【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置(10)は、光を反射させると共に透過させることが可能なハーフミラー(27)を有し、このハーフミラー(27)で反射された光、及び、ハーフミラー(27)を透過した光が投射面部(31)に投射される装置である。ハーフミラー(27)は、第1の領域(51)と、第2の領域(52)と、の2つの領域を有している。投射面部(31)は、第1の領域(51)において反射された光が投射される第1の投射面部(61)と、第2の領域(52)を透過した光が投射される第2の投射面部(62)と、からなる。第1の領域(51)における透過率は、第2の領域(52)における透過率よりも低く、且つ、第1の領域(51)における反射率は、第2の領域(52)における反射率よりも高い。
光を反射させると共に透過させることが可能なハーフミラーを有し、このハーフミラーで反射された光、及び、前記ハーフミラーを透過した光が投射面部に投射されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記ハーフミラーは、第1の領域と、第2の領域と、の2つの領域を有し、
前記投射面部は、前記第1の領域において反射された光が投射される第1の投射面部と、前記第2の領域を透過した光が投射される第2の投射面部と、からなり、
前記第1の領域における透過率は、前記第2の領域における透過率よりも低く、且つ、前記第1の領域における反射率は、前記第2の領域における反射率よりも高いことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数の情報を明確に区別して認識することが可能なヘッドアップディスプレイ装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1による発明によれば、光を反射させると共に透過させることが可能なハーフミラーを有し、このハーフミラーで反射された光、及び、前記ハーフミラーを透過した光が投射面部に投射されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記ハーフミラーは、第1の領域と、第2の領域と、の2つの領域を有し、
前記投射面部は、前記第1の領域において反射された光が投射される第1の投射面部と、前記第2の領域を透過した光が投射される第2の投射面部と、からなり、
前記第1の領域における透過率は、前記第2の領域における透過率よりも低く、且つ、前記第1の領域における反射率は、前記第2の領域における反射率よりも高いことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される。
【0009】
請求項2に記載のごとく、好ましくは、前記第2の投射面部に投射された虚像からこの虚像を視認する操作者の目までの距離は、前記第1の投射面部に投射された虚像から前記操作者の目までの距離よりも短く、
前記第2の投射面部には、走行速度を投射可能である。
【0010】
請求項3に記載のごとく、好ましくは、前記ハーフミラーは、前記第1の領域と、前記第2の領域の間に、さらに第3の領域を有し、
前記第3の領域における透過率及び反射率は、
前記第1の領域との境界部分において、前記第1の領域の透過率及び反射率と略同一であり、
前記第2の領域との境界部分において、前記第2の領域の透過率及び反射率と略同一であり、
前記第1の領域との境界部分から前記第2の領域との境界部分まで連続的に変化している。
【0011】
請求項4に記載のごとく、好ましくは、前記第1の投射面部に投射される情報が表示されるスクリーンと、このスクリーンを照射可能な投射器と、をさらに有し、
前記スクリーンは、前記スクリーンに入射される光の光軸に対して所定の角度傾けて設けられ、
