特開2016-223402(P2016-223402A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223402(P2016-223402A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】内燃機関のシリンダブロック
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/00 20060101AFI20161205BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20161205BHJP
   F02F 1/10 20060101ALI20161205BHJP
   F16J 10/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F02F1/00 S
   F02F1/00 J
   F02F7/00 Z
   F02F1/10 D
   F16J10/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-112802(P2015-112802)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】釘本 恒
(72)【発明者】
【氏名】堀田 義博
【テーマコード(参考)】
3G024
3J044
【Fターム(参考)】
3G024AA21
3G024AA27
3G024AA30
3G024AA32
3G024AA36
3G024AA42
3G024BA21
3G024FA02
3G024FA08
3G024FA13
3G024GA26
3G024GA31
3J044AA14
3J044AA20
3J044BA02
3J044BA04
3J044CC18
3J044CC30
3J044DA09
(57)【要約】
【課題】シリンダブロックとシリンダヘッド間のシール圧力を確保しつつシリンダボア部の変形を抑える。
【解決手段】シリンダボア部12の上部12dが接続部18を介してヘッドボルト締結部14に機械的に接続されていることで、ヘッドボルト軸力による荷重をシリンダボア部12を介さずにシリンダヘッドガスケットの押圧力Pに効率的に変換することができる。さらに、シリンダボア部12の下部12eは、ヘッドボルト締結部14と空間13を空けて位置し、ヘッドボルト締結部14と機械的に直接接続されていないため、ヘッドボルト軸力によりシリンダ軸線方向上側への荷重がシリンダボア部12の下部12eに作用するのを抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にシリンダヘッドが締結される内燃機関のシリンダブロックであって、
シリンダブロック本体部と、シリンダブロック本体部の外周を取り囲む外壁部とを備え、
シリンダブロック本体部は、
ピストンが摺動するシリンダボア部と、
シリンダボア部の外周面と空間を空けて位置し、シリンダヘッドをヘッドボルトにより締結するためのねじ穴が形成されたヘッドボルト締結部と、
ヘッドボルト締結部に機械的に接続され、クランクシャフトが嵌められるクランクジャーナル部と、
シリンダボア部の上部とヘッドボルト締結部を機械的に接続する接続部と、
を含み、
シリンダボア部の下部がヘッドボルト締結部と空間を空けて位置する、内燃機関のシリンダブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関のシリンダブロックであって、
シリンダボア部と外壁部及びヘッドボルト締結部との間に形成された空間に冷却液が供給され、
シリンダボア部の下部と外壁部及びヘッドボルト締結部との間にシール材が設けられている、内燃機関のシリンダブロック。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内燃機関のシリンダブロックであって、
シリンダボア部の上面がヘッドボルト締結部の上面よりシリンダヘッド側に位置する、内燃機関のシリンダブロック。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関のシリンダブロックであって、
シリンダボア部は、ピストンが上死点にあるときのオイルリング位置よりシリンダヘッド側の位置で接続部と機械的に接続されている、内燃機関のシリンダブロック。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の内燃機関のシリンダブロックであって、
複数のヘッドボルト締結部同士が互いに機械的に接続されている、内燃機関のシリンダブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部にシリンダヘッドが締結される内燃機関のシリンダブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のシリンダブロック構造は、シリンダボア下部のみをヘッドボルト締結部と機械的に連続な構造で接続したオープンデッキ構造、またはシリンダボア上部及び下部をヘッドボルト締結部と機械的に連続な構造で接続したクローズドデッキ構造・セミクローズドデッキ構造が一般的である(例えば下記非特許文献1参照)。
