特開2016-223603(P2016-223603A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223603(P2016-223603A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】シール装置および回転機械
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/453 20060101AFI20161205BHJP
   F01D 11/02 20060101ALI20161205BHJP
   F01D 11/16 20060101ALI20161205BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20161205BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F16J15/453
   F01D11/02
   F01D11/16
   F01D25/00 L
   F01D25/00 M
   F02C7/28 A
   F02C7/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-112961(P2015-112961)
(22)【出願日】2015年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】桑村 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】大山 宏治
(72)【発明者】
【氏名】田中 良典
(72)【発明者】
【氏名】椙下 秀昭
【テーマコード(参考)】
3G202
3J042
【Fターム(参考)】
3G202KK04
3G202KK05
3G202KK17
3G202KK20
3G202KK22
3G202KK26
3G202KK39
3J042AA03
3J042BA03
3J042CA03
3J042CA12
3J042DA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡素な装置構成にてシール間隙を調節可能なシール装置およびこれを備えた回転機械を提供する。
【解決手段】回転機械1の静止部材2と回転部材3との間の環状隙間5を介した流体の漏れ流れを抑制するためのシール装置4は、前記環状隙間5に設けられる環状の固定フィン40と、前記環状隙間5内において前記固定フィン40に対して軸方向に隣接して設けられる環状の可動フィン60と、を備え、前記可動フィン60は、前記固定フィン40よりも熱膨張係数が大きく、前記可動フィン60の基端側61の固定領域のみにおいて前記固定フィン40に固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の静止部材と回転部材との間の環状隙間を介した流体の漏れ流れを抑制するためのシール装置であって、
前記環状隙間に設けられる環状の固定フィンと、
前記環状隙間内において前記固定フィンに対して軸方向に隣接して設けられる環状の可動フィンと、を備え、
前記可動フィンは、
前記固定フィンよりも熱膨張係数が大きく、
前記可動フィンの基端側の固定領域において前記固定フィンに固定されている
ことを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記可動フィンは、該可動フィンの基端側の前記固定領域のみにおいて前記固定フィンに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記可動フィンは、周方向に配列される複数のセグメントを含み、
各々の前記セグメントは、前記固定フィンに固定される前記固定領域を先端側に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記固定領域は、前記セグメントの基端側の周方向範囲における一部の範囲であり、
前記可動フィンの各々の前記セグメントは、前記固定領域を起点とした径方向および周方向の熱伸びが許容されていることを特徴とする請求項3に記載のシール装置。
【請求項5】
前記固定領域は、前記セグメントの基端側の前記周方向範囲のうち、周方向における中央に位置すること特徴とする請求項4に記載のシール装置。
【請求項6】
前記固定領域よりも前記可動フィンの先端側において前記固定フィンに取り付けられ、前記可動フィンの各々の前記セグメントの前記固定フィンからの浮き上がりを抑制するための拘束部材をさらに備えることを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項7】
前記拘束部材は、
隣接する前記セグメント間において延在するように前記固定フィンに固定された支柱部と、
前記支柱部の先端に設けられて、前記固定フィンとの間に前記セグメントが少なくとも部分的に挟まれるように、前記支柱部から周方向に延びる押さえ板部と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載のシール装置。
【請求項8】
隣接する前記セグメント間には、少なくとも前記回転機械の停止時において、周方向間隙が形成されることを特徴とする請求項3乃至7の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項9】
前記可動フィンの前記セグメントは偶数個であることを特徴とする請求項3乃至8の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項10】
前記可動フィンの先端厚さは、前記固定フィンの先端厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項11】
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm1とし、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf1とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm2とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf2としたとき、
m1≧Hf1、且つ、Hm2<Hf2を満たすことを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項12】
前記可動フィンは、前記固定フィンからみて高圧側に設けられることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項13】
前記静止部材又は前記回転部材に形成された溝に嵌合するとともに、軸方向に並ぶ複数の前記固定フィンを先端側に有するシールリングをさらに備え、
前記可動フィンは、少なくとも、前記漏れ流れの最上流側に位置する前記固定フィンからみて高圧側に設けられることを特徴とする請求項12に記載のシール装置。
【請求項14】
前記回転機械の停止時において、前記可動フィンの先端部と前記固定フィンの先端部との間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のシール装置。
【請求項15】
前記固定フィン及び前記可動フィンは、先端側が基端側に対して高圧側に位置するように半径方向に対して斜めに延在していることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項16】
前記静止部材又は前記回転部材の一方に形成された溝に嵌合するとともに、少なくとも一つの前記固定フィンを先端側に有するシールリングをさらに備え、
前記可動フィンは、前記溝の軸方向範囲内に位置する該可動フィンの基端部から、前記溝の軸方向範囲外に位置する該可動フィンの先端部に向かって、半径方向に対して斜めに延在していることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項17】
