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特開2016-223645熱交換器およびこれを備えた温水装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223645(P2016-223645A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】熱交換器およびこれを備えた温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20161205BHJP
   F24H 9/16 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F24H9/00 B
   F24H9/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-107601(P2015-107601)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】井口 雅博
(72)【発明者】
【氏名】舘山 将也
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L036AA13
(57)【要約】
【課題】ケースの底壁部の前部上に存在するドレン水が加熱用気体の影響を受けて排気口から外部に飛散する不具合を、簡易な構成によって適切に解消することが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器HE2は、底壁部35の前部35aの上方を覆うカバー板部7を有し、かつこのカバー板部7には、ドレン水を底壁部35の前部35a上に流れ落とすことが可能な孔部72が設けられている補助部材Aを備えており、カバー板部7の前縁部7aは、排気口36の開口縁下部36aからその上方に離間した配置とされ、前縁部7aと開口縁下部36aとの間には、カバー板部7の下方領域を排気口36に連通させるための隙間77が設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収用の伝熱管と、
この伝熱管を内部に収容しているとともに、内部に供給される加熱用気体の排気口が起立状の前壁部に設けられ、かつ前記伝熱管による前記加熱用気体からの熱回収に伴って発生するドレン水が、前記前壁部の下部に繋がった底壁部の前部に流れてからドレン水用の排水口を介して外部に排出されるように構成されたケースと、
前記底壁部の前部の上方を覆うように前記ケース内に配されたカバー板部を有しており、かつこのカバー板部には、このカバー板部上に流れてきたドレン水を前記底壁部の前部上に流れ落とすことが可能な孔部が設けられている補助部材と、
を備えている、熱交換器であって、
前記カバー板部の前縁部は、前記排気口の開口縁下部からその上方に離間した配置とされ、前記前縁部と前記開口縁下部との間には、前記カバー板部の下方領域を前記排気口に連通させるための隙間が設けられていることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記隙間の上下方向の幅は、前記伝熱管の上下配列方向における管体隙間以上の幅、または前記伝熱管の下部と前記ケースの底壁部との間に形成されたケース内底部隙間以上の幅とされている、熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換器であって、
前記ケースの前壁部には、前方へ突出する略円筒状の筒状突出部が絞り加工によって一体的に形成されており、
前記筒状突出部の内側が、前記排気口である、熱交換器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記カバー板部は、このカバー板部を側面断面視において凹状に屈曲させる曲げ部を有しており、このカバー板部の前縁部寄り領域が前上がり傾斜領域とされ、かつその後側に前記曲げ部を介して前下がり傾斜領域が繋がった形態とされ、
前記孔部は、前記曲げ部に設けられている、熱交換器。
【請求項5】
請求項4に記載の熱交換器であって、
前記孔部は、前記前上がり傾斜領域と前記前下がり傾斜領域との双方に跨がって開口するように設けられている、熱交換器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記孔部は、前後幅よりも横幅の方が大きい長孔状とされている、熱交換器。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記孔部として、前記カバー板部の横幅方向に間隔を隔てて位置する複数の孔部が設けられており、
前記複数の孔部のうち、横幅方向において前記排気口とオーバラップするように前記排気口の後方に設けられた第1の孔部は、これ以外の他の孔部よりも前後幅および横幅が大きくされている、熱交換器。
【請求項8】
請求項7に記載の熱交換器であって、
