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特開2016-223646熱交換器およびこれを備えた温水装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223646(P2016-223646A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】熱交換器およびこれを備えた温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20161205BHJP
   F24H 1/16 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   F24H9/00 B
   F24H1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-107610(P2015-107610)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】舘山 将也
(72)【発明者】
【氏名】井口 雅博
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BA26
3L034BB04
3L036AA13
(57)【要約】
【課題】排気口内においてドレン水が発生することを抑制し、排気口の外部にドレン水が飛散する不具合を簡易な構成によって適切に解消することが可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器HE2のケース3内に収容された補助部材Aは、ケース3の前壁部32の内面に対向接触または対向接近して起立し、かつ排気口36に対向する開口部60が設けられている起立板部6と、開口部60の内周縁部がケース3の前方側に曲げられることにより形成され、かつ排気口36を形成する筒状突出部33とは非接触状態で排気口36に進入しているバーリング部61と、を備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱用気体が供給されるケースと、
このケース内に収容され、かつ前記加熱用気体から熱回収を行なう伝熱管と、
を備えており、
前記ケースの起立状の前壁部には、前記ケースの前方に突出する筒状突出部が設けられ、かつこの筒状突出部の内側が、排気口とされている、熱交換器であって、
前記ケース内に収容された補助部材をさらに備えており、
この補助部材は、
前記ケースの前壁部の内面に対向接触または対向接近して起立し、かつ前記排気口に対向する開口部が設けられている起立板部と、
前記開口部の内周縁部が前記ケースの前方側に曲げられることにより形成され、かつ前記筒状突出部とは非接触状態で前記排気口に進入しているバーリング部と、
を備えていることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記筒状突出部は、前記ケースの前壁部に絞り加工を施すことにより前記前壁部に一体的に形成された略円筒状である、熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換器であって、
前記バーリング部は、先端側に進むほど前記バーリング部と前記筒状突出部との隙間寸法が大きくなるように先細状に傾斜している、熱交換器。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記バーリング部は、前記排気口の基部側領域のみに進入し、それよりも先端側領域には進入していない構成とされている、熱交換器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記バーリング部は、非筒状であり、前記排気口のうち、下部領域には進入せず、それよりも上側の領域に進入した構成とされている、熱交換器。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の熱交換器であって、
前記補助部材は、前記起立板部の上部に繋がって設けられ、かつ前記ケースの上壁部との間に空間部が形成されるように前記上壁部の下向き面に対向する上板部を、さらに備えており、
前記上板部のうち、前記ケース内の前寄りの位置であって、前記ケースの横幅方向において前記排気口とオーバラップする位置には、加熱用気体を前記空間部に流入させるための孔部が設けられている、熱交換器。
【請求項7】
請求項6に記載の熱交換器であって、
前記孔部の横幅は、前記排気口の基端側開口径または横幅以上の寸法とされている、熱交換器。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の熱交換器を備えていることを特徴とする、温水装置。
【請求項9】
請求項8に記載の温水装置であって、
部分燃焼が可能であり、かつ前記加熱用気体としての燃焼ガスを発生させるバーナと、
このバーナに燃焼用空気を供給するファンと、
