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特開2016-224729電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-224729(P2016-224729A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   G06F17/50 612G
   G06F17/50 666V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-110771(P2015-110771)
(22)【出願日】2015年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳史
【テーマコード(参考)】
5B046
【Fターム(参考)】
5B046AA08
5B046BA03
5B046JA10
5B046KA05
(57)【要約】
【課題】解析対象の回路のSパラメータを算出する解析装置において、記憶されるデータ量を抑制する。
【解決手段】解析装置100は、回路要素のSパラメータと回路要素の構造を特定する構造データとを対応付けて記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された回路要素の構造データを参照データとして選択する選択手段と、参照データと未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、参照データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、記憶手段に登録する登録手段と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路要素のSパラメータと回路要素の構造を特定する構造データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
解析対象の回路の回路要素のうち、前記記憶手段に記憶されていない未解析の回路要素について電磁界解析を行い、Sパラメータを算出し、前記記憶手段に記憶されている解析済の回路要素のSパラメータを前記記憶手段より読み出す解析手段と、
前記解析手段により求められたSパラメータを結合して、前記解析対象の回路のSパラメータを求める結合手段と、
前記記憶手段に記憶された回路要素の構造データを参照データとして選択する選択手段と、
前記参照データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、参照データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、前記記憶手段に登録する登録手段と、
を備える電磁界解析装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された回路要素の構造データのうちから、一定の基準を満たす類似する構造データを有する回路要素のデータを参照データとして選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁界解析装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記選択手段が一定の基準を満たす類似する構造データが存在しないと判別した場合には、今回解析した回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて前記記憶手段に登録する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電磁界解析装置。
【請求項4】
さらに、解析対象の回路の回路要素について、同一の構造データを有する回路要素が前記記憶手段に記憶されているか否かを判別する判別手段をさらに備え、
前記判別手段は、関連付けデータを含む回路要素データについては、関連付けデータにより特定される参照データに含まれる構造データと、差分データとに基づいて、構造データを求め、求めた構造データに基づいて、前記記憶手段に記憶されているか否かを判別する、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の電磁界解析装置。
【請求項5】
インタフェース規格の情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記結合手段により算出された前記回路のSパラメータと前記第2の記憶手段に記憶されたインタフェース規格とを比較し、前記回路のSパラメータが前記インタフェース規格に適合しているか否かを判断する比較手段と、
を備える請求項1から4の何れか1項に記載の電磁界解析装置。
【請求項6】
前記第2の記憶手段は、外部装置にアクセスするアクセス手段を備え、
前記アクセス手段によりアクセスしてダウンロードしたインタフェース規格の情報を記憶する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電磁界解析装置。
【請求項7】
電磁界解析済の回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて蓄積し、
解析対象の回路の回路要素のうち、未解析の回路要素について電磁界解析を行ってSパラメータを算出し、
蓄積されている回路要素の構造データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、その回路要素の構造データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、蓄積データに加える、
電磁界解析方法。
【請求項8】
コンピュータに、
電磁界解析済の回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて蓄積するステップと、
