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特開2016-223843ステアリングサブアセンブリ用試験装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223843(P2016-223843A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】ステアリングサブアセンブリ用試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/06 20060101AFI20161205BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   G01M17/06
   B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-108713(P2015-108713)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(72)【発明者】
【氏名】東條 宏計
(72)【発明者】
【氏名】畠山 敏
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB20
3D333CB21
3D333CC02
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD09
3D333CE07
(57)【要約】
【課題】複数の試験が行えて試験効率の良いステアリングサブアセンブリ用試験装置を提供する。
【解決手段】試験装置Aが、ベース10によって支持されアクチュエータ50によって摺動方向Xに駆動される第1スライダ30と、第1スライダ30に摺動方向Xに移動可能に支持された第2スライダ40とを含む。第2スライダ40と一体移動する一対の押圧部81,82が、ラック軸3の対応する端部3b,3cを押圧移動させる。アクチュエータ50が兼用する第1ストッパが、第1スライダ30をベース10に対する摺動方向Xの基準位置に拘束する。第2ストッパ60が、第2スライダ40を第1スライダ30に対する摺動方向Xの基準位置に拘束する。各ストッパ50,60の拘束状態と非拘束状態との切り換えにより、複数の試験条件が切り換えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピニオン軸とラック軸と前記ラック軸を貫通させて支持するハウジングと前記ピニオン軸にアシスト力を付与する電動モータとを含むステアリングサブアセンブリを取り付けて試験を行う、ステアリングサブアセンブリ用試験装置であって、
ベースと、
基準軸線を有して前記ベースによって支持され、前記ラック軸の中心軸線が前記基準軸線に一致するように前記ユニットの前記ハウジングを支持するハウジング支持部と、
前記ベースによって前記基準軸線に平行な摺動方向に摺動可能に支持された第1スライダと、
前記第1スライダによって前記摺動方向に摺動可能に支持された第2スライダと、
前記第1スライダを前記ベースに対する前記摺動方向の基準位置に拘束する第1ストッパと、
前記第2スライダを前記第1スライダに対する前記摺動方向の基準位置に拘束する第2ストッパと、
前記第1スライダに対する前記第2スライダの前記基準位置からの変位に応じた負荷を前記第2スライダに与える負荷付与部と、
前記ベースによって支持され、前記第1スライダを前記摺動方向に駆動するアクチュエータと、
前記第2スライダに一体移動可能に支持され、前記第2スライダの移動に伴って前記ラック軸の対応する端部を軸方向にそれぞれ押圧移動させる一対の押圧部と、を備え、
前記第1ストッパおよび前記第2ストッパのそれぞれの拘束状態と非拘束状態とを切り換えて、複数の試験条件が選択設定可能に構成されている、ステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の試験条件は、
前記第1ストッパの非拘束状態で且つ前記第2ストッパの拘束状態で、前記アクチュエータによって前記第1スライダを移動させて前記押圧部を介して前記ラック軸側から逆入力を与える第1試験条件と、
前記第1ストッパの拘束状態で且つ前記第2ストッパの非拘束状態で、前記負荷付与部によって前記第2スライダを介して前記ラック軸に負荷を与えつつ、前記電動モータを回転駆動して前記ピニオン軸側から正入力を与える第2試験条件と、を含むステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【請求項3】
請求項2において、前記一対の押圧部に負荷される荷重をそれぞれ検出する一対の荷重検出部を含み、
