜角度(傾角)の変更が可能な斜板が収容されている。斜板におけるシリンダブロック側の端面は、各シューが摺接する平坦面状の摺接面になっている。そして、回転軸が回転してシリンダブロックが回転軸と一体的に回転すると、各シューが斜板の摺接面を摺接しながら、各ピストンが回転軸の周囲を回転軸の周方向に沿って移動する。これにより、各ピストンは、シリンダブロックの回転に伴って斜板の傾角に応じたストロークでシリンダボア内を往復動する。
【0004】
斜板は、一対の摺動部を備えている。摺動部は、シリンダブロックとは反対側に向けて膨出する弧状に湾曲した摺動面を有する。また、ハウジングは、斜板の傾角の変更を許容しつつ、且つ斜板を保持する斜板保持部を備えている。斜板保持部は、一対の摺動部の摺動面に沿って延びるとともに摺動面が摺動する被摺動面を有する。そして、一対の摺動部の摺動面が斜板保持部の被摺動面を摺動することで、斜板の傾角が変更される。
【0005】
ところで、斜板の傾角の変更に伴って、摺動部の摺動面が斜板保持部の被摺動面を摺動するため、摺動面と被摺動面との間では摩擦が生じる。そこで、摺動部の摺動面に溝を形成し、溝内に作動油を供給しているものが、例えば特許文献1に開示されている。斜板には、シリンダボア内の作動油を溝内に供給する供給孔(特許文献1では通孔)が形成されている。供給孔の途中にはオリフィスが設けられている。オリフィスは、シリンダボア内から溝内に供給される作動油の供給量を調節する。そして、溝内に供給された作動油の圧力によって、斜板をピストンに向けて押し返す力が発生し、摺動面と被摺動面との間に油膜が形成されることで、摺動面と被摺動面との面圧が低減され、斜板の傾角の変更に伴う摺動面と被摺動面との間の摩擦が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−242825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような可変容量型ピストンポンプにおいては、溝内に供給される作動油の供給量が多いほど、溝内に供給された作動油の圧力による斜板をピストンに向けて押し返す力が大きくなり、摺動面と被摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなる。摺動面と被摺動面との間に形成される油膜の厚さが厚くなると、摺動面と被摺動面との面圧が低減され易くなり、斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性が良くなる。斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性が良過ぎると、斜板の傾角の変更が行われるときに、可変容量型ピストンポンプを駆動するエンジンに対して急激に負荷が加わってしまうため好ましくない。
【0008】
一方、溝内に供給される作動油の供給量が少ないほど、溝内に供給された作動油の圧力による斜板をピストンに向けて押し返す力が小さくなり、摺動面と被摺動面との間に形成される油膜の厚さが薄くなる。摺動面と被摺動面との間に形成される油膜の厚さが薄くなると、摺動面と被摺動面との面圧が低減され難くなり、斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性が悪くなる。斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性が悪過ぎると、フォークリフトの荷役装置に対する作動油の供給量の制御を素早く行うことができなくなってしまうため好ましくない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性を調整することができる可変容量型斜板式液圧回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する可変容量型斜板式液圧回転機は、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸と一体的に回転するシリンダブロックと、前記シリンダブロックに形成される複数のシリンダボアと、各シリンダボア内に収納されるピストンと、前記ピストンの端部に設けられるシューと、前記ハウジング内に収容されるとともに前記回転軸の回転軸線に直交する方向に対する傾角の変更が可能な斜板と、前記斜板の傾角の変更を許容しつつ、且つ前記斜板を保持する斜板保持部と、を備え、前記斜板は、前記シューが摺接する摺接面と、前記シリンダブロックとは反対側に向けて膨出する弧状に湾曲した摺動面を有する摺動部と、を備え、前記斜板保持部は、前記摺動面に沿って延びるとともに前記摺動面が摺動する被摺動面を備え、前記摺動面には、内部に作動油が供給される溝が形成されており、前記斜板には、前記シリンダボア内の作動油を前記溝内に供給する供給孔が形成されており、前記回転軸の回転に伴って前記シリンダブロックが回転して、各シューが前記摺接面に摺接しながら、各ピストンが前記回転軸の周囲を前記回転軸の周方向に移動することで、前記ピストンが前記斜板の傾角に応じたストロークで往復動する可変容量型斜板式液圧回転機であって、前記供給孔には、前記シリンダボア内から前記溝内に供給される作動油の供給量を調節するオリフィスを有する着脱自在な取付部材が設けられている。