前記可動フィンは、少なくとも前記可動フィンの前記基端部が前記溝内に存在するように配置されたことを特徴とする請求項16に記載のシール装置。
【請求項18】
前記固定フィン及び前記可動フィンは、前記回転機械の軸方向断面内において湾曲していることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載のシール装置。
【請求項19】
前記固定フィンの前記可動フィン側の表面の前記軸方向断面内における接線方向は、
前記固定フィンの基端側において前記接線方向が半径方向に対してなす角度をθf1とし、
前記固定フィンの先端側において前記接線方向が半径方向に対してなす角度をθf2としたとき、
θf1>θf2の関係式を満たし、
前記可動フィンは、前記固定フィンに沿って湾曲していることを特徴とする請求項18に記載のシール装置。
【請求項20】
回転機械の静止部材と回転部材との間の環状隙間を介した流体の漏れを抑制するためのシール装置であって、
前記環状隙間に設けられる環状の固定フィンと、
前記環状隙間内において前記固定フィンに対して軸方向に隣接して設けられる環状の可動フィンと、を備え、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm1とし、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf1とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm2とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf2としたとき、
m1≧Hf1、且つ、Hm2<Hf2を満たすことを特徴とするシール装置。
【請求項21】
静止部材と、
前記静止部材に対して対向して設けられる回転部材と、
前記静止部材と前記回転部材との間の環状隙間に設けられる請求項1乃至20の何れか一項に記載のシール装置と、を備えることを特徴とする回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シール装置および回転機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転機械の静止部材と回転部材との間の環状隙間を介した流体の漏れ流れを抑制するためのシール装置が知られている。
【0003】
この種のシール装置は、漏れ流れ低減の観点からは、回転機械の運転時におけるシール間隙は小さい方が望ましいとされる。一方、回転機械の起動時には、回転機械は、定常状態に到達前の過渡的状態として、回転機械の回転軸の振動や回転部材と静止部材との伸び差に起因して、一時的にシール間隙が最小となる状態(いわゆるピンチポイント)を経験することになる。よって、回転機械の運転時におけるシール間隙は小さすぎると、ピンチポイント通過時に回転部材又は静止部材とシール装置の接触が生じてしまう可能性がある。
【0004】
そこで、シール間隙の大きさを調節可能なシール装置(自動調整シール)が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、蒸気タービン等の回転機械に用いられる自動調整シールが開示されている。
特許文献1に記載の自動調整シールは、水平の平坦面からなる合わせ面において互いに当接可能な固定シールリングと可動シールリングとを含んでいる。可動シールリングは、回転機械のロータの上方及び下方において、それぞれ、ロータの外周面に沿って120度の角度範囲に亘って設けられる。一方、固定シールリングは、ロータの左右両側において、ロータの外周面に亘って60度の角度範囲に設けられる。可動シールリングは、固定シールリングから遠ざかる方向に弾性体によって付勢されている。回転機械の定格運転時には、可動シールリングは、流体によって固定シールリングに向かって押圧され、シール間隙が減少するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−97350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の自動調整シールは、固定シールリング、可動シールリングおよび弾性体(付勢部材)を備えた大掛かりな装置講成であるため、適用可能な箇所が限定される。
【0008】
上述の諸事靖に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、簡素な装置構成にてシール間隙を調節可能なシール装置およびこれを備えた回転機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るシール装置は、
回転機械の静止部材と回転部材との間の環状隙間を介した流体の漏れ流れを抑制するためのシール装置であって、
前記環状隙間に設けられる環状の固定フィンと、
前記環状隙間内において前記固定フィンに対して軸方向に隣接して設けられる環状の可動フィンと、を備え、
前記可動フィンは、
前記固定フィンよりも熱膨張係数が大きく、
前記可動フィンの基端側の固定領域において前記固定フィンに固定されている。
【0010】
(2)一実施形態では、上記(1)の構成において、
前記可動フィンは、該可動フィンの基端側の前記固定領域のみにおいて前記固定フィンに固定されている。
【0011】
上記(1)又は(2)の構成では、静止部材と回転部材との間の環状隙間内において固定フィンに対して軸方向に隣接して可動フィンが設けられ、且つ、可動フィンの基端側の固定領域(上記(2)の構成においては固定領域のみ)が固定フィンに固定される。
このため、回転機械の運転時にシール装置が高温の流体に曝されると、可動フィンは基端側の固定領域を起点として先端側が熱伸びする。この際、固定フィンよりも可動フィンの熱膨張係数が大きいため、可動フィンの先端側の熱伸び量は固定フィンの先端側の熱伸び量よりも大きい。よって、シール装置の可動フィンの先端と回転機械の静止部材又は回転部材との間のクリアランスHは、回転機械の停止時に比べて小さくなり、当該クリアランスHを介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記可動フィンは、周方向に配列される複数のセグメントを含み、
各々の前記セグメントは、前記固定フィンに固定される前記固定領域を先端側に有する。
【0013】
上記(3)の構成によれば、可動フィンが周方向において複数のセグメントに分割されているため、各セグメントの熱伸び変形に対する拘束力が弱まり、回転機械の運転時において可動フィンの各セグメントの熱伸びを利用してクリアランスHをさらに低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れを効果的に抑制できる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記固定領域は、前記セグメントの基端側の周方向範囲における一部の範囲であり、
前記可動フィンの各々の前記セグメントは、前記固定領域を起点とした径方向および周方向の熱伸びが許容されている。
【0015】
上記(4)の構成によれば、固定フィンに固定される可動フィンの各セグメントの固定領域は、各セグメントの基端側の一部の範囲であるため、当該固定領域を起点として各セグメントは径方向だけでなく周方向にも熱伸びが許容される。よって、回転機械の起動時に各セグメントが熱伸び変形する際、隣接するセグメント間の拘束をより一層弱めることができる。よって、回転機械の運転時において可動フィンの各セグメントの熱伸びを利用してクリアランスHをより一層低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れを効果的に抑制できる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記固定領域は、前記セグメントの基端側の前記周方向範囲のうち、周方向における中央に位置する。
