音波送信前の音響データ及び音波送信後の反射波データ中に多様な人工雑音が含まれていることを判定することができるアクティブソーナー装置及びその信号処理方法を提供する。
アクティブソーナー装置は、音波を送信及び受信して音響データを出力する送受波部1と、音波送信前に人工雑音の存在する1つ以上の方位の音響データから予め定めておいた時間長さのレプリカ雑音データを生成する人工雑音抽出部4と、レプリカ雑音データを用いて音波送信後音響データから人工雑音を除去する人工雑音除去部6とを有している。
前記人工雑音抽出部は、前記人工雑音をドップラーシフトしてレプリカ雑音データを生成する人工雑音ドップラーシフト生成部を有する請求項1又は2に記載のアクティブソーナー装置。
前記音波送信後音響データに対して、前記レプリカ雑音データと相関を取り、相関が高いものを人工雑音除去用データとして選定する人工雑音除去用データ選定部を有する請求項1又は2に記載のアクティブソーナー装置。
前記人工雑音除去部は、前記音波送信後音響データを、方位ごとに、ある定められた時間区切りで、単位時間の音響データに分割し、前記単位時間の音響データの音響レベルを元に、前記人工雑音が含まれている方位及び時間を判定する除去対象データ抽出回路を有する請求項1から3のいずれかに記載のアクティブソーナー装置。
【背景技術】
【0002】
アクティブソーナー装置は、送波器から水中に音波を送波して、目標からの反射音を受波器にて受波することで、目標物を検出して表示するのに用いられている。アクティブソーナー装置は、例えば港湾など人工物が多い海域においては、目標からの反射音以外にも、海底や海面からの残響、波浪や熱などによる自然雑音、船舶の推進器などによる人工雑音を受波することが多い。そのため、アクティブソーナー装置は、目標からの反射音以外の受波信号、特に船舶の推進器などによる人工雑音の影響を低減させる必要がある。
【0003】
船舶などの人工雑音の影響を除去する手法としては、例えば特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に記載のアクティブソーナー装置は、音波を送波した時に得られる受波信号を単位反射波データに分割し、予め記憶しておいた人工雑音を含んだ音波送波前の音響データの中で単位反射波データごとに最も相関の高い部分を、雑音除去用データとしている。
【0004】
また特許文献2に記載の船舶の音響雑音監視システムは、エンジン及びプロペラ等の雑音発生機器に音圧センサーを設け、ソーナの近傍の音圧センサーの信号をソーナにおける背景雑音としている。各機器に設置された音圧センサーから得られる信号との相互関連を分析して、ソーナの背景雑音への寄与度が大きい雑音発生機器を特定するよう構成されている。
【0005】
また特許文献3に記載のアクティブソーナー装置は、送受波部から水中に音波を送信し得られた反射波を時間軸上で分割して分割した複数の単位反射波について、音波を送信しない時に得られた雑音波の中から波形的に相関性が最も高い部分の部分雑音波を除去用雑音波データとして抽出する。単位反射波に対してそれぞれ対応する除去用雑音波データを振幅的に減算処理して雑音を除去した雑音除去単位反射波を順次生成し、この雑音除去単位反射波を連続した受信反射波信号に変換し受波信号処理部へ出力するよう構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態のアクティブソーナー装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のアクティブソーナー装置は、音波を送波及び受波する送受波器部1と、受波した音響データを音波送信前と送信後に分ける切替器2と、送信前音響データを記憶する送信前音響記憶部3と、記憶した送信前音響データから人工雑音を抽出する人工雑音抽出部4とを備えている。また、本実施形態のアクティブソーナー装置は、音波送信後の反射波を含む音響データを記憶する反射波記憶部5と、音波送信後の音響データから抽出した人工雑音を除去する人工雑音除去部6と、人工雑音除去後の音響データを処理する受波信号処理部7と、処理結果を表示する表示操作部8を特徴とする。
【0015】
図2は、
図1の送受波器部1により受信された音響データを示す図である。