【0011】
これによれば、取付部材を供給孔に設けることで、取付部材を供給孔に設ける前に比べて、シリンダボア内から溝内に供給される作動油の供給量が変化する。よって、溝内に供給される作動油の圧力による斜板をピストンに向けて押し返す力を調節することができ、摺動面と被摺動面との間に形成される油膜の厚さを調節することができる。その結果として、摺動面と被摺動面との間で発生する摩擦力が調節されるため、斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性を調整することができる。
【0012】
上記可変容量型斜板式液圧回転機において、前記斜板は、前記摺動部を一対備え、一方の摺動部は、吐出行程中のピストンに対応する側に位置するとともに、他方の摺動部は、吸入行程中のピストンに対応する側に位置しており、前記溝は、少なくとも前記一方の摺動部の摺動面に形成されていることが好ましい。
【0013】
可変容量型斜板式液圧回転機においては、ピストンの吐出行程によって作動油を吐出する際に作動油からピストンに作用する反力がピストン及びシューを介して斜板に作用し、摺動部の摺動面と斜板保持部の被摺動面との間の面圧が高くなる。よって、摺動面と被摺動面との間において、吐出行程中のピストンに対応する側の面圧は、吸入行程中のピストンに対応する側の面圧よりも高くなっており、被摺動面に局所的な負荷が作用することになるため、斜板の傾角の変更がスムーズに行われ難い。そこで、少なくとも一方の摺動部の摺動面に溝を形成することで、一方の摺動部の摺動面に形成された溝内に供給された作動油の圧力によって、斜板をピストンに向けて押し返す力が発生し、一方の摺動部の摺動面と被摺動面との間に油膜が形成されることで、一方の摺動部の摺動面と被摺動面との面圧が低減される。その結果、斜板保持部の被摺動面に局所的な負荷が作用し難くなり、斜板の傾角の変更をスムーズに行うことができる。
【0014】
上記可変容量型斜板式液圧回転機において、前記供給孔における前記取付部材よりも前記摺接面側にオリフィスがさらに設けられていることが好ましい。
これによれば、斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性をさらに調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、斜板の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における可変容量型ピストンポンプを示す側断面図。
図2】斜板の斜視図。
図3】斜板の縦断面図。
図4】取付部材の周辺を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、可変容量型斜板式液圧回転機を可変容量型ピストンポンプに具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。なお、可変容量型ピストンポンプは、エンジン式のフォークリフトに搭載される油圧ポンプとして使用される。
【0018】
図1に示すように、可変容量型ピストンポンプ10は、ハウジング11と、ハウジング11に回転可能に支持される回転軸12とを備えている。ハウジング11は、有底筒状の第1ハウジング13と、第1ハウジング13の開口側に連結される有底筒状の第2ハウジング14とを有する。
【0019】
第1ハウジング13の底壁13aには、回転軸12における第1ハウジング13側の部位が挿入される挿入孔13hが形成されている。そして、回転軸12における第1ハウジング13側の部位は、軸受15を介して第1ハウジング13の底壁13aに回転可能に支持されている。
【0020】
第2ハウジング14の底壁14aには、回転軸12における第2ハウジング14側の部位が挿入される挿入孔14hが形成されている。そして、回転軸12における第2ハウジング14側の部位は、軸受16を介して第2ハウジング14の底壁14aに回転可能に支持されている。
【0021】
回転軸12における第2ハウジング14側の端部は、第2ハウジング14から外部に突出している。そして。回転軸12における第2ハウジング14側の端部は、図示しない動力伝達機構を介して外部駆動源としてのエンジンに連結されている。回転軸12は、エンジンの駆動により回転する。
【0022】
第1ハウジング13内には、シリンダブロック17及び斜板18が収容されている。シリンダブロック17は、斜板18よりも第1ハウジング13の底壁13a寄りに配置されている。シリンダブロック17には、回転軸12が貫通する貫通孔17aが形成されている。シリンダブロック17は、小径部171と、小径部171よりも孔径が大きい大径部172とを有する。小径部171は、大径部172よりも第2ハウジング14寄りに位置する。シリンダブロック17は、小径部171が回転軸12とスプライン嵌合されることにより回転軸12と一体的に回転する。小径部171と軸受15との間には付勢ばね19が介在されている。