【0017】
上記(5)の構成によれば、各セグメントの固定領域(固定フィンに固定される領域)を各セグメントの周方向における中央に設けたので、各セグメントの前記固定領域の両側における領域は固定フィンに拘束されない。よって、回転機械の運転時において可動フィンの各セグメントがより一層自由に熱伸び変形することができ、クリアランスHをより一層低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れをより効果的に抑制できる。
【0018】
(6)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(5)の何れかの構成において、
前記固定領域よりも前記可動フィンの先端側において前記固定フィンに取り付けられ、前記可動フィンの各々の前記セグメントの前記固定フィンからの浮き上がりを抑制するための拘束部材をさらに備える。
【0019】
上述のように、可動フィンの各セグメントの先端側は固定フィンに固定されていない。このため、可動フィンの先端側と固定フィンの先端側との間に流体が浸入し、可動フィンの各セグメントを固定フィンから浮き上がらせてしまう場合がある。
この点、上記(6)の構成によれば、固定領域よりも可動フィンの先端側において固定フィンに取り付けられる拘束部材を設けたので、可動フィンの各セグメントの固定フィンからの浮き上がりを抑制できる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記拘束部材は、
隣接する前記セグメント間において延在するように前記固定フィンに固定された支柱部と、
前記支柱部の先端に設けられて、前記固定フィンとの間に前記セグメントが少なくとも部分的に挟まれるように、前記支柱部から周方向に延びる押さえ板部と、
を含む。
【0021】
上記(7)の構成によれば、隣接するセグメント間において固定フィンに固定される支柱部と、支柱部の先端に設けられる押さえ板部と、を含む拘束部材を用いることで、各セグメントの熱伸び変形に実質的に影響を及ぼすことなく、各セグメントの固定フィンから浮き上りを抑制できる。
【0022】
(8)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(7)の何れかの構成において、
隣接する前記セグメント間には、少なくとも前記回転機械の停止時において、周方向間隙が形成される。
【0023】
上記(8)の構成によれば、隣接するセグメント間の拘束をより一層弱めることができる。よって、回転機械の運転時において可動フィンの各セグメントの熱伸びを利用してクリアランスHをより一層低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れをより効果的に抑制できる。
【0024】
(9)幾つかの実施形態では、上記(3)乃至(8)の何れかの構成において、
前記可動フィンの前記セグメントは偶数個である。
【0025】
上記(9)の構成によれば、可動フィンのセグメントを偶数個としたので、半割構造の固定フィンの採用によってシール装置の組立作業を効率化できる。この場合、整数個の可動フィンのセグメントを組み付けた半環状の固定フィンを一対準備し、これらを回転機械に取り付けることでシール装置の組み立てが完了する。
【0026】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記可動フィンの先端厚さは、前記固定フィンの先端厚さよりも小さい。
【0027】
上述したように、可動フィンの熱膨張率は固定フィンよりも大きいため、回転機械の起動中において、過渡的に、可動フィンの熱伸びによってクリアランスHmが過度に狭くなり得る。このため、回転機械の回転部材又は静止部材と可動フィンの先端部とが接触してしまう可能性がある。
この点、上記(10)の構成によれば、可動フィンの先端厚さを固定フィンに比べて相対的に小さくしたので、回転機械の回転部材又は静止部材と可動フィンの先端部とが万が一接触した場合であっても、接触に起因した発熱や振動を抑制できる。一方、固定フィンの先端厚さを可動フィンに比べて相対的に大きくすることで、可動フィン及び固定フィンの軸方向両側における流体の圧力差に起因した固定フィン先端部の変形を抑制し、固定フィンの変形に伴う可動フィンの意図せぬ変位を抑制できる。
【0028】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかの構成において、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm1とし、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf1とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm2とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf2としたとき、
m1≧Hf1、且つ、Hm2<Hf2を満たす。
【0029】
上記(11)の構成によれば、回転機械の停止時において、静止部材又は回転部材と可動フィンとの間に形成されるクリアランスHm1は、静止部材又は回転部材と固定フィンとの間に形成されるクリアランスHf1以上であるため、回転機械が起動中に経験するピンチポイントにおいて静止部材又は回転部材と可動フィンとの接触の可能性を低減できる。
また、回転機械の定格運転時において、静止部材又は回転部材と可動フィンとの間に形成されるクリアランスHm2は、静止部材又は回転部材と固定フィンとの間に形成されるクリアランスHf2よりも小さいため、当該クリアランスHm2を介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【0030】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れかの構成において、
前記可動フィンは、前記固定フィンからみて高圧側に設けられる。
【0031】
上記(12)の構成によれば、回転機械の運転時、可動フィンは高圧の流体によって固定フィン側に押し付けられるため、可動フィンの固定フィンからの浮き上がりを抑制できる。
【0032】
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の構成において、
前記静止部材又は前記回転部材に形成された溝に嵌合するとともに、軸方向に並ぶ複数の前記固定フィンを先端側に有するシールリングをさらに備え、
前記可動フィンは、少なくとも、前記漏れ流れの最上流側に位置する前記固定フィンからみて高圧側に設けられる。
【0033】
上記(13)の構成によれば、多段の固定フィンを有するシールリングに対して、最上流側の固定フィンからみて高圧側に可動フィンを取り付けることで、多段の固定フィンを有するシール装置においても、流体の圧力を利用して可動フィンの固定フィンからの浮き上がりを抑制することができる。
なお、仮に多段の固定フィンを有するシール装置において、下流側の固定フィンからみて高圧側に可動フィンを取り付けようとすると(すなわち隣接する固定フィン間に可動フィンを取り付けようとすると)、可動フィンのコンパクト化が求められる。そうすると、可動フィンの長さ(可動フィンの基端部から先端部までの距離)が十分でないため可動フィンの熱伸び量を十分に得ることは難しいことがある。この場合、回転機械の運転時において、可動フィンの熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れ抑制効果が限定的になってしまう可能性がある。
【0034】
(14)幾つかの実施形態では、上記(12)又は(13)の構成において、
前記回転機械の停止時において、前記可動フィンの先端部と前記固定フィンの先端部との間には隙間が形成されている。
