特開2016-223778(P2016-223778A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2016223778-支持装置、研磨装置、及び観察装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223778(P2016-223778A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】支持装置、研磨装置、及び観察装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20161205BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20161205BHJP
   B24B 27/00 20060101ALI20161205BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   G01N21/952
   G02B21/00
   B24B27/00 P
   G01N21/84 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-107031(P2015-107031)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】近藤 学
【テーマコード(参考)】
2G051
2H052
3C158
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AB03
2G051CA04
2G051CA11
2G051CB01
2G051CB05
2G051CD03
2H052AA14
2H052AD06
2H052AD10
2H052AF02
2H052AF14
3C158AA02
3C158AA11
3C158AA14
3C158AB04
3C158BA01
3C158CA02
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB07
(57)【要約】
【課題】精密な研磨が可能な研磨装置、及び十分な精度での観察が可能な観察装置、及びその支持装置を提供する。
【解決手段】支持装置は、点検対象となる円筒面に固定される本体部と、前記本体部に設けられ、前記円筒面を点検する工具を着脱可能に支持する支持部と、該支持部を前記本体部に対して前記円筒面の周方向に相対移動可能とする第1移動部と、前記支持部を前記本体部に対して前記円筒面の径方向に相対移動可能とする第2移動部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点検対象となる円筒面に固定される本体部と、
前記本体部に設けられ、前記円筒面を点検する工具を着脱可能に支持する支持部と、
該支持部を前記本体部に対して前記円筒面の周方向に相対移動可能とする第1移動部と、
前記支持部を前記本体部に対して前記円筒面の径方向に相対移動可能とする第2移動部と、
を備える支持装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記円筒面の形状に対応して変形可能な材料で形成された請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記支持部を、前記本体部に対して、前記円筒面の径方向に直交するとともに、該円筒面の周方向に直交する方向に相対移動可能とする第3移動部を備える請求項1又は2に記載の支持装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の支持装置と、
前記支持部によって支持可能とされ、前記円筒面を研磨する前記工具としての研磨部と、
を備える研磨装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の支持装置と、
前記支持部によって支持可能とされ、前記円筒面の状態を観察可能な前記工具としての観察装置本体と、
を備える観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置、研磨装置、及び観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば火力発電プラントのような発電設備や、船舶等の大型輸送機械は、ボイラによって生成された水蒸気のエネルギーを外部に取り出して利用している。ボイラには、水の供給や水蒸気の排出を行う各種の配管が接続されている。これら配管のうち、加熱器管や、再熱器管には、特に高温高圧の流体が流通する。このため、他の配管に比べて、熱や圧力による組成変化や、割れ等が発生する可能性が懸念される。このような配管材料の組成変化、割れの発生を予見、予防するためには、配管の表面の状態を微視的に観察することが肝要とされる。
【0003】
配管表面の状態を観察するための技術として、具体的には下記特許文献1に記載された装置が知られている。この装置は、配管表面の対象部位に光源としてのレーザ光が照射された状態で、該対象部位を光学式顕微鏡で観察することを特徴としている。このとき、対象部位には、酸化スケール等を除去するために予め研磨が施される。