前記第1試験条件下で、前記荷重検出部により検出される荷重が、前記逆入力に対する前記ラック軸の摺動荷重に相当するように構成されているステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【請求項4】
請求項2において、前記一対の押圧部に負荷される荷重をそれぞれ検出する一対の荷重検出部を含み、
前記第2試験条件下で、前記荷重検出部により検出される荷重が、前記正入力に対して負荷が付与された状態の前記ラック軸の出力荷重に相当するように構成されているステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【請求項5】
請求項2〜4の何れか一項において、前記ステアリングサブアセンブリとして、前記アシスト力が付与されるピニオン軸の他に、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸を含むステアリングサブアセンブリが用いられ、
前記マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸を回転駆動するロータリアクチュエータと、 前記第1スライダによって支持され、前記第2スライダを前記摺動方向に駆動する副アクチュエータと、を備え、
前記複数の試験条件は、前記第1ストッパの拘束状態で且つ前記第2ストッパの非拘束状態で、前記副アクチュエータによって前記第2スライダを介して各押圧部をラック軸の対応する端部から離間する状態に移動させつつ、前記ロータリアクチュエータにより前記マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸を回転駆動して前記マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸側から正入力を与える第3試験条件を含むステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項において、前記アクチュエータは、停止状態で前記第1ストッパとして機能するステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項において、前記負荷付与部は、前記第1スライダに対する前記第2スライダの前記基準位置からの変位に応じた比例負荷を前記第2スライダに与える比例負荷付与部であるステアリングサブアセンブリ用試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリングサブアセンブリ用試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置は、例えばラックアンドピニオン機構等を含むサブアセンブリを含んでいる。そのサブアセンブリの状態で、ピニオン軸側から正入力を与えて試験を行う正入力試験や、ラック軸側から逆入力を与えて試験を行う逆入力試験を行うことが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−359009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正入力試験や逆入力試験には、それぞれ別の試験装置が用いられる。このため、試験対象であるサブアセンブリに対して複数の試験を行うためには、前記サブアセンブリを1つの試験装置から取り外して別の試験装置に取り付ける段取替え工程が必要であり、試験効率が悪い。
そこで、本発明の目的は、複数の試験を行うことができて試験効率の良いステアリングサブアセンブリ用試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ピニオン軸(2)とラック軸(3)と前記ラック軸を貫通させて支持するハウジング(4)と前記ピニオン軸にアシスト力を付与する電動モータ(5)とを含むステアリングサブアセンブリ(1;1P)を取り付けて試験を行う、ステアリングサブアセンブリ用試験装置(A;AP)であって、ベース(10)と、基準軸線(BC)を有して前記ベースによって支持され、前記ラック軸の中心軸線(C1)が前記基準軸線に一致するように前記ユニットの前記ハウジングを支持するハウジング支持部(20)と、前記ベースによって前記基準軸線に平行な摺動方向(X)に摺動可能に支持された第1スライダ(30)と、前記第1スライダによって前記摺動方向に摺動可能に支持された第2スライダ(40)と、前記第1スライダを前記ベースに対する前記摺動方向の基準位置に拘束する第1ストッパ(50)と、前記第2スライダを前記第1スライダに対する前記摺動方向の基準位置に拘束する第2ストッパ(60)と、前記第1スライダに対する前記第2スライダの前記基準位置からの変位に応じた負荷を前記第2スライダに与える負荷付与部(70)と、前記ベースによって支持され、前記第1スライダを前記摺動方向に駆動するアクチュエータ(50)と、前記第2スライダに一体移動可能に支持され、前記第2スライダの移動に伴って前記ラック軸の対応する端部(3b,3c)を軸方向にそれぞれ押圧移動させる一対の押圧部(81,82)と、を備え、前記第1ストッパおよび前記第2ストッパのそれぞれの拘束状態と非拘束状態とを切り換えて、複数の試験条件が選択設定可能に構成されている、ステアリングサブアセンブリ用試験装置を提供する。