前記第1の領域のうち、前記第1の投射面部の上部に投射される光を反射させる部位は、前記第1の投射面部の下部に投射される光を反射させる部位よりも、反射率が高く、且つ、透過率が低い。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、ハーフミラーは、第1の領域と、第2の領域と、の2つの領域を有し、第1の領域における透過率は、第2の領域における透過率よりも低い。第2の領域よりも透過率の低い第1の領域に達した光は、主に、ハーフミラーを透過せずに、ハーフミラーにおいて反射される。このため、第1の領域の表裏面のうち、一方の面に出射された光を第1の投射面部に投射させることができる。即ち、他方の面に出射された光が第1の投射面部に映り込むことを抑制する。一方、第1の領域よりも透過率の高い第2の領域に達した光は、ハーフミラーを透過する。このため、第2の領域の表裏面のうち、他方の面に出射された光を第2の投射面部に投射させることができる。即ち、一方の面に出射された光が第2の投射面部に映り込むことを抑制する。例えば、第1の領域の裏面に達した光が第1の投射面部に投射される場合には、第2の領域の表面側から出射された光が第2の領域を透過して第2の投射面部に投射される。このため、複数の情報をそれぞれの領域に明確に分けた上で投射させることができる。ハーフミラーにそれぞれ透過率の異なる2つの領域を設けることにより、複数の情報を明確に区別して認識することができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、操作者の目から第2の投射面部に投射された虚像までの距離は、第1の投射面部に投射された虚像までの距離よりも短く、第2の投射面部には、走行速度を投射可能である。速度は、特に重要な情報である。ヘッドアップディスプレイ装置の操作者に対して、重要な情報をより近くに見えるよう投射させることにより、重要な情報をより確実に認識させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、ハーフミラーは、第1の領域と、第2の領域の間に、さらに第3の領域を有している。そして、第3の領域における透過率及び反射率は、第1の領域との境界部分において、第1の領域の透過率及び反射率と略同一であり、第2の領域との境界部分において、第2の領域の透過率及び反射率と略同一であり、第1の領域との境界部分から第2の領域との境界部分まで連続的に変化している。第1の領域と第2の領域とが隣接している場合には、第1の投射面部と第2の投射面部とが隣接することとなる。この場合、第1の投射面部に投射された光の強さと第2の投射面部に投射された光の強さが異なることにより、境界部分が明確に投射されることとなる。この部位が明確に投射されることにより、投射された情報の美観性が低下する。この点、第1の領域との境界部分から第2の領域との境界部分まで連続的に透過率を変化させることにより、境界部分については、明確に投射されることを抑制できる。これにより、必要な情報については投射される領域を明確に分けつつ、これらの領域の境界については境界部分をぼかすことにより、投射される情報の美観性を高めることができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、スクリーンは、スクリーンに入射される光の光軸に対して所定の角度傾けて設けられている。これにより、第1の投射面部に投射される虚像に奥行きを生じさせることができる。そして、第1の領域のうち、第1の投射面部の上部に投射される光が通過する部位は、第1の投射面部の下部に投射される光が通過する部位よりも、透過率が低く、且つ、反射率が高い。虚像に奥行きを生じさせると、上部に投射される虚像が奥に見える。虚像に奥行きが出るようスクリーンを傾けると、特に、虚像の奥の部位が暗くなる傾向がある。第1の領域の透過率を変化させることにより、虚像全体の輝度を均一にすることができる。投射器の細かな制御等が不要となり有益である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とはヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0018】
図1を参照する。
図1には、車両Veに搭載された状態のヘッドアップディスプレイ装置10が示されている。
【0019】
