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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-223909(P2016-223909A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】超音波流量計及び流速分布制御器
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20161205BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   G01F1/66 101
   G01F1/66 Z
   G01F1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-110430(P2015-110430)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐樹
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CF01
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】より偏流の影響を受けにくい超音波流量計を提供する。
【解決手段】流体が流れる計測配管部1に対して第1の超音波信号を入射する第1の超音波トランスデューサ101と、第1の超音波信号を受信可能な位置に配置され、計測配管部1に対して第2の超音波信号を入射する第2の超音波トランスデューサ102と、計測配管部1に接続され、計測配管部1の中心軸に対して回転可能であり、断面において、流体の進行に相対的に強い抵抗を与える強抵抗領域と、流体の進行に相対的に弱い抵抗を与える弱抵抗領域と、が設けられた流速分布制御器50と、を備える超音波流量計。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる断面形状が円の計測配管部に対して第1の超音波信号を入射する第1の超音波トランスデューサと、
前記第1の超音波信号を受信可能な位置に配置され、前記計測配管部に対して第2の超音波信号を入射する第2の超音波トランスデューサと、
前記第1の超音波信号が前記配管内を経て前記第2の超音波トランスデューサに到達するまでの第1の時間と、前記第2の超音波信号が前記配管内を経て前記第1の超音波トランスデューサに到達するまでの第2の時間と、に基づき、前記計測配管部内の流体の流速を算出する流速算出部と、
前記計測配管部に接続され、前記計測配管部の中心軸に対して回転可能であり、断面において、前記流体の進行に相対的に強い抵抗を与える強抵抗領域と、前記流体の進行に相対的に弱い抵抗を与える弱抵抗領域と、が設けられた流速分布制御器と、
を備える、超音波流量計。
【請求項2】
前記流速分布制御器に到達した前記流体の流速分布において、流速が速い部分に前記強抵抗領域があたり、前記流速が遅い部分に前記弱抵抗領域があたるよう、前記流速分布制御器が回転される、請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記流速分布制御器に、前記流体が通過する複数の開口が回転中心に対して非対称的に設けられている、請求項1又は2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記流速分布制御器が、
円筒状の側壁部と、
前記計測配管部と異なる中心軸を備える筒状部材と、
前記筒状部材の外周から前記側壁部に放射状に配置された板状部材と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記筒状部材が円筒状である、請求項4に記載の超音波流量計。
【請求項6】
前記筒状部材が角筒状である、請求項4に記載の超音波流量計。
【請求項7】
前記流速分布制御器が、
個々の孔の開口面積が小さい小メッシュ領域と、
個々の孔の開口面積が大きい大メッシュ領域と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【請求項8】
前記小メッシュ領域の中心が前記流速分布制御器の中心軸と異なっており、
前記大メッシュ領域が前記小メッシュ領域を囲んでいる、
請求項7に記載の超音波流量計。
【請求項9】
前記計測配管部の外周に突起が設けられており、
前記流速分布制御器に、前記計測配管部の突起と接する段部が設けられている、請求項1から8のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【請求項10】