解析対象の回路の回路要素のうち、未解析の回路要素について電磁界解析を行ってSパラメータを算出するステップと、
蓄積されている回路要素の構造データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、その回路要素の構造データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、追加して蓄積するステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路の電磁界解析を行う電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高速化が進んでいるため、電子機器に搭載されたプリント回路基板には、伝送速度が数Gbps〜数10Gbpsの高速伝送回路が用いられることがある。プリント回路基板における信号の伝送速度が速まるにつれ、プリント回路基板から発生する電磁波が周囲の電子機器に影響を及ぼすおそれが高まっている。
【0003】
このため、プリント回路基板の設計にあたっては、電磁波解析を行い、プリント回路基板から発生する電磁波の分布、強度等を確認する。電磁波解析を行うには、解析対象となる回路をモデル化する必要がある。従来、回路をモデル化するために、回路レベルモデリング、電磁界レベルモデリングといった手法が用いられている。
【0004】
しかしながら、回路レベルモデリングには、高周波領域の損失を正確にモデル化できないという欠点がある。また、電磁界レベルモデリングには、解析に時間を要するという欠点がある。そこで、高精度かつ短時間で電磁界解析を行うため、特許文献1に開示された解析装置が本出願人により提案されている。
【0005】
特許文献1に開示された解析装置は、まず、解析対象の回路からマイクロストリップライン、ストリップライン、屈曲線、貫通ビアといった種類ごとに微少な要素を抽出する。解析装置は、次に、抽出した要素の電磁界解析を行って要素のSパラメータ(Scattering Parameter)を算出し、解析対象の回路の構造に基づいて、算出されたSパラメータを結合し、回路全体のSパラメータを算出する。ここで、Sパラメータとは、回路の電磁的な特性を表すパラメータのことである。
【0006】
特許文献1に開示された解析装置は、種類ごとに抽出された微少な要素について電磁界解析を行い、抽出された要素の電磁界解析の結果を結合する。従って、回路全体に対して直接、電磁界解析を行う場合と比べて、電磁界解析に要する時間は短くてすむ。また、要素を結合することで得られた回路全体の電磁界解析の結果は、回路全体に対して直接、電磁界解析を行った結果と比べて、解析精度がほぼ同等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−170425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された解析装置では、要素のSパラメータを他の回路の電磁界解析で再利用できるよう、各要素の設計データとSパラメータとを補助記憶部に記憶する。このため、要素の電磁界解析が終了するたびに補助記憶部に保存されるデータ量が増加し、補助記憶部の容量が逼迫しやすい。
【0009】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、解析対象の回路のSパラメータを算出する解析装置において、記憶されるデータ量を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電磁界解析装置は、
回路要素のSパラメータと回路要素の構造を特定する構造データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
解析対象の回路の回路要素のうち、前記記憶手段に記憶されていない未解析の回路要素について電磁界解析を行い、Sパラメータを算出し、前記記憶手段に記憶されている解析済の回路要素のSパラメータを前記記憶手段より読み出す解析手段と、
前記解析手段により求められたSパラメータを結合して、前記解析対象の回路のSパラメータを求める結合手段と、
前記記憶手段に記憶された回路要素の構造データを参照データとして選択する選択手段と、
前記参照データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、参照データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、前記記憶手段に登録する登録手段と、
を備える。
【0011】
また、本発明に係る電磁界解析方法は、
電磁界解析済の回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて蓄積し、
解析対象の回路の回路要素のうち、未解析の回路要素について電磁界解析を行ってSパラメータを算出し、
蓄積されている回路要素の構造データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、その回路要素の構造データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、蓄積データに加える。
【0012】
さらに、本発明に係るコンピュータプログラムは、
コンピュータに、
電磁界解析済の回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて蓄積するステップと、
解析対象の回路の回路要素のうち、未解析の回路要素について電磁界解析を行ってSパラメータを算出するステップと、