ヘッドアップディスプレイ装置10は、ハウジング11と、このハウジング11の内部を上下に仕切る仕切り板12と、仕切り板12の上面に設けられ前方に向かって光が出射される第1の投射器13(投射器13)と、この第1の投射器13から出射された光が照射されると共に透過する第1のスクリーン14(スクリーン14)と、この第1のスクリーン14を透過した光が下方に反射される上部ミラー15と、仕切り板12の下面部に取り付けられ前方に光が出射される第2の投射器23と、この第2の投射器23から出射された光が照射されると共に透過する第2のスクリーン24と、この第2のスクリーン24を透過した光が透過すると共に第1のスクリーン14を透過した光が前方に向かって反射されるハーフミラー27と、このハーフミラー27からの光を上方に向かって反射させる前部ミラー28と、この前部ミラー28の上方に位置し情報が投射される投射面部31と、第1及び第2の投射器13,23、並びに第1及び第2のスクリーン14,24を制御する制御部32と、からなる。
【0020】
ハウジング11は、下部ハウジング41に上部ハウジング42が被される構成とされている。下部ハウジング41には、ステー43を介して仕切り板12が取り付けられている。上部ハウジング42には、前端に前部ミラー28において反射された光が通過する開口42aが形成されている。
【0021】
仕切り板12には、1枚板状の板材が用いられている。仕切り板12の前端には、上部ミラー15において反射された光が通過するための切り欠き形状部12aが形成されている。
【0022】
第1及び第2の投射器13,23、第1及び第2のスクリーン14,24、上部ミラー15、並びにハーフミラー27は、それぞれステー44〜49を介して仕切り板12に取り付けられている。
【0023】
第1のスクリーン14は、モータ38を介してステー45に支持されている。第1のスクリーン14は、第1の投射器13から出射される光の光軸に対して傾けられている。この角度は、モータ38を作動させることにより変更することができる。第1のスクリーン14には、例えば、透明な樹脂が採用されると共に、ナビゲーション情報が表示される。これらの第1のスクリーン14の角度や表示される情報は、制御部32によって制御される。
【0024】
第2のスクリーン24は、第2の投射器23から出射される光の光軸に対して所定の角度傾けられている。第2のスクリーン24には、例えば、透明な樹脂が採用されると共に、車両Veの走行速度が表示される。なお、第2のスクリーン24の表面には微細な凹凸形状が設けられている。これにより入射された光を拡散させることができる。
【0025】
上部ミラー15は、表面に金属反射膜あるいは誘電体多層膜を有する、平面状の鏡である。
【0026】
前部ミラー28は、下部ハウジング41の前端に貼り付けられた凹面鏡である。
【0027】
投射面部31は、車室の前部を仕切るフロントウインドウFwの一部を利用してなる。
【0028】
一点鎖線によって示されるように、第1の投射器13から出射された光は、第1のスクリーン14を照射してナビゲーション情報が表示される。第1のスクリーン14を透過した光は、上部ミラー15、ハーフミラー27、及び、前部ミラー28に反射されて、投射面部31に投射される。これにより、投射面部31にナビゲーション情報が投射される。
【0029】
一点鎖線によって示されるように、第2の投射器23から出射された光は、第2のスクリーン24を照射して車速が表示される。第2のスクリーン24を透過した光は、ハーフミラー27を透過し、前部ミラー28に反射されて、投射面部31に投射される。これにより、投射面部31に車速が投射される。
【0030】
乗員Mnは、投射面部31に投射された虚像Vi1,Vi2を視認することにより、情報を得ることができる。乗員Mnから見た場合に、虚像Vi1,Vi2は、P1及びP2の位置に投射されているように見える。第1の虚像Vi1は、第1のスクリーン14を透過して投射されたナビゲーション情報であり、第2の虚像Vi2は、第2のスクリーン24を透過して投射された車速情報である。
【0031】
想定される乗員Mn(ヘッドアップディスプレイ装置10の操作者)の目の位置Ep、即ち、アイポイントEpから第2の虚像Vi2までの距離L2は、アイポイントEpから第1の虚像Vi1までの距離L1よりも短い。ここで、想定される乗員Mnとは、平均的な体格の乗員をいう。アイポイントEpは、通常の運転時におけるこのような乗員Mnの目の位置を想定している。
【0032】
図2を参照する。
図2には、ハーフミラー27が、第2の投射器23(
図1参照)側から見た状態において示されている。ハーフミラー27は、それぞれ透過率、及び、反射率の異なる第1の領域51と、第2の領域52とを有している。
【0033】