特に、検査精度を維持しつつ、配管の局所的な薄肉化を回避するためには、配管の形状に合わせて均一な研磨を施すことが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−73709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように配管形状に合わせた精密な研磨を手作業によって実現するためには、比較的高い熟練度が要求される。このため、研磨された領域の特性に、作業者ごとのバラつきが生じる可能性がある。さらに、このバラつきに起因して、後続の観察結果の精度にも影響が及ぶ可能性が懸念される。すなわち、上記特許文献1に記載された技術には改良の余地がある。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、より精密な研磨が可能な研磨装置、及び十分な精度での観察が可能な観察装置、及びその支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明の一の態様によれば、支持装置は、点検対象となる円筒面に固定される本体部と、前記本体部に設けられ、前記円筒面を点検する工具を着脱可能に支持する支持部と、該支持部を前記本体部に対して前記円筒面の周方向に相対移動可能とする第1移動部と、前記支持部を前記本体部に対して前記円筒面の径方向に相対移動可能とする第2移動部と、を備える。
【0008】
上述のような構成によれば、支持部が第1移動部によって円筒面の周方向に相対移動することで、円筒面の周方向における形状に沿って、工具による点検を行うことができる。
【0009】
本発明の一の態様によれば、前記本体部は、前記円筒面の形状に対応して変形可能な材料で形成されてもよい。
【0010】
上述のような構成によれば、本体部が変形することで円筒面の形状に追従することから、異なる曲率を有する複数種類の円筒面に対しても支持構造を適用することができる。
【0011】
本発明の一の態様によれば、前記支持部を、前記本体部に対して、前記円筒面の径方向に直交するとともに、該円筒面の周方向に直交する方向に相対移動可能とする第3移動部を備えてもよい。
【0012】
上述のような構成によれば、第3移動部によって支持部を移動させることで、円筒面の径方向、及び周方向に直交する方向にも研磨を施すことができる。すなわち、研磨部によってさらに広い範囲を研磨することができる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、研磨装置は、上記いずれか一の態様に係る支持装置と、
前記支持部によって支持可能とされ、前記円筒面を研磨する前記工具としての研磨部と、を備える。
【0014】
上述のような構成によれば、支持部が第1移動部によって円筒面の周方向に相対移動することで、円筒面の周方向における形状に沿って、研磨部による円筒面の研磨を行うことができる。
【0015】
本発明のさらに他の態様によれば、観察装置は、上記いずれか一の態様に係る支持装置と、前記支持部によって支持可能とされ、前記円筒面の状態を観察可能な前記工具としての観察装置本体と、を備える。
【0016】
上述のような構成によれば、第1移動部によって顕微鏡を円筒面の周方向に移動させることで、該円筒面の特性を容易に観察することができる。さらに、顕微鏡と円筒面との相対距離が維持されるため、顕微鏡のピントを都度調整することなく、円筒面の観察を継続することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の支持装置、研磨装置、及び観察装置によれば、より精密な研磨と、十分な精度での観察を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る支持構造の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る研磨装置の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る観察装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る支持装置1、及び該支持装置1によって支持可能な観察装置本体21を備える観察装置2の全体図である。同図に示すように、本実施形態に係る支持装置1は、軸線Oを中心とする円筒状の配管100の外周面(円筒面101)上で工具等を支持するために用いられる。本実施形態における配管100は、上記の軸線O方向から見て略円形の断面を有するとともに、延在領域全体にかけて直管状をなしているものとする。
【0020】
支持装置1は、円筒面101に固定される本体部11と、この本体部11に設けられるとともに、工具を着脱可能に支持する支持部12と、支持部12を本体部11に対して相対移動可能とする第1移動部13、第2移動部14、及び第3移動部15と、を備えている。
【0021】
