特開2016-223820(P2016-223820A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223820(P2016-223820A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】計器装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/24 20060101AFI20161205BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   G01D11/24 A
   B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-108088(P2015-108088)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰史
(72)【発明者】
【氏名】内池 俊一郎
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AB01
3D344AC07
3D344AD01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】樹脂筐体の変形を極力抑制することができ、外観品質の低下を招く虞のない計器装置を提供する。
【解決手段】情報表示体30と、この情報表示体30の視認者側に配置される樹脂筐体としての見返し部材と、情報表示体30の視認者側とは反対側に配置されるケース部材とを備え、見返し部材は、複数の部分21から構成されているとともに、情報表示体30は、複数の部分21(第1の筐体部22と第2の筐体部23)が所定の連結手段によって繋がることで複数の部分21の内側に形成される開口領域25を臨むように構成されているものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示体と、
前記情報表示体の視認者側に配置される樹脂筐体とを備え、
前記樹脂筐体は、複数の部分から構成されているとともに、
前記情報表示体は、前記複数の部分が所定の連結手段によって繋がることで前記複数の部分の内側に形成される開口領域を臨むように構成されていることを特徴とする計器装置。
【請求項2】
前記樹脂筐体は、第1の開口部を有する第1の筐体部と、前記第1の開口部に連なる第2の開口部を有する第2の筐体部とを備え、
前記第1の筐体部は、前記第1の開口部を挟んで向かい合う一対の第1、第2の梁部と、前記第1の梁部の一端側と前記第2の梁部の一端側とを連結する第1の連結部とを有し、
前記第2の筐体部は、前記第2の開口部を挟んで向かい合う一対の第3、第4の梁部と、前記第3の梁部の一端側と前記第4の梁部の一端側とを連結する第2の連結部とを有し、
前記第1〜第4の梁部と前記第1、第2の連結部とによって囲まれる前記第1、第2の開口部を前記開口領域としたことを特徴とする請求項1記載の計器装置。
【請求項3】
前記情報表示体の前記視認者側とは反対側に配置されるケース部材と、
前記ケース部材の前記視認者側とは反対側に配置されるカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、複数のカバー部によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の計器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載された計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の計器装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の計器装置は、例えば計器用指針と当該計器用指針によって指示される目盛等の指標部を有する計器用文字板とで構成されるアナログ式計器(情報表示体)と、このアナログ式計器の前方側(視認者側)に配置される樹脂筐体としての見返し部材と、アナログ式計器の背後側(視認者側とは反対側)に配置されるケース部材をから主に構成されている。
【0003】