図2の横軸は、時間であり、新しい音響データほど図の上方に示している。また横軸は方位であり、2次元的に音響データの強さを図示している。白いほど音響レベルが高いことを示している。
【0016】
また、
図3は、音波送信前における人工雑音の方位θ1における音響データを示す図である。また
図4は、自然雑音が支配的な時間に人工雑音のレベルが高くなる方位θ2における音響データを示す図である。このように音響データは、各方位の
図3及び
図4に示すような音響データを集合したものであるとしてよい。
【0017】
図2に示すように音波送信後、全方位、しばらくは出射した音波が周囲の構造物や海底から反射した残響により音響レベルが高く、その後、音響レベルは徐々に低くなり、波などの自然雑音が支配的な時間になる。
【0018】
例えば船舶による人工雑音は、
図2に示すように、白い縦線状に現れる。また図の上方の、自然雑音が支配的な時間における人工雑音の高い方位、例えば方位θ2は、音波送信前における人工雑音の高い方位θ1とずれており、音波送信前には音響データが高くなかった方位となっている。このことから、人工雑音の音源は移動していることがわかる。
【0019】
本発明は、
図2に示された状況で、例えばθ2で音響レベルの高いときの音響データは、音波送信前に方位θ1において受信していた人工雑音であると判定することができる。また音波送信後の音響データからこの人工雑音と同じ音響データを削除することができる。
【0020】
図5は第1の実施形態の人工雑音のレプリカを取得するタイミングを示す説明図である。
図5に示すように本実施形態のアクティブソーナー装置は、周期的に、例えば周期Tで、時刻t1、t2、t3、t4に音波を送信する。音波を送信する時刻t1からt4の前の所定時間δtの音響データから人工雑音のレプリカを取得する。取得したレプリカに基づいて、次の音波を送信するまでの期間の送信後の音響データの人工雑音を除去する。すなわちt1より前の音響データから取得した人工雑音のレプリカに基づいてt1−t2間の人工雑音を除去する。
【0021】
図1にもどり、アクティブソーナー装置の各構成要素について説明する。送受波器部1は、全方位に音波を送信する。また全方位からの音波を受信し、音響データを切替器2に出力する。
【0022】
切替器2は、送受波器部1からの音響データの出力先を切替える。具体的には、切替器2は、音波送信前所定時間に受信した音波の音響データの出力先を送信前音響記憶部3にする。また、切替器2は、音波送信後の音響データの出力先を反射波記憶部5に切り替える。
【0023】
人工雑音抽出部4は、送信前音響記憶部3に記憶した送信前音響データから人工雑音を抽出する。人工雑音抽出部4は、抽出した人工雑音を人工雑音除去部6に出力する。
【0024】
図6は、人工雑音抽出部4の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、人工雑音抽出部4は、人工雑音有無判定回路41と、人工雑音除去用データ生成回路42と、人工雑音ドップラーシフト生成回路43とを備えている。
【0025】
人工雑音有無判定回路41は、音波送信前の音響データから人工雑音が存在する方位を判定する。例えば人工雑音有無判定回路41には、予め音響レベルや音響長の閾値が設定されている。人工雑音有無判定回路41は、送信前音響データが入力されると、方位方向にピークピックを行い、送信前音響データにおいて音響レベルや音響長が閾値を超える方位を検出する。検出された方位を人工雑音の存在する方位として記憶する。ここで音響レベルや音響長が閾値を超える方位が1つ以上あれば全ての方位を人工雑音の存在する方位として記憶する。
【0026】
人工雑音除去用データ生成回路42は、人工雑音有無判定回路41により人工雑音の存在する方位が判定された後、音響レベルや音響長が閾値を超える方位ごとに、音波送信前に人工雑音の存在した1つ以上の方位の音響データから予め定めておいた時間長さのレプリカ雑音データを生成する。
【0027】
