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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223467(P2016-223467A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】流路仕切構造及び流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/00 20060101AFI20161205BHJP
   F01L 1/356 20060101ALI20161205BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F16K51/00 A
   F01L1/356 E
   F16K11/07 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-107512(P2015-107512)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】山川 芳明
(72)【発明者】
【氏名】執行 洋充
【テーマコード(参考)】
3G018
3H066
3H067
【Fターム(参考)】
3G018AB02
3G018BA33
3G018CA20
3G018DA18
3G018DA52
3G018DA58
3G018DA59
3G018DA60
3G018DA73
3G018DA81
3G018DA84
3G018DA85
3G018DA86
3G018FA01
3G018FA07
3G018GA00
3G018GA02
3G018GA17
3H066AA01
3H066AA03
3H066BA38
3H067AA17
3H067CC54
3H067DD05
3H067DD12
3H067DD32
3H067EA02
3H067EA05
3H067ED04
3H067FF17
3H067GG15
3H067GG22
(57)【要約】
【課題】流路空間を2つの流路に仕切る仕切体を流路部材に組付ける際に発生する異物が流路に混入するのを防止できる流路仕切構造及び流体制御弁を提供する。
【解決手段】流体を流通させる流路空間5aを有する流路部材5と、流路空間5aを第1流路13bと第2流路14cとに仕切る仕切体18とを備え、仕切体18は、流路部材5の一方の開口端部から挿入され、挿入方向の奥側において第1流路13bと第2流路14cとの境界に設けられた段部14dに当接する第1プレート20と、第1プレート20に続けて流路空間5aに挿入され、流路空間5aの内周面に圧入された状態で第1プレート20に重ねて当接する第2プレート30と、を有し、第1プレート20の外周面が流路空間5aの内周面とは当接せず、第1プレート20及び第2プレート30、内周面によって形成された空間を異物貯留部Fとしてある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる流路空間を有する流路部材と、
前記流路空間を第1流路と第2流路とに仕切る仕切体とを備え、
前記仕切体は、
前記流路部材の一方の開口端部から挿入され、挿入方向の奥側において前記第1流路と前記第2流路との境界に設けられた段部に当接する第1プレートと、
前記第1プレートに続けて前記流路空間に挿入され、前記流路空間の内周面に圧入された状態で前記第1プレートに重ねて当接する第2プレートと、を有し、
前記第1プレートの外周面が前記流路空間の内周面とは当接せず、前記第1プレート及び前記第2プレート、前記内周面によって形成された空間を異物貯留部としてある流路仕切構造。
【請求項2】
前記第1プレートは、前記第2プレートよりも表面硬度の低い材料で構成されている請求項1に記載の流路仕切構造。
【請求項3】
前記第1プレートの外周縁のうち、前記第2プレートの側の外周縁の少なくとも一部が他の外周縁に比べて小径に形成されている請求項1又は2に記載の流路仕切構造。
【請求項4】
前記第2プレートの外周縁のうち、前記第1プレートの側の外周縁の少なくとも一部が他の外周縁に比べて小径に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の流路仕切構造。
【請求項5】
