【解決手段】パーソナル空調機1では、吹き出された調和空気を、吹出口11aと対向配置された吸込口21aから吸い込んで回収し、吸込空気搬送ダクト21を介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。また、パーソナル空調機1では、吸込空気搬送ダクト21の水平ダクト212が、床上に設けられる床上ダクト・タイプ、床下に設けられる床下ダクト・タイプ、又は天井90に設けられる天井ダクト・タイプのいずれかに対応することができる。つまり、既存の屋内構造の態様に則して吸込空気搬送ダクト21が適用されるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のようなパーソナル空調装置は、吹き出された空気の吸い込み/リターンについては配慮されていないため、そのパーソナル空調の対象者が居る空調対象空間の空気そのものを吸い込んで温調することになり、空調負荷が大きい。
【0004】
本発明の課題は、吹き出された空気を回収して、空調負荷を低減するパーソナル空調機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係るパーソナル空調機は、隣接する他の空調機によって空調される第1空調対象空間と連接する第2空調対象空間に居る対象者の要求に合わせて空調を行う、パーソナル空調機であって、本体と、吸込空気搬送ダクトとを備えている。本体は、対象者に向けて空調後の空気を吹き出す吹出口が形成されている。吸込空気搬送ダクトは、対象者を挟んで吹出口と水平方向反対側に配置される吸込口が形成され、吸込口から吸い込んだ空気を本体へ戻す。
【0006】
このパーソナル空調機では、吹き出された調和空気を、吹出口と対向配置された吸込口から吸い込んで搬送ダクトを介して回収するので、先に吹き出された調和空気の熱量を再利用することができる。その結果、空調負荷が低減される。
【0007】
本発明の第2観点に係るパーソナル空調機は、第1観点に係るパーソナル空調機であって、吸込空気搬送ダクトが、床上に設けられる床上ダクト、床下に設けられる床下ダクト、又は天井に設けられる天井ダクトのいずれかである。
【0008】
このパーソナル空調機では、既存の屋内構造の態様に則して搬送ダクトを適用させることができるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0009】
本発明の第3観点に係るパーソナル空調機は、第1観点に係るパーソナル空調機であって、吸込口が、床から立ち上がる中空部材の上部、又は天井から垂れ下がる部材のいずれかに形成されている。
【0010】
このパーソナル空調機では、既存の屋内構造の態様に則して吸込口を適用させることができるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0011】
本発明の第4観点に係るパーソナル空調機は、第1観点に係るパーソナル空調機であって、本体が、吹出口の上流側に空調ユニットを有している。空調ユニットは、蒸気圧縮式冷凍サイクルの利用側と熱源側とを搭載した一体型、又は熱源側を屋外配置し利用側のみを空調ユニットに収容した分離型のいずれかが適用されている。
【0012】
このパーソナル空調機では、回収熱量の再利用手段として蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用した空調ユニットを使用することが、コスト及び使い勝手の点から最も合理的である。例えば、製造ラインでは、利用側と熱源側とを搭載した一体型空調ユニットを適用して対象者に空調空気を供給し、熱源側からの排熱は製造ライン全体の空調により処理する。また、オフィスでは、熱源側を屋外配置した分離型を適用すればよい。
【0013】
本発明の第5観点に係るパーソナル空調機は、第1観点に係るパーソナル空調機であって、本体が、吹出口の上流側に空調ユニットを有している。空調ユニットは、屋外から冷却水を導入してその冷却水と本体に戻されてきた空気とを熱交換させる水−空気熱交換器、又は屋外から冷却空気を導入してその冷却空気と本体に戻されてきた空気とを熱交換させる空気−空気熱交換器のいずれかを搭載している。
【0014】
このパーソナル空調機では、冷却用の水又は空気の配管が既設されているような屋内にパーソナル空調機が設置される場合の空調ユニットに有用である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1観点に係るパーソナル空調機では、吹き出された調和空気を、吹出口と対向配置された吸込口から吸い込んで搬送ダクトを介して回収するので、先に吹き出された調和空気の熱量を再利用することができる。その結果、空調負荷が低減される。
【0016】
