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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-224034(P2016-224034A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】粒子センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   G01N15/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-86286(P2016-86286)
(22)【出願日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】10 2015 207 289.4
(32)【優先日】2015年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス ディトリヒ
(72)【発明者】
【氏名】フランク フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー シュニッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ヘルミヒ
(72)【発明者】
【氏名】ガエル ピラール
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ファン デル レー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放射される光ビームを集束領域に集束することにより、放射の弱い光放射装置を使用した場合であっても、集束領域における光ビームの強度を十分に大きくすることができる、粒子センサ装置を提供する。
【解決手段】粒子56を有し得る体積体54を部分的に照射可能に設計された光放射装置50aを備え、一つの検出面64を備えた光検出装置50bをさらに備える。検出面64に粒子56において散乱された光ビーム60の一部分が当たり、検出面に当たる光ビーム60の強度及び/又は強度分布についての情報信号68を出力可能である。粒子センサ装置は評価装置70をさらに備え、粒子56の有無、粒子数、粒子密度、及び/又は、粒子56の特性についての情報を確定して出力可能である。粒子センサ装置は少なくとも一つのレンズ要素58を備え、放射された光ビーム52を体積体54内の集束領域60に集束可能に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子センサ装置であって、
当該粒子センサ装置は、光放射装置(50a)を備えており、前記光放射装置(50a)は、当該光放射装置(50a)の放射スペクトル内の光ビーム(52)を放射して、少なくとも一つの粒子(56)を内部に有し得る装置外部又は装置内部の体積体(54)に少なくとも部分的に、前記放射した光ビーム(52)を照射可能であるように設計されており、
前記粒子センサ装置はさらに、少なくとも一つの検出面(64)を有する光検出装置(50b)を備えており、前記少なくとも一つの検出面(64)は、前記光放射装置(50a)から放射されかつ前記少なくとも一つの粒子(56)において少なくとも部分的に散乱された光ビーム(62)が前記少なくとも一つの検出面(64)に入射するように配置されており、前記光検出装置(50b)は、前記少なくとも一つの検出面(64)に入射する前記光ビーム(62)の強度及び/又は強度分布についての少なくとも一つの情報信号(68)を出力するように設計されており、
前記粒子センサ装置は、評価装置(70)をさらに備えており、当該評価装置(70)を用い、前記少なくとも一つの情報信号(68)を考慮して、粒子(56)の有無、粒子数、粒子密度、及び/又は、粒子(56)の少なくとも一つの特性、についての情報(72)を確定して出力可能である、
粒子センサ装置において、
前記粒子センサ装置は、少なくとも一つのレンズ素子(58)を備えており、当該少なくとも一つのレンズ素子(58)は、前記放射された光ビーム(52)を、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)によって前記体積体(54)内の集束領域(60)に集束可能であるように配置されている、
ことを特徴とする、粒子センサ装置。
【請求項2】
前記集束領域(60)に集束されかつ当該集束領域(60)内の前記少なくとも一つの粒子(56)において少なくとも部分的に散乱された前記光ビーム(62)の少なくとも一部分を、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)によって前記少なくとも一つの検出面(64)に集束可能である、
請求項1に記載の粒子センサ装置。
【請求項3】
前記放射された光ビーム(52)は、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)により、20cm未満の焦点距離及び/又は1000μm未満の焦点径で集束領域(60)に集束可能である、