前記第1の孔部の横幅は、前記排気口の基端側開口径または横幅以上の寸法とされている、熱交換器。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の熱交換器を備えていることを特徴とする、温水装
置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用気体から伝熱管を利用して熱回収を行なうタイプの熱交換器、およびこれを備えた給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置に用いられる熱交換器の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載された熱交換器は、燃焼ガスが内部に供給されるケース内に、伝熱管が収容されたものであり、ケースの起立状の前壁部には、排気口が設けられている。ケースの底壁部の前部には、ドレン水用の排水口が設けられている。前記熱交換器によって燃焼ガスから潜熱回収を行なうと、強酸性のドレン水が発生するが、このドレン水は、ケースの底壁部の前部上に流れ、かつその後はドレン水用の排水口に流れ込んでケースの外部に排出される。
【0003】
しかしながら、従来においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、前記したような熱交換器においては、ケースの底壁部の前部上に流れたドレン水に、流速の速い燃焼ガスが作用し、このドレン水が前方に吹き飛ばされる(または巻き上げられる)場合がある。ここで、排気口がケースの前壁部の高い位置に設けられている場合には、前記ドレン水が排気口内に流入する虞は小さい。これに対し、排気口が前壁部の低い位置に設けられている場合には、前記ドレン水が排気口に進入し、この排気口からケース外部に飛散する虞が大きい。このようなドレン水の飛散は、排気口の外部周辺を汚染するため、解消することが望まれる。
【0005】
本件発明者らは、ケースの前壁部に絞り加工を施し、内側が排気口とされた略円筒状の筒状突出部を前壁部に一体的に形成することにより、前記筒状突出部に排気ダクトを嵌合接続した状態で排気を行なう場合と、排気ダクトを利用することなく前記排気口から外部に直接排気を行なう場合とのいずれにも対応できるようにすることを着想した。ただし、このような手段を採用した場合、排気口の開口面積(開口径)をある程度以上の大きさにしようとすると、排気口の開口縁下部の高さが低くなってしまい、この開口縁下部がケースの底壁部と比較して余り上方に位置しない高さとなる。このような場合には、底壁部の前部に存在するドレン水が燃焼ガスよって吹き飛ばされて排気口に進入し、外部に飛散する現象が一層顕著となる。
【0006】
なお、排気口へのドレン水の進入を抑制するための手段として、特許文献2に記載の手段がある。同文献に記載の手段においては、補助部材を用いることにより、ケースの底壁部の前部の上方を覆うとともに、前記補助部材には、ドレン水を通過させるための孔部を設けている。
ところが、特許文献2においては、補助部材の前縁部と排気口の開口縁下部とを当接させ、かつこれらの間に隙間が生じないように接合している。このような構成によれば、前記隙間が生じていない状況下ではとくに問題は生じないものの、たとえば組み立て誤差などに起因し、補助部材の前縁部と排気口の開口縁下部との両者間に微小隙間があると、補助部材の下方領域に流入した燃焼ガスが、前記微小隙間を速い流速で通過することとなる。したがって、排気口の高さが低い場合には、前記した高速の燃焼ガス流によってドレン水が排気口内に運ばれ、最終的には排気口の外部に飛散する虞を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−47575号公報
【特許文献2】特開2007−232289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、ケースの底壁部の前部上に存在するドレン水が加熱用気体の影響を受けて排気口から外部に飛散する不具合を、簡易な構成によって適切に解消することが可能な熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、熱回収用の伝熱管と、この伝熱管を内部に収容しているとともに、内部に供給される加熱用気体の排気口が起立状の前壁部に設けられ、かつ前記伝熱管による前記加熱用気体からの熱回収に伴って発生するドレン水が、前記前壁部の下部に繋がった底壁部の前部に流れてからドレン水用の排水口を介して外部に排出されるように構成されたケースと、前記底壁部の前部の上方を覆うように前記ケース内に配されたカバー板部を有しており、かつこのカバー板部には、このカバー板部上に流れてきたドレン水を前記底壁部の前部上に流れ落とすことが可能な孔部が設けられている補助部材と、を備えている、熱交換器であって、前記カバー板部の前縁部は、前記排気口の開口縁下部からその上方に離間した配置とされ、前記前縁部と前記開口縁下部との間には、前記カバー板部の下方領域を前記排気口に連通させるための隙間が設けられていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、ケースの底壁部の前部上に存在するドレン水に加熱用気体が勢いよく当たるようなことが、補助部材のカバー板部によって抑制される。また、カバー板部上に流れてきたドレン水については、カバー板部の孔部を介して底壁部の前部上に流れ落とすことができるため、カバー板部上に存在するドレン水が加熱用気体によって排気口側に吹き飛ばされるといったことも生じ難くすることができる。本発明によれば、このようなことに加え、次のような効果がさらに得られる。