を備えており、
前記伝熱管として、前記ケースの横幅方向に並ぶ第1および第2の伝熱管を備え、
前記ケース内は、仕切り部材によって前記第1および第2の伝熱管をそれぞれ収容する第1および第2の熱交換部に仕切られて、温水装置運転時には、前記第1および第2の熱交換部に、燃焼ガスまたは燃焼用空気が供給されるように構成されており、
前記排気口には、前記第1および第2の熱交換部のそれぞれを通過してきた燃焼ガスまたは燃焼用空気が合流して流入するように構成されている、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼ガスなどの加熱用気体から伝熱管を利用して熱回収を行なうタイプの熱交換器、およびこれを備えた給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置に用いられる熱交換器の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載された熱交換器は、燃焼ガスが内部に供給されるケース内に、伝熱管が収容されたものであり、ケースの前壁部には、筒状突出部が突設され、その内部が排気口とされている。
【0003】
前記したような熱交換器を用いて燃焼ガスから潜熱回収を行なうと、燃焼ガス中の水蒸気が凝縮し、強酸性のドレン水が発生する。ただし、このようなドレン水の発生は、燃焼ガスが露点以下の温度に冷却されることに起因するものであり、伝熱管による熱回収の他に、ケースの温度が低い部分に燃焼ガスが接触することによってもドレン水は発生する。具体的には、たとえば冬季などの外気温度が低いときであって、排気口を形成する筒状突出部が冷えている状態において、この筒状突出部に燃焼ガスが接触することにより、筒状突出部の内周面にドレン水が発生する場合がある。このような部位にドレン水が発生したのでは、ドレン水が排気口の外部に飛散し易くなり、排気口の外部周辺部が汚染される。したがって、このような現象を適切に防止することが望まれる。
【0004】
本件発明者らは、ケースの前壁部に絞り加工を施し、内側が排気口とされた略円筒状の筒状突出部を前壁部に一体的に形成することにより、前記筒状突出部に排気ダクトを嵌合接続した状態で排気を行なう場合と、排気ダクトを利用することなく前記排気口から外部に直接排気を行なう場合とのいずれにも対応できるようにすることを着想した。ただし、このような手段を採用すると、筒状突出部の長さを余り長くすることができず、ドレン水が排気口の外部に飛散し易くなる。また、筒状突出部を略円筒状にした場合には、前壁部の上下幅サイズの制約を受けることに起因してこの筒状突出部の直径をさほど大きくすることができず、排気口の開口面積が比較的小さくなってしまう場合がある。これでは、排気口を通過する際の燃焼ガスの流速が速くなり、ドレン水が排気口の外部に一層飛散し易くなる。
【0005】
なお、従来においては、排気口から外部へのドレン水の飛散を抑制するための手段として、たとえば特許文献2に記載の手段がある。同文献においては、ケースの前壁部に排気トップと称する筒状突出部を設け、かつこの筒状突出部の内側には、前上がり状の上下2枚の傾斜板を設けることにより、これら2枚の傾斜板の相互間領域を、実質的な排気口としている。このような構成によれば、筒状突出部に燃焼ガスが直接接触することが防止されるため、外気温度が低いことに起因して筒状突出部の内面にドレン水が発生することを抑制可能である。
ところが、前記した構成によれば、2枚の傾斜板の取り付け構造が煩雑であり、組み立て作業性もさほど良好ではないため、製造コストが高価となる。また、筒状突出部(排気トップ)のサイズと比較して、排気口の開口サイズ(2枚の傾斜板の相互間の開口サイズ)は、相当に小さくなり、排気抵抗が大きくなるなどの不具合も招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−47575号公報
【特許文献2】特開2007−232289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、排気口内においてドレン水が発生することを抑制し、排気口の外部にドレン水が飛散する不具合を簡易な構成によって適切に解消することが可能な熱交換器、およびこれを備えた温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、内部に加熱用気体が供給されるケースと、このケース内に収容され、かつ前記加熱用気体から熱回収を行なう伝熱管と、を備えており、前記ケースの起立状の前壁部には、前記ケースの前方に突出する筒状突出部が設けられ、かつこの筒状突出部の内側が、排気口とされている、熱交換器であって、前記ケース内に収容された補助部材をさらに備えており、この補助部材は、前記ケースの前壁部の内面に対向接触または対向接近して起立し、かつ前記排気口に対向する開口部が設けられている起立板部と、前記開口部の内周縁部が前記ケースの前方側に曲げられることにより形成され、かつ前記筒状突出部とは非接触状態で前記排気口に進入しているバーリング部と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、補助部材のバーリング部は、ケース内から排気口に流入する加熱用気体が、筒状突出部の内周面に向けて直接進行し難くなる作用をもたらせる。