また人工雑音ドップラーシフト生成回路43は、音波送信前に人工雑音の存在した1つ以上の方位につき、それぞれ異なる複数のドップラーシフト周波数を想定し、想定した複数の周波数のレプリカ雑音データを生成する。例えば、人工雑音ドップラーシフト生成回路43には、予めドップラーシフトの周波数の刻みΔfや上限fmax、下限fmin等、ドップラーシフトの周波数を生成するためのパラメータが設定されてもよい。そして基本周波数fのレプリカ雑音データに対し、基本周波数がf+Δfからfmaxまでと、基本周波数がf−ΔfからfminまでΔfずつ基本周波数を変えた複数の周波数のレプリカ雑音データを生成してもよい。ここで信号処理部7が、表示操作部8に、上記ドップラーシフトの周波数を生成するためのパラメータの入力を促す入力画面を表示させ、操作者の入力に基づいて、上記ドップラーシフトの周波数を生成するためのパラメータを人工雑音ドップラーシフト生成回路43に設定するよう構成されてもよい。人工雑音ドップラーシフト生成回路43は、ドップラーシフト周波数の異なる複数のレプリカ雑音データを人工雑音除去部6に出力する。
【0028】
人工雑音除去部6は、人工雑音抽出部4から出力されたレプリカ雑音データを用いて音波送信後の音響データから人工雑音を除去する。
図7は、人工雑音除去部6の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、人工雑音除去部6は、除去対象データ抽出回路61と、人工雑音除去用データ選定回路62と、除去用データレベル調整回路63と、人工雑音減算処理回路64とを備えている。
【0029】
除去対象データ抽出回路61は、反射波記憶部5において保存されていた人工雑音を含んだ音波送信後の音響データを、予め定められた方位ごとに、予め定められた単位時間の音響データに分割する。除去対象データ抽出回路61は、その後、その単位時間の音響データの音響レベルや音響長を元に、人工雑音が含まれている方位及び時間を判定する。除去対象データ抽出回路61は、各方位、各時間区切りにおいて定められた閾値を超えた人工雑音が含まれている単位時間の音響データのみを抽出する。
【0030】
図8は、除去対象データ抽出回路61により人工雑音が含まれていると判定された方位及び時間のセルを黒色のセルで示した図である。除去対象データ抽出回路61は、例えば、人工雑音が含まれていると判定された方位及び時間の単位時間の音響データのみに対して、人工雑音除去処理を行う。
【0031】
人工雑音除去用データ選定回路62は、除去対象データ抽出回路61にて抽出された人工雑音を含む単位時間の音響データのそれぞれに対して、人工雑音抽出部4から出力されたレプリカ雑音、及びドップラーシフトしたレプリカ雑音データ全てと相関を取る。人工雑音除去用データ選定回路62は、最も相関が高かったレプリカ雑音を人工雑音除去用データとして選定する。
【0032】
除去用データレベル調整回路63は、人工雑音を含む単位時間の音響データから、人工雑音除去用データを減算する際、残存する人工雑音が最小になるよう、人工雑音除去用データの音響レベルを調整する。調整する際には、例えば特許第3452019号に開示された適用アルゴリズムを用いても良い。すなわち、人工雑音除去用データXaに対し、重み係数Waにより振幅制御された人工雑音除去用データA
n=W
an×X
aを生成し、単位時間の音響データSから振幅制御された人工雑音除去用データA
nを減じて仮除去処理データE
nを生成する。そして、この仮除去処理データE
nが最適に雑音除去されているか正否判定し、否ならば重み係数W
an+1をW
an+1=W
an+μ×C
n(C
n:係数修正量、μ:定数)で計算してフィードバックするステップを繰り返す。このことにより、仮除去処理データE
nが収束し、仮除去処理データE
nと前回に求まったE
n−1の差の2乗値(E
n−E
n−1)
2が、予め設定されている定数値Dよりも小さくなれば調整を終了する。除去用データレベル調整回路63は、調整した音響レベルを人工雑音減算処理回路64に出力する。
【0033】
人工雑音減算処理回路64は、除去用データレベル調整回路63から出力された音響レベルに基づき音響レベルを調整した人工雑音除去用データを、除去対象データ抽出回路61から出力された単位時間反射波から減算して出力する。このようにして最適に人工雑音を除去することが可能となる。
【0034】
なお除去対象データ抽出回路61で抽出された複数の単位時間の音響データに対して、人工雑音除去用データ選定回路62、除去用データレベル調整回路63、人工雑音減算処理回路64は、並列処理を行うために複数設けられても良い。
【0035】