【0006】
請求項2のように、前記複数の試験条件は、前記第1ストッパの非拘束状態で且つ前記第2ストッパの拘束状態で、前記アクチュエータによって前記第1スライダを移動させて前記押圧部を介して前記ラック軸側から逆入力を与える第1試験条件と、前記第1ストッパの拘束状態で且つ前記第2ストッパの非拘束状態で、前記負荷付与部によって前記第2スライダを介して前記ラック軸に負荷を与えつつ、前記電動モータを回転駆動して前記ピニオン軸側から正入力を与える第2試験条件と、を含んでいてもよい。
【0007】
請求項3のように、前記一対の押圧部に負荷される荷重をそれぞれ検出する一対の荷重検出部(91,92)を含み、前記第1試験条件下で、前記荷重検出部により検出される荷重が、前記逆入力に対する前記ラック軸の摺動荷重に相当するように構成されていてもよい。
請求項4のように、前記一対の押圧部に負荷される荷重をそれぞれ検出する一対の荷重検出部(91,92)を含み、前記第2試験条件下で、前記荷重検出部により検出される荷重が、前記正入力に対して負荷が付与された状態の前記ラック軸の出力荷重に相当するように構成されていてもよい。
【0008】
請求項5のように、前記ステアリングサブアセンブリとして、前記アシスト力が付与されるピニオン軸の他に、マニュアル(手動)操舵力伝達用のピニオン軸(7)を含むステアリングサブアセンブリ(1P)が用いられ、前記マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸を回転駆動するロータリアクチュエータ(100)と、前記第1スライダによって支持され、前記第2スライダを前記摺動方向に駆動する副アクチュエータ(110)と、を備え、前記複数の試験条件は、前記第1ストッパの拘束状態で且つ前記第2ストッパの非拘束状態で、前記副アクチュエータによって前記第2スライダを介して各押圧部をラック軸の対応する端部から離間する状態に移動させつつ、前記ロータリアクチュエータにより前記マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸を回転駆動して前記マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸側から正入力を与える第3試験条件を含んでいてもよい。
【0009】
請求項6のように、前記アクチュエータは、停止状態で前記第1ストッパとして機能してもよい。
請求項7のように、前記負荷付与部は、前記第1スライダに対する前記第2スライダの前記基準位置からの変位に比例する負荷を前記第2スライダに与える比例負荷付与部であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、第1ストッパないし第2ストッパの拘束状態と非拘束状態との切り換えに応じて、例えばラック軸の移動に負荷を与えるか否かを切り換えて、条件の異なる複数の試験を単一の試験装置で実施することが可能となる。
請求項2の発明では、アクチュエータによって第1スライダを移動させてラック軸側から逆入力を与える第1試験条件と、負荷付与部によってラック軸に負荷を与えつつ電動モータを回転駆動してピニオン軸側から正入力を与える第2試験条件とを切り換えることができる。このため、前記逆入力を与える第1試験と、ラック軸に負荷を与えながら前記正入力を与える第2試験とを単一の試験装置で実施することができる。
【0011】
請求項3の発明では、第1試験条件下で、荷重検出部により検出される荷重によって、逆入力に対するラック軸の摺動荷重を測定することができる。
請求項4の発明では、第2試験条件下で、正入力に対して負荷を付与しつつ、荷重検出部により検出される荷重によって、ラック軸の出力荷重を測定することができる。
請求項5の発明では、マニュアル(手動)操舵力伝達用のピニオン軸側から正入力を与える試験を行うときに、副アクチュエータによって第2スライダを介して各押圧部を移動させて、各押圧部とラック軸の対応する端部との離間状態を維持する。これにより、正入力に対してラック軸の移動に負荷をかけない第3試験条件を設定することができる。
【0012】
請求項6の発明では、第1スライダを駆動するためのアクチュエータが第1ストッパを兼用するので、構造を簡素化することができる。
請求項7の発明では、正入力に対して比例負荷を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態のステアリングサブアセンブリ用試験装置の模式的正面図である。(a)は、ラック軸の端部側からの逆入力を与える第1試験の準備状態を示し、(b)は、前記逆入力を与える第1試験の実行中の状態を示している。