【0023】
シリンダブロック17には、シリンダボア17hが回転軸12の周囲に複数形成されている。複数のシリンダボア17hは、同心円上に等間隔置きに配列されている。各シリンダボア17h内には、ピストン20が往復動可能にそれぞれ収納されている。ピストン20における斜板18側の端部には、シュー21が設けられている。ピストン20には、ピストン20の軸方向に貫通する貫通孔20hが形成されている。シュー21には、貫通孔20hに連通するとともにシュー21を貫通する貫通孔21hが形成されている。
【0024】
各シュー21は、円環状のリテーナプレート22に保持されている。リテーナプレート22の内側には、リテーナプレート22に固定されるピボット23が設けられている。付勢ばね19は、図示しないピンを介してピボット23を斜板18に向けて付勢している。これにより、リテーナプレート22が斜板18に向けて付勢され、各シュー21が斜板18におけるシリンダブロック17側の端面に密着している。
【0025】
図1及び図2に示すように、斜板18は、回転軸12が挿通される挿通孔18hが形成された板状の本体部31を備えている。そして、回転軸12が挿通孔18hに挿通されることにより、斜板18が回転軸12に取り付けられている。斜板18は、回転軸12の回転軸線Lに直交する方向に対する傾斜角度(傾角)の変更が可能である。
【0026】
回転軸12が回転してシリンダブロック17が回転軸12と一体的に回転すると、各シュー21が斜板18におけるシリンダブロック17側の端面を摺接しながら、各ピストン20が回転軸12の周囲を回転軸12の周方向に沿って移動する。これにより、各ピストン20は、シリンダブロック17の回転に伴って斜板18の傾角に応じたストロークでシリンダボア17h内を往復動する。よって、斜板18におけるシリンダブロック17側の端面は、シュー21が摺接する平坦面状の摺接面18aになっている。
【0027】
図2に示すように、斜板18は、本体部31を両側から挟む位置に一対の摺動部32を備えている。一対の摺動部32は本体部31と一体的に形成されている。一対の摺動部32は、その一部が本体部31におけるシリンダブロック17とは反対側の端面よりも突出し、シリンダブロック17とは反対側に向けて膨出する弧状に湾曲した摺動面32aを有する。一方の摺動部32は、吐出行程中のピストン20に対応する側に位置するとともに、他方の摺動部32は、吸入行程中のピストン20に対応する側に位置している。ここで、「吸入行程中のピストン20」とは上死点側から下死点側に向けて移動しているピストン20のことを言う。また、「吐出行程中のピストン20」とは、下死点側から上死点側に向けて移動しているピストン20のことを言う。
【0028】
図1に示すように、第2ハウジング14の内壁には、斜板18の傾角の変更を許容しつつ、且つ斜板18を保持する斜板保持部としてのブッシュ25が設けられている。ブッシュ25は弧状に湾曲した板状であり、摺動面32aに沿って延びるとともに摺動面32aが摺動する被摺動面25aを備えている。そして、一対の摺動部32の摺動面32aが被摺動面25aを摺動することで、斜板18の傾角が変更される。
【0029】
斜板18は、本体部31におけるピストン20の上死点に対応する側の縁部から外方に延設される被押圧部33を備えている。被押圧部33におけるシリンダブロック17側の端面には収容凹部33aが形成されている。収容凹部33aには円柱状の接触部材34aが収容されている。接触部材34aは、収容凹部33aに収容された状態において、その一部が被押圧部33におけるシリンダブロック17側の端面から突出している。また、被押圧部33におけるシリンダブロック17とは反対側の端面には収容凹部33bが形成されている。収容凹部33bには円柱状の接触部材34bが収容されている。接触部材34bは、収容凹部33bに収容された状態において、その一部が被押圧部33におけるシリンダブロック17とは反対側の端面から突出している。
【0030】
第1ハウジング13の底壁13aには、吸入ポート26及び吐出ポート27が形成されている。吸入ポート26及び吐出ポート27は、回転軸12の周方向に沿って延びる半円弧状に形成されている。吸入ポート26は、底壁13aにおいて、吸入行程中のピストン20が収納された各シリンダボア17hにそれぞれ連通可能な位置に設けられている。吐出ポート27は、底壁13aにおいて、吐出行程中のピストン20が収納された各シリンダボア17hにそれぞれ連通可能な位置に設けられている。
【0031】
シリンダブロック17と第1ハウジング13の底壁13aとの間には、バルブシート28が設けられている。バルブシート28には、吸入ポート26とシリンダボア17hとを連通する連通孔28aが形成されるとともに、吐出ポート27とシリンダボア17hとを連通する連通孔28bが形成されている。そして、ピストン20の往復動に伴って、作動油が吸入ポート26から連通孔28aを介して吸入行程中のピストン20が収納された各シリンダボア17hに吸入されるとともに、吐出行程中のピストン20が収納された各シリンダボア17h内の作動油が連通孔28bを介して吐出ポート27から吐出される。