例えば計器用文字板の形状が長方形形状(矩形状)であれば、この矩形状の計器用文字板上に配置される樹脂製の見返し部材を、計器用指針や指標部を露出するための露出孔と、当該露出孔を取り巻くように設けられる無端状の単一の枠部(見返し板)とで構成するのが一般的であると言える。つまり、この場合、視認者側から計器装置を正視した際の計器装置の上方を上側、下方を下側、左方を左側、右方を右側とした場合、無端状の単一の枠部(見返し板)は、計器装置の上側に位置する上側枠部と、計器装置の下側に位置する下側枠部と、計器装置の左側に位置する左側枠部と、計器装置の右側に位置する右側枠部とが一体形成された構成となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11ー183205号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の計器装置において、計器用文字板の形状が横長の長方形形状で形成され、さらに計器用文字板の横方向の寸法がおおよそ100センチメートル程度である場合、見返し部材に設けられる前記露出孔の横方向の開口幅も、計器用文字板の形状に対応させておおよそ100センチメートル程度とする必要がある。
【0006】
例えば、計器装置の中央に位置する前記アナログ式計器の左右に各種情報を表示するための横長形状の一対の計器用ディスプレイを各々配置し、当該一対の計器用ディスプレイの表示エリアを臨ませるための表示窓を計器用文字板にそれぞれ設けるような構成の場合には、計器用文字板の横方向の寸法がおおよそ100センチメートル程度となることが考えられる。
【0007】
そして、計器用文字板の横方向の寸法(つまり見返し部材に設けられる前記露出孔の横方向の開口幅)がおおよそ100センチメートル程度となれば、これに伴い前記露出孔を挟むように見返し部材に設けられる上側枠部及び下側枠部の横方向長さ寸法もおおよそ100センチメートル程度となる。
【0008】
また、このように上側枠部及び下側枠部の横方向長さ寸法がおおよそ100センチメートル程度である大型部品としての樹脂製見返し部材を射出成形によって成形すると、この射出成形後の見返し部材(樹脂筐体)において、当該見返し部材に備えられる上側枠部や下側枠部が変形し易くなり、外観品質の低下を招くという問題がある。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、樹脂筐体の変形を極力抑制することができ、外観品質の低下を招く虞のない計器装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、情報表示体と、前記情報表示体の視認者側に配置される樹脂筐体とを備え、前記樹脂筐体は、複数の部分から構成されているとともに、前記情報表示体は、前記複数の部分が所定の連結手段によって繋がることで前記複数の部分の内側に形成される開口領域を臨むように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記樹脂筐体は、第1の開口部を有する第1の筐体部と、前記第1の開口部に連なる第2の開口部を有する第2の筐体部とを備え、前記第1の筐体部は、前記第1の開口部を挟んで向かい合う一対の第1、第2の梁部と、前記第1の梁部の一端側と前記第2の梁部の一端側とを連結する第1の連結部とを有し、前記第2の筐体部は、前記第2の開口部を挟んで向かい合う一対の第3、第4の梁部と、前記第3の梁部の一端側と前記第4の梁部の一端側とを連結する第2の連結部とを有し、前記第1〜第4の梁部と前記第1、第2の連結部とによって囲まれる前記第1、第2の開口部を前記開口領域としたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記情報表示体の前記視認者側とは反対側に配置されるケース部材と、前記ケース部材の前記視認者側とは反対側に配置されるカバー部材とを備え、前記カバー部材は、複数のカバー部によって構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、樹脂筐体の変形を極力抑制することができ、外観品質の低下を招く虞のない計器装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による計器装置の分解斜視図。
図2】同実施形態による見返し部材と計器用文字板とを模式的に示す正面図。
図3】同実施形態による透視パネルと見返し部材と計器用文字板とがケース部材に位置決め固定された状態を示す要部拡大断面図(ハッチング省略)。
図4】同実施形態によるケース部材がカバー部材に位置決め固定された状態を示す要部拡大断面図(ハッチング省略)。