請求項1又は2に記載の粒子センサ装置。
【請求項4】
前記放射された光ビーム(52)は、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)により、1乃至3cmの焦点距離及び/又は1乃至20μmの焦点径で集束領域(60)に集束可能である、
請求項3に記載の粒子センサ装置。
【請求項5】
前記評価装置(70)は、平均粒径、粒径分布、平均粒子重量、粒子重量分布、平均粒子形状、粒子形状分布、平均粒子速度、及び/又は、粒子速度分布を、前記粒子(56)の少なくとも一つの特性として確定するように設計されている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項6】
自己混合干渉作用を用いて、前記放射された光ビーム(52)及び/又は前記散乱された光ビーム(62)を分析する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項7】
前記光放射装置(50a)及び前記光検出装置(50b)は、共通の一つのチップ(66)上及び/又はチップ(66)内に形成されている、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項8】
前記光放射装置(50a)は、少なくとも一つのVCSELレーザ及び/又はVeCSELレーザ(50a)を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項9】
前記光検出装置(50b)は、前記VCSELレーザ又はVeCSELレーザ(50a)の層構造体に組み込まれた少なくとも一つのフォトダイオードを含む、
請求項7に記載の粒子センサ装置。
【請求項10】
前記粒子センサ装置は、ミラー装置(74)を付加的に含んでおり、当該ミラー装置(74)を用いて、前記体積体(54)内で1次元的又は2次元的に前記集束領域(60)を移動可能である、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項11】
前記粒子センサ装置は、粒子検出装置及び/又は粒子カウンタ装置である、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術
図1には、従来の散乱光粒子カウンタが示されており、図示したそのコンポーネントは、例えば、独国特許出願公開第102013202423号明細書(DE102013202423A1)に記載された散乱光粒子カウンタに含まれている。
【0003】
図1に略示した散乱光粒子カウンタは、レーザ光源10と、光検出器12と、測定セル14とを有しており、この測定セルを通して空気流16が引き込まれる。レーザ光源10から放射されたレーザビーム18は、測定セル14の部分区間に放射されてこれを通過する。光が放射されて通過した上記部分区間内で、レーザビーム18が、空気流16の少なくとも一つの粒子16aに当たると、レーザビーム18の少なくともいくつかの光子は、散乱光20として光検出器12に向かって散乱される(レーザビーム18のうちの散乱されなかった部分は、吸収器22に当たる)。このような従来の散乱光粒子カウンタを使用することにより、光検出器12によって検出された散乱光20に基づいて、空気流16内に場合によっては存在する粒子16aについての情報が求められるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013202423号明細書
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
本発明によって得られるのは、請求項1の特徴部分に記載された特徴的構成を備える粒子センサ装置である。
【0006】
発明の利点
本発明に係る粒子センサ装置によって、放射される光ビームを集束領域に集束することにより、放射の弱い光放射装置を使用した場合であっても、集束領域において光ビームの強度を十分に大きくすることができる。これにより、この集束領域内の少なくとも一つの粒子において散乱される光ビームの強度も大きくなる。特に、散乱される光ビームの強度は、散乱を行う粒子の粒径に依存するのではあるが、集束領域内の粒子によって散乱される光ビームのこの十分に大きな強度は、粒径が小さい場合であっても保証される。これにより、光検出装置が高い感度を有することも保証される。従って、本発明に係る粒子センサ装置により、出力される情報を正確かつ(ほぼ)エラーなしに確定することができる。
【0007】
本発明に係る粒子センサ装置は、その動作中、従来の散乱光粒子カウンタに比較して電力消費も小さい。これにより、この粒子センサ装置を動作させるためのこの粒子センサ装置へのエネルギ供給が容易になり、例えばバッテリによって行われる。
【0008】
さらに以下でより詳細に説明するように、本発明に係る粒子センサ装置は、従来の散乱光粒子カウンタと比較しても小さなサイズでコスト的に有利に製造することができる。従って、本発明に係る粒子センサ装置は、移動式の使用にも、又は、ネットワーク接続されたシステム用センサとしても、有利であり適している。