このため、冬季などにおいて、外気温度が低く、筒状突出部の温度が低い状態であっても、この部分に多くのドレン水が発生しないようにすることが可能である。その結果、ドレン水が排気口から外部に飛散する不具合を適切に防止または抑制することができる。バーリング部は、筒状突出部とは非接触であるため、筒状突出部が外気の影響を受けて温度が低い場合であっても、バーリング部についてはそれよりも高い温度にしておくことが可能であり、バーリング部の内面に多くのドレン水が発生する不具合はない。
第2に、バーリング部は、補助部材の起立板部に設けられた開口部の内周縁部を曲げることにより形成したものであり、その形成は容易である。また、ケースへの補助部材の取り付けは、起立板部を利用して容易に行なうことも可能である。したがって、組み立て作業性もよく、熱交換器の製造コストが大幅に上昇するといった不具合も好適に回避することが可能である。
第3に、バーリング部は、排気口の前後長さと同様な長さに形成する必要はなく、比較的短い寸法に形成した場合であっても、加熱用気体が筒状突出部の内周面に直接進行し難い状態とすることが可能である。また、バーリング部を排気口よりもかなり小径に形成するといった必要もない。したがって、バーリング部を設けることに起因して、排気口の実質的な開口面積が大きく狭められて排気抵抗が大きくなるといった不具合も好適に回避することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記筒状突出部は、前記ケースの前壁部に絞り加工を施すことにより前記前壁部に一体的に形成された略円筒状である。
ここで、「略円筒状」には、段付きの円筒状(異径の円筒部分どうしが段差をもって繋がった円筒状)や、外周面または内周面に多少のテーパが付されたものが含まれる。
【0012】
このような構成によれば、筒状突出部の突出長さ(排気口の長さ)を余り長くとれないこと、および排気口の開口面積をさほど大きく形成できず、加熱用気体が排気口を通過する際の流速が速くなるといったことに基づき、本来であれば、排気口から外部へドレン水
がより飛散し易くなる不具合を生じるが、本発明によれば、そのような不具合を好適に解消することが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記バーリング部は、先端側に進むほど前記バーリング部と前記筒状突出部との隙間寸法が大きくなるように先細状に傾斜している。
【0014】
このような構成によれば、前記バーリング部によって、加熱用気体を筒状突出部の内周面から遠ざかる方向にガイドすることができる。したがって、多くの加熱用気体が筒状突出部の内周面に直接進行してドレン水が発生することを、より効率よく防止することが可能となる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記バーリング部は、前記排気口の基部側領域のみに進入し、それよりも先端側領域には進入していない構成とされている。
【0016】
このような構成によれば、バーリング部の小サイズ化、ひいては補助部材の小サイズ化を図ることができる。加えて、排気口内にバーリング部が大きく嵩張った状態で設けられないようにし、排気口の内部を不当に狭めないようにする上で、より好ましいものとなる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記バーリング部は、非筒状であり、前記排気口のうち、下部領域には進入せず、それよりも上側の領域に進入した構成とされている。
【0018】
このような構成によれば、バーリング部が排気口内において大きく嵩張ることが、やはり抑制され、排気口の実質的な開口面積を不当に狭めないようにする上でより好ましいものとなる。なお、前記構成によれば、加熱用気体が排気口の下部領域に進行することをバーリング部によって抑制することが難しく、筒状突出部の内周面の下部にドレン水が発生する虞があるが、このような部位に存在するドレン水は、筒状突出部の内周面の上部で発生してからその下方に滴下するようなドレン水と比較すると、排気口の外部に飛散し難い。したがって、バーリング部を非筒状にしたことに起因して大きな不具合が発生することはない。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記補助部材は、前記起立板部の上部に繋がって設けられ、かつ前記ケースの上壁部との間に空間部が形成されるように前記上壁部の下向き面に対向する上板部を、さらに備えており、前記上板部のうち、前記ケース内の前寄りの位置であって、前記ケースの横幅方向において前記排気口とオーバラップする位置には、加熱用気体を前記空間部に流入させるための孔部が設けられている。
【0020】