図5】同実施形態によるケース部材がカバー部材に仮固定された状態を示す要部拡大断面図(ハッチング省略)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図5に基づいて、本発明の実施形態を例えば車両に搭載された長尺(横長)の計器装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0015】
なお、以下の説明では、図1中、横方向(車両に例えたときの車両の幅方向)に沿った方向をX方向とし、縦方向(車両に例えたときの車両の高さ方向)に沿った方向をY方向とし、高さ方向(車両に例えたときの車両の前後方向)に沿った方向をZ方向とし、また必要に応じてX−YーZ座標系の矢印が向く方向を+X方向、+Y方向、+Z方向と記載し、その反対方向(矢印が向いていない方向)をーX方向、ーY方向、ーZ方向と記載する場合もある。また、以下に説明する計器装置のX方向の全長(寸法)は、おおよそ100センチメートル程度であるものとする。
【0016】
図1において、本実施形態による計器装置Mは、透視パネル10と、樹脂筐体としての見返し部材20と、情報表示体としての計器用文字板30と、第1の表示ユニット40と、第2の表示ユニット50と、第3の表示ユニット60と、ケース部材70と、回路基板80と、カバー部材90とから主に構成されている。
【0017】
透視パネル10は、例えば透光性合成樹脂材料によって形成され、視認者側から計器装置Mを正視した場合に、見返し部材20を覆うように計器装置Mの最表面に位置している透光性の前面パネルからなる。そして、計器装置10を視認する視認者は、透視パネル10を通じて、計器用文字板30に設けられている後述する警告表示部や、各表示ユニット40〜60に表示される各種表示情報等を視認(透視)することができる。
【0018】
なお、11は第1の被位置決め部としての第1の位置決め孔部であり、この第1の位置決め孔部11は、透視パネル10の周縁部分に設けられた略枠状のフランジ部12において、X方向に沿ったフランジ部12の略中央部分に2箇所設けられている。なお、図1では、ーY方向側に位置する第1の位置決め孔部11のみが図示されているが、実際は、+Y方向側のフランジ部12の略中央部分にも第1の位置決め孔部11が形成されていることは言うまでもない。
【0019】
見返し部材20は、例えば黒色の合成樹脂材料によって形成され、計器用文字板30の前方側(つまり+Z方向側となる視認者側)に配置されている。また、本例の場合、見返し部材20は、複数の部分21から構成されており、後述する開口領域を除いた可視範囲外の不要箇所を隠蔽する隠蔽部材としての機能を有している。
【0020】
ここでの複数の部分21とは、2つの部分として分割形成されていることを意味しており、具体的には、図1または図2に示すように見返し部材20は、第1の開口部22aを有する第1の筐体部22と、第1の開口部22aに連なる第2の開口部23aを有する第2の筐体部23とを備えている。
【0021】
第1の筐体部22は、見返し部材20を左右に2等分した際の左側に位置しており、平面視で略逆コの字形状をなしている。また、第1の筐体部22は、第1の開口部22aを挟んで向かい合う一対の第1、第2の梁部22b、22cと、ーX方向側に位置する第1の梁部22bの一端側とーX方向側に位置する第2の梁部22cの一端側とを連結する第1の連結部22dとを有している。
【0022】
なお、本例の場合、第1の筐体部22は、射出形成によって成形されるものであり、第1の筐体部22に設けられる各梁部22b、22cのX方向に沿った長さ寸法は約50センチメートルとなっている。
【0023】
第1の梁部22bは、X方向に沿って延びる横長のフレーム体からなり、一端側(ーX方向側)が第1の連結部22dに連結されているとともに、他端側(第2の筐体部23側となる+X方向側)が自由端部となっている片持ち梁形状をなしている。
【0024】
第2の梁部22cは、第1の梁部22bと対をなすようにX方向に沿って延びる横長のフレーム体からなり、第1の梁部22bと同様に、一端側(ーX方向側)が第1の連結部22dに連結されているとともに、他端側(第2の筐体部23側となる+X方向側)が自由端部となっている片持ち梁形状をなしている。
【0025】
また、本例の場合、第1、第2の梁部22b、22cの他端側には、第2の被位置決め部としての第2の位置決め孔部22eがそれぞれ開口形成されており、第2の位置決め孔部22eは透視パネル10の第1の位置決め孔部11に各々対応するように設けられる(図3参照)。
【0026】
