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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223357(P2016-223357A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】オイルセパレータ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20161205BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F01M13/00 L
   F01M13/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-110065(P2015-110065)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】石田 哲朗
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BE00
3G015EA25
3G015EA37
3G015FB06
3G015FC02
3G015FC04
3G015FC05
(57)【要約】
【課題】ブローバイガス中のオイルの高い回収効率を確保しつつ、このオイルに起因する詰まりを確実に防止すること。
【解決手段】ブローバイガスに含まれるオイルを分離するオイル分離手段3と、オイル分離手段3を切り替え自在に冷却又は加熱する温度調節手段4と、オイル分離手段3を通過するブローバイガスの流量を検出する流量検出手段5と、前記流量の検出結果に基づいて、温度調節手段4を冷却状態から加熱状態に切り替える制御手段6と、を備えたオイルセパレータを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローバイガスに含まれるオイルを分離するオイル分離手段と、
前記オイル分離手段を切り替え自在に冷却又は加熱する温度調節手段と、
前記オイル分離手段を通過するブローバイガスの流量を検出する流量検出手段と、
前記流量の検出結果に基づいて、前記温度調節手段を冷却状態から加熱状態に切り替える制御手段と、
を備えたオイルセパレータ。
【請求項2】
前記流量検出手段が、前記オイル分離手段の前後差圧から、このオイル分離手段を通過する前記ブローバイガスの流量を算出するようになっており、算出された算出流量値と、エンジンの運転状況によって決まるブローバイガスの流量である判定値とを比較して、前記算出流量値が前記判定値よりも大きいときに、前記制御手段による切り替えがなされる請求項1に記載のオイルセパレータ。
【請求項3】
前記制御手段が、前記温度調節手段を冷却状態から加熱状態に切り替えたときの加熱時間をカウントする加熱時間カウント機能と、前記加熱時間が第一所定時間を超えても、前記算出流量値が前記判定値よりも大きいときに、エンジンに不具合が生じていると判定する一方で、前記第一所定時間の加熱によって、前記算出流量値が前記判定値以下となったときに、前記オイル分離手段に目詰まりが生じていたと判定する異常判定機能と、を有する請求項2に記載のオイルセパレータ。
【請求項4】
前記制御手段が、前記エンジンに不具合が生じていると判定したときに、前記判定値に所定値を加算した加算判定値を前記判定値と置き換える判定値更新機能を有する請求項3に記載のオイルセパレータ。
【請求項5】
前記制御手段が、前記オイル分離手段を前記第一所定時間よりも短い第二所定時間の間加熱することにより、前記算出流量値が前記判定値よりも小さくなったときに、前記オイル分離手段を当初の冷却温度で冷却すると判定する一方で、前記第二所定時間よりも長く前記第一所定時間以下の間加熱することにより、前記算出流量値が前記判定値よりも小さくなったときに、前記オイル分離手段を前記冷却温度よりも高い改定冷却温度で冷却すると判定する冷却温度調節機能を有する請求項3又は4に記載のオイルセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブローバイガス還元装置に用いられるオイルセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのピストンとシリンダの間の隙間から、クランクケース等に漏れ出たブローバイガスは、エンジンオイルの劣化や金属部品の腐食、さらには大気汚染の原因となるといわれている。そこで、漏れ出たブローバイガスを吸気通路側に還流して、新しい混合気と混ぜるブローバイガス還元装置を設け、ブローバイガスを未燃焼の状態で大気放出しないようにすることが多い。
