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特開2016-224076フィルムミラーおよびこれを用いた太陽熱反射用光反射装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-224076(P2016-224076A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】フィルムミラーおよびこれを用いた太陽熱反射用光反射装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20161205BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   G02B5/08 A
   B32B27/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-224556(P2013-224556)
(22)【出願日】2013年10月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 光範
【テーマコード(参考)】
2H042
4F100
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA03
2H042DA04
2H042DA05
2H042DA06
2H042DA07
2H042DA11
2H042DA14
2H042DA17
2H042DA21
2H042DC04
2H042DE03
4F100AA20D
4F100AB24
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK25
4F100AK25D
4F100AK25E
4F100AK42
4F100AK51
4F100AN01A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00B
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB05E
4F100DE01
4F100DE01D
4F100GB41
4F100JL00
4F100JL13E
4F100JN06
4F100JN06C
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】支持基材に貼付して用いる際に反射率の低下を防止し得るフィルムミラーおよびこれを用いた光反射装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、光入射側から、透光性樹脂層と、樹脂基材と、光反射層と、厚みが20〜75μmであり、粒子を含む保護層と、前記保護層に接する粘着層と、を順に備えるフィルムミラーが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射側から、
透光性樹脂層と、
樹脂基材と、
光反射層と、
厚みが20〜75μmであり、粒子を含む保護層と、
前記保護層に接する粘着層と、
を順に備えるフィルムミラー。
【請求項2】
前記粒子の粒径が5〜30μmであり、前記粒子は前記保護層中に0.1〜5.0質量%含まれる請求項1に記載のフィルムミラー。
【請求項3】
前記粒子がアクリル樹脂またはシリカを含む粒子である請求項1または2に記載のフィルムミラー。
【請求項4】
前記粘着層がアクリル樹脂を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムミラー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムミラーが支持基材に貼付された、太陽熱発電用光反射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムミラーおよびこれを用いた太陽熱反射用光反射装置に関する。より詳細には、光反射面のより均一な反射率を実現し得るフィルムミラーおよびこれを用いた太陽熱反射用光反射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化は一層深刻化しており、その主因は、化石燃料の二酸化炭素といわれている。
【0003】
化石燃料の代替エネルギーとして、太陽光、風力、地熱等の自然エネルギーを利用した発電技術の開発が行われているが、太陽光を利用した発電は、安定性およびエネルギー量の豊富さから特に注目されている。
【0004】
太陽熱発電では、太陽光を反射体(鏡)により反射させて一か所に集光する集光装置が用いられる。当該反射体は太陽光による紫外線や熱、風雨、砂嵐等に晒されるため、耐久性の観点から従来はガラス製光反射体が用いられてきた。しかしながら、ガラス製光反射体は、輸送時に破損する、重いため設置するのに高強度の架台が必要となりプラントの建設費がかさむ、といった問題を有していた。
【0005】
上記問題に対処するため、ガラス製ミラーを樹脂製反射ミラーに置き換えることが試みられてきた(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の樹脂製反射ミラーは、ポリエステル膜の第一の表面上に粘着性の感圧接着剤層を有し、第二の表面上にアルミニウム蒸着膜からなる鏡面を有し、耐候性を向上させるために、アルミニウム層上に三種類の特定のモノマーからなるコーティングを有している。特許文献1では、かかる構成の樹脂製反射ミラーを基材に貼付して反射装置に用いうることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,307,150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術によるフィルムミラーは、実際に光反射装置に使用して、例えば曲率の大きい曲面などに貼付して用いると、初期の状態よりも反射率が低下する場合があった。光反射装置は、全体で大面積となるよう反射ミラーを多数設置し、これにより太陽光を一定の領域に集光して発電するものである。また、一度添付したフィルムミラーは、10年以上にわたる長期間、集光および発電のために継続して使用される。そのため、反射面の表面状態が変化することによって反射率低下の恐れがある。したがって、反射率低下を防止し初期の反射率を維持する点で、従来技術には未だ改善の余地があった。そこで、本発明は、フィルムミラー使用時の反射率低下の問題を解決し、高い反射率が維持できるフィルムミラー、およびこれを用いた光反射装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明の上記目的は、以下の構成により達成されることを見出した。
1.光入射側から、
透光性樹脂層と、
樹脂基材と、
光反射層と、
厚みが20〜75μmであり、粒子を含む保護層と、
前記保護層に接する粘着層と、を順に備えるフィルムミラー。
2.前記粒子の粒径が5〜30μmであり、前記粒子は前記保護層中に0.1〜5.0質量%含まれる1に記載のフィルムミラー。
3.前記粒子がアクリル樹脂またはシリカを含む粒子である1または2に記載のフィルムミラー。
4.前記粘着層がアクリル樹脂を含む1〜3のいずれか一項に記載のフィルムミラー。
5.1〜4のいずれか一項に記載のフィルムミラーが支持基材に貼付された、太陽熱発電用光反射装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、粘着層と光反射層の間に特定の厚さの保護層を設けることにより、フィルムミラーを基材に設置した際の光反射層のひずみを防止でき、反射率の低下を防止することができる。また、保護層中に粒子を混合して表面に粗さをつけることにより、粘着層と保護層との密着性を向上させることができる。これにより、長期間の使用によっても粘着層と保護層との層間はがれを抑制できる。保護層と粘着層との間の層間はがれによって光反射面の面状態が荒れ、その結果反射率の低下が生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るフィルムミラーの構成を示す概略断面図である。