すなわち、補助部材のカバー板部の下方には、カバー板部に設けられた孔部から加熱用気体が流入する虞があるが、このような加熱用気体は、カバー板部の前縁部と排気口の開口縁下部との相互間に積極的に形成された隙間を介して、排気口内へ円滑に流入させることができる。前記隙間の幅を適度な寸法に予め設定しておくことにより、前記隙間を通過する際の加熱用気体の流速を遅くし、この加熱用気体によってドレン水が排気口内へ運ばれないようにすることが可能である。特許文献2においては、既述したように、組み立て誤差などに起因して補助部材と排気口の開口縁下部との接合箇所に微小隙間が生じると、この微小隙間を通過する際の加熱用気体の流速が速く、ドレン水が排気口内に運ばれる虞があるが、本発明によれば、カバー板部の下方領域を排気口に連通させるためのある程度の大きさの幅をもつ隙間を積極的に設けていることにより、前記した虞を適切に解消することができる。
このようなことから、本発明においては、排気口の開口縁下部がケースの前壁部の低い位置に設けられている場合であっても、底壁部の前部上に存在するドレン水が加熱用気体の影響を受けて排気口に進入しないようにし、排気口から外部にドレン水が飛散することを適切に防止または抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記隙間の上下方向の幅は、前記伝熱管の上下配列方向における管体隙間以上の幅、または前記伝熱管の下部と前記ケースの底壁部との間に形成されたケース内底部隙間以上の幅とされている。
【0013】
このような構成によれば、カバー板部の下方領域に流入した加熱用気体を、カバー板部の前縁部と排気口の開口縁下部との間に設けた隙間から排気口へ流れさせることが、円滑化され、排気抵抗が小さくなることを抑制するのに好ましいものとなる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記ケースの前壁部には、前方へ突出する略円筒状の筒状突出部が絞り加工によって一体的に形成されており、前記筒状突出部の内側が、前記排気口である。
ここで、「略円筒状」には、段付きの円筒状(異径の円筒部分どうしが段差をもって繋がった円筒状)や、外周面または内周面に多少のテーパが付されたものが含まれる。
【0015】
このような構成によれば、排気口の開口面積をある程度以上に大きくしようとすると、排気口の開口縁下部の高さが低くなってしまい、本来であれば、排気口から外部にドレン水がより飛散し易くなる不具合があるが、本発明によれば、そのような不具合を好適に解消することが可能である。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記カバー板部は、このカバー板部を側面断面視において凹状に屈曲させる曲げ部を有しており、このカバー板部の前縁部寄り領域が前上がり傾斜領域とされ、かつその後側に前記曲げ部を介して前下がり傾斜領域が繋がった形態とされ、前記孔部は、前記曲げ部に設けられている。
【0017】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、カバー板部の孔部が前記した曲げ部に設けられていれば、カバー板部上を流れるドレン水が孔部に流れ込み易くなる。したがって、カバー板部上にドレン水が多く滞留することを防止し、カバー板部上のドレン水が加熱用気体によって排気口側に吹き飛ばされることを抑制する上で、より好ましいものとなる。
第2に、カバー板部の前縁部寄り領域(排気口寄りの領域)は、前上がりの傾斜状であるため、カバー板部の前縁部寄り領域上に存在するドレン水は、排気口側へ流れ難くなる。したがって、カバー板部上のドレン水が排気口に進入することを一層好適に防止することができる。
第3に、たとえば前上がり傾斜領域のみに孔部が設けられている場合には、この孔部に加熱用気体が進入し易くなるが、前記曲げ部に孔部が設けられていれば、この孔部に加熱用気体が進入し難くなる効果が得られる。その結果、カバー板部の下方領域に加熱用気体が無駄に多く流入するといったことも適切に防止することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記孔部は、前記カバー板部の前上がり傾斜領域と前下がり傾斜領域との双方に跨がって開口するように設けられている。
【0019】