内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転体と、該駆動側回転体に対して同軸状に配置され、前記内燃機関のカムシャフトに対して同期回転する従動側回転体と、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも一方に形成され、進角室と遅角室とに仕切られた流体圧室と、前記従動側回転体の回転軸芯と同軸上に挿入配置されて前記従動側回転体と前記カムシャフトとを連結するボルトと、を有する弁開閉時期制御装置において、前記ボルトに形成された前記回転軸芯の方向の穴部に、前記第1プレート及び前記第2プレートが挿入されて前記第1流路及び前記第2流路が設けられ、前記流体圧室に対して作動流体を供給及び排出する請求項1〜4の何れか一項に記載の流路仕切構造を備えた流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を流通させる流路空間を仕切る仕切体を備える流路仕切構造及び当該流路仕切構造を用いた流体制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の弁開閉時期制御装置等では、従動側回転体をカムシャフトに固定するボルトに形成された流路空間にOCV(オイルコントロールバルブ)を設けるものが存在する(例えば特許文献1)。ボルトの流路空間は従動側回転体と同軸芯状に形成されており、該流路空間に仕切体が圧入されている。流路空間は、仕切体によって進角室又は遅角室に作動流体を供給する流路と、進角室又は遅角室から作動流体を排出する流路とに仕切られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/097122号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、流路部材であるボルトの流路空間に仕切体を圧入する際に、仕切体がボルトの内面に対して摺動し、仕切体とボルトの内面の何れかが削られて切粉が発生することがある。この切粉が流路に混入すると、流路に設けられる弁の動作に悪影響を及ぼす等の不都合が生じる。
【0005】
上記実情に鑑み、流路空間に仕切体を組込むことで2つの流路を形成する流路部材においては、仕切体を組付ける際に発生する異物が流路に混入するのを防止できる流路仕切構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る流路仕切構造の特徴構成は、流体を流通させる流路空間を有する流路部材と、前記流路空間を第1流路と第2流路とに仕切る仕切体とを備え、前記仕切体は、前記流路部材の一方の開口端部から挿入され、挿入方向の奥側において前記第1流路と前記第2流路との境界に設けられた段部に当接する第1プレートと、前記第1プレートに続けて前記流路空間に挿入され、前記流路空間の内周面に圧入された状態で前記第1プレートに重ねて当接する第2プレートと、を有し、前記第1プレートの外周面が前記流路空間の内周面とは当接せず、前記第1プレート及び前記第2プレート、前記内周面によって形成された空間を異物貯留部としてある点にある。
【0007】
一つの流路空間を仕切るのに、流路部材の一方の開口端部から仕切体を圧入する場合、仕切体の圧入方向奥側に異物が発生することがある。その点、本構成では、仕切体を構成する第1プレート及び第2プレート、流路空間の内周面によって形成された空間を異物貯留部としているため、仮に異物が発生しても、異物を異物貯留部に閉じ込めることができる。これにより、仕切体によって仕切られた第1流路及び第2流路への異物の混入を防止することができる。
【0008】
本発明の他の特徴構成は、前記第1プレートは、前記第2プレートよりも表面硬度の低い材料で構成されている点にある。
【0009】
第2プレートを圧入する際に発生する異物は、第1プレートと第2プレートとが対向する領域に入り込むことがある。異物が挟まることで第1プレートと第2プレートとの密着性が損なわれ、第2プレートが適正な姿勢で配置されなくなる。
しかし、本構成のように、第1プレートが第2プレートよりも表面硬度の低い材料で構成されていると、第2プレートが第1プレートに当接する際に第1プレートに押し付けられる異物を第1プレートの表層に埋没させることができる。これにより、第1プレートと第2プレートとの密着性が保持され、第2プレートを適正な姿勢で配置することできる。
【0010】
本発明の他の特徴構成は、前記第1プレートの外周縁のうち、前記第2プレートの側の外周縁の少なくとも一部が他の外周縁に比べて小径に形成されている点にある。
【0011】
本構成であれば、第1プレートの外周縁を面取り等することで異物貯留部の領域を大きくすることができる。これにより、異物貯留部に異物を保持させ易くなる。
【0012】
本発明の他の特徴構成は、前記第2プレートの外周縁のうち、前記第1プレートの側の外周縁の少なくとも一部が他の外周縁に比べて小径に形成されている点にある。