【0035】
上記(14)の構成によれば、回転機械の運転時において、高圧側に位置する可動フィンが流体によって固定フィンの高圧側の面に押圧され、可動フィンの先端部が変形する。このように、可動フィンの熱伸び変形に加えて、流体による固定フィン側への押し付け力に起因した可動フィンの変形を利用すれば、回転機械の運転時において、クリアランスHをより高い自由度で制御することが可能になる。よって、クリアランスHを介した漏れ流れをより適切に抑制することができる。
【0036】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(14)の何れかの構成において、
前記固定フィン及び前記可動フィンは、先端側が基端側に対して高圧側に位置するように半径方向に対して斜めに延在している。
【0037】
上記(15)の構成によれば、可動フィンの長さ(可動フィンの基端部から先端部までの距離)を十分に確保することができ、回転機械の運転時において、可動フィンの熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
【0038】
(16)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(15)の何れかの構成において、
前記静止部材又は前記回転部材の一方に形成された溝に嵌合するとともに、少なくとも一つの前記固定フィンを先端側に有するシールリングをさらに備え、
前記可動フィンは、前記溝の軸方向範囲内に位置する該可動フィンの基端部から、前記溝の軸方向範囲外に位置する該可動フィンの先端部に向かって、半径方向に対して斜めに延在している。
【0039】
上記(16)の構成によれば、静止部材又は回転部材の一方に形成された溝に嵌合するシールリングを備えており、可動フィンは、この溝の軸方向範囲内から軸方向範囲外まで半径方向に対して斜めに延在している。そのため、可動フィンの長さ(可動フィンの基端部から先端部までの距離)を十分に確保することができ、回転機械の運転時において、可動フィンの熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
【0040】
(17)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
前記可動フィンは、少なくとも前記可動フィンの前記基端部が前記溝内に存在するように配置される。
【0041】
上記(17)の構成によれば、可動フィンの基端部が溝内に位置することから、可動フィンの長さをより一層大きくすることができ、回転機械の運転時において、可動フィンの熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
【0042】
(18)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(17)の何れかの構成において、
前記固定フィン及び前記可動フィンは、前記回転機械の軸方向断面内において湾曲している。
【0043】
上記(18)の構成によれば、可動フィンの長さ(可動フィンの基端部から先端部までの距離)を十分に確保することができ、回転機械の運転時において、可動フィンの熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
【0044】
(19)幾つかの実施形態では、上記(18)の構成において、
前記固定フィンの前記可動フィン側の表面の前記軸方向断面内における接線方向は、
前記固定フィンの基端側において前記接線方向が半径方向に対してなす角度をθf1とし、
前記固定フィンの先端側において前記接線方向が半径方向に対してなす角度をθf2としたとき、
θf1>θf2の関係式を満たし、
前記可動フィンは、前記固定フィンに沿って湾曲している。
【0045】
上記(19)の構成によれば、固定フィンに沿って湾曲する可動フィンについても、基端側に比べて先端側の方が、可動フィン接線方向が半径方向に対してなす角度が小さくなる。すなわち、可動フィンは、基端側に比べて先端側の方が相対的に半径方向に沿っている。このため、可動フィンの先端側の熱伸び変形量に対するクリアランスHの変化量の比を増大させることができ、回転機械の運転時において、可動フィンの熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れのより優れた抑制効果を享受できる。
【0046】
(20)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るシール装置は、
回転機械の静止部材と回転部材との間の環状隙間を介した流体の漏れを抑制するためのシール装置であって、
前記環状隙間に設けられる環状の固定フィンと、
前記環状隙間内において前記固定フィンに対して軸方向に隣接して設けられる環状の可動フィンと、を備え、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm1とし、
前記回転機械の停止時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf1とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記可動フィンとの間に形成されるクリアランスをHm2とし、
前記回転機械の定格運転時において、前記静止部材又は前記回転部材と前記固定フィンとの間に形成されるクリアランスをHf2としたとき、
m1≧Hf1、且つ、Hm2<Hf2を満たす。
【0047】
上記(20)の構成によれば、回転機械の運転時において、静止部材又は回転部材と可動フィンとの間に形成されるクリアランスHm1は、静止部材又は回転部材と固定フィンとの間に形成されるクリアランスHf1以上であるため、回転機械が起動中に経験するピンチポイントにおいて静止部材又は回転部材と可動フィンとの接触の可能性を低減できる。
また、回転機械の定格運転時において、静止部材又は回転部材と可動フィンとの間に形成されるクリアランスHm2は、静止部材又は回転部材と固定フィンフィンとの間に形成されるクリアランスHf2よりも小さいため、当該クリアランスHm2を介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【0048】
(21)本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る回転機械は、
静止部材と、
前記静止部材に対して対向して設けられる回転部材と、
前記静止部材と前記回転部材との間の環状隙間に設けられる請求項1乃至19の何れか一項に記載のシール装置と、を備える。
【0049】
上記(21)の構成によれば、上記(1)乃至(20)の何れかの構成のシール装置を備えているので、シール装置の可動フィンの先端と回転機械の静止部材又は回転部材との間のクリアランスHは、回転機械の運転時の方が回転機械の停止時に比べて小さくなり、当該クリアランスHを介した流体の漏れ流れを抑制でき、よって、回転機械の効率を向上できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、回転機械の運転時において、シール装置の可動フィンの先端と回転機械の静止部材又は回転部材との間のクリアランスHが、回転機械の停止時に比べて小さくなるので、当該クリアランスHを介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】一実施形態に係る回転機械(蒸気タービン)を概略的に示した図である。
図2】一実施形態に係るシール装置の軸方向に沿った部分断面図である。
図3】一実施形態における固定フィン及び可動フィンを部分的に示す斜視図(一部断面)である。
図4】一実施形態における可動フィンを示す平面図(図2のA方向矢視図)である。