図2】第1実施形態のステアリングサブアセンブリ用試験装置の模式的正面図である。(a)は、ラック軸に比例負荷を与えつつ、電動モータを回転駆動してピニオン軸側から正入力を与える第2試験の準備状態を示し、(b)は、前記正入力を与える第2試験の実行中の状態を示している。
図3】第1実施形態のステアリングサブアセンブリ用試験装置において、試験対象のステアリングサブアセンブリを支持する構造の概略図である。
図4】第1実施形態のステアリングサブアセンブリ用試験装置において、比例負荷付与部とその周辺の構造の概略断面図である。
図5】第2実施形態のステアリングサブアセンブリ用試験装置の模式的正面図である。(a)は、ラック軸をフリーにした状態で、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸側からの正入力を与える第3試験の準備状態を示し、(b)は、第3試験の実行中の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1(a),(b)は、本発明の第1実施形態のステアリングサブアセンブリ用試験装置A(以下では、単に試験装置Aとも言う)の模式的正面図である。図1(a)は、試験装置Aに、試験対象であるステアリングサブアセンブリ1が取り付けられて第1試験が行われるときの準備状態を示し、図1(b)は、第1試験の実行中の状態を示している。
【0015】
一方、図2(a)は、試験装置Aに、試験対象であるステアリングサブアセンブリ1が取り付けられて第2試験が行われるときの準備状態を示し、図2(b)は、第2試験の実行中の状態を示している。
図1(a)に示すように、試験対象であるステアリングサブアセンブリ1は、入力軸としてのピニオン軸2と、出力軸としてのラック軸3と、ラック軸3を貫通させて軸方向に摺動可能に支持するハウジング4とを含む。ピニオン軸2のピニオン2aとラック軸3のラック3aとは、ハウジング4内で噛み合わされている。
【0016】
また、ステアリングサブアセンブリ1は、ピニオン軸2にアシスト力を付与する電動モータ5と、電動モータ5の動力をピニオン軸2に伝達する、例えばウォームギヤ機構等の減速機構6とを含む。電動モータ5は、減速機構6を介してピニオン軸2を回転駆動する。
ハウジング4に、減速機構6を収容するギヤハウジング6aが、一体に連結されている。ギヤハウジング6aに、電動モータ5のモータハウジング5aが、一体に連結されている。
【0017】
試験装置Aは、ベース10と、ハウジング支持部20と、第1スライダ30と、第2スライダ40と、第1ストッパを兼用するアクチュエータ50と、第2ストッパ60と、比例負荷付与部70と、第1押圧部81および第2押圧部82と、第1荷重検出部91および第2荷重検出部92とを備えている。
図1(a)では、ハウジング支持部20は、模式的に示されている。具体的には、ハウジング支持部20は、図3に示すように、固定クランプ21と、可動クランプ22と、駆動部材23とを備える。
【0018】
固定クランプ21は、ベース10に固定部材24を介して固定されている。可動クランプ22と固定クランプ21とは、ハウジング4をクランプするクランプ方向Yに対向している。固定クランプ21は、例えば断面V字形形状の固定クランプ面21aを含む。可動クランプ22は、例えば固定クランプ面21aに対向する平坦な可動クランプ面22aを含む。
【0019】
駆動部材23は、固定部25と、可動部26とを含み、例えばサーボシリンダにより構成されている。駆動部材23の固定部25は、ベース10に固定部材27を介して固定されている。可動部26は、固定部25によってクランプ方向Yに進退駆動される。可動部26の端部に、可動クランプ22が、一体移動可能に連結されている。
ハウジング支持部20は、固定クランプ21および可動クランプ22によるクランプ中心となる基準軸線BCを有している。ハウジング支持部20は、ラック軸3の中心軸線C1が基準軸線BCに一致するように、ハウジング4を支持する。
【0020】
第1スライダ30は、ベース10の支持面11によって、基準軸線BCに平行な摺動方向Xに摺動可能に支持されている。具体的には、ベース10の支持面11に、摺動方向Xに延びるスライド溝12が形成されている。第1スライダ30は、スライド溝12に嵌合するスライド突起30aを含む。スライド溝12が、スライド突起30aを介して、第1スライダ30を摺動方向Xに案内する。
【0021】
アクチュエータ50は、ベース10によって支持され、第1スライダ30を摺動方向Xに駆動する。アクチュエータ50は、固定部51と、可動部52とを含み、例えばサーボシリンダにより構成されている。アクチュエータ50の固定部51は、ベース10に、固定アーム13を介して固定されている。可動部52は、固定部51によって摺動方向Xに進退駆動される。可動部52は、第1スライダ30と摺動方向Xに一体移動可能に連結されている。