蓄積されている回路要素の構造データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、その回路要素の構造データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、追加して蓄積するステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、参照データと未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データと、参照データを特定する関連付けデータと、を記憶手段に記憶する。このため、回路要素の構造データをそのまま記憶手段に記憶する場合と比べて、記憶手段に記憶されるデータ量の抑制を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る解析装置のブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る回路データのデータテーブルを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る回路要素データのデータテーブルを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る解析済回路要素データのデータテーブルを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るコンピュータプログラムをコンピュータにより実行する際のハードウエアブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る回路の電磁界解析と規格適合性の検証を行うプロセスを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る解析対象の一例であるプリント回路基板を示す図である。
図8図7に示される回路から抽出された要素のSパラメータを結合して回路全体のSパラメータを生成することを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(解析装置の構成)
本実施形態に係る解析装置100は、図1に示すように、操作部101、制御部102、主記憶部103、補助記憶部104、表示部105、入出力インタフェース(I/F)106を備えている。
操作部101、主記憶部103、補助記憶部104、表示部105、入出力I/F106は、それぞれ内部バス(図示せず)を介して制御部102に接続されている。
【0017】
操作部101は、キーボード、マウス、タッチパネル、ジョイスティック等から構成され、ユーザからの入力操作を受け付ける。操作部101は、ユーザの入力操作に応じて入力信号を制御部102に出力する。
【0018】
主記憶部103は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリから構成される。主記憶部103は、制御部102の作業領域として用いられ、補助記憶部104に記憶されるプログラムがロードされる。
【0019】
補助記憶部104は、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成される。補助記憶部104には、動作プログラム104a、解析対象回路の回路データ104b、回路データ104bから抽出された回路要素データ104c、蓄積された解析済回路要素データ104d、インタフェースデータ104e、等が記憶される。
【0020】
補助記憶部104に記憶されている動作プログラム104aは、解析装置100が回路データ104bに対する電磁界解析処理を行うためのアプリケーションソフトウェアである。プログラムの具体的な処理については、図6を参照して後述する。
【0021】
補助記憶部104に記憶されている回路データ104bは、図2に例示するように、解析対象の回路の構造を特定するためのデータであり、回路部品の識別符号、種類データ、構造データを含む。識別符号は回路の構成部品を識別する識別情報であり、種類データは構成部品の種類を示し、例えば、マイクロストリップライン、ストリップライン、屈曲部、貫通ビアのいずれであるかを示すデータである。そして、構造データは、回路部品の構造を示し、部品の長さ、線幅、直径、折れ曲がり角度、材料等の情報を含む。回路データ104bは、例えば、回路のCAD(Computer Aided Design)データ等から生成される。なお、実際の回路データは、より詳細で多様な情報を含むが、理解を容易にするため、簡略化した形態で示す。なお、図2に示す回路データは、後述する図7に示す回路の回路データに相当する。
【0022】
補助記憶部104に記憶されている回路要素データ104cは、解析対象の回路から抽出され、解析の単位となる回路要素を表すデータである。より詳しく説明すると、回路部品は、その種類に応じて、電磁界解析を行う要素の単位が予め定められている。回路要素データ104cは、解析対象の回路に含まれる電磁界解析の構成単位を示すものである。
【0023】
以下の説明では、理解を容易にするため、マイクロストリップラインとストリップラインについては長さ10mm単位、屈曲部、貫通ビアについては1個を電磁界解析の単位、すなわち、回路要素とすることとする。
【0024】
1つの回路から、構造が同一の複数の回路要素が抽出される場合には、それらは、電磁界解析の対象としては、1つの回路要素として取り扱われる。この結果、図2の回路データ104bから、図3に示す4つの回路要素が電磁界解析の対象として抽出される。抽出の手法は後述する。
【0025】
図1に示す補助記憶部104に記憶されている解析済回路要素データ104dは、過去に電磁界解析した各回路要素とそのSパラメータとを対応付けて蓄積したものである。
【0026】
解析済回路要素データ104dは、図4(a)に示す独立タイプと図4(b)に示す参照タイプの2つのタイプの情報を含む。
【0027】
図4(a)に示す独立タイプの解析済回路要素データ104dは、他のデータを参照しなくても、回路要素の構造を特定できる回路要素データである。
独立タイプの回路要素データは、各回路要素の識別符号と種類と構造データとS値(Sパラメータの値)とを含む。