図5A】一実施形態に係るシール装置において、回転機械の停止時における固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。
図5B】一実施形態に係るシール装置において、回転機械の定格運転時における固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。
図6A】拘束部材及びその周辺構造の構成例を示す断面図(図4のE−E線断面に対応)である。
図6B】拘束部材及びその周辺構造の構成例を示す断面図(図6AのF−F線断面に対応)である。
図7】可動フィンのセグメントの他の構成例を示す平面図である。
図8A】他の実施形態に係るシール装置において、回転機械の停止時における固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。
図8B】他の実施形態に係るシール装置において、回転機械の定格運転時における固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。
図9】さらに他の実施形態に係るシール装置の固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。
図10A】一実施形態に係るシール装置の適用部位を模式的に示した図である。
図10B】他の実施形態に係るシール装置の適用部位を模式的に示した図である。
図10C】さらに他の実施形態に係るシール装置の適用部位を模式的に示した図である。
図10D】さらに他の実施形態に係るシール装置の適用部位を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0053】
最初に、本実施形態に係る回転機械1の一例として、図1に示す蒸気タービンについて説明する。なお、図1は、一実施形態に係る回転機械(蒸気タービン)1を概略的に示した図である。
【0054】
図1に示すように、一実施形態に係る蒸気タービン1は、ケーシング21及び静翼24を含む静止部材2と、ロータ(回転軸)31及び動翼32を含む回転部材3と、静止部材2と回転部材3との間の環状隙間5(図2参照)に設けられるシール装置4と、を備えている。
【0055】
具体的には、ケーシング21は、内部空間が気密に封止されているとともに、蒸気S(流体)が流れる蒸気通路23を形成する。図示される例では、ケーシング21は、中空形状をなし、複数の静翼24及び複数の動翼32を囲むように配置された円筒部21aと、円筒部21aの内壁面に固定され、一対の静翼24及び動翼32ごとにそれぞれ設けられた複数の環状部21bと、を含む。ケーシング21の円筒部21aの一端側には蒸気入口22が設けられ、他端側には蒸気出口26が設けられている。蒸気入口22には、蒸気通路23を開閉するための調整弁22aが取り付けられている。
ロータ31は、ケーシング21の内部を貫通するように配置され、軸線Oを中心として回転可能に軸受6,7に支持されている。このロータ31には、ケーシング21の内部において、外周部にロータディスク33を介して動翼32が固定されている。動翼32は、ロータ31の軸方向(軸線Oの方向)に所定間隔で複数段にわたって設けられている。各々の動翼32の外形側(チップ側)には、周方向に延在したチップシュラウド32aが設けられている。チップシュラウド32aは、ケーシング21の環状部21bに対向するように位置している。一方、ケーシング21側には、複数段の動翼32に対して軸方向に交互に配列されるように、複数段の静翼24が固定されている。各々の静翼24の内径側(ハブ側)には、周方向に延在したハブシュラウド24aが設けられている。ハブシュラウド24aは、ロータ31の外周面に対向するように位置している。
また、ケーシング21の内部には、動翼32及び静翼24が配設される通路に蒸気通路23が形成されており、この蒸気通路23が蒸気入口22及び蒸気出口26に連通している。
【0056】
上記構成を有する蒸気タービン1においては、蒸気が蒸気入口22から蒸気通路23に供給されると、蒸気通路23において軸方向に沿って流れる蒸気が動翼32及び静翼24を通過することによってロータ31が回転し、ロータ31に与えられた回転エネルギーが軸端から取り出されて発電等に利用されるようになっている。
【0057】
次に、図1乃至図4を参照して、シール装置4について説明する。なお、図2は、一実施形態に係るシール装置4の軸方向に沿った部分断面図であり、図1のE部分を拡大した図である。図3は、一実施形態における固定フィン40及び可動フィン60を部分的に示す斜視図(一部断面)である。図4は、一実施形態における可動フィン60を示す平面図(図2のA方向矢視図)である。図4において矢印Dは、ロータ31の回転方向を示している。
【0058】
図1乃至図4に示すように、シール装置4は、静止部材2と回転部材3との間の環状隙間5を介した高圧側から低圧側への流体(作動流体)の漏れ流れを抑制する目的で設けられる。
これらの図では、一例として、静止部材2(例えばケーシング21)にシール装置4が取り付けられた構成を示している。具体的には、シール装置4は、動翼32のチップシュラウド32aに対向するように、ケーシング21の環状部21bの内壁面に取り付けられている。なお、後述するように、シール装置4は、回転部材3(例えばロータ31)に取り付けられてもよい。
【0059】
一実施形態において、シール装置4は、環状隙間5に設けられる環状の固定フィン40と、環状隙間5内において固定フィン40に対して軸方向に隣接して設けられる環状の可動フィン60と、を備える。
【0060】
固定フィン40は、環状隙間5において静止部材2に取り付けられている。例えば、固定フィン40は、静止部材2(図示される例ではケーシング21の環状部21b)に対して溶接又はボルト締結等によって固定されてもよいし、静止部材2に嵌合することによって固定されてもよい。また、固定フィン40は、外周側(ケーシング21側)に位置する基端部41と、内周側(ロータ31側)に位置する先端部42とを有している。固定フィン40全体としては、基端部41及び先端部42は環状をなしている。
【0061】
可動フィン60は、固定フィン40よりも熱膨張係数が大きい。例えば、可動フィン60は、固定フィン40よりも熱膨張係数が大きい材料で形成される。また、可動フィン60は、外周側(ケーシング21側)に位置する基端部61と、内周側(ロータ31側)に位置する先端部62とを有している。可動フィン60全体としては、基端部61及び先端部62は環状をなしている。そして、基端部61側の固定領域63のみにおいて、可動フィン60は固定フィン40に固定されている。図示される例では可動フィン60は、固定フィン40に対してボルト64によって締結されている。なお、可動フィン60の固定フィン40への固定構造については後述する。
【0062】
ここで、図5A及び図5Bを参照して、可動フィン60の作用について説明する。
図5Aは、一実施形態に係るシール装置4において、回転機械1の停止時における固定フィン40及び可動フィン60の先端領域を示す断面図である。図5Bは、一実施形態に係るシール装置4において、回転機械1の定格運転時における固定フィン40及び可動フィン60の先端領域を示す断面図である。
【0063】
図5Aに示すように、回転機械1の停止時、固定フィン40及び可動フィン60は熱膨張しておらず、例えば図示されるように、固定フィン40の先端部42と可動フィン60の先端部62とは径方向位置が概ね一致している。
図5Bに示すように、回転機械1の運転時、シール装置4が高温の流体に曝されると、可動フィン60は基端部61側の固定領域63を起点として、図中矢印B方向に先端部62側が熱伸びする。この際、固定フィン40よりも可動フィン60の熱膨張係数が大きいため、可動フィン60の先端部62側の熱伸び量は固定フィン40の先端部42側の熱伸び量よりも大きくなる。そのため、シール装置4の可動フィン60の先端部62と回転部材3との間のクリアランスHは、図5Aに示す回転機械1の停止時に比べて小さくなり、当該クリアランスHを介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【0064】