このような構成によれば、ケース内の上部を通過する加熱用気体の一部が、排気口に到達する略直前の段階で、補助部材の上板部とケースの上壁部との間に形成された空間部に流入するため、ケースの上壁部においてドレン水を積極的に発生させることが可能となる。したがって、その後に排気口に到達する加熱用気体は、その分だけ排気口内においてドレン水を発生させ難いものとなる。その結果、排気口内におけるドレン水の発生を、より効果的に抑制することが可能となる。
なお、ケースの上壁部のドレン水の発生箇所の下方には、上板部が存在するため、このドレン水がそのまま排気口側に不用意に流れていくようなことは適切に防止することが可能である。
【0021】
本発明において、好ましくは、前記孔部の横幅は、前記排気口の基端側開口径または横幅以上の寸法とされている。
【0022】
このような構成によれば、前記孔部から上板部とケースの上壁部との間の空間部に進入する加熱用気体の量を十分に多くし、ケースの上壁部の位置においてドレン水を積極的に発生させることによって、排気口内におけるドレン水の発生量が少なくなる効果をより顕著にすることができる。
【0023】
本発明の第2の側面により提供される温水装置は、本発明の第1の側面により提供される熱交換器を備えていることを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される熱交換器について述べたのと同様な効果が得られる。
【0025】
本発明において、好ましくは、部分燃焼が可能であり、かつ前記加熱用気体としての燃焼ガスを発生させるバーナと、このバーナに燃焼用空気を供給するファンと、を備えており、前記伝熱管として、前記ケースの横幅方向に並ぶ第1および第2の伝熱管を備え、前記ケース内は、仕切り部材によって前記第1および第2の伝熱管をそれぞれ収容する第1および第2の熱交換部に仕切られて、温水装置運転時には、前記第1および第2の熱交換部に、燃焼ガスまたは燃焼用空気が供給されるように構成されており、前記排気口には、前記第1および第2の熱交換部のそれぞれを通過してきた燃焼ガスまたは燃焼用空気が合流して流入するように構成されている。
【0026】
このような構成によれば、実施形態の説明の欄において詳述するように、たとえば第1の熱交換部には、比較的低温の燃焼用空気が供給され、かつ第2の熱交換部には燃焼ガスが供給されたような場合には、燃焼用空気と燃焼ガスとが合流することにより、燃焼ガスの温度が大きく低下し、多くのドレン水が発生し易い条件となる。このような条件下においては、本来ならば、排気口の外部にドレン水が飛散する現象が顕著となるが、本発明によれば、そのようなことを好適に防止または抑制することが可能である。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る熱交換器(2次熱交換器)を備えた温水装置の一例を示す概略正面断面図である。
図2図1の要部側面断面図である。
図3図1に示された2次熱交換器の平面断面図である。
図4図3に示す構造において補助部材が取り付けられていない状態の平面断面図である。
図5図1に示された2次熱交換器の斜視図である。
図6】(a)は、図2図4に示された補助部材の正面斜視図であり、(b)は、その背面斜視図であり、(c)は、正面図であり、(d)は、(a)のVId−VId断面図である。
図7】(a),(b)は、本発明の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、図面における矢印Frは、後述する2次熱交換器HE2の前方を示しており、以降の説明における前後の向き、および位置関係は、これに則したものとする。
【0030】
図1に示す温水装置WHは、給湯装置として構成されており、バーナ5、1次熱交換器HE1、および2次熱交換器HE2を備えている。図1では示されていないが、図6に示
すような補助部材Aが、2次熱交換器HE2に組み込まれている。温水装置WHは、一般給湯と、暖房用給湯または風呂給湯との2系統の給湯動作を独立して行なうことが可能であり、1次熱交換器HE1および2次熱交換器HE2は、ともに1缶2水路方式である。
2次熱交換器HE2は、本発明に係る熱交換器の一例に相当する。1次熱交換器HE1は、本発明に係る熱交換器には相当しない。
【0031】
バーナ5は、たとえばガスバーナであり、ファン51からバーナケース50内に上向きに送られてくる燃焼用空気を利用して燃料ガスを燃焼させる。ただし、このバーナ5は、いわゆる部分燃焼が可能であり、その燃焼領域は、個別に燃焼駆動制御が可能な第1および第2の燃焼領域a1,a2に区分されている。
【0032】
1次熱交換器HE1は、バーナ5から上向きに進行してくる燃焼ガスから顕熱を回収するためのものであり、バーナケース50上に載設された缶体16内に、複数のフィン10a,10bに貫通接合された2つの伝熱管1A,1Bが収容された構成である。これら2つの伝熱管1A,1Bの相互間、およびその下方には、仕切部材52,53が設けられており、バーナ5の第1および第2の燃焼領域a1,a2によってそれぞれ発生された燃焼ガスは伝熱管1A,1Bに個別に作用する。伝熱管1A,1Bの入水口11a,11bには、2次熱交換器HE2の出湯用のヘッダ23a,23bから湯水供給がなされ、かつこの湯水は伝熱管1A,1Bを通過する過程で燃焼ガスにより加熱され、出湯するように構成されている。
