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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223717(P2016-223717A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 21/04 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   F28F21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-111791(P2015-111791)
(22)【出願日】2015年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 祥啓
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 建人
(57)【要約】
【課題】セラミック製のハニカム構造体とケースとの間の気密性を確保した状態で、セラミック製のハニカム構造体をケースの内部に固定することができる熱交換器を提供する。
【解決手段】ハニカム構造体20には、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿って第2開口261を挟む位置において、外壁22の外表面と、ハニカム構造体本体21の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブ29が複数設けられている。そして、ハニカムリブ29の端面293と金属箔49とがろう付されているので、気密性を確保した状態で、セラミック製のハニカム構造体をケースの内部に固定できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の外壁を備える本体と、前記本体の内側においてセル壁により区画され、前記本体の長手方向に沿って連続するとともに互いに交互に配置される多数の第1セルおよび第2セルとを有するセラミック製のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の外壁を覆う筒状のケースと、を備え、
前記第1セルは、前記各セル壁および前記本体の長手方向両端部に開口する第1開口により第1流路を形成し、
前記第2セルは、前記本体の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部によって封孔されているとともに、前記本体の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口およびセル壁に設けられた接続孔により外部に連通する第2流路を形成し、
前記ハニカム構造体は、前記本体の長手方向に沿って前記第2開口を挟む位置において、前記外壁の外表面と、前記本体の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブが複数設けられ、
前記ケースは、その内面において、前記内面と、前記ケースの長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回し、前記ハニカムリブの端面に面接触する金属箔が設けられ、
前記ハニカムリブの端面と、前記金属箔とがろう付されていることを特徴する熱交換器。
【請求項2】
前記金属箔は、前記ケースの前記内面に面接触する第1部材と、前記第1部材に連結され、前記ハニカムリブの端面に面接触する第2部材とを有する断面略L字状であり、
前記第1部材は、前記ケースと、前記第1部材における前記ケースの前記内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板とに挟まれた状態で、前記ケースの外面からレーザ溶接により前記ケースに固定されていることを特徴する請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記金属箔は、ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記ハニカムリブは、セラミック多孔質体の気孔に金属又は珪素を含浸させた含浸体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記ハニカムリブは、炭化珪素繊維集合体又は炭化珪素焼成体の気孔に珪素を含浸させた含浸体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記ケースの厚みは、0.5mm以上1.4mm以下であることを特徴する請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
金属繊維を束ねて、あるいは織って紐状に形成され、前記ハニカムリブの頂面と前記ケースの内面との隙間に圧縮状態で介装された金属紐状体を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記金属紐状体の無負荷時の厚みは、前記金属紐状体が介装される前記隙間の厚みの105%以上125%以下であることを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記金属紐状体は、ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック製のハニカム構造体を用いた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器の内部にハニカム構造体を収容する際の固定方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の触媒保持体(ハニカム構造体)は、円筒形状のハニカム構造体の側面ほぼ全体に無機繊維(結晶質アルミナ繊維)マットを巻き付け、さらに外側に有機シートを巻き付けて、金属製パイプ(容器)の内部に圧入して収納される。このとき、無機繊維マットの、圧入前の嵩密度および圧入後の嵩密度を所定の範囲に限定している。
【0003】
すなわち、無機繊維マットの圧入後の嵩密度を、圧入前の嵩密度よりも大きくなるように、金属製パイプに圧入することにより、ハニカム構造体と無機繊維マットとの間で生じる摩擦力と、無機繊維マットと金属製パイプとの間で生じる摩擦力によって、ハニカム構造体を金属製パイプ内部に固定している。
この技術は、触媒保持体の他、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化するフィルタ(DPF)を金属製パイプ内部に固定する技術として、広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−98059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、排ガス浄化触媒担体、排ガス浄化フィルタの形状に合わせて金属製パイプ(ケース)内部に保持、固定することができるが、高い密閉性が求められる部位、例えば熱交換器等の異なる2つの気体もしくは気体−液体が隣り合って流れるもの等には、繊維間に連通する空隙が存在するため、使用できない。特に、セラミック製のハニカム構造体を金属製のケースに気密性を確保しつつ固定することは難しいため、良好な方策が求められていた。