人工雑音減算処理回路64で最適に人工雑音が除去された音響データは、後段の受波信号処理部7において、信号処理をされ、信号処理結果が最終的に表示操作部8に表示される。例えば信号処理部7は、人工雑音を除去した音響データに基づいて送受波器部1から送信した音波を反射する物体の方位や距離を算出する。表示操作部8は送受波器部1から送信した音波を反射する物体の位置を周辺の地図と合成して2次元的に表示する。
【0036】
また信号処理部7は、人工雑音が除去される前の音響データをもとに信号処理を行い、表示操作部8に表示させてもよい。例えば、信号処理部7は、人工雑音が除去される前の音響データ又は人工雑音が除去された音響データをもとに、
図2に示したような音響データを2次元的に示したイメージや、
図3、4に示したような特定の方位の音響データのイメージを表示するための信号処理を行う。そして、表示操作部8に音響データを2次元的に示したイメージや、特定の方位の音響データのイメージを表示させてもよい。
【0037】
また、信号処理部7は、
図7に示したように、除去対象データ抽出回路61により人工雑音が含まれていると判定された方位及び時間のセルを表示操作部8に表示させるための信号処理を行い、表示操作部8に人工雑音が含まれていると判定された方位及び時間のセルを表示させてもよい。なお表示される画像は、
図8に示したイメージに限られず、人工雑音が含まれていると判定された方位及び時間を示すものであればよい。
【0038】
以上、説明したように本実施形態のアクティブソーナー装置は、音波送信前音響データ及び、音波送信後の反射波データ中に人工雑音が含まれていることを判定することが可能になる。それにより人工雑音が含まれていない方位や時間のデータに関して、計算する必要はなくなり、計算資源の節約となる。
【0039】
また音波送信前音響データに人工雑音が含まれている方位と、音波送信後の音響データ中の人工雑音が含まれている方位とが異なるような場合にも、人工雑音レプリカ生成及び人工雑音除去が可能となる。更に、人工雑音が複数ある場合や、ドップラーシフトしている場合についての対処も可能となる。これらにより、人工雑音の除去精度が向上する。
【0040】
次に人工雑音のレプリカを取得するタイミングを変えた第2の実施形態について説明する。
図9は第2の実施形態の人工雑音のレプリカを取得するタイミングを示す説明図である。
【0041】
本実施形態においては、次に音波を送信する前の自然雑音が支配的な時間の音響データから人工雑音のレプリカを取得し、その時間以前の、残響が支配的な時間の音響データの人工雑音を除去する実施形態である。すなわち、
図9に示すようにアクティブソーナー装置は、時刻t1、t2、t3、t4に音波を送信する場合、次に音波を送信する時刻t2、t3、t4の前の所定時間δtの音響データから人工雑音のレプリカを取得する。取得したレプリカに基づいて、レプリカを取得した音響データより前の、それぞれt1からt2、t2からt3、t3からt4の音響データの人工雑音を除去する。
【0042】
また本実施形態においては、受信した音響データをすべて反射波記憶部5に記憶し、切替部2及び送信前音響記憶部3を備えていない点で第1の実施形態の構成と異なる。
図10は第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0043】
送受波器部1は、第1の実施形態と同様、全方位に音波を送信する。一方、送受波器部1は、本実施形態においては全方位からの音波を受信し、受信した音響データを反射波記憶部5に出力する。
【0044】
本実施形態では、人工雑音抽出部14は、反射波記憶部5から、残響が支配的な時間の音響データの後に記憶されている自然雑音が支配的な時間の音響データを取得し、取得したから人工雑音を抽出する。人工雑音抽出部14は、抽出した人工雑音を人工雑音除去部6に出力する。
【0045】
図11は、
図10の人工雑音抽出部14の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、人工雑音抽出部14は、反射波記憶部5から、残響が支配的な時間の音響データの後に記憶されている自然雑音が支配的な時間の音響データを取得するレプリカ用音響データ取得部44を備えている点で第1の実施形態の人工雑音抽出部4と異なる。レプリカ用音響データ取得部44は、反射波記憶部5から、人工雑音除去の対象とする時間の次に音波を送信する前の所定時間δtの音響データを取得し、人工雑音有無判定回路41に出力する。人工雑音有無判定回路41、人工雑音除去用データ生成回路42、人工雑音ドップラーシフト生成回路43は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