図2】本発明の別の実施形態に係るフィルムミラーの構成を示す概略断面図である。
図3】粒子の粒径の測定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のフィルムミラーおよびこれを用いた光反射装置を実施するための形態を詳細に説明する。
【0012】
[フィルムミラー]
本発明のフィルムミラーの全体の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るフィルムミラーの断面を模式的に表した図である。図1中、フィルムミラー10は、光入射側から、透光性樹脂層11、樹脂基材12、光反射層13、腐食防止層14、保護層15、粘着層16の順に積層されている。保護層15は、樹脂マトリックス中に粒子17が混在しており、粘着層と接する表面は凹凸をなしている。本発明では、粘着層と光反射層との間に、粒子17を含む厚さ20〜75μmの保護層を設けたことが特徴である。
【0014】
図2は、本発明のより好ましい実施形態に係るフィルムミラーの断面を模式的に表した図である。図2中、フィルムミラー20は、光入射側から、ハードコート層28、透光性樹脂層21、樹脂基材22、アンカー層30、光反射層23、腐食防止層24、樹脂マトリックス中に粒子27が含まれ、厚さ20〜75μmである保護層25、粘着層26の順に積層されている。ハードコート層28により外傷や外気の影響を受けにくくなり、これらはフィルムミラーの耐久性に寄与する。アンカー層は、樹脂基材22とアンカー層30との密着性に寄与する。
【0015】
本発明に係るフィルムミラー全体の厚さは、撓み防止、正反射率、取り扱い性等の観点から80〜300μmが好ましく、より好ましくは80〜200μm、更に好ましくは80〜170μmである。また、フィルムミラーの光入射側の最表面層の中心線平均粗さ(Ra)が、3nm以上20nm以下であることが、反射光の散乱を防止でき集光効率を高めるという観点から好ましい。
【0016】
以下、本発明のフィルムミラーについて、その構成要素に分けて詳細に説明する。
【0017】
[透光性樹脂層]
透光性樹脂層は、光透過性を有する樹脂材料からなる層である。太陽光の反射は銀反射層で行うため、その上に位置する透光性樹脂層は、太陽光が透過する成分であることが必要であるためである。さらに、透光性樹脂層上にはハードコート層が設けられる場合があるため、その際に密着性を向上させる役割も有している。また、透光性樹脂層は、下地になる樹脂基材の劣化を防止するため、紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。
【0018】
透光性樹脂層に用いる樹脂材料には特に制限はないが、薄膜を形成した際に透明性を維持しうる、従来公知の種々の合成樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、及びセルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
【0019】
この透光性樹脂層の厚さは、10〜150μmであることが好ましい。より好ましくは、15〜100μmであり、更に好ましくは、20〜80μmである。膜厚が10μm以上とすることは、反射層の保護、腐食防止や紫外線カット等の機能性をもたらす際に添加する材料を十分に添加することができるとともに、隣接層との密着性を十分にもたらす観点で好ましい。150μm以上とすることは、フィルムミラー全体の厚みを適度に保つことができ、製造の巻き取り時に支障を低減する観点で好ましい。
【0020】
透光性樹脂層を形成する材料として、上記例示した樹脂材料の中では、アクリル樹脂を好適に用いることができる。また、アクリル樹脂製の透光性樹脂層は、メタクリル樹脂を主成分としていることが好ましい。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。
【0021】
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸エステルが50〜100質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%であり、より好ましくは、メタクリル酸エステルが50〜99.9質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%である。本発明に特に好ましい組み合わせとしては、メタクリル酸エステルが75〜98質量%、アクリル酸エステルが0〜10質量%、これら以外の単量体が1〜20質量%である。
【0022】
メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。市販品として、アクリルゴム(SRB215、旭化成ケミカルズ製)、デルペット(登録商標)(旭化成ケミカルズ製 アクリル樹脂)等を使用してもよい。
【0023】
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0024】
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の官能基を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の官能基を少なくとも2個有する化合物であってもよい。単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート類、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。上記のうち、好ましくは、ジイソシアネート類であり、より好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0025】
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
【0026】
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
【0027】
(紫外線吸収剤)
透光性樹脂層に含まれてよい紫外線吸収剤には、特に制限はないが、例えばチアゾリドン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、ベンゾフェノン系、アミノブタジエン系、トリアジン系、サリチル酸フェニル系、ベンゾエート系などの有機系の紫外線吸収剤、あるいは酸化セリウム、酸化マグネシウムなどの微粉末系の紫外線遮断剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等などがあり、特に有機系の紫外線吸収剤が好ましい。
【0028】
有機系紫外線吸収剤として、例えば特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号各公報、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号各公報及び特表平8−501291号公報、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,784,087号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号、同第3,754,919号、英国特許第1,321,355号明細書等に記載されている化合物を用いることができる。