第1の連結部22dは、Y方向に沿って延びる直線状のフレーム体からなり、見返し部材20の左側周壁部を構成するものである。
【0027】
第2の筐体部23は、見返し部材20を左右に2等分した際の右側に位置しており、平面視で略コの字形状をなしている。また、第2の筐体部23は、第2の開口部23aを挟んで向かい合う一対の第3、第4の梁部23b、23cと、+X方向側に位置する第3の梁部23bの一端側と+X方向側に位置する第2の梁部23cの一端側とを連結する第2の連結部23dとを有している。
【0028】
なお、本例の場合、第2の筐体部23は、射出形成によって成形されるものであり、第2の筐体部23に設けられる各梁部23b、23cのX方向に沿った長さ寸法は約50センチメートルとなっている。
【0029】
第3の梁部23bは、X方向に沿って延びる横長のフレーム体からなり、一端側(+X方向側)が第2の連結部23dに連結されているとともに、他端側(第1の筐体部22側となるーX方向側)が自由端部となっている片持ち梁形状をなしている。
【0030】
第4の梁部23cは、第3の梁部23bと対をなすようにX方向に沿って延びる横長のフレーム体からなり、第3の梁部23bと同様に、一端側(+X方向側)が第2の連結部23dに連結されているとともに、他端側(第1の筐体部22側となるーX方向側)が自由端部となっている片持ち梁形状をなしている。
【0031】
また、本例の場合、第3、第4の梁部23b、23cの他端側には、第3の被位置決め部としての第3の位置決め孔部23eがそれぞれ開口形成されており、第3の位置決め孔部23eは第1、第2の位置決め孔部11、22eに各々対応するように設けられている(図3参照)。
【0032】
第2の連結部23dは、Y方向に沿って延びる直線状のフレーム体からなり、見返し部材20の右側周壁部を構成するものである。
【0033】
計器用文字板30は、薄板状の透光性基板(図示せず)に例えば黒色の地色部31が印刷形成されたパネル体からなる。この場合、第1の表示ユニット40に対応する計器用文字板30箇所には矩形状の第1の表示窓32が開口形成され、第2の表示ユニット50に対応する計器用文字板30箇所には矩形状の第2の表示窓33が開口形成され、第3の表示ユニット60に対応する計器用文字板30箇所には矩形状の第3の表示窓34が開口形成されている。
【0034】
ここでは、各表示窓32〜34を、前記透光性基板を刳り貫いた貫通孔形状としているが、前記透光性基板を刳り貫かずに、各表示ユニット40〜60が地色部31の印刷形成されない前記透光性基板箇所によって覆われている構成としてもよい。
【0035】
なお、ここでの計器用文字板30には、視認者に対し注意喚起を促すための情報表示部としての警告表示部35が設けられている。当該警告表示部35としては、ここでの詳細図示は省略するが、一例を挙げると、シートベルトの未着用状態を示すシートベルトのインジケータや、サイドブレーキが作用していることを示すサイドブレーキのインジケータ等がある。これらインジケータは、インジケータ用光源からの光を受けて発光表示される。また、36は、各位置決め孔部11、22e、23eに対応するように設けられた貫通部である(図3参照)。
【0036】
第1の表示ユニット40は、例えば液晶パネルや液晶パネルを駆動するための駆動回路、バックライト等が内蔵された周知のTFT型の液晶表示パネルからなり、例えば車両の走行速度を示す車速情報をはじめとする各車両状態情報を表示するものである。この第1の表示ユニット40は、計器用文字板30の第1の表示窓32を臨むようにケース部材70に配設される。
【0037】
第2の表示ユニット50は、例えば液晶表示素子51や拡散シート等の光学部材52を備えた周知の液晶表示器からなり、例えば車両の燃費情報や車両の走行距離情報を表示するものである。この第2の表示ユニット50は、計器用文字板30の第2の表示窓33を臨むようにケース部材70に配設される。
【0038】
第3の表示ユニット60は、例えば液晶表示素子61や拡散シート等の光学部材62を備えた周知の液晶表示器からなり、例えば時刻情報を表示するものである。この第3の表示ユニット60は、計器用文字板30の第3の表示窓34を臨むようにケース部材70に配設される。
【0039】
ケース部材70は、例えば白色の合成樹脂材料によって形成され、計器用文字板30の視認者側とは反対側に配置されている。この場合、ケース部材70は、見返し部材20や後述するカバー部材90のように分割形成されておらず、長尺(横長)の単一樹脂ケースとして構成されている。