【0003】
また、下記特許文献1のシリンダブロックでは、シリンダブロックのシール性確保・コンパクト化・組み付け性向上を目的として、シリンダライナを圧入した上方ブロックと下方ブロックの2つに分割し、下方ブロックに対してシリンダライナを弾性体(Oリング等)を介してルーズに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−5457号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】村中重夫編著、「新訂 自動車用ガソリンエンジン 研究開発技術者の基礎と実際」、養賢堂、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のオープンデッキ構造や、クローズドデッキ構造・セミクローズドデッキ構造では、シリンダ冷却水路を形成するために、ヘッドボルト締結部はシリンダボア下部と機械的に接続されている。そのため、シリンダボア下部では、ヘッドボルト軸力によりシリンダ軸線方向上側への荷重が作用するとともに、シリンダボア上部では、シリンダヘッドガスケットからの押圧力によりシリンダ軸線方向下側への荷重が作用する。つまり、シリンダボアをシリンダ軸線方向上下から挟み込む荷重が作用することで、シリンダボアが変形しやすくなる。シリンダボアの変形は、内燃機関の摩擦損失増加やオイル消費量増加の原因となる。
【0007】
また、特許文献1では、そもそもシリンダボア変形抑制の観点から構造を検討していない。ヘッドボルト締結部とシリンダ上部との間でシリンダブロックが分割され、機械的に連続な構造となっていないことから、不連続部で滑りが発生してヘッドボルト軸力が効率的にシリンダヘッドガスケットのシール圧力に変換されない他、さらに不連続部で冷却水のシールを行う必要性が生じる。
【0008】
本発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、シリンダヘッドとの間のシール圧力を確保しつつシリンダボア部の変形を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0010】
本発明に係る内燃機関のシリンダブロックは、上部にシリンダヘッドが締結される内燃機関のシリンダブロックであって、シリンダブロック本体部と、シリンダブロック本体部の外周を取り囲む外壁部とを備え、シリンダブロック本体部は、ピストンが摺動するシリンダボア部と、シリンダボア部の外周面と空間を空けて位置し、シリンダヘッドをヘッドボルトにより締結するためのねじ穴が形成されたヘッドボルト締結部と、ヘッドボルト締結部に機械的に接続され、クランクシャフトが嵌められるクランクジャーナル部と、シリンダボア部の上部とヘッドボルト締結部を機械的に接続する接続部と、を含み、シリンダボア部の下部がヘッドボルト締結部と空間を空けて位置することを要旨とする。
【0011】
本発明の一態様では、シリンダボア部と外壁部及びヘッドボルト締結部との間に形成された空間に冷却液が供給され、シリンダボア部の下部と外壁部及びヘッドボルト締結部との間にシール材が設けられていることが好適である。
【0012】
本発明の一態様では、シリンダボア部の上面がヘッドボルト締結部の上面よりシリンダヘッド側に位置することが好適である。
【0013】
本発明の一態様では、シリンダボア部は、ピストンが上死点にあるときのオイルリング位置よりシリンダヘッド側の位置で接続部と機械的に接続されていることが好適である。
【0014】
本発明の一態様では、複数のヘッドボルト締結部同士が互いに機械的に接続されていることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シリンダボア部の上部とヘッドボルト締結部が接続部により機械的に接続され、シリンダボア部の下部がヘッドボルト締結部と空間を空けて位置することで、シリンダブロックとシリンダヘッド間のシール圧力を確保しつつ、シリンダボア部の変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る内燃機関のシリンダブロックの構成例を示す斜視図である。
図2図1の平面Aで切断した断面図である。
図3】シリンダブロック本体部の構成例を示す斜視図である。
図4】外壁部の構成例を示す斜視図である。
図5】シリンダボア部の下部がヘッドボルト締結部に機械的に接続されている構成例におけるシリンダボア部の変形を示す断面図である。
図6】シリンダブロック本体部の他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0018】
図1〜4は、本発明の実施形態に係る内燃機関のシリンダブロックの構成例を示す図である。図1はシリンダブロック全体構成例の斜視図を示し、図2図1の平面Aで切断した断面図を示し、図3はシリンダブロック本体部10の構成例の斜視図を示し、図4は外壁部30の構成例の斜視図を示す。図1〜4は2気筒エンジンの例を示しているが、内燃機関の気筒数については任意に設定することができる。