【0029】
これら紫外線吸収剤のなかでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
【0030】
また、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、薄い透光性樹脂層6から他の構成層への移行性も小さく、積層体の表面にも析出しにくいため、含有された紫外線吸収剤量が長時間維持され、耐候性改良効果の持続性に優れるなどの点から好ましい。
【0031】
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
【0032】
透光性樹脂層への紫外線吸収剤の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。また、紫外線吸収剤の透光性樹脂層6への含有量は、フィルム単位面積当たりの含有量が0.17〜2.28g/m2で、より好ましくは単位面積当たりの含有量が0.4〜2.28g/m2以上である。含有量を上記の範囲にすることによって、耐候性能を十分発揮しつつ、紫外線吸収剤のブリードアウトによるロールやフィルムの汚れを起こすことを防止できる。
【0033】
(酸化防止剤)
紫外線吸収剤入り透光性樹脂層の劣化を防止するために、透光性樹脂層に酸化防止剤を含有させてもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
【0034】
なお、本発明においては、上記した酸化防止剤と公知の光安定剤を併用することもできる。光安定剤としては例えばヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
【0035】
透光性樹脂層の形成方法としては、例えば塗布による方法を挙げることができる。透光性樹脂層を構成する樹脂を適当な有機溶媒に溶解または懸濁させ、塗布液を調製する。次いで、塗布液を所定の塗布方式で塗布し、塗膜を形成する。塗膜を塗設する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法等の方法を用いることができる。
【0036】
これらの方法により、樹脂基材の上、または、樹脂基材よりも光入射側に設けられた層(例えば、ガスバリア層)の面上に、透光性樹脂層となる材料を直接塗布することによって、透光性樹脂層を形成することができる。その後、塗膜を乾燥させて、透光性樹脂層を完成する。
【0037】
塗布方式で透光性樹脂層を形成することによって、透光性樹脂層の平滑性を高めることができる。具体的には、塗布方式で形成した透光性樹脂層の中心線平均粗さ(Ra)は、3nm以上20nm以下であることが好ましい。換言すれば、中心線平均粗さがこの値を満たせば、溶融製膜によって製造された透光性樹脂フィルムを接着剤層で貼り合わせて設けられた透光性樹脂層ではなく、その透光性樹脂層が塗布によって設けられたものとみなすことができる。なお、透光性樹脂層の平滑性の指標となる中心線平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−1982に基づく測定方法により求めることができる。
【0038】
[樹脂基材]
樹脂基材は、フィルムミラーの本質的な機能を果たす光反射層を支持し、フィルムミラー全体の機械的強度を保持する役割がある。また、フィルムミラーを製造する際には、他の層を形成するための基板となる層である。樹脂基材の厚さは、樹脂の種類及び目的等に応じて適切な厚さにすることができる。例えば、一般的には、10〜250μmの範囲内である。好ましくは15〜150μmである。
【0039】
樹脂基材としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましく、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
【0040】
[光反射層]
光反射層は、太陽光を反射する機能を有する金属等からなる層である。光反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。光反射層は、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。中でも、反射率、耐食性の観点からAlまたはAgを主成分としていることが好ましく、このような金属の薄膜を二層以上形成するようにしてもよい。より好ましくは、本発明においては、特に銀を主成分とする光反射層を用いる。また、光反射層にSiO2、TiO2等の金属酸化物からなる層を設けてさらに反射率を向上させてもよい。
【0041】
光反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
【0042】
この光反射層の形成法としては、湿式法及び乾式法のどちらも使用することができる。湿式法とは、めっき法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば、銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空製膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に製膜するロールツーロール方式が可能な蒸着法が好ましく用いられる。例えば、太陽熱発電用フィルムミラーの製造方法において、光反射層を銀蒸着によって形成する製造方法であることが好ましい。
【0043】
銀を主成分とする光反射層を形成する際に、配位子が気化・脱離しうる銀錯体化合物を含有する塗布膜を加熱焼成することにより光反射層を形成するようにしてもよい。この湿式法による形成方法は、例えばWO2013/103139の段落0035〜0056に記載のものを使用可能である。
【0044】
[腐食防止層]
腐食防止層は、腐食防止剤を含有している樹脂層である。特に腐食防止層は、好ましくは銀で構成される光反射層の腐食を防止するという観点から、光反射層に隣接していることが好ましく、光反射層と保護層との間に設けられることがより好ましい。すなわち、光入射側から、透光性樹脂層、樹脂基材、光反射層、腐食防止層、保護層、粘着層の順の配置がより好ましい。腐食防止層は、1層のみからなっていてもよいし、複数層からなっていてもよい。また、腐食防止層を光反射層の光入射側に設ける場合には、光入射側から、透光性樹脂層、樹脂基材、腐食防止層、光反射層、保護層、粘着層の順の配置となる。しかしこれらの配置に限定はされず、上述の透光性樹脂層中に腐食防止剤が含有され、透光性樹脂層が腐食防止層を兼ねていてもよい。腐食防止層の厚さは、全体で1〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜8μmである。
【0045】
腐食防止層の形成に用いる樹脂としては、例えば、セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン系、ポリカーボネート、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、アクリル樹脂が好ましい。
【0046】
これら樹脂材料(バインダー)および以下の腐食防止剤を有機溶媒中に溶解または分散させて塗布液を調製し、塗布液を光反射層上に塗布するなどして、腐食防止層を形成することができる。
【0047】
(腐食防止剤)
腐食防止剤としては、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、金属(銀)がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
【0048】