前記計測配管部の突起が、前記計測配管部の外周を一周しており、
前記流速分布制御器の段部が、前記流速分布制御器の外周を一周している、
請求項9に記載の超音波流量計。
【請求項11】
前記計測配管部の外周と、前記流速分布制御器の段部と、の間に配置されるガスケットを更に備える、請求項9又は10に記載の超音波流量計。
【請求項12】
前記ガスケットがOリングである、請求項11記載の超音波流量計。
【請求項13】
超音波流量計の計測配管部に接続される流速分布制御器であって、前記計測配管部の中心軸に対して回転可能であり、断面において、当該流速分布制御器を流れる流体の進行に相対的に強い抵抗を与える強抵抗領域と、前記流体の進行に相対的に弱い抵抗を与える弱抵抗領域と、が設けられた流速分布制御器。
【請求項14】
当該流速分布制御器に到達した前記流体の流速分布において、流速が速い部分に前記強抵抗領域があたり、前記流速が遅い部分に前記弱抵抗領域があたるよう回転される、請求項13に記載の流速分布制御器。
【請求項15】
前記流体が通過する複数の開口が回転中心に対して非対称的に設けられている、請求項13又は14に記載の流速分布制御器。
【請求項16】
円筒状の側壁部と、
前記計測配管部と異なる中心軸を備える筒状部材と、
前記筒状部材の外周から前記側壁部に放射状に配置された板状部材と、
を備える、請求項13から15のいずれか1項に記載の流速分布制御器。
【請求項17】
前記筒状部材が円筒状である、請求項16に記載の流速分布制御器。
【請求項18】
前記筒状部材が角筒状である、請求項16に記載の流速分布制御器。
【請求項19】
個々の孔の開口面積が小さい小メッシュ領域と、
個々の孔の開口面積が大きい大メッシュ領域と、
を備える、請求項13から15のいずれか1項に記載の流速分布制御器。
【請求項20】
前記小メッシュ領域の中心が前記流速分布制御器の中心軸と異なっており、
前記大メッシュ領域が前記小メッシュ領域を囲んでいる、
請求項19に記載の流速分布制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体計測技術に関し、特に超音波流量計及び流速分布制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の流量の計測には、超音波流量計が用いられることがある(例えば、特許文献1、2参照。)。超音波流量計は、配管の上流側と下流側にそれぞれ設けられた超音波トランスデューサを備える。超音波流量計は、配管の中を流れる流体に向かって超音波を送り込み、流体の上流から下流方向に従って伝播する超音波の伝播時間と、下流から上流方向に逆らって伝播する超音波の伝播時間と、の時間差に基づき、配管内を流れる流体の流速又は流量を算出する。特許文献3は、流速又は流量の算出方法として、相関法及びゼロクロス法等を開示している。
【0003】
配管内を流れる流体に偏流が生じると、超音波流量計で流体の流量を正確に計測できない場合がある。これに対し、配管に複数の超音波トランスデューサの組みを配置し、それぞれの超音波トランスデューサの組みから得られた流体の流速の平均値に基づき、偏流の影響を排して流体の流量を算出する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−182097号公報
【特許文献2】特開2013−178125号公報
【特許文献3】特表2013−88322号公報
【特許文献4】実公平03−007787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より偏流の影響を受けにくい超音波流量計及び流速分布制御器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、(a)流体が流れる断面形状が円の計測配管部に対して第1の超音波信号を入射する第1の超音波トランスデューサと、(b)第1の超音波信号を受信可能な位置に配置され、計測配管部に対して第2の超音波信号を入射する第2の超音波トランスデューサと、(c)第1の超音波信号が配管内を経て第2の超音波トランスデューサに到達するまでの第1の時間と、第2の超音波信号が配管内を経て第1の超音波トランスデューサに到達するまでの第2の時間と、に基づき、計測配管部内の流体の流速を算出する流速算出部と、(d)計測配管部に接続され、計測配管部の中心軸に対して回転可能であり、断面において、流体の進行に相対的に強い抵抗を与える強抵抗領域と、流体の進行に相対的に弱い抵抗を与える弱抵抗領域と、が設けられた流速分布制御器と、を備える、超音波流量計が提供される。なお、本開示において、断面形状が円とは、断面形状が円である部分が少なくともあればよく、断面形状が円である部分に追加して他の形状の部分があってもよい。