【0022】
アクチュエータ50は、可動部52の停止状態で、第1スライダ30をベース10に対する摺動方向Xの基準位置[図1(a),(b)参照]に拘束する第1ストッパとして機能する。
第2スライダ40は、第1スライダ30の支持面31によって、摺動方向Xに摺動可能に支持されている。具体的には、第1スライダ30の支持面31に、摺動方向Xに延びるスライド溝32が形成されている。スライド溝32が、第2スライダ40を摺動方向Xに案内する。
【0023】
第2スライダ40は、摺動方向Xに離隔する第1部分41および第2部分42と、第1部分41と第2部分42とを一体に連結する連結部43とを備える。
第1スライダ30は、支持面31面上に突出する中間凸部33を備えている。中間凸部33は、第1部分41と第2部分42との間に配置されている。第2スライダ40は、第1部分41から中間凸部33の第1端面33aに向けて延びる第1凸部44と、第2部分42から中間凸部33の第2端面33bに向けて延びる第2凸部45とを備えている。
【0024】
第2ストッパ60は、第2スライダ40を第1スライダ30に対する摺動方向Xの基準位置[図1(a),(b)参照]に拘束する機能を果たす。第2ストッパ60は、一対設けられている。各第2ストッパ60は、対応する駆動部材61によって、図1(a)および(b)に示される拘束位置と、図2(a)および(b)に示される非拘束位置とに駆動される。
【0025】
一方の第2ストッパ60[図1(a),(b)において左方に配置された第2ストッパ60]の拘束位置は、当該一方の第2ストッパ60が、第1スライダ30の中間凸部33の第1端面33aと第2スライダ40の第1凸部44との間に介在する位置である。図2(a),(b)に示すように、一方の第2ストッパ60の非拘束位置は、当該一方の第2ストッパ60が、第1スライダ30の中間凸部33の第1端面33aと第2スライダ40の第1凸部44との間から退避する位置である。
【0026】
他方の第2ストッパ60[(a),(b)において左方に配置された第2ストッパ60]の拘束位置は、当該他方の第2ストッパ60が、第1スライダ30の中間凸部33の第2端面33bと第2スライダ40の第2凸部45との間に介在する位置である。図2(a),(b)に示すように、他方の第2ストッパ60の非拘束位置は、当該他方の第2ストッパ60が、第1スライダ30の中間凸部33の第2端面33bと第2スライダ40の第2凸部45との間から退避する位置である。
【0027】
一対の第2ストッパ60が、拘束位置にある状態で、第2スライダ40を第1スライダ30に対する摺動方向Xの基準位置[図1(a),(b)を参照]に拘束する。換言すると、一対の第2ストッパ60が拘束位置にある状態で、第1スライダ30と第2スライダ40とが、摺動方向Xに一体移動可能となる。
図1(a)に示すように、操舵中立状態のステアリングサブアセンブリ1が初期セットされたときに、第1スライダ30が、ベース10に対して摺動方向Xの基準位置にあり、且つ第2スライダ40が、第1スライダ30に対して摺動方向Xの基準位置にある状態で、ラック軸3の各端部3b,3cとそれぞれ対応する押圧部81,82との間には、僅かな隙間が形成されるようにしてある。
【0028】
各駆動部材61は、固定部62と、可動部63とを含み、例えばサーボシリンダにより構成されている。各駆動部材61の固定部62は、第1スライダ30に固定されている。各可動部63は、対応する固定部62によって、摺動方向Xに対して直交する進退方向Zに進退駆動される。各可動部63は、対応する第2ストッパ60と進退方向Zに一体移動可能に連結されている。
【0029】
比例負荷付与部70は、中間凸部33に固定された収容ケース71と、収容ケース71内に収容された比例負荷付与部材としての圧縮コイルばね72とを備えている。
図4に示すように、収容ケース71は、筒状部71aと、筒状部71aの一端側(第1部分41側)の第1端壁部71bと、筒状部71aの他端側(第2部分42側)の第2端壁部71cとを含む。第1端壁部71bおよび第2端壁部71cは、それぞれ挿通孔71dが形成された環状壁である。
【0030】
収容ケース71内には、第1ばね座部材73および第2ばね座部材74が、収容されている。第1ばね座部材73および第2ばね座部材74は、収容ケース71の筒状部71aの内周面によって摺動方向Xに摺動可能に支持されている。第1ばね座部材73は、圧縮コイルばね72の第1端部72aを受けている。第2ばね座部材74は、圧縮コイルばね72の第2端部72bを受けている。
【0031】
各ばね座部材73,74が対応する端壁部71b,71cに当接する圧縮コイルばね72の初期セット状態で、圧縮コイルばね72が自由状態(圧縮コイルばね72の初期セット荷重がゼロの状態)であってもよい。