なお、腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には0.1〜1.0g/m2の範囲内であることが好ましい。
【0049】
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等トリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物、銅キレート化合物類、チオ尿素類、メルカプト基を有する化合物、ナフタレン系の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。ベンゾトリアゾール等の化合物においては、紫外線吸収剤が腐食防止剤を兼ねる場合もある。また、シリコーン変性樹脂を用いることも可能である。シリコーン変性樹脂として特に限定されない。腐食防止剤としては、例えばWO2013/103139の段落0057〜0062に記載された化合物が使用可能である。
【0050】
[保護層]
本発明では、光反射層と粘着層との間に、厚みが20〜75μmであり、粒子を含有する保護層を設けることが特徴である。従来、樹脂製のフィルムミラーは、光反射装置に貼付して用いた際に反射率が低下するという問題があった。本発明者は、種々検討の結果、光反射層と粘着層が近い距離で配置されていると、粘着層の弾性が小さいために、フィルムミラーを添付する際や経時劣化によって粘着層が変形し、これによって光反射層にひずみが生じることを突き止めた。この光反射層のゆがみによって反射率が低下し、さらに、太陽熱発電用の光反射装置においては、狙った位置に集光できなくなるため、発電効率の低下を引き起こすことが分かった。本発明では、上記特定の厚みの保護層を設けることで、光反射層と粘着層との距離を大きくとることができ、粘着層の変形の影響による光反射層のひずみを軽減し、反射率を高いままで一定に維持することができる。
【0051】
保護層の厚みは、20μmを下回ると、粘着層と光反射層とが近くなり、粘着剤の変形の影響がでるため、光反射層のひずみ防止および層間はがれ防止の効果が充分ではない。一方、75μmを上回ると、保護層に添加している粒子が表面に出づらくなるため、粘着層と光反射層の密着性が劣る。また、製造工程中に保護層と、フィルムミラーの保護層に対して裏面側にある層(例えば透光性樹脂層)とがブロッキングしてしまい、裏面側の最表層(例えば透光性樹脂層)が削られて損傷をうけることで、初期の反射率低下を招く場合がある。さらに、ブロッキングによる保護層と最表面層との剥離行為により、フィルムミラーの各層間における密着性に影響を与え、層間剥離や変形を促進することにより、反射率の経時安定性の低下を招きやすい場合がある。透光性保護層の厚みは、より好ましくは20〜50μmであり、さらに好ましくは25〜35μmである。形成した保護層の厚みは、フィルムミラーの断面を500〜1000倍の光学顕微鏡で観察することによって、知ることができる。
【0052】
また、保護層に粒子を含有させることによって、光反射層とは反対側の保護層の表面に凹凸をつけることができる。この凹凸により後述する粘着層と保護層とがかみ合って、粘着層と保護層との密着性を向上することができる。したがって、本発明のフィルムミラーを光反射装置に用いると、長期間大気中に暴露しても、粘着層と保護層との層間はがれを防止することができる。保護層と粘着層との間の層間はがれによって光反射面の面状態が荒れ、歪みが生じて、その結果反射率の低下が生じる場合があるためである。このように反射率の低下を防止でき、反射率を高いまま維持することができる。保護層表面に凹凸があることは、フィルムミラーの断面を500〜1000倍の光学顕微鏡で観察することによって、知ることができる。
【0053】
(保護層形成用樹脂)
保護層に用いるマトリックスとしての樹脂材料には特に制限はないが、後述する粘着層となじみやすく薄膜を形成できる、従来公知の種々の合成樹脂を用いることができる。上記の透光性樹脂層を形成する樹脂と同様の材料を用いれば、製造工程の簡便さやコスト面から有利である。
【0054】
樹脂材料は、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、及びセルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
【0055】
保護層を形成する材料としては、特に、アクリル樹脂を好適に用いることができる。アクリル樹脂製の保護層は、メタクリル樹脂を主成分としていることが好ましい。メタクリル樹脂はメタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。特に好ましく用いられるメタクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)である。本発明の保護層に好適なポリメタクリル酸メチル樹脂は、重量平均分子量が10万〜100万、より好ましくは20万〜40万である。
【0056】
重量平均分子量は、公知の方法によって測定することができ、例えば、静的光散乱、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)、飛行時間型質量分析法(TOF−MASS)などによって測定することができる。本発明では、一般的な公知の方法であるゲルパーミエーションクロマトグラフィ法によって測定した値を採用した。
【0057】
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準として、メタクリル酸エステルが50〜100質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%であり、より好ましくは、メタクリル酸エステルが50〜99.9質量%、アクリル酸エステルが0〜50質量%、これら以外の単量体が0〜49質量%である。本発明に特に好ましい組み合わせとしては、メタクリル酸エステルが75〜98質量%、アクリル酸エステルが0〜10質量%、これら以外の単量体が1〜20質量%である。
【0058】
メタクリル酸アルキルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。中でもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。市販品として、アクリルゴム(SRB215、旭化成ケミカルズ製)、デルペット(登録商標)(旭化成ケミカルズ製 アクリル樹脂)等を使用してもよい。
【0059】
また、アクリル酸アルキルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
【0060】
また、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、単官能単量体、すなわち分子内に重合性の官能基を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の官能基を少なくとも2個有する化合物であってもよい。単官能単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族アルケニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアルケニルシアン化合物などが挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートの如き多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルの如き不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレートの如き多塩基酸のポリアルケニルエステル、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート類、ジビニルベンゼンの如き芳香族ポリアルケニル化合物などが挙げられる。上記のメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、それぞれ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。上記のうち、好ましくは、ジイソシアネート類であり、より好ましくは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0061】