【0009】
この粒子センサ装置の有利な一実施形態では、集束領域に集束されかつこの集束領域内の少なくとも一つの粒子において少なくとも部分的に散乱された光ビームの少なくとも一部分は、少なくとも一つのレンズ素子によって、少なくとも一つの検出面に集束される。この少なくとも一つのレンズ素子のこの多機能性により、粒子センサ装置における別の光学部材を節約することができる。
【0010】
例えば、放射された上記光ビームは、少なくとも一つのレンズ素子を用いて、20cm未満の焦点距離及び/又は1000μm未満の焦点径で集束領域上に集束可能である。特に、放射された上記光ビームは、少なくとも一つのレンズ素子を用いて、1乃至3cmの焦点距離及び/又は1乃至20μmの焦点径で集束領域上に集束可能である。
【0011】
粒子センサ装置の別の有利な実施形態では、粒子の少なくとも一つの特性として、平均粒径、粒径分布、平均粒子重量、粒子重量分布、平均粒子形状、粒子形状分布、平均粒子速度、及び/又は、粒子速度分布を確定するように評価装置が設計される。これにより、この粒子センサ装置は、多方面に使用可能である。
【0012】
光放射装置及び光検出装置は有利には、共通の一つのチップ上及び/又はチップ内に形成される。これにより、粒子センサ装置の小型化が容易になる。
【0013】
コスト的に有利な一実施形態では、光放射装置は、VCSELレーザ及び/又はVeCSELレーザを含む。この場合、有利には光検出装置は、VCSELレーザ又はVeCSELレーザの層構造体に組み込まれた少なくとも一つのフォトダイオードを含む。
【0014】
粒子センサ装置の別の有利な一実施形態では、放射された光ビーム及び/又は散乱された光ビームは、自己混合干渉作用によって分析される。このことは、粒子によって散乱される光を検出するために自己混合干渉作用を利用すると言い換えることもでき、また、この作用は、例えば、組み込まれたフォトダイオードによって検出することができる。
【0015】
このような光検出装置により、不所望の周囲光信号を自動的にフィルタ除去することができる。これにより、装置外部又は装置内部の体積体への寄生的な光入射は、従来の散乱光粒子カウンタの場合よりも、粒子センサ装置の動作を損なわない。従来の散乱光粒子カウンタでは、測定セルを確実に暗くすることが、その動作の基本前提条件であるのに対し、ここで説明している粒子センサ装置は、バックグラウンド信号の自動的な「フィルタ除去」機能を有する。
【0016】
有利な一発展形態では、粒子センサ装置はミラー装置を付加的に含んでおり、このミラー装置を用い、体積体内で1次元的又は2次元的に集束領域を移動させることができる。これにより、粒子を検査しようとしている試料体積体をこの集束領域によって走査することができる。
【0017】
ここで説明している総ての実施形態において、粒子センサ装置は、粒子検出装置及び/又は粒子カウンタ装置とすることが可能である。
【0018】
以下、本発明の更なる特徴及び利点を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の散乱光粒子カウンタを示す図である。
図2a】粒子センサ装置の第1実施形態の概略図である。
図2b】上記粒子センサ装置を機能的に説明するフーリエスペクトルを示す線図である。
図3】粒子センサ装置の第2実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態
図2a及び図2bには、粒子センサ装置の第1実施形態の概略図及び当該粒子センサ装置を機能的に説明するフーリエスペクトルがそれぞれ示されている。
【0021】
図2aに略示した粒子センサ装置は、光放射装置50aを備えており、この光放射装置は、光放射装置50aの放射スペクトル内の光ビーム52を放射するように設計されている。光放射装置50aの放射スペクトルは、例えば、350nm乃至1150nmの波長領域内、特に可視波長領域内に存在し得る。しかしながら、明確に示しておきたいのは、光放射装置50aの放射スペクトルが、この波長領域に、特に可視波長領域に限定されないことである。従って、光放射装置50aの放射スペクトルの少なくとも一部は、赤外線領域及び/又はUV領域にも存在し得る。特に光放射装置50aは、単色光ビーム52を放射するようにも設定することが可能である。同様に光放射装置50aは、多色の光ビーム52を放射するように設計することも可能である。
【0022】
光放射装置50aは、特にレーザ50aを含み得る。粒子センサ装置に対してパルス状の光ビーム52が有利である場合には、光放射装置50aをパルスレーザ50aとすることも可能である。さらに光放射装置50aに使用されるレーザ50aは、(ほぼ)任意のビーム直径を有するレーザビームを光ビーム52として放射することができる。従って、光放射装置50aにレーザ50aを使用できることは、光ビーム52として出力されるレーザビームの(事実上は)基本前提条件ではないのである。