本発明の第2観点に係るパーソナル空調機では、既存の屋内構造の態様に則して搬送ダクトを適用させることができるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0017】
本発明の第3観点に係るパーソナル空調機では、既存の屋内構造の態様に則して吸込口を適用させることができるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0018】
本発明の第4観点に係るパーソナル空調機は、回収熱量の再利用手段として蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用した空調ユニットを使用することが、コスト及び使い勝手の点から最も合理的である。
【0019】
本発明の第5観点に係るパーソナル空調機では、冷却用の水又は空気の配管が既設されているような屋内にパーソナル空調機が設置される場合の空調ユニットに有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
<第1実施形態>
(1)パーソナル空調機1の全体構成
図1は、本発明の第1実施形態に係るパーソナル空調機1の斜視図である。また、
図2は、
図1におけるパーソナル空調機1の断面図である。
図1及び
図2において、パーソナル空調機1は、屋内空間を空調する空調設備とは別に、所定の空間に居る特定の対象者(以下、「対象者」と言う。)に対して空調空気を供給する。そのために、パーソナル空調機1は、本体11と、吸込空気搬送ダクト21とを備えている。
【0023】
(1−1)本体11
本体11は、内部が空洞の直方体部材である。本体11は、
図2に示すように、内部に空調ユニット3を収容している。
【0024】
空調ユニット3は、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおける利用側と熱源側(図示せず)とが一体的に収容された冷凍装置であり、熱交換器31と送風機33とを搭載している。熱交換器31は、伝熱管と伝熱フィンから成るフィン&チューブタイプである。
【0025】
送風機33の下部には、邪魔板34が配置されている。邪魔板34は、搬送された空気が熱交換器31を通らずに送風機33に吸い込まれることを防止している。
【0026】
なお、空調ユニット3は、上記構成に限定されるもではなく、熱源側を室外配置して冷媒連絡配管によって利用側と接続するタイプであってもよい。
【0027】
もちろん、熱交換器31はフィン&チューブタイプに限定されるものではなく、熱交換器31の内部を流れる熱媒体も冷媒だけに限定されるものではない。例えば、冷却方式を蒸気圧縮式冷凍サイクルに替えて外部から冷却水を導入するタイプにすれば、熱交換器31は、その内部を流通する冷却水と外側を通過する空気との間で熱交換させる空気―水熱交換器となる。この他、熱交換器31は、外部から冷却空気を導入して熱交換器31の外側を通過する空気と熱交換させる空気―空気熱交換器であってもよい。
【0028】
送風機33は、プロペラファンである。なお、送風機33はプロペラファンに限定されるものではなく、他のファンであってもよい。
【0029】
本体11の上部には、吹出口11aが形成されている。吹出口11aからは、熱交換器31内部の熱媒体と熱交換して温度調節された空調空気が吹き出る。
【0030】
さらに、本体11の下部には、吸込空気搬送ダクト21の端部が接続される接続口11bが形成されている。
【0031】
(1−2)吸込空気搬送ダクト21
吸込空気搬送ダクト21は、本体11の吹出口11aから対象者に向かって吹き出された空調空気を吸い込んで、その吸い込み空気を本体11内へ還流させる。吸込空気搬送ダクト21では、鉛直ダクト211と水平ダクト212とを有している。
【0032】
(1−2−1)鉛直ダクト211
鉛直ダクト211は、中空の箱型のダクトである。鉛直ダクト211は、対象者を挟んで本体11と反対側に縦壁のように配置されている。また、鉛直ダクト211の上部には吸込口21aが形成されている。
【0033】
(1−2−2)水平ダクト212
水平ダクト212は、鉛直ダクト211の下端と本体11の接続口11bとを連絡している。水平ダクト212は、床80の上面に沿って配置されている。
【0034】
(2)動作
動作については、夏季における一作業空間WSの作業者Pに対するパーソナル空調を想定して説明する。
【0035】
複数の作業空間WSが隣接する屋内では、屋内全体空調を行いつつも、各作業空間の作業者に対してもパーソナル空調が行われる。本体11内の熱交換器31には、冷媒が流通している(低温の水もしくは他の熱媒体が流通してもよい)。
【0036】
送風機33が稼動することによって熱交換器31内の熱媒体と熱交換した空気が吹出口11aから作業空間WSの作業者Pに対して吹き出され、作業者Pに対して涼風感を生じさせる。
【0037】