識別符号は、回路要素を識別するユニークな符号である。
種類は、回路要素の種類を示す情報である。
構造データは、寸法、形状、材質、隣接部材等の回路要素の構造を示すデータである。
S値は、回路要素のSパラメータの値である。
【0028】
一方、図4(b)に示す参照タイプの解析済回路要素データ104dは、独立タイプの回路要素データを参照することにより、構造データを確定できる回路要素データである。
参照タイプの回路要素データは、識別符号と種類と関連付けデータと差分データとS値とを含む。
識別符号は、回路要素を識別するユニークな符号である。
種類は、回路要素の種類を示す情報である。
関連付けデータは、その回路要素の構造を特定するために、関連付けデータが識別符号として付された回路要素の構造データを参照すべきことを示す。
差分データは、その回路要素の構造データが、関連データで特定される回路要素の構造データとどの点でどのように異なっているかを示すデータである。
S値は、その回路要素のSパラメータの値である。
【0029】
例えば、図4(b)において、識別符号「500a」で特定される回路要素データは、その構造データが、関連付けデータ「400b」が識別符号として割り当てられている回路要素であるストリップラインの構造データ「長さ5mm、線幅0.5mm、基板材料SiO」と、差分データで表される寸法、すなわち、長さが10mmである点を除いて、一致していることを示す。結果的に、識別符号「500a」で特定される回路要素は、その構造データが、「長さ10mm、線幅0.5mm、基板材料SiO」であることが特定される。
【0030】
同様に、識別符号「500b」で特定される回路要素の構造データは、関連付けデータ「400d」が識別符号として割り当てられている貫通ビアの構造データと自己の差分データとから、「直径0.5mm、基板材料SiO」と特定される。
【0031】
図1に示す補助記憶部104に記憶されているインタフェースデータ104eは、種々のインタフェース規格に関するデータを含む。インタフェースデータ104eは、解析対象の回路が、指定されたインタフェース規格を充足するか否かを判別するために使用される。
【0032】
図1に示す表示部105は、液晶ディスプレイ等から構成される。表示部105には、制御部102による処理結果を表示する。
【0033】
入出力I/F(インタフェース)106は、通信ネットワークを介して、外部装置と通信し、データを送受信する。ここでは、回路データ、インタフェース規格等を外部装置から受信し、また、電磁界解析の結果を外部装置に送信する。
【0034】
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)から構成される。制御部102は、補助記憶部104に記憶されている動作プログラム104aを主記憶部103に展開して実行し、後述する解析処理を実行する。
【0035】
(機能構成)
上記ハードウエア構成を有する解析装置100は、制御部102がプログラムを実行して各種機能を実現することにより、機能的には、図5に示すように、入力部501、制御機能部502、分析機能部503、新規モデル生成部504、解析機能部505、第1のストレージ部506、データ結合部507、第2のストレージ部508、結果比較部509、及び出力部510から構成される。
【0036】
入力部501は、主に操作部101と入出力I/F106から構成され、電磁界解析の条件、解析対象の回路データ(基板及び回路に関する情報)を入力する。また、入力部501は、インタフェースセレクタを有しており、解析対象の回路で選択されるインタフェース種別を設定することもできる。
【0037】
制御機能部502は、主に制御部102により構成され、各機能部501、503〜510の間でデータの受け渡し制御や、作業工程の制御を行う。全ての制御は制御機能部502を介して行われる。
【0038】
分析機能部503は、主に制御部102により構成され、入力部501に入力された情報を基にして解析対象の回路を分析し、図2に示されるような回路データを生成する。
分析機能部503は、生成した回路データを分析し、回路から予め規定された大きさの回路要素を抽出することにより、図3に例示した回路要素データを抽出する。
【0039】
新規モデル生成部504(判別手段)は、主に制御部102により構成され、分析機能部503で抽出した回路要素について、解析済回路要素データを参照して、電磁界解析済であるか否かを判別し、未解析の回路要素が存在するか否かを判別する。
新規モデル生成部504は、同一種類同一構成データが、解析済回路要素データに含まれている場合には、その回路要素については、解析済と判別し、今回の解析処理からは除外する。
一方、新規モデル生成部504は、同一種類同一構成データが、解析済回路要素データに含まれていない回路要素を、解析対象とする。
なお、この判別の際、参照タイプの解析済回路要素データに関しては、独立形式の解析済回路要素データを参照して、その構造データを求め、要素データとの一致・不一致を判別する。
【0040】
解析機能部505(解析手段)は、主に制御部102により構成され、新規モデル生成部504で解析対象と判別された回路要素について、入力部501で設定された条件の下で電磁界解析を行い、Sパラメータの値を求める。また、解析機能部505は、新規モデル生成部504で解析済と判別された回路要素について、後述の第1のストレージ部506からSパラメータを読み出す。
【0041】
第1のストレージ部506(記憶手段)は、主に制御部102と補助記憶部104により構成され、回路データ104b、回路要素データ104c、解析済回路要素データ104dを記憶する。
【0042】
データ結合部507(結合手段)は、主に制御部102により構成され、解析機能部505で解析した結果に基づいて、解析対象の回路の回路要素のSパラメータを収集して、収集した回路要素のSパラメータを結合して、回路のSパラメータを求める。
【0043】