上記可動フィン60は、図2に示すように固定フィン40からみて高圧側に設けられてもよい。図2に示す例では、可動フィン60は、固定フィン40の高圧側の面に対して面接触して配置されている。なお、図2において、流体は左から右に向かって流れるので、シール装置4の左側が高圧側となり、右側が低圧側となる。
この構成により、回転機械1の運転時、可動フィン60は高圧の流体によって固定フィン40側に押し付けられるため、可動フィン60の固定フィン40からの浮き上がりを抑制できる。
【0065】
上記固定フィン40及び可動フィン60は、図2図3図5A及び図5Bに示すように、固定フィン40の先端部42及び可動フィン60の先端部62側が、固定フィン40の基端部41及び可動フィン60の基端部61側に対して高圧側に位置するように半径方向に対して斜めに延在していてもよい。図2図3図5A及び図5Bに示す例では、固定フィン40は、基端部41から先端部42にかけて直線状に形成されており、固定フィン40の先端部42が基端部41よりも高圧側に位置するように、半径方向に対して傾斜している。同様に、可動フィン60は、基端部61から先端部62にかけて直線状に形成されており、可動フィン60の先端部62が基端部61よりも高圧側に位置するように、半径方向に対して傾斜している。この場合、固定フィン40と可動フィン60の傾斜角度は概ね一致している。
この構成により、可動フィン60の長さ(可動フィン60の基端部61から先端部62までの距離)を十分に確保することができ、回転機械1の運転時において、可動フィン60の熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
なお、図示は省略するが、固定フィン40及び可動フィン60は、ロータ31の軸線Oに直交するように、半径方向に沿って延在していてもよい。
【0066】
一実施形態では、図2及び図3に示すように、固定フィン40が取り付けられる静止部材2には溝25が形成されている。
シール装置4は、静止部材2の溝25に嵌合するとともに、少なくとも一つの固定フィン40を先端側に有するシールリング50をさらに備える。
可動フィン60は、溝25の軸方向範囲内に位置する該可動フィン60の基端部61から、溝25の軸方向範囲外に位置する該可動フィン60の先端部62に向かって、半径方向に対して斜めに延在している。
これにより、可動フィン60の長さ(可動フィン60の基端部61から先端部62までの距離)を十分に確保することができ、回転機械1の運転時において、可動フィン60の熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
【0067】
この場合、図2に示すように、可動フィン60は、少なくとも可動フィン60の基端部61が溝25内に存在するように配置されてもよい。
この構成によれば、可動フィン60の基端部61が溝25内に位置することから、可動フィン60の長さ(可動フィン60の基端部61から先端部62までの距離)をより一層大きくすることができる。
【0068】
また、シールリング50が、軸方向に並ぶ複数の固定フィン40A,40B,40Cを先端側に有している場合、可動フィン60は、少なくとも、漏れ流れの最上流側に位置する固定フィン40Aからみて高圧側に設けられる。図2に示す例では、シールリング50は、その先端側に、流体の流れ方向において上流側から順に3つの固定フィン40A,40B,40Cを有している。これらの固定フィン40A,40B,40Cのうち、流体の流れ方向において最上流側に位置する固定フィン40Aの高圧側の面に、ボルト34によって可動フィン60が取り付けられる。なお、一つのシールリング50が有する固定フィン40の枚数は特に限定されるものではない。
【0069】
この構成によれば、多段の固定フィン40A,40B,40Cを有するシールリング50に対して、最上流側の固定フィン40からみて高圧側に可動フィン60を取り付けることで、多段の固定フィン40A,40B,40Cを有するシール装置4においても、流体の圧力を利用して可動フィン60の固定フィン40からの浮き上がりを抑制することができる。
なお、仮に多段の固定フィン40A,40B,40Cを有するシール装置4において、下流側の固定フィン40Cからみて高圧側に可動フィン60を取り付けようとすると(すなわち隣接する固定フィン40B,40C間に可動フィン60を取り付けようとすると)、可動フィン60のコンパクト化が求められる。そうすると、可動フィン60の長さ(可動フィン60の基端部61から先端部62までの距離)が十分でないため可動フィン60の熱伸び量を十分に得ることは難しいことがある。この場合、回転機械1の運転時において、可動フィン60の熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れ抑制効果が限定的になってしまう可能性がある。
【0070】
上記構成を備えるシール装置4において、固定フィン40及び可動フィン60は以下のように構成されてもよい。
図5Aに示すように、回転機械1の停止時において、回転部材3と可動フィン60との間に形成されるクリアランスをHm1とし、回転部材3と固定フィン40との間に形成されるクリアランスをHf1とする。また、図5Bに示すように、回転機械1の定格運転時において、回転部材3と可動フィン60との間に形成されるクリアランスをHm2とし、回転部材3と固定フィン40との間に形成されるクリアランスをHf2とする。
この場合、固定フィン40及び可動フィン60は、Hm1≧Hf1、且つ、Hm2<Hf2を満たすように構成される。
【0071】
一般的に、回転機械1の起動時には、回転機械1は、定常状態に到達前の過渡的状態として、回転機械1のロータ31の振動や回転部材3と静止部材2との伸び差に起因して、一時的に環状隙間5が最小となる状態(いわゆるピンチポイント)を経験する。このピンチポイントを通過した後の定格運転時には、ピンチポイントの状態よりも僅かに環状隙間5が広がる。そのため、回転機械1の運転時における環状隙間5は小さすぎると、ピンチポイント通過時に回転部材3とシール装置4(例えば可動フィン60の先端部62)の接触が生じてしまう可能性がある.
【0072】
そこで、上記構成によれば、図5Aに示す回転機械1の停止時において、回転部材3と可動フィン60との間に形成されるクリアランスHm1が、回転部材3と固定フィン40との間に形成されるクリアランスHf1以上であるため、回転機械1が起動中に経験するピンチポイントにおいて回転部材3と可動フィン60との接触の可能性を低減できる。
また、図5Bに示す回転機械1の定格運転時において、回転部材3と可動フィン60との間に形成されるクリアランスHm2は、回転部材3と固定フィン40との間に形成されるクリアランスHf2よりも小さいため、当該クリアランスHm2を介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【0073】
図2乃至図4に示すように、一実施形態では、可動フィン60は、周方向に配列される複数のセグメント60A〜60Hを含む。
複数のセグメント60A〜60Hは、偶数個であってもよい。これにより、半割構造の固定フィン40の採用によってシール装置4の組立作業を効率化できる。この場合、整数個のセグメント60A〜60Hを組み付けた半環状の固定フィン40を一対準備し、これらを回転機械1に取り付けることでシール装置4の組み立てが完了する。
【0074】
各々のセグメント60A〜60Hは、固定フィン40に固定される固定領域63を先端部62側に有している。図示される例では、可動フィン60は、固定領域63において一本のボルト64によって固定フィン40に固定されている。
この場合、固定領域63は、セグメント60A〜60Hの基端部61側の周方向範囲における一部の範囲であり、可動フィン60の各々のセグメント60A〜60Hは、固定領域63を起点とした径方向(図2乃至図4の矢印B方向)および周方向(図3及び図4の矢印C方向)の熱伸びが許容されていてもよい。