【0003】
この還元装置内を流れるブローバイガスには、エンジン部品から飛散したオイルが含まれている。特に排気再循環装置を備えるエンジンにおいては、ブローバイガスを排気再循環装置の導入口よりも上流側に吸入させるのが一般的であるため、ブローバイガスに含まれるオイルが、排気再循環装置内を流れるガスに含まれるススと結合し、吸気系にデポジットとなって堆積しやすい。このデポジットは、吸気系の圧損を増大して吸気量を低下させたり、吸気冷却装置の熱交換効率を低下させたりする原因となり、エンジンの出力が低下する等の問題を引き起こしかねない。
【0004】
この問題を解決すべく、還元装置の流路内にオイルセパレータを設け、このオイルセパレータでブローバイガス中のオイルを分離する構成が採用されることがある。ブローバイガス中のオイルは、ミスト状となっている。そこで、例えば、特許文献1に示すように、オイルセパレータ又はブローバイガスを冷却することによってオイルを凝縮し、オイルセパレータでの捕集率を高めている(特許文献1の段落0008参照)。
【0005】
このように、オイルセパレータ又はブローバイガスを冷却した場合、ブローバイガス中に含まれる水分とオイルが粘性の高いエマルジョンを形成したり、水分が凍結したりして、オイルセパレータの流路に詰まりを生じ、還元装置のブリーザ機能が損なわれることがある。
【0006】
この目詰まり対策として、特許文献1の構成では、冷却だけでなく加熱も可能な冷暖両用の温度制御手段を採用し、流路内に設けた温度センサで測定したブローバイガスの温度が大幅に低下した際にブローバイガスを加熱して、このブローバイガス中の水分が凍結して流路が閉塞するのを防止している(特許文献1の段落0008等参照)。また、例えば、特許文献2の構成においては、クランクケース内のブローバイガスの気圧を測定することで、凍結やスラッジによるクランク室積極換気式バルブの詰まりを検出可能とし、このクランク室積極換気式バルブの閉塞の点検作業を適切なタイミングで行い得るようにしている(特許文献2の段落0020等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−299450号参照
【特許文献2】特許第5282774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の構成においては、温度センサでの測定結果に基づいてブローバイガスの冷却又は加熱を行っているが、ブローバイガスの温度が大幅に低下したとしても水分の凍結に起因する詰まりが必ずしも生じるとは限らない。詰まりが生じていないにも関わらず、ブローバイガスを加熱した場合、オイルの回収効率が低下する問題がある。また、特許文献2の構成においては、クランク室積極換気式バルブの詰まりを検出できるものの、その詰まりの解消手段を有しないため、その都度メンテナンスを行う必要があり非常に煩雑である。
【0009】
そこで、この発明は、ブローバイガス中のオイルの高い回収効率を確保しつつ、このオイルに起因する詰まりを確実に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明においては、ブローバイガスに含まれるオイルを分離するオイル分離手段と、前記オイル分離手段を切り替え自在に冷却又は加熱する温度調節手段と、前記オイル分離手段を通過するブローバイガスの流量を検出する流量検出手段と、前記流量の検出結果に基づいて、前記温度調節手段を冷却状態から加熱状態に切り替える制御手段と、を備えたオイルセパレータを構成した。
【0011】
このオイルセパレータにおいては、前記流量検出手段が、前記オイル分離手段の前後差圧から、このオイル分離手段を通過する前記ブローバイガスの流量を算出するようになっており、算出された算出流量値と、エンジンの運転状況によって決まるブローバイガスの流量である判定値とを比較して、前記算出流量値が前記判定値よりも大きいときに、前記制御手段による切り替えがなされる構成とするのが好ましい。
【0012】