第2のストレージ部508(第2の記憶手段)は、主に制御部102と補助記憶部104により構成され、インタフェースデータ104eを記憶するストレージ部である。インタフェース規格に関する情報には、回路の周波数特性に関する情報が含まれる。第1のストレージ部506と同様に、各データにはインデックス情報が付与されており、容易に検索できる構造を有する。また、Webアクセスポートを通してインタフェース規格情報をダウンロードすることができる。
【0044】
結果比較部509(比較手段)は、主に制御部102により構成され、データ結合部507の計算結果と第2のストレージ部508に記憶されたインタフェース規格とを比較し、データ結合部507の計算結果がインタフェースセレクタにより選択されたインタフェース規格に適合しているか否かを判定する機能部である。
【0045】
出力部510は、入力部501で入力した条件の下で算出された回路のSパラメータと、結果比較部509の比較結果とを出力する。
【0046】
次に、上記ハードウエア構成及び機能構成を有する解析装置100の解析動作について図6を参照して説明する。
ここでは、理解を容易にするため、図7に示されるプリント回路基板に形成された回路を解析対象とする場合を例に説明する。
【0047】
まず、図7に示す解析対象であるプリント回路基板700の構成を説明する。図7(a)に平面で、(b)に断面で示すように、プリント回路基板700は、6層構造を有し、2つの送受信IC701、702が実装されている。送受信IC701、702は、シングルエンド信号を伝送する回路により接続される。この回路が解析対象である。
【0048】
この回路は、貫通ビア711、マイクロストリップライン(以下、「MSL」と称する。)712、屈曲部713、MSL714、貫通ビア715、ストリップライン(以下、「SL」と称する。)716、屈曲部717,MSL718、貫通ビア719、MSL720、貫通ビア721から構成される。
その回路データは、図2に示す通りであるとする。
【0049】
次に、図7の回路を例に、図6のフローチャートを参照して、一連の解析処理を説明する。
図6のフローチャートに示す処理は、図5に示される入力部501に解析の指示が入力されたことにより開始される。なお、解析対象の回路の回路データは、予め、第1のストレージ部506に格納されているものとする。
処理を開始すると、制御機能部502は、必要なデータ、例えば、電磁界解析の条件を入力する(ステップS601)。
次に、制御機能部502は、回路データにインタフェースを特定するインタフェースセレクタが設定されているか否か、すなわち、回路がインタフェースセレクタで特定されるインタフェースの規格を充足するか否かを判別する処理を行うか否かを判別する(ステップS602)。
【0050】
インタフェースセレクタの設定されていない場合(ステップS602:NO)、ステップS606へ進む。一方、インタフェースセレクタが設定されている場合(ステップS602:YES)、設定されたインタフェースセレクタが指示するインタフェース規格が第2のストレージ部508に記憶されているかを判別する(ステップS603)。該当するインタフェース規格が第2のストレージ部508に記憶されている場合(ステップS603:YES)はステップS606へ進む。一方、該当するインタフェース規格が第2のストレージ部508に記憶されていない場合(ステップS603:NO)は、外部のWeb検索を行い(ステップS604)、該当するインタフェース規格を検索し、これをダウンロードし、第2のストレージ部508に格納する(ステップS605)。
【0051】
次に、分析機能部503は、第1のストレージ部506に記憶された回路データを分析し、電磁界解析の単位構成である回路要素を抽出する(ステップS606)。
前述のように、この実施形態では、単位構成は、マイクロストリップラインとストリップラインについては長さ10mm単位、屈曲部、貫通ビアについては1個単位に設定されている。
【0052】
このため、分析機能部503は、まず、図2に示す回路データ104bを参照し、識別符号200aで特定される貫通ビアを回路要素として抽出し、図3に示すように、識別符号300aを付して登録する。
【0053】
次に、分析機能部503は、識別符号200bで特定されるMSLを単位長さで分割する。この例では、MSLの長さ=単位長なので、このMSLが回路要素として抽出され、識別符号300bを付して登録される。
【0054】
続いて、識別符号200cで特定される屈曲部が抽出され、識別符号300dを付して登録される。
【0055】
続いて、識別符号200dで特定されるMSLが回路要素として抽出される。ただし、この回路要素は、すでに識別符号300bを付して登録した回路要素と同一構造となるので、登録されない。識別符号200eで特定される貫通ビアも同一構造のビアが登録済であるので、登録されない。
【0056】
続いて、識別符号200fで特定されるSLが長さ10mmの3つの回路要素に分割される。3つの回路要素は互いに等しい構造を有するので、まとめて1つの回路要素として識別符号300cを付して登録される。
【0057】
以後の回路要素についても同様の処理が行われるが、全て、同一構造の回路要素がすでに登録されているため、追加で登録されることはない。
【0058】
これにより、図3に示す回路要素データ104cが生成される。この回路要素データ104cは、第1のストレージ部506に格納される。
【0059】
次に、新規モデル生成部504は、抽出された各回路要素について、電磁界解析を行う必要があるか否かを判別する(ステップS607)。この判別は、その回路要素と同一の構造を有する回路要素の解析データが第1のストレージ部506に格納されているか否かを判別することにより行う。
【0060】
この処理を、図3図4を参照して具体的に説明する。
まず、新規モデル生成部504は、識別符号300aで特定される貫通ビアと同一構造の貫通ビアの解析データが解析済回路要素データ104dに含まれているか否かを判別する。