本体部11は、上記配管100の円筒面101の形状に沿って延びる厚肉板状の部材である。配管100に取り付けられた状態において、本体部11の厚さ方向両面のうち、配管100の径方向内側の面は、円筒面101の曲率とおおむね同等の曲率をもって一方向に湾曲することで、軸線O方向から見て円弧状の断面を有する取付面11Aとされている。一方で、本体部11の厚さ方向両面のうち、配管100の径方向外側の面は、取付面11Aと対応する湾曲形状を有する支持面11Bとされている。
【0022】
さらに、この本体部11は、図1に示す固定バンド90によって配管100に取り付けられている。固定バンド90の具体的な態様としては、例えばゴムに代表される弾性変形可能な材料で形成された帯状の部材が考えられる。すなわち、この固定バンド90を配管100の外周側から掛け回した後、その両端部を本体部11上の係止部91に係止することで、本体部11は配管100に対して移動不能に固定される。
【0023】
本体部11の支持面11B上には、該支持面11Bから径方向外側に向かって突出する第1レール部111が形成されている。この第1レール部111は、上記配管100の軸線O方向に延びることで、後述する支持部12の一部と係合する。
【0024】
支持部12は、上記本体部11の第1レール部111によって摺動可能に支持されるスライダ部121と、このスライダ部121に設けられた第2レール部122と、第2レール部122によって摺動可能に支持される調整部16と、調整部16によって相対移動可能に支持される支持部本体17と、を有している。
【0025】
スライダ部121には、略板状に形成されるとともに、その一方側の面には上記第1レール部111の突出形状と対応する凹状の第1摺動溝123が形成されている。すなわち、軸線O方向から見て、スライダ部121は略C字状をなしている。第1摺動溝123が上記第1レール部111に対して係合することで、支持部12は本体部11に対して軸線O方向両側に相対移動可能とされている。これら第1レール部111、及び第1摺動溝123は、第3移動部15とされている。
【0026】
さらに、スライダ部121における配管100の径方向外側の面には、該スライダ部121の周方向に延びるとともに、径方向外側に向かって突出する第2レール部122が形成されている。第2レール部122は、後述する調整部16における径方向内側の端面に設けられた第2摺動溝161と係合する。これら第2レール部122、及び第2摺動溝161は、第1移動部13とされている。
【0027】
調整部16は、本体部11から径方向外側に向かって延びるとともに、支持部本体17を径方向に進退動可能に支持する。詳細には図示しないが、調整部16の内部には、配管100の径方向に延びる送りねじが配置されている。この送りねじにおける径方向外側の端部には調整ノブ162が取り付けられている。すなわち、この調整ノブ162の回転に伴って、送りねじは自身の中心軸回りに回転する。
【0028】
さらに、後述する支持部本体17には、上記送りねじのねじ溝に対応する他のねじ溝が形成されている。これにより、送りねじの回転に伴って支持部本体17は配管100(円筒面101)に対して該配管100の径方向に相対移動することが可能とされている。この調整部16は第2移動部14とされている。
【0029】
支持部本体17は、上記送りねじ部のねじ溝に噛み合うねじ溝が形成された移動コマ163と、この移動コマ163に支持された支持リング164と、を有している。支持リング164は、本体部11から見て配管100の軸線O方向に変位した位置で各種の工具を支持する。さらに、支持リング164は、配管100の径方向に対して傾斜した姿勢で支持されている。言い換えると、支持リング164がなす面は、上記調整部16の延びる方向に対して傾斜している。
【0030】
この支持リング164によって支持される工具としては、配管100の表面を研磨するリュータ(登録商標)等の研磨工具(後述)や、配管100の表面の状態を拡大して観察可能な顕微鏡80等の観察装置本体21などが適用される。以下の説明では、支持構造に観察装置本体21を取り付けた構成を観察装置2と呼び、研磨部31を取り付けた構成を研磨装置3と呼ぶ。
【0031】
図1の例では、観察装置本体21としての顕微鏡80を支持構造に装着した観察装置2を示している。同図に示すように、この顕微鏡80は、レンズ等の光学素子を収容する鏡筒部81と、鏡筒部81の延在中途に設けられたアーム部82と、を有している。このアーム部82が、上記の支持リング164に挿通されることで、顕微鏡80は支持構造によって支持される。
【0032】
より詳細にはアーム部82は、上記支持リング164の内径側に挿通される柱状の第1アーム部83と、第1アーム部83に対してヒンジ部85を介して揺動可能に接続される第2アーム部84と、を有している。
【0033】
支持構造が配管100に取り付けられた状態において、第1アーム部83は、配管100の軸線O方向と径方向とによって規定される面に沿って延びる。さらに、第1アーム部83は、支持リング164によって外周側から保持されることで、配管100の径方向に対して傾斜した状態となる。より具体的には、第1アーム部83は、移動部から軸線O方向一方側に向かうに従って、径方向外側から内側に向かうにように傾斜している。
【0034】