前記オイル分離手段の前後差圧から、前記ブローバイガスの流量を算出する構成においては、前記制御手段が、前記温度調節手段を冷却状態から加熱状態に切り替えたときの加熱時間をカウントする加熱時間カウント機能と、前記加熱時間が第一所定時間を超えても、前記算出流量値が前記判定値よりも大きいときに、エンジンに不具合が生じていると判定する一方で、前記第一所定時間の加熱によって、前記算出流量値が前記判定値以下となったときに、前記オイル分離手段に目詰まりが生じていたと判定する異常判定機能と、を有する構成とするのが好ましい。
【0013】
前記異常判定機能を備えた構成においては、前記制御手段が、前記エンジンに不具合が生じていると判定したときに、前記判定値に所定値を加算した加算判定値を前記判定値と置き換える判定値更新機能を有する構成とするのが好ましい。
【0014】
前記加熱時間カウント機能を備えた構成においては、前記制御手段が、前記オイル分離手段を前記第一所定時間よりも短い第二所定時間の間加熱することにより、前記算出流量値が前記判定値よりも小さくなったときに、前記オイル分離手段を当初の冷却温度で冷却すると判定する一方で、前記第二所定時間よりも長く前記第一所定時間以下の間加熱することにより、前記算出流量値が前記判定値よりも小さくなったときに、前記オイル分離手段を前記冷却温度よりも高い改定冷却温度で冷却すると判定する冷却温度調節機能を有する構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、オイル分離手段を冷却することでオイルの高い捕集率を確保しつつ、ブローバイガスのオイル分離手段の流量に基づいて、このオイル分離手段を加熱することで、その詰まり等に起因する不具合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係るオイルセパレータの一実施形態を示す縦断面図
図2図1に示すオイルセパレータの内燃機関への適用例を示す構成図図
図3】この発明に係るオイルセパレータにおける処理フローを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係るオイルセパレータの一実施形態を図1に示す。このオイルセパレータ1は、エンジンE(図2参照)のピストンとシリンダの間の隙間から、クランクケース等に漏れ出たブローバイガスに含まれるオイルを分離するためのものであって、セパレータ本体2、オイル分離手段3としてのセパレータフィン(以下において、オイル分離手段3と同じ符号を付する。)、温度調節手段4としてのペルチェ素子(以下において、温度調節手段4と同じ符号を付する。)、流量検出手段5としての差圧検出装置(以下において、流量検出手段5と同じ符号を付する。)、及び、制御手段6としての電子制御ユニット(以下において、制御手段6と同じ符号を付する。)を主要な構成要素としている。
【0018】
セパレータ本体2は、一端側にブローバイガスを導入するガス導入口2a、他端側にブローバイガスから分離したオイルを排出するオイル排出口2b、壁面側にオイルを分離したブローバイガスを排出するガス排出口2cがそれぞれ形成された、内部が空洞の部材である。
【0019】
セパレータフィン3は、セパレータ本体2内のガス導入口2aと、オイル排出口2b及びガス排出口2cとの間に設けられており、その内部には、ガス導入口2aから導入されたブローバイガスが通過するラビリンス流路(図1では、具体的な流路形状は図示せず)が形成されている。このラビリンス流路の形状(流路の長さ、幅等)は、エンジンの排気量等の諸元を考慮して適宜決定することができる。
【0020】
ペルチェ素子4は、セパレータフィン3を囲むように近接して設けられている。ペルチェ素子4の端子は、電子制御ユニット6によって制御される電源7に接続されており、この電源7の極性を切り替えることによって、セパレータフィン3を自在に冷却又は加熱することができる。このペルチェ素子4は一例であって、セパレータフィン3を切り替え自在に冷却又は加熱することができるのであれば、ペルチェ素子4の代わりに他の温度調節手段を適宜採用することができる。また、ペルチェ素子4のように、必ずしも一つの素子で冷却と加熱の両機能を兼ねていなくてもよく、冷却と加熱をそれぞれ別の装置(素子)で行う構成とすることもできる。
【0021】
差圧検出装置5は、セパレータ本体2内のセパレータフィン3のガス導入口2a側と、ガス排出口2c側のガス圧力をそれぞれ検出し、差圧を導出することによって、セパレータフィン3を通過するブローバイガスの流量を算出する。図1に示すように、差圧検出装置5とともに、又は、この差圧検出装置5の代わりに、エンジンEのクランクケースの内圧を検出するクランクケース内圧検出装置8を設けた構成とすることもできる。クランクケースの内圧を測定すれば、ブローバイガスの発生量が推定できるため、この推定結果から、セパレータフィン3前後の差圧(セパレータフィン3を流れるブローバイガスの流量)を推定することができるためである。