図2(a),(b)に示すように、第2スライダ40は、第1押しロッド46と、第2押しロッド47とを備えている。第1押しロッド46は、第1部分41から収容ケース71内の第1ばね座部材73に向けて突出している。第2押しロッド47は、第2部分42から収容ケース71内の第2ばね座部材74に向けて突出している。
【0032】
図4に示すように、第1押しロッド46の先端は、収容ケース71の第1端壁部71bの挿通孔71dを貫通し、圧縮コイルばね72の反対側から第1ばね座部材73に当接している。第2押しロッド47の先端は、収容ケース71の第2端壁部71cの挿通孔71dを貫通し、圧縮コイルばね72の反対側から第2ばね座部材74に当接している。
図2(b)に示すように、第2押しロッド47は、第2ばね座部材74を押圧しながら、収容ケース71内を第1摺動方向X1に移動し、圧縮コイルばね72を圧縮させる。図示していないが、第1押しロッド46は、第1ばね座部材73を押圧しながら、収容ケース71内を第2摺動方向X2に移動し、圧縮コイルばね72を圧縮させる。
【0033】
すなわち、第2ストッパ60の非拘束状態(第2ストッパ60が非拘束位置にある状態)で、第1スライダ30に対して第2スライダ40が移動するときに、移動方向に応じて対応する押しロッド46,47が、対応するばね座部材73,74を収容ケース71内に押し込む。
これにより、圧縮コイルばね72が圧縮される。圧縮コイルばね72は、変位に対してばね荷重F[図2(b)参照]が比例的に変化するばね特性を有している。このため、比例負荷付与部70の圧縮コイルばね72が、第1スライダ30に対する第2スライダ40の基準位置からの変位に比例する比例負荷(ばね荷重Fに相当)を第2スライダ40に与える。
【0034】
第1押圧部81は、第2スライダ40の第1部分41に一体移動可能に支持されている。第1部分41に、固定アーム48が固定されている。第1押圧部81は、固定アーム48に、第1荷重検出部91を介して固定されている。第1押圧部81は、第2スライダ40と一体移動可能である。第1押圧部81は、ラック軸3の第1端部3bに軸方向に対向している。
【0035】
第2押圧部82は、第2スライダ40の第2部分42に一体移動可能に支持されている。第2部分42に、固定アーム49が固定されている。第2押圧部82は、固定アーム49に、第2荷重検出部92を介して固定されている。第2押圧部82は、ラック軸3の第2端部3cに軸方向に対向している。
次いで、試験装置Aを用いた第1試験について説明する。
【0036】
第1試験では、図1(a),(b)に示すように、第2ストッパ60は、拘束状態にあり、第1スライダ30と第2スライダ40との相対移動を拘束している。このため、図1(b)に示すように、第1スライダ30、第2スライダ40、第1押圧部81および第2押圧部82が、摺動方向Xに一体移動する。
アクチュエータ50は、第1ストッパとして働かない状態(第1ストッパの非拘束状態)にある。アクチュエータ50は、第1スライダ30、第2スライダ40、第1押圧部81および第2押圧部82を摺動方向Xに一体移動させる。
【0037】
例えば、図1(b)に示すように、アクチュエータ50が第1スライダ30を第1摺動方向X1に移動させると、第2スライダ40、第1押圧部81および第2押圧部82が、ともに第1摺動方向X1に移動し、第2押圧部82が、ラック軸3の第2端部3cを押圧移動させる。
すなわち、アクチュエータ50によって、第1スライダ30を移動させて、第2押圧部82を介して、ラック軸3側から逆入力を与える。このときに、第2荷重検出部92によって検出される荷重が、前記逆入力に対するラック軸3の摺動荷重に相当する。
【0038】
このように、第1試験は、逆入力時のラック軸3の摺動荷重を測定する試験である。
図示していないが、第1試験において、アクチュエータ50が第1スライダ30を第2摺動方向X2に移動させると、第1押圧部81が、ラック軸3の第1端部3bを押圧移動させて、ラック軸3側から逆入力を与える。このときに、第1荷重検出部91によって検出される荷重が、前記逆入力に対するラック軸3の摺動荷重に相当する。
【0039】
次いで、試験装置Aを用いた第2試験について説明する。
第2試験では、図2(a),(b)に示すように、アクチュエータ50は、停止状態とされ、第1ストッパとして働く状態(第1ストッパの拘束状態)にある。アクチュエータ50は、ベース10に対して、第1スライダ30を摺動方向Xの基準位置に拘束している。第2ストッパ60は、非拘束状態にあり、第1スライダ30と第2スライダ40との相対移動を許容している。
【0040】
このため、ベース10および第1スライダ30に対して、第2スライダ40、第1押圧部81および第2押圧部82が、摺動方向Xに一体移動する。