第2の領域52は、例えば、ハーフミラー27の下部中央に帯状に形成されている。その他の部位が第1の領域51とされている。なお、これらの領域の設定は、任意に行うことができる。
【0034】
例えば、第1の領域51における透過率は30%であり、反射率は70%である。第2の領域52における透過率は70%であり、反射率は30%である。なお、これらの値は、反射膜の厚みを調整することにより、任意に設定することができる。反射膜は、板ガラスにアルミや銀を蒸着することにより形成することができる。
【0035】
図3を参照する。投射面部31は、第1の領域51(
図2参照)において反射された光が投射される第1の投射面部61と、第2の領域52(
図2参照)を透過した光が投射される第2の投射面部62と、からなる。
【0036】
例えば、第1の投射面部61には、ナビゲーション情報が投射され、第2の投射面部62には、車速が投射されている。
【0037】
図1を併せて参照する。車速情報、即ち、第2の虚像Vi2は、第1の虚像Vi1よりも近く、且つ、鉛直方向に立たせたように投射されている。一方、ナビゲーション情報、即ち、第1の虚像Vi1は、第2の虚像Vi2の奥側に、略水平方向に広がるように投射されている。第1の虚像Vi1は、下方が手前、上方が奥となるよう、奥行きを有した状態で投射されている。なお、ハーフミラー27における「裏面」とは、第2のスクリーン24を透過した光の出射側を意味している。
【0038】
図4を参照する。矢印(1)によって示される、第1のスクリーン14(
図1参照)を透過した光は、矢印(2)によって示されるように、上部ミラー15によって下方に反射される。下方に反射された光のうち、一部は、第1の領域51の裏面に達する。第1の領域51は、透過率が低い。即ち、反射率が高い。第1の領域51の裏面に達した光は、矢印(3)によって示されるように、第1の領域51の裏面において反射される。第1の領域51の裏面において反射された光は、前部ミラー28に達し、矢印(4)によって示されるように、投射面部31(
図1参照)に向かって反射される。
【0039】
一方、上部ミラー15によって下方に反射された光のうち、残部は、第2の領域52の裏面に達する。第2の領域52は、透過率が高い。即ち、反射率が低い。第2の領域52の裏面に達した光は、矢印(5)によって示されるように、第2の領域52を透過する。
【0040】
このため、第1のスクリーン14を透過した光のうち、第1の領域51の裏面に反射された光が投射面部31に投射されることとなる。
【0041】
矢印(6)によって示される、第2のスクリーン24(
図1参照)を透過した光のうち、一部は、第2の領域52の表面に達する。第2の領域52は、透過率が高い。即ち、反射率が低い。第2の領域52の表面に達した光は、矢印(7)によって示されるように、第2の領域52を透過する。第2の領域52を透過した光は、前部ミラー28に達し、矢印(8)によって示されるように、投射面部31(
図1参照)に向かって反射される。
【0042】
一方、第2のスクリーン24を透過した光の残部は、第1の領域51の表面に達する。第1の領域51は、透過率が低い。即ち、反射率が高い。第1の領域51の表面に達した光は、矢印(9)によって示されるように、第2の領域52において下方に反射される。
【0043】
このため、第2のスクリーン24を透過した光のうち、第2の領域52を透過した光が投射面部31に投射されることとなる。
【0044】
図3を併せて参照する。以上をまとめる。第1の領域51に達した光は、主に、ハーフミラー27を透過せずに、ハーフミラー27において反射される。このため、第1の領域51の表裏面のうち、裏面(一方の面)に出射された光を第1の投射面部61に投射させることができる。即ち、第1の領域51の表面(他方の面)に出射された光が第1の投射面部61に映り込むことを抑制する。一方、第1の領域51よりも透過率の高い第2の領域52に達した光は、ハーフミラー27を透過する。このため、第2の領域52の表裏面のうち、表面(他方の面)に出射された光を第2の投射面部62に投射させることができる。即ち、第2の領域52の裏面(一方の面)に出射された光が第2の投射面部62に映り込むことを抑制する。
【0045】
第1の領域51の裏面に達した光が第1の投射面部61に投射される場合には、第2の領域52の表面側から出射された光が第2の領域52を透過して第2の投射面部62に投射される。このため、複数の情報をそれぞれの領域51,52に明確に分けた上で投射させることができる。ハーフミラー27にそれぞれ透過率の異なる2つの領域51,52を設けることにより、複数の情報を明確に区別して認識することができる。