【0040】
このケース部材70には、第1の表示ユニット40を配設(収容)するための略凹部形状からなる窪み部71と、回路基板80に実装された第1の発光体(図示せず)から発せられる照明光を第2の表示ユニット50に導くための第1の照明空間72と、回路基板80に実装された第2の発光体(図示せず)から発せられる照明光を第3の表示ユニット60に導くための第2の照明空間73と、各警告表示部35に光が導かれるように各警告表示部35毎に設けられる複数個の空洞部74と、透視パネル10及び見返し部材20を位置決め固定するための第1の位置決め部としての第1の位置決めピン75と、カバー部材90を位置決め固定するための第2の位置決め部としての第2の位置決めピン76(図4参照)とが設けられている。
【0041】
なお、77は、図5中、ケース部材70の前面壁部78から回路基板80の孔部81を通り(経て)カバー部材90側に向けて垂下形成された弾性片であり、この場合、ーZ方向側となる弾性片77の先端側には、カバー部材90(後述する第2のカバー部)とケース部材70とを仮固定するための爪部79が設けられている。
【0042】
第1の位置決めピン75は、図3に示すようにケース部材70の前面壁部78から+Z方向となる透視パネル10側に向けて突出形成された略円柱状のリブからなり、2つの第1の位置決め孔部11と2つの第2の位置決め孔部22eと2つの第3の位置決め孔部23eと2つの貫通部36に対応する前面壁部78箇所に2つ設けられている。
【0043】
そして、これら第1の位置決めピン75が第1の位置決め孔部11、第2の位置決め孔部22e、第3の位置決め孔部23e、貫通部36にそれぞれ位置決めされることで、透視パネル10と見返し部材20と計器用文字板30とがケース部材70に対して位置ズレの抑制された状態で固定され、且つ、見返し部材20とケース部材70との間には計器用文字板30が挟持される構成となる。
【0044】
ここで、特に、見返し部材20とケース部材70とに着目すると、本例の場合、見返し部材20は、複数の部分21から構成され、これら複数の部分21(つまり第1の筐体部22と第2の筐体部23と)は、ケース部材70に設けた第1の位置決めピン75が第1の筐体部22の第2の位置決め孔部22eと、第2の筐体部23の第3の位置決め孔部23eとの双方に位置決め固定されることで繋がる構成となる(図1図3参照)。
【0045】
そして、本例の場合、第1の位置決めピン75と第2の位置決め孔部22eと第3の位置決め孔部23eとで構成される位置決め機構が、後述する特許請求の範囲の請求項1における連結手段Cに相当し、本実施形態においては、複数の部分21(つまり第1の筐体部22と第2の筐体部23)は、連結手段Cによって繋がる構成となる。このように構成することで、位置決めピンや位置決め孔といった簡素な構成である連結手段Cを用いて、各筐体部22、23のケース部材70への位置決め固定を行うことが可能となり、組み付け作業性が良好となるという利点がある。
【0046】
さらに、ここで、見返し部材20と計器用文字板30とに着目すると、第1の筐体部22と第2の筐体部23とが連結手段Cによって繋がることで、視認者側から計器装置Mを正視した際に、計器用文字板30は、図2に示すように複数の部分21(第1の筐体部22及び第2の筐体部23)の内側に開口形成される開口領域25を臨むような構成となっている。具体的には、第1、第2の梁部22b、22cと第3、第4の梁部23b、23cと第1、第2の連結部22d、23dとによって囲まれている露出孔(つまり第1、第2の開口部22a、23a)を開口領域25としている。
【0047】
このように構成することで、各筐体部22、23の主要部を構成する各梁部22b、22c、23b、23cのX方向に沿った長さ寸法は各々約50センチメートルとなり、従来の分割されていない見返し部材(単一の見返し板)と比べて長さ寸法が約半分となるため、射出成形によって各筐体部22、23を得るにあたり、各梁部22b、22c、23b、23c(つまり見返し部材20)の変形を極力抑制することができるという利点がある。また、見返し部材20が第1の筐体部22と第2の筐体23とに分割されることに伴って、各筐体部22、23を射出成形するための金型の大型化が抑制され、当該射出成形を行うにあたって成形サイクルの短縮も可能となるため、計器装置Mを製造するための製造コストの上昇を抑制することができるという利点もある。
【0048】