【0061】
仮に、第1ストレージ部506に格納されている解析済回路要素データ104dが図4に示す内容であるとする。この場合、識別符号300aで特定される構造は、識別符号500bで特定される貫通ビアの構造と同一であることが、差分データと識別符号400dで特定される解析済回路要素データとから特定される。従って、解析済であると判断される。
【0062】
次に、識別符号300bで特定されるMSLの構造は、識別符号400aで特定される解析済回路要素データと同一であると判別される。さらに、識別符号300cで特定されるSLの構造は、識別符号500aで特定される解析済回路要素の構造と同一であると判別される。
【0063】
ただし、識別符号300dで特定される屈曲部の構造に一致する構造を有する回路要素のデータは、解析済回路要素データ104dには含まれていない。
このため、新規モデル生成部504は、識別符号300dで特定される回路要素データを電磁界解析の対象とする。
【0064】
ステップS606で抽出した全ての回路要素の解析データが第1のストレージ部506に記憶されている場合(ステップ607:NO)、今回の解析対象回路に関しては、回路要素の電磁界解析が不要であるため、ステップS615に移る。
【0065】
一方、新規モデル生成部504が、第1のストレージ部506に蓄積されていない回路要素が存在すると判別した場合(ステップ607:YES)、電磁界解析を行う必要のある要素の数Nを特定する(ステップS608)。上述の例では、N=1である。
【0066】
解析数Nが2以上の場合、各要素の解析を行う順番を特定する。例えば、送受信IC701に近い要素から順番に解析を行うようにしてもよい。例えば、図7で示される回路において貫通ビアとSLの回路要素の電磁界解析が必要な場合、送受信IC701から一番近い要素である貫通ビアを最初に解析し、その後SLを解析する。もちろん、送受信IC701から遠く離れた要素から順番に各要素の解析を行うようにしてもよい。
【0067】
次に、解析機能部505は、解析順序が1番目の回路要素に対して、第1のストレージ部506に記憶された回路要素のうち解析対象の回路要素と構造が類似する構造データが存在するか否かを、予め定めた基準に従って判別する。類似する構造データが存在する場合、最も類似する構造データを有する回路要素データを第1のストレージ部506から参照データとして選択する(ステップS609)。解析対象の要素と最も構造が近い要素とは、例えば、両者の要素の長さ、線幅、直径等の寸法、折れ曲がり角度、材料といった要素の構造を特定する各指標を比較した場合、最も類似する指標が多い要素である、としてもよい。指標が寸法や角度の場合、両者の指標が類似しているか否かは、第1のストレージ部506に記憶された複数の要素の指標から標準偏差σを算出し、両者の指標の差が標準偏差σよりも小さい場合に類似している、と判断してもよい。指標が材料の場合、両者の指標が類似しているか否かは、それぞれ要素を形成する材料が一致する場合に、両者が類似していると判断してもよい。
【0068】
その後、ステップS609において選択された参照データを基準として解析順序が1番目の要素の構造データを生成する(ステップS610)。参照データが特定されなかった場合には、この処理はスキップされる。
【0069】
ステップS606またはステップS610で生成された構造データに対して、ステップS601で入力された解析条件を設定して、回路要素の電磁界解析を行い、Sパラメータを算出する(ステップS611)。回路要素の電磁界解析は、公知の手法、例えば伝送線路シミュレータを用いて行うことができる。
【0070】
解析終了後、構造データ及びSパラメータを第1のストレージ部506に記憶しインデックス情報を更新する(ステップS612)。Sパラメータはそのまま第1のストレージ部506に登録する。一方、ステップS610で生成された構造データについては、そのまま登録するのではなく、参照データと未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データと、参照データを特定する関連付けデータとを登録する。
【0071】
例えば、参照データと構造データとの差分が基板を構成する材料である場合、登録する差分データは、基板を構成する材料に関するデータである。また、参照データと構造データとの差分が構造の寸法である場合、登録する差分データは、構造の寸法に関するデータである。このように、第1のストレージ部506に差分データ及び関連付けデータを登録することにより、構造データをそのまま登録する場合と比べて、第1のストレージ部506におけるデータ量の抑制を実現できる。
【0072】
図3図4を参照して具体的に説明すると、識別符号300dの構造データと識別符号400cで示される構造データが、ステップS609で、最も類似すると判別されたとする。この場合、識別符号と、種別として「屈曲部」、関連付けデータとして「400c」、差分データとして「角度90°」、Sパラメータを含む参照タイプの解析データが解析済回路要素データに追加される。
一方、ステップS609で、類似する構造データが存在しないと判別されたとすると、独立タイプとして、識別符号と、種別「屈曲部」、構造データ、Sパラメータを含む独立タイプの解析済回路要素データが追加される。
【0073】
第1のストレージ部506に解析順序が1番目の要素の要素データを記憶した後、解析数Nを−1し(ステップS613)、N=0か否かを判別し(ステップS614)、N>0の場合(ステップS614;No)、ステップS609に戻り、解析順序が2番目の要素について電磁界解析を行う。
このようにステップS609〜S614の処理を解析数Nがゼロになるまで繰り返し、解析対象の回路を構成する全ての要素のSパラメータ及び構造データを第1のストレージ部506に記憶していく。
【0074】