【0023】
有利な一実施形態において、光放射装置50aは、VCSELレーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)50aであり、及び/又は、VCSELレーザ50aを含む。面発光器50aと称されることも多いこのようなVCSELレーザ50aは一般的に、機能化された半導体チップ面に対して垂直に光ビーム52を放射する半導体レーザである。光放射装置50aにVCSELレーザ50aを使用することにより、粒子センサ装置を小型化できる可能性がさらに高くなる。
【0024】
図2aに略示した粒子センサ装置は、体積体54の少なくとも一部分に存在し得る粒子56の検出又は検査に使用することができる。各体積体54は、例えば粒子センサ装置の試料チャンバ/測定チャンバのような装置内部の体積体54であってよい。しかしながら、この粒子センサ装置は、装置外部の体積体54の少なくとも一部分における粒子56を検出又は検査するように設計することも可能である。この場合、粒子センサ装置は有利には、以下で説明するその複数のコンポーネントの機能を実行できるように装置外部のこの体積体54に配置することが可能である。
【0025】
体積体54(この体積体はその中に存在し得る少なくとも一つの粒子56を有する)は、いずれの場合でも、光放射装置50aから放射される光ビーム52によって少なくとも部分的に照射可能である。さらに粒子センサ装置は、少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58を有しており、この素子は、少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58を用いて、(光放射装置50aから)放射された光ビーム52を体積体54内の集束領域60に集束できる/集束させるように配置されている。(光放射装置50aから)放射された光ビーム52は有利には、少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58を用いて次のように体積体54内の集束領域60に集束可能である。即ち、集束領域60内においてのみ、放射された光ビーム52の強度が高くなり、これに対して同時に集束領域60外の体積体54の残余の領域において、放射された光ビーム52の強度が格段に低くなるように、体積体54内の集束領域60に、放射された光ビーム52を集束することができる。
【0026】
有利な焦点/集束領域60は、1000μm未満の直径を有する。特に1乃至20μmの直径が有利である。これによって(光放射装置50aから)放射される光ビーム52の強度が弱い場合であっても、集束領域60内では、放射された光ビーム52の強度が増大されていることを保証することができる。従って、光放射装置50aの放射が比較的弱い場合であっても、(光放射装置50aから)放射される光ビーム52の強度は十分に大きく、これによって集束領域60にある少なくとも一つの粒子56における、光学的に容易に検出可能/検知可能な散乱62が保証される。さらに、集束領域60にある少なくとも一つの粒子56によって生じる散乱62が容易に検出可能/検知可能であることにより、粒子56が存在し得ることを検査する際、及び/又は、その特性を求める際の結果の精度が改善される。
【0027】
これにより、体積体54内にある、例えば気体及び/又は液体のような材料に(ほとんど)依存せずに粒子56の検出及び/又は検知が可能になる。従って、粒子センサ装置の使用可能性は、(場合によって粒子56が混合する)材料に限定されない。これによって粒子センサ装置の使用可能性が高まる。
【0028】
少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58とは、光を集束するのに適した任意の光学素子のことであると理解することが可能である。この少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58は、例えば、(ただ一つの)集束レンズ58であってよい。これにより、粒子センサ装置における少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58としてコスト的に有利な構成部分を使用することできる。
【0029】
有利な焦点距離は、20cm未満であり、特に1乃至3cmが有利である。
【0030】