【0022】
電子制御ユニット6は、差圧から算出された算出流量と、車両の走行状態(エンジン運転回転数、負荷情報等)に対応して発生するブローバイガスの推定流量(以下において、所定値と称する。)との間の比較を行う。そして、算出流量と所定値との間の大小関係に基づいて、ペルチェ素子4に接続された電源7の極性(セパレータフィン3を冷却するか加熱するか)を判断する。車両の走行状態に対応する前記所定値は、電子制御ユニット6の記憶装置にデータベースとして予め記憶されている。
【0023】
オイルセパレータ1に送り込まれるブローバイガスには、ミスト状のオイルの他に水分(水蒸気)が含まれている。このオイルと水分が混じり合ったままで冷却されると、粘性の高いエマルジョンの形成や水分の凍結によって、セパレータフィン3の内部に詰まりが生じることがある。
【0024】
この詰まりが生じると、ガス導入口2aから導入される流量と比較して、ガス排出口2cから排出される流量の方が小さくなり、差圧検出装置5で検出されたセパレータフィン3の通過前後の差圧が大きくなる。この差圧が大きくなると、実際には詰まりによって流量が低下しているにもかかわらず、差圧から算出された見掛け上の算出流量は大きくなる。そこで、電子制御ユニット6は、前記算出流量が前記所定値よりも大きくなったときに詰まりの可能性があると判断して、ペルチェ素子4に接続された電源7の極性を切り替える指示を発する。
【0025】
電源7の極性を切り替えると、セパレータフィン3はペルチェ素子4によって加熱される。セパレータフィン3を加熱することによって、エマルジョンの粘性が低下するとともに、凍結した水分が溶解して詰まりが解消する。この詰まりが解消して前記算出流量が前記所定値よりも小さくなると、電子制御ユニット6によって電源7の極性が再び切り替えられ、セパレータフィン3はペルチェ素子4によって冷却される。
【0026】
その一方で、前記算出流量が前記所定値以下の場合は、車両の走行状態に対応した流量のブローバイガスが、セパレータフィン3をスムーズに流れていると判断できるため、電源7の極性を切り替えずにセパレータフィン3の冷却状態を維持する。
【0027】
ミスト状のオイルを含むブローバイガスは、ガス導入口2aからセパレータ本体2内に導入され、セパレータフィン3内を通過する。このセパレータフィン3は通常動作時において、ペルチェ素子4によって所定の冷却温度(例えば5℃)に冷却されている。このため、ブローバイガスは、セパレータフィン3を通過するときに冷却される。ブローバイガスが冷却されると、その中に含まれるミスト状のオイルが凝集し、セパレータフィン3に付着する。そして、付着量の増加に伴って、オイルがセパレータフィン3から滴下し、オイル排出口2bから排出される。排出されたオイルは、エンジンEのオイルパン(図示せず)に戻される。オイルが分離されたブローバイガス(ガス成分)は、ガス排出口2cから排出された後に吸気通路(図2の符号11参照)に戻される。
【0028】
このオイルセパレータ1は、例えば、図2に示すデュアルループ式の排気再循環装置システムを備えた内燃機関Eに採用される。この内燃機関Eは自動車用エンジンであり、ピストンを収容した気筒内に混合気を送り込む吸気ポートに通じる吸気通路11、排気ポートから引き出された排気通路12、燃料噴射装置等を備えている。吸気ポート及び排気ポートは、それぞれバルブによって開閉される。
【0029】
吸気通路11には、吸気ポートから上流側に向かって、吸気通路11の流路面積を調節する第一のスロットルバルブ13、吸気通路11を流れる吸気を冷却する吸気冷却装置14、ターボチャージャのコンプレッサ15、吸気通路11の流路面積を調節する第二のスロットルバルブ16、エアクリーナを収容したケース17等が設けられる。
【0030】
排気通路12には、排気ポートから下流側に向かって、ターボチャージャのタービン18、排気中の窒素酸化物等を除去する触媒等を備えた排気浄化部19、消音器(マフラ)20が設けられる。
【0031】