【0006】
本発明では、前記課題を鑑み、セラミック製のハニカム構造体とケースとの間の気密性を確保した状態で、セラミック製のハニカム構造体をケースの内部に固定することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の熱交換器は、筒形状の外壁を備える本体と、前記本体の内側においてセル壁により区画され、前記本体の長手方向に沿って連続するとともに互いに交互に配置される多数の第1セルおよび第2セルとを有するセラミック製のハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の外壁を覆う筒状のケースと、を備え、前記第1セルは、前記各セル壁および前記本体の長手方向両端部に開口する第1開口により第1流路を形成し、前記第2セルは、前記本体の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部によって封孔されているとともに、前記本体の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口およびセル壁に設けられた接続孔により外部に連通する第2流路を形成し、前記ハニカム構造体は、前記本体の長手方向に沿って前記第2開口を挟む位置において、前記外壁の外表面と、前記本体の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブが複数設けられ、前記ケースは、その内面において、前記内面と、前記ケースの長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回し、前記ハニカムリブの端面に面接触する金属箔が設けられ、前記ハニカムリブの端面と、前記金属箔とがろう付されている。
【0008】
本発明の熱交換器によれば、ハニカム構造体には、多数の第1セルおよび第2セルが交互に配置されている。第1セルは、ハニカム構造体本体の長手方向両端部に開口する第1開口が形成された第1流路を有しており、本体の長手方向に流体(第1流体)を流す。また、第2セルは、本体の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部によって封孔されているとともに、本体の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口およびセル壁に設けられた接続孔により外部に連通する第2流路が形成されている。従って、一方の第2開口から流入した流体(第2流体)は、接続孔、第2セル、接続孔を通って、他方の第2開口からハニカム構造体の外部に流出する。
これにより、第1流路を流れる第1流体と、第2流路を流れる第2流体とが、セル壁を解して接するので、両流体間において熱交換を行うことができる。
【0009】
また、ハニカム構造体には、本体の長手方向に沿って第2開口を挟む位置において、外壁の外表面と、本体の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブが複数設けられている。そして、ハニカムリブの端面と金属箔とがろう付されているので、高圧のガス環境下でも、確実にシールすることができる。
更に、セラミック製のハニカム構造体とケースとでは熱膨張率が異なることが多く、温度変化に伴う膨張または収縮によって、ケースとハニカム構造体の位置関係が変化し、ハニカムリブとケースの内面との距離が数100μm程度変化することもあるが、金属箔が伸縮することにより、ケースと金属箔との接合およびハニカムリブ(ロウ材)と金属箔との接合を良好に維持することができる。この点、金属箔を用いず、ロウ材を介してケースとハニカムリブを直接的に接続した場合には、ハニカムリブとケースの内面との距離が大きく変化すると、ケースとロウ材の間あるいはハニカムリブとロウ材の間で剥離が生じ、気密性を失ってしまう可能性がある。
金属箔の厚みは、10μm以上100μm以下であることが望ましい。この様な厚みであると、金属箔の伸縮による破損を招くことなく、金属箔の伸縮自由度を確保することができる。
【0010】
さらに、本発明の熱交換器は、以下の態様であることが望ましい。
本発明の熱交換器において、前記金属箔は、前記ケースの前記内面に面接触する第1部材と、前記第1部材に連結され、前記ハニカムリブの端面に面接触する第2部材とを有する断面略L字状であり、前記第1部材は、前記ケースと、前記第1部材における前記ケースの前記内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板とに挟まれた状態で、前記ケースの外面からレーザ溶接により前記ケースに固定されている。
【0011】
金属箔は、第1部材と第2部材とから断面略L字状を呈しており、第1部材がケースの内面に面接触するとともにケースにレーザ溶接により固定され、第2部材がハニカムリブの端面に面接触する。これにより、ハニカムリブが金属箔を解してケースに軽視されるので、ハニカム構造体はケースに保持される。
また、第1部材は、ケースの内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板とに挟まれた状態で、ケースの外面からレーザ溶接により固定されるので、薄い金属箔を確実にケース内面に保持することができる。
【0012】
本発明の熱交換器において、前記金属箔は、ステンレス鋼によって形成されている。
【0013】
ステンレス鋼(SUS)は、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、ハニカム構造体と組み合わせることにより、様々な用途で利用することができる。
また、ステンレス鋼は、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、本発明の熱交換器によれば、ろう付けの際に受ける金属箔へのダメージが小さくすみ、信頼性が高い。なお、ステンレス鋼の中でも熱膨張率が小さなSUS430を金属箔に用いるのが望ましい。
【0014】
本発明の熱交換器において、前記ハニカムリブは、セラミック多孔質体の気孔に金属又は珪素を含浸させた含浸体である。
【0015】
このため、ハニカムリブは緻密な部材となるので、ハニカムリブの強度が向上する。ハニカムリブは、圧縮状態で介装されている金属紐状体によって常に押圧されており、振動時には更に大きな力が作用するが、ハニカムリブの強度が向上することにより、激しく振動した場合でも、金属紐状態を介してケースと安定的に固定することができる。また、ハニカムリブの気密性が向上する。
なお、ハニカムリブだけでなく、ハニカム構造体本体も、金属又は珪素を含浸させ、ハニカムリブとハニカム構造体本体との境界部分を金属又は珪素により接合し、ハニカム構造体の全体を含浸体としてもよい。この様な構成であると、ハニカムリブとハニカム構造体本体との間の隙間が無くなり、隙間から流体が漏れる事態を回避することができる。
【0016】
本発明の熱交換器において、前記ハニカムリブは、炭化珪素繊維集合体又は炭化珪素焼成体の気孔に珪素を含浸させた含浸体である。
【0017】