【0032】
第1ハウジング13におけるシリンダブロック17よりも回転軸12の径方向外側には、ピストン収納凹部35が形成されている。ピストン収納凹部35には、コントロールピストン36が収納されている。そして、ピストン収納凹部35とコントロールピストン36とによって制御圧室35aが区画されている。制御圧室35aには、吐出ポート27から吐出された作動油の一部が供給される。制御圧室35aに供給される作動油の供給量は、図示しない制御弁によって制御される。コントロールピストン36における斜板18側の端面は、接触部材34aに当接している。
【0033】
第2ハウジング14の底壁14aには、有底筒状のバネ受け凹状部材37が螺子38によって取り付けられている。バネ受け凹状部材37は、斜板18に向けて開口している。バネ受け凹状部材37内には、中空ピストン39が挿入されている。中空ピストン39の内部には、傾角増大ばね39aが収容されている。中空ピストン39は、傾角増大ばね39aの付勢力によって、バネ受け凹状部材37の底部から離間する方向へ付勢されている。そして、中空ピストン39における斜板18側の端面は、接触部材34bに当接している。
【0034】
上記構成の可変容量型ピストンポンプ10において、制御圧室35aに供給される作動油の供給量が増大すると、制御圧室35aの圧力が高くなり、コントロールピストン36が斜板18に向けて移動する。すると、コントロールピストン36は、傾角増大ばね39aの付勢力に抗して、斜板18の傾角を減少させるように接触部材34aを介して斜板18を押圧する。これにより、斜板18の傾角が減少して、ピストン20のストロークが小さくなり、吐出容量が減少する。一方、制御圧室35aに供給される作動油の供給量が減少すると、制御圧室35aの圧力が低くなり、傾角増大ばね39aの付勢力によって、中空ピストン39が、斜板18の傾角を増大させるように接触部材34bを介して斜板18を押圧する。これにより、斜板18の傾角が増大して、ピストン20のストロークが大きくなり、吐出容量が増大する。
【0035】
図2及び図3に示すように、一方の摺動部32の摺動面32aには、内部に作動油が供給される溝40が形成されている。斜板18には、吐出行程中のピストン20が収納されたシリンダボア17h内の作動油を溝40内に供給する供給孔43が形成されている。供給孔43の一端は溝40内に開口するとともに他端は摺接面18aに開口している。そして、供給孔43は、各シュー21の貫通孔21hに連通可能になっている。
【0036】
図4に示すように、供給孔43には、吐出行程中のピストン20が収納されたシリンダボア17hから溝40内に供給される作動油の供給量を調節するオリフィス50hを有する着脱自在な円筒状の取付部材50が設けられている。取付部材50の外周面には雄ねじ50aが形成されている。供給孔43は、雄ねじ50aが螺合する雌ねじ孔43aを有する。取付部材50の端面には、取付部材50を供給孔43に取り付ける際に用いられる図示しない取付治具が係合可能な係合凹部50bが形成されている。そして、係合凹部50bに取付治具を係合させた状態で、取付部材50を摺動面32a側から供給孔43内に挿入し、取付治具を操作しながら取付部材50を雌ねじ孔43aに対してねじ込む。これにより、雄ねじ50aが雌ねじ孔43aに対して螺進して、取付部材50が供給孔43に取り付けられる。
【0037】
供給孔43における取付部材50よりも摺接面18a側にはオリフィス43hがさらに設けられている。オリフィス43hは、吐出行程中のピストン20が収納されたシリンダボア17h内から溝40内に供給される作動油の供給量を調節する。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
溝40内には、吐出行程中のピストン20が収納されたシリンダボア17h内から貫通孔20h,21h及び供給孔43を介して作動油が供給される。このとき、供給孔43のオリフィス43h及び取付部材50のオリフィス50hによって、シリンダボア17h内から溝40内に供給される作動油の供給量が調節されている。そして、溝40内に供給された作動油の圧力によって、斜板18をピストン20に向けて押し返す力が発生し、一方の摺動部32の摺動面32aと被摺動面25aとの間に油膜が形成されることで、一方の摺動部32の摺動面32aと被摺動面25aとの間の面圧が低減される。これにより、斜板18の傾角の変更に伴う摺動面32aと被摺動面25aとの間の摩擦が低減される。
【0039】