本実施形態に係るパーソナル空調機1は、作業者Pの下流側に吸込口21aが配置され、且つその吸込口21aが吹出口11aと水平方向に対向している。それゆえ、空調空気が作業空間WSの空気温度まで上昇するまでに吸込口21aに吸い込まれるので、作業空間WSの温度よりも低い温度の空気が鉛直ダクト211及び水平ダクト212を通って空調ユニット3に到達する。
【0038】
以上のように吹出口11aの対面方向に吸込口21aを設けて、作業者Pに向かって吹き出された空調空気を吸い込み、回収し、水平ダクト212を介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。
【0039】
(3)変形例
(3−1)第1変形例
図3は、第1実施形態の第1変形例に係るパーソナル空調機1の断面図である。
図3において、本体11の接続口11b及び吸込空気搬送ダクト21の水平ダクト212は、床80の下側に配置されている。この配置によって、天井面が低い屋内でもパーソナル空調機1を利用することができる。
【0040】
(3−2)第2変形例
図4は、第1実施形態の第2変形例に係るパーソナル空調機1の断面図である。
図4において、本体11の接続口11b、及び吸込空気搬送ダクト21の水平ダクト212は、天井90に埋め込まれている。
【0041】
また、本体11の接続口11b以外の部分、及び鉛直ダクト211は、天井90から垂れ下がる構成である。この場合、邪魔板34は送風機33の上部に配置される。さらに、鉛直ダクト211の吸込口21aは、本体11の吹出口11aと対面するように位置している。この配置によって、天井面が低い屋内でもパーソナル空調機1を利用することができる。
【0042】
(4)第1実施形態の特徴
(4−1)
パーソナル空調機1では、吹き出された調和空気を、吹出口11aと対向配置された吸込口21aから吸い込んで回収し、吸込空気搬送ダクト21を介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。
【0043】
(4−2)
パーソナル空調機1では、吸込空気搬送ダクト21の水平ダクト212が、床上に設けられる床上ダクト・タイプ、床下に設けられる床下ダクト・タイプ、又は天井90に設けられる天井ダクト・タイプのいずれかに対応することができる。つまり、既存の屋内構造の態様に則して吸込空気搬送ダクト21が適用されるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0044】
(4−3)
パーソナル空調機1では、吸込口21aが、床80から立ち上がる中空部材の鉛直ダクト211の上部、又は天井90から垂れ下がる中空部材の鉛直ダクト211いずれかに形成される。その結果、既存の屋内構造の態様に則して吸込空気搬送ダクト21の吸込口21aが適用されるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0045】
<第2実施形態>
(1)パーソナル空調機101の全体構成
図5は、本発明の第2実施形態に係るパーソナル空調機101の斜視図である。また、
図6は、
図5におけるパーソナル空調機101の断面図である。
図5及び
図6において、パーソナル空調機101は、
図1及び
図2に記載の第1実施形態と同じ機能を有するものであるが、吸込空気搬送ダクト51のみが第1実施形態の吸込空気搬送ダクト21と異なる。したがって、ここでは吸込空気搬送ダクト51を説明し、他の部分の説明は省略する。
【0046】
(2)吸込空気搬送ダクト51
吸込空気搬送ダクト51は、本体11の吹出口11aから対象者に向かって吹き出された空調空気を吸い込んで、その吸い込み空気を本体11内へ還流させる。吸込空気搬送ダクト51では、鉛直ダクト511と水平ダクト512とを有している。
【0047】
(2−1)鉛直ダクト511
鉛直ダクト511は中空のポール状のダクトである。2つの鉛直ダクト511が、対象者を挟んで本体11と反対側に配置されている。また、鉛直ダクト511の上部には吸込口51aが形成されている。
【0048】
鉛直ダクト511は中空のポール状のダクトであるので、作業者の後方に配置しても第1実施形態のような縦壁タイプの鉛直ダクト211と比べて、圧迫感がなく、且つ見栄えもよい。
【0049】
(2−2)水平ダクト512
水平ダクト512は、鉛直ダクト511の下端と本体11の接続口11bとを連絡している。水平ダクト512は、床80の上面に沿って配置されている。
【0050】
(3)動作
送風機33が稼動することによって熱交換器31内の熱媒体と熱交換した空気が吹出口11aから作業空間WSの作業者Pに対して吹き出され、作業者Pに対して涼風感を生じさせる。
【0051】