排気通路12のタービン18と排気ポートとの中途部分と、吸気通路11の吸気ポートと第一のスロットルバルブ13との中途部分は、高圧排気ガス再循環装置Hを構成する高圧排気還流通路21によって連通している。高圧排気還流通路21を介して、内燃機関Eから排出される排気ガスの一部が、還流ガスとして吸気通路11に還流する。高圧排気還流通路21には、高圧排気還流弁22が設けられている。高圧排気還流弁22の開閉と第一のスロットルバルブ13の開閉に伴う吸気通路11内の圧力状態に応じて、還流ガスが吸気通路11内の吸気に合流する。
【0032】
また、排気通路12の排気浄化部19と消音器20との中途部分と、吸気通路11のコンプレッサ15と第二のスロットルバルブ16との中途部分は、低圧排気ガス再循環装置Lを構成する低圧排気還流通路23によって連通している。低圧排気還流通路23を介して、内燃機関Eから排出される排気ガスの一部が、還流ガスとして吸気通路の吸気冷却装置14の上流側に還流する。この低圧排気還流通路23には、低圧排気還流弁24が設けられている。そして、低圧排気還流弁24の開閉と第二のスロットルバルブ16の開閉に伴う吸気通路11内の圧力状態に応じて、還流ガスが吸気通路11内の吸気に合流する。低圧排気ガス再循環装置Lの低圧排気還流通路23には、還流ガスを冷却する還流ガスクーラ25が設けられている。
【0033】
オイルセパレータ1(セパレータ本体2)のガス導入口2aは、ガス導入管26を介してエンジンEのクランクケースに接続される一方で、ガス排出口2cは、ガス排出管27を介して吸気通路11に接続されている。また、オイル排出口2bは、エンジンEのオイルパンに接続される(図示せず)。
【0034】
図2においては、オイルセパレータ1のデュアルループ式の排気再循環装置システムを備えた内燃機関Eへの採用例を示したが、これはあくまでも例示であって、エンジンEのクランクケース内のブローバイガスを吸気通路11に戻す構成を採用する、他の態様の内燃機関Eにも適用することができる。
【0035】
図1に示すオイルセパレータ1の構成を参照しつつ、図3に示すフローチャートを用いて、オイルセパレータ1の動作、及びセパレータフィン3に詰まり等の異常が生じたときの処理フローを説明する。
【0036】
この処理フローにおいては、まず、電子制御ユニット6が、ペルチェ素子4が所定の冷却温度(例えば5℃)でセパレータフィン3を冷却するように、電源7の極性及び電流値を決定する(図3の符号S1)。そして、差圧検出装置5が、セパレータ本体2内のセパレータフィン3のガス導入口2a側と、ガス排出口2c側のガス圧力から差圧を検出し(図3の符号S2)、セパレータフィン3を通過するブローバイガスの流量を算出する(図3の符号S3)。
【0037】
車両に設けられた各センサ(図示せず)は、エンジン運転回転数、負荷情報等の車両走行情報を検出する(図3の符号S4)。電子制御ユニットは、予め記録されている車両走行情報とブローバイガスの推定流量の関係を示すテーブルから、前記各センサによって検出された車両走行情報に対応するブローバイガスの推定流量(以下において、判定値と称する。)を読み込む(図3の符号S5)。
【0038】
ここで、差圧検出装置5によって算出された算出流量値と、車両走行情報から推定される判定値との間の大小関係が比較される(図3の符号S6)。算出流量値が判定値よりも大きいとき(図3の符号S6のY側)は、セパレータフィン3に詰まり(オイルと水分のエマルジョンの形成や、水分の凍結)が生じて、実際の流量と比較して見掛け上の流量が増大している可能性があるため、電源7の極性を切り替えて、ペルチェ素子4でセパレータフィン3を所定の加熱温度(例えば100℃)に加熱する(図3の符号S7)。エマルジョンの形成や水分の凍結によって詰まりが生じている場合は、この加熱によってエマルジョンが消滅し、又は凍結した水分が溶解し、詰まりは解消する。なお、算出流量値と判定値との間の大小関係の比較(図3の符号S6)は、継続的に行われており、加熱中のどのタイミングで詰まりが解消したのかを特定できるようになっている。
【0039】
電子制御ユニット6は、加熱時間をカウントする加熱時間カウント機能を備え、ペルチェ素子4を冷却状態から加熱状態に切り替えたタイミングで、加熱時間のカウントアップを開始する(図3の符号S8)。カウントアップした加熱時間と、第一所定時間(例えば1分)を比較し(図3の符号S9)、加熱時間が第一所定時間を超えても、算出流量値の方が判定値よりも大きいとき(図3の符号S9のY側)は、電子制御ユニット6は、セパレータフィン3に詰まりが生じているのではなく、エンジンEの劣化によってブローバイガスの流量が実際に増大したと判定する(図3の符号S10)。エマルジョンの形成や水分の凍結により詰まりが生じているのであれば、通常は1分間の加熱でそれを解消することができ、加熱を行ってもなお見掛け上の流量が大きいときは、エンジンEが劣化している可能性が高いためである。