また、透視パネル10越しに視認者が見返し部材20を見たときに、比較的目立ち易い箇所となる見返し部材20の各梁部22b、22c、23b、23c箇所が変形しにくくなることで、外観品質の低下を招く虞のない計器装置Mを提供することができる。
【0049】
第2の位置決めピン76は、ケース部材70における略背面中央領域から回路基板80の貫通孔82を通り(経て)、カバー部材90側に向けて垂下形成された略U字形状の位置決め用リブからなり、ケース部材70とカバー部材90とを位置決め固定するために用いられる(図1図4参照)。
【0050】
回路基板80は、所定の配線パターンが施された硬質の配線基板からなり、ケース部材70とカバー部材90との間に配置(挟持)され、前記第1、第2の発光体や警告表示部35を発光させるための前記インジケータ用光源、各表示ユニット40〜60の表示制御を行うためのマイクロコンピュータからなる制御部、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品等が前記配線パターン上に実装されている。
【0051】
カバー部材90は、例えば合成樹脂材料によって形成され、回路基板80(ケース部材70)の視認者側とは反対側に配置され、回路基板80を収容するハウジングからなる。本例の場合、このカバー部材90は、複数のカバー部91から構成されている。
【0052】
ここでの複数のカバー部91とは、2つのカバー部として分割形成されていることを意味しており、具体的には、複数のカバー部91は、見返し部材20の第1の筐体部22に対応するように設けられる第1のカバー部92と、見返し部材20の第2の筐体部23に対応するように設けられる第2のカバー部93とを備えている。
【0053】
第1のカバー部92には、弾性片77が貫通するように回路基板80の孔部81に連通している第1の貫通孔部94(図5参照)と、ケース部材70の第2の位置決めピン76が貫通する第2の貫通孔部95(図4参照)とが設けられている。
【0054】
第1の貫通孔部94は、図1に示すように第1のカバー部92の+X方向側に位置しており、また第2の貫通孔部95は、第1の貫通孔部94と同様に第1のカバー部92の+X方向側に位置しており、この場合、第1の貫通孔部94と第2の貫通孔部95とは左右に並設された状態となっている。
【0055】
一方、第2のカバー部93には、爪部79の収容空間を構成するための窪み部96(図5参照)と、第2の貫通孔部95に連通するように設けられる第4の位置決め孔部(第4の被位置決め部)97を有するボス部98(図4参照)とが設けられている。
【0056】
なお、窪み部96は、図5に示すように断面略逆凹部形状に形成され、立壁部96aと、傾斜壁部96bと、立壁部96aと傾斜壁部96bとを繋ぐ水平壁部96cとを有し、水平壁部96cには孔部81と第1の貫通孔部94との双方に連通する第3の貫通孔部96dが開口形成され、また傾斜壁部96bの水平壁部96c側には爪部79の平坦面を受けるように、爪受部96eが斜めに垂下形成されている。
【0057】
そして、このように爪受部96eに爪部79が嵌合することで、各カバー部92、93のケース部材70への仮固定がなされる構成となり、計器装置Mの組み付け時において、各カバー部92、93が脱落するのを防止することができるという利点がある。また、ここでの詳細図示は省略するが、この爪部79及び爪受部96eを利用した各カバー部92、93のケース部材70への仮固定後に、ネジ等の適宜固定手段を用いて、各カバー部92、93がケース部材70に本固定される構成となっているものとする。
【0058】
ボス部98は、図4に示すように互いに対向する一対の側壁部98aを有し、この側壁部98aの+Z方向側において、上述した第4の位置決め孔部97が第1のカバー部92の第2の貫通孔部95に連通するように設けられる。そして、ケース部材70の第2の位置決めピン76が、第2の貫通孔部95を貫通して第4の位置決め孔部97にて位置決めされることで、カバー部材90がケース部材70に対して位置ズレの抑制された状態で固定される。
【0059】
なお、本例の場合、各カバー部92、93は、ともに射出形成によって成形されるものであり、各カバー部92、93のX方向に沿った長さ寸法は約50センチメートルとなっている。これにより、見返し部材20が第1の筐体部22と第2の筐体部23とに分割されている場合と同様に、各カバー部92、93を射出成形するための金型の大型化が抑制され、当該射出成形を行うにあたって成形サイクルの短縮も可能となるため、計器装置Mを製造するための製造コストの上昇を抑制することができるという利点がある。