粒子センサ装置は、少なくとも一つの検出面64を備えた光検出装置50bも有する。この少なくとも一つの検出面64は、光放射装置50aから放射されかつ(集束領域60内の)少なくとも一つの粒子56において少なくとも部分的に散乱された(散乱光62としての)光ビームの少なくとも一部が、この少なくとも一つの検出面64に当たるように配置される。(光放射装置50aから放射された)光ビーム52を集束領域60に集束することよって、及び、これによって発生する、集束領域60における光ビーム52の高い強度によって保証されるのは、集束領域60内の粒子56の個数が少なくても、及び/又は、集束領域60内の粒径が小さくても、容易かつ確実に検出/検知可能な強度を有する散乱光62が、依然として少なくとも一つの検出面64に入射することである。このことは次のようにも言い換えることができる。即ち、強い集束により、狭い範囲に特定可能な間隔領域が集束領域60として設定され、この集束領域では散乱光62の十分に高い強度を確実に形成することができるため、集束領域60内の粒子64の個数が少ない、及び/又は、粒径が小さい場合であっても、有意な散乱信号が保証されると、言い換えることができる。これにより、粒径が小さい少数の粒子56に対しても、粒子センサ装置の高くかつ確実な感度が得られる。
【0031】
(集束領域60内の粒子64の個数が少ない、及び/又は、粒径が小さい場合であっても)散乱光62の比較的高い強度により、コスト的に有利にかつ据付スペースを節約して、光検出装置50bを製造することもできる。これにより、粒子センサ装置の光検出装置50bに対して、極めてコスト的に有利でありかつ小さな据付スペースしか要しない検出器及び/又はフォトダイオードを使用することができる。
【0032】
光放射装置50a及び光検出装置50bは、別個に形成された複数の装置であると理解する必要はない。その代わりに光放射装置50a及び光検出装置50bを、単一の光放射及び検出装置50a及び50bとして形成することが可能である。例えば、光放射装置50a及び光検出装置50bを、共通の一つのチップ66上及び/又はチップ内に形成することも可能である。
【0033】
光放射装置50aが少なくとも一つのVCSELレーザ及び/又はVeCSELレーザ50aを含む場合、光検出装置50bは有利には、VCSELレーザ又はVeCSELレーザ50aの層構造体に組み込まれているフォトダイオードである。このような光放射及び光検出装置50a及び50b、乃至、対応するチップ66は、自己混合干渉VCSELセンサ66(integrated Self-Mixing VCSELセンサ66)と称することができる。このようなVCSELセンサ66では、少なくとも一つの検出面64に入射する散乱光62の検出は、上記放射と、入射するこの散乱光62との干渉によって行われる。従って、VCSELセンサ66では、(集束領域60内にある少なくとも一つの粒子56における)散乱光62に起因しない、上記少なくとも一つの検出面64への入射光は、自動的にフィルタ除去される。これにより、従来のように粒子56を検出又は検査するために体積体54を周囲光から遮蔽する必要もなくなる。従って、この粒子センサ装置においては、遮光装置用のコスト及び必要な据付スペースが不要になる。
【0034】
チップ66に装置50a及び装置50bを一緒に組み込む際にはさらに、集束領域60に集束されかつ少なくとも部分的に、集束領域60における少なくとも一つの粒子56において散乱される光ビーム/散乱光62を、少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58によって、再度少なくとも一つの検出面64に集光させることができる。例えば(単一の)集束レンズ58のような少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58のこの多機能性により、粒子センサ装置における別の光学部材を節約することができる。さらにこれにより、(ほぼ)集束領域60からの散乱光62だけが、少なくとも一つの検出面64に入射することを保証することができる。これにより、例えば(単一の)集束レンズ58のような少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58によって、(集束領域60外の)体積体54の残余の領域からの不所望の散乱ビームもさらに「空間分解フィルタ除去」される。これにより、粒子センサ装置の検出精度が改善されてそのエラー率が低減される。
【0035】
しかしながら、粒子センサ装置を構成するための選択肢は、装置50a及び50bをチップ66に一緒に組み込むことには限定されず、又は、この共通のチップ66の所定のチップタイプには限定されない。
【0036】
光検出装置50bは、少なくとも一つの検出面64に入射するビーム/散乱光62の強度及び/又は強度分布についての少なくとも一つの情報信号/センサ信号68を出力するように設計される。粒子センサ装置は、評価装置70もさらに備えており、この評価装置を用いれば、少なくとも一つの情報信号/センサ信号68を考慮して、粒子56の有無、粒子数、粒子密度、及び/又は、粒子56の特性、についての情報72を、確定して出力することができる。例えば、平均粒径、粒径分布、平均粒子重量、粒子重量分布、平均粒子形状、粒子形状分布、平均粒子速度、及び/又は、粒子速度分布を、粒子56の少なくとも一つの特性として確定するように評価装置70を設計することができる。
【0037】