炭化珪素はセラミックの中でも強度に優れており、炭化珪素繊維集合体は成形自由度が高く、炭化珪素焼成体は製造技術が確立されている。このため、炭化珪素繊維集合体および炭化珪素焼成体は高い寸法精度で形成することができ、気密性の向上には好適である。寸法制度に優れた炭化珪素繊維集合体または炭化珪素焼成体でハニカムリブを構成することにより、気密性の向上を実現することができる。更に、炭化珪素と珪素は性質が似ており、炭化珪素繊維集合体または炭化珪素焼成体の気孔に珪素を含浸すると、性質にバラツキが少ない緻密体が得られる。
【0018】
本発明の熱交換器において、前記ケースの厚みは、0.5mm以上1.4mm以下である。
【0019】
このため、本発明の熱交換器によれば、熱交換器の外装を構成するケースの形態を維持することができると共に、熱膨張による変形量が大きくなり過ぎるのを抑えることができる。
ケースの厚みが0.5mm未満であると、温度変化に伴う膨張および収縮によって波状に変形してしまう恐れがあり、また、外力が作用した場合にケースの形態を維持することができない恐れがある。一方、ケースの厚みが1.4mmを超える場合には、温度変化による膨張および収縮による変形量が大きくなり過ぎ、両者の隙間が極端に広がることがある。隙間が極端に広がると、ハニカム構造体がケースから脱落する恐れがある。
【0020】
本発明の熱交換器は、金属繊維を束ねて、あるいは織って紐状に形成され、前記ハニカムリブの頂面と前記ケースの内面との隙間に圧縮状態で介装された金属紐状体を有する。
【0021】
このため、例えば自動車などに取り付けられて使用される際における振動を金属紐状体が吸収し、振動によるハニカム構造体の損傷を回避することができる。また、熱交換器が高温ガスに晒された場合に、ハニカム構造体とケースとの熱膨張係数の違いでケースが膨張してハニカム構造体の外面に対して離れるように拡径した場合でも、金属紐状体を厚み方向に圧縮した状態で介装しているので、ケースの変形量に応じて金属紐状体の厚みが増すので、高速の高温ガスに晒された場合でもハニカム構造体をケースに確実に保持することができる。
また、金属紐状体は金属繊維によって形成されているので、無機繊維や有機繊維に比べて繊維が折れる可能性は非常に小さく、金属紐状体の付近を排ガスが高速で流通したとしても、繊維飛散の恐れがない。
また、ハニカムリブを介してハニカム構造体本体とケースとが接続されるため、金属紐状体がハニカム構造体本体と直接触れず、ハニカム構造体本体を構成する外壁を損傷させる恐れがない。
【0022】
本発明の熱交換器において、前記金属紐状体の無負荷時の厚みは、前記金属紐状体が介装される前記隙間の厚みの105%以上125%以下である。
【0023】
ハニカム構造体とケースの隙間に対して僅かに厚い金属紐状体が圧縮状態で挿入されていると、温度上昇に伴う膨張によって隙間が広がった場合でも、無負荷時の厚みに戻ろうとする復元力によって膨張し、広がった隙間を埋めることができる。ハニカム構造体とケースの隙間の105%以上125%以下の厚みであると、隙間の広がりに対する追従性が良い。
105%未満であると、ハニカム構造体とケースの熱膨張率の差が大きく、隙間が極端に広がった場合に、隙間の広がりに追従することができず、ハニカム構造体と金属紐状体の間またはケースと金属紐状体の間が離れてしまう恐れがある。一方、125%を超える場合には、金属紐状体が大きな力で圧縮された状態で介装されることとなり、ハニカム構造体に対して大きな押圧力が作用し、ハニカム構造体が破損する恐れがある。
【0024】
本発明の熱交換器において、前記金属紐状体は、ステンレス鋼によって形成されている。
【0025】
ステンレス鋼(SUS)は、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、本発明の熱交換器によれば、ハニカム構造体と組み合わせることにより、様々な用途で利用することができる。
また、ステンレス鋼は、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、ろう付けの際に受ける金属体へのダメージが小さくすみ、信頼性が高い。なお、ステンレス鋼の中でも熱膨張率が小さなSUS430を用いるのが望ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ハニカム構造体には、本体の長手方向に沿って第2開口を挟む位置において、外壁の外表面と、本体の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブが複数設けられている。そして、ハニカムリブの端面と金属箔とがろう付されているので、高圧のガス環境下でも、確実にシールすることができる。更に、セラミック製のハニカム構造体とケースとでは熱膨張率が異なることが多く、温度変化に伴う膨張または収縮によって、ケースとハニカム構造体の位置関係が変化し、ハニカムリブとケースの内面との距離が数100μm程度変化することもあるが、金属箔が伸縮することにより、ケースと金属箔との接合およびハニカムリブ(ロウ材)と金属箔との接合を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る熱交換器の全体分解斜視図である。
図2】本発明に係る熱交換器における第2流路位置で長手方向に切断した断面図である。
図3】本発明に係る熱交換器における第1流路位置で長手方向に切断した断面図である。
図4】(A)は取付前の金属箔の形状を示す斜視図であり、(B)は取り付け後の金属箔の形状を示す斜視図である。
図5】金属箔をケースにレーザ溶接で接合した状態を示す断面図である。
図6】金属箔とハニカム構造体本体との間の熱膨張差によってろう層が変形する状態を示す断面図である。
図7】(A)は本実施形態の熱交換器のハニカム構造体における各部の寸法を示す平面図であり、(B)は端面図であり、(C)は側面図である。
図8】本実施形態の熱交換器における各部の寸法を示す断面図および一部拡大図である。
図9】本実施形態の熱交換器の変形例を示す概略図である。
【0028】
[発明の詳細な説明]
本発明の熱交換器について説明する。
【0029】
本発明の熱交換器は、筒形状の外壁を備える本体と、前記本体の内側においてセル壁により区画され、前記本体の長手方向に沿って連続するとともに互いに交互に配置される多数の第1セルおよび第2セルとを有するセラミック製のハニカム構造体と、前記ハニカム構造体の外壁を覆う筒状のケースと、を備え、前記第1セルは、前記各セル壁および前記本体の長手方向両端部に開口する第1開口により第1流路を形成し、前記第2セルは、前記本体の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部によって封孔されているとともに、前記本体の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口およびセル壁に設けられた接続孔により外部に連通する第2流路を形成し、前記ハニカム構造体は、前記本体の長手方向に沿って前記第2開口を挟む位置において、前記外壁の外表面と、前記本体の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブが複数設けられ、前記ケースは、その内面において、前記内面と、前記ケースの長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回し、前記ハニカムリブの端面に面接触する金属箔が設けられ、前記ハニカムリブの端面と、前記金属箔とがろう付されている。
【0030】