このような可変容量型ピストンポンプ10においては、溝40内に供給される作動油の供給量が多いほど、溝40内に供給された作動油の圧力による斜板18をピストン20に向けて押し返す力が大きくなり、摺動面32aと被摺動面25aとの間に形成される油膜の厚さが厚くなる。摺動面32aと被摺動面25aとの間に形成される油膜の厚さが厚くなると、摺動面32aと被摺動面25aとの面圧が低減され易くなり、斜板18の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性が良くなる。
【0040】
一方、溝40内に供給される作動油の供給量が少ないほど、溝40内に供給された作動油の圧力による斜板18をピストン20に向けて押し返す力が小さくなり、摺動面32aと被摺動面25aとの間に形成される油膜の厚さが薄くなる。摺動面32aと被摺動面25aとの間に形成される油膜の厚さが薄くなると、摺動面32aと被摺動面25aとの面圧が低減され難くなり、斜板18の傾角の変更に伴う斜板の動きの応答性が悪くなる。
【0041】
そこで、取付部材50を供給孔43に設けることで、取付部材50を供給孔43に設ける前に比べて、シリンダボア17h内から溝40内に供給される作動油の供給量が変化する。よって、溝40内に供給される作動油の圧力による斜板18をピストン20に向けて押し返す力が調節され、摺動面32aと被摺動面25aとの間に形成される油膜の厚さが調節される。その結果として、摺動面32aと被摺動面25aとの間で発生する摩擦力が調節されるため、斜板18の傾角の変更に伴う斜板18の動きの応答性が調整可能となる。
【0042】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)供給孔43には、オリフィス50hを有する着脱自在な取付部材50が設けられている。これによれば、取付部材50を供給孔43に設ける前に比べて、シリンダボア17h内から溝40内に供給される作動油の供給量が変化する。よって、溝40内に供給される作動油の圧力による斜板18をピストン20に向けて押し返す力を調節することができ、摺動面32aと被摺動面25aとの間に形成される油膜の厚さを調節することができる。その結果として、摺動面32aと被摺動面25aとの間で発生する摩擦力が調節されるため、斜板18の傾角の変更に伴う斜板18の動きの応答性を調整することができる。
【0043】
(2)可変容量型ピストンポンプ10においては、ピストン20の吐出行程によって作動油を吐出する際に作動油からピストン20に作用する反力がピストン20及びシュー21を介して斜板18に作用し、摺動部32の摺動面32aとブッシュ25の被摺動面25aとの間の面圧が高くなる。よって、摺動面32aと被摺動面25aとの間において、吐出行程中のピストン20に対応する側の面圧は、吸入行程中のピストン20に対応する側の面圧よりも高くなっており、被摺動面25aに局所的な負荷が作用することになるため、斜板18の傾角の変更がスムーズに行われ難い。そこで、少なくとも一方の摺動部32の摺動面32aに溝40を形成する。これによれば、一方の摺動部32の摺動面32aに形成された溝40内に供給された作動油の圧力によって、斜板18をピストン20に向けて押し返す力が発生し、一方の摺動部32の摺動面32aと被摺動面25aとの間に油膜が形成されることで、一方の摺動部32の摺動面32aと被摺動面25aとの面圧が低減される。その結果、ブッシュ25の被摺動面25aに局所的な負荷が作用し難くなり、斜板18の傾角の変更をスムーズに行うことができる。
【0044】
(3)供給孔43における取付部材50よりも摺接面18a側にオリフィス43hがさらに設けられている。これによれば、斜板18の傾角の変更に伴う斜板18の動きの応答性をさらに調整することができる。
【0045】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、供給孔43における取付部材50よりも摺接面18a側に、オリフィス43hが形成されていなくてもよい。
【0046】
○ 実施形態において、他方の摺動部32の摺動面32aに溝40が形成されていてもよい。
○ 実施形態において、第2ハウジング14の内壁に、ブッシュ25が設けられていなくてもよく、第2ハウジング14の内壁の一部に、斜板18を保持する斜板保持部が形成されていてもよい。
【0047】
○ 実施形態において、本体部31と、一対の摺動部32とが別部材であってもよく、各摺動部32が本体部31に対してボルト等によって取り付けられていてもよい。
○ 実施形態において、可変容量型斜板式液圧回転機を、シリンダボア17hへ供給される作動油によって、シリンダブロック17を介して回転軸12を回転させる油圧モータとして使用してもよい。可変容量型斜板式液圧回転機は、油圧モータとして使用される場合には、回転速度やトルクを可変とする。
【符号の説明】
【0048】
10…可変容量型ピストンポンプ(可変容量型斜板式液圧回転機)、11…ハウジング、12…回転軸、17…シリンダブロック、17h…シリンダボア、18…斜板、18a…摺接面、20…ピストン、21…シュー、25…斜板保持部としてのブッシュ、25a…被摺動面、32…摺動部、32a…摺動面、40…溝、43…供給孔、43h…オリフィス、50…取付部材、50h…オリフィス。
図1
図2
図3
図4