本実施形態に係るパーソナル空調機101は、作業者Pの下流側に吸込口51aが配置さ、且つその吸込口51aが吹出口11aと水平方向に対向している。それゆえ、空調空気が作業空間WSの空気温度まで上昇するまでに吸込口51aに吸い込まれるので、作業空間WSの温度よりも低い温度の空気が鉛直ダクト511及び水平ダクト512を通って空調ユニット3に到達する。
【0052】
以上のように吹出口11aの対面方向に吸込口51aを設けて、作業者Pに向かって吹き出された空調空気を吸い込み、回収し、水平ダクト512と介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。
【0053】
(4)変形例
(4−1)第1変形例
図7は、第2実施形態の第1変形例に係るパーソナル空調機101の断面図である。
図7において、本体11の接続口11b及び吸込空気搬送ダクト51の水平ダクト512は、床80の下側に配置されている。この配置によって、天井面が低い屋内でもパーソナル空調機101を利用することができる。
【0054】
(4−2)第2変形例
図8は、第2実施形態の第2変形例に係るパーソナル空調機101の断面図である。
図4において、本体11の接続口11b、及び吸込空気搬送ダクト51の水平ダクト512は、天井90に埋め込まれている。
【0055】
また、本体11の接続口11b以外の部分、及び鉛直ダクト511は、天井90から垂れ下がる構成である。この場合、邪魔板34は送風機33の上部に配置される。さらに、鉛直ダクト511の吸込口51aは、本体11の吹出口11aと対面するように位置している。この配置によって、天井面が低い屋内でもパーソナル空調機101を利用することができる。
【0056】
(5)第2実施形態の特徴
(5−1)
パーソナル空調機101では、吹き出された調和空気を、吹出口11aと対向配置された吸込口51aから吸い込んで回収し、吸込空気搬送ダクト51を介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。
【0057】
(5−2)
パーソナル空調機101では、吸込空気搬送ダクト51の水平ダクト512が、床上に設けられる床上ダクト・タイプ、床下に設けられる床下ダクト・タイプ、又は天井90に設けられる天井ダクト・タイプのいずれかに対応することができる。つまり、既存の屋内構造の態様に則して吸込空気搬送ダクト51が適用されるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0058】
(5−3)
パーソナル空調機101は、吸込口51aが、床80から立ち上がる中空部材の鉛直ダクト511の上部、又は天井90から垂れ下がる中空部材の鉛直ダクト511いずれかに形成される。その結果、既存の屋内構造の態様に則して吸込空気搬送ダクト51の吸込口51aが適用されるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0059】
(5−4)
鉛直ダクト511は中空のポール状のダクトであるので、作業者の後方に配置しても圧迫感がなく、且つ見栄えもよい。
【0060】
<第3実施形態>
(1)パーソナル空調機201の全体構成
図9は、本発明の第3実施形態に係るパーソナル空調機201の斜視図である。また、
図10は、
図9におけるパーソナル空調機201の断面図である。
図9及び
図10において、パーソナル空調機201は、
図1及び
図2に記載の第1実施形態と同じ機能を有するものであるが、吸込空気搬送ダクト61のみが第1実施形態の吸込空気搬送ダクト21と異なる。したがって、ここでは吸込空気搬送ダクト61を説明し、他の部分の説明は省略する。
【0061】
(2)吸込空気搬送ダクト61
吸込空気搬送ダクト61は、本体11の吹出口11aから対象者に向かって吹き出された空調空気を側面と床面とから吸い込んで、その吸い込み空気を本体11内へ還流させる。吸込空気搬送ダクト61では、鉛直ダクト611と水平ダクト612とを有している。
【0062】
(2−1)鉛直ダクト611
鉛直ダクト611は、本体11をその両端から挟むように立つ縦壁状のダクトである。2つの鉛直ダクト611は、対向面それぞれに第1吸込口61aを有している。鉛直ダクト611の内部は空洞であり、第1吸込口61aから吸い込んだ空気を本体11内の空調ユニット3へ導く。吸い込んだ空気は、空調ユニット3の側面に到達するので、送風機33の側面には、図示しない側面邪魔板が配置されている。これは、邪魔板34と同様に、搬送された空気が熱交換器31を通らずに送風機33に吸い込まれることを防止するためである。
【0063】
鉛直ダクト611は、作業空間WSの両側に隣接する作業空間へ空調空気が拡散することを防止することができる。
【0064】
(2−2)水平ダクト612
水平ダクト612は、鉛直ダクト611を支える台としての機能と、鉛直ダクト611の上面に設けられた第2吸込口61bから空気を吸い込んで本体11の接続口11bへ導く機能とを有している。水平ダクト612は、床80の上面に沿って配置されている。