【0033】
2次熱交換器HE2は、1次熱交換器HE1を通過してきた燃焼ガスから潜熱を回収するためのものであり、1次熱交換器HE1上に補助缶体17を介して載設されている。この2次熱交換器HE2は、ケース3内に、複数の第1および第2の伝熱管2A,2Bが収容され、かつそれらの間に仕切部材40が配されていることにより、ケース3内が第1および第2の熱交換部21A,21Bに区画された構成である。第1および第2の伝熱管2A,2B、ならびにケース3は、潜熱回収に伴って発生する強酸性のドレン水に対する耐食性を有すべくその材質はたとえばステンレスである。
【0034】
図3に示すように、複数の第1の伝熱管2Aは、サイズが相違する平面視略矩形状または長円状の螺旋状管体として形成されて重ね巻き状に配列されており、それらの上下両端部は、ケース3の側壁部31cから外部に引き出されて出湯用および入水用のヘッダ23a,24aと連結されている。複数の第2の伝熱管2Bも、その基本的な形態は第1の伝熱管2Aと同様であり、重ね巻き状に配列された螺旋状管体として形成され、かつその上下両端部は、出湯用および入水用のヘッダ23b,24bと連結されている。ただし、本実施形態では、ヘッダ23b,24bに、非螺旋状の補助伝熱管20も接続されている。この補助伝熱管20は、ヘッダ23b,24bに接続された伝熱管全体の流路抵抗を小さくするとともに、伝熱面積の増大による熱交換効率向上に役立つ。第1および第2の伝熱管2A,2B(補助伝熱管20も含む)への湯水供給は、入水用のヘッダ24a,24bからなされ、第1および第2の伝熱管2A,2Bを通過して加熱された湯水は、出湯用のヘッダ23a,23bに到達し、かつその後は既述したように1次熱交換器HE1の伝熱管1A,1Bに送り込まれる。
【0035】
ケース3は、全体の概略形状が直方体状とされており、その後壁部31bおよび前壁部32には、燃焼ガス用の給気口34a,34b、および排気口36が設けられている。1次熱交換器HE1を上向きに通過した燃焼ガスは、補助缶体17を介して給気口34a,34bに導かれる。図2において、給気口34aにガイドされる燃焼ガスは、1次熱交換器HE1の伝熱管1Aによる顕熱回収を終えたものであり、2次熱交換器HE2の第1の熱交換部21Aに流入する。図示説明は省略するが、補助缶体17内にも仕切部材が設けられており、1次熱交換器HE1の伝熱管1Bによる顕熱回収を終えた燃焼ガスは、給気
口34bに導かれ、第2の熱交換部21Bに流入する。
【0036】
図2に示すように、ケース3の底壁部35の前部35aには、ケース3の横幅方向(図2の紙面と直交する方向)に延びる凹状部37が形成されており、潜熱回収に伴って発生し、底壁部35上に流れ落ちたドレン水は、この凹状部37に流れ込むようになっている。底壁部35のうち、第1および第2の伝熱管2A,2Bの下方に位置する部分は、第1および第2の伝熱管2A,2Bに接近した略水平部35bとされているが、それよりも前側領域には、前下がり傾斜部35cが設けられるなどして、凹状部37の位置が最も低い高さとなっている。凹状部37には、ドレン水用の排水口38が設けられている。なお、これに代えて、ドレン水用の排水口を側壁部31c,31dの少なくとも一方の下部に横向き開口状に設けた構成とすることもできる。凹状部37に流れ込んだドレン水は、排水口38からケース3の外部に排出される。
【0037】
排気口36は、ケース3の前壁部32に絞り加工を施し、前壁部32に前方へ突出する筒状突出部33を一体的に形成することによって設けられている。筒状突出部33は、略円筒状であり、その内側が排気口36である(図5も参照)。排気抵抗を小さくする上では、排気口36の開口面積を比較的大きくすることが望まれる。このため、本実施形態では、排気口36の開口径が前壁部32の上下幅に近い寸法とされ、図2に示すように、排気口36の開口縁下部36aと、底壁部35の前部35aとの高低差H1は、小さくなっている。
【0038】
補助部材Aは、排気口36内においてドレン水が発生することを防止するためのものである。ただし、本実施形態においては、後述するように、底壁部35の前部35a上に存在するドレン水が排気口36に進入することを防止する機能を併せもつように構成されている。この補助部材Aは、たとえばステンレス製プレートにプレス加工を施すことにより形成されている。
【0039】
図6に示すように、補助部材Aは、上下高さ方向に起立した起立板部6、この起立板部6の上縁部に繋がった上板部8、起立板部6に形成された開口部60の内周縁に連設されたバーリング部61、および起立板部6の下縁部に繋がったカバー板部7を有している。
【0040】