【0007】
流速分布制御器に到達した流体の流速分布において、流速が速い部分に強抵抗領域があたり、流速が遅い部分に弱抵抗領域があたるよう、上記の超音波流量計において、流速分布制御器が回転されてもよい。
【0008】
上記の超音波流量計において、流速分布制御器に、流体が通過する複数の開口が回転中心に対して非対称的に設けられていてもよい。
【0009】
上記の超音波流量計において、流速分布制御器が、円筒状の側壁部と、計測配管部と異なる中心軸を備える筒状部材と、筒状部材の外周から側壁部に放射状に配置された板状部材と、を備えていてもよい。筒状部材が円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。
【0010】
上記の超音波流量計において、流速分布制御器が、個々の孔の開口面積が小さい小メッシュ領域と、個々の孔の開口面積が大きい大メッシュ領域と、を備えていてもよい。小メッシュ領域の中心が流速分布制御器の中心軸と異なっており、大メッシュ領域が小メッシュ領域を囲んでいてもよい。
【0011】
上記の超音波流量計において、計測配管部の外周に突起が設けられており、流速分布制御器に、計測配管部の突起と接する段部が設けられていてもよい。計測配管部の突起が、計測配管部の外周を一周しており、流速分布制御器の段部が、流速分布制御器の外周を一周していてもよい。
【0012】
上記の超音波流量計が、計測配管部の外周と、流速分布制御器の段部と、の間に配置されるガスケットをさらに備えていてもよい。ガスケットがOリングであってもよい。
【0013】
また、本発明の態様によれば、超音波流量計の計測配管部に接続される流速分布制御器であって、計測配管部の中心軸に対して回転可能であり、断面において、当該流速分布制御器を流れる流体の進行に相対的に強い抵抗を与える強抵抗領域と、流体の進行に相対的に弱い抵抗を与える弱抵抗領域と、が設けられた流速分布制御器が提供される。
【0014】
上記の流速分布制御器が、当該流速分布制御器に到達した流体の流速分布において、流速が速い部分に強抵抗領域があたり、流速が遅い部分に弱抵抗領域があたるよう回転されてもよい。
【0015】
上記の流速分布制御器に、流体が通過する複数の開口が回転中心に対して非対称的に設けられていてもよい。
【0016】
上記の流速分布制御器が、円筒状の側壁部と、計測配管部と異なる中心軸を備える筒状部材と、筒状部材の外周から側壁部に放射状に配置された板状部材と、を備えていてもよい。筒状部材が円筒状であってもよく、角筒状であってもよい。
【0017】
上記の流速分布制御器が、個々の孔の開口面積が小さい小メッシュ領域と、個々の孔の開口面積が大きい大メッシュ領域と、を備えていてもよい。小メッシュ領域の中心が流速分布制御器の中心軸と異なっており、大メッシュ領域が小メッシュ領域を囲んでいてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より偏流の影響を受けにくい超音波流量計及び流速分布制御器を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的上面図である。
図2図1のII−II方向から見た、本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図3図1のIII−III方向から見た、本発明の第1の実施の形態に係る流速分布制御器の模式的断面図である。
図4】流体の進行方向から見た、本発明の第1の実施の形態に係る流速分布制御器の模式的側面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図8】流体の進行方向に対して垂直方向から見た、本発明の参考例に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図9】流体の進行方向から見た、本発明の参考例に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図10】流体の進行方向から見た、本発明の参考例に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図11】流体の進行方向から見た、本発明の参考例に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図12】流体の進行方向から見た、本発明の参考例に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図13】流体の進行方向から見た、本発明の第1の実施の形態に係る超音波流量計に接続される上流配管の模式的断面図である。