このような構成によれば、ドレン水がカバー板部の前下がり傾斜領域を下向きに流れる過程において、ドレン水を孔部に迅速に流れ込ませることができる。また、ドレン水が加熱用気体によって煽られることによって前上がり傾斜領域に飛び移るような現象を生じた場合でも、このドレン水を前記孔部に迅速に流れ込ませることが可能となる。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記孔部は、前後幅よりも横幅の方が大きい長孔状とされている。
【0021】
このような構成によれば、孔部の開口面積をさほど大きくすることなく、補助部材のカバー板部上を流れるドレン水を孔部に流れ込み易くすることができる。孔部の開口面積を大きくするほど、この孔部からカバー板部の下方に加熱用気体が多く流入する虞があるが、前記構成によれば、そのような虞を好適に防止または抑制することができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、前記孔部として、前記カバー板部の横幅方向に間隔を隔てて位置する複数の孔部が設けられており、前記複数の孔部のうち、横幅方向において前記排気口とオーバラップするように前記排気口の後方に設けられた第1の孔部は、これ以外の他の孔部よりも前後幅および横幅が大きくされている。
【0023】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、カバー板部の横幅方向に複数の孔部が間隔を隔てて設けられているため、カバー板部上を流れるドレン水を、複数の孔部を利用してカバー板部の下方に効率良く流れ込ませることができる。前記構成とは異なり、たとえば孔部を1つのみ設け、かつこの孔部の横幅寸法を長くして対応しようとすると、カバー板部の剛性が低下するが、前記構成によれば、そのような虞も解消することが可能である。
第2に、複数の孔部のうち、前記第1の孔部は、その前後幅および横幅が大きくされているため、カバー板部上のうち、横幅方向において排気口とオーバラップする位置には多くのドレン水が存在しないようにすることができる。このことにより、カバー板部上のドレン水が加熱用気体によって前方に吹き飛ばされて、排気口に進入する虞をより効率よく防止することが可能となる。
【0024】
本発明において、好ましくは、前記第1の孔部は、前記排気口の直径以上の横幅とされている。
【0025】
このような構成によれば、カバー板部上のうち、横幅方向において排気口とオーバラップする位置に存在するドレン水が排気口に進入することを、より徹底して防止することが可能となる。
【0026】
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、本発明の第1の側面により提供される熱交換器を備えていることを特徴としている。
【0027】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器について述べたのと同様な効果が得られる。
【0028】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る熱交換器(2次熱交換器)を備えた温水装置の一例を示す概略正面断面図である。
図2図1の要部側面断面図である。
図3図1に示された2次熱交換器の平面断面図である。
図4図3に示す構造において補助部材が取り付けられていない状態の平面断面図である。
図5図1に示された2次熱交換器の斜視図である。
図6】(a)は、図2図4に示された補助部材の正面斜視図であり、(b)は、その背面斜視図であり、(c)は、正面図であり、(d)は、(a)のVId−VId断面図である。
図7】(a),(b)は、本発明の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、図面における矢印Frは、後述する2次熱交換器HE2の前方を示しており、以
降の説明における前後の向き、および位置関係は、これに則したものとする。
【0031】
図1に示す温水装置WHは、給湯装置として構成されており、バーナ5、1次熱交換器HE1、および2次熱交換器HE2を備えている。図1では示されていないが、図6に示すような補助部材Aが、2次熱交換器HE2に組み込まれている。温水装置WHは、一般給湯と、暖房用給湯または風呂給湯との2系統の給湯動作を独立して行なうことが可能であり、1次熱交換器HE1および2次熱交換器HE2は、ともに1缶2水路方式である。
2次熱交換器HE2は、本発明に係る熱交換器の一例に相当する。1次熱交換器HE1は、本発明に係る熱交換器には相当しない。
【0032】
バーナ5は、たとえばガスバーナであり、ファン51からバーナケース50内に上向きに送られてくる燃焼用空気を利用して燃料ガスを燃焼させる。ただし、このバーナ5は、いわゆる部分燃焼が可能であり、その燃焼領域は、個別に燃焼駆動制御が可能な第1および第2の燃焼領域a1,a2に区分されている。
【0033】
1次熱交換器HE1は、バーナ5から上向きに進行してくる燃焼ガスから顕熱を回収するためのものであり、バーナケース50上に載設された缶体16内に、複数のフィン10a,10bに貫通接合された2つの伝熱管1A,1Bが収容された構成である。これら2つの伝熱管1A,1Bの相互間、およびその下方には、仕切部材52,53が設けられており、バーナ5の第1および第2の燃焼領域a1,a2によってそれぞれ発生された燃焼ガスは伝熱管1A,1Bに個別に作用する。伝熱管1A,1Bの入水口11a,11bには、2次熱交換器HE2の出湯用のヘッダ23a,23bから湯水供給がなされ、かつこの湯水は伝熱管1A,1Bを通過する過程で燃焼ガスにより加熱され、出湯するように構成されている。