例えば、図2(b)に示すように、ステアリングサブアセンブリ1の電動モータ5を一方向に回転駆動して、ピニオン軸2側から一方向への正入力(トルクT)を与える。これにより、ラック軸3が第1端部3b側へ移動される。ラック軸3の第1端部3bが、第1押圧部81を介して、第2スライダ40、第1押圧部81および第2押圧部82を、第1摺動方向X1に一体移動させる。
【0041】
ラック軸3の移動に伴って、比例負荷付与部70によって、第2スライダ40および第1押圧部81を介して、ラック軸3に、比例負荷(ばね荷重F)が与えられる。このときに、第1荷重検出部91によって検出される荷重が、比例負荷を与えつつピニオン軸2側から正入力を与えるときの、ラック軸3の出力荷重に相当する。
図示していないが、第2試験において、ステアリングサブアセンブリ1の電動モータ5を他方向に回転駆動して、ピニオン軸2側から他方向への正入力(トルク)を与えると、ラック軸3が、第2端部3c側へ移動される。ラック軸3の移動に伴って、比例負荷付与部70によって、第2スライダ40および第1押圧部81を介して、ラック軸3に、比例負荷(ばね荷重F)が与えられる。このときに、第2荷重検出部92によって検出される荷重が、比例負荷を与えつつピニオン軸2側から正入力を与えるときの、ラック軸3の出力荷重に相当する。
【0042】
本実施形態では、第1ストッパ(アクチュエータ50)ないし第2ストッパ60の拘束状態と非拘束状態との切り換えに応じて、例えばラック軸3の移動に負荷を与えるか否かを切り換えて、条件の異なる複数の試験を単一の試験装置Aで実施することが可能となる。
具体的には、図1(a),(b)に示すように、アクチュエータ50によって第1スライダ30を移動させてラック軸3側から逆入力を与える第1試験条件と、図2(a),(b)に示すように、負荷付与部(比例負荷付与部70)によってラック軸3に負荷を与えつつ電動モータ5を回転駆動してピニオン軸2側から正入力(トルクT)を与える第2試験条件とを切り換えることができる。このため、ラック軸3側から逆入力を与える第1試験と、ラック軸3に負荷を付与しつつ、ピニオン軸2側から正入力を与える第2試験とを単一の試験装置Aで実施することができる。
【0043】
第2試験では、負荷付与部を比例負荷付与部70として構成し、ピニオン軸2側から正入力に対して、比例負荷を与えることができる。
また、第1試験条件下で、第1荷重検出部91ないし第2荷重検出部92により検出される荷重によって、逆入力に対するラック軸3の摺動荷重を測定することができる。
また、第2試験条件下で、正入力に対して負荷を付与しつつ、第1荷重検出部91ないし第2荷重検出部92により検出される荷重によって、ラック軸3の出力荷重を測定することができる。
【0044】
また、第1スライダ30を駆動するためのアクチュエータ50が、ベース10に対する第1スライダ30の移動を規制する第1ストッパを兼用するので、構造を簡素化することができる。
第1実施形態において、ステアリングサブアセンブリ1として、アシスト用の前記ピニオン軸2と、ステアリングホイールからのマニュアル操舵力を伝達するためのピニオン軸(図示せず)とが、ともにラック軸3と係合しているステアリングサブアセンブリが用いられてもよい。
(第2実施形態)
図5(a),(b)は、本発明の第2実施形態の試験装置APを示している。第2実施形態の試験装置APの試験対象であるステアリングサブアセンブリ1Pは、アシスト用の前記ピニオン軸2の他、ステアリングホイール(図示せず)からのマニュアル(手動)操舵力を伝達するためのピニオン軸7を備える。アシスト用のピニオン軸2と、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7とが、ともにラック軸3と係合している。
【0045】
図示していないが、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7の近傍には、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7に負荷されるトルクを検出するトルクセンサ(不図示)が配置されている。
図5(a)は、ラック軸3をフリーにした状態で、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸側からの正入力を与える第3試験の準備状態を示し、図5(b)は、第3試験の実行中の状態を示している。
【0046】
第2実施形態の試験装置APが、第1実施形態の試験装置Aと異なるのは、第2実施形態の試験装置APに、ロータリアクチュエータ100および副アクチュエータ110が付加されている点である。
すなわち、第2実施形態の試験装置APは、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7に対して、図5(b)に示す正入力(トルクT1)を与えるロータリアクチュエータ100を備える。