図14】流体の進行方向から見た、本発明の第1の実施の形態に係る流速分布制御器の模式的断面図である。
図15】本発明の第1の実施の形態に係る流速分布制御器の模式的断面図である。
図16】本発明の第2の実施の形態に係る超音波流量計の模式的断面図である。
図17】本発明の第2の実施の形態に係る流速分布制御器の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る超音波流量計は、上面図である図1、II−II方向から見た断面図である図2、及び図1のIII−III方向から見た断面図である図3に示すように、流体が流れる断面形状が円の計測配管部1に対して第1の超音波信号を入射する第1の超音波トランスデューサ101と、第1の超音波信号を受信可能な位置に配置され、計測配管部1に対して第2の超音波信号を入射する第2の超音波トランスデューサ102と、第1の超音波信号が計測配管部1内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間と、第2の超音波信号が計測配管部1内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間と、に基づき、計測配管部1内の流体の流速を算出する流速算出部302と、計測配管部1に接続され、計測配管部1の中心軸に対して回転可能であり、断面において、流体の進行に相対的に強い抵抗を与える強抵抗領域と、流体の進行に相対的に弱い抵抗を与える弱抵抗領域と、が設けられた流速分布制御器50と、を備える。
【0022】
図2に示すように、流速分布制御器50は、例えば、計測配管部1の上流側に接続される。流速分布制御器50の上流側には、断面形状が円の上流配管2に接続される。上流配管2の端部には、フランジ状の突起部12が設けられている。突起部12は、上流配管2の外周上を周回している。計測配管部1の中心軸方向から見て、突起部12の外周形状は円である。
【0023】
流速分布制御器50の上流側端部には、上流配管2の突起部12と接する、鉤上の段部52Aが設けられている。断面形状が円の流速分布制御器50の中心軸を上流側に延長した方向から見た図4に示すように、段部52Aは、流速分布制御器50の外周上を周回している。段部52Aの内周及び外周形状は円である。例えば、流速分布制御器50の段部52Aの内周の径は、図2に示す上流配管2の突起部12の外周の径と等しく、上流配管2端部の突起部12は、流速分布制御器50の段部52Aに挿入される。
【0024】
流体の流れ方向において、流速分布制御器50の段部52Aの内周の幅は、上流配管2の突起部12の外周の幅よりも長い。上流配管2の外周と、流速分布制御器50の段部52Aの内周と、上流配管2の突起部12の側壁と、の間には、Oリング等のガスケット4が配置される。さらに、上流配管2の外周には、環状部材6が固定されている。環状部材6は、突起部12に対して、上流配管2の開口の反対側に固定されている。環状部材6の内周の径は、上流配管2の外周の径と等しく、環状部材6の内周は、上流配管2の外周と密に接している。環状部材6の高さは、突起部12の高さよりも高く、環状部材6の側壁は、流速分布制御器50の段部52Aの端面と接する。
【0025】
流速分布制御器50の下流側に、断面形状が円の計測配管部1が接続される。計測配管部1の端部には、フランジ状の突起部11が設けられている。突起部11は、計測配管部1の外周上を周回している。計測配管部1の中心軸方向から見て、突起部11の外周形状は円である。
【0026】
流速分布制御器50の下流側端部には、計測配管部1の突起部11と接する、鉤上の段部52Bが設けられている。段部52Bは、流速分布制御器50の外周上を周回している。流速分布制御器50の中心軸を下流側に延長した方向から見て、段部52Bの内周及び外周形状は円である。例えば、流速分布制御器50の段部52Bの内周の径は、計測配管部1の突起部11の外周の径と等しく、計測配管部1端部の突起部11は、流速分布制御器50の段部52Bに挿入される。
【0027】
流体の流れ方向において、流速分布制御器50の段部52Bの内周の幅は、計測配管部1の突起部11の外周の幅よりも長い。計測配管部1の外周と、流速分布制御器50の段部52Bの内周と、計測配管部1の突起部11の側壁と、の間には、Oリング等のガスケット5が配置される。さらに、計測配管部1の外周には、環状部材7が固定されている。環状部材7は、突起部11に対して、計測配管部1の開口の反対側に固定されている。環状部材7の内周の径は、計測配管部1の外周の径と等しく、環状部材7の内周は、計測配管部1の外周と密に接している。環状部材7の高さは、突起部11の高さよりも高く、環状部材7の側壁は、流速分布制御器50の段部52Bの端面と接する。