本発明の熱交換器によれば、ハニカム構造体には、多数の第1セルおよび第2セルが交互に配置されている。第1セルは、ハニカム構造体本体の長手方向両端部に開口する第1開口が形成された第1流路を有しており、本体の長手方向に流体(第1流体)を流す。また、第2セルは、本体の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部によって封孔されているとともに、本体の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口およびセル壁に設けられた接続孔により外部に連通する第2流路が形成されている。従って、一方の第2開口から流入した流体(第2流体)は、接続孔、第2セル、接続孔を通って、他方の第2開口からハニカム構造体の外部に流出する。
これにより、第1流路を流れる第1流体と、第2流路を流れる第2流体とが、セル壁を解して接するので、両流体間において熱交換を行うことができる。
【0031】
また、ハニカム構造体には、本体の長手方向に沿って第2開口を挟む位置において、外壁の外表面と、本体の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブが複数設けられている。そして、ハニカムリブの端面と金属箔とがろう付されているので、高圧のガス環境下でも、確実にシールすることができる。
更に、セラミック製のハニカム構造体とケースとでは熱膨張率が異なることが多く、温度変化に伴う膨張または収縮によって、ケースとハニカム構造体の位置関係が変化し、ハニカムリブとケースの内面との距離が数100μm程度変化することもあるが、金属箔が伸縮することにより、ケースと金属箔との接合およびハニカムリブ(ロウ材)と金属箔との接合を良好に維持することができる。この点、金属箔を用いず、ロウ材を介してケースとハニカムリブを直接的に接続した場合には、ハニカムリブとケースの内面との距離が大きく変化すると、ケースとロウ材の間あるいはハニカムリブとロウ材の間で剥離が生じ、気密性を失ってしまう可能性がある。
【0032】
さらに、本発明の熱交換器は、以下の態様であることが望ましい。
(1)前記金属箔は、前記ケースの前記内面に面接触する第1部材と、前記第1部材に連結され、前記ハニカムリブの端面に面接触する第2部材とを有する断面略L字状であり、前記第1部材は、前記ケースと、前記第1部材における前記ケースの前記内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板とに挟まれた状態で、前記ケースの外面からレーザ溶接により前記ケースに固定されている。
【0033】
金属箔は、第1部材と第2部材とから断面略L字状を呈しており、第1部材がケースの内面に面接触するとともにケースにレーザ溶接により固定され、第2部材がハニカムリブの端面に面接触する。これにより、ハニカムリブが金属箔を解してケースに軽視されるので、ハニカム構造体はケースに保持される。
また、第1部材は、ケースの内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板とに挟まれた状態で、ケースの外面からレーザ溶接により固定されるので、薄い金属箔を確実にケース内面に保持することができる。
【0034】
(2)前記金属箔は、ステンレス鋼によって形成されている。
【0035】
ステンレス鋼(SUS)は、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、ハニカム構造体と組み合わせることにより、様々な用途で利用することができる。
また、ステンレス鋼は、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、本発明の熱交換器によれば、ろう付けの際に受ける金属箔へのダメージが小さくすみ、信頼性が高い。なお、ステンレス鋼の中でも熱膨張率が小さなSUS430を金属箔に用いるのが望ましい。
【0036】
(3)前記ハニカムリブは、セラミック多孔質体の気孔に金属又は珪素を含浸させた含浸体である。
【0037】
このため、ハニカムリブは緻密な部材となるので、ハニカムリブの強度が向上する。ハニカムリブは、圧縮状態で介装されている金属紐状体によって常に押圧されており、振動時には更に大きな力が作用するが、ハニカムリブの強度が向上することにより、激しく振動した場合でも、金属紐状態を介してケースと安定的に固定することができる。また、ハニカムリブの気密性が向上する。
なお、ハニカムリブだけでなく、ハニカム構造体本体も、金属又は珪素を含浸させ、ハニカムリブとハニカム構造体本体との境界部分を金属又は珪素により接合し、ハニカム構造体の全体を含浸体としてもよい。この様な構成であると、ハニカムリブとハニカム構造体本体との間の隙間が無くなり、隙間から流体が漏れる事態を回避することができる。
【0038】
(4)前記ハニカムリブは、炭化珪素繊維集合体又は炭化珪素焼成体の気孔に珪素を含浸させた含浸体である。
【0039】
炭化珪素はセラミックの中でも強度に優れており、炭化珪素繊維集合体は成形自由度が高く、炭化珪素焼成体は製造技術が確立されている。このため、炭化珪素繊維集合体および炭化珪素焼成体は高い寸法精度で形成することができ、気密性の向上には好適である。寸法制度に優れた炭化珪素繊維集合体または炭化珪素焼成体でハニカムリブを構成することにより、気密性の向上を実現することができる。更に、炭化珪素と珪素は性質が似ており、炭化珪素繊維集合体または炭化珪素焼成体の気孔に珪素を含浸すると、性質にバラツキが少ない緻密体が得られる。
【0040】
(5)前記ケースの厚みは、0.5mm以上1.4mm以下である。
【0041】
このため、本発明の熱交換器によれば、熱交換器の外装を構成するケースの形態を維持することができると共に、熱膨張による変形量が大きくなり過ぎるのを抑えることができる。
ケースの厚みが0.5mm未満であると、温度変化に伴う膨張および収縮によって波状に変形してしまう恐れがあり、また、外力が作用した場合にケースの形態を維持することができない恐れがある。一方、ケースの厚みが1.4mmを超える場合には、温度変化による膨張および収縮による変形量が大きくなり過ぎ、両者の隙間が極端に広がることがある。隙間が極端に広がると、ハニカム構造体がケースから脱落する恐れがある。
【0042】
(6)金属繊維を束ねて、あるいは織って紐状に形成され、前記ハニカムリブの頂面と前記ケースの内面との隙間に圧縮状態で介装された金属紐状体を有する。
【0043】
このため、例えば自動車などに取り付けられて使用される際における振動を金属紐状体が吸収し、振動によるハニカム構造体の損傷を回避することができる。また、熱交換器が高温ガスに晒された場合に、ハニカム構造体とケースとの熱膨張係数の違いでケースが膨張してハニカム構造体の外面に対して離れるように拡径した場合でも、金属紐状体を厚み方向に圧縮した状態で介装しているので、ケースの変形量に応じて金属紐状体の厚みが増すので、高速の高温ガスに晒された場合でもハニカム構造体をケースに確実に保持することができる。
また、金属紐状体は金属繊維によって形成されているので、無機繊維や有機繊維に比べて繊維が折れる可能性は非常に小さく、金属紐状体の付近を排ガスが高速で流通したとしても、繊維飛散の恐れがない。
また、ハニカムリブを介してハニカム構造体本体とケースとが接続されるため、金属紐状体がハニカム構造体本体と直接触れず、ハニカム構造体本体を構成する外壁を損傷させる恐れがない。