【0034】
2次熱交換器HE2は、1次熱交換器HE1を通過してきた燃焼ガスから潜熱を回収するためのものであり、1次熱交換器HE1上に補助缶体17を介して載設されている。この2次熱交換器HE2は、ケース3内に、複数の第1および第2の伝熱管2A,2Bが収容され、かつそれらの間に仕切部材40が配されていることにより、ケース3内が第1および第2の熱交換部21A,21Bに区画された構成である。第1および第2の伝熱管2A,2B、ならびにケース3は、潜熱回収に伴って発生する強酸性のドレン水に対する耐食性を有すべくその材質はたとえばステンレスである。
【0035】
図3に示すように、複数の第1の伝熱管2Aは、サイズが相違する平面視略矩形状または長円状の螺旋状管体として形成されて重ね巻き状に配列されており、それらの上下両端部は、ケース3の側壁部31cから外部に引き出されて出湯用および入水用のヘッダ23a,24aと連結されている。複数の第2の伝熱管2Bも、その基本的な形態は第1の伝熱管2Aと同様であり、重ね巻き状に配列された螺旋状管体として形成され、かつその上下両端部は、出湯用および入水用のヘッダ23b,24bと連結されている。ただし、本実施形態では、ヘッダ23b,24bに、非螺旋状の補助伝熱管20も接続されている。この補助伝熱管20は、ヘッダ23b,24bに接続された伝熱管全体の流路抵抗を小さくするとともに、伝熱面積の増大による熱交換効率向上に役立つ。第1および第2の伝熱管2A,2B(補助伝熱管20も含む)への湯水供給は、入水用のヘッダ24a,24bからなされ、第1および第2の伝熱管2A,2Bを通過して加熱された湯水は、出湯用のヘッダ23a,23bに到達し、かつその後は既述したように1次熱交換器HE1の伝熱管1A,1Bに送り込まれる。
【0036】
ケース3は、全体の概略形状が直方体状とされており、その後壁部31bおよび前壁部32には、燃焼ガス用の給気口34a,34b、および排気口36が設けられている。1次熱交換器HE1を上向きに通過した燃焼ガスは、補助缶体17を介して給気口34a,
34bに導かれる。図2において、給気口34aにガイドされる燃焼ガスは、1次熱交換器HE1の伝熱管1Aによる顕熱回収を終えたものであり、2次熱交換器HE2の第1の熱交換部21Aに流入する。図示説明は省略するが、補助缶体17内にも仕切部材が設けられており、1次熱交換器HE1の伝熱管1Bによる顕熱回収を終えた燃焼ガスは、給気口34bに導かれ、第2の熱交換部21Bに流入する。
【0037】
図2に示すように、ケース3の底壁部35の前部35aには、ケース3の横幅方向(図2の紙面と直交する方向)に延びる凹状部37が形成されており、潜熱回収に伴って発生し、底壁部35上に流れ落ちたドレン水は、この凹状部37に流れ込むようになっている。底壁部35のうち、第1および第2の伝熱管2A,2Bの下方に位置する部分は、第1および第2の伝熱管2A,2Bに接近した略水平部35bとされているが、それよりも前側領域には、前下がり傾斜部35cが設けられるなどして、凹状部37の位置が最も低い高さとなっている。凹状部37には、ドレン水用の排水口38が設けられている。なお、これに代えて、ドレン水用の排水口を側壁部31c,31dの少なくとも一方の下部に横向き開口状に設けた構成とすることもできる。凹状部37に流れ込んだドレン水は、排水口38からケース3の外部に排出される。
【0038】
排気口36は、ケース3の前壁部32に絞り加工を施し、前壁部32に前方へ突出する筒状突出部33を一体的に形成することによって設けられている。筒状突出部33は、略円筒状であり、その内側が排気口36である(図5も参照)。排気抵抗を小さくする上では、排気口36の開口面積を比較的大きくすることが望まれる。このため、本実施形態では、排気口36の開口径が前壁部32の上下幅に近い寸法とされ、図2に示すように、排気口36の開口縁下部36aと、底壁部35の前部35aとの高低差H1は、小さくなっている。
【0039】
補助部材Aは、底壁部35の前部35a上に存在するドレン水が排気口36に進入することを防止するためのものである。ただし、本実施形態においては、後述するように、排気口36内においてドレン水が発生することを防止する機能を併せもつように構成されている。この補助部材Aは、たとえばステンレス製プレートにプレス加工を施すことにより形成されている。
図6に示すように、補助部材Aは、上下高さ方向に起立した起立板部6、この起立板部6の下縁部に繋がったカバー板部7、起立板部6の上縁部に繋がった上板部8、および起立板部6に形成された開口部60の内周縁に連設されたバーリング部61を有している。
【0040】