【0028】
図2及び図3に示すように、流速分布制御器50の断面には、流体が通過する複数の開口51a−51gが回転軸に対して非対称的に設けられている。なお、流速分布制御器50の回転軸は、計測配管部1の中心軸を上流方向に延長した軸と一致する。
【0029】
流速分布制御器50は、例えば、円筒状の側壁部53と、円筒状の側壁部53の中に配置された、計測配管部1の中心軸とは異なる中心軸を有する円筒状の筒状部材54と、筒状部材54の外周から側壁部53に放射状に配置された板状部材55a−55eと、を備える。例えば、円筒状の側壁部53の中心軸は、計測配管部1の中心軸と一致する。円筒状の側壁部53の空洞部が、開口51aをなしている。板状部材55a−55eのそれぞれは、側壁部53と筒状部材54とに接続されている。板状部材55a−55eによって、筒状部材54は、円筒状の側壁部53内に保持されている。
【0030】
板状部材55a、55b、筒状部材54、及び側壁部53で囲まれた空間が、開口51bをなしている。板状部材55b、55c、筒状部材54、及び側壁部53で囲まれた空間が、開口51cをなしている。板状部材55c、55d、筒状部材54、及び側壁部53で囲まれた空間が、開口51dをなしている。板状部材55d、55e、筒状部材54、及び側壁部53で囲まれた空間が、開口51eをなしている。板状部材55e、55f、筒状部材54、及び側壁部53で囲まれた空間が、開口51fをなしている。板状部材55f、55a、筒状部材54、及び側壁部53で囲まれた空間が、開口51gをなしている。
【0031】
開口51d、51e、51fの開口面積は、開口51g、51b、51cの開口面積より大きい。開口面積が大きい開口51d、51e、51fを含む領域が、流体の進行に対して弱い抵抗を与える弱抵抗領域であり、開口面積が小さい開口51g、51b、51cを含む領域が、流体の進行に対して強い抵抗を与える強抵抗領域である。なお、弱抵抗領域における弱い抵抗とは、強抵抗領域における抵抗に対して相対的に弱い抵抗であり、強抵抗領域における強い抵抗とは、弱抵抗領域における抵抗に対して相対的に強い抵抗であることを意味する。
【0032】
図2に示す固定され回転できない上流配管2及び計測配管部1に対し、断面形状が円である流速分布制御器50は、その中心軸である回転軸に対して回転可能である。流速分布制御器50は、流速分布制御器50に到達した流体の流速分布において、流速が速い部分に強抵抗領域があたり、流速が遅い部分に弱抵抗領域があたるよう、回転される。流速分布制御器50は、例えば手動で連続的に回転させられることが可能であるが、モータ等の回転機によって回転させられてもよい。
【0033】
第1の超音波トランスデューサ101は計測配管部1内を流れる流体の上流側に配置され、第2の超音波トランスデューサ102は下流側に配置される。図5に示すように、第1の超音波トランスデューサ101から発せられた第1の超音波信号は、計測配管部1内の流体中を進み、第2の超音波トランスデューサ102で受信される。また、図6に示すように、第2の超音波トランスデューサ102から発せられた第2の超音波信号は、計測配管部1内の流体中を進み、第1の超音波トランスデューサ101で受信される。例えば、第1の超音波トランスデューサ101と第2の超音波トランスデューサ102は、交互に駆動信号が印加され、交互に超音波信号を発する。
【0034】
第1の超音波トランスデューサ101から発せられた第1の超音波信号は、例えば、計測配管部1の中心軸を横切る。また、第2の超音波トランスデューサ102から発せられた第2の超音波信も、計測配管部1の中心軸を横切る。
【0035】
計測配管部1の内部においては、流体が流速vで流れている。上述したように、第1の超音波トランスデューサ101は計測配管部1内を流れる流体の上流側に配置され、第2の超音波トランスデューサ102は下流側に配置される。そのため、図5に示す第1の超音波トランスデューサ101から発せられた第1の超音波信号は、計測配管部1内の空洞部を流体の流れに従って伝播する。これに対し、図6に示す第2の超音波トランスデューサ102から発せられた第2の超音波信号は、計測配管部1内の空洞部を流体の流れに逆らって伝播する。よって、計測配管部1内の空洞部において、第1の超音波信号の伝播時間と、第2の超音波信号の伝播時間と、で、流体の流速vによる差が生じる。
【0036】
図5に示す計測配管部1内の流体の進行方向に対する第1の超音波信号の進行方向の角度をθ、計測配管部1内の流体における超音波の音速をcとすると、第1の超音波信号が計測配管部1内の空洞部を横切るために必要な伝播時間t1は、下記(1)式で与えられる。