【0060】
また、ここでの詳細図示は省略するが、第1、第2のカバー部92、93の周壁部分には適宜間隔を空けて複数個のネジ螺合部が設けられ、当該複数個のネジ螺合部に対応する透視パネル10のフランジ部12箇所にはパネル固定用ネジが貫通する孔が各々形成されている。
【0061】
そして、当該孔を貫通するパネル固定用ネジを前記ネジ螺合部にそれぞれ螺合させることで、各筐体部22、23(より具体的に言えば各筐体部22、23と計器用文字板30と前面壁部78との三者)が、フランジ部12と前記ネジ螺合部との間に挟持されるように、透視パネル10をカバー部材90に取り付ける構成となっている。
【0062】
さらに、前記複数個のネジ螺合部が形成されていない第1、第2のカバー部92、93の前記周壁部分には、各筐体部22、23の周縁部分に設けられたフック部(図示せず)が係合する係合部(図示せず)が形成されており、前記フック部が前記係合部に係合することで、見返し部材20をカバー部材90に取り付ける構成となっている。
【0063】
以上のように本実施形態では、情報表示体30と、この情報表示体30の視認者側に配置される樹脂筐体としての見返し部材20とを備え、見返し部材20は、複数の部分21から構成されているとともに、情報表示体30は、複数の部分21(第1の筐体部22と第2の筐体部23)が所定の連結手段Cによって繋がることで複数の部分21の内側に形成される開口領域25を臨むように構成されているものである。
【0064】
従って、各筐体部22、23の主要部を構成する各梁部22b、22c、23b、23cのX方向に沿った長さ寸法は各々約50センチメートルとなり、従来の分割されていない見返し部材(単一の見返し板)と比べて長さ寸法が約半分となるため、射出成形によって各筐体部22、23を得るにあたり、各梁部22b、22c、23b、23c(つまり見返し部材20)の変形を極力抑制することができると同時に、透視パネル10越しに視認者が見返し部材20を見たときに、比較的目立ち易い箇所となる見返し部材20の各梁部22b、22c、23b、23c箇所が変形しにくくなることで、外観品質の低下を招く虞のない計器装置Mを提供することができる。
【0065】
また本実施形態では、情報表示体30の視認者側とは反対側に配置されるケース部材70と、このケース部材70の視認者側とは反対側に配置されるカバー部材90とを備え、カバー部材90は、複数のカバー部91(つまり第1のカバー部92と第2のカバー部93)によって構成されていることにより、各カバー部92、93を射出成形するための金型の大型化が抑制され、当該射出成形を行うにあたって成形サイクルの短縮も可能となるため、計器装置Mを製造するための製造コストの上昇を抑制することができるという利点がる。
【0066】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、第1、第2の連結部22d、23dは、Y方向に沿って延びる直線状のフレーム体となっているが、第1、第2の連結部22d、23dの形状は屈曲した形状であってもよいし、曲面形状(湾曲形状)であってもよい。より具体的に言うと、屈曲した形状を適用した場合、第1の連結部22dを略「く」の字形状とし、第2の連結部23dを略逆「く」の字形状とすればよいし、曲面形状を適用した場合、第1の連結部22dを略「C」字状の半円環部とし、第2の連結部23dを略逆「C」字状の半円環部とすればよい。
【0068】
さらには、上述した実施形態では、計器用文字板30を情報表示体としているが、例えば計器用文字板30と3つの表示ユニット40〜60とを含めたものを情報表示体としてもよい。なお、各表示ユニット40〜60のうち少なくとも1つは所謂、表示器ではなく、アナログ式計器(指針式計器)としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 透視パネル
20 見返し部材(樹脂筐体)
21 複数の部分
22 第1の筐体部
22a 第1の開口部
22b 第1の梁部
22c 第2の梁部
22d 第1の連結部
23 第2の筐体部
23a 第2の開口部
23b 第3の梁部
23c 第4の梁部
23d 第2の連結部
25 開口領域
30 計器用文字板(情報表示体)
40 第1の表示ユニット
50 第2の表示ユニット
60 第3の表示ユニット
70 ケース部材
80 回路基板
90 カバー部材
91 複数のカバー部
92 第1のカバー部
93 第2のカバー部
C 連結手段
図1
図2
図3
図4
図5