回路の電磁界解析を繰り返し行うにつれて、第1のストレージ部506に記憶される要素データの数が増加する。このため、第1のストレージ部506に記憶された要素データを組み合わせるだけで、回路の電磁界解析を行えるケースが増加する。
【0075】
ステップS607において要素データが全て第1のストレージ部506に記憶されていると判断されたか、またはステップS614においてN=0と判断された時点でステップS615に移動する。ステップS615では、第1のストレージ部506から回路のSパラメータの算出に必要な要素データを収集し、収集されたSパラメータを回路の構成に合わせて結合することで、回路のSパラメータを算出する。
【0076】
例えば、図7に示されるプリント回路基板700を解析対象とした場合、図8に模式的に示される各回路要素のSパラメータを結合する。すなわち、貫通ビア801のSパラメータ、10mmのMSL802のSパラメータ、屈曲部803のSパラメータ、...貫通ビア813のSパラメータを図8に示されるような配列順で結合し、回路のSパラメータ821を算出する。
【0077】
次に、ステップS616において、ステップS602においてインタフェースセレクタを設定ありとしたか否かを判定する。インタフェースセレクタが設定有りの場合(ステップS616:YES)は、ステップS615で生成したSパラメータと、ユーザに選択されたインタフェース規格とを比較する(ステップS617)。Sパラメータとインタフェース規格とを比較することにより、解析対象の回路から発生する電磁界の特性がインタフェース規格に適合しているか否かを検証する。
【0078】
最終的に回路のSパラメータを出力部510に出力する。ステップS602にてインタフェースセレクタを設定ありとした場合、回路のSパラメータと選択されたインタフェース規格の特性比較の結果についても、出力部510に出力する(ステップS618)。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態においては、一部の解析済回路要素データは、参照タイプのデータ形式で記録される。従って、大量の解析済回路要素データを記憶する場合に、データ量を抑えることができる。
【0080】
前述のように、本発明の実施形態に係る電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムは、図8に示される回路に限られず、種々の態様の回路に適用可能である。例えば、図8に示される回路では、説明を簡単にするため、シングルエンド信号を伝送する回路としているが、差動信号を伝送する回路に対して適用してもよい。
【0081】
本実施形態に係る電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムは、以下に記載する効果を奏する。
【0082】
本実施形態に係る電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムでは、参照データと未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データと、参照データを特定する関連付けデータとを、第1のストレージ部506に保存しているため、第1のストレージ部506に記憶されるデータ量の抑制が実現できる。
【0083】
また、本実施形態に係る電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムでは、ユーザがインタフェースセレクタを用いてインタフェース規格を選択するだけで、結果比較部509により回路のSパラメータがインタフェース規格に適合しているか否かが判定される。ユーザ自身が回路の解析結果とインタフェース規格とを比較する必要がないため、プリント回路基板の開発工期の短縮を実現できる。
【0084】
さらに、本実施形態に係る電磁界解析装置、電磁界解析方法、及びコンピュータプログラムでは、Webアクセスにより適宜のタイミングで最新のインタフェース規格情報をダウンロードし、第2のストレージ部508に記憶しているため、最新のインタフェース規格にも対応できる。
【0085】
(変形例)
この発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0086】
上記実施形態では、解析装置100は、補助記憶部104にプログラムを記憶しておき、必要に応じて主記憶部103にロードし、制御部102により実行していたが、これに限られない。主記憶部103を不揮発性メモリから構成して、動作プログラム104a、回路データ104b、回路要素データ104c、及び解析済回路要素データ104dを記憶させることで、解析装置100から補助記憶部104を無くしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、解析装置100は、解析済回路要素データ104dが記憶された補助記憶部104を有しているが、これに限定されず、サーバーの記憶部に解析済回路要素データ104dを記憶させ、解析の都度、サーバーに対して解析装置100がアクセスするように構成してもよい。
【0088】
上記実施形態では、回路要素を予め規定された大きさで抽出しているが、回路要素を規定するパラメータは、多数あり、任意の区分けが可能である。例えば、インピーダンスの違いを利用して要素を抽出してもよい。また、貫通孔についてその長さを構造データに含めてもよい。
【0089】
種類ごとに抽出される要素の大きさは、解析対象の回路の形状、寸法等を考慮しつつ、要素の電磁界解析ができるだけ短時間で終えられるような大きさとする。例えば、MSL、SLの要素は10mm単位に限られず、異なる長さとしてもよい。
【0090】
上記実施形態では、未解析の要素の確認を行った後に、未解析の要素の解析を行っているが、これに限定されず、未解析の要素の確認を行っている最中に順次、発見した未解析の要素の解析を行ってもよい。これにより、全体の処理時間が短縮できる。
【0091】