【0013】
本構成であれば、第2プレートの外周縁を面取り等することで異物貯留部の領域を大きくすることができる。これにより、異物貯留部に異物を保持し易くなる。
また、第2プレートのうち第1プレートに対向する面を小径にすることで、第2プレートを圧入する際の抵抗が小さくなる。その結果、切粉の発生が抑えられ、流路空間への第2プレートの組込み作業が容易となる。
【0014】
本発明に係る流体制御弁の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転体と、該駆動側回転体に対して同軸状に配置され、前記内燃機関のカムシャフトに対して同期回転する従動側回転体と、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも一方に形成され、進角室と遅角室とに仕切られた流体圧室と、前記従動側回転体の回転軸芯と同軸上に挿入配置されて前記従動側回転体と前記カムシャフトとを連結するボルトと、を有する弁開閉時期制御装置において、前記ボルトに形成された前記回転軸芯の方向の穴部に、前記第1プレート及び前記第2プレートが挿入されて前記第1流路及び前記第2流路が設けられ、前記流体圧室に対して作動流体を供給及び排出する上記構成の流路仕切構造を備える点にある。
【0015】
本発明の流路仕切構造は、弁開閉時期制御装置のボルトに形成されるOCV(オイルコントロールバルブ)用の流路空間である穴部に適用することができる。ボルトの中心に設けた穴部を仕切体で仕切ることで、進角室あるいは遅角室に給排する複雑な油路を効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】弁開閉時期制御装置の全体構成を示す断面図である。
図2図1におけるII−II断面図である。
図3】流体制御弁の断面図である。
図4】流路仕切構造を示す断面図である。
図5】流体制御弁を備えるボルトの分解斜視図である。
図6】別形態の流路仕切構造を示す断面図である。
図7】別形態の流路仕切構造を示す断面図である。
図8】第2プレートの変形例を示す要部断面図である。
図9】別形態の流路仕切構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は、流路仕切構造を弁開閉時期制御装置に備えられるOCV(オイルコントロールバルブ)に適用した例である。
【0018】
〔弁開閉時期制御装置の基本構成〕
弁開閉時期制御装置Aは、図1図2に示すように、エンジンEのクランクシャフトE2と同期回転するハウジング1と、ハウジング1の内側に同じ回転軸芯Xで回転自在に支持され、吸気弁開閉用のカムシャフト2と一体回転する内部ロータ3とを有する。
【0019】
本実施形態では、自動車用エンジンEが「内燃機関」に相当し、クランクシャフトE2が「内燃機関の駆動軸」に相当し、ハウジング1が「駆動側回転体」に相当し、内部ロータ3が「従動側回転体」に相当する。
【0020】
ハウジング1は、カムシャフト2とは反対の側に備えたフロントプレート1aと、内部ロータ3に外装される外部ロータ1bと、カムシャフト2の側に備えたリアプレート1cとを連結ボルト1dで一体に連結して構成してある。
外部ロータ1bはタイミングスプロケット1eを一体的に備えている。タイミングスプロケット1eには、クランクシャフトE2の回転に連動する金属チェーンなどの無端回動体E4が巻き掛けられる。
【0021】
クランクシャフトE2が回転駆動すると、無端回動体E4により外部ロータ1bに回転動力が伝達され、ハウジング1が図2に示す回転方向Sに回転駆動する。
ハウジング1の回転駆動に伴い、内部ロータ3が回転方向Sに従動回転してカムシャフト2が回転し、カムE3がエンジンEの吸気弁E1を押し下げて開弁させる。
【0022】
内部ロータ3の内部には、スリーブ4と、内部ロータ3とカムシャフト2とを連結する鋼製のボルト5(流路部材の一例)とを設けてある。
図3に示すように、ボルト5は、スリーブ4の内側に挿通される筒軸部5cと、筒軸部5cに連続するボルト頭5bと、ボルト頭5bとは異なる筒軸部5cに連続する雄ねじ部5dとを備えた筒状に形成してある。筒軸部5cの内部に回転軸芯Xの方向の穴部が流路空間5aとして形成されており、流路空間5aはボルト頭5bに開口部を有する。
【0023】
図2に示すように、内部ロータ3がハウジング1に収容され、ハウジング1と内部ロータ3との間に流体圧室7が区画形成されている。
流体圧室7は、径方向内側に突出する複数個の突出部1fを回転方向Sに間隔を隔てて外部ロータ1bに形成することにより区画してある。流体圧室7は、更に、内部ロータ3に形成した径方向外方に突出する突出部3aによって回転方向Sで進角室7aと遅角室7bとに区画されている。