1=L/(c+v・cosθ) (1)
また、図6に示す計測配管部1内の流体の進行方向に対する第2の超音波信号の進行方向の角度もθであり、第2の超音波信号が計測配管部1内の空洞部を横切るために必要な伝播時間t2は、下記(2)式で与えられる。
2=L/(c−v・cosθ) (2)
ここで、図7に示すように、Lは第1の超音波信号及び第2の超音波信号のそれぞれが計測配管部1内の空洞部を横切る長さを表す。
【0037】
上記(1)及び(2)式より、伝播時間t1の逆数と伝播時間t2の逆数との和は、下記(3)式で与えられる。
1/t1+1/t2=(c+v・cosθ)/L+(c−v・cosθ)/L
=2c/L (3)
上記(3)式より、計測配管部1内の空洞部を流れる流体における音速cは、下記(4)式で与えられる。
c=L(1/t1+1/t2)/2 (4)
【0038】
また、上記(1)及び(2)式より、伝播時間t2と伝播時間t1との差Δtは、下記(5)式で与えられる。
Δt=t2−t1≒(2Lv・cosθ)/c2 (5)
上記(5)式より、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速vは、下記(6)式で与えられる。ただし、下記(6)式で算出される流速vは、第1及び第2の超音波信号の伝播経路上における流体の平均流速である。
v=c2Δt/(2L・cosθ) (6)
ここで、角度θ及び長さLは、既知である。音速cは、上記(4)式より算出可能である。したがって、第1及び第2の超音波信号の伝播時間t1、t2の時間差Δtを計測することにより、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速vを算出可能である。
【0039】
第1及び第2の超音波信号の伝播時間t1、t2の時間差Δtは、相関法により求めてもよい。この場合、第1の超音波信号の受信信号の波形全体と、第2の超音波信号の受信信号の波形全体と、の相互相関関数を求め、求められた相互相関関数のピークから、第1及び第2の超音波信号の伝播時間t1、t2の時間差Δtを求めることが可能である。
【0040】
さらに、下記(7)式に示すように、流体の流速vに計測配管部1の断面積Sを乗じて、流体の流量Qを算出可能である。
Q=S・v (7)
【0041】
第1の超音波トランスデューサ101及び第2の超音波トランスデューサ102は、中央処理装置(CPU)300に電気的に接続されている。CPU300は、第1の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101から発せられてから計測配管部1内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間、及び第2の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102から発せられてから配管内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間を計測する時間差特定部301と、第1の時間と、第2の時間と、に基づき、計測配管部1内の流体の流速を算出する流速算出部302と、を含む。
【0042】
時間差特定部301は、第1の超音波トランスデューサ101が第1の超音波信号を発したタイミングと、第2の超音波トランスデューサ102が第1の超音波信号を受信したタイミングと、を監視し、第1の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101から発せられてから計測配管部1内を経て第2の超音波トランスデューサ102に到達するまでの第1の時間を計測する。
【0043】
ここで、第1の超音波トランスデューサ101が駆動されたタイミングを、第1の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101から発せられたタイミングとしてもよい。また、第1の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102に到達したタイミングにおける第2の超音波トランスデューサ102の受信信号の強度が小さい場合は、受信信号の波形における特徴点が得られたタイミングから、第1の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102に到達したタイミングを逆算してもよい。受信信号の特徴点とは、例えば、受信信号の振幅波形における所定の数の極大点の後の受信信号の強度がゼロとなる点(ゼロクロス点)である。
【0044】