【0044】
(7)前記金属紐状体の無負荷時の厚みは、前記金属紐状体が介装される前記隙間の厚みの105%以上125%以下である。
【0045】
ハニカム構造体とケースの隙間に対して僅かに厚い金属紐状体が圧縮状態で挿入されていると、温度上昇に伴う膨張によって隙間が広がった場合でも、無負荷時の厚みに戻ろうとする復元力によって膨張し、広がった隙間を埋めることができる。ハニカム構造体とケースの隙間の105%以上125%以下の厚みであると、隙間の広がりに対する追従性が良い。
105%未満であると、ハニカム構造体とケースの熱膨張率の差が大きく、隙間が極端に広がった場合に、隙間の広がりに追従することができず、ハニカム構造体と金属紐状体の間またはケースと金属紐状体の間が離れてしまう恐れがある。一方、125%を超える場合には、金属紐状体が大きな力で圧縮された状態で介装されることとなり、ハニカム構造体に対して大きな押圧力が作用し、ハニカム構造体が破損する恐れがある。
【0046】
(8)前記金属紐状体は、ステンレス鋼によって形成されている。
【0047】
ステンレス鋼(SUS)は、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、本発明の熱交換器によれば、ハニカム構造体と組み合わせることにより、様々な用途で利用することができる。
また、ステンレス鋼は、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、長期間使用しても信頼性が高い。なお、ステンレス鋼の中でも熱膨張率が小さなSUS430を金属紐状体に用いるのが望ましい。SUS304の熱膨張率が17〜19×10−6/℃程度であるのに対し、SUS430は10〜12×10−6/℃程度であり、セラミックの熱膨張率との差を小さくすることができる。代表的なセラミックの熱膨張率は、アルミナが7〜8×10−6/℃程度であり、炭化珪素は4〜5×10−6/℃程度である。
【0048】
[発明を実施するための形態]
以下、図に基づいて説明する。
【0049】
図1に示すように、熱交換器10は、セラミック製のハニカム構造体20と、ハニカム構造体20の外側を覆う筒状の金属製のケース40を有する。ハニカム構造体20の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミックが挙げられる。また、ケース40の厚みは、0.5mm以上1.4mm以下であることが望ましい。
【0050】
ハニカム構造体20は、ハニカム構造体本体(本体)21を有する。ハニカム構造体本体21は、例えば矩形断面の筒形状の外壁22を有する。外壁22の内側は、セル壁23により区画されて、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿って連続する多数のセル24が形成されている。
【0051】
図2および図3に示すように、セル24は、セル壁23を介して交互(ここではハニカム構造体本体21の幅方向に交互)に配置される第1セル25と第2セル26を有する。図3に示すように、第1セル25は、ハニカム構造体本体21の長手方向両端に開口する一対の第1開口251を有しており、両第1開口251の間に、ハニカム構造体本体21の長手方向に真っ直ぐに延びる第1流路252を有する。従って、一方の第1開口251から第1流路252に流入した第1流体(図3における矢印A参照)は、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿って真っ直ぐに流れ、他方の第1開口251から排出される。
【0052】
図2に示すように、第2セル26は、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部27によって封孔されているとともに、封止部27間のハニカム構造体本体21の長手方向に対して交差する側面28に開口する複数の第2開口261を有する。第1セル25には設けられていないので、第2開口261は、ハニカム構造体本体21の長手方向に交差する方向(幅方向)に1個おきに設けられる。第2開口261に連続してハニカム構造体本体21の内部には、セル壁23を切り欠いた接続孔262が設けられている。接続孔262は、例えばハニカム構造体本体21の内部に向かって三角形状に配設されており、ハニカム構造体本体21の長手方向に伸びる中間セル263に連続している。従って、第2開口261、接続孔262、中間セル263により、第2流路264が形成される。
【0053】
これにより、第2開口261から第2流路264に流入した第2流体(図2中矢印B参照)は、接続孔262から中間セル263に流れ、他方側の接続孔262および第2開口261を介して外部に排出される。第2流路264はセル壁23を挟んで第1流路252に接しており、第1流路252を流れる第1流体と、第2流路264を流れる第2流体との間で、熱交換を行う。例えば、第1流体として高温のガスを第1流路252に流し、第2流体として常温の空気等を第2流路に流すことにより、常温の空気等の温度を上昇させることができ、熱交換器として機能する。
ここでは、図1に示すように、他方の第2開口261が一方の第2開口261と反対側の側面28に設けられているので、第2流路264はクランク状に形成されているが、同じ側の側面28に第2開口261を設けることにより、コ字状に第2流路264を設けることもできる。
【0054】
ハニカム構造体本体21の外壁22において、第2開口261を挟んだ長手方向両側位置には、セル24の連通方向に対して直交する面が外壁22の外表面と交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブ29が設けられている。ここでは、一対の第2開口261に対しておのおの一対のハニカムリブ29が設けられているので、全体で二対(4個)のハニカムリブ29が設けられている。
【0055】
ハニカムリブ29は、セラミック多孔質体とセラミック多孔質体の気孔に含浸させる含浸体とからなり、含浸体はさらにハニカム構造体本体21の外壁22に到達し、ハニカムリブ29とハニカム構造体本体21とを接合していることが望ましい。このような構成のハニカムリブ29を形成することにより、ハニカム構造体本体21そのものを加工することなくハニカムリブ29を形成することができる。このため、ハニカムリブ29は緻密な部材となり、ハニカムリブ29とハニカム構造体本体21との間に隙間が発生して流体が漏れるのを容易に防止することができる。
【0056】
セラミック多孔質体は、SiC繊維の成形体又は気孔を有するセラミック焼成体であることが望ましい。熱交換器10では、SiC繊維の成形体又は気孔を有するセラミック焼成体は、耐熱性を有しているので、後述するろう付時や熱交換器10の使用時に、熱等に起因して損傷するおそれがなく、安定して使用することができる。
【0057】
セラミック多孔体の構成材料として炭化珪素繊維を用いると、目的の形状を容易に得ることができるので、所望の形状のハニカムリブ29を得ることが可能となる。具体的には、炭化珪素繊維の長繊維をハニカム構造体本体21に巻き付けることも可能であり、長繊維を巻き付けながら形状を調節することで、容易にハニカムリブ29を形成することが可能となる。一方、気孔を有するセラミック焼成体を用いると、次のような利点がある。気孔を有するセラミック焼成体は、ブレス成形、後加工など目的の形状を得ることが容易である上に、ハニカム構造体本体21への接合と、気孔の封止を、含浸体の含浸によって同時に行うことができる。含浸は、金属、シリコンなどを気孔を有するセラミック焼成体に接触させ、加熱溶融することで行うことができる。