【0019】
本実施形態に係る内燃機関のシリンダブロックは、シリンダブロック本体部10と、シリンダブロック本体部10の外周囲を取り囲む外壁部30とを備え、シリンダブロックの上部にシリンダヘッド(図示せず)が締結される。以下の説明では、クランクシャフト軸線方向をx軸、シリンダ軸線方向をz軸とする、互いに直交するxyz3次元座標系を規定する。
【0020】
シリンダブロック本体部10は、複数(図1〜4の例では2つ)の円筒状のシリンダボア部12と、複数(図1〜4の例では6つ)のヘッドボルト締結部14と、複数(図1〜4の例では3つ)のクランクジャーナル部16と、複数(図1〜4の例では6つ)の接続部18とを含む。シリンダブロック本体部10の材料としては、例えば鋳鉄やアルミニウム等が用いられる。
【0021】
複数のシリンダボア部12はx方向(クランクシャフト軸線方向)に配列され、各シリンダボア部12の内周側には、図2に示すようにピストン50が収容される。図2は、ピストン50が上死点に位置する状態を示している。ピストン50には、ピストンリングとして、コンプレッションリング(トップリング51及びセカンドリング52)とオイルリング53がシリンダ軸線方向上側(シリンダヘッド側)から順に装着され、ピストン50はシリンダボア部12の内周面12aに沿ってz方向(シリンダ軸線方向)に摺動する。
【0022】
複数のヘッドボルト締結部14は、シリンダボア部12の外周囲に、x方向及びy方向に互いに間隔を空けて配列され、各ヘッドボルト締結部14がシリンダボア部12の外周面12bと空間13を空けて位置する。各ヘッドボルト締結部14には、ねじ穴15がz方向に延びて形成されている。各シリンダボア部12の上面12cは、各ヘッドボルト締結部14の上面14cよりシリンダ軸線方向上側(シリンダヘッド側)に位置する。
【0023】
複数のクランクジャーナル部16はx方向に互いに間隔を空けて配列され、各クランクジャーナル部16のy方向両端部がヘッドボルト締結部14に機械的に接続されている。各クランクジャーナル部16には半円筒形状の窪み部16aが形成され、クランクシャフト(図示せず)が各クランクジャーナル部16の窪み部16aにベアリング(メタル)を介して嵌められる。さらに、各クランクジャーナル部16には、半円筒形状の窪み部が形成されたベアリングキャップ(図示せず)が締結され、クランクシャフトがクランクジャーナル部16及びベアリングキャップの窪み部にメタルを介して回転可能に支持される。
【0024】
図2に示すように、各ヘッドボルト締結部14の上部14dは、シリンダボア部12の上部12dに接続部18を介して機械的に連続な構造で接続されている。接続部18は、シリンダボア部12との接続箇所からヘッドボルト締結部14との接続箇所にかけてシリンダ軸線方向下側へ傾斜して延びている。シリンダボア部12は、ピストン50が上死点にあるときのオイルリング53の位置よりシリンダ軸線方向上側(シリンダヘッド側)の位置で接続部18と機械的に接続されている。
【0025】
一方、シリンダボア部12の下部12eは、ヘッドボルト締結部14と空間13を空けて位置し、ヘッドボルト締結部14及びクランクジャーナル部16と機械的に連続な構造で直接接続されていない。さらに、シリンダボア部12は、上部12dを除いて、ヘッドボルト締結部14と空間13を空けて位置し、ヘッドボルト締結部14と機械的に連続な構造で直接接続されていない。
【0026】
外壁部30は、上側外壁部32と下側外壁部36が機械的に接続された構造となっている。外壁部30の材料としては、例えばシリンダブロック本体部10と同種の金属材料や、シリンダブロック本体部10と異なる金属材料や、樹脂等が用いられる。上側外壁部32は、複数のシリンダボア部12及び複数のヘッドボルト締結部14の外周囲を取り囲み、シリンダボア部12の外周面12bと空間13を空けて位置する。上側外壁部32には、ヘッドボルト締結部14と同数(図1〜4の例では6つ)の嵌合部34がx方向及びy方向に配列され、各ヘッドボルト締結部14が上側外壁部32の各嵌合部34に嵌められた状態で、シリンダブロック本体部10が外壁部30に固定される。各シリンダボア部12の上面12cは、上側外壁部32の上面32cと同一平面上に位置する。下側外壁部36は、複数のクランクジャーナル部16の外周囲を取り囲む。図1,4では、x方向端部における下側外壁部36の図示を省略しているが、実際にはx方向端部も下側外壁部36により囲まれる。下側外壁部36の下面36aにはオイルパン(図示せず)が接合される。
【0027】
シリンダボア部12の外周面12bと上側外壁部32及びヘッドボルト締結部14との間に形成された空間13には、内燃機関の冷却を行うための冷却水(冷却液)が供給される。シリンダボア部12の下部12eと上側外壁部32及びヘッドボルト締結部14との間にはシール材40が設けられていることで、空間13に供給された冷却水のシリンダ軸線方向下側への流出が防止される。このように、シリンダボア部12の外周面12bと上側外壁部32及びヘッドボルト締結部14との間の空間13をウォータージャケットとして機能させる。