メタクリル樹脂は、フィルムの耐熱性の点から、そのガラス転移温度が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。このガラス転移温度は、単量体の種類やその割合を調整することにより、適宜設定することができる。
【0062】
メタクリル樹脂は、その単量体成分を、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの方法により重合させることにより調製することができる。その際、好適なガラス転移温度を得るため、又は好適なフィルムへの成形性を示す粘度を得るため、重合時に連鎖移動剤を使用することが好ましい。連鎖移動剤の量は、単量体の種類やその割合などに応じて、適宜決定すればよい。
【0063】
(粒子)
本発明の保護層には、表面に凹凸をつけるために粒子を含有させる。粘着層と保護層との層間はがれを防止するという初期の効果のためには、粒径が5〜30μmであることが好ましく、より好ましくは10〜20μmであり、粒子は保護層中に0.1〜5.0質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。粒子の粒径が30μm以下であれば、密着性及び光反射層の平滑性が良好となるため、反射率の低下を防止できる。一方、5μm以上とすることにより、層間のひずみの増加による密着性の低下を防ぐことができ、反射率の低下を防止できる。また、保護層中の粒子の添加量については、0.1%以上であれば、密着性の向上効果が充分であり、ひずみの改善効果が確実に得られる。一方、5%以下であれば、光反射層の平滑性が低下することを防止できる。保護層のマトリックスおよび粒子の材料にもよるが、粒子の粒径および含有量を変化させることによって、保護層の表面の凹凸の大きさをある程度制御することができる。
【0064】
本発明において、粒子の粒径が5〜30μmであるとは、保護層中に含まれている粒子の80質量%以上が、5〜30μmの粒径を有していることをいう。粒子の粒径は、粒子を500倍の光学顕微鏡で観察し、図3中dで示すように、2本の平行線で挟まれた粒子図形の最大の距離とする。粒子は、保護層表面に凹凸を形成できれば、必ずしも球形でなくてもよい。
【0065】
本発明において、保護層は図4の中25、27に示すように、粒子が添加されている形となっており、表面に凹凸がある。その厚みの測定法としては、Nikon製 デジマイクロ MF−501+カウンタMFC−101を使用し、凹部分と凸部分双方が含まれた形で、5mmΦの測定端子で5点の厚みを測定し、平均値を厚みと規定した。
【0066】
粒子の材料としては、保護層中で形状を維持し表面に凹凸をつけることのできるものであれば、特に制限はない。保護層を構成する樹脂中に分散しやすく、粘着層の材料となじみやすい材料からなる粒子を適宜選択できる。具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケルなどの金属粒子、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ニトリルゴム等の樹脂粒子、珪藻土、タルク、ゼオライト等を使用することができる。これらは単独でも、二種以上を用いてもよい。粘着層との密着性、コストおよび耐候性に優れることから、無機酸化物粒子および樹脂粒子が好ましく、特にアクリル樹脂粒子およびシリカ粒子が好ましい。アクリル樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子が特に好ましい。本発明の保護層中の粒子に好適なポリメタクリル酸メチル樹脂は、重量平均分子量が1000〜10000が好ましい。
【0067】
保護層を形成するには、保護層を構成する樹脂を有機溶媒に溶解または懸濁させ、この溶液中に粒子を分散させ、塗布液を形成する。次いで、塗布液を所定の塗布方式で塗布し、塗膜を形成する。塗膜を塗設する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法等の方法を用いることができる。その後、乾燥して保護層を完成させることができる。
【0068】
[粘着層]
粘着層は、フィルムミラーを支持基材に貼り付けることを可能にする粘着性を有しており、この粘着層によってフィルムミラーを支持基材に接合して、太陽熱発電用反射装置を形成するための構成層である。
【0069】
粘着層としては、特に制限されず、例えば、ドライラミネート剤、ウエットラミネート剤、粘着剤、ヒートシール剤、ホットメルト剤等のいずれもが用いられる。粘着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ニトリルゴム等が用いられる。このうち、入手のしやすさやコスト面、および、フィルムミラーを光反射装置に用いた場合の耐候性に優れることから、アクリル樹脂がより好ましい。また、粘着層の厚さは、粘着効果、乾燥速度等の観点から、通常1〜100μm程度の範囲であることが好ましい。ラミネート法は、特に制限されず、例えば、ロール式で連続的に行うのが経済性及び生産性の点から好ましい。
【0070】
また、フィルムミラーは、粘着層の、保護層とは反対側の面を覆う剥離シートを備えていてもよい。フィルムミラーが剥離シートを有する場合、剥離シートを粘着層から剥離した後に、粘着層を介してフィルムミラーを支持基材に貼り付けることができる。
【0071】
(剥離シート)
剥離シートは、フィルムミラーにおける粘着層の光入射側とは反対側の面を覆う部材である。例えば、フィルムミラーの出荷時には剥離シートが粘着層に張り付いた状態であり、その後、剥離シートをフィルムミラーの粘着層から剥離し、そのフィルムミラーを支持基材に貼り合わせて太陽熱発電用反射装置を形成することができる。
【0072】
剥離シートとしては、粘着層の粘着性を保護することができるものであればよく、例えば、アクリルフィルム又はシート、ポリカーボネートフィルム又はシート、ポリアリレートフィルム又はシート、ポリエチレンナフタレートフィルム又はシート、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はシート、フッ素フィルムなどのプラスチックフィルム又はシート、又は酸化チタン、シリカ、アルミニウム粉、銅粉などを練り込んだ樹脂フィルム又はシート、これらを練り込んだ樹脂にコーティングを施したりアルミニウム等の金属を金属蒸着したりなどの表面加工を施した樹脂フィルム又はシートが用いられる。
【0073】
剥離シートの厚さは、特に制限はないが通常12〜250μmの範囲であることが好ましい。
【0074】
[ハードコート層]
本発明のフィルムミラーには、フィルムミラー表面の傷つきや汚れの付着を防止する目的でハードコート層を設けてもよい。透明なハードコート層は、光入射側の最外層、または光入射側から2層目又は3層目のいずれかであることが好ましい。ハードコート層の上に更に薄い(1μm以下が好ましい)別の層を設けてもよい。
【0075】
ハードコート層の作製方法としては、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法を挙げることができる。また、所定の材料を塗布、塗工することに加え、各種表面処理等を組み合わせてもよい。