図2に示すように、カバー板部7は、底壁部35の前部35aの上方を覆うための部分であり、後縁部7b寄り部分は、底壁部35の略水平部35b上に重ねられて接合されている。カバー板部7の前縁部7aは、ケース3の前壁部32に接触または接近して固定されている。この固定は、後述するように、起立板部6を前壁部32に溶接することにより好適に図られている。カバー板部7には、曲げ部70が設けられ、このカバー板部7の略全域またはこれに近い広い領域は、側面断面視において逆への字状の凹状に屈曲した形態とされている。このことにより、カバー板部7の前縁部7a寄りの領域は、前上がり傾斜領域71aとされ、かつその後側には、曲げ部70を介して前下がり傾斜領域71bが繋がっている。
【0041】
カバー板部7には、このカバー板部7上を流れるドレン水を底壁部35上に流れ落とすための複数の孔部72が設けられている。これら複数の孔部72は、いずれも曲げ部70に位置するように設けられ、カバー板部7の横幅方向に間隔を隔てて並んでいる。各孔部72は、前後幅よりも横幅の方が、寸法が大きい長孔状であって、前上がり傾斜領域71aと前下がり傾斜領域71bとの双方に跨がって開口している。複数の孔部72のうち、第1の孔部72(72a)は、ケース3の横幅方向において、排気口36とオーバラップ
するように排気口36の後方に位置する孔部である。図4に示すように、この第1の孔部72aの前後幅Laおよび横幅Waは、これ以外の第2の孔部72(72b)の前後幅Lbおよび横幅Wbよりも大きくされている。好ましくは、第1の孔部72aの横幅Waは、排気口36の基端側開口径以上の寸法とされている(本実施形態とは異なり、排気口36が円形でない場合、横幅Waは、排気口36の基端側開口の横幅以上の寸法である。この点は、後述する孔部80の横幅Wdについても同様)。
【0042】
カバー板部7の前縁部7aは、排気口36の開口縁下部36aからそれよりも上方の位置に離間しており、これら前縁部7aと開口縁下部36aとの間には、上下高さ方向の幅をもつ隙間77が形成されている。この隙間77は、カバー板部7の下方領域を排気口36に連通させるために積極的に設けられた部分であり、孔部72からカバー板部7の下方に進入した燃焼ガスは、隙間77を通過して排気口36に流入可能である。
【0043】
好ましくは、隙間77の上下方向の幅は、第1および第2の伝熱管2A,2Bの上下配列方向における管体隙間Le(管体部どうしの隙間)以上の幅とされ(管体隙間Leにばらつきがある場合は、それらのうちの最小隙間であり、この点は次に述べるケース内底部隙間Lfも同様である)、または第1および第2の伝熱管2A,2Bの下部とケース3の底壁部35との間に形成されたケース内底部隙間Lf以上の幅とされている。これは、隙間77の上下方向の幅が、管体隙間Leおよびケース内底部隙間Lfのうち、小さい方の隙間以上の幅であることを意味するが、これらLe,Lfのそれぞれ以上の幅としてもよいことは勿論である。このような構成は、燃焼ガスが隙間77を円滑に流れるようにする作用をもたらせ、2次熱交換器HE2の排気抵抗が小さくなることを抑制する上で好ましい。
【0044】
補助部材Aの起立板部6は、ケース3の前壁部32に重ねられ、たとえばスポット溶接などの手段を用いて前壁部32に接合されている。この起立板部6には、排気口36に対向する開口部60が設けられている。ただし、この開口部60は、正面視において、円形の下部を一部切り欠いた形状である。
【0045】
補助部材Aのバーリング部61は、起立板部6の開口部60の内周縁部が前方側へ屈曲または湾曲された部分であり、図2に示すように、筒状突出部33との間に隙間68が形成されるように、筒状突出部33とは非接触の状態で排気口36内に進入している。好ましくは、このバーリング部61は、滑らかに湾曲した断面形状に形成されている。これは、排気騒音を低減する上で好ましい。バーリング部61は、先細り状に傾斜しており、先端側に進むほど隙間68の幅Lc(排気口36の半径方向の幅)が大きくなるように形成されている。また、バーリング部61は、前後方向の寸法が比較的短い部位として形成されており、排気口36の基部側領域(図2の右側領域)のみに進入し、それよりも先端側の領域には進入していない。さらに、バーリング部61は、非筒状であり、図2に示す排気口36の下部領域36bには進入しておらず(下部領域36bに対応するバーリング部61は設けられていない)、下部領域36bよりも上側の領域に進入している。
【0046】
補助部材Aの上板部8は、ケース3の上壁部31aとの間に空間部89を形成するように設けられている。この上板部8と上壁部31aも、スポット溶接などの手段により接合されている。上板部8のうち、ケース3の横幅方向において、排気口36とオーバラップする領域には、燃焼ガスを空間部89に流入させるための孔部80が設けられている。この孔部80の横幅Wdは、排気口36の基端側開口径以上の寸法とされている。好ましくは、孔部80は、仕切部材40の前端よりも前方側に位置しており、後述するように、第1および第2の熱交換部21A,21Bをそれぞれ通過してきた燃焼ガス(バーナ5の非燃焼側では燃焼用空気)が合流する箇所の上方である。
【0047】