第1アーム部83の両端部のうち、配管100に臨む側の端部にはヒンジ部85が設けられている。このヒンジ部85を挟んで第1アーム部83と反対側には、第2アーム部84が接続されている。すなわち、第2アーム部84は、ヒンジ部85を中心として、第1アーム部83が延びる面に沿って回動可能とされる。この第2アーム部84は、顕微鏡80における上記鏡筒部81に接続されている。
【0035】
第2アーム部84と鏡筒部81との接続は、一例として図1に示すリング状の保持部86を用いる構成が考えられる。保持部86は略円環状をなすことで、その径方向内側で鏡筒部81を外周側から保持する。さらに、保持部86は第2アーム部84に対しておおむね直交する面上で円環状をなしている。すなわち、第2アーム部84が配管100の径方向に延びる状態にあるとき、保持部86は配管100の径方向から見て該配管100の軸線Oとおおむね平行をなしている。
【0036】
なお、本実施形態では、保持部86の周方向における一部の領域は径方向に開口している。この開口の寸法(保持部86の周方向における寸法)は、保持部調整ねじ87によって適宜調整可能とされている。保持部調整ねじ87を調整することで、保持部86の内径寸法が変化する。これにより、外径寸法の異なる複数種類の装置を安定的に保持することができる。
【0037】
次に、以上の支持構造を用いた研磨装置3について、図2を参照して説明する。同図は研磨装置3の構成と動作を示す模式図である。研磨装置3は上述の支持構造と、この支持構造によって配管100の円筒面101上で支持される研磨部31と、を備えている。研磨部31は、上述の支持構造の説明における工具の一態様として用いられる。
【0038】
本実施形態では、研磨部31としてリュータ(登録商標)を用いる。具体的には、このリュータは、上記支持構造における保持部86によって外周側から保持される研磨部本体32と、この研磨部本体32の一方側の端部でリュータ(登録商標)の中心軸回りに回転可能な砥石部33と、を有している。
【0039】
研磨部本体32は円柱状の外形を呈するとともに、その内部に砥石部33と一体に接続された回転軸を回転駆動する駆動部を内蔵している。駆動部としては、外部から供給された電力によって動作する電動モータや、同じく外部から供給された圧搾空気によって動作するエアモータ等が適宜選択される。
【0040】
砥石部33は、炭化ケイ素やアルミナ質等を主成分とする材料で形成された研磨用具である。本実施形態では、この砥石部33はおおむね円柱状をなしている。上記の駆動部によって回転駆動された状態で砥石部33を対象物の表面に当接させることで、該表面を連続的に研磨することができる。本実施形態では、支持構造によって支持された研磨部31によって、配管100の円筒面101上が研磨される。
【0041】
研磨装置3による研磨対象の領域としては、先行する目視点検等で、顕著な割れ等が確認され、さらなる精緻な点検・観察が必要とされた円筒面101上の領域が適宜選択される。特に、配管100が金属材料で形成されている場合、円筒面101上では経年変化による酸化スケール等の被膜形成が想定される。本実施形態における研磨装置3は、円筒面101の状態を観察するに先立って、このような被膜を除去するために用いられる。
【0042】
研磨装置3によって円筒面101を研磨するに当たっては、一例として以下の各手順が実施される。
まず、支持構造における本体部11を、円筒面101における点検対象(研磨対象)の領域に沿って配置し、固定バンド90によって固定する。
【0043】
次に、上記の支持構造の各部(第1移動部13,第2移動部14,第3移動部15)をそれぞれ調整することで、研磨部31の砥石部33を円筒面101に当接させる。具体的には、第1移動部13,又は第3移動部15によって支持部12、及び研磨部31を配管100の周方向、及び軸線O方向にそれぞれ相対移動させるとともに、第2移動部14としての調整部16によって支持部12、及び研磨部31を配管100の径方向に相対移動させる。なお、このとき、支持部12は、本体部11の周方向における一方側に位置していることが望ましい。
【0044】
以上のように砥石部33が円筒面101に当接した状態で、駆動部によって該砥石部33を回転駆動させる。砥石部33の回転駆動に伴って、円筒面101はその径方向内側に向かって研磨される。
【0045】
さらに、上記の状態から、調整ノブ162をさらに回転させることで、支持部本体17をさらに径方向内側に変位させる。このときの調整ノブ162の回転量は、予め定められた円筒面101の研磨深さに応じて決定される。支持部本体17を径方向内側に移動することで、上記研磨深さの分だけ円筒面101上の一部が研磨(切削)される。なお、ここで言う研磨深さとは、配管100の円筒面101を基準として、研磨された領域の底面(配管100の径方向内側の面)までの寸法を指す。
【0046】
続いて、支持部12を第1移動部13としての第1レール部111に沿って移動させることで、円筒面101の周方向に研磨が施される。すなわち、円筒面101上には本体部11の延在寸法とおおむね同等の寸法だけ周方向に延びる溝状の研磨痕が形成される。
【0047】