上記実施形態では、回路の電磁界解析に必要な要素が1つだけ不足している場合も、当該要素の電磁界解析を行い、Sパラメータを第1のストレージ部506に記憶しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、未解析の要素が1つだけの場合は、未解析の要素の解析結果を推定し、第1のストレージ部506から最も類似するSパラメータを割り付けてもよい。
【0092】
上記実施形態では、インタフェース規格の第2のストレージ部508へのダウンロードはインタフェースセレクタが設定された場合に行っているが、これに限られず、定期的に行ってもよい。また、インタフェース規格の正式なリリースと同期するように、第2のストレージ部508へのダウンロードを行ってもよい。
【0093】
上記実施形態のプログラムを、パーソナルコンピュータ(PC)にインストールすることで、PCを本発明の解析装置として機能させることも可能である。
【0094】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
回路要素のSパラメータと回路要素の構造を特定する構造データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
解析対象の回路の回路要素のうち、前記記憶手段に記憶されていない未解析の回路要素について電磁界解析を行い、Sパラメータを算出し、前記記憶手段に記憶されている解析済の回路要素のSパラメータを前記記憶手段より読み出す解析手段と、
前記解析手段により求められたSパラメータを結合して、前記解析対象の回路のSパラメータを求める結合手段と、
前記記憶手段に記憶された回路要素の構造データを参照データとして選択する選択手段と、
前記参照データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、参照データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、前記記憶手段に登録する登録手段と、
を備える電磁界解析装置。
【0095】
(付記2)
前記選択手段は、前記記憶手段に記憶された回路要素の構造データのうちから、一定の基準を満たす類似する構造データを有する回路要素のデータを参照データとして選択する、
ことを特徴とする付記1に記載の電磁界解析装置。
【0096】
(付記3)
前記登録手段は、前記選択手段が一定の基準を満たす類似する構造データが存在しないと判別した場合には、今回解析した回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて前記記憶手段に登録する、
ことを特徴とする付記2に記載の電磁界解析装置。
【0097】
(付記4)
さらに、解析対象の回路の回路要素について、同一の構造データを有する回路要素が前記記憶手段に記憶されているか否かを判別する判別手段をさらに備え、
前記判別手段は、関連付けデータを含む回路要素データについては、関連付けデータにより特定される参照データに含まれる構造データと、差分データとに基づいて、構造データを求め、求めた構造データに基づいて、前記記憶手段に記憶されているか否かを判別する、
ことを特徴とする付記1、2又は3に記載の電磁界解析装置。
【0098】
(付記5)
インタフェース規格の情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記結合手段により算出された前記回路のSパラメータと前記第2の記憶手段に記憶されたインタフェース規格とを比較し、前記回路のSパラメータが前記インタフェース規格に適合しているか否かを判断する比較手段と、
を備える付記1から4の何れか1項に記載の電磁界解析装置。
【0099】
(付記6)
前記第2の記憶手段は、外部装置にアクセスするアクセス手段を備え、
前記アクセス手段によりアクセスしてダウンロードしたインタフェース規格の情報を記憶する、
ことを特徴とする付記5に記載の電磁界解析装置。
【0100】
(付記7)
電磁界解析済の回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて蓄積し、
解析対象の回路の回路要素のうち、未解析の回路要素について電磁界解析を行ってSパラメータを算出し、
蓄積されている回路要素の構造データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、その回路要素の構造データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、蓄積データに加える、
電磁界解析方法。
【0101】
(付記8)
コンピュータに、
電磁界解析済の回路要素のSパラメータと構造データとを対応付けて蓄積するステップと、
解析対象の回路の回路要素のうち、未解析の回路要素について電磁界解析を行ってSパラメータを算出するステップと、
蓄積されている回路要素の構造データと前記未解析の回路要素の構造データとの差を示す差分データを求め、その回路要素の構造データを特定する関連付けデータと差分データとSパラメータとを対応付けて、追加して蓄積するステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0102】
100 解析装置
101 操作部
102 制御部
103 主記憶部
104 補助記憶部
105 表示部
106 入出力I/F
501 入力部
502 制御機能部
503 分析機能部
504 新規モデル生成部
505 解析機能部
506 第1のストレージ部
507 データ結合部
508 第2のストレージ部
509 結果比較部
510 出力部
700 プリント回路基板
701,702 送受信IC
711,715,719,721 貫通ビア
712,714,718,720 マイクロストリップライン(MSL)
713,717 屈曲部
716 ストリップライン(SL)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8