図2bには、横軸が周波数fを(Hzで)表し、かつ、縦軸が自己干渉混合VCSELセンサに対する強度Iを表す座標系が示されている。ここには強度分布のフーリエスペクトル/フーリエ変換が、光検出装置50bの、考えられ得る情報信号/センサ信号68の例として示されている。発生した周波数帯域に基づいて、粒子56の有無及びそれらの速度を検出/測定することができる(この実験に使用した粒子56の平均粒径は3μmであった)。ここから分かるのは、この粒子センサ装置を用いれば、個々の粒子も検出することができることである。しかしながら、図2bは、単なる例と解釈すべきである。
【0038】
有利な発展形態として図2aに略示した粒子センサ装置は、(単に略示した)ミラー装置74をさらに備えており、このミラー装置74により、体積体64内で1次元的又は2次元的に集束領域60を移動することができる。ミラー装置74は、例えば単一のミラーを有することができ、このミラーは、一つの揺動軸又は二つの揺動軸の周囲に位置調整可能である。同様にミラー装置74は、一つの揺動軸の周囲に位置調整可能な二つのミラーを含むこともでき、これらの異なるミラーの二つの揺動軸は、有利には垂直に、相互に傾斜させられて配向されている。ミラー装置74の少なくとも一つのミラーは、例えばMEMSミラーであってよい。ミラー装置74の少なくとも一つのミラーの位置調整範囲は、有利には45°未満、特に20°未満である。しかしながら、ミラー装置74の少なくとも一つのミラーの位置調整範囲は、360°までの値を取り得る。
【0039】
粒子センサ装置にミラー装置74を設けることにより、(短い時間期間内で)実際に検査される集束領域60は小さいままであるが、体積体54の比較的大きな領域、特に体積体54全体を走査することができる。従って、(例えば空気流又は液体流を用いて)粒子56を能動的に集束領域60に導く必要は、もはやない。これより、粒子センサ装置において吸引装置及び/又はポンプ装置を節約することができる。
【0040】
図3には、粒子センサ装置の第2実施形態が略示されている。
【0041】
図3に略示した粒子センサ装置も同様に、放射された光ビーム52が集束領域60に(ビーム路の中央に)集束されるようにする光学系を有する。これにより、集束領域60において大きな輝度が生じ、集束領域60からの散乱光62の強度も増大する。
【0042】
この場合にも、少なくとも一つの粒子56によって集束領域60に散乱光62が形成され、この散乱光が上記光学系を介して偏光されて、装置50a及び装置50bの共通の一つのチップ66に戻る。集束領域60内(又はその近傍)にある粒子56だけが、少なくとも一つの検出面64に入射する散乱光を形成するのに対し、(集束領域60外の)体積体54の残余の領域からの不所望な散乱ビームは、(空間的及びスペクトル的に)フィルタ除去可能である。
【0043】
ここから分かることは、集束領域60をミラー装置74によって少なくとも一つの空間方向76に移動可能であることであり、これによって体積体54の2次元の扇形の、又は3次元の漏斗状の領域を走査することができる。従って、集束領域60をこのように走査すれば、より広い範囲で粒子56の有無乃至その特性を検査することができる。これによって、例えば、体積体当たりの、例えば粒子密度の統計的に関連する平均値についての測定時間を極めて短くすることができる。
【0044】
粒子センサ装置の以上に説明した総ての実施形態は、粒子検出装置及び/又は粒子カウンタ装置として使用可能である。これらの実施形態により、焦点距離の約±20%で焦点領域60内にある粒子56の散乱光62だけが、少なくとも一つの検出面64に入射するように、放射されたビーム52を集束することができる。
【0045】
以上に説明した総ての実施形態において、放射された光ビーム52は、少なくとも一つのレンズ素子/集束素子58を用いて、20cm未満の焦点距離及び/又は1000μm未満の焦点径で集束領域60に集束可能である。特に焦点距離は5cm未満とすることが可能である。有利には焦点距離は、1乃至3cmである。焦点径は、100μm未満、有利には、1乃至20μmの値とすることが可能である。
【0046】
以上に説明した総ての粒子センサ装置は、小型の構造を有し得る。特に粒子センサ装置はそれぞれ、1cm3未満の所要据付スペースを有し得る。さらに、以上に説明した各粒子センサ装置は、コスト的に有利に製造可能である。
図1
図2a
図2b
図3
【手続補正書】
【提出日】2016年10月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子センサ装置であって、
当該粒子センサ装置は、光放射装置(50a)を備えており、前記光放射装置(50a)は、当該光放射装置(50a)の放射スペクトル内の光ビーム(52)を放射して、少なくとも一つの粒子(56)を内部に有し得る装置外部又は装置内部の体積体(54)に少なくとも部分的に、前記放射した光ビーム(52)を照射可能であるように設計されており、
前記粒子センサ装置はさらに、少なくとも一つの検出面(64)を有する光検出装置(50b)を備えており、前記少なくとも一つの検出面(64)は、前記光放射装置(50a)から放射されかつ前記少なくとも一つの粒子(56)において少なくとも部分的に散乱された光ビーム(62)が前記少なくとも一つの検出面(64)に入射するように配置されており、前記光検出装置(50b)は、前記少なくとも一つの検出面(64)に入射する前記光ビーム(62)の強度及び/又は強度分布についての少なくとも一つの情報信号(68)を出力するように設計されており、