補助部材Aの起立板部6は、ケース3の前壁部32の内面に対向接触し、たとえばスポット溶接などの手段を用いて前壁部32に接合されている。ただし、この起立板部6を前壁部32から離間させた対向接近状態とすることもできる。起立板部6には、排気口36に対向する開口部60が設けられている。この開口部60は、正面視において、円形の下部を一部切り欠いた形状である。
【0041】
補助部材Aのバーリング部61は、起立板部6の開口部60の内周縁部が前方側へ屈曲または湾曲された部分であり、図2に示すように、筒状突出部33との間に隙間68が形成されるように、筒状突出部33とは非接触の状態で排気口36内に進入している。好ましくは、このバーリング部61は、滑らかに湾曲した断面形状に形成されている。これは、排気騒音を低減する上で好ましい。バーリング部61は、先細り状に傾斜しており、先端側に進むほど隙間68の幅Lc(排気口36の半径方向の幅)が大きくなるように形成されている。また、バーリング部61は、前後方向の寸法が比較的短い部位として形成されており、排気口36の基部側領域(図2の右側領域)のみに進入し、それよりも先端側の領域には進入していない。さらに、バーリング部61は、非筒状であり、図2に示す排気口36の下部領域36bには進入しておらず(下部領域36bに対応するバーリング部61は設けられていない)、下部領域36bよりも上側の領域に進入している。
【0042】
補助部材Aの上板部8は、ケース3の上壁部31aとの間に空間部89を形成するよう
に設けられている。この上板部8と上壁部31aも、スポット溶接などの手段により接合されている。上板部8のうち、ケース3内の前寄りの位置であって、ケース3の横幅方向において排気口36とオーバラップする位置には、燃焼ガスを空間部89に流入させるための孔部80が設けられている。好ましくは、孔部80の横幅Wdは、排気口36の基端側開口径以上の寸法とされている(本実施形態とは異なり、排気口36が円形でない場合、横幅Wdは、排気口36の基端側開口の横幅以上の寸法である。この点は、後述する第1の孔部72aの横幅Waについても同様)。孔部80の位置は、より具体的には、仕切部材40の前端よりも前方側であって、後述するように、第1および第2の熱交換部21A,21Bをそれぞれ通過してきた燃焼ガス(バーナ5の非燃焼側では燃焼用空気)が合流する箇所の上方である。
【0043】
図6に示すように、上板部8には、追加の孔部81が設けられているが、この孔部81は、下向きの突起部82を切り起こし加工するために設けられたものである。図2に示すように、突起部82は、第1の伝熱管2Aの位置決め固定を図るのに利用される。
【0044】
補助部材Aのカバー板部7は、底壁部35の前部35aの上方を覆うための部分であり、後縁部7b寄り部分は、底壁部35の略水平部35b上に重ねられて接合されている。カバー板部7の前縁部7aは、ケース3の前壁部32に接触または接近して固定されている。この固定は、起立板部6を前壁部32に溶接することにより図られている。カバー板部7には、曲げ部70が設けられ、このカバー板部7の略全域またはこれに近い広い領域は、側面断面視において逆への字状の凹状に屈曲した形態とされている。このことにより、カバー板部7の前縁部7a寄りの領域は、前上がり傾斜領域71aとされ、かつその後側には、曲げ部70を介して前下がり傾斜領域71bが繋がっている。
【0045】
カバー板部7には、このカバー板部7上を流れるドレン水を底壁部35上に流れ落とすための複数の孔部72が設けられている。これら複数の孔部72は、いずれも曲げ部70に位置するように設けられ、カバー板部7の横幅方向に間隔を隔てて並んでいる。各孔部72は、前後幅よりも横幅の方が、寸法が大きい長孔状であって、前上がり傾斜領域71aと前下がり傾斜領域71bとの双方に跨がって開口している。複数の孔部72のうち、第1の孔部72(72a)は、ケース3の横幅方向において、排気口36とオーバラップするように排気口36の後方に位置する孔部である。図4に示すように、この第1の孔部72aの前後幅Laおよび横幅Waは、これ以外の第2の孔部72(72b)の前後幅Lbおよび横幅Wbよりも大きくされている。好ましくは、第1の孔部72aの横幅Waは、排気口36の基端側開口径以上の寸法とされている。
【0046】
カバー板部7の前縁部7aは、排気口36の開口縁下部36aからそれよりも上方の位置に離間しており、これら前縁部7aと開口縁下部36aとの間には、上下高さ方向の幅をもつ隙間77が形成されている。この隙間77は、カバー板部7の下方領域を排気口36に連通させるために積極的に設けられた部分であり、孔部72からカバー板部7の下方に進入した燃焼ガスは、隙間77を通過して排気口36に流入可能である。好ましくは、隙間77の上下方向の幅は、第1および第2の伝熱管2A,2Bの上下配列方向における管体隙間Le(管体部どうしの隙間)以上の幅とされ(管体隙間Leにばらつきがある場合は、それらのうちの最小隙間であり、この点は次に述べるケース内底部隙間Lfも同様である)、または第1および第2の伝熱管2A,2Bの下部とケース3の底壁部35との間に形成されたケース内底部隙間Lf以上の幅とされている。これは、隙間77の上下方向の幅が、管体隙間Leおよびケース内底部隙間Lfのうち、小さい方の隙間以上の幅であることを意味するが、これらLe,Lfのそれぞれ以上の幅としてもよいことは勿論である。このような構成は、燃焼ガスが隙間77を円滑に流れるようにする作用をもたらせ、2次熱交換器HE2の排気抵抗が小さくなることを抑制する上で好ましい。