【0058】
熱交換器10では、含浸体は、後述するろう層51を構成するろう材よりも融点の高い金属又はシリコンであることが望ましい。熱交換器10では、含浸体は、ろう層51を構成するろう材よりも融点の高い金属又はシリコンであるので、ろう付けの際にハニカムリブ29が動くことはなく、圧力を加えながら容易に接合することができる。
【0059】
図1に示すように、ハニカム構造体20の外側を覆う筒状の金属製のケース40は、ハニカム構造体本体21の第1開口251および第2開口261が開口した状態でハニカム構造体本体21を保持するものである。ここでは、一方(図1において左側)の第1開口251および第2開口261を保持する第1ケース41と、他方(図1において右側)の第1開口251および第2開口261を保持する第2ケース42とを有する。なお、第1ケース41と第2ケース42は、同じケースを向きを変えて取り付けることにより共通して用いることができるので、以下の説明においては、第1ケース41について説明する。従って、以下の説明においては、特に第2ケース42について説明する場合を除き、ケース40は主に第1ケース41を示す。
【0060】
ケース40は、矩形断面の筒状を呈しており、一方(図1において左側)の端部43は開口して第1開口251の周囲を覆う。また、他方(図1において右側)の端部44は、開口してハニカム構造体本体21の外壁22の外側を覆う。
ケース40は、図1において上ケース45および下ケース46に二分割されており、上ケース45には、ハニカム構造体本体21の第2開口261に対応する第2開口用開口451が設けられている。第2開口用開口451は矩形状を呈しており、上ケース45の外側面には第2開口用開口451に沿って外縦壁452が設けられている。
【0061】
また、上ケース45および下ケース46の内側面における第2開口用開口451を挟む長手方向両側にストッパ47が内側に突出して設けられている。従って、上ケース45と下ケース46とを接合した状態では、ストッパ47は、ケース40の内面全周にわたって設けられる。ストッパ47の第2開口用開口451と反対側面471は、ハニカム構造体本体21のハニカムリブ29の第2開口側面291に当節可能となっている。
【0062】
ハニカム構造体本体21の外壁22としてのハニカムリブ29の頂面292と、ケース40の内面401との間には隙間Sが形成されており、この隙間Sには金属紐状体48が介装されている。金属紐状体48はステンレス鋼(SUS)製であり、無負荷状態から厚さ方向に圧縮して隙間Sに介装される。
隙間の厚みは0.5mm以上4.5mm以下である。金属紐状体48の無負荷時の厚みは、隙間Sの厚みの105%以上125%以下である。
【0063】
ケース40は、その内面401において、内面401とケース40の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する金属箔49が設けられている。
図2および図3に示すように、金属箔49は取り付けた状態で断面略L字状であり、ケース40の内面401に面接触する第1部材52と、第1部材52に連結され、ハニカムリブ29の端面293に面接触する第2部材53とを有する。金属箔49の厚みは、10μm以上100μm以下であることが望ましい。
【0064】
図4(A)および図4(B)に示すように、金属箔49は、第2部材53の第2開口側面531が、ハニカムリブ29における第2開口261と反対側の端面293に面接触しており、第2開口側面531と端面293とが、ろう付(ろう層51)されている。
また、ろう層51の面積は、ハニカムリブ29の端面293と金属箔49の第2部材53との重複面積の50以下であることが望ましい。
【0065】
前述したように、金属箔49は、第2開口261を挟んで両側に設けられているハニカムリブ29に各々取り付けられる。このため、図4(A)に示すように、ハニカムリブ29を乗り越えて取り付けられる金属箔49は、取付時にはハニカムリブ29の頂面292を通過できるように、第2部材53が第1部材52よりも外側に変位可能となっている。そして、図4(B)に示すように、ハニカムリブ29を通過した後に、第2部材53を内側に折り曲げて、重なり部分55をレーザ溶接する。
【0066】
金属箔49をケース40に取り付ける際には、第1部材52の外側面521をケース40の内面401に当接させ、内側面522に金属製の当て板54を当てて、ケース40の外面からレーザ溶接(溶接痕56)によりケース40に固定する(図5参照)。当て板54はケース40の内面401に沿った矩形状を呈しており(図1参照)、当て板54の厚みは、0.5mm以上1.0mm以下であることが望ましい。
【0067】
金属箔49は、端部の一部である第2部材53が内側に曲げられることにより形成されていることが望ましい。金属箔49の内側に曲げられた第2部材53がハニカムリブ29の端面293とを対向させ、その間にろう層51を介在させ、第2部材53をろう層51に押し付けることにより、金属箔49を溶接等により設けることなく、熱交換器10を作製することができる。また、第2部材53を設けることで、ろう層51と平面でしっかりと接合することできる。
このため、図6に示すように、金属箔49とハニカム構造体本体21の間に生じる熱膨張差によって生じる変位にろう層51が追従するので、ろう層51が応力を緩和するとともに確実にハニカム構造体20を保持することができる。
【0068】
ハニカムリブ29の幅d1は、例えば、1〜10mm程度が望ましく、例えば、7mmとすることができる。ハニカムリブ29の高さh1は、例えば3〜15mm程度が望ましく、例えば3.25mmとすることができる。幅d1が1〜10mm程度であると、ろう付けの際に加える荷重でハニカムリブ29の破断、欠損が生じず、ハニカムリブ29からの流体の漏れを防ぐことができる。そして、ろう付けの際の予備加熱も短くすむため、加工時間を短くできる。また、高さh1が3〜15mm程度であれば、寸法誤差によってハニカム構造体本体21を傷付ける可能性が小さくなり、さらにろう付けの際に加えるカで発生するモーメントカによる破断を抑制することができる。
【0069】
ハニカムリブ29は、セラミック多孔質体とセラミック多孔質体の気孔に含浸させた含浸体とからなり、含浸体はさらにハニカム構造体本体21の外壁22に到達し、ハニカムリブ29とハニカム構造体本体21とを接合している。
セラミック多孔質体を構成するセラミックとしては、上述したハニカム構造体本体21の材料と同じ材料が挙げられる。同じ材料にすることで、材料による熱膨張差を小さくすることができるので、熱ひずみを抑制し、破断や欠損を防ぐことができる。これらの材料の中では、耐熱性、熱伝導性に優れる炭化珪素が好ましい。
【0070】
セラミック多孔質体の具体例としては、例えば、炭化珪素繊維集合体を成形したものや、気孔率が35〜65%の多孔質の炭化珪素焼成体等が挙げられる。