また、時間差特定部301は、第2の超音波トランスデューサ102が第2の超音波信号を発したタイミングと、第1の超音波トランスデューサ101が第2の超音波信号を受信したタイミングと、を監視し、第2の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102から発せられてから計測配管部1内を経て第1の超音波トランスデューサ101に到達するまでの第2の時間を計測する。
【0045】
ここで、第2の超音波トランスデューサ102が駆動されたタイミングを、第2の超音波信号が第2の超音波トランスデューサ102から発せられたタイミングとしてもよい。また、第2の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101に到達したタイミングにおける第1の超音波トランスデューサ101の受信信号の強度が小さい場合は、受信信号の波形における特徴点(例えば、ゼロクロス点)が得られたタイミングから、第2の超音波信号が第1の超音波トランスデューサ101に到達したタイミングを逆算してもよい。
【0046】
時間差特定部301は、第2の時間と第1の時間の差の値を算出し、流速算出部302に伝送する。ただし、時間差特定部301は、第2の時間と第1の時間の差を、直接計測してもよいし、あるいは上述したように相関法により求めてもよい。
【0047】
流速算出部302は、第1及び第2の伝播時間t1、t2に基づき、上記(4)式より、計測配管部1内の空洞部を流れる流体における音速cを算出する。また、流速算出部302は、第1及び第2の伝播時間t1、t2の差Δt、及び算出した音速cに基づき、上記(6)式より、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速vを算出し、さらに上記(7)式により、流体の流量Qを算出する。
【0048】
CPU300には、測定値保存部352及び出力装置401が接続されている。流速算出部302は、算出した流体の流速v及び流量Qを、記憶装置である測定値保存部352に保存し、出力装置401に出力する。
【0049】
ここで、計測配管部1に到達する流体の流速分布に偏りがない場合は、図8に示すように、仮に流速分布制御器が無くとも、図9に示すように、計測配管部1の中心軸で最も流速が速く、中心軸対称に計測配管部1の側壁に近づくにつれて流速が遅くなる。この場合、計測配管部1の中心軸に対して第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の組みがどこにあっても、中心軸を交差する第1及び第2の超音波信号の伝播経路上における流体の平均流速は同じになる。
【0050】
これに対し、例えば図10図11、及び図12に示すように、計測配管部1内を流れる流体の流速分布が中心軸対称ではなく、偏っている場合、仮に計測配管部1の断面における流体の平均流速が図10から図12において同じであったとしても、超音波信号の伝播経路上における流体の平均流速は図10ないし図12において異なる。具体的には、流体の流速分布において、流速が速い部分を第1及び第2の超音波信号が多く伝播すれば、計測される平均流速は速くなり、流速が遅い部分を第1及び第2の超音波信号が多く伝播すれば、計測される平均流速は遅くなる。
【0051】
しかし、計測配管部1の断面における流体の平均流速が同じであるにもかかわらず、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102の配置によって、計測される平均流速が異なってくるのは好ましくない。
【0052】
これに対し、上流配管2から流速分布制御器50に到達した流体の流速が、図13に示すように分布していた場合、図14に示すように、流速が速い部分に流速分布制御器50の強抵抗領域があたり、流速が遅い部分に流速分布制御器50の弱抵抗領域があたるよう、流速分布制御器50は回転される。これにより、偏流の影響を緩和できる。通常、配管の内部は観察できないが、計測される平均流速が最も速くなるときに、流速分布制御器50が最も効果的に配置され、流速分布の影響が最も抑制されている。したがって、計測される平均流速が最も速くなるよう、流速分布制御器50を回転させ、計測配管部1内における流速分布を制御すればよい。
【0053】
第1の実施の形態に係る超音波流量計で流体の流量を計測する際には、例えば、まず、調整用に、流量が一定の流体を計測配管部1に流し、流速分布制御器50を回転させながら、計測される流速又は流量が最大となる流速分布制御器50の回転角度を探す。計測される流速又は流量が最大となるところで、流速分布制御器50の回転を止め、調整用の流体を流すことを止める。その後、測定対象の流体を流速分布制御器50及び計測配管部1に流し、流速又は流量を計測する。