さらにこの場合、固定領域63は、セグメント60A〜60Hの基端部61側の周方向範囲のうち、周方向における中央に位置してもよい。
【0075】
上記構成によれば、可動フィン60が周方向において複数のセグメント60A〜60Hに分割されていることにより、各セグメント60A〜60Hの熱伸び変形に対する拘束力が弱まり、回転機械1の運転時において各セグメント60A〜60Hの熱伸びを利用してクリアランスHをさらに低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れを効果的に抑制できる。
【0076】
また、固定フィン40に固定される可動フィン60の各セグメント60A〜60Hの固定領域63を、各セグメント60A〜60Hの基端部61側の一部の範囲とすることにより、当該固定領域63を起点として各セグメント60A〜60Hは径方向(図2乃至図4の矢印B方向)だけでなく周方向(図3及び図4の矢印C方向)にも熱伸びが許容される。よって、回転機械1の起動時に各セグメント60A〜60Hが熱伸び変形する際、隣接するセグメント60A〜60H間の拘束をより一層弱めることができる。よって、回転機械1の運転時において可動フィン60の各セグメント60A〜60Hの熱伸びを利用してクリアランスHをより一層低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れを効果的に抑制できる。
さらに、各セグメント60A〜60Hの固定領域63を各セグメント60A〜60Hの周方向における中央に設けることによって、各セグメント60A〜60Hの固定領域63の周方向両側における領域は固定フィン40に拘束されない。よって、回転機械1の運転時において可動フィン60の各セグメント60A〜60Hがより一層自由に熱伸び変形することができ、クリアランスHをより一層低減できる。これにより、クリアランスHを介した流体の漏れ流れをより効果的に抑制できる。
【0077】
一実施形態では、可動フィンの各々のセグメントの固定フィンからの浮き上がりを抑制するための拘束部材80をさらに備える。拘束部材80は、固定領域63よりも可動フィン60の先端部62側において固定フィン40に取り付けられる。
上述したように、可動フィン60の各セグメント60A〜60Hの先端部62側は固定フィン40に固定されていない。このため、可動フィン60の先端部62側と固定フィン40の先端部42側との間に流体が浸入し、可動フィン60の各セグメント60A〜60Hを固定フィン40から浮き上がらせてしまう場合がある。
そこで、固定領域63よりも可動フィン60の先端部62側において固定フィン40に取り付けられる拘束部材80を設けることにより、可動フィン60の各セグメント60A〜60Hの固定フィン40からの浮き上がりを抑制できる。
【0078】
具体的には、図6A及び図6Bに示すように、拘束部材80は、支柱部82と、押さえ板部81と、を含む。図6Aは、拘束部材80及びその周辺構造の構成例を示す断面図(図4のE−E線断面に対応)である。図6Bは、拘束部材80及びその周辺構造の構成例を示す断面図(図6AのF−F線断面に対応)である。なお、以下の説明では、適宜、図2乃至図4に示す符号を用いている。
支柱部82は、隣接するセグメント60A〜60H(図4参照)間において延在するように固定フィン40に固定される。例えば、支柱部82のうち固定フィン40に取り付けられる部位に雄ねじ部を形成しておき、これに対応する固定フィン40の部位に雌ねじ部を形成しておき、これらを螺合することによって支柱部82を固定フィン40に固定してもよい。あるいは、固定フィン40に対して支柱部82を溶接することによって、柱部82を固定フィン40に固定してもよい。
押さえ板部81は、支柱部82の先端に設けられた板状部材であって、固定フィン40との間にセグメント60A〜60Hが少なくとも部分的に挟まれるように、支柱部82から周方向に延びている。
【0079】
この構成によれば、隣接するセグメント60A〜60H間において固定フィン40に固定される支柱部82と、支柱部82の先端に設けられる押さえ板部81と、を含む拘束部材80を用いることで、各セグメント60A〜60Hの熱伸び変形に実質的に影響を及ぼすことなく、各セグメント60A〜60Hの固定フィン40から浮き上りを抑制できる。
【0080】
隣接するセグメント60A〜60H間には、少なくとも回転機械1の停止時において、周方向間隙65が形成されていてもよい。周方向間隙65は、隣接するセグメント60A〜60Hが互いに周方向に離間して配置されることによって形成され、径方向に延在している。図4に示す例では、回転機械1の停止時において、周方向間隙65は一定の間隙幅を有している。
このように、隣接するセグメント60A〜60H間に周方向間隙65が形成されていることにより、隣接するセグメント60A〜60H間の拘束をより一層弱めることができる。よって、回転機械1の運転時において可動フィン60の各セグメント60A〜60Hの熱伸びを利用してクリアランスHをより一層低減できる。
【0081】
図7は可動フィン60のセグメント60A〜60Hの他の構成例を示す平面図である。
他の構成例において、周方向間隙65は、径方向において一定の幅を有しなくてもよい。すなわち、同図に示す例では、周方向間隙65は、径方向の一部において間隙幅が他の部位より大きい幅広部66を有している。幅広部66は、拘束部材80の支柱部82が挿通される構成となっており、幅広部66以外の周方向間隙65は、支柱部82の径よりも小さく構成されている。また、幅広部66は径方向に一定の長さを有しており、この幅広部66の径方向の長さだけ、各セグメント60A〜60Hは支柱部82に対して径方向にスライド移動可能となっている。
また、周方向間隙65は、可動フィン60の先端部62側において、基端部61側の周方向間隙65よりも間隙幅が狭い幅狭部67を有していてもよい。このように、可動フィン60の先端部62側の方が、可動フィン60の基端部61側よりも間隙幅を狭くすることによって、可動フィン60が熱膨張した状態において先端部62側の各セグメント60A〜60H間の隙間がより狭まり、各セグメント60A〜60H間の隙間から流体が漏れ出ることを阻止できる。また、可動フィン60の各々のセグメント60A〜60Hは、基端部61側の長さの方が先端部62側の長さよりも長い。そのため、回転機械1の運転時、基端部61側の方が先端部62側よりも熱膨張量が大きくなる。そこで、基端部61側の周方向間隙65を先端部62側の周方向間隙65よりも広くすることによって、可動フィン60の基端部61側の熱膨張を吸収できる。
【0082】
一実施形態では、図5A及び図5Bに示すように、可動フィン60の先端厚さは、固定フィン40の先端厚さよりも小さい。
例えば、図示されるように、可動フィン60は、径方向において略同一の厚さを有している。一方、固定フィン40は、基端部41側から先端部42側に向けて徐々に厚さが薄くなっている。そして、先端領域において、可動フィン60の厚さは固定フィン40の厚さよりも小さい。
あるいは、図示しないが、可動フィン60の先端領域において、基端部61側から先端部62側へ向けて徐々に厚さが小さくなるように構成されていてもよい。この場合も、先端領域において、可動フィン60の厚さは固定フィン40の厚さよりも小さい。
【0083】
上述したように、可動フィン60の熱膨張率は固定フィン40よりも大きいため、回転機械1の起動中において、過渡的に、可動フィン60の熱伸びによってクリアランスHが過度に狭くなり得る。このため、回転機械1の回転部材3と可動フィン60の先端部62とが接触してしまう可能性がある。