セラミック多孔質体に珪素を溶融含浸させてハニカムリブ29とする。その際、セラミック多孔質体に珪素を溶融含浸させた後、ハニカム構造体本体21の外壁22の周回に、含浸体である珪素を溶融含浸させたセラミック多孔質体を設け、ハニカムリブ29としてもよいが、ハニカム構造体本体21の外壁22の周回にセラミック多孔質体を設け、その後、含浸体である珪素を溶融含浸させてもよい。
【0071】
炭化珪素繊維集合体を成形したものや炭化珪素焼成体に珪素を含浸させてハニカムリブ29としたものを用いる場合、高い耐熱性、耐食性を維持したまま熱伝導性を高めることができ、発生する熱応力を低減することができる。またシリコンは、金属的な性質を持っているので、ろう層51との接合力も強くすることができると考えられる。このため,強い接合力を得られると考えられる。さらに、ろう付けの際にろう材のハニカムリブ29への必要以上の侵入を防ぐことができる。ろう付けで溶融したろう材が必要以上にハニカムリブ29に吸収されにくいので、充分な厚さのろう層51を形成することができ、ハニカムリブ29と金属箔49との間に強い結合力を得ることができる。このため、接合部は、耐熱性、耐蝕性及び高い接合強度を発揮することができると考えられる。
【0072】
含浸体としては、上記した珪素のほか、ろう層51を構成するろう材よりも融点の高い金属であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅等の金属合金等が挙げられる。
【0073】
次に、ハニカムリブ29と金属箔49とろう層51とからなる接合部について説明する。
接合部を構成するろう層51の材料は、特に限定されるものではないが、倒えば、一般的に市販されている金属ろう材や、Ag-Cu-Sn-Ti系等のTi系ろう材、Ag-Cu-In-Ag系のろう材等の活性金属ろう材等が挙げられる。上記金属ろう材のなかでは、特にTi系ろう材が好ましい。
【0074】
Ti系ろう材は、セラミック多孔質体からなるハニカムリブ29の表面を活性化させ、ハニカムリブ29との接合界面にハニカムリブ29の材料特有の反応物が生成されるため、ハニカムリブ29に対する接合能力を有する。例えば、ハニカムリブ29を構成するセラミック多孔質体が窒化物ではTiN、セラミック多孔質体が酸化物ではTiO、セラミック多孔質体が炭化物ではTiCがセラミック多孔質体との接合界面に生成される。このため、セラミック多孔質体からなるハニカムリブ29と金属箔49とを接合する部分に適用することにより、接合強度を高めることができる。
【0075】
このような構成の熱交換器10を作製する際には、金属箔49の内部にハニカム構造体本体21を挿入した後、金属箔49に設けられた第2部材53とハニカム構造体本体21に設けられたハニカムリブ29を所定の距離を隔てて対向させる。その際、ハニカムリブ29と対向する第2部材53、及び、ハニカムリブ29の端面293のうちの少なくとも一方の面にろう材を付着させておく。
【0076】
その後、ろう材を溶融させ、第2部材53で半溶融状態のろう層51を押えるように圧力を加え、冷却することにより接合部を形成することができる。このように第2部材53でろう層51を押える圧力を加えて接合するため、ろう材の流出を防止することができ、ろう材の流出による隙間の発生を防止することができる。また、第2部材53を押し付けるようにして接合することにより、しっかりとハニカムリブ29と第2部材53とをろう層51により接合することができるので、ハニカムリブ29と第2部材53との間に接合不良による隙間等が発生しにくい。その結果、ハニカムリブ29と第2部材53の接合力を充分に高く保つことができ、金属箔49内を流通する流体が接合部から漏れるのを防止することができる。
【0077】
図7および図8には、本実施形態の熱交換器10の寸法の具体例が示してある。なお、寸法は例示であり、この寸法に限定するものではない。
【0078】
次に、本実施形態の熱交換器10の作用、効果について説明する。
本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカム構造体本体21の内側においてハニカム構造体本体21の長手方向に沿って連続する多数のセル24とを有するハニカム構造体20を、筒状のケース40に保持する際に、ハニカム構造体本体21の外壁22とケース40の内面との間に金属繊維を束ねて、あるいは織って紐状に形成された金属紐状体48を圧縮状態で介装した。
このため、熱交換器10が高温ガスに晒された場合に、ハニカム構造体20とケース40との熱膨張係数の違いでケース40が膨張してハニカム構造体20の外面に対して離れるように拡径した場合でも、金属紐状体48を厚み方向に圧縮した状態で介装することにより、金属紐状体48の厚みが増すので、高速の高温ガスに晒された場合でもハニカム構造体20をケース40に確実に保持することができる。
また、金属紐状体48は金属繊維によって形成されているので、無機繊維や有機繊維に比べて繊維が折れる可能性は非常に小さく、金属紐状体48の付近を排ガスが高速で流通したとしても、繊維飛散の恐れがない。
【0079】
本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカム構造体本体21の外壁22外側面には、セル24の連通方向に対して交差する方向に沿って周回するようにハニカムリブ29が設けられており、ハニカムリブ29の頂面292とケース40内面との間の隙間に介装されている。
このため、金属紐状体48が運転時における振動を吸収し、振動によるハニカム構造体20の損傷を回避することができる。
【0080】
本実施形態の熱交換器10によれば、金属紐状体48は、ステンレス鋼によって構成されている。
ステンレス鋼(SUS)は、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、ハニカム構造体20と組み合せることにより、様々な用途で利用することができる。また、ステンレス鋼は、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、ろう付けの際に受ける金属体へのダメージが小さくすみ、信頼性が高い。なお、ステンレス鋼の中でも熱膨張率が小さなSUS430を金属紐状体48に用いるのが望ましい。
【0081】
本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカム構造体20には、多数の第1セル25および第2セル26が交互に配置されている。第1セル25は、ハニカム構造体本体21の長手方向両端部に開口する第1開口251が形成された第1流路252を有しており、ハニカム構造体本体21の長手方向に流体(第1流体)を流す。また、第2セル26は、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部27によって封孔されているとともに、ハニカム構造体本体21の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口261およびセル壁23に設けられた接続孔262により外部に連通する第2流路264が形成されている。従って、一方の第2開口261から流入した流体(第2流体)は、接続孔262、第2セル26、接続孔262を通って、他方の第2開口261からハニカム構造体20の外部に流出する。
これにより、第1流路252を流れる第1流体と、第2流路264を流れる第2流体とが、セル壁23を介して接するので、両流体間において熱交換を行うことができる。また、ハニカムリブ29の端面293と、金属箔49とがろう付されているので、高圧のガス環境下でも、確実にシールすることができる。