【0024】
内部ロータ3には、進角室7aに連通する進角流路8a及び遅角室7bに連通する遅角流路8bを回転軸芯Xの方向の異なる位置に形成してある。進角流路8aは、筒軸部5cと内部ロータ3との間に形成した進角環状流路9aに連通している。遅角流路8bは、内部ロータ3の内周面に形成された遅角環状流路9bに連通している。
【0025】
進角室7a及び遅角室7bに対するオイル(作動流体)の供給、排出、又は給排の遮断により、突出部3aに油圧を作用させて、相対回転位相を進角方向又は遅角方向へ変位させ、或いは、任意の位相に保持する。カムシャフト2とリアプレート1cとに亘って、内部ロータ3をハウジング1に対して進角方向に付勢するスプリング10を係止してある。
【0026】
進角方向とは、図2に矢印S1で示す進角室7aの容積が大きくなる方向である。遅角方向とは、図2に矢印S2で示す遅角室7bの容積が大きくなる方向である。進角室7aの容積が最大となった時の相対回転位相が最進角位相であり、遅角室7bの容積が最大となった時の相対回転位相が最遅角位相である。
【0027】
ハウジング1に対する内部ロータ3の相対回転移動を拘束することにより、ハウジング1に対する内部ロータ3の相対回転位相を最進角位相と最遅角位相との間のロック位相に拘束可能なロック機構11を備えている(図2参照)。
ロック機構11は、油圧操作で回転軸芯Xの方向に出退移動するロック部材11aを備え、このロック部材11aをフロントプレート1a又はリアプレート1cに係合することによりロック位相に拘束する。
【0028】
カムシャフト2は、エンジンEの吸気弁E1の開閉を制御するカムE3の回転軸である。カムシャフト2において、内部ロータ3との連結側に、雌ねじ部2aを奥側に有するねじ孔2bが同軸芯で形成されている。ボルト5は、カムシャフト2の雌ねじ部2aに雄ねじ部5dを螺合して、内部ロータ3をカムシャフト2に同軸芯で固定する。
【0029】
〔流体制御弁の構成〕
図3図6に示すように、「流体制御弁」として、ボルト5の内部に形成された流路空間5aにOCV12(オイルコントロールバルブ)が設けられている。OCV12はカムシャフト2と同軸芯で配設されている。
OCV12は、ハウジング1と内部ロータ3との相対回転位相が、最進角位相と最遅角位相との間で変更されるよう、進角流路8a及び遅角流路8bを介して進角室7a及び遅角室7bに対するオイルの給排を切り替える。
【0030】
ボルト5に形成された流路空間5aには仕切体18が配置される。この仕切体18によってボルト5の同軸芯上に、オイル供給側の第1流路13bと、オイルの排出側の第2流路14cとが形成される。仕切体18はボルト5の一方の開口端部(本実施形態では第2流路14cの側)から挿入される。仕切体18の挿入方向の奥側において第1流路13bと第2流路14cとの境界に段部14dが設けられている。第2流路14cは第1流路13bよりも大径に形成されている。
【0031】
仕切体18は第1プレート20と第2プレート30とによって構成されている。第1プレート20は第2プレート30よりも小径であり、流路空間5aの内周面には当接しない。
【0032】
仕切体18を流路空間5aに組付ける際には、ボルト5における第2流路14cの側の開口端部から第1プレート20、第2プレート30の順に挿入する。第1プレート20が挿入方向の奥側において段部14dに当接し第1流路13bを閉鎖した後に、第2プレート30が挿入される。
【0033】
第2プレート30はボルト5の流路空間5aに圧入され、第1プレート20に重ねて当接される。これにより、第2プレート30及びボルト5の内面の何れかから異物Dが発生する場合がある。異物Dの多くは第2プレート30の挿入方向の奥側に発生する。
【0034】
一方、第1プレート20は流路空間5aの内周面とは当接しないため、第1プレート20の外周縁25と第2プレート30と流路空間5aの内周面とによって形成された空間が異物貯留部Fとなる。この異物貯留部Fによって、第2プレート30が流路空間5aに圧入される際に発生する異物Dを貯留することができる。また、異物貯留部Fは閉じられた空間であるため、異物貯留部Fに異物Dを保持することができる。これにより、第1流路13b及び第2流路14cへの異物Dの混入を防止することができる。
【0035】
第1プレート20及び第2プレート30は例えば鋼材で構成される。第1プレート20は第2プレート30よりも表面硬度が低い材料(鋼材)で構成してもよい。異物Dは第1プレート20と第2プレート30とが対向する領域に入り込むことがある。この場合、異物Dが挟まることで第1プレート20と第2プレート30との密着性が損なわれ、第2プレート30が適正な姿勢で配置されないことがある。