【0065】
(3)動作
送風機33が稼動することによって熱交換器31内の熱媒体と熱交換した空気が吹出口11aから作業空間WSの作業者Pに対して吹き出され、作業者Pに対して涼風感を生じさせる。
【0066】
本実施形態に係るパーソナル空調機201では、鉛直ダクト611のうち作業者Pの下流側に相当する位置に第1吸込口61aが配置され、且つその第1吸込口61aと吹出口11aとはほぼ同じ高さに位置している。それゆえ、吹出口11aから吹き出された空調空気が作業空間WSの空気温度まで上昇するまでに第1吸込口61aに吸い込まれる。
【0067】
また、水平ダクト612の上面で作業者Pよりも後方(本体11とは反対側)に第2吸込口61bが設けられており、吹出口11aから吹き出された空調空気のうち第1吸込口61aに吸い込まれなかった空調空気を吸い込む。つまり、作業空間WSの温度よりも低い温度の空気が鉛直ダクト611及び水平ダクト612を通って空調ユニット3に到達する。
【0068】
以上のように、作業者Pを挟んで吹出口11aと反対側に第1吸込口61a及び第2吸込口61bを設けて、作業者Pに向かって吹き出された空調空気を吸い込み、回収し、鉛直ダクト611及び水平ダクト612を介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。
【0069】
(4)変形例
(4−1)第1変形例
図11は、第3実施形態の第1変形例に係るパーソナル空調機201の断面図である。
図11において、本体11の接続口11b及び吸込空気搬送ダクト61の水平ダクト612は、床80の下側に配置されている。この配置によって、天井面が低い屋内でもパーソナル空調機201を利用することができる。
【0070】
(4−2)第2変形例
図12は、第3実施形態の第2変形例に係るパーソナル空調機201の断面図である。
図12において、本体11の接続口11b、及び吸込空気搬送ダクト61の水平ダクト612は、天井90に埋め込まれている。
【0071】
また、本体11の接続口11b以外の部分、及び鉛直ダクト611は、天井90から垂れ下がる構成である。邪魔板34は送風機33の上部に配置される。さらに、鉛直ダクト611の第1吸込口61aは、本体11の吹出口11aと略同じ高さ位置で作業者Pの後方に位置している。この配置によって、天井面が低い屋内でもパーソナル空調機201を利用することができる。
【0072】
なお、第2変形例においては、冷房時には水平ダクト612の第2吸込口61bを閉じる構成にしてもよい。なぜなら、吹出口11aから作業者Pに向かって吹き出された空調空気が、作業空間WSの雰囲気温度まで上昇する前に吸い込まれて空調ユニット3に戻されることが狙いであるので、あえて天井際の暖かい空気を吸い込む必要はないからである。
【0073】
(5)第3実施形態の特徴
(5−1)
パーソナル空調機201では、吹出口11aから吹き出された調和空気を、作業者Pを挟んで吹出口11aと反対側に配置された第1吸込口61a及び第2吸込口61bから吸い込んで回収し、吸込空気搬送ダクト61を介して空調ユニット3に戻すことによって、空調負荷を低減することができる。
【0074】
(5−2)
パーソナル空調機201では、吸込空気搬送ダクト61の水平ダクト612が、床上に設けられる床上ダクト・タイプ、床下に設けられる床下ダクト・タイプ、又は天井90に設けられる天井ダクト・タイプのいずれかに対応することができる。つまり、既存の屋内構造の態様に則して吸込空気搬送ダクト61が適用されるので、利用者にとって使い勝手がよい。
【0075】
(5−3)
鉛直ダクト611は、作業空間WSの両側に隣接する作業空間へ空調空気が拡散することを防止することができる。
【0076】
<全実施形態に共通の特徴>
(1)
パーソナル空調機1,101,201では、空調ユニット3は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの利用側と熱源側とを搭載した一体型、又は熱源側を屋外配置し利用側のみを空調ユニット3に収容した分離型のいずれかが適用され得る。例えば、製造ラインでは、利用側と熱源側とを搭載した一体型空調ユニットを適用して対象者に空調空気を供給し、熱源側からの排熱は製造ライン全体の空調により処理すればよい。また、オフィスでは、熱源側を屋外配置した分離型を適用すればよい。
【0077】
(2)
このパーソナル空調機1,101,201では、冷却用の水又は空気の配管が既設されているような屋内にパーソナル空調機が設置される場合には、空調ユニット3の熱交換器31として、屋外から冷却水を導入してその冷却水と本体に戻されてきた空気とを熱交換させる水−空気熱交換器、又は屋外から冷却空気を導入してその冷却空気と本体に戻されてきた空気とを熱交換させる空気−空気熱交換器のいずれかが適用され得るので、使い勝手がよく有用である。