【0076】
なお、ハードコート層の厚みは、十分な耐傷性を得つつ、フィルムミラーにそりが発生することを防止するという観点から、0.05μm以上、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1μm以上、10μm以下である。
【0077】
ハードコート層を形成する材料としては、透明性、耐候性、硬度、機械的強度等が得られるものであれば、特に限定されるものではない。ハードコート層は、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などで構成することができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル樹脂、または熱硬化型のアクリル樹脂からなるものが好ましい。
【0078】
活性エネルギー線硬化型のアクリル樹脂または熱硬化型のアクリル樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
【0079】
アクリルオリゴマーとは、アクリル樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
【0080】
また、反応性希釈剤とは、塗工剤の媒体として塗工工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
【0081】
市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亞合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
【0082】
更に具体的には、例えば、電子線や紫外線の照射により硬化する樹脂や熱硬化性の樹脂等を使用でき、特にアルコキシシラン系化合物の部分加水分解オリゴマーからなる熱硬化型シリコーン系ハードコート、熱硬化型のポリシロキサン樹脂からなるハードコート、不飽和基を有するアクリル系化合物からなる紫外線硬化型アクリル系ハードコート、熱硬化型無機材料であることが好ましい。また、ハードコート層に用いることができる材料として、水性コロイダルシリカ含有アクリル樹脂(特開2005−66824号公報)、ポリウレタン系樹脂組成物(特開2005−110918号公報)、水性シリコーン化合物をバインダーとして用いた樹脂膜(特開2004−142161号公報)、酸化チタン等の光触媒性酸化物含有シリカ膜もしくはアルミナ、アスペクト比の高い酸化チタンもしくは酸化ニオブなどの光触媒膜(特開2009−62216)、光触媒含有フッ素樹脂コーティング(ピアレックス・テクノロジーズ社)、有機/無機ポリシラザン膜、有機/無機ポリシラザンに親水化促進剤(AZエレクトロニクス社)を用いた膜、等も挙げることができる。
【0083】
熱硬化型シリコーン系のハードコート層には公知の方法によって合成したアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーを使用できる。その合成方法の一例は以下の通りである。まず、アルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランを用い、これを塩酸、硝酸等の酸触媒の存在下に所定量の水を加えて、副生するアルコールを除去しながら室温から80℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、更に縮合反応により一分子中にシラノール基又はアルコキシ基を2個以上有し、平均重合度4〜8のアルコキシシラン化合物の部分加水分解オリゴマーが得られる。次にこれに酢酸、マレイン酸等の硬化触媒を添加し、アルコール、グリコールエーテル系の有機溶剤に溶解させて熱硬化型シリコーン系ハードコート液が得られる。そしてこれを通常の塗料における塗装方法によりフィルムミラー等の外面に塗布し、80〜140℃の温度で加熱硬化することによって透明ハードコート層を形成させる。但しこの場合、フィルムミラーの熱変形温度以下での硬化温度の設定が前提となる。なお、テトラアルコキシシランの代わりにジ(アルキルまたはアリール)ジアルコキシシラン、並びに/或いはモノ(アルキルまたはアリール)トリアルコキシシランを使用することにより、同様にポリシロキサン系の透明ハードコート層を製造することが可能である。
【0084】
(添加剤)
ハードコート層に紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させてもよい。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、上述の透光性樹脂層で用いた紫外線吸収剤および酸化防止剤を用いることができる。
【0085】
特に、多官能アクリルモノマーとシリコーン樹脂を含有するハードコート層において好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤をハードコート層に含有させることにより、耐候性を更に良好にするだけでなく、転落角も更に低下できるという優れた効果を得ることができる。特に、下記の一般式(9)で表される化合物をハードコート層に含有させた場合、転落角の低下という効果が著しい。尚、転落角とは、水平なミラー上に水滴を滴下し、その後、当該ミラーの傾斜角を徐々に上げていき、静止していた所定質量の水滴が転落する最小の角度を計測したものをいう。転落角が小さければ小さい程、水滴が表面から転がり落ちやすく、水滴が付着しにくい表面であると言える。
【0086】
【化1】
【0087】
なお、ハードコート層における紫外線吸収剤の使用量は、密着性を良好に保ちつつ、耐候性を良好にするために、0.1〜20質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.25〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
【0088】
ハードコート層に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤など、有機系酸化防止剤を使用することが好ましい。有機系酸化防止剤をハードコート層に含有させることでも、転落角を低下し得る。酸化防止剤と光安定剤を併用してもよい。光安定剤としては、上記した透光性樹脂層に用いられるものと同様の光安定剤を使用することができる。
【0089】
ハードコート層中には、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。レベリング剤は、表面凹凸低減に効果的である。レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(例えば東レダウコーニング(株)製SH190)が好適である。
【0090】
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、光反射層よりも光入射側に設けることが好ましく、光反射層の腐食防止に効果的である。ガスバリア層は、湿度の変動、特に高湿度による樹脂基材及び樹脂基材に支持される各構成層等の劣化を防止するためのものであるが、特別の機能・用途を持たせたものであってもよく、劣化防止機能を有する限りにおいて、種々の態様のガスバリア層を設けることができる。
【0091】
ガスバリア層の防湿性としては、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が、1g/m2・day以下であることが好ましく、より好ましくは0.5g/m2・day以下、更に好ましくは0.2g/m2・day以下である。また、ガスバリア層の酸素透過度としては、測定温度23℃、湿度90%RHの条件下で、0.6ml/m2/day/atm以下であることが好ましい。