【0046】
図1及び
図3を参照する。乗員Mnの目(操作者の目)から第2の投射面部62に投射された第2の虚像Vi2までの距離L2は、第1の投射面部61に投射された第1の虚像Vi1までの距離L1よりも短く、第2の投射面部62には、車速(速度)が投射される。速度は、特に重要な情報である。ヘッドアップディスプレイ装置10の操作者に対して、重要な情報をより近くに見えるよう投射させることにより、重要な情報をより確実に認識させることができる。
【0047】
第1の領域51において反射される光が出射される第1の投射器13と、第1の投射面部61に投射される情報が表示される第1のスクリーン14と、第2の領域52を透過する光が出射される第2の投射器23と、第2の投射面部62に投射される情報が表示される第2のスクリーン24と、をさらに有している。これらの第1の投射器13と、第1のスクリーン14と、第2の投射器23と、第2のスクリーン24とは、ハーフミラー27と共にハウジング11に収納されている。このハウジング11の内部には、ハウジング11の内部を上下に仕切る仕切り板12が設けられている。この仕切り板12に、ハーフミラー27と、第1の投射器13と、第1のスクリーン14と、第2の投射器23と、第2のスクリーン24とは取り付けられている。仕切り板12に予め、ハーフミラー27、第1の投射器13、第1のスクリーン14、第2の投射器23、及び、第2のスクリーン24を取り付けた上で、仕切り板12をハウジング11に設けることができる。これらの部品をコンパクトに纏めて配置することができると共に、ヘッドアップディスプレイ装置10を簡単に組み立てることができる。
【0048】
加えて、仕切り板12の一方の面側に第1の投射器13及び第1のスクリーン14が取り付けられ、他方の面側に第2の投射器13及び第2のスクリーン24が取り付けられている。これにより、第1のスクリーン14に入射する光と、第2のスクリーン24に入射する光とが互いに干渉することを抑制することができる。部品点数の増加を抑制しつつ、互いの光が干渉することを有効に抑制することができる。
【0049】
続いて、ハーフミラー27を変更した場合の変更例について説明する。
【0050】
図5及び
図6を参照する。第1の領域51の透過率、及び、反射率は、第1の投射面部61に投射される虚像の輝度が均一になるよう、連続的に変化している。例えば、第1の領域51の上部P3において透過率は30%、反射率は70%であり、下部P4において透過率は65%、反射率は35%である。
【0051】
即ち、第1の領域51のうち、第1の投射面部61の上部P5に投射される光を反射させる部位(P3)は、第1の投射面部61の下部P6に投射される光を反射させる部位(P4)よりも、反射率が高く、且つ、透過率が低い。
【0052】
虚像に奥行きを生じさせると、第1の投射面部61の上部に投射される虚像が奥に見える。虚像に奥行きが出るよう第1のスクリーン14(
図1参照)を傾けると、特に、虚像の奥の部位(第1の投射面部61の上部)が暗くなる傾向がある。第1の領域51の反射率(透過率)を変化させることにより、虚像全体の輝度を均一にすることができる。投射器の細かな制御等が不要となり有益である。
<実施例2>
【0053】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
【0054】
図7には、実施例2によるヘッドアップディスプレイ装置10Bの断面構成が示されている。実施例2によるヘッドアップディスプレイ装置10Bにおいては、投射器13Bが1つとされると共に、ハーフミラー27Bが変更されている。その他の基本的な構成については、実施例1によるヘッドアップディスプレイ装置10(
図1参照)と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0055】