図6に示すように、上板部8には、追加の孔部81が設けられているが、この孔部81は、下向きの突起部82を切り起こし加工するために設けられたものである。図2に示すように、突起部82は、第1の伝熱管2Aの位置決め固定を図るのに利用される。
【0048】
次に、前記した温水装置WHの作用について説明する。
【0049】
まず、図2に示すように、2次熱交換器HE2においては、燃焼ガスからの潜熱回収に伴って発生したドレン水は、ケース3の底壁部35の前部35a上に流れ込むが、この部分に燃焼ガスが直接当たることは、補助部材Aのカバー板部7によって好適に抑制される。また、孔部72からカバー板部7の下方に進入した燃焼ガスは、カバー板部7の前縁部7aと排気口36の開口縁下部36aとの隙間77を通過して排気口36内に円滑に流入する。隙間77の幅をある程度以上の大きさ(たとえば、前記した管体隙間Leまたはケース内底部隙間Lf以上の幅)に形成しておけば、隙間77を通過する際の燃焼ガスの流速を十分に遅くすることが可能である。その結果、本実施形態では、排気口36の開口縁下部36aと底壁部35の前部35aとの高低差H1が小さいにも拘わらず、底壁部35の前部35a上に存在するドレン水が、燃焼ガスによって排気口36側に巻き上げられないようにすることができる。
【0050】
カバー板部7上には、ドレン水が流れてくるが、このようなドレン水は、複数の孔部72を介してカバー板部7の下方に流れ落とすことが可能である。したがって、カバー板部7上に存在するドレン水が、燃焼ガスによって排気口36側に吹き飛ばされるといったことも防止される。とくに、本実施形態では、ケース3の横幅方向において排気口36とオーバラップした配置の第1の孔部72(72a)の開口面積が大きくされているため、カバー板部7上のうち、排気口36の後方側(燃焼ガス流れ方向上流側)の領域には、多くのドレン水が存在しないようにし、カバー板部7上から排気口36内にドレン水が吹き飛ばされることを、より適切に防止することが可能となる。
【0051】
カバー板部7は、逆への字状に屈曲され、かつ高さが最も低い曲げ部70に複数の孔部72が横幅方向に並んで設けられているため、これらの孔部72にはドレン水が流れ込み易くなる。また、カバー板部7のうち、排気口36に近い領域が、前上がり傾斜領域71aとされているため、ドレン水がこの傾斜領域71aを登って排気口36内に進入するようなことも生じ難くなる。さらに、孔部72は、前上がり傾斜領域71aと前下がり傾斜領域71bとの双方に跨がって開口しているため、ドレン水が前下がり傾斜領域71bを下向きに流れる過程において、ドレン水は孔部72に迅速に流れ込むこととなる。ドレン水が前上がり傾斜領域71aに飛び移るような現象を生じた場合でも、このドレン水を孔部72に迅速に流れ込ませることが可能となる。
【0052】
孔部72は、前後幅よりも横幅の方が大きい長孔状であるため、孔部72の開口面積をさほど大きくすることなく、カバー板部7上を流れるドレン水を孔部72に流れ込み易くすることが可能である。孔部72の開口面積を大きくするほど、孔部72からカバー板部7の下方領域に多くの加熱用気体が流入するが、前記構成によれば、そのようなことも適切に抑制することが可能である。
【0053】
一方、補助部材Aのバーリング部61は、ケース3内から排気口36に流入する燃焼ガスが筒状突出部33の内周面に向けて直接進行し難くなる作用を生じさせる。とくに、本実施形態では、バーリング部61は、先端側に進むほどバーリング部61と筒状突出部33との隙間68の寸法Lcが大きくなるように傾斜しているため、燃焼ガスが筒状突出部33の内周面から遠ざかるように燃焼ガスをガイドし、燃焼ガスが筒状突出部33の内周面に接触する度合いを少なくすることが可能である。たとえば、冬季において、外気温度が低く、筒状突出部33の温度が低い状態にある場合において、筒状突出部33に燃焼ガ
スが接触すると、この部分にドレン水が発生する虞がある。筒状突出部33の内周面においてドレン水が発生したのでは、このドレン水は排気口36の外部に飛散し易い。筒状突出部33は、絞り加工によって形成されており、その突出寸法を余り長くできないため、本来的には、ドレン水が外部に飛散し易い。これに対し、本実施形態では、燃焼ガスが筒状突出部33に接触する度合いを少なくし、排気口36内においてドレン水を発生し難くし得る結果、排気口36から外部へのドレン水の飛散を好適に防止することが可能である。
【0054】
バーリング部61については、排気口36よりもかなり小径に形成するといった必要はない。また、既述したように、バーリング部61は、ケース3の前後方向において、排気口36の基部側領域のみに進入されている。さらに、バーリング部61は、非筒状であり、排気口36の下部領域36bには進入していない。したがって、バーリング部61が、排気口36の内部で不当に大きく嵩張るようなこともなく、排気口36の実質的な開口面積が大きく狭められないようにすることも可能である。
【0055】