【0092】
ガスバリア層の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング、イオンビームアシスト、化学気相成長法等の方法により無機酸化物を形成する方法が挙げられるが、ゾル−ゲル法による無機酸化物の前駆体を塗布した後に、その塗布膜に加熱処理及び/又は紫外線照射処理を施して、無機酸化物膜を形成する方法も好ましく用いられる。
【0093】
[アンカー層]
本発明のフィルムミラーは、樹脂基材と光反射層との間にアンカー層を設けてもよい。アンカー層は樹脂からなり、樹脂基材と光反射層とを密着させる効果がある。従って、アンカー層は、樹脂基材と光反射層とを密着する密着性、光反射層を真空蒸着法等で形成する際の熱にも耐え得る耐熱性、及び光反射層が本来有する高い反射性能を引き出すための平滑性が必要である。
【0094】
アンカー層に使用する樹脂材料は、上記の密着性、耐熱性、及び平滑性の条件を満足するものであれば特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂等の単独またはこれらの混合樹脂が使用でき、耐候性の点からポリエステル系樹脂とメラミン系樹脂の混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
【0095】
アンカー層の形成方法としては、所定の樹脂材料を塗布、塗工するグラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
【0096】
アンカー層の厚さは、0.01〜3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。厚さが0.01μm以上であれば、密着性向上の効果が確実に得られ、樹脂基材表面の凹凸を覆い隠すこともできるため平滑性も向上される。その結果、光反射層の反射率が高くなり好ましい。また、厚さが3μm以下であれば、密着性の向上には十分であり、塗りムラの発生により平滑性が悪くなることを避けられ、さらにアンカー層の硬化が充分なものとなる。
【0097】
[光反射装置]
本発明のフィルムミラーは、支持基材に貼付して、光反射装置に使用するのに好適である。したがって、本発明は、上記のフィルムミラーを支持基材に貼付した、太陽熱発電用光反射装置も提供する。太陽熱発電用反射装置は、フィルムミラーと自己支持性の支持基材とを有しており、粘着層を介してフィルムミラーが支持基材に接合されている反射鏡である。
【0098】
なお、ここで言う「自己支持性」とは、太陽熱発電用反射装置の支持基材として用いられる大きさに断裁された状態で、支持基材がフィルムミラーの端縁部分を支持することで、フィルムミラーを担持することが可能な程度の剛性を有することを表す。太陽熱発電用反射装置の支持基材が自己支持性を有することで、太陽熱発電用反射装置を設置する際に取り扱い性に優れるとともに、太陽熱発電用反射装置を保持するための保持部材を簡素な構成とすることが可能となるため、反射装置自体を軽量化することが可能となり、太陽追尾の際の消費電力を抑制することが可能となる。
【0099】
(支持基材)
自己支持性の支持基材としては、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するもの(タイプA)か、中空構造を有する樹脂材料からなるもの(タイプB)であることが好ましい。
【0100】
(支持基材タイプA)
支持基材が、一対の金属平板とその金属平板間に介装された中間層を有するものであって、その中間層が中空構造を有する材料または樹脂材料から構成されることにより、支持基材は、金属平板による高い平面性を有するとともに、金属平板のみで支持基材を構成する場合に比べて、支持基材自体を大幅に軽量化することが可能となる。また、比較的軽量な中間層を用いつつ金属平板によって剛性を上げることができるため、軽量且つ自己支持性を有する支持基材として機能させることが可能になる。
【0101】
更に、中間層が樹脂材料からなる場合においても、中空構造を有する樹脂材料の層とすることでより一層の軽量化を図ることができる。
【0102】
また、中間層を中空構造とした場合には、中間層が断熱材としての機能を果たすため、粘着層8とは反対側の金属平板の温度変化がフィルムミラーへ伝わることを抑制し、結露の防止や、熱による劣化を抑制することが可能となる。
【0103】
支持基材の両面の表面層となる金属平板としては、鋼板、銅板、アルミニウム板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム系合金めっき鋼板、銅めっき鋼板、錫めっき鋼板、クロムめっき鋼板、ステンレス鋼板など熱伝導率の高い金属材料が好ましく用いることができる。本発明においては、特に、耐腐食性の良好なめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板などを用いることが好ましい。
【0104】
支持基材の中間層としては、金属、無機材料(ガラス等)、樹脂材料等の素材を用いることができる。
【0105】
この中間層を中空構造とする場合、発泡樹脂からなる気泡構造や、金属、無機材料又は樹脂材料からなる壁面を有する立体構造(ハニカム構造等)や、中空微粒子を添加した樹脂材料等を適用することができる。
【0106】
発泡樹脂の気泡構造は、樹脂材料中にガスを細かく分散させ、発泡状又は多孔質形状に形成されたものを指す。その材料としては公知の発泡樹脂材料を使用可能であるが、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン等が好ましく用いられる。
【0107】
ハニカム構造とは、空間が側壁で囲まれた複数の小空間で構成される立体構造全般を表すものとする。
【0108】
中間層の中空構造を樹脂材料からなる壁面を有する立体構造とする場合、壁面を構成する樹脂材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもオレフィン系樹脂又はオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、機械的強度及び成形性のバランスに優れている点で好ましい。樹脂材料には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
【0109】
また、中間層を樹脂プレートからなる層とすることも可能であり、この場合に中間層を構成する樹脂材料としては、前述のフィルムミラーの樹脂基材を構成する材料と同様のものを好ましく用いることができる。
【0110】
なお、中間層は、支持基材の全ての領域に設けられる必要はなく、金属平板の平面性及び支持基材としての自己支持性を担保できる範囲であれば、一部の領域に設けられていてもよい。中間層を上述の立体構造とする場合、金属平板の面積に対して、90〜95%程度の領域に立体構造を設けることが好ましく、発泡樹脂を用いる場合は、30〜40%程度の領域に設けることが好ましい。
【0111】
(支持基材タイプB)
支持基材が、中空構造を有する樹脂材料からなる層とすることも可能である。支持基材を樹脂材料のみからなる層とした場合、自己支持性を持たせる程度の剛性を得るために必要な厚さが大きくなり、結果として支持基材の質量が重くなるが、樹脂材料に中空構造を持たせることにより、自己支持性を持たせながら支持基材を軽量化することができる。
【0112】
支持基材が、中空構造を有する樹脂材料からなる場合、中空構造を有する樹脂材料を中間層として用い、その両面の表面層として平滑な面を有する樹脂シートを設けることが、フィルムミラーの正反射率を高める観点で好ましい。この樹脂シートの材料としては、前述のフィルムミラーの樹脂基材を構成する材料と同様のものを好ましく用いることができる。中空構造を有する樹脂材料としては、上述の発泡材料や立体構造(ハニカム構造)を有する樹脂材料を好ましく用いることができる。