【0082】
本実施形態の熱交換器10によれば、金属箔49は、第1部材52と第2部材53とから断面略L字状を呈しており、第1部材52がケース40の内面に面接触するとともにケース40にレーザ溶接により固定され、第2部材53がハニカムリブ29の端面293に面接触する。これにより、ハニカムリブ29が金属箔49を介してケース40に係止されるので、ハニカム構造体20はケース40に保持される。
また、第1部材52は、ケース40の内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板54とに挟まれた状態で、ケース40の外面からレーザ溶接により固定されるので、薄い金属箔49を確実にケース40内面に保持することができる。
【0083】
本実施形態の熱交換器10は、ハニカムリブ29の端面293と、金属箔49との間のろう層51の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0084】
本実施形態の熱交換器10は、金属箔49の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0085】
本実施形態の熱交換器10は、ハニカムリブ29の端面293と、金属箔49との間のろう層51の占有面積は、ハニカムリブ29の端面293と金属箔49との重複面積の50%以下である。
【0086】
本実施形態の熱交換器10は、当て板54の厚みは、0.5mm以上1.0mm以下である。
【0087】
本実施形態の熱交換器10は、ケース40の厚みは、0.5mm以上1.4mm以下である。
【0088】
また、金属紐状体48が介装される隙間Sの厚みは0.5mm以上4.5mm以下であり、金属紐状体48は、無負荷時の厚みが隙間Sの厚みの105%以上125%以下である。
【0089】
また、本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカム構造体20には、多数の第1セル25および第2セル26が交互に配置されている。第1セル25は、ハニカム構造体本体21の長手方向両端部に開口する第1開口251が形成された第1流路252を有しており、ハニカム構造体本体21の長手方向に流体(第1流体)を流す。また、第2セル26は、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿った途中の複数個所が封止部27によって封孔されているとともに、ハニカム構造体本体21の長手方向に対して交差する側面に複数設けられた第2開口261およびセル壁23に設けられた接続孔262により外部に連通する第2流路264が形成されている。従って、一方の第2開口261から流入した流体(第2流体)は、接続孔262、第2セル26、接続孔262を通って、他方の第2開口261からハニカム構造体20の外部に流出する。
これにより、第1流路252を流れる第1流体と、第2流路264を流れる第2流体とが、セル壁23を介して接するので、両流体間において熱交換を行うことができる。
【0090】
ハニカム構造体20には、ハニカム構造体本体21の長手方向に沿って第2開口261を挟む位置において、外壁22の外表面と、ハニカム構造体本体21の長手方向に対して直交する面とが交差する交差線上に沿って周回する断面矩形状のハニカムリブ29が複数設けられている。そして、ハニカムリブ29の端面293と金属箔49とがろう付されているので、高圧のガス環境下でも、確実にシールすることができる。
【0091】
本実施形態の熱交換器10によれば、金属箔49は、第1部材52と第2部材53とから断面略L字状を呈しており、第1部材52がケース40の内面に面接触するとともにケース40にレーザ溶接により固定され、第2部材53がハニカムリブ29の端面293に面接触する。これにより、ハニカムリブ29が金属箔49を介してケース40に係止されるので、ハニカム構造体20はケース40に保持される。
また、第1部材52は、ケース40の内面と反対側を向く面に当接する金属製の当て板54とに挟まれた状態で、ケース40の外面からレーザ溶接により固定されるので、薄い金属箔49を確実にケース40内面に保持することができる。
【0092】
本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカムリブ29の端面293と、前記金属箔49との間のろう層51の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0093】
本実施形態の熱交換器10によれば、金属箔49の厚みは、10μm以上100μm以下である。
【0094】
本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカムリブ29の端面293と、金属箔49との間のろう層51の占有面積は、ハニカムリブ29の端面293と金属箔49との重複面積の50%以下である。
【0095】
本実施形態の熱交換器10によれば、当て板54の厚みは、0.5mm以上1.0mm以下である。
【0096】
本実施形態の熱交換器10によれば、ケース40の厚みは、0.5mm以上1.4mm以下である。
【0097】
本実施形態の熱交換器10によれば、ハニカムリブ29の頂面292および前記ケース40の内面間に介装された金属紐状体48を有する。
このため、熱交換器10が高温ガスに晒された場合に、ハニカム構造体20とケース40との熱膨張係数の違いでケース40が膨張してハニカム構造体20の外面に対して離れるように拡径した場合でも、金属紐状体48を厚み方向に圧縮した状態で介装することにより金属紐状体48の厚みが増すので、高速の高温ガスに晒された場合でも、ハニカム構造体20をケース40に確実に保持することができる。
【0098】
本実施形態の熱交換器10によれば、金属紐状体48は、SUSである。
ステンレス鋼(SUS)は、金属の中でも耐蝕性、耐熱性を備えた素材であるので、ハニカム構造体20と組み合せることにより、様々な用途で利用することができる。また、ステンレス鋼は、金属の中でも、融点が高く、硫化水素や硝酸などの耐薬品性が高いため、ろう付けの際に受ける金属体へのダメージが小さくすみ、信頼性が高い。なお、ステンレス鋼の中でも熱膨張率が小さなSUS430を用いるのが望ましい。
【0099】
本発明の熱交換器は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、図9に示すように、ハニカムリブ29とケース40との間に金属紐状体48を設けないようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 熱交換器
20 ハニカム構造体
21 ハニカム構造体本体(本体)
22 外壁
23 セル壁
25 第1セル
251 第1開口
252 第1流路
26 第2セル
261 第2開口
262 接続孔
264 第2流路
27 封止部
29 ハニカムリブ
293 端面
40 ケース
401 内面
48 金属紐状体
49 金属箔
51 ろう層
52 第1部材
53 第2部材
54 当て板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9