ヘッドアップディスプレイ装置10Bは、投射器13Bから出射される光が通過する光路上に配置され、投射器13Bから出射された光の一部を反射させる後下部ミラー71を有している。後下部ミラー71は、仕切り板12Bにステー72を介して取り付けられている。仕切り板12Bのなかの後下部ミラー71の上方の部位には、後下部ミラー71によって反射された光を通過させるための開口12bが形成されている。この開口12bの上方には、後下部ミラー71によって反射された光を前方に反射させる後上部ミラー73が設けられている。後上部ミラー73は、第1のスクリーン14と共にステー45Bを介して仕切り板12Bに取り付けられている。
【0056】
図8を参照する。ハーフミラー27Bは、第1の領域51と、第2の領域52との間に、さらに第3の領域53Bを有している。第3の領域53Bにおける透過率及び反射率は、第1の領域51との境界部分Bo1において、第1の領域51の透過率及び反射率と略同一である。第3の領域53Bにおける透過率及び反射率は、第2の領域52との境界部分Bo2において、第2の領域52の透過率及び反射率と略同一である。第1の領域51との境界部分Bo1から第2の領域52との境界部分Bo2まで、透過率及び反射率は、連続的に変化している。
【0057】
例えば、第3の領域53Bの透過率及び反射率は、第1の領域51との境界部分Bo1において、透過率30%、反射率70%である。これらの透過率及び反射率は、第2の領域52との境界部分Bo2に向かって連続的に変化し、第2の領域52との境界部分Bo2において、透過率70%、反射率30%となる。
【0058】
図9を参照する。投射器13Bは、前方に向かって光を出射する。出射された光の一部は、後下部ミラー71において上方に向かって反射される。反射された光は、後上部ミラー73において前方に向かって反射され、第1のスクリーン14を透過する。第1のスクリーン14を透過した光は、上部ミラー15によって下方に反射される。反射された光のうち、第1の領域51の裏面に達した光は、前部ミラー28に向かって反射される。
【0059】
投射器13Bから出射された光の残部、即ち、後下部ミラー71によって反射されなかった光は、第2のスクリーン24を透過する。第2のスクリーン24を透過した光のうち、第2の領域52に達した光は、第2の領域52を透過する。
【0060】
図10を併せて参照する。前部ミラー28に達した光は、投射面部31Bに向かって投射される。このように構成された実施例2によるヘッドアップディスプレイ装置10Bにおいても、本発明所定の効果を得ることができる。
【0061】
加えて、実施例2によるヘッドアップディスプレイ装置10Bによれば、さらに以下の効果を得ることができる。
【0062】
図8を参照する。ハーフミラー27Bは、第1の領域51と、第2の領域52との間に、さらに第3の領域53Bを有している。そして、第3の領域53Bにおける透過率及び反射率は、第1の領域51との境界部分Bo1において、第1の領域51の透過率及び反射率と略同一であり、第2の領域52との境界部分Bo2において、第2の領域52の透過率及び反射率と略同一であり、第1の領域51との境界部分Bo1から第2の領域52との境界部分Bo2まで連続的に変化している。
【0063】
ここで、
図2及び
図3に示されたように、第1の領域51と第2の領域52とが隣接している場合には、第1の投射面部61Bと第2の投射面部61Bとが隣接することとなる。この場合、第1の投射面部61Bに投射された光の強さと第2の投射面部61Bに投射された光の強さが異なることにより、境界部分Boが明確に投射されることとなる。この部位が明確に投射されることにより、投射された情報の美観性が低下する。
【0064】
図8及び
図10を参照する。この点、第1の領域51との境界部分Bo1から第2の領域52との境界部分Bo2まで連続的に透過率を変化させることにより、第1の投射面部61Bと第2の投射面部61Bとの境界部分が、明確に投射されることを抑制できる。これにより、必要な情報については投射される領域を明確に分けつつ、これらの領域の境界については境界部分をぼかすことにより、投射される情報の美観性を高めることができる。
【0065】
尚、本発明によるヘッドアップディスプレイ装置は、二輪車や四輪車に限らず、他の乗り物、乗用型作業機、建機等にも適用可能である。さらに、実施例において投射器とスクリーンとを有している装置を例に説明したが、液晶パネルとバックライトモジュールとを有している形式のものであっても適用可能である。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。