【0028】
各シリンダボア部12の上面12c及び上側外壁部32の上面32cには、シリンダヘッドガスケット(図示せず)を介してシリンダヘッドが載置される。シリンダヘッドには、ねじ穴15と同数のヘッドボルト挿通穴がねじ穴15の上に形成されている。ヘッドボルト(図示せず)をシリンダヘッドのヘッドボルト挿通穴を通してヘッドボルト締結部14のねじ穴15に嵌め込むことで、シリンダヘッドがシリンダヘッドガスケットを介してシリンダブロックの上部にねじ締結される。
【0029】
シリンダヘッドをシリンダブロックの上部にヘッドボルトによりねじ締結する際には、ヘッドボルト軸力Fによる荷重がヘッドボルト締結部14に作用する。ここで、図5に示すように、シリンダボア部12の下部12eがヘッドボルト締結部14に機械的に連続な構造で直接接続されている構成を考えると、シリンダボア部12の下部12eでは、ヘッドボルト軸力Fによりシリンダ軸線方向上側への荷重が作用するとともに、シリンダボア部12の上部12dでは、シリンダヘッドガスケットからの押圧力Pによりシリンダ軸線方向下側への荷重が作用する。つまり、シリンダボア部12をシリンダ軸線方向上下から挟み込む荷重が作用することで、図5に示すように、シリンダボア部12が変形しやすくなる。シリンダボア部12の変形は、内燃機関の摩擦損失増加やオイル消費量増加の原因となる。
【0030】
これに対して本実施形態では、シリンダボア部12の上部12dが接続部18を介してヘッドボルト締結部14に機械的に連続な構造で接続されていることで、ヘッドボルト軸力Fによる荷重をシリンダボア部12を介さずにシリンダヘッドガスケットの押圧力Pに効率的に変換することができる。そのため、シリンダヘッドガスケットのシール性能を維持しながらヘッドボルト軸力Fを低減することができる。さらに、シリンダボア部12の下部12eは、ヘッドボルト締結部14と空間13を空けて位置し、ヘッドボルト締結部14と機械的に連続な構造で直接接続されていないため、ヘッドボルト軸力Fによりシリンダ軸線方向上側への荷重がシリンダボア部12の下部12eに作用するのを抑制することができる。したがって、シリンダボア部12をシリンダ軸線方向上下から挟み込む荷重によるシリンダボア部12の変形を抑制することができる。その結果、内燃機関の摩擦損失低減及びオイル消費量低減を図ることができる。さらに、シリンダボア部12の変形低減を目的としたシリンダブロックの剛性確保が不要となり、シリンダブロックの軽量化を図ることができる。
【0031】
また、ヘッドボルト締結部14の上面14cがシリンダボア部12の上面12cと同一平面上またはそれよりもシリンダ軸線方向上側に位置する場合は、ヘッドボルト軸力Fがヘッドボルト締結部14の上面14cとシリンダヘッド下面とを押し付ける力として作用する分、シリンダボア部12の上面12cでの面圧(シリンダボア部12の上面12cとシリンダヘッド下面とを押し付ける力)が減少する。これに対して本実施形態では、ヘッドボルト締結部14の上面14cがシリンダボア部12の上面12cよりシリンダ軸線方向下側に位置することで、ヘッドボルト軸力Fをシリンダボア部12の上面12cでの面圧(シリンダヘッドガスケットの押圧力P)にさらに効率的に変換することができる。その結果、シリンダヘッドガスケットのシール性能をさらに向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、シリンダボア部12は、ピストン50が上死点にあるときのオイルリング53の位置よりシリンダ軸線方向上側の位置で接続部18と機械的に接続されていることで、ピストンリング(オイルリング53)の通るシリンダ軸線方向位置にヘッドボルト軸力Fによる歪みが伝わるのを防ぐことができる。
【0033】
本実施形態に係るシリンダブロックの他の構成例を図6に示す。図6の構成例では、シリンダブロック本体部10において、x方向に配列された複数のヘッドボルト締結部14同士が接続部19を介して互いに機械的に連続な構造で接続されている。シリンダボア部12の外周面12bと、ヘッドボルト締結部14、接続部19、及び上側外壁部32との間に形成された空間13には冷却水(冷却液)が供給され、シリンダボア部12の下部12eと、ヘッドボルト締結部14、接続部19、及び上側外壁部32との間にはシール材40が設けられる。
【0034】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
10 シリンダブロック本体部、12 シリンダボア部、13 空間、14 ヘッドボルト締結部、15 ねじ穴、16 クランクジャーナル部、18,19 接続部、30 外壁部、32 上側外壁部、36 下側外壁部、40 シール材、50 ピストン、51 トップリング、52 セカンドリング、53 オイルリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6