そのため、可動フィン60の先端厚さを固定フィン40に比べて相対的に小さくすることによって、回転機械1の回転部材3と可動フィン60の先端部62とが万が一接触した場合であっても、接触に起因した発熱や振動を抑制できる。一方、固定フィン40の先端厚さを可動フィン60に比べて相対的に大きくすることで、可動フィン60及び固定フィン40の軸方向両側における流体の圧力差に起因した固定フィン40の先端部42の変形を抑制し、固定フィン40の変形に伴う可動フィン60の意図せぬ変位を抑制できる。
【0084】
他の実施形態では、図8A及び図8Bに示すように、回転機械1の停止時において、可動フィン60の先端部62と固定フィン40の先端部42との間には隙間90が形成されている。なお、図8Aは、他の実施形態に係るシール装置において、回転機械の停止時における固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。図8Bは、他の実施形態に係るシール装置において、回転機械の定格運転時における固定フィン及び可動フィンの先端領域を示す断面図である。
【0085】
図8Aに示すように、回転機械1の停止時において、例えば可動フィン60は、基端部61側から先端部62側まで概ね一定の厚さを有している。一方、固定フィン40は、基端部41(図2参照)と先端部42との間において、流体の流れ方向上流側(高圧側)へ突出するように少なくとも一部が湾曲している。あるいは、固定フィン40は、先端部42側に、可動フィン60から離れる方向に傾斜したテーパ面を有していてもよい。このようにして、回転機械1の停止時において、可動フィン60の先端部62と固定フィン40の先端部42との間に隙間90が形成される。
【0086】
図8Bに示すように、回転機械1の定格運転時において、可動フィン60の先端部62は、高圧側に位置する可動フィン60が流体によって固定フィン40の高圧側の面に押圧され(すなわち図中矢印G方向に押圧される)、可動フィン60の先端部62側が変形する。このように、可動フィン60の熱伸び変形に加えて、流体による固定フィン40側への押し付け力に起因した可動フィン60の変形を利用すれば、回転機械1の運転時において、クリアランスHをより高い自由度で制御することが可能になる。よって、クリアランスHを介した漏れ流れをより適切に抑制することができる。
【0087】
なお、図8Aに示す回転機械1の停止時において、回転部材3と可動フィン60との間に形成されるクリアランスをHm1とし、回転部材3と固定フィン40との間に形成されるクリアランスをHf1とする。また、図8Bに示す回転機械1の定格運転時において、回転部材3と可動フィン60との間に形成されるクリアランスをHm2とし、回転部材3と固定フィン40との間に形成されるクリアランスをHf2とする。
この場合、固定フィン40及び可動フィン60は、Hm1≧Hf1、且つ、Hm2<Hf2を満たすように構成されてもよい。
【0088】
さらに他の実施形態では、図9に示すように、固定フィン40及び可動フィン60は、回転機械1の軸方向断面内において湾曲している。
この構成によれば、可動フィン60の長さ(可動フィン60の基端部61から先端部62までの距離)を十分に確保することができ、回転機械1の運転時において、可動フィン60の熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れの優れた抑制効果を享受できる。
【0089】
この場合、固定フィン40及び可動フィン60は以下の構成をさらに有していてもよい。
固定フィン40の基端部41側において接線方向Tが半径方向に対してなす角度をθf1とし、固定フィン40の先端部42側において接線方向Tが半径方向に対してなす角度をθf2とする。このとき、固定フィン40の可動フィン60側の表面の軸方向断面内における接線方向Tが、θf1>θf2の関係式を満たすように、可動フィン60は固定フィン40に沿って湾曲している。
【0090】
この構成によれば、固定フィン40に沿って湾曲する可動フィン60についても、基端部61側に比べて先端部62側の方が、可動フィン60の接線方向Tが半径方向に対してなす角度θf2が小さくなる。すなわち、可動フィン60は、基端部61側に比べて先端部62側の方が相対的に半径方向に沿っている。このため、可動フィン60の先端部62側の熱伸び変形量に対するクリアランスHの変化量の比を増大させることができ、回転機械1の運転時において、可動フィン60の熱伸び変形を利用したクリアランスHの低減による漏れ流れのより優れた抑制効果を享受できる。
【0091】
上述したように、本発明の実施形態によれば、回転機械1の運転時において、シール装置4の可動フィン60の先端部62と回転機械1の静止部材2又は回転部材3との間のクリアランスHが、回転機械1の停止時に比べて小さくなるので、当該クリアランスHを介した流体の漏れ流れを抑制できる。
【0092】
また、図1に示すように、回転機械1が、静止部材2と、静止部材2に対して対向して設けられる回転部材3と、静止部材2と回転部材3との間の環状隙間5に設けられる上記シール装置4(図1乃至図9参照)と、を備える構成とすることによって、次の効果が得られる。
この回転機械1は、図1乃至図9に示すシール装置4を備えているので、シール装置4の可動フィン60の先端部62と回転部材3(又は静止部材2)との間のクリアランスHは、回転機械1の運転時の方が回転機械1の停止時に比べて小さくなり、当該クリアランスHを介した流体の漏れ流れを抑制でき、よって回転機械1の効率を向上できる。
【0093】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、図1に示すように、上記シール装置4が適用される回転機械1として蒸気タービンを例示したが、シール装置4が適用される回転機械1は、例えばガスタービン等のように、静止部材2と回転部材3との間における漏れ流れが課題となる他の回転機械にも適用可能である。
【0094】
また、上述した実施形態では、図1に示すように、上記シール装置4が取り付けられる部位として、静止部材2のうちケーシング21を例示した。すなわち、一実施形態では図10Aに示すように、シール装置4は、動翼32のチップシュラウド32aに対向するように、ケーシング21の内壁面に取り付けられる。そして、シール装置4は、チップシュラウド32aとケーシング21との間の環状隙間5における流体の漏れ流れを抑制するようになっている。但し、シール装置4の適用部位はこれに限定されるものではない。
他の実施形態では、図10Bに示すように、ロータ31の外周面に対向するように、静翼24のハブシュラウド24aに取り付けられる。そして、シール装置4は、ロータ31とハブシュラウド24aとの間の環状隙間5における流体の漏れ流れを抑制するように構成される。
さらに他の実施形態では、図10C及び図10Dに示すように、シール装置4は回転部材3に取り付けられてもよい。図10Cに示す例では、シール装置4は、静翼24のハブシュラウド24aに対向するように、ロータ31の外周面に取り付けられる。そして、シール装置4は、ロータ31とハブシュラウド24aとの間の環状隙間5における流体の漏れ流れを抑制するように構成される。図10Dに示す例では、シール装置4は、ケーシング21の内壁面に対向するように、動翼32のチップシュラウド32aに取り付けられる。そして、シール装置4は、チップシュラウド32aとケーシング21との間の環状隙間5における流体の漏れ流れを抑制するように構成される。
【0095】
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0096】
1 回転機械(蒸気タービン)
2 静止部材
3 回転部材
4 シール装置
5 環状隙間
21 ケーシング
24 静翼
25 溝
31 ロータ(回転軸)
32 動翼
40,40A〜40C 固定フィン
41 基端部
42 先端部
50 シールリング
60 可動フィン
60A〜60H セグメント
61 基端部
62 先端部
63 固定領域
64 ボルト
65 周方向間隙
80 拘束部材
81 押さえ板部
82 支柱部
90 隙間

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D