人工雑音除去部6は、人工雑音抽出部14から出力されたレプリカ雑音データを用いてレプリカを取得した音響データより前の音波送信後の音響データから人工雑音を除去する。
【0047】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1の実施形態の構成と比較して切替部2及び送信前音響記憶部3を備えていない点で簡単な構成とすることができる。
【0048】
なお上述の実施形態では、アクティブソーナー装置は不揮発性メモリ(不図示)に記憶されているプログラムを実行することで人工雑音抽出処理、人工雑音除去処理及び受信信号処理等の機能を実現することができる。この場合、アクティブソーナー装置が実行するプログラムはコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶してもよく、通信回線を介してサーバからダウンロードするようにしてもよい。また、アクティブソーナー装置は内部にコンピュータシステムを有しており、その処理手順はプログラム形式でコンピュータ読取り可能な記録媒体によって記憶されており、コンピュータシステムが当該プログラムを読み出して実行することにより人工雑音抽出処理、人工雑音除去処理及び受信信号処理等を実現することができる。尚、「コンピュータシステム」とはCPU、メモリ、周辺機器などのハードウェア、オペレーティングシステム(OS)などのソフトウェアを包含する。また、「コンピュータシステム」はWWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境・表示環境を包含する。
【0049】
また、上述のフローチャートに表された人工雑音抽出処理、人工雑音除去処理及び信号処理等を実現するプログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録して、当該プログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書込可能な不揮発性メモリ、CD−ROMなどの可搬記録媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を意味する。
【0050】
また、「コンピュータ読取り記録媒体」とは、インターネットなどのネットワーク、通信回線、電話回線を介してプログラムを送信する場合に用いられるサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えば、DRAM)のように一定時間プログラムを保持しているものを含む。上述のプログラムを記憶装置に格納したコンピュータシステムから伝送媒体を介して、或いは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送するようにしてもよい。「プログラムを伝送する伝送媒体」とはインターネットなどのネットワーク(通信網)、電話回線、通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体を意味する。また、上述のプログラムは本発明に係る人工雑音抽出、人工雑音除去及び信号処理等の機能の一部を実現するものであってもよい。或いは、上述のプログラムはコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで本発明の機能を実現するような差分プログラム(又は、差分ファイル)としてもよい。
【0051】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0052】
例えば、残存する人工雑音の音響レベルが大きくなる可能性があるものの、計算負荷が大きい場合、もしくは人工雑音源が静止しているなどドップラーシフトが小さい場合、その他様々な場合においては、人工雑音抽出部4は、人工雑音ドップラーシフト生成回路43を省いた構成としても良い。