【0036】
ここで、第1プレート20が第2プレート30よりも表面硬度の低い材料で構成されていると、第2プレート30が第1プレート20に当接する際に第1プレート20に押し付けられる異物Dを第1プレート20の表層に埋没させることができる。これにより、第1プレート20と第2プレート30との密着性が保持され、第2プレート30を適正な姿勢で配置することができる。
【0037】
図1に示すように、OCV12は、筒状のスプール12aと、第2プレート30から回転軸芯Xの方向にスプール12aを付勢するスプリング12bと、スプリング12bの付勢力に抗してスプール12aを駆動移動させる電磁ソレノイド12cとを備えている。第2プレート30には、スプリング12bを位置決めする凸状の係止部31が形成されている。
【0038】
スプール12aは、ボルト5の流路空間5aの第2流路14cに、回転軸芯Xの方向に沿って往復摺動するように収容してある。スプール12aは、スプリング12bによって流路空間5aから外方に突出する側に常時付勢される。スプール12aの抜け止め用のストッパ片12eがボルト5の内側に設けられている。
【0039】
電磁ソレノイド12cに給電すると、スプール12aはプッシュピン12dに押圧されてカムシャフト2の側に向けて摺動移動する。OCV12は、電磁ソレノイド12cに供給する電力のデューティ比の調節により、スプール12aの位置調節ができる。電磁ソレノイド12cへの給電量は図示しないECU(電子制御ユニット)によって制御される。
【0040】
外部からオイルポンプPで供給されたオイルは、供給流路13とOCV12とによって進角流路8a又は遅角流路8bに択一的に供給される。供給流路13は、ボルト5の外周流路13aと第1流路13bと導入路13cと第1連通路13dと第2連通路14aと第3連通路14bとを備えている。
【0041】
外周流路13aは、カムシャフト2のねじ孔2bに形成されている。第1流路13bは、ボルト5の内部に形成してある。導入路13cは、ボルト5とスリーブ4との間に設けられ、第1流路13bのオイルを回転軸芯Xの方向に沿って流通させる。第1連通路13dは、筒軸部5cに貫通形成されており、導入路13cのオイルを筒軸部5cの内側に流通させる。第2連通路14aは、筒軸部5cにおいて回転軸芯Xに交差する方向に貫通している。第3連通路14bは、筒軸部5c及びスリーブ4を回転軸芯Xに交差する方向に貫通している。
【0042】
第2連通路14a及び第3連通路14bは、ボルト5の内側のオイルが進角流路8aと遅角流路8bとに各別に流通するよう、導入路13cに対して回転軸芯Xの周方向に沿って異なる位置であって、互いに回転軸芯Xの方向に沿って異なる位置に設けられている。
【0043】
スリーブ4には、遅角環状流路9bと第3連通路14bとを連通するためのスリーブ側連通路4aを形成してある。スリーブ側連通路4aは、回転軸芯Xの周りに長孔を形成して設けてある。
【0044】
スプール12aは、円環状に形成した弁体周溝15を外周面に備え、導入路13cが第2連通路14aにも第3連通路14bにも連通しない中立状態と、導入路13cが第2連通路14aにのみ連通する進角制御状態(図3)と、導入路13cが第3連通路14bにのみ連通する遅角制御状態とに切り替える。
進角制御状態への切り替えは、電磁ソレノイド12cへの給電を停止することにより行う。これに対し、中立状態又は遅角制御状態への切り替えは、電磁ソレノイド12cへの給電量を制御することで行う。
【0045】
筒軸部5cの内部には、第1流路13bの途中箇所において、ボール式の逆止弁16を設けてある。当該逆止弁16はスプリング22によって閉じ側に付勢されている。第1プレート20には、このスプリング22の位置決めを行う凸状の係止部21が形成されている。逆止弁16は、オイルの供給圧力が設定圧力以下であると、導入路13cへのオイルの流入を遮断し、且つ、導入路13cからのオイルの逆流を阻止する。一方、オイルの供給圧力が設定圧力を超えると導入路13cへのオイルの流入を許容する。
【0046】
中立状態では、スプール12aが、第1連通路13dのみが弁体周溝15に連通し、第2連通路14aと第3連通路14bの何れもが弁体周溝15に連通しない位置に移動している。この中立状態では、進角室7a及び遅角室7bに対するオイルの給排が停止され、相対回転位相は変化しない。
【0047】
進角制御状態(図3)では、スプール12aが、第1連通路13dと第2連通路14aとが弁体周溝15を介して連通し、第3連通路14bが流路空間5aに連通する位置に移動している。この進角制御状態では、進角流路8aを通して進角室7aにオイルが供給されると共に、遅角室7bのオイルが遅角流路8bを通して第3連通路14bから外部に排出され、相対回転位相が進角方向に変化する。