【0054】
偏流は、超音波流量計の上流及び下流の配管の形状及び経路等に影響されるため、偏流の状態が変化しない場合がある。この場合、計測される流速又は流量が最大となる流速分布制御器50の回転角度を一度探しておけば、その後、同じ角度を保ったまま測定対象の流体の流速又は流量を計測すればよい。ただし、偏流の状態が変化する場合は、調整用に流量が一定の流体を計測配管部1に流して、計測される流速又は流量が最大となる流速分布制御器50の回転角度を探すことを、適宜行えばよい。
【0055】
従来、固定された管の周囲に多数の超音波トランスデューサの組み合わせを固定して、計測される流速又は流量が最大となる超音波トランスデューサの組み合わせを選択することが提案されている。しかし、偏流の状態が変化しない場合、選択されなかった超音波トランスデューサは使用されず無駄であり、製造コストに見合わない。
【0056】
これに対し、第1の実施の形態に係る超音波流量計においては、流速分布制御器50が連続的に回転可能であるため、多数の超音波トランスデューサを要せず、対となる超音波トランスデューサを固定したまま、偏流の影響を緩和できる。
【0057】
なお、筒状部材54は、円筒状に限られず、図15に示すように、六角筒状等の角筒状であってもよい。
【0058】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る超音波流量計においては、図16及び図17に示すように、流速分布制御器50が、個々の孔の開口面積が小さい小メッシュ領域151と、個々の孔の開口面積が大きい大メッシュ領域152と、を備える。なお、小メッシュ領域151における小さい開口面積とは、大メッシュ領域152における開口面積に対して相対的に小さい開口面積であり、大メッシュ領域152における大きい開口面積とは、小メッシュ領域151における開口面積に対して相対的に大きい開口面積であることを意味する。
【0059】
第2の実施の形態において、小メッシュ領域151が、流体の進行に対して強い抵抗を与える強抵抗領域であり、大メッシュ領域152が、流体の進行に対して弱い抵抗を与える弱抵抗領域である。
【0060】
例えば、小メッシュ領域151の中心が流速分布制御器50の回転軸である中心軸と異なっており、大メッシュ領域152が小メッシュ領域151を囲んでいてもよい。第2の実施の形態においても、上流配管2から流速分布制御器50に到達した流体の流速の分布が偏心している場合、流速が速い部分に流速分布制御器50の小メッシュ領域151があたり、流速が遅い部分に流速分布制御器50の大メッシュ領域152があたるよう、流速分布制御器50が回転される。これにより、偏流の影響を緩和できる。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、図2においては、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102が対向して配置されている例を示した。これに対し、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102を、計測配管部1の中心軸方向に平行に配置し、計測配管部1内で反射された超音波信号を、第1及び第2の超音波トランスデューサ101、102のそれぞれで受信してもよい。また、超音波信号は、計測配管部1内を複数回反射させてもよい。
【0062】
さらに、計測配管部1内の空洞部を流れる流体の流速vは、下記(8)式で与えられる伝播時間逆数差方式で求めてもよい。
v=(L/2cosθ){(1/t1)−(1/t2)} (8)
伝播時間逆数差方式によれば、音速cが未知であっても、流体の流速vを算出可能である。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【符号の説明】
【0063】
1 計測配管部
2 上流配管
4、5 ガスケット
6、7 環状部材
11、12 突起部
50 流速分布制御器
51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g 開口
52A、52B 段部
53 側壁部
54 筒状部材
55a、55b、55c、55d、55e、55f 板状部材
101 第1の超音波トランスデューサ
102 第2の超音波トランスデューサ
151 小メッシュ領域
152 大メッシュ領域
300 中央演算処理装置
301 時間差特定部
302 流速算出部
352 測定値保存部
401 出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17