ケース3内の上部を進行する燃焼ガスの一部は、上板部8の孔部80から空間部89に流入するが、この上壁部31aの位置においてドレン水を積極的に発生させることが可能である。すなわち、バーナ5の第1の燃焼領域a1がオフとされ、第2の燃焼領域a2がオンとされていることにより、第1の熱交換部21Aには低温の燃焼用空気が供給され、かつ第2の熱交換部21Bには高温の燃焼ガスが供給される場合がある。このような場合、排気口36の後方において、燃焼用空気と燃焼ガスとが合流する結果、燃焼ガスの温度が下がるためドレン水を生じ易い混合気体となる。このような混合気体がそのまま排気口36に流入すると、排気口36内においてドレン水が発生し易くなるが、本実施形態では、前記した燃焼用空気と燃焼ガスとが混合する領域の上側に、孔部80が設けられているため、上板部8よりも上側の上壁部31aにおいてドレン水を積極的に生じさせ、排気口36内にはドレン水を生じ難い混合気体を流入させることができる。このようなことにより、ドレン水が排気口36の外部に飛散することは、より適切に防止される。
【0056】
前記とは異なり、第1および第2の熱交換部21A,21Bのそれぞれに燃焼ガスが供給される場合であっても、たとえば外気温度が低く、上壁部31aの温度が低い場合には、前記したのと同様に、上壁部31aにおいてドレン水を積極的に発生させ、排気口36にはドレン水を生じ難い燃焼ガスを流入させることが可能である。
上壁部31aにおいて発生したドレン水については、たとえばこの上壁部31aや上板部8を伝わらせてケース3内の側部に導いてから底壁部35上に導くことが可能であり、排気口36内に進入しないようにすることが可能である。
【0057】
図7は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0058】
図7(a)に示す補助部材A1は、カバー板部7を具備するものの、先に述べた補助部材Aの起立板部6や上板部8に相当する部位については具備していない。同図(b)に示す補助部材A2は、補助部材A1のカバー板部7の先端縁に、起立片76を連設した構成である。起立片76は、補助部材A2をケース3内に組み付ける際に、ケース3の前壁部32に接合させるための部分であり、補助部材A2の組み付けの容易化に役立つ。
このような実施形態から理解されるように、本発明でいう補助部材としては、補助部材Aの起立板部6、バーリング部61、および上板部8のうちの全部または一部を具備しない構成としたり、あるいはそれらとは異なる部位をさらに具備する構成とすることができる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器、および温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0060】
本発明でいう熱交換器のケースの前壁部とは、ケースの壁部のうち、排気口が設けられた起立状の壁部を意味する。熱交換器の前後の向きは、温水装置の前後の向きとは必ずしも一致するものではなく、熱交換器の前壁部が温水装置の後方を向くように設定される場合もある。
【0061】
補助部材のカバー板部は、たとえば曲げ部70を有しない平板状などに形成されてもよい。また、カバー板部に設けられる孔部の具体的な形状、サイズ、数、配置なども、上述した実施形態とは異なったものとすることが可能である。
【0062】
本発明は、ケースの前壁部に略円筒状の筒状突出部を絞り加工により形成し、その内部を排気口とした場合に最適であるが、排気口は必ずしもそのように構成されていなくてもよい。前記とは異なる構成の排気口を設ける場合であっても、種々の理由により、排気口の高さを低くせざるを得ない場合があり、このような場合にも本発明は好適である。
【0063】
熱交換器の伝熱管は、螺旋状管体タイプに限らず、直状管体、あるいは蛇行状管体などの他のタイプの伝熱管であってもよい。熱交換器のケースへの加熱用気体の供給は、給気口をケースの後壁部に設けることに代えて、たとえば給気口を底壁部の後部寄り領域、あるいは中間領域などに設けることによって行なわせることもできる。本発明でいう加熱用気体は、燃焼ガスに限らず、たとえばコージェネレーションシステムの燃料電池やガスエンジンなどの発電部から排出される高温の排ガスなどを用いることもできる。熱交換器は、1缶2水路方式のものに限定されず、1缶1水路方式(1つのケース内に1種類の伝熱管が収容)とすることもできる。本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む。
【符号の説明】
【0064】
WH 温水装置
A,A1,A2 補助部材
HE2 2次熱交換器(熱交換器)
Le 管体隙間
Lf ケース内底部隙間
2A,2B 第1および第2の伝熱管(伝熱管)
3 ケース(熱交換器の)
32 前壁部(ケースの)
33 筒状突出部
35 底壁部(ケースの)
35a 前部(底壁部の)
36 排気口
36a 開口縁下部(排気口の)
5 バーナ
51 ファン
7 カバー板部(補助部材の)
7a 前縁部(カバー板部の)
70 曲げ部
71a 前上がり傾斜領域
71b 前下がり傾斜領域
72 孔部
77 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7