さらに、上記の第3移動部15によって支持部12を配管100の軸線O方向に相対移動させた後、上記と同様に、円筒面101の周方向に研磨を施す。この手順を複数回繰り返すことにより、円筒面101上には、上記した溝状の研磨痕が互いに隣接した状態で複数形成される。すなわち、円筒面101の径方向から見て、略矩形の研磨領域が形成される。研磨領域では、上記した酸化スケール等の被膜が除去されて、配管100を構成する金属材料等が外部に露出した状態となる。これにより、該研磨領域では、配管100の材料の状態を詳細に観察することができる。なお、この研磨領域の寸法は点検を行う際の各種要請に応じて適宜決定されてよい。
【0048】
続いて、上記の研磨領域(研磨痕)の状態を観察する手順の一例について、図3を参照して説明する。まず、上記の研磨部31による研磨が完了した後、研磨部31を支持構造から取り外し、観察装置本体21としての顕微鏡80を装着する。
【0049】
顕微鏡80を支持構造に取り付けられるに当たっては、顕微鏡80の光軸が配管100の円筒面101に対しておおむね直交する状態となる。続いて、顕微鏡80のピントや倍率を適宜調整した後、研磨痕の状態を観察、記録する。なお、詳細な説明は省略するが、研磨痕の状態を記録する場合、顕微鏡80にカメラ等の撮像機器を別途取り付けることが望ましい。以上により、本実施形態に係る支持構造、及びこれを備える研磨装置3、観察装置2を用いた配管100の点検が完了する。
【0050】
上述のような構成によれば、支持部12が第1移動部13によって円筒面101の周方向に相対移動することで、円筒面101の周方向における形状に沿って、研磨と観察を行うことができる。特に、配管100の形状に合わせて均一な研磨が施されることから、配管100の局所的な薄肉化を回避することができる。これにより、点検を行ったことによる配管100の性能劣化を抑えることができる。
【0051】
ここで、支持部12が円筒面101の接線方向にのみ移動可能な構成を採った場合、第1移動部13による支持部12の移動に伴って、第2移動部14(調整部16)による径方向への移動も必要となる。これにより、作業手順が煩雑化するとともに、研磨、又は観察の位置精度が劣化する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、第1移動部13によって円筒面101の周方向に沿って支持部12を相対移動させることができるため、このような可能性を低減し、簡便かつ高精度な研磨、観察を行うことができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、支持部12を本体部11に対して、配管100の軸線O方向に相対移動可能とする第3移動部15が設けられている。
【0053】
このような構成によれば、第3移動部15によって支持部12を移動させることで、円筒面101の径方向、及び周方向に直交する方向にも研磨を施すことができる。すなわち、研磨部31によってさらに広い範囲を研磨することができる。
【0054】
さらに、上述のような構成によれば、支持部12が第1移動部13によって円筒面101の周方向に相対移動することで、円筒面101の周方向における形状に沿って、研磨部31による円筒面101の研磨を行うことができる。
【0055】
加えて、本実施形態における観察装置2によれば、第1移動部13によって顕微鏡80を円筒面101の周方向に移動させることで、該円筒面101の状態を容易に観察することができる。特に、研磨部31の取外しと、顕微鏡80の取り付けにかけて、顕微鏡80と円筒面101との相対距離が維持されるため、顕微鏡80のピントを都度調整することなく、円筒面101の観察を継続することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明した。上記の説明はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて各部の構成に変更を加えることが可能である。
例えば、上記の支持構造における本体部11は、円筒面101の形状に対応して変形可能な材料で形成されてもよい。より具体的には、本体部11をゴム等の弾性変形可能な材料、又は塑性変形可能な他の材料で形成する例が考えられる。
【0057】
このような構成によれば、本体部11が変形することで円筒面101の形状に追従することから、異なる曲率を有する複数種類の円筒面101に対しても支持構造を適用することができる。すなわち、支持構造、研磨装置3、及び観察装置2の汎用性をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…支持装置 2…観察装置 3…研磨装置 11…本体部 11A…取付面 11B…支持面 12…支持部 13…第1移動部 14…第2移動部 15…第3移動部 16…調整部 17…支持部本体 21…観察装置本体 31…研磨部 32…研磨部本体 33…砥石部 80…顕微鏡 81…鏡筒部 82…アーム部 83…第1アーム部 84…第2アーム部 85…ヒンジ部 86…保持部 87…保持部調整ねじ 90…固定バンド 91…係止部 100…配管 101…円筒面 111…第1レール部 121…スライダ部 122…第2レール部 123…第1摺動溝 161…第2摺動溝 162…調整ノブ 163…移動コマ 164…支持リング O…軸線
図1
図2
図3