前記粒子センサ装置は、評価装置(70)をさらに備えており、当該評価装置(70)を用い、前記少なくとも一つの情報信号(68)を考慮して、粒子(56)の有無、粒子数、粒子密度、及び粒子(56)の少なくとも一つの特性、のうちの少なくとも一つについての情報(72)を確定して出力可能である、
粒子センサ装置において、
前記粒子センサ装置は、少なくとも一つのレンズ素子(58)を備えており、当該少なくとも一つのレンズ素子(58)は、前記放射された光ビーム(52)を、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)によって前記体積体(54)内の集束領域(60)に集束可能であるように配置されている、
ことを特徴とする、粒子センサ装置。
【請求項2】
前記集束領域(60)に集束されかつ当該集束領域(60)内の前記少なくとも一つの粒子(56)において少なくとも部分的に散乱された前記光ビーム(62)の少なくとも一部分を、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)によって前記少なくとも一つの検出面(64)に集束可能である、
請求項1に記載の粒子センサ装置。
【請求項3】
前記放射された光ビーム(52)は、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)により、20cm未満の焦点距離及び/又は1000μm未満の焦点径で集束領域(60)に集束可能である、
請求項1又は2に記載の粒子センサ装置。
【請求項4】
前記放射された光ビーム(52)は、前記少なくとも一つのレンズ素子(58)により、1乃至3cmの焦点距離及び/又は1乃至20μmの焦点径で集束領域(60)に集束可能である、
請求項3に記載の粒子センサ装置。
【請求項5】
前記評価装置(70)は、平均粒径、粒径分布、平均粒子重量、粒子重量分布、平均粒子形状、粒子形状分布、平均粒子速度、及び粒子速度分布のうちの少なくとも一つを、前記粒子(56)の少なくとも一つの特性として確定するように設計されている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項6】
自己混合干渉作用を用いて、前記放射された光ビーム(52)及び/又は前記散乱された光ビーム(62)を分析する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項7】
前記光放射装置(50a)及び前記光検出装置(50b)は、共通の一つのチップ(66)上及び/又はチップ(66)内に形成されている、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項8】
前記光放射装置(50a)は、少なくとも一つのVCSELレーザ及び/又はVeCSELレーザ(50a)を含む、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項9】
前記光検出装置(50b)は、前記VCSELレーザ又はVeCSELレーザ(50a)の層構造体に組み込まれた少なくとも一つのフォトダイオードを含む、
請求項に記載の粒子センサ装置。
【請求項10】
前記粒子センサ装置は、ミラー装置(74)を付加的に含んでおり、当該ミラー装置(74)を用いて、前記体積体(54)内で1次元的又は2次元的に前記集束領域(60)を移動可能である、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【請求項11】
前記粒子センサ装置は、粒子検出装置及び/又は粒子カウンタ装置である、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の粒子センサ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
有利な発展形態として図2aに略示した粒子センサ装置は、(単に略示した)ミラー装置74をさらに備えており、このミラー装置74により、体積体54内で1次元的又は2次元的に集束領域60を移動することができる。ミラー装置74は、例えば単一のミラーを有することができ、このミラーは、一つの揺動軸又は二つの揺動軸の周囲に位置調整可能である。同様にミラー装置74は、一つの揺動軸の周囲に位置調整可能な二つのミラーを含むこともでき、これらの異なるミラーの二つの揺動軸は、有利には垂直に、相互に傾斜させられて配向されている。ミラー装置74の少なくとも一つのミラーは、例えばMEMSミラーであってよい。ミラー装置74の少なくとも一つのミラーの位置調整範囲は、有利には45°未満、特に20°未満である。しかしながら、ミラー装置74の少なくとも一つのミラーの位置調整範囲は、360°までの値を取り得る。
【外国語明細書】