【0113】
(保持部材)
太陽熱発電用反射装置は、反射装置自体を保持する保持部材を有する。保持部材は、太陽熱発電用反射装置における反射面(フィルムミラー)が、太陽を追尾可能な状態で保持することが好ましい。保持部材の形態としては、特に制限はないが、太陽熱発電用反射装置が所望の形状や姿勢を保持できるように、例えば、太陽熱発電用反射装置の裏面側の支持基材における複数個所を棒状の柱状部材や梁状部材によって保持する形態が好ましい。
【0114】
保持部材は、太陽を追尾可能な状態で太陽熱発電用反射装置を保持する構成を有するが、太陽追尾に際しては、手動で駆動させてもよいし、別途駆動装置を設けて自動的に太陽を追尾する構成としてもよい。
【実施例】
【0115】
以下、実施例および比較例を通して本発明を説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定はされない。
【0116】
<実施例1>
樹脂基材として、2軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム 厚さ25μm)である樹脂フィルムを用いた。上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、ポリメチルメタクリル(PMMA)樹脂(EMB457 三菱レイヨン製)、アクリルゴム(SRB215 旭化成ケミカルズ)、HDMI系イソシアネート(1、6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を、樹脂固形分比率で、17:3:2に、固形分濃度22%となるようにメチルエチルケトン中に混合した。この溶液を、アプリケーター バーコーター法にてコーティングして、厚さ25μmの透光性樹脂層を形成した。
【0117】
次いで、支持基材の反対側の面に、真空蒸着法にて厚さ100nmの銀からなる光反射層を形成した。
【0118】
次に、銀の光反射層の上に、ポリエステル系樹脂とTDI(2.4−トリレンジイソシアネート)系イソシアネートを樹脂固形分比率で10:2に混合した樹脂に対して、銀の腐食防止剤として、2−メルカプトベンゾチアゾールを、樹脂に対して10質量%となるように添加し、メチルエチルケトン中に5%になるよう塗布液を調製した。この塗布液を、グラビアコート法により光反射層上にコーティングして、厚さ3μmの腐食防止層を形成した。
【0119】
次に、腐食防止層の上に、PMMA樹脂(EMB457 三菱レイヨン製)、アクリルゴム(SRB215 旭化成ケミカルズ)、HDMI系イソシアネート(1、6−ヘキサメチレンジイソシアネート)、PMMAフィラー(綜研化学製 MX1500 粒径 15μm)を樹脂固形分比率で、17:3:2:0.11に、固形分濃度22%となるようにメチルエチルケトン中に混合し塗布液を調製した。この塗布液を、アプリケーター バーコーター法にてコーティングして、厚さ20μmの保護層を形成した。
【0120】
次に、アクリル系粘着剤(ニッセツKP−2254 日本カーバイド工業製)、HDMI系イソシアネート(1、6−ヘキサメチレンジイソシアネート)を樹脂固形分比率で、27:1に、固形分濃度15%となるように酢酸エチルに混合し、塗布液を調製した。この塗布液を、アプリケーター バーコーター法にて上記の保護層上にコーティングして、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。
【0121】
上記のようにして、実施例1のフィルムミラーを得た。得られたフィルムミラーは、以下の光反射層ひずみ、保護層および粘着層の層間粘着性、透光性樹脂と保護層とのブロッキングを評価した。評価結果は、後掲の表表1−1および1−2に示す。
【0122】
<層間密着性>
フィルムミラー試料を10mm幅に切断し、粘着層をガラス板に貼りつけ、メタルハイルドランプ500hr照射後、粘着力を測定した。メタルハイルドランプ照射前と照射後の粘着力(JIS Z0237(2009年)準拠)の比較を行った。評価基準は以下の通りとした。
5:保護層と粘着層の界面に剥がれは全く見られず、粘着力は初期の120%以上。
4:保護層と粘着層の界面に剥がれの兆候は、ほぼ見られず、粘着力は初期の100以上〜120%未満。
3:保護層と粘着層の間にわずかに剥がれの兆候が見られるが、粘着力は初期の80〜100%未満。
2:保護層と粘着層の間に、わずかに剥がれが見られ、粘着力は初期の50〜80%未満。
1:保護層と粘着層の界面に明確な剥がれが見られ、粘着力は初期の50%未満。
【0123】
<ブロッキング>
製造工程においては、透光性樹脂層と保護層が接した状態で巻きとられる場合があり、その際に両層がくっついていると、両層の面が荒れ、反射率低下を引き起こす懸念がある。そのため、ブロッキングが起こらないことが好ましい。ブロッキングの評価のために、10cm×10cmにフィルムミラー試料を切り出し、透光性樹脂層と保護層を重ね合わせ、23℃で7g/cm2の荷重を72時間かけた。その後、保護層を剥がした際のブロッキング状態を確認した。評価基準は以下の通りとした。
5:全く音がしなく剥がれ、層の剥がれはない。
4:面として濡れている感じはあるが、音もなく剥がれ層の剥がれはない。
3:面として濡れている感じがあるが、剥がれ部分はない。
2:部分的にくっついており、透光性樹脂層が剥がれる。
1:全面的にくっついており、透光性樹脂層が剥がれる。
【0124】
<正反射率の測定>
日立ハイテク製の分光光度計「UH4150」を使用し、反射面の法線に対して、入射光の入射角5°となるように調整し、反射角5°の正反射率を測定した。評価は、250nm〜2500nmの平均反射率として測定した。
【0125】
<正反射率の耐候性試験後反射率>
温度85℃、湿度85%RHの条件で30日放置後の正反射率を、上記光線反射率測定と同様の方法により測定した。
【0126】
<実施例2〜9>
形成する保護層の厚さおよび粒子の種類を下記表1−1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは、実施例1と同様に評価した。評価結果は、後掲の表1−1および1−3に示す。
【0127】
<比較例1〜4>
形成する保護層の厚さおよび粒子の種類を下記表1−2のように変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルムミラーを製造した。得られたフィルムミラーは、実施例1と同様に評価した。評価結果は、後掲の表1−2および1−3に示す。
【0128】
【表1-1】
【0129】
【表1-2】
【0130】
【表1-3】
【0131】
表1の結果から、本発明のフィルムミラーは、保護層を設けたことにより、光反射層の歪みが低減され、耐候性試験後の反射率が高く維持されていることが分かった。さらに、本発明のミラーは、保護層中の粒子の存在により、保護層と粘着層との層間密着性およびブロッキング性においても良好な結果を示した。これらの結果は、保護層のない比較例3と対比すると明らかである。また、実施例1と保護層の薄い比較例1とを対比すると、実施例1では、初期および耐候性試験後の反射率、ならびに、保護層と粘着層との層間密着性においてより優れた結果を示した。また、実施例1と保護層の厚い比較例2とを対比すると、比較例2は耐候性試験後の反射率が低下し、かつブロッキング性に劣る結果となった。
【符号の説明】
【0132】
10、20 フィルムミラー、
11、21 透光性樹脂層、
12、22 樹脂基材、
13、23 光反射層、
14、24 腐食防止層、
15、25 保護層、
16、26 粘着層、
17、27 粒子、
28 ハードコート層、
30 アンカー層。
図1
図2
図3