【0047】
次に、前記した温水装置WHの作用について説明する。
【0048】
まず、図2に示すように、2次熱交換器HE2においては、ケース3内を前方に向けて進行した燃焼ガスは、排気口36に流入する際に、補助部材Aのバーリング部61によってその進行方向に規制が加えられる。具体的には、燃焼ガスは、筒状突出部33の内周面に向けて直接進行し難くなるように規制される。とくに、バーリング部61は、先端側に進むほどバーリング部61と筒状突出部33との隙間68の寸法Lcが大きくなるように先細状に傾斜しているため、燃焼ガスが筒状突出部33の内周面から遠ざかるように燃焼ガスを進行させて、燃焼ガスが筒状突出部33の内周面に接触する度合いを少なくすることが可能である。
【0049】
たとえば、冬季において、外気温度が低く、筒状突出部33の温度が低い状態にある場合において、筒状突出部33に燃焼ガスが接触すると、この部分にドレン水が発生する虞がある。筒状突出部33の内周面においてドレン水が発生したのでは、このドレン水は排気口36の外部に飛散し易い。筒状突出部33は、絞り加工によって形成されており、その突出寸法を余り長くできず、また排気口36の開口面積をさほど大きくすることができないという制約を受けるため、本来的には、ドレン水が外部に飛散し易い。これに対し、本実施形態では、燃焼ガスが筒状突出部33に接触する度合いを少なくし、排気口36内においてドレン水を発生し難くし得る結果、排気口36から外部へのドレン水の飛散を好適に防止することが可能である。
【0050】
バーリング部61については、排気口36よりもかなり小径に形成するといった必要はない。また、既述したように、バーリング部61は、ケース3の前後方向において、排気口36の基部側領域のみに進入されている。さらに、バーリング部61は、非筒状であり、排気口36の下部領域36bには進入していない。したがって、バーリング部61が、排気口36の内部で不当に大きく嵩張るようなこともなく、排気口36の実質的な開口面積が大きく狭められないようにすることも可能である。
【0051】
ケース3内の上部を進行する燃焼ガスの一部は、上板部8の孔部80から空間部89に流入するが、この上壁部31aの位置においてドレン水を積極的に発生させることが可能である。すなわち、バーナ5の第1の燃焼領域a1がオフとされ、第2の燃焼領域a2がオンとされていることにより、第1の熱交換部21Aには低温の燃焼用空気が供給され、かつ第2の熱交換部21Bには高温の燃焼ガスが供給される場合がある。このような場合、排気口36の後方において、燃焼用空気と燃焼ガスとが合流する結果、燃焼ガスの温度が下がるためドレン水を生じ易い混合気体となる。このような混合気体がそのまま排気口36に流入すると、排気口36内においてドレン水が発生し易くなるが、本実施形態では、前記した燃焼用空気と燃焼ガスとが混合する領域の上側に、孔部80が設けられているため、上板部8よりも上側の上壁部31aにおいてドレン水を積極的に生じさせ、排気口36内にはドレン水を生じ難い混合気体を流入させることができる。このようなことにより、ドレン水が排気口36の外部に飛散することは、より適切に防止される。
【0052】
前記とは異なり、第1および第2の熱交換部21A,21Bのそれぞれに燃焼ガスが供給される場合であっても、たとえば外気温度が低く、上壁部31aの温度が低い場合には、前記したのと同様に、上壁部31aにおいてドレン水を積極的に発生させ、排気口36にはドレン水を生じ難い燃焼ガスを流入させることが可能である。
上壁部31aにおいて発生したドレン水については、たとえばこの上壁部31aや上板部8を伝わらせてケース3内の側部に導いてから底壁部35上に導くことが可能であり、排気口36内に進入しないようにすることが可能である。
【0053】
一方、伝熱管2A,2Bを利用して燃焼ガスから潜熱回収を行なうことにより発生した
ドレン水は、ケース3の底壁部35の前部35a上に流れ込むが、この部分に燃焼ガスが直接当たることは、補助部材Aのカバー板部7によって好適に阻止される。また、孔部72からカバー板部7の下方に進入した燃焼ガスは、カバー板部7の前縁部7aと排気口36の開口縁下部36aとの隙間77を通過して排気口36内に円滑に流入する。隙間77の幅をある程度以上の大きさ(たとえば、前記した管体隙間Leまたはケース内底部隙間Lf以上の幅)に形成しておけば、隙間77を通過する際の燃焼ガスの流速を遅くすることが可能である。その結果、本実施形態では、排気口36の開口縁下部36aと底壁部35の前部35aとの高低差H1が小さいにも拘わらず、底壁部35の前部35a上に存在するドレン水が、燃焼ガスによって排気口36側に巻き上げられないようにすることが可能である。