【0047】
ロータリアクチュエータ100は、固定部101と、回転軸102とを含み、例えばサーボモータにより構成されている。固定部101は、ベース10に固定部材(図示せず)を介して固定されている。回転軸102は、ピニオン軸7と一体回転可能に連結されている。
また、試験装置APは、副アクチュエータ110を備える。副アクチュエータ110は、ベース10によって支持され、第2スライダ40を摺動方向Xに移動させる。副アクチュエータ110は、固定部111と、可動部112とを含み、例えばサーボシリンダにより構成されている。
【0048】
副アクチュエータ110の固定部111は、ベース10に、固定アーム14を介して固定されている。可動部112は、固定部111によって摺動方向Xに進退駆動される。可動部112は、第2スライダ40と摺動方向Xに一体移動可能に連結されている。
第2実施形態の試験装置APは、第1実施形態の試験装置Aの全要素を含む。このため、第2実施形態の試験装置APは、第1実施形態と同じく、第1試験と、第2試験とを実施可能である。
【0049】
また、試験装置APは、第3試験を実施可能である。第3試験では、図5(a),(b)に示すように、アクチュエータ50は、停止状態とされ、第1ストッパとして働く状態(第1ストッパの拘束状態)にある。アクチュエータ50は、ベース10に対して、第1スライダ30を摺動方向Xの基準位置に拘束している。第2ストッパ60は、非拘束状態にあり、第1スライダ30と第2スライダ40との相対移動を許容している。このため、ベース10および第1スライダ30に対して、第2スライダ40、第1押圧部81および第2押圧部82が、摺動方向Xに一体移動する。
【0050】
第3試験では、ロータリアクチュエータ100によりマニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7が、回転駆動され、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7から正入力(トルクT1)が与えられる。このとき、ロータリアクチュエータ100の回転に同期して駆動される副アクチュエータ110によって、第2スライダ40を介して各押圧部81,82が、移動するラック軸3の対応する端部3b,3cからそれぞれ離間する状態に維持される。すなわちラック軸3は、フリーな状態で移動する。
【0051】
第3試験では、マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸7に負荷されるトルクが、ステアリングサブアセンブリ1Pにおいてマニュアル操舵力伝達用のピニオン軸2の近傍に配置されているトルクセンサ(図示せず)により検出される。
以上のように、第2実施形態では、単一の試験装置APで、第1〜第3試験を実施することができる。
【0052】
本発明は各前記実施形態に限定されるものではない。例えば、各前記実施形態では、停止状態のアクチュエータ50が、第1スライダ30を基準位置に拘束する第1ストッパを兼用するが、これに限らず、第1ストッパが、アクチュエータ50から独立して設けられてベース10によって支持されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1;1P…ステアリングサブアセンブリ、2…ピニオン軸、2a…ピニオン、3…ラック軸、3a…ラック、3b…第1端部、3c…第2端部、4…ハウジング、5…電動モータ、5a…モータハウジング、6…減速機構、6a…ギヤハウジング、7…マニュアル操舵力伝達用のピニオン軸、10…ベース、11…支持面、12…スライド溝、13…固定アーム、20…ハウジング支持部、21…固定クランプ、22…可動クランプ、23…駆動部材、30…スライダ、30a…スライド突起、31…支持面、32…スライド溝、33…中間凸部、33a…第1端面、33b…第2端面、40…第2スライダ、41…第1部分、42…第2部分、43…連結部、44…第1凸部、45…第2凸部、46…第1押しロッド、47…第2押しロッド、48,49…固定アーム、50…アクチュエータ(第1ストッパ)、51…固定部、52…可動部、60…第2ストッパ、61…駆動部材、62…固定部、63…可動部、70…比例負荷付与部、71…収容ケース、71a…筒状部、71b…第1端壁部、71c…第2端壁部、71d…挿通孔、72…圧縮コイルばね、72a…第1端部、72b…第2端部、73…第1ばね座部材、74…第2ばね座部材、81…第1押圧部、82…第2押圧部、91…第1荷重検出部、92…第2荷重検出部、100…ロータリアクチュエータ、110…副アクチュエータ、A;AP…(ステアリングサブアセンブリ用)試験装置、BC…基準軸線、C1…中心軸線、T;T1…トルク(正入力)、X…摺動方向、X1…第1摺動方向、X2…第2摺動方向、Y…クランプ方向、Z…進退方向
図1
図2
図3
図4
図5