【0040】
エンジンEの劣化であると判定したときは、エンジン劣化フラグを立てて、電子制御ユニット6にフラグ情報を記憶する(図3の符号S11)。また、電子制御ユニット6は、必要に応じて判定値を書き換える判定値更新機能を有しており、エンジン劣化判定を受けて、判定値に所定値を加算した加算判定値を元の判定値と書き換える(図3の符号S12)。このように、元の判定値を加算判定値と書き換えることによって、次のメンテナンスまでの間、暫定的に車両を走行させることが可能となる。加算する所定値として、例えば、現在の流量値から元の判定値を差し引いた値に、所定のマージンを加えた値とすることができる。なお、書き換えた判定値は、エンジン劣化メンテナンスの作業終了後に、エンジン劣化フラグの消去とともに、作業者が手動で元の判定値に戻すことができる。
【0041】
このように、電子制御ユニット6が、セパレータフィン3の詰まりと、エンジンEの劣化とを区別して判定する異常判定機能を備えたことにより、エンジンEが劣化したときのメンテナンス等の対応を速やかに行うことができる。
【0042】
判定値の書き換えが終了したら、加熱時間のカウンターをリセットした上で(図3の符号S13)、処理をリターンさせる(図3の符号S14)。
【0043】
カウントアップした加熱時間と、第一所定時間を比較し(図3の符号S9)、加熱時間が第一所定時間に到達する以前に、算出流量値が判定値以下となったとき(図3の符号S9のN側)は、セパレータフィン3における差圧の増大は、セパレータフィン3の詰まりによるものと判定する(図3の符号S15)。
【0044】
このときは、さらに、加熱時間と、第一所定時間よりも短い第二所定時間(例えば45秒)とを比較し(図3の符号S16)、加熱時間が第二所定時間よりも長いとき(図3の符号S16のY側)は、現在の冷却温度による冷却ではエマルジョンが形成され易いと判断される(図3の符号S17)。この場合、電子制御ユニット6の有する冷却温度調節機能によって、セパレータフィン3の冷却温度が、元の冷却温度よりも高い改定冷却温度(例えば10℃)に変更される(図3の符号S18)。このように、冷却温度を変更することにより、オイルの回収を行いつつ、セパレータフィン3の冷却時におけるエマルジョンの形成や水分の凍結を極力防止することができる。元の冷却温度から改定冷却温度への温度変更幅(上記の例ではプラス5℃)は、オイルの回収効率に支障を生じない限りにおいて適宜決定される。
【0045】
冷却温度の変更が終了したら、加熱時間のカウンターをリセットした上で(図3の符号S19)、処理をリターンさせる(図3の符号S14)。
【0046】
算出流量値と、判定値との大小関係を比較し(図3の符号S6)、前記算出流量値が前記判定値以下のとき(図3の符号S6のN側)は、車両の走行状態に対応した流量のブローバイガスが、セパレータフィン3をスムーズに流れていると判断できるため、元の冷却温度でセパレータフィン3の冷却を維持する(図3の符号S22)。
【0047】
上記の実施形態はあくまでも一例であって、ブローバイガス中のオイルの高い回収効率を確保しつつ、このオイルに起因する詰まりを確実に防止する、という本願発明の課題を解決し得る限りにおいて、オイルセパレータ1の構成要素の配置、第一所定時間、第二所定時間等を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 オイルセパレータ
2 セパレータ本体
2a ガス導入口
2b オイル排出口
2c ガス排出口
3 オイル分離手段(セパレータフィン)
4 温度調節手段(ペルチェ素子)
5 流量検出手段(差圧検出装置)
6 制御手段(電子制御ユニット)
7 電源
11 吸気通路
12 排気通路
13 第一のスロットルバルブ
14 吸気冷却装置
15 コンプレッサ
16 第二のスロットルバルブ
17 ケース
18 タービン
19 排気浄化部
20 消音器
21 高圧排気還流通路
22 高圧排気還流弁
23 低圧排気還流通路
24 低圧排気還流弁
25 還流ガスクーラ
26 ガス導入管
27 ガス排出管
E エンジン
H 高圧排気ガス再循環装置
L 低圧排気ガス再循環装置
図1
図2
図3