【0054】
カバー板部7上には、ドレン水が流れてくるが、このようなドレン水は、複数の孔部72を介してカバー板部7の下方に流れ落とすことが可能である。したがって、カバー板部7上に存在するドレン水が、燃焼ガスによって排気口36側に吹き飛ばされるといったことも防止される。ケース3の横幅方向において排気口36とオーバラップした配置の第1の孔部72(72a)の開口面積は大きいため、カバー板部7上のうち、排気口36の後方側(燃焼ガス流れ方向上流側)の領域には、多くのドレン水が存在しないようにし、カバー板部7上から排気口36内にドレン水が吹き飛ばされることを、より適切に防止することが可能となる。
【0055】
カバー板部7は、逆への字状に屈曲され、かつ高さが最も低い曲げ部70に複数の孔部72が横幅方向に並んで設けられているため、これらの孔部72にはドレン水が流れ込み易くなる。また、カバー板部7のうち、排気口36に近い領域が、前上がり傾斜領域71aとされているため、ドレン水がこの傾斜領域71aを登って排気口36内に進入するようなことも生じ難くなる。さらに、孔部72は、前上がり傾斜領域71aと前下がり傾斜領域71bとの双方に跨がって開口しているため、ドレン水が前下がり傾斜領域71bを下向きに流れる過程において、ドレン水は孔部72に迅速に流れ込むこととなる。ドレン水が前上がり傾斜領域71aに飛び移るような現象を生じた場合でも、このドレン水を孔部72に迅速に流れ込ませることが可能となる。
【0056】
孔部72は、前後幅よりも横幅の方が大きい長孔状であるため、孔部72の開口面積をさほど大きくすることなく、カバー板部7上を流れるドレン水を孔部72に流れ込み易くすることが可能である。孔部72の開口面積を大きくするほど、孔部72からカバー板部7の下方領域に多くの加熱用気体が流入するが、前記構成によれば、そのようなことも適切に抑制することが可能である。
【0057】
図7は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0058】
図7(a)に示す補助部材A1は、バーリング部61が連設された起立板部6、および上板部8を有するものの、先に述べた補助部材Aのカバー板部7に相当する部位については具備していない。本発明においては、このような構成とすることが可能であるが、さらに上板部8を具備しない構成とすることも可能である。
【0059】
図7(b)に示す補助部材A2は、起立板部6に円形状の開口部60を形成し、かつこの開口部60の内周縁の全周を曲げることによって筒状のバーリング部61を設けている。本実施形態から理解されるように、本発明でいうバーリング部は、筒状および非筒状のいずれであってもよい。
【0060】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器、および温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0061】
本発明でいう熱交換器のケースの前壁部とは、ケースの壁部のうち、排気口が設けられた起立状の壁部を意味する。熱交換器の前後の向きは、温水装置の前後の向きとは必ずしも一致するものではなく、熱交換器の前壁部が温水装置の後方を向くように設定される場合もある。
【0062】
本発明は、ケースの前壁部に略円筒状の筒状突出部を絞り加工により形成し、その内部を排気口とした場合に最適であるが、排気口は必ずしもそのように構成されていなくてもよい。ケースとは別体の部材によって筒状突出部を形成してもよい。また、筒状突出部を、円筒状以外の形状としてもよい。
【0063】
熱交換器の伝熱管は、螺旋状管体タイプに限らず、直状管体、あるいは蛇行状管体などの他のタイプの伝熱管であってもよい。熱交換器のケースへの加熱用気体の供給は、給気口をケースの後壁部に設けることに代えて、たとえば給気口を底壁部の後部寄り領域、あるいは中間領域などに設けることによって行なわせることもできる。本発明でいう加熱用気体は、燃焼ガスに限らず、たとえばコージェネレーションシステムの燃料電池やガスエンジンなどの発電部から排出される高温の排ガスなどを用いることもできる。熱交換器は、1缶2水路方式のものに限定されず、1缶1水路方式(1つのケース内に1種類の伝熱管が収容)とすることもできる。本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む。
【符号の説明】
【0064】
WH 温水装置
A,A1,A2 補助部材
HE2 2次熱交換器(熱交換器)
2A,2B 第1および第2の伝熱管(伝熱管)
21A,21B 第1および第2の熱交換部
3 ケース(熱交換器の)
32 前壁部(ケースの)
33 筒状突出部
36 排気口
36a 開口縁下部(排気口の)
5 バーナ
51 ファン
6 起立板部
60 開口部
61 バーリング部
68 隙間
8 上板部
80 孔部
89 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7