【0048】
遅角制御状態では、スプール12aが、第1連通路13dと第3連通路14bとが弁体周溝15を介して連通し、第2連通路14aを流路空間5aに連通する位置に移動している。この遅角制御状態では、遅角流路8bを通して遅角室7bにオイルが供給されると共に、進角室7aのオイルが進角流路8aを通して外部に排出され、相対回転位相が遅角方向に変化する。
【0049】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、図6に示すように、第1プレート20は、第1プレート20の外周縁25のうち、第2プレート30の側の外周縁の少なくとも一部が他の外周縁に比べて小径に形成されている。図6では、第1プレート20の外周縁25のうち第2プレート30の側の面24と交差する角部が切削されて面取り部26が形成されている。面取り部26によって異物貯留部Fが拡張されるため、異物貯留部Fに異物Dを保持し易くなる。
【0050】
〔第3実施形態〕
本実施形態では、図7に示すように、第2プレート30は、第2プレート30の外周縁35のうち、第1プレート20の側の外周縁の少なくとも一部が他の外周縁に比べて小径に形成されている。図7では、第2プレート30の外周縁35のうち第1プレート20の側の面34と交差する角部が切削されて面取り部36がされている。面取り部36によって異物貯留部Fが拡張されるため、異物貯留部Fに異物Dを保持し易くなる。また、他の外周縁よりも小径の面取り部36は第2プレート30をボルト5の流路空間5aに挿入する際の案内として用いることができる。これにより、第2プレート30を挿入する際に切粉の発生が抑えられ、流路空間5aへの第2プレート30の組込み作業が容易になる。
【0051】
〔第3実施形態の変形例〕
本実施形態では、図8に示すように、第2プレート30の外周縁35において第1プレート20の側の面34に交差する角部と第1プレート20とは反対の側の面33に交差する角部の両方に面取り部36が形成されている。このように、第2プレート30の両面33,34に面取り部36を形成すると、第2プレート30がスプリング12bの係止部31を有しない場合に、第2プレート30の両面33,34を同形状にすることができる。これにより、第2プレート30は面33,34を区別することなくボルト5の流路空間5aへの挿入が可能になる。その結果、流路空間5aへの第2プレート30の組込み作業がより簡単になる。
【0052】
〔第4実施形態〕
本実施形態では、図9に示すように、第1プレート20が第2プレート30との側の面24に凸部27を有し、第2プレート30が第1プレート20の側の面34に凹部37を有する。第1プレート20の凸部27と第2プレート30の凹部37とを組み合わせることで、凸部27の外周側と凹部37の内周側に囲まれた異物貯留部Fを形成することができる。図9に示す例では、第1プレート20の外周部28と第2プレート30の外周部38とは離間しているが、第1プレート20の外周部28と第2プレート30の外周部38とが接するよう構成してもよい。こうすると、第1プレート20の凸部27と第2プレート30の凹部37との間の異物貯留部Fは封鎖されるため、異物Dを第2プレート30の内周側に完全に封じ込めることもできる。
【0053】
〔その他の実施形態〕
上記の各実施形態では、本発明を、エンジンEの弁開閉時期制御装置AにおいてOCV12が設けられるボルト5の流路空間5aに適用した例を説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、各種油圧機器の制御のための流路空間に用いることが可能であり、更には、油圧以外の各種流体の流路空間にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る流路仕切構造は、流路部材に形成された流路空間に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1b :外部ロータ(駆動側回転体)
2 :カムシャフト
3 :内部ロータ(従動側回転体)
5 :ボルト(流路部材)
5a :穴部(流路空間)
7 :流体圧室
7a :進角室
7b :遅角室
13b :第1流路
14c :第2流路
14d :段部
18 :仕切体
20 :第1プレート
30 :第2プレート
E2 :クランクシャフト
F :異物貯留部
X :回転軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9